JPH06171310A - 高性能空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排水性を低下せることなくドライ路面走行時
の応答性及びグリップを向上させ、しかもリム組みした
場合に左右の区別をする必要のない空気入りラジアルタ
イヤを提供すること。 【構成】 トレッド１２に半円弧を呈した連続溝１８を
タイヤ周方向に複数個形成し、両端部をトレッド端部１
２Ｂに連結させる。ここで、連続溝１８は、タイヤ子午
線２０を対称軸としてタイヤ周方向に対称形状とする。
この連続溝１８を、タイヤ１個の連続溝１８に対して、
他の連続溝１８とは４個の交点を有するように連設す
る。接地面内の水は半円弧状の連続溝１８内を通ってス
ムーズにタイヤ側方へ排出される。また、周方向主溝が
トレッドセンターＣＬ部分になく、断面剛性が低下しな
いので、ドライコンディション時の応答性及びグリップ
が良い。また、トレッド１２のパターンに方向性がない
ため、リム組みした際には左右の区別無く車両に装着す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高性能空気入りラジアル
タイヤに係り、特に高性能車両に用いられ、ウエット路
面走行時の排水性を確保しつつ、ドライ路面走行時の応
答性及びグリップを向上させ、しかもリム組みした場合
に左右の区別をする必要のない高性能空気入りラジアル
タイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、高性能車両に供される空気入りラ
ジアルタイヤのトレッドパターンは、ウエット路面を高
速走行する際の排水性を考慮して、周方向ストレート溝
に方向性を有した断面方向溝を組み合わせて構成されて
いた。

【０００３】また、特に最近では、高性能車両用として
方向性断面方向溝のみのパターン（ハイアングルリブパ
ターン）を有した空気入りラジアルタイヤも提案されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、方向性パタ
ーンを有する空気入りラジアルタイヤをリム組みした場
合には、左右の装着位置が固定されるため、スペアータ
イヤは左右両方のタイヤを別々に準備する必要があり、
リム組みしたタイヤを左右を間違えて車両に装着する
と、タイヤ性能を発揮出来ないばかりか車両の走行にも
重大な影響を及ぼす。

【０００５】また、性能面では、周方向ストレート溝が
接地圧の高いタイヤ赤道面付近にあると、排水には効果
的ではあるが、断面剛性の減少によりドライ路面走行時
の応答性が低下する。さらに、このタイヤを駆動輪に使
用するとセンター摩耗の傾向になりやすく、周方向スト
レート溝により横方向剛性の低いブロックで構成された
パターンでは、例えば高速コーナリング時のような大き
な横Ｇのかかる走行にはグリップも弱く不利となってい
る。

【０００６】本発明は上記事実を考慮し、排水性を確保
しつつドライ路面走行時の応答性及びグリップを向上さ
せ、しかもリム組みした場合に左右の区別をする必要の
ない高性能空気入りラジアルタイヤを提供することが目
的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、一対のビードコアをトロイダル状に跨がり、ラジア
ル方向に配列された少なくとも１枚以上のカーカス層
と、前記カーカス層の外周側に配置されるベルト層及び
トレッドと、を備えた高性能空気入りラジアルタイヤに
おいて、前記トレッドに、タイヤ子午線を線対称軸とす
る略半円弧形状とされ、両端の開口部がトレッド幅方向
接地端で同一側に配置される連続溝を形成し、前記連続
溝を少なくとも４個以上の交点を有するようにタイヤ周
方向に所定のピッチで重ね合わせて連設したことを特徴
としている。

【０００８】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の高性能空気入りラジアルタイヤにおいて、前記連続溝
はトレッド面の幅方向一方側に設けられ、タイヤ赤道面
を境に計測して前記トレッドの一方側の溝面積と他方側
の溝面積との比がほぼ６：４とされていることを特徴と
している。

【０００９】また、請求項３に記載の発明は、請求項１
に記載の高性能空気入りラジアルタイヤにおいて、前記
連続溝は前記トレッドのタイヤ赤道面両側に配置され、
タイヤ赤道面の一方側の連続溝と他方側の連続溝とがタ
イヤ周方向に所定の位相差を有していることを特徴とし
ている。

【００１０】

【作用】請求項１に記載の高性能空気入りラジアルタイ
ヤでは、トレッドに、タイヤ子午線を線対称軸とする略
半円弧形状とされ、両端の開口部がトレッド幅方向接地
端で同一側に配置される連続溝を形成し、この連続溝を
少なくとも４個以上の交点を有するようにタイヤ周方向
に所定のピッチで重ね合わせて連設したので、トレッド
センター側では、連続溝の方向がタイヤ周方向に近い角
度とされ、トレッド幅方向接地端に近づくにしたがって
断面方向溝形状にスムーズに変化しているため、ウエッ
ト路面走行時では、接地面内の水は連続溝内を通ってス
ムーズにタイヤ側方へ排出される。

