JP3230704B2 - 弾性糸 - Google Patents

弾性糸

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JP3230704B2
JP3230704B2 JP204993A JP204993A JP3230704B2 JP 3230704 B2 JP3230704 B2 JP 3230704B2 JP 204993 A JP204993 A JP 204993A JP 204993 A JP204993 A JP 204993A JP 3230704 B2 JP3230704 B2 JP 3230704B2
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高弾性を有する膠着性の
防止された弾性糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポリウレタン弾性糸の糸条の膠
着性を防止するため、 紡糸油剤中に高級脂肪酸金属塩を分散せしめ、糸条
に金属石鹸含有油剤を付与することによって糸条の膠着
を防止する。 また、ポリマ−中に高級脂肪酸金属塩を0.3重量
%以上分散せしめ紡糸し膠着を防止するものがある。こ
れらは高級脂肪酸金属塩をポリマー表面に存在せしめ
て、糸条の膠着を防ごうというものである。 さらに、特公昭42−8438には油剤の成分とし
てポリアミルシロキサンを加えて、この油剤を糸条に付
与することによって、膠着を防ぐことが記載されてい
る。このポリアミルシロキサンを付与しても糸条の膠着
性は十分には防止できず、弾性糸のチーズからの解舒が
円滑にゆかず、とくにチーズの内層においての膠着性防
止が困難であるため、弾性糸の後加工工程で糸の張力
斑、糸の切断等の不具合が発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る弾性糸の膠着防止、とくに弾性糸チ−ズ内層における
糸条の解舒性が改善された弾性糸を提供するものであ
る。ポリマ−中には高級脂肪酸金属塩を多量に分散せし
めるのは単に分散が困難になるのみでなく、糸条の集束
性に悪影響をおよぼす。すなわち通常、弾性糸はマルチ
フイラメントとして紡糸され仮撚の付与等によって集束
させられる。ここで収束が不十分であると、整経、丸編
み、カバリング工程等の後加工工程を通過中にフイラメ
ントが静電気等により分割され糸が切断される。この観
点から、ポリマ−中に高級脂肪酸金属塩を多量に分散せ
しめることは弾性糸にとって好ましいものではない。マ
ルチフィラメントは仮撚りの付与等で収束させられたの
ち、表面処理されてボビンに捲きとられることが好まし
い。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリウレタン
ウレアを乾式紡糸し得られる糸条にa.常温で液体の5
cst〜20cst粘度をもつポリジメチルシロキサン
とb.粒径が0.5〜4.5μmの範囲にある三次元化
された球状のポリメチルシロキサン、とを少なくとも含
む紡糸油剤を付与した後、捲取って得られてなることを
特徴とする弾性糸である。そして上記a.のポリジメチル
シロキサンが98〜60重量%、上記b.のポリメチルシ
ロキサンが2〜10重量%混合されてなることを特徴と
する上記記載の弾性糸である。糸条を構成するポリウレ
タンウレアは、数平均分子量が600から5000のポ
リエ−テルグリコ−ルまたはポリエステルグリコ−ルと
過剰モルの有機ジイソシアネ−ト化合物とを反応させて
末端基にイソシアネ−ト基を有する中間重合体を得て、
該中間重合体を不活性溶媒に溶解せしめたのち有機ジア
ミンを加えて反応させて得られる。このようにして得ら
れたポリマー溶液が通常の方法で乾式紡糸し弾性が得ら
れる。
【0005】ポリエ−テルグリコ−ルとしては、ポリテ
トラメチレンエ−テルグリコ−ル、ポリエチレンエ−テ
ルグリコ−ル、ポリプロピレンエ−テルグリコ−ル等が
挙げられる。ポリエステルグリコ−ルとしては、琥珀
酸、アジピン酸等の有機脂肪酸とエチレングリコ−ル、
プロピレングリコ−ル、ブタンジオ−ルまたはヘキサン
ジオ−ル等の有機グリコ−ルとを重縮合して得られるも
のがある。好ましくは、数平均分子量が1000から3
000のポリテトラメチレンエ−テルグリコ−ルが使用
される。本発明で使用される有機ジイソシアネ−ト化合
物としては、p,p’−ジフェニルメタンジイソシアネ
−ト、2,4−トルエンジイソシアネ−ト、1,4−フ
ェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネ−ト等が挙げられる。とくに、
p,p’−ジフェニルメタンジイソシアネ−トが好まし
い。
【0006】さらに、ポリエ−テルグリコ−ルまたはポ
リエステルグリコ−ルと有機ジイソシアネ−ト化合物
は、イソシアネ−ト基と水酸基との比が1.3から2.
