JP3399085B2 - 連続鋳造のスタート方法 - Google Patents

連続鋳造のスタート方法

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JP3399085B2 JP12784994A JP12784994A JP3399085B2 JP 3399085 B2 JP3399085 B2 JP 3399085B2 JP 12784994 A JP12784994 A JP 12784994A JP 12784994 A JP12784994 A JP 12784994A JP 3399085 B2 JP3399085 B2 JP 3399085B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造の操業開始に
際し、鋳型への溶湯の注入開始からダミーバーの引き抜
き開始までの過程を自動化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法は、上下に開口を有する筒形
の鋳型に溶融金属(溶湯)を注入し、該鋳型の水冷され
た内壁に接触せしめて冷却し、外側を凝固シェルにて被
覆された鋳片を得て、これを鋳型の下側開口部から連続
的に引き抜きつつ更に冷却し、内側にまで凝固が進行し
た後に所定の寸法に切断して、圧延等の後工程での素材
となる製品鋳片を得る方法である。
【0003】このような連続鋳造法の実施に際しては、
鋳型からの溶湯の溢出、ブレークアウトの発生等、安定
操業を阻害する各種の不都合を未然に防止し、生産能率
の向上を図ると共に、鋳型内部での冷却,凝固状態を安
定化させ、製品鋳片の品質向上を図るべく、鋳型内部に
注入した溶湯のレベルを予め定めた目標レベルに維持す
る湯面レベル制御が行われている。この湯面レベル制御
は、鋳型への注湯のための浸漬ノズルに、スライディン
グノズル、ストッパ装置等の開度調節が可能な注湯手段
を配する一方、鋳型内部に滞留する溶湯のレベルを検出
し、この検出レベルと前記目標レベルとの偏差を解消す
べく前記注湯手段の開度を調節して、鋳型への注湯量を
増減する手順により行われている。
【0004】この湯面レベル制御の実施に際しては、操
業中に前記鋳型の内部に滞留し、上下に変動する溶湯の
レベルを高精度に検出することが必要であり、このため
従来から、鋳型の上側に内部の溶湯表面に臨ませて配さ
れ、該表面との間の相対距離を検出するようになしたレ
ベル計、特に、溶湯表面に臨ませたコイルに高周波電流
を通電し、これにより溶湯表面に誘起される渦電流を前
記コイル又は別個に設けた検出用コイルのインピーダン
ス変化を媒介として捉える構成とした渦流レベル計が広
く用いられている。
【0005】一方、以上の如き連続鋳造法は、鋳型の下
側開口部にダミーバーを挿入し、鋳型の内壁との間隙に
耐火ボード等の密封材を詰めて、前記下側開口部を密に
閉塞した後、前記ダミーバーのヘッド部を疑似底とする
鋳型の内部に溶湯の注入を開始し、鋳型内部に滞留する
溶湯のレベルが所定の引き抜きレベルに到達するのを待
って前記ダミーバーを引き抜く手順により開始される。
【0006】このときダミーバーのヘッド部には、鋳型
内部に初期に注湯された溶湯が凝固して係合しており、
前記引き抜きの開始に伴って鋳型内部の溶湯は、外側を
凝固シェルにより被覆された鋳片としてダミーバーと共
に引き抜かれ、これ以降は、前記渦流レベル計の検出結
果に基づく湯面レベル制御の実施により、適正な厚さの
凝固シェルを有する鋳片が連続的に引き抜かれる通常操
業に移行することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】さて、以上の如きダミ
ーバーの引き抜きに際しては、鋳型内部での鋳片の凝固
状態を適正に保つことが重要であり、不十分な凝固下に
て引き抜きが開始された場合、鋳型から引き抜かれる鋳
片の外側を覆う凝固シェルの厚さが不足していることか
ら、該凝固シェルが鋳型からの引き抜き中に破壊されて
内部の溶湯が漏れ出すブレークアウトを招来する問題が
