JPH06170511A - 連続鋳造法およびタンディッシュ - Google Patents

連続鋳造法およびタンディッシュ

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JPH06170511A
JPH06170511A JP32422792A JP32422792A JPH06170511A JP H06170511 A JPH06170511 A JP H06170511A JP 32422792 A JP32422792 A JP 32422792A JP 32422792 A JP32422792 A JP 32422792A JP H06170511 A JPH06170511 A JP H06170511A
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mold
molten steel
temperature
casting
molten metal
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JP32422792A
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Hiroaki Yamazoe
広明 山副
Terumi Arimoto
輝美 有本
Tasashi Shinozuka
多佐之 篠塚
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続鋳造鋳片にブレークアウトが生じること
を防止するとともに、表面欠陥および内質欠陥の発生を
確実に判定する。 【構成】 溶鋼の連続鋳造において、鋳型1内の溶鋼2
の温度を測定し、この測定結果に基づいて、鋳造速度を
変更して連続鋳造鋳片のブレークアウトの防止を図ると
ともに鋳込み後に連続鋳造鋳片の表面欠陥および内質欠
陥の手入れを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属の連続鋳造に
おいて、連続鋳造鋳片にブレークアウトが発生すること
を防止するとともに、鋳込んだ連続鋳造鋳片の表面欠陥
および内質欠陥の発生を判定できる連続鋳造法およびこ
の連続鋳造法を実施する際に用いるタンディッシュに関
する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造において製造される連続鋳造鋳
片は、1次冷却 (鋳型に注入された溶融金属の鋳型内で
の冷却) 段階では、表層部:凝固シェル、内部:高温の
溶鋼(以下、本明細書では「溶融金属」として「溶鋼」
を例にとって説明を行うが、本発明は溶鋼のみに限定さ
れない)であり、一体に下方へ引き下げられる。したが
って、1次冷却が適正に行われない場合には、操業およ
び品質に大きな影響が現れる。例えば、凝固シェルが破
れ内部の溶鋼が流出するいわゆるブレークアウトは連続
鋳造における代表的な操業トラブルであるが、このブレ
ークアウトの発生は1次冷却の際の鋳型内での凝固に支
配される。
【0003】鋳型内ではまず凝固シェルが生成し、生成
した当初の凝固シェルは鋳型壁に密着しているが、やが
て冷却に伴って収縮するため、凝固シェルは鋳型壁を離
れ隙間が生成する。凝固シェルと鋳型壁との間に隙間が
生成すると、凝固シェルから鋳型への熱伝導量が減少す
るため、凝固シェルに局部的な不均一成長が発生し、冷
却後の連続鋳造鋳片にブレークアウトや表面欠陥および
内質欠陥を生じてしまう。連続鋳造鋳片にブレークアウ
トが発生した場合には操業を停止せざるを得ず、一方、
表面欠陥および内質欠陥が発生した場合には連続鋳造鋳
片を直ちに熱間圧延工程に送ることはできず、一旦常温
付近の温度まで冷却して連続鋳造鋳片に手入れを行いそ
の後再度加熱してから熱間圧延を行う必要があるため、
鋳込んだ連続鋳造鋳片それぞれについて手入れの要否を
判定する必要がある。
【0004】このように、連続鋳造を円滑に行って高品
