JPH06171046A - 多層シート - Google Patents

多層シート

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JPH06171046A
JPH06171046A JP33170892A JP33170892A JPH06171046A JP H06171046 A JPH06171046 A JP H06171046A JP 33170892 A JP33170892 A JP 33170892A JP 33170892 A JP33170892 A JP 33170892A JP H06171046 A JPH06171046 A JP H06171046A
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layer
polyester
sum
structural unit
unit
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JP33170892A
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English (en)
Inventor
Tomohiro Okamoto
知大 岡本
Toshiro Taniguchi
俊郎 谷口
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記化1または化2で表される構造単位を1
〜10モル%含有するポリエチレンテレフタレート系コ
ポリエステルからなる層とポリエチレンテレフタレート
からなる層とを有する多層シート。 【化1】 (式中、mおよびnはそれぞれ1、2または3を表す) 【化2】 【効果】 形態および耐湿熱変形性に優れた成形品を製
造するための熱成形用材料として有用なポリエステル系
シートが提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の層構成を有する
ポリエステル系多層シートに関する。本発明の多層シー
トは真空成形等の熱成形用の材料などとして有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートは、透明
性、力学的特性、耐熱性、耐候性、耐薬品性等の諸特性
に優れ、特に環境汚染のおそれが少なく且つ安価である
ことおよびそのシートを真空成形等の熱成形に付した場
合の形態付与性が良好であることから、塩化ビニル樹脂
の代わりに食品容器、ブリスターパック等の製品包装用
資材として近年広く使用されるようになっている。しか
しながら、ポリエチレンテレフタレートのシートを熱成
形して得られた包装材料は、一般に高温高湿下では変形
し易い。例えば、ポリエチレンテレフタレートシートの
真空成形容器で包装された製品を船舶で輸送するような
場合には、船倉の高温高湿条件下に長期間さらされるこ
とになるが、その場合には該包装容器が変形を生じて製
品の価値を著しく損なうという問題を生じ易い。従来よ
り、耐湿熱変形性の改良に対しては、(1)真空成形時
のシート加熱温度を高温にして成形する方法、(2)真
空成形時の金型温度を高温にして成形する方法、(3)
得られた真空成形品を熱処理する方法等の諸方法によっ
て成形品中の残留応力を取り除いて耐湿熱変形性を付与
することが行われている。しかしながら、それらの方法
による場合は、結晶化による成形品の白化などの成形不
良の発生率が増大したり、成形サイクルが長くなってコ
ストの上昇を招く等の欠点があり十分満足のいくもので
はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして本発明の目的
は、熱成形性(熱成形での形態付与性)、透明性、力学
的特性、耐熱性、耐候性、耐薬品性などのポリエチレン
テレフタレートが本来有する優れた諸特性を高いレベル
で保持し、且つ高温高湿の条件下に長時間さらされても
変形を生じない成形品を、結晶化による成形品の白化や
成形サイクルの長期化などの上記の熱成形上の欠点を伴
うことなく製造することが可能なポリエステル系シート
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく研究を行ってきた結果、ポリエチレンテ
レフタレートにおいて、そのグリコール単位およびジカ
ルボン酸単位をエチレングリコール単位およびテレフタ
ル酸単位のみから構成する代わりに、グリコール単位お
よびジカルボン酸単位からなる全構造単位の一部を特定