あり、逆に過剰な凝固下にて引き抜きが開始された場
合、引き抜き初期の鋳片に多くの表面疵及び内部疵が発
生し、製品歩留りの低下を招来する問題がある。
【0008】鋳型内部での鋳片の凝固程度は、該鋳型へ
の注湯状態に依存することから、前述した問題点を解消
するためには、鋳型への注湯を開始した後、引き抜きレ
ベルへの到達までの間の注湯状態を最適化することが必
要である。この最適化は、従来一般的には、湯面の上昇
を監視しつつ前記注湯手段の開度を手動調節する方法に
より行われているが、この方法は、オペレータに高度な
熟練を要求する上、確実性に乏しいという難点がある。
【0009】そこで従来から、鋳型への注湯開始からダ
ミーバーの引き抜き開始までの間の注湯状態の最適化を
自動的に行わせることを目的とした連続鋳造のスタート
方法が種々提案されている。これらの方法は、基本的に
は、引き抜きレベルへの到達までの間の湯面レベルの変
化を連続的に検出し、この変化態様を適正化すべく注湯
手段の開度を制御する手順により行われる。
【0010】このとき検出対象となる湯面レベルの変化
は、ダミーバーにより閉塞された鋳型の底部から、通常
操業時の目標レベルに近い引き抜き開始レベルに達する
までの間の広範囲に亘って生じる。一方、通常操業時の
湯面レベル制御に用いられる渦流レベル計等のレベル計
は、一般的に検出可能な範囲が狭く、この検出範囲内に
前記目標レベルが含まれるように選定されることから、
前述の如く広範囲に亘って変化するスタート時の湯面レ
ベルの検出には適用できない。
【0011】そこで、連続鋳造の自動スタートを目的と
した従来法の多くにおいては、鋳型の内壁に深さ方向に
適宜の間隔を隔てて複数の測温器(熱電対)を埋設し、
これらにより鋳型の内壁の温度分布を広範囲に亘って測
定して、相隣する測温器間の測温結果が大きく変化する
位置に溶湯表面が存在するとして湯面レベルの変化を認
識し、この結果に基づいて注湯手段の開度調節、及び引
き抜きタイミングの決定を行っている。
【0012】ところが前記測温器は、溶湯との接触によ
り変化する鋳型の温度を検出対象としていることから、
検出結果の応答性が悪く、また、前記鋳型は注湯の開始
前には低温であり、注湯開始直後には不安定な温度変化
を示すことから、前記測温器の検出結果から湯面レベル
の変化を精度良く知ることは極めて困難である。従っ
て、これらの検出結果を用いて注湯手段の開度調節を行
い、また引き抜きタイミングの決定を行うことは無謀な
試みであり、引き抜きタイミングが遅れ、鋳型上部から
溶湯の溢出を招来し、逆に引き抜きタイミングが早過
ぎ、ブレークアウトの発生を招来する等、操業停止を強
いる重大事故を引き起こす虞れがある。
【0013】これらのことから、特公平5-71340号公報
には、前記測温器の検出結果を湯面の上昇速度の演算に
用い、この演算結果から渦流レベル計の検出範囲に達す
るまでの時間を予想し、予想時間を適正化すべく注湯手
段の開度を決定して、この開度を前記検出範囲に達する
まで維持し、この後は、渦流レベル計による検出レベル
に基づいて注湯手段の開度制御を実施し、引き抜きレベ
ルへの到達までの時間を調整するスタート方法が開示さ
れている。
【0014】この方法によれば、ダミーバーの引き抜き
タイミングが応答性及び精度に優れた渦流レベル計の検
出結果に基づいて決定されるため、誤ったタイミングに
て引き抜きが開始される虞れは小さい。
【0015】ところが、前述した如く応答性及び精度に
劣る多数の測温器の検出結果を用いて行われる湯面の上
昇速度の演算には、大容量のコンピュータを用いたとし
ても多大の時間を要する上、得られた結果の精度は低
く、この演算結果に基づいて調整される渦流レベル計の
検出範囲への到達までの時間に誤差が生じることは避け
られない。従って、前記誤差の解消のため、引き抜きレ
ベルへの到達までの間、注湯手段を微小開度に維持する
ことを強いられる場合、逆に最大開度近傍に維持するこ
とを強いられる場合が夫々生じ、前者の場合、溶湯の凝
固により注湯手段に詰まりを招来し、引き抜き開始後の