質の連続鋳造鋳片を得るためには、1次冷却が適正な条
件で行われているか否かを判定する必要があるが、1次
冷却には溶鋼温度が影響するため、従来より溶鋼温度を
管理することにより1次冷却の適否の判定を行う技術が
種々提案されている。
【0005】ところで、溶鋼温度としては鋳型内のメニ
スカス部の溶鋼温度を用いることがブレークアウトの発
生を防止したり、表面欠陥および内質欠陥の発生を判定
するためには最も有効であるが、メニスカス部の溶鋼温
度を直接測定することはできない。そこで、これらの従
来の技術では、溶鋼温度としてタンディッシュ内の溶鋼
温度を用い、タンディッシュ内における測定値に基づい
て鋳造速度を変化させることにより、ブレークアウトの
発生防止や表面欠陥および内質欠陥の発生の判定を行っ
ていた。
【0006】しかし、連続鋳造機が多数のストランドを
有する場合、鋳込み開始時の溶鋼温度と鋳込み終了時の
溶鋼温度との差 (溶鋼温度降下量) が大きくなるため、
連続鋳造鋳片のブレークアウトに対する感受性や表面欠
陥および内質欠陥の発生頻度が各ストランド間で大きく
変化してしまい、全ての鋳込みにおいて表面欠陥および
内質欠陥の発生の判定を的確に行うことは難しかった。
【0007】そこで、このような問題を解消するため、
特公平2−1590号公報には、連続鋳造前、例えば2次精
錬の際に取鍋内の溶鋼温度を実測して取鍋注入開始時の
取鍋内溶鋼温度を算出し、取鍋注入開始時の取鍋内溶鋼
温度の算出値に基づいて取鍋注入中の取鍋内溶鋼温度を
算出し、取鍋注入中の取鍋内溶鋼温度の算出値に基づい
てタンディッシュ内の溶鋼温度を算出し、1チャージに
少なくとも1回実測するタンディッシュ内の溶鋼温度に
基づいて前記取鍋注入中の取鍋内溶鋼温度の算出値また
は前記タンディッシュ内の溶鋼温度の算出値を修正し、
前記タンディッシュ内の溶鋼温度の算出値またはその修
正値とタンディッシュの使用開始時からの経過時間とか
ら鋳型内のメニスカス部の溶鋼温度を逐次的に算出し、
このようにして算出される鋳込み温度データを鋳片温度
の初期値としてプロセスコンピューターに設定し、この
値を、例えば鋳込み後に行われるスプレー冷却水制御な
いしピンチロール表面温度制御等の2次冷却制御の基礎
として用いる鋳込温度の設定方法が提案されており、略
述すれば、プロセスコンピューターにより連続鋳造前の
取鍋内の溶鋼温度の実測値から鋳型内のメニスカス部の
溶鋼温度を計算し、鋳込温度を正確に設定するものであ
る。
【0008】また、特開昭61−245949号公報には、鋳型
の内壁と接触しその後の冷却により凝固シェルを形成す
る溶湯の温度が低い場合に連続鋳造鋳片にオシレーショ
ンマークが発生することを防止するため、例えば内部に
発熱体または高周波誘導コイル等の発熱誘導体が設けら
れた鋳型を用いて、鋳型の内壁と接する溶湯の温度を凝
固点以上に維持しながら鋳造を行う連続鋳造法が、特開
平1−2772号公報には、鋳型内のモールドパウダーの変
動状況と連続鋳造鋳片の表面欠陥の発生状況との相関関
係を事前に求めておき、熱電対および湯面計を鋳型に設
置してモールドパウダーの変動状況を検出することによ
り、オンラインで連続鋳造鋳片に生じる表面欠陥の程度
を判定し、常温まで冷却して手入れを要するスラブを指
定する方法が、さらに特開平4−13455 号公報には、鋳
型側壁およびその下方に設置した複数の温度計群によ
り、凝固シェルの厚さの検出および予測を行い、この予
測結果から鋳型の一部に設けた連続鋳造鋳片凝固厚制御
用の冷却ユニットの冷却強度を制御し、ブレークアウト
防止および凝固シェル厚の均一化を図り、連続鋳造鋳片
の表面品質の向上を図る連続鋳造方法がそれぞれ提案さ
れている。
【0009】これらの方法は、略述すれば、鋳型に熱電
対を設置して鋳型内の溶鋼温度を間接的に測定・管理す
ることにより、連続鋳造における操業上または品質上の
不具合の解消を図ったものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭61−24