6の間で使用される。有機ジアミンとしては、ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、
1,4−ブチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジ
アミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシク
ロヘキシルメタン、m−キシリレンジアミンおよびその
水添物、p−キシリレンジアミンおよびその水添物等の
ジアミンまたはそれらの混合物が挙げられる。重合反応
のときに使用される不活性溶媒としては、N,N−ジメ
チルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N,N',N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロ
リドン、ジメチルスルフォキシド等の極性溶媒が挙げら
れる。
【0007】得られたポリマ−溶液には、必要におうじ
て抗酸化剤、紫外線吸収剤、顔料、第三級アミノ基含有
化合物等が加えられる。このようにして得られたポリマ
−溶液を通常の方法で乾式紡糸し、仮撚り等の方法でフ
ィラメントを収束せしめ油剤が付与される。本発明で使
用される油剤は、a.常温で液体であるようなポリアル
キルシロキサンとb.粒径が0.5〜4.5μmの範囲
にある三次元化された球状のポリアルキルシロキサン、
とで構成される。常温で液体であるようなポリアルキル
シロキサンはジメチルシロキサンで代表される。分子量
によって粘度は変化するが5cst〜20cstのジメ
チルシロキサンが推奨される。また、粒径0.5〜4.
5μmの三次元化された球状のポリアルキルシロキサン
は、たとえば東芝シリコーン社製の球状シリコーンレジ
ン等で供給される。好ましいポリアルキルシロキサンは
ポリメチルシロキサンである。基本的には−(CH3
iO1.5)n で示される構造をもつ。このポリメチルシ
ロキサンは、2〜10重量%の割合で油剤に配合され
る。またポリジメチルシロキサンは98〜60重量%の
割合で油剤に配合される。さらに必要におうじて、変性
シリコーン、鉱物油等を混合することも可能である。
【0008】油剤を付与された糸条は、通常の方法でボ
ビンに捲きとられる。このようにして得られた弾性糸
は、ヤ−ンどうしの膠着が防止されチ−ズからの弾性糸
の解舒もスム−スである。とくに、チ−ズ内層からの弾
性糸の解舒が改善される。チ−ズからの弾性糸の解舒の
評価は次のようにしておこなわれる。チ−ズを直径10
cmの梨地加工されたロ−ラ−上にセットし、ロ−ラ−
の表面速度が毎分50mの速度になるように調整する。
一方に同じ直径10cmの梨地加工されたロ−ラ−上に
捲取り用のボビンをセットする。毎分50mで送り出さ
れた弾性糸を一方の捲取り用のボビンに捲取る。そのと
き、送り出された弾性糸が、チ−ズの回転方向にひきあ
げられない最低の速度に捲取り用ロ−ラ−を調整する。
その最低のロ−ラ−の表面速度を測定し、解舒性を次の
ようにあらわす。 解舒性(%)={(S−S0 )/S0 }×100 ここで S0 は弾性糸の送り出し速度(50m/分) S は弾性糸の最低の捲取り速度
【0009】すなわち解舒性が0%であるということ
は、弾性糸のチ−ズからの解舒が無張力で出来ることを
しめしている。チ−ズ内層の解舒性が0%であるという
ことはチ−ズの形状を保持することが困難であることを
しめしており、通常0%以上の値をしめす。この解舒性
の値は5〜100%の範囲が好ましく、さらに好ましく
チーズの内層において15〜85%の範囲である。
【0010】本発明を以下の実施例において説明する。
なお、これらの実施例は本発明を例示するものであって
何らこれらに限定されるものではない。実施例中、部は
重量をしめし、解舒性の評価は上記の方法にしたがった
ものである。
【実施例】
(実施例:1)数平均分子量1800のポリテトラメチ