湯面レベル制御に支障を来す難点があり、後者の場合、
鋳型内部の湯面レベルの変化が急峻となり、またレベル
変動が大きくなるために、渦流レベル計の検出結果に基
づく引き抜きタイミングの決定にずれが生じ、引き抜き
初期の鋳片品質の低下を招く難点があった。
【0016】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、鋳型への注湯開始からダミーバーの引き抜き開
始までの一連のスタート過程を、複雑な演算を要するこ
となく、また注湯手段の極端な開度変更を強いることな
く自動化でき、連続鋳造法の省力化に寄与できるスター
ト方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係る連続鋳造の
スタート方法は、ダミーバーにより下部を閉塞された連
続鋳造用の鋳型の内部に開度調節が可能な注湯手段を経
て注湯を開始し、鋳型内にて上昇する湯面が所定の引き
抜きレベルに到達した時点で前記ダミーバーを引き抜く
連続鋳造のスタート方法において、前記鋳型の上側に内
部の湯面に臨ませてレベル計と測温器とを配し、前記引
き抜きレベルへの到達と、該引き抜きレベルよりも低い
所定レベルへの到達とを、前記レベル計の検出結果に基
づいて夫々判定し、前記注湯手段を所定開度に開放して
行われる前記鋳型への注湯の開始を、前記測温器の測温
結果に基づいて判定し、注湯開始の判定時点から前記所
定レベルへの到達の判定時点までの間は、前記注湯手段
前記所定開度よりも小さい開度に保ち、前記所定レベ
ルへの到達の判定時点から前記引き抜きレベルへの到達
の判定時点までの間は、所定の湯面上昇速度を得るべ
く、前記レベル計の検出結果に基づいて前記注湯手段の
開度を制御することを特徴とする。
【0018】更に加えて、前記鋳型への注湯の開始の判
定は、前記測温器による測温値と、該測温値の時間的な
変化率とが各別の判定基準値を上回ることを条件として
行うことを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明においては、注湯手段を所定開度に開放
して行われる鋳型への注湯開始の判定、即ち、鋳型の内
部に実際に溶湯が注入され始めたか否かの判定を該鋳型
の上部に配した測温器による周辺温度の検出結果に基づ
いて行い、その後、鋳型内部を上昇する湯面レベルが所
定レベル、具体的には、湯面レベル制御用のレベル計に
より検出可能な最低レベルに達したと判定されるまでの
間には、注湯手段を、注湯開始時の開度よりも小さい
度に保ち、鋳型内部の湯面レベルを、略一定の速度又は
予め定めた速度パターンに従って上昇させ、前記所定レ
ベルへの到達の後、レベル計による湯面レベルの検出結
果に基づいて、所定の上昇速度を得るべく注湯手段の開
度を制御し、引き抜きレベルへの到達の検出に応じてダ
ミーバーの引き抜きを開始する。
【0020】前記測温器による測温値は、鋳型内への注
湯の開始に伴って生じる高温の溶湯との対面により急増
し、また鋳型内部での湯面レベルの上昇に応じて、溶湯
表面との接近に伴って増加するため、前記測温値自体と
これの時間的な変化率とが夫々の判定基準値を超えたか
否かを調べることにより、注湯開始の判定を確実に行わ
せることができる。
【0021】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は、本発明に係る連続鋳造のスタート
方法(以下本発明方法という)が適用される連続鋳造設
備の模式的ブロック図である。
【0022】図中Tは、その内部に溶湯3を貯留するタ
ンディッシュであり、該タンディッシュTの下方に適長
離隔した位置には、上下に開口を有する鋳型Mが配設さ
れている。鋳型Mの内部には、タンディッシュTの底面
にその上端を開口させた浸漬ノズル4が延設され、タン
ディッシュT内の溶湯3は、浸漬ノズル4を介して鋳型
Mに注湯されるようになしてある。
【0023】浸漬ノズル4の中途には、これの長手方向
と略直交する面内でのゲート板70の移動により該浸漬ノ
ズル4を開閉して、鋳型Mへの注湯量を調節するスライ