【００１１】排水性は連続溝によって確保されるため、
周方向溝をトレッドセンター部に設ける必要がなく、従
来のトレッドセンターに周方向溝を設けた高性能空気入
りラジアルタイヤよりもドライ路面走行時の応答性及び
グリップを向上することができる。

【００１２】さらに、上記の連続溝で形成されるパター
ンには回転の方向性がないため、リム組みした際にはこ
の高性能空気入りラジアルタイヤを左右の区別無く車両
に装着することができる。

【００１３】なお、連続溝の交点が４個未満では、周方
向に形成できる連続溝の数が少なくなり溝面積を確保で
きなくなり好ましくない。

【００１４】請求項２に記載の高性能空気入りラジアル
タイヤでは、溝面積の少ない側を車両の外側に向けて装
着することにより、例えば高速コーナリング時のような
大きな横Ｇのかかる走行では、車両外側になる断面剛性
の高い部分で路面をグリップすることができ走行時の安
全性が更に高められる。

【００１５】ここで、トレッドの一方側の溝面積と他方
側の溝面積との比が６：４から大きく離れると、ドライ
路面走行時とウエット路面走行時との性能のバランスが
悪化するため好ましくない。

【００１６】また、請求項３に記載の高性能空気入りラ
ジアルタイヤでは、連続溝がトレッドのタイヤ赤道面両
側に配置され、タイヤ赤道面の一方側の連続溝と他方側
の連続溝とがタイヤ周方向に所定の位相差を有している
ため、タイヤをリム組みする際に左右を区別することな
く組み付けることができる。

【００１７】

【実施例】

〔第１実施例〕本発明の高性能空気入りラジアルタイヤ
の第１実施例を図１にしたがって説明する。

【００１８】本実施例の空気入りラジアルタイヤ１０
は、一対のビードコアをトロイド状に跨がりラジアル方
向に配列された少なくとも１枚のカーカス層と、カーカ
ス層のタイヤ半径方向外側に配設されるベルト層及びト
レッドと、を備えた一般的な構造である。

【００１９】図１に示すように、空気入りラジアルタイ
ヤ１０のトレッド１２には、タイヤ赤道面としてのトレ
ッドセンターＣＬのタイヤ幅方向（図１矢印Ａ方向）一
方側に、タイヤ周方向（図１矢印Ｂ方向）に延びる周方
向主溝１４が形成され、他方側に周方向主溝１６が形成
されており、これら周方向主溝１４及び周方向主溝１６
は、ほぼタイヤ接地端部１２ＡとトレッドセンターＣＬ
との中間位置に配置されている。

【００２０】トレッド１２には、周方向主溝１４側に半
円弧を呈した連続溝１８がタイヤ周方向に複数個形成さ
れている。

【００２１】連続溝１８は、単一の曲率で形成されその
曲率中心をトレッド端部１２Ｂ近傍に有し、両端部がト
レッド端部１２Ｂに連結されてタイヤ外方に開口してい
る。また、連続溝１８は、タイヤ子午線２０を対称軸と
してタイヤ周方向に対称形状となっている。

【００２２】連続溝１８は、互いに重なりあってタイヤ
周方向に所定のピッチで繰り返して配列されており、１
個の連続溝１８に対して、他の連続溝１８とは少なくと
も４個以上の交点を有するように配列することが好まし
い。

【００２３】本実施例では、連続溝１８と連続溝１８と
の周方向ピッチＰが同一ピッチでタイヤ周方向に配列さ
れ、１個の連続溝１８に対して、他の複数個の連続溝１
８が４個の交点を有するように交差しており、その交点
は、周方向主溝１４との交差点近傍及びトレッドセンタ
ーＣＬ上である。

【００２４】また、連続溝１８の開口部間の距離Ｌ（一
つの連続溝１８について）は、接地幅Ｗよりも長くする
ことが好ましい。即ち、連続溝１８の曲率半径を大きく
することにより、トレッドセンター付近での溝の角度を
タイヤ周方向により接近（ハイアングル化）させること
ができる。

【００２５】一方、周方向主溝１６には、連続溝１８か
ら離間する側に延びる幅方向溝２２が連結されており、
この幅方向溝２２は、トレッドセンターＣＬ上での連続
溝１８の交点側方に位置している。

【００２６】また、トレッド１２には、周方向主溝１６
側のトレッド端部１２Ｂに一端部が開口する幅方向溝２
４が形成されている。なお、この幅方向溝２４は、前記
幅方向溝２２間に対向した位置に配置されている。