5949号公報、特開平1−2772号公報または特開平4−13
455 号公報により提案された従来の技術では、溶鋼の温
度測定の装置・工程が複雑になり、実際に実施すると設
備改造費を含む製造コストが大幅に上昇してしまうとい
う問題がある。
【0011】さらに、特公平2−1590号公報により提案
された方法は、取鍋内の溶鋼温度に基づいて鋳型のメニ
スカス部における溶鋼温度を算出するものであるが、正
確にメニスカス部における溶鋼温度を算出することは容
易ではなく算出誤差が大きくなってしまうため、ブレー
クアウトの発生防止を図ったり、表面欠陥および内質欠
陥の発生の判定を行うことはできなかった。
【0012】ここに、本発明の目的は、鋼の連続鋳造に
おいて、連続鋳造鋳片にブレークアウトが生じることを
防止するとともに、表面欠陥および内質欠陥の発生を確
実に判定することができる技術を提供することにあり、
さらに具体的には、鋼の連続鋳造において簡便に鋳型内
溶鋼温度を測定・管理してブレークアウトの防止を図る
とともに表面欠陥および内質欠陥の発生の判定を確実に
行うことが可能な連続鋳造法およびタンディッシュを提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】タンディッシュ内におけ
る溶鋼温度が同一であるとしても、タンディッシュ内の
耐火物の溶損状況、タンディッシュの予熱状況、鋳造速
度さらには連続鋳造鋳片の寸法等の要因により、鋳型内
の溶鋼温度は大きく変化してしまい、タンディッシュ内
の溶鋼の温度と鋳型内の溶鋼の温度との相関関係は明確
ではない。
【0014】確かに、タンディッシュ内の溶鋼の温度測
定は容易であって高精度で温度測定を行うことはできる
ものの、たとえタンディッシュ内の溶鋼温度を正確に測
定できたとしても、タンディッシュ内の溶鋼温度で鋳型
内の溶鋼温度、とりわけ鋳型のメニスカス部における溶
鋼温度を正確に代用することはできない。このため、従
来の技術のようにタンディッシュ内の溶鋼温度に基づい
て操業条件や連続鋳造鋳片の品質を管理しようとして
も、操業トラブルや品質トラブルの直接的な原因となる
鋳型周辺状況を正確・完全に把握することはできないた
め、操業トラブルや品質トラブルを解消することはでき
ない。
【0015】そこで、本発明者らは、上記課題を解決す
るため種々検討を重ねた結果、溶鋼の連続鋳造におい
て、予め、鋳型内の溶鋼の過熱度と、ブレークアウト発
生件数、表面欠陥発生率および内質欠陥発生率との関係
を求め、この関係からブレークアウト、表面欠陥および
内質欠陥を発生しない鋳型内の溶鋼の過熱度を求めてお
き、鋳込みに際しては、鋳型内の溶鋼温度を、鋳型に注
入された溶鋼の温度を測定する熱電対を備えたタンディ
ッシュを用いて、直接測定することにより、ブレークア
ウト、表面欠陥および内質欠陥が発生するか否かを判定
し、ブレークアウト、表面欠陥および内質欠陥が発生す
ると判定された場合には、鋳造速度を適宜変更してブレ
ークアウトの発生を防止するとともに鋳込み後に表面欠
陥および内質欠陥の手入れを行うことにより、ブレーク
アウトの防止および品質不具合の防止を図ることが可能
となることを知見して、本発明を完成した。
【0016】ここに、本発明の要旨とするところは、最
も広義には、溶鋼の連続鋳造において、鋳型内の溶鋼の
温度を測定し、この測定結果に基づいて、鋳造速度を変
更して連続鋳造鋳片のブレークアウトの防止を図るとと
もに鋳込み後に連続鋳造鋳片の表面欠陥および内質欠陥
の手入れを行うことを特徴とする連続鋳造法である。
【0017】具体的には、本発明は、溶鋼の連続鋳造に
おいて、(i) 予め、鋳型に注入された溶鋼の温度を測定
し、この測定結果に基づいて、鋳型内溶鋼の過熱度と連
続鋳造鋳片のブレークアウト発生件数、連続鋳造鋳片の
表面欠陥発生率および連続鋳造鋳片の内質欠陥発生率と
の関係を求め、前記関係に基づいて、連続鋳造鋳片にブ
レークアウト、表面欠陥および内質欠陥を生じない鋳型