の構造単位に置き換えたコポリエステルからなる層をポ
リエチレンテレフタレートからなる層と組合わせた特定
の多層シートが、ポリエチレンテレフタレートが本来有
する熱成形性を始めとする前記の優れた諸特性を高いレ
ベルで保持しているのみならず、高温高湿下に長期間さ
らされても変形が全く無いか、またはほとんど無い真空
成形品を提供できることを見出した。そして、さらに研
究を進めたところ、その多層シートを使用した場合に
は、真空成形だけでなく、圧空成形、プレス成形、ブロ
ー成形のような他の熱成形技術においても、良好な成形
性と成形品の耐湿熱変形性の向上が達成されることを見
出して本発明を完成した。
【0005】すなわち本発明は、エチレングリコール単
位を主体とするグリコール単位およびテレフタル酸単位
を主体とするジカルボン酸単位からなり、且つ下記化3
または下記化4で表されるジフェニルスルホン型構造単
位を全構造単位基準で1〜10モル%含有するポリエス
テルからなる少なくとも1層の層(A)と、ポリエチレ
ンテレフタレートからなる少なくとも1層の層(B)と
を有し、該層(A)の厚さの和が該層(B)の厚さの和
に対して0.1〜1倍の範囲内であることを特徴とする
多層シートである。
【0006】
【化3】 (式中、mおよびnはそれぞれ1、2または3を表す)
【0007】
【化4】
【0008】本発明の多層シートにおける層(A)を構
成する上記ポリエステルの分子主鎖は、主たる構造単位
としてグリコール単位とジカルボン酸単位とをそれぞれ
50モル%程度ずつ含有する。該ジカルボン酸単位の主
たる部分、好ましくは全構造単位の40〜50モル%を
テレフタル酸単位が占め、また該グリコール単位の主た
る部分、好ましくは全構造単位の40〜50モル%をエ
チレングリコール単位が占める。該ポリエステルにおい
ては、テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位
以外の構造単位として、上記ジフェニルスルホン型構造
単位が存在することが必要である。かかるポリエステル
は、該ジフェニルスルホン型構造単位として、上記化3
で表される構造単位(I)および上記化4で表される構
造単位(II)の少なくとも一方を含有する。したがっ
て、上記ポリエステルにおいては、グリコール単位の一
部が構造単位(I)であるか、ジカルボン酸単位の一部
が構造単位(II)であるか、またはこれらの両方であ
る。本発明におけるポリエステルのジフェニルスルホン
型構造単位の含有率は、構造単位(I)および構造単位
(II)の含有率の和において、全構造単位基準で1〜1
0モル%の範囲内である。ジフェニルスルホン型構造単
位の含有率が1モル%未満であると、得られる熱成形品
に十分な耐湿熱変形性が付与されない。一方、ジフェニ
ルスルホン型構造単位の含有率が10モル%を越える
と、熱成形時におけるシートの金型への密着性が低下
し、得られる成形品の形態が不良となる。熱成形での形
態付与性および得られた成形品の耐湿熱変形性の両方が
とくに良好となる観点からは、ジフェニルスルホン型構
造単位の含有率が2〜8モル%の範囲内であることが好
ましい。
【0009】本発明の多層シートにおける層(B)を構
成する上記ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテ
レフタレート単位を主たる繰返し単位とするポリエステ
ルであり、実質的にエチレンテレフタレート単位のみか
らなるポリエステルが好ましい。
【0010】本発明の多層シートの層(A)および層
(B)をそれぞれ構成する上記ポリエステルおよび上記
ポリエチレンテレフタレートは、分子中に少量、好まし
くは全構造単位の5モル%以下であれば他のジカルボン
酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位とし
ては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、パ
ラフェニレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリ
ウム等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、
スベリン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸
などのジカルボン酸の単位の1種または2種以上を必要
に応じて含むことができる。また該ポリエステルおよび
該ポリエチレンテレフタレートは、分子中に少量、好ま