【００２７】また、トレッド１２のトレッドセンターＣ
Ｌを境にして、連続溝１８が形成されている側と反対側
との溝面積の比が、ほぼ６：４とされている。

【００２８】なお、トレッド１２の接地幅は、図１に矢
印で示す寸法Ｗの範囲である。本実施例の空気入りラジ
アルタイヤ１０は、タイヤサイズが１９５／５５Ｒ１５
であり、接地幅寸法Ｗが１４７ｍｍ、接地長さが１１０
ｍｍ、トレッド端部１２Ｂにおける開口部間の長さＬが
２１０ｍｍとなっている（図１参照：なお、接地形状は
二点鎖線で囲まれる矩形の領域である）。

【００２９】次に、本実施例の作用を説明する。本実施
例の空気入りラジアルタイヤ１０のリムへの装着方向
は、連続溝１８が形成されている側が車両内側となるよ
うに装着する。

【００３０】本実施例の空気入りラジアルタイヤ１０に
よれば、トレッドセンターＣＬ付近では、連続溝１８の
方向が、タイヤ周方向に近い角度、すなわちハイアング
ルとされ、トレッド端部１２Ｂ（ショルダー部）に近づ
くにしたがって断面方向溝形状にスムーズに変化してい
るため、接地面内の水は連続溝１８内を通ってスムーズ
に且つ効果的にタイヤ側方へ排出される。

【００３１】また、周方向主溝１４、１６がトレッドセ
ンターＣＬから離れて形成されているため、従来の高性
能空気入りラジアルタイヤのように断面剛性を低下させ
ることがないため、ドライ路面走行時の応答性が良く、
また、センター摩耗も抑制される。

【００３２】また、空気入りラジアルタイヤ１０を車両
の内側に連続溝１８側を向けて装着することにより、例
えば高速コーナリング時のような大きな横Ｇのかかる走
行では、車両外側になる断面剛性の高い部分で路面をグ
リップすることができ走行時の安全性が高められる。

【００３３】また、この空気入りラジアルタイヤ１０で
は、パターンに方向性がないため、リム組みした際には
左右の区別無く車両に装着することができる。

【００３４】なお、連続溝１８の開口部間の距離Ｌを接
地幅Ｗよりも長くするほうが好ましいのは、即ち、円弧
の曲率半径を大きくすることによって、トレッドセンタ
ー付近での溝の角度をハイアングル化するためである。

【００３５】また、連続溝１８は、１個の連続溝１８に
対して、他の連続溝１８とは少なくとも４個以上の交点
を有するように配列したのは、連続溝１８の開口部間の
距離Ｌを接地幅Ｗよりも長くしたので、交点が４個未満
では、連続溝１８の交差によって形成されるブロックの
剛性が大きくなり過ぎ、また、周方向に形成できる連続
溝１８の数が少なくなり溝面積を確保できなくなるから
である。

【００３６】トレッドセンターＣＬの一方側の溝面積と
他方側の溝面積との比が６：４から大きく離れると、ド
ライ路面走行時とウエット路面走行時との性能のバラン
スが悪化するため好ましくない。

【００３７】〔第２実施例〕本発明の第２実施例を図２
にしたがって説明する。なお、第１実施例と同一構成に
関しては同一符号を付し、その説明は省略する。

【００３８】図２に示すように、本実施例の空気入りラ
ジアルタイヤ１０では、トレッド１２には、連続溝１８
のみが形成されている。

【００３９】本実施例では、トレッドセンターＣＬを挟
んで両側に同じ大きさの連続溝１８が形成されており、
第２実施例の連続溝１８は、第１実施例の連続溝１８よ
りも曲率半径が小さく、連続溝１８のトレッドセンター
ＣＬ側端部は、トレッドセンターＣＬの手前に位置して
おり、トレッドセンターＣＬ部分には、タイヤ周方向へ
連なる陸部が形成されている。

【００４０】さらに、トレッドセンターＣＬを挟んでト
レッドの幅方向一方側に形成されている連続溝１８と他
方側に形成されている連続溝１８とはタイヤ周方向に位
相差を有しており、本実施例では、位相差が半ピッチと
されている。

【００４１】なお、本実施例では、接地幅寸法Ｗが１４
７ｍｍ、接地長さが１１０ｍｍ、開口部間の距離Ｌが２
００ｍｍとなっている。

【００４２】本実施例の空気入りラジアルタイヤ１０
は、第１実施例と同様にパターンに方向性がないため、
リム組みした際には左右の区別無く車両に装着すること
ができるばかりでなく、左右に連続溝１８が形成されて
いるため、リム組みする際にタイヤを左右の区別無く組
み付けることができる。

【００４３】また、トレッドセンターＣＬには、陸部が
形成されており、しかもこの陸部はタイヤ周方向に連続
しているので、トレッドセンターＣＬ付近のタイヤ周方
向剛性が第１実施例の空気入りラジアルタイヤ１０より
も高められている。

