JP2016215236A - 連続鋳造におけるブレークアウト予知方法、ブレークアウト防止方法、凝固シェル厚の測定方法、ブレークアウト予知装置およびブレークアウト防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋳造中にモールド内部の温度を測定し(ステップS100)、温度が閾値Td以上であるか否かを判断し、温度が閾値Td以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する(ステップS102)。
【選択図】 図4
Description
例えば、特許文献1には、凝固シェル厚を測定する方法として、鋳造中の鋳片を挟んで設けられた超音波センサーを用いる方法が開示されている。また、特許文献1では、測定された凝固シェル厚を操業データベースと照らし合わせ、ブレークアウト発生の危険の有無を判定することで、ブレークアウトを予知することができる。さらに、特許文献2には、凝固シェル厚を測定する方法として、連続鋳造設備の鋳型(以下、「モールド」ともいう)内に設けられた温度計測器から溶鋼流速を計算し、溶鋼流速から得られる流速ベクトル分布を用いて鋳型内の凝固シェル厚を推定する方法が開示されている。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、簡易且つ安価な構成で、鋳造時に生じるブレークアウトの発生を予知または防止もしくは鋳造中の凝固シェル厚を測定することができる、連続鋳造におけるブレークアウト予知方法、ブレークアウト防止方法、凝固シェル厚の測定方法、ブレークアウト予知装置およびブレークアウト防止装置を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、鋳造中にモールド内部の温度を測定し、上記温度が閾値以上であるか否かを判断し、上記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知し、上記ブレークアウトの発生を予知した場合に、上記モールド内部の温度が上記閾値未満となるまで、鋳造速度を低下させることを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト防止方法が提供される。
本発明の一態様によれば、鋳造中のモールド内部の温度を測定する測定部と、上記温度が閾値以上であるかを判断し、上記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する判断部とを有する連続鋳造におけるブレークアウト予知装置が提供される。
本発明の一態様によれば、鋳造中のモールド内部の温度を測定する測定部と、上記温度が閾値以上であるかを判断し、上記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する判断部と、上記判断部が上記ブレークアウトの発生を予知した場合に、上記モールド内部の温度が上記閾値未満となるまで、鋳造速度を低下させる制御部と
を有する連続鋳造におけるブレークアウト防止装置が提供される。
<ブレークアウト予知装置およびブレークアウト防止装置の構成>
はじめに、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るブレークアウト予知装置およびブレークアウト防止装置の構成を説明する。本実施形態に係るブレークアウト予知装置およびブレークアウト防止装置は、精錬処理された溶鋼を用いてスラブを鋳造する連続鋳造設備に設けられる。連続鋳造設備は、図1に示すように鋳型であるモールド1と、モールド1の下方に2次冷却設備やロール等の設備とを有する一般的な鋳造設備である。モールド1は、2枚の長辺部11と、2枚の短辺部12とを有し、2枚の長辺部11および2枚の短辺部12の内部にそれぞれ設けられたスリット状の経路に冷却水が供給されることで、溶鋼6を冷却し凝固させる。また、モールド1には、さらに不図示のオシレーション機構等が設けられる。
複数の測定部2は、熱電対等の測温素子であり、モールド1の長辺部11および短辺部12の鋳造方向の所定の高さに、水平方向に並んでそれぞれ設けられる。なお、図1には全て図示していないが、複数の測定部2は、すべての長辺部11および短辺部12にそれぞれ設けられる。また、複数の測定部2は、図2に示すように、モールド1の長辺部11および短辺部12にそれぞれ埋設され、測定部2の先端におけるモールド1の内部の温度を測定する。さらに、複数の測定部2は、変換部3にそれぞれ接続され、変換部3に測定結果を出力する。
判断部4は、変換部3から取得した温度が予め設定される閾値Td以上であるか否かを判断することで、ブレークアウトを予知する。また、判断部4での判断結果は、ブレークアウトの予知の他に、ブレークアウトを防止する際にも用いられる。ブレークアウト予知方法およびブレークアウト防止方法についての詳細は後述する。
制御部5は、少なくとも連続鋳造設備における鋳造速度を制御する装置であり、連続鋳造設備に設けられたピンチロールの回転速度等を制御することで鋳造速度を制御する。制御部5は、判断部4の判断結果に基づいて鋳造速度を低下させることで、ブレークアウトを防止する。ブレークアウト防止方法についての詳細は後述する。