内の溶鋼の温度の範囲を決定しておき、(ii)タンディッ
シュ内の溶鋼を鋳型へ注入する際には、鋳型内の溶鋼の
温度が前記範囲内である場合は、このままの鋳造速度で
鋳込みを行い、溶鋼の温度が前記範囲外である場合に
は、鋳造速度を調整してブレークアウトの発生を防止す
るとともに鋳込み後に連続鋳造鋳片の表面欠陥および内
質欠陥の手入れを行うことを特徴とする連続鋳造法であ
る。
【0018】上記の本発明にかかる連続鋳造法は、連続
鋳造の際に鋳型に注入された溶鋼の温度を測定する熱電
対と、望ましくは、前記熱電対の昇降装置とを備えたタ
ンディッシュを用いて行われる。
【0019】さらに具体的には、本発明は、予め、タン
ディッシュ底部に設けた、旋回・昇降可能な熱電対温度
計で鋳型内溶鋼温度を測定し、この測定結果により、ブ
レークアウト発生件数と鋳型内溶鋼過熱度との関係、予
め求めた表面欠陥発生率と鋳型内溶鋼過熱度との関係お
よび予め求めた内質欠陥発生率と鋳型内溶鋼過熱度との
関係の3つの関係を求めて、ブレークアウト、表面欠陥
および内質欠陥を生じることがない最適な溶鋼の温度の
範囲を決定しておき、鋳込みの際には、(i) 測定した鋳
型内の溶鋼の温度が前記範囲内の場合にはこのままの鋳
造速度で鋳込みを行い、(ii)測定した鋳型内の溶鋼の温
度が前記範囲外の場合、 測定した鋳型内の溶鋼の温度が前記範囲の下限を下回
るとき (例えば、溶鋼温度が凝固温度を少し上回る程度
と低い場合) には鋳造速度を上昇させて鋳込みを行うこ
とによりブレークアウトを防止するとともに鋳込み後に
表面欠陥および内質欠陥の発生を判定し、 測定した鋳型内の溶鋼の温度が前記範囲の上限を上回
るとき (例えば、溶鋼温度が凝固温度を大きく上回る程
度と高い場合) には鋳造速度を低下させて鋳込みを行う
ことによりブレークアウトを防止するとともに鋳込み後
に表面欠陥および内質欠陥の発生を判定することを特徴
とする連続鋳造法である。
【0020】
【作用】以下、本発明を添付図面を参照しながら作用効
果とともに詳述する。図1は、本発明にかかるタンディ
ッシュおよび鋳型の配置を示す断面図である。図1に示
す装置では、鋳型1内の溶鋼2の温度は、タンディッシ
ュ3に取付けたアーム4により旋回・昇降自在に支持さ
れた熱電対5により測定される。アーム4は、オペレー
タの遠隔操作により図1中に矢印で示すように旋回およ
び昇降が自在であり、熱電対5の消耗時の取替えおよび
鋳型1内の溶鋼2中への浸漬を可能としている。
【0021】熱電対5を旋回・昇降自在に支持するアー
ム4の構造は、特定のものには限定されない。公知の適
宜手段によればよい。また、タンディッシュ3への設置
位置も何ら限定を要さない。ただし、熱電対5の溶鋼2
中への浸漬の容易さを考えると、アーム4の設置位置は
タンディッシュ3の底部とすることが望ましい。また、
熱電対5の先端の溶鋼2中への浸漬位置は、特定の位置
に限定する必要はないが、メニスカス下20〜30mmとする
ことが測定精度を向上させるためには望ましい。浸漬す
るタイミングは、何ら限定を要するものではなく、例え
ばタンディッシュから鋳型への溶鋼注入時でよい。熱電
対5による溶鋼2の温度は、実質的に溶鋼2の最高温度
である。
【0022】なお、図1において、符号6はタンディッ
シュ3内の溶鋼を鋳型1内へ注入する浸漬ノズルであ
り、符号7は溶鋼2の湯面上に位置するモールドパウダ
ーである。本発明にかかる連続鋳造法は、図1に示す本
発明にかかるタンディッシュ3を用いて実施される。
【0023】すなわち、タンディッシュ3内の溶鋼を浸
漬ノズル6を介して鋳型1へ注入する連続鋳造の際に、
鋳型1に注入された溶鋼2の温度を、例えば、アーム4
により旋回・昇降自在に支持された熱電対5により測定
する。溶鋼2の温度測定は1チャージ毎に数回測定する
ことが溶鋼温度および/または鋳造速度の変化に伴うブ
レークアウト、表面欠陥および内質欠陥の発生を正確に
予測するためには、望ましい。