しくは全構造単位の5モル%以下であれば他のグリコー
ル単位を含んでいてもよい。他のグリコール単位として
は、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール等のグリコールの単位の1種または2種以上を必要
に応じて含むことができる。さらに、熱可塑性を実質的
に損なわない程度の量であれば、上記ポリエステルおよ
びポリエチレンテレフタレートは、例えばトリメリット
酸、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能性化
合物から誘導される3価以上の単位を必要に応じて少量
含んでいてもよい。
【0011】本発明の多層シートの層(A)および層
(B)をそれぞれ構成する上記ポリエステルおよびポリ
エチレンテレフタレートは、必ずしも限定されるもので
はないが、熱成形用シートを得る目的においては、それ
ぞれ極限粘度(フェノール/テトラクロロエタンの等重
量混合溶媒中30℃で測定)が0.4〜1.2dl/g
の範囲内であることが好ましい。本発明の多層シートの
層(A)を構成する上記ポリエステルは、ポリエチレン
テレフタレートなどの通常のポリエステルを製造するの
に一般的に採用されているいずれの方法に準じて製造し
てもよい。例えば、テレフタル酸を主体とするジカルボ
ン酸またはその低級アルキルエステルからなるジカルボ
ン酸原料と、エチレングリコールを主体とするグリコー
ル原料とを、エステル化反応またはエステル交換反応さ
せて低重合体を製造した後、この低重合体を溶融重縮合
させてポリエステルを製造し、ついでこのポリエステル
をダイス状、円柱状等の任意の形状のチップとし、更に
所望により該チップを固相重合することにより、チップ
状のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルを製造
することができる。この製法において、グリコール原料
の一部として下記化5で示されるビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホンのエチレンオキサイド付加物を用い
るか、ジカルボン酸原料の一部として下記化6で示され
るジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸または
その低級アルキルエステルを用いるか、またはこれらの
両方により、ジフェニルスルホン型構造単位を与える所
望のコモノマーを使用すれば、層(A)を構成する上記
ポリエステルが得られる。
【0012】
【化5】 (式中、mおよびnは前記定義のとおりである)
【0013】
【化6】
【0014】上記の方法において、低重合体を得るため
のエステル化反応またはエステル交換反応は上記のグリ
コール原料およびジカルボン酸原料からなる混合物を通
常、常圧下もしくは絶対圧で約3Kg/cm2以下の加
圧下に約230〜280℃でエステル化反応させるか、
または常圧もしくはその付近の圧力条件下に約160〜
230℃でエステル交換反応させることにより行う。そ
の場合のジカルボン酸原料:グリコール原料の使用割合
は、モル比で、エステル化反応による場合には約1:1
〜約1:1.5、エステル交換反応による場合には約
1:2〜約1:3にするとよい。また、低重合体からポ
リエステルを得るための上記した溶融重縮合は、通常二
酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンなどの重合触媒の
存在下に約260〜290℃の温度で行うのがよい。そ
して、このような溶融重縮合によって、通常約0.40
〜0.75dl/gの極限粘度(フェノール/テトラク
ロロエタンの等重量混合溶媒中30℃で測定)を有する
ポリエステルを得ることができる。
【0015】なお、上記エステル化反応、エステル交換
反応または溶融重縮合工程は、必要に応じてテトラアル
キルアンモニウムヒドロキシド、トリエタノールアミ
ン、トリエチルアミン等のジエチレングリコール副生抑
制剤を添加して行ってもよい。
【0016】上記で得られたポリエステルを任意形状の
チップにするが、所望によりこれを通常190℃以下の
温度で予備結晶化し、固相重合に付することができる。
固相重合は通常減圧下または窒素ガス等の不活性ガスの
流通化にチップを流動させながら約190〜240℃の
温度に加熱することにより行う方法がよい。機械的特性
の良好な熱成形品を得るためには、最終的に得られるポ
リエステルチップの極限粘度(フェノール/テトラクロ
ロエタンの等重量混合溶媒中30℃で測定)が約0.6