レンエ−テルグリコ−ル900部と、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネ−ト212.5部とを重合フラ
スコにとり、かき混ぜながら油沿上で70℃に加熱し
た。80時間加熱したのち油沿をとり去り、N,N−ジ
メチルアセトアミド2200部を加え、氷沿上で冷却し
ながら混合した。内温8℃になったところでエチレンジ
アミン15.1部、1,2−ジアミノプロパン4.7
部、N,N−ジエチルアミン1.1部をN,N−ジメチ
ルアセトアミド400部に溶かした液をかきまぜながら
徐々に滴下した。約350部を添加したのち、氷水浴を
とり去り、さらにアミン溶液を滴下した。総量420部
のアミン溶液を添加したのち、N,N−ジエチルアミン
7.7部、N,N−ジメチルアセトアミド114部の溶
液を添加した。得られたポリマ−溶液に、1,3,5−
トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ
メチル−ベンジル)イソジアヌル酸11.35部、3−
エチル−1,5−ジメチル−3−アザペンタン−1,5
−ジオールと4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネートとの重合体の50重量%N,N−ジメチルア
セトアミド溶液68部を加えて45分間かき混ぜた。こ
のようにして得られたポリマー溶液を毎分4.44gの
割合で2つの細孔を有する紡糸口金へ供給した。そして
細孔から熱風中へ押し出し溶媒を蒸発させた。乾燥され
た糸条は旋回する空気流を発生する仮撚り機にとおし、
仮撚りを付与したのちオイリングロ−ラ−に接触させ
た。オイリングロ−ラ−へは、粒径2.0μmのポリメ
チルシロキサン(東芝シリコーン社製トスパール12
0)5部、10cstの粘性を有するポリジメチルシロ
キサン95部から成る油剤を供給した。油剤の付着量は
糸条に対して6重量%になるようにオイリングロ−ラ−
の表面速度を調節した。油剤を付与された弾性糸は毎分
600mの速度でボビンに捲き取った。400gの弾性
糸をボビンに捲き取って20デニ−ル弾性糸チ−ズを得
た。得られたチ−ズを45℃の雰囲気で24時間放置し
たのち、チ−ズの表層および内層の解舒性を測定した。
その結果、表層15%、内層61%であった。また得ら
れたチ−ズをカバリング機に仕掛け、毎分6mの速度で
弾性糸を送り出し、ナイロン加工糸を捲きつけ毎分21
mで捲き取った。その結果、チ−ズからの弾性糸の解舒
は内層までチ−ズの回転方向にとられることはなかっ
た。さらに得られたチ−ズをロ−ラ−上におき、毎分2
00mの速度で送り出しナイロン加工糸と合わせたのち
空気流で弾性糸とナイロン加工糸とを交絡させ毎分62
5mの速度で捲き取った。この結果でも、チ−ズからの
弾性糸の解舒は内層までチ−ズの回転方向にとられるこ
となく行われた。
【0011】(比較例:1)実施例1において、油剤と
して常温で10cstの粘度をもつポリジメチルシロキ
サンを付与する他は同様におこなって弾性糸チーズを得
た。得られたチーズを実施例1と同様に、解舒性、カバ
リング、交絡糸の評価をおこなった。その結果、表層解
舒性43%、内層解舒性117%であった。カバリング
機に仕掛けたところ表層では弾性糸の解舒はチーズの回
転方向にとられることはなかったが内層ではチーズの回
転方向にとられるのがみられた。しかし、弾性糸の切断
にまではいたらなかった。交絡糸の場合も同様に表層で
は弾性糸の解舒はチーズの回転方向にとられることはな
かったが内層ではチーズの回転方向にとられ弾性糸が切
断した。
【0012】(実施例:2) 数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグ
リコール10000部と4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネート2500部とをジャケット付き重合缶に
仕込み、かき混ぜながら70℃に加熱した。1時間加熱
したのち加熱を停止し、N,N−ジメチルアセトアミド