【0024】一方、鋳型1内の溶鋼2の過熱度と、連続
鋳造鋳片のブレークアウト発生件数、連続鋳造鋳片の表
面欠陥発生率および連続鋳造鋳片の内質欠陥発生率との
関係を予め求めておき、この関係から、連続鋳造鋳片に
ブレークアウト、表面欠陥および内質欠陥を生じること
がない適正な溶鋼の温度範囲を決定する。周知のよう
に、過熱度は(溶鋼温度−その組成での液相線温度)に
より算出される。
【0025】溶鋼2の過熱度と連続鋳造鋳片のブレーク
アウト発生件数、連続鋳造鋳片の表面欠陥発生率および
連続鋳造鋳片の内質欠陥発生率との関係は、事前に確認
試験を行ったり、操業時のデータに基づいて適宜求めて
おけばよい。
【0026】そして、測定した溶鋼温度が (i) 前記範囲内である場合には、ブレークアウトは発生
せずさらに連続鋳造鋳片に表面欠陥および内質欠陥は生
じないため、このままの鋳造速度で鋳込みを行い、鋳込
み後には連続鋳造鋳片を直接に熱間圧延工程に送る。 (ii)前記範囲外である場合には、鋳造速度を調整してブ
レークアウトの発生を防止するとともに、鋳込み後に連
続鋳造鋳片の表面欠陥および内質欠陥の手入れを行って
から、連続鋳造鋳片を熱間圧延工程に送る。
【0027】すなわち、図1において、鋳型1内の溶鋼
2の温度が前記範囲の下限値未満である場合には、溶鋼
2は凝固し易いため、浸漬ノズル6の近傍付近で皮張り
の発生傾向が大となるとともに、溶鋼2中の介在物が浮
上し難くなるために表面欠陥および内質欠陥が発生し易
くなる。そこで、この場合には、図2に示すように、鋳
造速度を上昇させ鋳型内に流入する溶鋼量を増加させる
ことにより皮張り発生に起因するブレークアウトの発生
を防止するとともに、鋳込み後には熱間圧延工程に連続
鋳造鋳片を直接送らずに一旦常温まで冷却し、連続鋳造
鋳片の表面欠陥および内質欠陥の発生をチェックし、こ
れらの問題があった場合には手入れを行ってから再度加
熱を行い、熱間圧延工程に送る。
【0028】逆に、鋳型1内の溶鋼2の温度が前記範囲
の上限値を超える場合には、凝固シェルの生成が不充分
となるため、ブレークアウトの発生傾向が大となるとと
もに凝固シェルの不均一生成に起因する表面欠陥が発生
し易くなる。そこで、この場合には、図3に示すよう
に、鋳造速度を低下させ凝固シェルの生成を促進するこ
とにより凝固シェルの不均一生成に起因する表面欠陥の
発生を防止するとともに、鋳込み後には熱間圧延工程に
連続鋳造鋳片を直接送らずに一旦常温まで冷却し、連続
鋳造鋳片の表面欠陥および内質欠陥の発生をチェック
し、これらの問題があった場合には手入れを行ってから
再度加熱を行い、熱間圧延工程に送る。
【0029】連続鋳造における溶鋼の鋳込温度は、鋳込
み中の温度降下を考慮すると、凝固点が低い低温のとき
は鋳型内溶鋼過熱度に影響されるため、凝固点より少し
高い程度でよいが、凝固点が高い高温のときには、凝固
点より大きく高めとする。なお、鋳造速度を変化させる
程度は、過去の操業経験に基づき、0.1 m/min 程度とす
ればよい。
【0030】このように、本発明によれば、ブレークア
ウトの発生を確実に抑制できるとともに、鋳込み後に表
面欠陥および内質欠陥が生じる可能性がある連続鋳造鋳
片を鋳込み時に判定することができるため、手入れを行
う必要がある連続鋳造鋳片に対して鋳込み後に確実に手
入れを行うことができる。
【0031】したがって、本発明によれば、鋼の連続鋳
造において、連続鋳造鋳片にブレークアウトが生じるこ
とを防止するとともに、表面欠陥および内質欠陥の発生
を確実に判定して対応することが可能となる。さらに、
本発明を実施例を参照しながら詳述するが、これは本発
明の例示であり、これにより本発明が限定されるもので
はない。
【0032】
【実施例】本実施例では、図1に示す構成の装置におい
て、まず鋳型内溶鋼過熱度 (℃)とブレークアウト発生
件数 (回) 、表面欠陥発生率 (%) および内質欠陥の発
生率 (%) との関係を調べた。溶鋼温度は、熱電対を鋳
型内に浸漬することにより測定した。