0〜1.20dl/gの範囲になるように固相重合を行
うのが望ましい。
【0017】本発明の多層シートは上記ポリエステルか
らなる層(A)と上記ポリエチレンテレフタレートから
なる層(B)とをそれぞれ少なくとも1層有し、層
(A)の厚さの和が層(B)の厚さの和に対して0.1
〜1倍の範囲内であることが必要である。層(A)の厚
さの和が層(B)の厚さの和に対して0.1倍未満の場
合には、多層シートを熱成形して得られる成形品の耐湿
熱変形性が不十分となる。また層(A)の厚さの和が層
(B)の厚さの和に対して1倍を越える多層シートまた
は層(A)のみの単層シートでは、シートの熱成形にお
ける金型への密着性が低下する傾向があり、絞り比が大
きい成形品、複雑な形状の成形品等の一般に成形しにく
いとされている形状の成形品を得ようとする場合に、得
られる成形品に形態不良が発生し易くなる。熱成形での
形態付与性および得られる成形品の耐湿熱変形性がいず
れもとくに良好となる観点からは、層(A)の厚さの和
が層(B)の厚さの和に対して0.13〜0.70倍の
範囲内であることが好ましい。本発明の多層シートとし
ては、代表的には層(A)/層(B)の層構成を有する
2層シート、層(A)/層(B)/層(A)または層
(B)/層(A)/層(B)の層構成を有する3層シー
ト等が挙げられるが、層(A)/層(B)/層(A)の
層構成を有する3層シートが好ましい。また本発明の多
層シートは、本発明の効果が損なわれない範囲におい
て、層(A)および(B)以外の層を中間層または最外
層として有していてもよい。本発明の多層シートの厚さ
は特に限定されず、フイルムに近い薄いシートからプレ
ートに近い厚いシートまで包含される。熱成形に使用す
る目的においては、通常シートの厚さは約10〜100
0μの範囲である。
【0018】本発明の多層シートは通常の多層シートの
製造法として知られている任意の方法で製造することが
でき、例えばTダイまたは環状ダイによる共押出成形法
等により製造することができる。その中でも、Tダイに
よる共押出成形法が得られた多層シートの内部応力が少
なく、耐湿熱変形性が特に良好となる成形品を与え易い
点で好ましい。例えば、共押出成形法による場合は層
(A)を構成するポリエステルおよび層(B)を構成す
るポリエチレンテレフタレートをそれぞれ約270〜3
10℃の押出温度でTダイより共押出しした後、約30
〜70℃の冷却ロールで冷却して多層シートを製造する
のがよい。また、表面状態が良好な多層シートを得るた
めに、冷却ロールとの接触時点で5〜15KV程度の静
電圧を必要に応じて印加してもよい。
【0019】本発明の多層シートは熱成形用シートとし
て有用であり、絞り比が大きい成形品、複雑な形状の成
形品等の一般に成形しにくいとされている形状の成形品
を得ようとする場合においてさえも、熱成形時に優れた
形態付与性を発揮する。ここでいう「熱成形」(thermo
forming) とは、シートを加熱して真空成形、圧空成
形、プレス成形、ブロー成形等により成形して所定形状
の成形品を製造する成形をいう。本発明の多層シートは
加熱した後、または加熱と同時に上記の通常の熱成形技
術によって、例えば凹部等を有する任意の形状に成形す
ることができ、特に真空成形用として適している。真空
成形による場合は、直接真空成形法(ストレート法)、
ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラ
グアシスト法等の既知の真空成形法のいずれもが採用で
きる。また、本発明の多層シートを用いた熱成形時の加
熱温度は、ポリエステルの組成等により異なる場合もあ
るが、一般に多層シート表面温度が約110〜160℃
の範囲になるようにするのが好ましい。110℃未満で
あると多層シートの軟化が不足し金型への密着が不完全
になることによる形態不良が発生する場合がある。一方
160℃を越えるとシートのドローダウン (drawdown)
により成形が困難となる場合があり、また結晶化による
白化の発生等の問題を生じる場合がある。
【0020】本発明の多層シートの熱成形により得られ
た成形品は、電気製品、電気部品、日用雑貨品、食品等
の種々の物品の包装容器として使用することができ、形
態良好であるとともに、高温高湿の条件下に長期間置か
れても変形、容積の縮小等を生じず、当初の形態および
寸法を保持する。
【0021】
【作用】本発明の多層シートにおいては、主として層
(B)中の上記ポリエチレンテレフタレートに由来する
熱成形時での金型への良好な密着性と、層(A)中の上
記特定のポリエステルに由来する熱成形品における優れ