【００４４】（試験例）本発明の効果を見るために、実
車試験を行った。

【００４５】試験は、第１実施例の空気入りラジアルタ
イヤ、第２実施例の空気入りラジアルタイヤ及び従来の
方向性パターンを有する空気入りラジアルタイヤの３種
の空気入りラジアルタイヤを用意し（タイヤサイズは全
て１９５／５５Ｒ１５）、各タイヤを実車に装着してテ
ストコースを走行させた。

【００４６】試験は、ウエット路面でのハイドロプレー
ニング性（ハイドロプレーニングが発生する速度）、ウ
エット路面での操縦安定性、ドライ路面での走行フィー
リング及びラップタイムの４項目について、優劣を比較
した。

【００４７】なお、従来タイヤ３０は、図３に示すよう
な方向性パターンを有し、トレッドセンターＣＬを境に
して幅方向両側に各２本ずつ、合計４本の周方向溝３２
を有し、一方のショルダー側から他方のショルダー側へ
亘って形成される屈曲した複溝３４が周方向に所定の間
隔で形成されている。なお、この従来タイヤ３０の溝面
積及び接地面積は、第１実施例の空気入りラジアルタイ
ヤ１０のそれと同一である。

【００４８】なお、試験結果は以下の表１に示す通りで
あり、第１実施例の空気入りラジアルタイヤ１０及び第
２実施例の空気入りラジアルタイヤ１０は、ウエット路
面での直進時ハイドロプレーニング性、ウエット路面で
の操縦安定性が従来の高性能ラジアルタイヤと同等以上
であり、ドライ路面での走行フィーリング及びドライ路
面走行のラップタイム（グリップ）については、従来の
空気入りラジアルタイヤよりも優れていることが実車試
験により確かめられた。

【００４９】

【表１】

【００５０】なお、前記各実施例では、連続溝１８を単
一の曲率半径で形成した半円弧状としたが、本発明はこ
れに限らず、実質的に半円弧状であれば連続溝１８を複
数個の曲率半径で形成してもよい。

【００５１】

【発明の効果】請求項１に記載の高性能空気入りラジア
ルタイヤは上記構成としたので、排水性を低下せること
なくドライ路面走行時の応答性及びグリップを向上さ
せ、しかもリム組みした場合に左右の区別をする必要が
ないという優れた効果を有する。

【００５２】請求項２に記載の高性能空気入りラジアル
タイヤでは、溝面積の少ない側を車両の外側に向けて装
着することにより、例えば高速コーナリング時のような
大きな横Ｇのかかる走行では、車両外側になる断面剛性
の高い部分で路面をグリップすることができ走行時の安
全性が更に高められるという優れた効果を有する。

【００５３】また、請求項３に記載の高性能空気入りラ
ジアルタイヤでは、連続溝がトレッドのタイヤ赤道面両
側に配置され、タイヤ赤道面の一方側の連続溝と他方側
の連続溝とがタイヤ周方向に所定の位相差を有している
ため、リム組みする際に左右を区別することなく組み付
けできるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る空気入りラジアルタ
イヤのトレッドの平面図である。

【図２】本発明の第２実施例に係る空気入りラジアルタ
イヤのトレッドの平面図である。

【図３】従来例に係る空気入りラジアルタイヤのトレッ
ドの平面図である。

【符号の説明】

１０ 空気入りラジアルタイヤ １２ トレッド １８ 連続溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のビードコアをトロイダル状に跨が
   り、ラジアル方向に配列された少なくとも１枚以上のカ
   ーカス層と、 前記カーカス層の外周側に配置されるベルト層及びトレ
   ッドと、を備えた高性能空気入りラジアルタイヤにおい
   て、 前記トレッドに、タイヤ子午線を線対称軸とする略半円
   弧形状とされ、両端の開口部がトレッド幅方向接地端で
   同一側に配置される連続溝を形成し、 前記連続溝を少なくとも４個以上の交点を有するように
   タイヤ周方向に所定のピッチで重ね合わせて連設したこ
   とを特徴とする高性能空気入りラジアルタイヤ。
2. 【請求項２】 前記連続溝はトレッド面の幅方向一方側
   に設けられ、タイヤ赤道面を境に計測して前記トレッド
   の一方側の溝面積と他方側の溝面積との比がほぼ６：４
   とされていることを特徴とする請求項１に記載の高性能
   空気入りラジアルタイヤ。
3. 【請求項３】 前記連続溝は前記トレッドのタイヤ赤道
   面両側に配置され、タイヤ赤道面の一方側の連続溝と他
   方側の連続溝とがタイヤ周方向に所定の位相差を有して
   いることを特徴とする請求項１に記載の高性能空気入り
   ラジアルタイヤ。