【0033】それぞれの関係を図4ないし図6にそれぞ
れグラフで示す。図4ないし図6において、鋳型内溶鋼
過熱度の高さは、鋳型内の溶鋼温度と溶鋼の凝固点(液
相線)との差として表されるため、凝固点の高さによっ
ても影響される。図4には、鋳型内溶鋼過熱度 (℃) が
ブレークアウト発生件数 (回) に及ぼす影響を示す。な
お、図4では、溶鋼温度には直接的な関係がなく発生す
る焼付性ブレークアウトの発生回数は除外した。
【0034】同図において、鋳型内溶鋼過熱度が5℃以
上40℃以下であればブレークアウトは発生しないが、鋳
型内溶鋼過熱度が5℃未満では鋳造前溶鋼温度が低く
(すなわち凝固点が高く) 、皮張りが発生し易い。この
場合は鋳造速度が小さ過ぎることになる。一方、鋳型内
溶鋼過熱度が40℃超では鋳造前溶鋼温度が高く (すなわ
ち凝固点が低い) 、凝固シェルが不均一に生成する。な
お、45℃超の場合は鋳造前溶鋼温度は高いものの鋳型内
過熱度は小さいためにブレークアウトの発生は低下す
る。この場合は鋳造速度が大き過ぎることになる。そこ
で、図4から、本実施例ではブレークアウトを発生しな
い鋳型内溶鋼過熱度を5℃以上40℃以下とした。
【0035】図5には、鋳型内溶鋼過熱度 (℃) が表面
欠陥発生率 (%) に及ぼす影響を示す。同図において、
鋳型内溶鋼過熱度が15℃未満では鋳造速度が小さ過ぎる
ため、溶鋼の潤滑性が低下し、皮張りが発生したり、介
在物の浮上除去ができなくなる。すなわち、この場合は
鋳造前溶鋼温度が低い。一方、鋳型内溶鋼過熱度が30℃
超では、鋳造速度が大き過ぎるため、凝固シェルが不均
一に生成する。すなわち、この場合は鋳造前溶鋼温度が
高い。そこで、図5から、本実施例では表面欠陥を発生
しない鋳型内溶鋼過熱度を15℃以上30℃以下とした。
【0036】図6には、鋳型内溶鋼過熱度 (℃) が内質
欠陥発生率 (%) に及ぼす影響を示す。同図において、
鋳型内溶鋼過熱度が10℃未満では鋳造速度が小さ過ぎる
ため、介在物の浮上ができなくなる。すなわち、この場
合は鋳造前溶鋼温度が低い。一方、鋳型内溶鋼過熱度が
10℃以上では、鋳造前溶鋼温度が高く、鋳型内溶鋼過熱
度にかかわらず、介在物が浮上する。そこで、図6か
ら、本実施例では内質欠陥を発生しない鋳型内溶鋼過熱
度を10℃以上とした。
【0037】図4ないし図6において、鋳造速度が一定
であるとすると、横軸の左方に行くほど、鋳造前溶鋼温
度が低く、凝固点が高い。一方、横軸の右方へ行くほ
ど、鋳造前溶鋼温度が高く、凝固点も低い。
【0038】このように、鋳型内溶鋼加熱度が図4ない
し図6で示すような適正な範囲にない場合、これを補正
するために溶鋼を鋳型内で再加熱しても温度上昇するだ
けであり、転炉からの出鋼の際の高温時の流動性は回復
しないため、鋳込み後の連続鋳造鋳片を再加熱して圧延
する際の圧延速度 (生産計画) に合わせて鋳込みの際の
引き抜きを行うと、鋳造速度が不適となり、ブレークア
ウト、表面欠陥さらには内質欠陥の原因となってしま
う。このため、本発明では、鋳型内溶鋼加熱度が適正な
範囲にない場合には、鋳込み後に一旦常温まで冷却して
手入れを行ってから、熱間圧延工程に送る。
【0039】このように、本実施例では鋳型内溶鋼加熱
度の適正範囲を15〜30℃として、図1に示す構成の装置
を用いて、本発明を実施した。なお、熱電対5の先端の
浸漬位置は湯面から30mm下方であって、誤差は±5mmで
あった。その結果を図7ないし図9にまとめて示す。な
お、図7ないし図9は、多種類(凝固点相違、鋳型内溶
鋼温度相違、鋳型内溶鋼加熱度相違) の溶鋼を従来法と
本発明法に分けて行った際の、ブレークアウト発生率
(%) 、表面欠陥発生率 (%) および内質欠陥発生率
(%) のそれぞれの結果を従来法と対比させて示すグラ
フである。
【0040】図7ないし図9から明らかなように、本発
明により、鋳型内溶鋼温度に起因するブレークアウト
は、完全に防止できた。また、連続鋳造鋳片の表面欠陥