ディングノズル7が固設してある。ゲート板70は、浸漬
ノズル4の内側断面に相当する開口を略中央に有する平
板であり、油圧シリンダを用いてなる開閉シリンダ8の
出力ロッドの先端に連結されている。而して、スライデ
ィングノズル7の開度調節は、開閉シリンダ8の進退動
作によりゲート板70を移動せしめて行われ、鋳型Mへの
注湯量に対応するスライディングノズル7の開度は、開
閉シリンダ8に付設された開度検出器80により、該開閉
シリンダ8の進退位置を媒介として検出されている。
【0024】図1は、操業開始時の状態を示している。
連続鋳造設備の操業は、鋳型Mの下側開口部にダミーバ
ー5を挿入し、内壁との間の間隙に耐火ボード等の密封
材を詰めて密に閉塞した後、スライディングノズル7を
開放して、ダミーバー5のヘッド部5aを疑似底とする鋳
型Mの内部に、タンディッシュT内の溶湯3を注入して
開始される。ダミーバー5は、鋳型Mの下方に延設さ
れ、鋳片引き抜き用のピンチロール6,6間に挾持させ
てあり、ロールモータ60からの伝動によるピンチロール
6,6の回転に応じて下向きに引き抜かれる構成となっ
ている。この引き抜きは、鋳型Mの内部に滞留する溶湯
3のレベルが所定の引き抜きレベルL1 に到達するのを
待って行われる。
【0025】このときダミーバー5のヘッド部5aには、
初期に注湯された溶湯3が凝固して係合し、また鋳型M
内部の溶湯3は、鋳型Mの水冷内壁との接触により、外
側を凝固シェルにより被覆された鋳片となっており、該
鋳片はダミーバー5の引き抜きに伴って下方に引き抜か
れ、これ以降は、適正な厚さの凝固シェルを有する鋳片
が連続的に引き抜かれる通常操業に移行する。なおこの
通常操業は、鋳型M内の溶湯3の湯面レベルを、前記引
き抜きレベルL1 よりもわずかに高い目標レベルLに維
持して行われる。
【0026】鋳型Mの内部に滞留する溶湯3の表面レベ
ルは、レベル検出装置2により検出されている。このレ
ベル検出装置2は、鋳型Mの上側に、内部の溶湯3の表
面に臨ませて配設されたセンサ部20と、該センサ部20の
出力を処理するための渦流信号処理部21及び測温信号処
理部22とを備えてなる。
【0027】図2は、センサ部20の構成を示す断面図で
ある。図示の如くセンサ部20は、基台23の一側(鋳型M
との対向側)に発信コイル24と受信コイル25とを固設
し、両コイル24,25間に測温器26を並設する一方、これ
らの外側をセラミックス等の耐熱材料製の防熱カバー27
により覆い、該防熱カバー27と基台23とにより囲われた
ケース内に冷却ガスを循環せしめ、発信コイル24、受信
コイル25及び測温器26を溶湯3の輻射熱から保護するよ
うにしている。
【0028】発信コイル24及び受信コイル25は、前者に
高周波電流を通電し、これに対向する溶湯3の表面に渦
電流を誘起させ、この渦電流を後者のインピーダンス変
化として捉え、渦流信号処理部21の出力として取り出す
渦流レベル計を構成する。即ち、発信コイル24への通電
により溶湯3表面に誘起される渦電流の強弱は、両者間
の相対距離の長短に略逆比例し、渦流信号処理部21は、
鋳型Mの内部の湯面レベルの高低に対応する信号を発す
ることになる。
【0029】一方測温器26は、鋳型Mの内部に滞留する
溶湯3の保有熱による周辺温度の変化を捉えるものであ
り、熱電対等の適宜の測温手段が用いられている。測温
器26による測温値は、該測温器26と溶湯3の表面との接
近、即ち、鋳型M内での湯面レベルの上昇に伴って増大
する。このような増大は、前述の如く、測温器26が耐熱
性を有する防熱カバー27により覆われ、溶湯3表面の輻
射熱から保護されていることにより実現するものであ
り、測温器26の測温値は、測温信号処理部22において所
定の信号に変換されて出力される。
【0030】以上の如きレベル検出装置2の出力、具体
的には、渦流信号処理部21及び測温信号処理部22の出力
は、開度検出器80により検出されるスライディングノズ
ル7のノズル開度と共にレベル制御部1に与えられてい
る。通常操業中のレベル制御部1は、渦流信号処理部21