た耐湿熱変形性との両方が、効果的に発現されるものと
推定される。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの例により限定されない。
【0023】なお、下記の実施例および比較例におい
て、得られたコポリエステルおよびポリエチレンテレフ
タレートの極限粘度は、フェノール/テトラクロロエタ
ンの等重量混合溶媒中30℃で測定した。また、真空成
形により得られたカップ状成形品の耐湿熱変形性は以下
に記載した容積保持率により評価した。
【0024】容積保持率の測定 下記の実施例および比較例において、真空成形により製
造されたカップ状成形品を、温度65℃、湿度80%R
Hの恒温恒湿の室内に16時間静置した後、該処理前後
の容積から以下の式により容積保持率を求めた。容積保
持率が100%に近いほど、元の容積がそのまま保持さ
れていることとなり、耐湿熱変形性が優れているという
ことができる。
【0025】 容積保持率(%)=(V16/V0)×100
【0026】(ここで、V16は恒温恒湿の室内に16時
間静置した後のカップ状成形品の容積を表し、V0はカ
ップ状成形品の元の容積を表す)
【0027】<実施例1>エチレングリコール91.3
モル%および表1に示すビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホンのエチレンオキサイド付加物[ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン/エチレンオキサイドの
モル比=1/2]8.7モル%からなるグリコール原料
とテレフタル酸とから、グリコール原料:テレフタル酸
のモル比が1.2:1になるように調整してスラリーを
形成し、このスラリーを加圧下(絶対圧2.5kg/c
2)、250℃の温度でエステル化率が95%になる
までエステル化反応させて低重合体を製造した。次に、
触媒として350ppmの三酸化アンチモンを加えて絶
対圧1トールの減圧下、280℃の温度で低重合体を重
縮合し、極限粘度0.60dl/gのポリマーを調製し
た。このポリマーをノズルからストランド状に押出し、
切断して長さ3.2mm、直径2.8mmの円柱状チッ
プを製造した。このポリマ−チップを150℃で5時間
乾燥した後、窒素気流下に流動させながら205℃の温
度で15時間固相重合させて極限粘度が0.80dl/
gのポリエステルチップを得た。
【0028】得られたポリエステルチップを 1H−NM
R(溶媒:トリフルオロ酢酸)により分析したところ、
7.9ppmおよび7.2ppmにビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホンのエチレンオキサイド付加物から
誘導された構造単位のフェニレン基のプロトンの吸収が
認められたことから、積分強度比に基づき該ポリエステ
ルはビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのエチレ
ンオキサイド付加物単位が全構造単位基準で5.0モル
%含まれているポリエチレンテレフタレート系コポリエ
ステルであることが確認された。上記で得たポリエステ
ルチップと極限粘度0.80dl/gのポリエチレンテ
レフタレートチップとを用いて、2種3層の共押出シー
ト成形機により温度280〜300℃で共押出しし、厚
さ約400μの3層シートを製造した。なお得られた3
層シートは、上記ポリエチレンテレフタレートからなる
厚さ335μの層を内層とし、その両側に上記ポリエス
テルからなる厚さ33μの層(外層)がそれぞれ積層さ
れた構造を有していた。
【0029】上記で製造した3層シートをその表面温度
が130℃になるように加熱した後、真空成形して、絞
り比が2.9/1の凹部の底部直径が6.5cmで深さ
が22.0cmの円筒形のカップ状成形品を製造した
(凹部容積V0=850cc)。
【0030】得られたカップ状成形品は、白化がなく透
明性に優れ、また真空成形用金型の形状に極めてよく一
致した良好な形態を有していた。このカップ状成形品
を、上記したように温度65℃、湿度80%RHの恒温
恒湿の室内に16時間静置した後、容積を測定してV16
とし、上記式により容積保持率を求めた。これらの評価
結果を下記表2に示す。
【0031】<実施例2、3>内層と外層の厚み比を表
2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして厚さ
約400μの3層シートを製造し、それを用いてカップ