次に、図2および図3を参照して、本実施形態に係る凝固シェル厚の測定方法について説明する。図2の上側の図に示すように、モールド1内の2枚の長辺部11と2枚の短辺部12とで囲まれた空間内には、不図示のイマージョンノズルを介して溶鋼6が注ぎ込まれ、さらに溶鋼6の浴面にはパウダー8が添加されることで、連続鋳造が行われる。注ぎ込まれた溶鋼6は、モールド1によって冷却され、凝固することで、モールド1の内面に沿って凝固シェル7を形成する。形成された凝固シェル7は、鋳造速度に応じた引き抜き速度で下方へと冷却されながら引き抜かれることで、凝固シェル厚が増大していき、最終的に溶鋼6が全て凝固した鋳片となる。パウダー8は、一般的なモールドパウダーであり、浴面に添加された後、溶鋼6の熱によって浴面近くが溶融し、その後溶融した状態でモールド1と凝固シェル7との間へと流入する。モールド1と凝固シェル7との間へと流入した溶融状態のパウダー8は、モールド1によって冷却されることで、固化しフィルム層を形成する。連続鋳造設備におけるモールド1内での冷却過程では、ブレークアウトを防止する観点から、水平方向の全周にわたって、所定の厚み以上の凝固シェル7が形成されることが好ましい。しかし、凝固遅れ等によって、厚みの薄い凝固シェル7が形成されてしまうと、薄い凝固シェルがモールド1を通過した後、静鉄圧に耐えきれずに破れてしまい、ブレークアウトが発生することがある。
図2を参照して、溶鋼6から測定部2までの間における、温度勾配および温度変化量について説明する。なお、図2の下側には、図2の上側に示す測定部2が設けられた高さにおける、図2の紙面に対する左右方向の各位置での温度を模式的に示したグラフを示す。
次に、図4を参照して、本実施形態に係るブレークアウト予知方法およびブレークアウト防止方法について説明する。本実施形態では、図4のフローチャートに示す処理は、鋳造が開始されることで開始される。
まず、図4に示すように、複数の測定部2は、各設置位置におけるモールド1内部の温度を測定する(S100)。また、ステップS100では、複数の測定部2は、測定結果を変換部3へそれぞれ送信する。そして、変換部3は、取得した測定部2の各設置位置における測定結果を温度に変換し、判断部4へと送信する。
ステップS104にて鋳造が完了したと判断された場合、ブレークアウトの予知および防止にかかる処理が終了する。一方、ステップS104にて鋳造が完了していないと判断された場合、ステップS100の処理が再度行われる。
ステップS108の後、判断部4は、取得した測定部2の各設置位置で測定された温度と、予め設定される閾値Tdとを比較し、測定された温度が閾値Td以上か否かをそれぞれ判断する(S110)。この際、判断部4は、各設置位置で測定された温度のうち少なくとも1つの温度が閾値Td以上となる場合、ブレークアウト発生の可能性が未だあると判断する。一方、判断部4は、各設置位置で測定された温度が全て閾値Td未満となる場合、ブレークアウト発生の可能性がなくなったと判断する。
ステップS112にて鋳造が完了したと判断された場合、ブレークアウトの予知および防止にかかる処理が終了する。一方、ステップS112にて鋳造が完了していないと判断された場合、ステップS100の処理が再度行われる。
また、本実施形態に係るブレークアウト予知方法では、ステップS100,S102の処理を行うことで、ブレークアウトの発生を予知することができる。さらに、本実施形態に係るブレークアウト防止方法では、ステップS100〜S112の一連の処理を行うことにより、ブレークアウトの発生を防止することができる。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである
例えば、上記実施形態では、複数の測定部2は、図1に示すように鋳造方向に一段のみ設けられる構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、複数の測定部2は、鋳造方向に複数段設けられてもよい。さらに、複数段に設けられた複数の測定部2の測定結果を用いて、ブレークアウトの予知が行われてもよい。
また、上記実施形態では、鋳造される半製品がスラブであるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。連続鋳造機で鋳造される半製品は、ブルームやビレット、ビームブランク等の他の鋳片形状であってもよい。
さらに、上記実施形態では、複数の測定部2が、モールド1の1対の長辺部11および1対の短辺部12にそれぞれ設けられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、複数の測定部2は、モールド1の1対の長辺部11にのみ設けられる構成であってもよい。
(1)本発明の一態様に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法は、鋳造中にモールド1内部の温度を測定し(ステップS100)、温度が閾値Td以上であるか否かを判断し、温度が閾値Td以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する(ステップS102)。