5000部に溶解させた溶液をかき混ぜながら徐々に滴
下した。約4000部を添加したのち冷却を停止し、さ
らにアミン溶液を滴下した。総量5230部のアミン溶
液を添加したのち、N,N−ジエチルアミン105部、
N,N−ジメチルアセトアミド1000部の溶液を添加
した。このようにして得られたポリマー溶液15000
部に、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチル−ベンジル)イソシアヌル酸
45部、3−エチル−1,5−ジメチル−3−アザペン
タン−1,5−ジオールと4,4’−ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネートとの重合体の50重量%N,N
−ジメチルアセトアミド溶液266部を加えて45分間
かき混ぜた。このようにして得られた紡糸用原液を実施
例1と同様に紡糸した。オイリングローラーへは、5重
量%の東芝シリコーン社製トスパール120(平均粒径
2.0μmメチルシロキサン)、常温で10cstの粘
性を有するジメチルシロキサン93部、エチレンオキシ
ド/プロピレンオキシド変性シリコーン2部から成る油
剤を供給した。油剤の付着量は糸条にたいして6重量%
になるようにオイリングローラーの表面則を調節した。
油剤を付与された弾性糸は毎分600mの速度でボビン
に捲きとった。400gの弾性糸をボビンに捲きとって
20デニール弾性糸チーズを得た。得られたチーズを4
5℃の雰囲気で24時間放置したのち、チーズの表層お
よび内層の解舒性を測定した。その結果、表層10%、
内層36%であった。また、得られたチーズをカバリン
グ機に仕掛け、毎分6mの速度で弾性糸を送り出し、ナ
イロン加工糸を捲きつけ毎分21mで捲きとった。その
結果、チーズからの弾性糸の解舒は内層までチーズの回
転方向にとられることはなかった。さらに、得られたチ
ーズをローラー上におき、毎分200mの速度で送り出
しナイロン加工糸と合わせたのち空気流で弾性糸とナイ
ロン加工糸とを交絡させ毎分625mの速度で捲きとっ
た。この結果でも、チーズからの弾性糸の解舒は内層ま
でチーズの回転方向にとられることなくおこなわれた。
【0013】(実施例:3)実施例2で得られたポリマ
ー溶液10000部に、1,3,5−トリス(4−t−
ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−ベンジ
ル)イソシアヌル酸29部、ポリ(N,N−ジエチルア
ミノエチル)メタクリレートの50重量%N,N−ジメ
チルアセトアミド溶液88部、二酸化チタンの30重量
%N,N−ジメチルアセトアミド分散液390部を加え
て45分間かき混ぜて紡糸用原液を得た。この紡糸用原
液を実施例1と同様に紡糸し弾性糸チーズを得た。油剤
は表1にしめしたものを用いた。得られたチーズに対し
て解舒性、交絡糸の評価をおこなった。その評価結果も
同表にしめした。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、ポリウレタンウレア弾
性糸のチーズの膠着を防止し、加工工程における工程通
過性も向上する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタンウレアを乾式紡糸し得られ
    る糸条にa.常温で液体の5cst〜20cst粘度を
    もつポリジメチルシロキサンとb.粒径が0.5〜4.
    5μmの範囲にある三次元化された球状のポリメチルシ
    ロキサン、とを少なくとも含む紡糸油剤を付与した後、
    捲取って得られてなることを特徴とする弾性糸。
  2. 【請求項2】 a.のポリジメチルシロキサンが98〜6
    0重量%、b.のポリメチルシロキサンが2〜10重量%
    混合されてなることを特徴とする請求項1記載の弾性
    糸。
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