状成形品を得た。これらの評価結果を表2に示す。
【0032】<実施例4>グリコール原料としてエチレ
ングリコールのみを使用し、且つテレフタル酸単独に代
えてテレフタル酸90モル%およびジフェニルスルホン
−4,4’−ジカルボン酸10モル%の混合ジカルボン
酸を使用する以外は実施例1と同様にして、極限粘度
0.8dl/gのポリエチレンテレフタレート系コポリ
エステルを製造した。得られたコポリエステルは、ジフ
ェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸単位を全構造
単位基準で5.0モル%含有していた。次にそれとポリ
エチレンテレフタレートを用いて実施例1と同様にし
て、厚さ約400μの3層シートを製造し、その3層シ
ートからカップ状成形品を得た。その評価結果を表2に
示す。
【0033】<実施例5、6、比較例1、2>コモノマ
ーの使用量を変える以外は実施例1と同様にして、それ
ぞれ表1に示すビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ンのエチレンオキサイド付加物単位の含有率を有する極
限粘度0.8dl/gのポリエチレンテレフタレート系
コポリエステルを得た。次にそれとポリエチレンテレフ
タレートを用いて実施例1と同様にして、厚さ約400
μの3層シートを製造し、その3層シートからカップ状
成形品を得た。これらの評価結果を表2に示す。
【0034】<比較例3、4>内層と外層の厚み比を表
2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして厚さ
約400μの3層シートを製造し、それを用いてカップ
状成形品を得た。これらの評価結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】上記表1中、「得られたポリエステル」に
おける「対応する構造単位の含有率」は、全グリコール
単位と全ジカルボン酸単位とを合わせた全構造単位基準
におけるコモノマーから誘導された構造単位の含有率を
意味し、1H−NMR分析に基づく定量値である。
【0037】
【表2】
【0038】上記表2中、「カップ状成形品の評価」に
おける「○」はカップ状成形品が真空成形用金型によく
合致した形状を有し、形態良好であることを示し、また
「×」はカップ状成形品の真空成形用金型への密着性が
低く、形態不良であることを示す。
【0039】上記の結果から、実施例1〜6の本発明の
多層シートを熱成形して得られた成形品は、該多層シー
トが有する熱成形時での優れた形態付与性に由来して形
態が極めて良好であり、且つ容積保持率が95%以上と
耐湿熱変形性も極めて良好であることがわかる。
【0040】
【発明の効果】本発明の多層シートを使用して真空成形
などの熱成形を行った場合には、熱成形時にシート加熱
温度を高温にしたり、熱成形時の金型温度を高温にした
り、得られた成形品を熱処理する等の特殊な方法によら
ずとも、十分な耐湿熱変形性を有し、高温高湿条件下に
長時間さらされても変形のほとんどない成形品を円滑に
且つ高い生産性で経済的に得ることができる。しかもそ
の成形品は、本発明の多層シートが有する熱成形時での
優れた形態付与性に由来して、たとえ絞り比の大きい成
形品であっても、形態が極めて良好である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレングリコール単位を主体とするグ
    リコール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカ
    ルボン酸単位からなり、且つ下記化1または下記化2で
    表されるジフェニルスルホン型構造単位を全構造単位基
    準で1〜10モル%含有するポリエステルからなる少な
    くとも1層の層(A)と、ポリエチレンテレフタレート
    からなる少なくとも1層の層(B)とを有し、該層
    (A)の厚さの和が該層(B)の厚さの和に対して0.
    1〜1倍の範囲内であることを特徴とする多層シート。 【化1】 (式中、mおよびnはそれぞれ1、2または3を表す) 【化2】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002210869A (ja) * 2001-01-17 2002-07-31 Mitsubishi Plastics Ind Ltd シートおよびシート成形体

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