上記構成によれば、一般的な連続鋳造設備のモールド1に設けられる熱電対等を用いて、凝固シェル厚を精度よく測定することができるため、精度良くブレークアウトの発生を予知することができる。また、特殊な構造のモールド等の高価な設備を導入する必要がないため、安価な構成でブレークアウトの発生を予知することができ、既存の設備に導入する際にも導入に掛かる時間を大幅に短縮することができる。さらに、ブレークアウトの発生を予知する際に、測定された温度と閾値とを比較するだけで予知ができるため、煩雑なシステム等を用いることなく簡易にブレークアウトの発生を予知することができる。
上記構成によれば、予め閾値Tdを設定できるため、より簡易な構成でブレークアウトの発生を予知することができる。
上記構成によれば、上記(1)の構成と同様な効果を得ることができる。加えて、ブレークアウトの発生が精度よく予知されることで、ブレークアウトの発生を精度よく防止することができる。また、モールド1内を流れる冷却水の温度から算出される抜熱量を基に凝固遅れの発生を推定し、推定結果に応じて鋳造速度を低下させる通常の防止方法の場合、推定精度が低いため、ブレークアウトの発生を過剰に検知させる必要があった。このため、連続鋳造中に不要な鋳造速度の低下が生じ、生産性が低下することが問題であった。一方、上記構成によれば、不要な鋳造測定の低下を抑制できるため、生産性を向上させることができる。
上記構成によれば、簡易且つ安価な構成で、凝固シェル厚を測定することができる。
(5)本発明の一態様に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知装置は、鋳造中のモールド1内部の温度を測定する測定部2と、温度が閾値Td以上であるかを判断し、温度が閾値Td以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する判断部4とを有する。
上記構成によれば、上記(1)の構成と同様な効果を得ることができる。
上記構成によれば、上記(2)の構成と同様な効果を得ることができる。
鋳片幅範囲=700〜2100mm
鋳片厚範囲=235〜260mm
鋼種成分範囲 C=0.0006〜0.18mass%
Si=0.006〜0.44mass%
Mn=0.1〜1.57mass%
P=0.06mass%以下
S=0.026mass%以下
鋳造速度範囲=0.3〜2.6m/min
遅れ時間は、1チャージ当たりに生じる目標鋳造時間に対する実績の鋳造時間の偏差である。また、目標鋳造時間は、各チャージの溶鋼量や目標鋳造速度等から算出される時間である。なお、実施例では合計220チャージ、および比較例では合計211チャージの連続鋳造をそれぞれ行い、その平均の遅れ時間をそれぞれ算出した。
11 長辺部
12 短辺部
2 測定部
21 上段側の測定部
22 下段側の測定部
3 変換部
4 判断部
5 制御部
6 溶鋼
7 凝固シェル
8 パウダー
Claims (6)
- 鋳造中にモールド内部の温度を測定し、
前記温度が閾値以上であるか否かを判断し、
前記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する
ことを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト予知方法。 - 前記閾値として、凝固シェルの厚みに対する前記温度の線形の関係式と、前記ブレークアウトが発生する前記凝固シェルの臨界厚みとに基づいて算出される温度を用いることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造におけるブレークアウト予知方法。
- 鋳造中にモールド内部の温度を測定し、
前記温度が閾値以上であるか否かを判断し、
前記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知し、
前記ブレークアウトの発生を予知した場合に、前記モールド内部の温度が前記閾値未満となるまで、鋳造速度を低下させることを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト防止方法。 - 鋳造中にモールド内部の温度を測定し、
凝固シェルの厚みに対する前記温度の線形の関係式と、測定された前記温度とに基づいて前記凝固シェルの厚みを算出することを特徴とする凝固シェル厚の測定方法。 - 鋳造中のモールド内部の温度を測定する測定部と、
前記温度が閾値以上であるかを判断し、前記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する判断部と
を有する連続鋳造におけるブレークアウト予知装置。 - 鋳造中のモールド内部の温度を測定する測定部と、
前記温度が閾値以上であるかを判断し、前記温度が閾値以上である場合に、ブレークアウトの発生を予知する判断部と、
前記判断部が前記ブレークアウトの発生を予知した場合に、前記モールド内部の温度が前記閾値未満となるまで、鋳造速度を低下させる制御部と
を有する連続鋳造におけるブレークアウト防止装置。
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