および内質欠陥も従来の約1/10以下に低減できた。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、連
続鋳造鋳片にブレークアウトが生じることを防止すると
ともに、表面欠陥および内質欠陥の発生を確実に判定す
ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるタンディッシュおよび鋳型の配
置を示す断面図である。
【図2】本発明において、鋳型内の溶鋼の温度が所定の
範囲の下限値未満である場合の流れを示す説明図であ
る。
【図3】本発明において、鋳型内の溶鋼の温度が所定の
範囲の上限値を超える場合の流れを示す説明図である。
【図4】鋳型内溶鋼過熱度 (℃) がブレークアウト発生
件数 (回) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】鋳型内溶鋼過熱度 (℃) が表面欠陥発生率
(%) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】鋳型内溶鋼過熱度 (℃) が内質欠陥発生率
(%) に及ぼす影響を示すグラフである。
【図7】実施例におけるブレークアウト発生件数の結果
を示すグラフである。
【図8】実施例における表面欠陥発生率 (%) の結果を
示すグラフである。
【図9】実施例における内質欠陥発生率 (%) の結果を
示すグラフである。
【符号の説明】
1:鋳型 2:溶鋼 3:タンディッシュ 4:アーム 5:熱電対 6:浸漬ノズル 7:モールドパウダー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属の連続鋳造において、鋳型内の
    溶融金属の温度を測定し、この測定結果に基づいて、鋳
    造速度を変更して連続鋳造鋳片のブレークアウトの防止
    を図るとともに鋳込み後に連続鋳造鋳片の表面欠陥およ
    び内質欠陥の手入れを行うことを特徴とする連続鋳造
    法。
  2. 【請求項2】 溶融金属の連続鋳造において、(i) 予
    め、鋳型に注入された溶融金属の温度を測定し、この測
    定結果に基づいて、鋳型内溶融金属の過熱度と連続鋳造
    鋳片のブレークアウト発生件数、連続鋳造鋳片の表面欠
    陥発生率および連続鋳造鋳片の内質欠陥発生率との関係
    を求め、前記関係に基づいて、連続鋳造鋳片にブレーク
    アウト、表面欠陥および内質欠陥を生じない鋳型内の溶
    融金属の温度の範囲を決定しておき、(ii)タンディッシ
    ュ内の溶融金属を鋳型へ注入する際には、鋳型内の溶融
    金属の温度が前記範囲内である場合は、このままの鋳造
    速度で鋳込みを行い、前記溶融金属の温度が前記範囲外
    である場合には、鋳造速度を調整してブレークアウトの
    発生を防止するとともに鋳込み後に連続鋳造鋳片の表面
    欠陥および内質欠陥の手入れを行うことを特徴とする連
    続鋳造法。
  3. 【請求項3】 連続鋳造の際に鋳型に注入された溶融金
    属の温度を測定する熱電対を備えたことを特徴とするタ
    ンディッシュ。
JP32422792A 1992-12-03 1992-12-03 連続鋳造法およびタンディッシュ Withdrawn JPH06170511A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020055183A (ko) * 2000-12-28 2002-07-08 이구택 턴디쉬 용강온도 및 성분에 따른 주조속도 자동 제어 방법
JP2011230182A (ja) * 2010-04-30 2011-11-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 高マンガン含有鋼の製造方法

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