の出力、即ち、渦流レベル計による湯面レベルの検出値
を予め設定された目標レベルLと比較し、両者の偏差を
解消するために必要なスライディングノズル7の開度を
演算して、この演算結果を開度指令として開度制御部10
に与える動作をなす。
【0031】開度制御部10は、レベル制御部1から与え
られる開度指令と、開度検出器80から与えられる現状の
ノズル開度との偏差を求め、この偏差を解消すべく開閉
シリンダ8に動作指令を発し、該開閉シリンダ8を進退
動作せしめて、スライディングノズル7の開度調節を行
う公知のサーボ制御部である。而して、レベル制御部1
からの開度指令に応じた開度制御部10の動作により、渦
流レベル計による検出レベルと目標レベルLとの偏差を
解消すべくスライディングノズル7の開度が調節され、
鋳型Mへの注湯量が増減される。
【0032】レベル制御部1の出力は、ピンチロール
6,6の駆動源となるロールモータ60の駆動回路11にも
与えられており、ロールモータ60は、レベル制御部1か
ら与えられる動作指令に応じて駆動され、ピンチロール
6,6を所定の回転速度にて回転せしめる動作をなす。
通常操業中におけるレベル制御部1からの動作指令は、
速度の変更指令も含んでおり、鋳型M内の湯面レベル
は、スライディングノズル7の開度調節による注湯量の
増減と、ロールモータ60の回転制御による鋳片の引き抜
き速度の調節とにより前記目標レベルLに維持される。
【0033】一方レベル制御部1は、前述の如く行われ
る連続鋳造のスタート時に、レベル検出装置2の測温信
号処理部22の出力、即ち、測温器26による周辺温度の測
温値と、渦流信号処理部21の出力、即ち、渦流レベル計
による検出レベルとを用い、本発明方法に従う特徴的な
動作をなし、スライディングノズル7の開度調節により
鋳型Mへの注湯量を加減する。
【0034】前述の如く構成された渦流レベル計は、鋳
型M内の湯面レベルを高精度にしかも高応答に検出し得
る反面、検出可能な範囲が狭いという難点がある。本発
明方法の実施に当たっては、前記引き抜き開始レベルL
1 よりも低い位置に下限レベルL2 を設定し、この下限
レベルL2 から、前記目標レベルLのやや上位置までの
間が検出範囲となるように渦流レベル計を選定する。
【0035】図3及び図4は、連続鋳造のスタート時に
おけるレベル制御部1の動作内容を示すフローチャート
である。連続鋳造のスタートに際しレベル制御部1は、
まず鋳型Mへの注湯を開始すべく、開度制御部10に所定
の開度指令を発し、スライディングノズル7を所定開度
(例えば50%)に開放せしめ(ステップ1)、測温信号
処理部22の出力として与えられる測温器26の測温値Tを
所定のサンプリング間隔にて取り込み(ステップ2)、
この測温値Tの時間的変化率(ΔT/Δt)を演算し
(ステップ3)、これらを各別のしきい値TS1、(ΔT
/Δt)S1と夫々比較する(ステップ4,5)。
【0036】前記しきい値TS1及び(ΔT/Δt)
S1は、鋳型Mへの溶湯3の注湯開始を判定するためのも
のであり、多数回の操業実績に基づいて決定される。図
5は、測温器26の測温値Tの変化状態を示すグラフであ
る。図示の如く測温値Tは、図中にt0 として示す時点
にて注湯が開始された後、それ以前のT0 なる基準温度
から時間経過に略比例して増大し、この変化率は、注湯
量に多少に対応する。前記しきい値(ΔT/Δt)
S1は、十分な量の注湯が確保された状態で得られる温度
変化率として、図中に破線にて示す如く設定されてお
り、また、しきい値ΔTS1は、(ΔT/Δt)S1なる変
化率での温度変化により、注湯開始後、所定時間内に得
られる温度として、前記基準温度T0 を基準として設定
されている。
【0037】即ち、ステップ2において取り込まれる測
温値Tと、ステップ3において得られる(ΔT/Δt)
とが、夫々に対する前記しきい値TS1、(ΔT/Δt)
S1を上回る場合、鋳型Mへの注湯が確実に開始されたと
判定することができる。レベル制御部1は、ステップ
4,5での比較の結果、現状の測温値Tがしきい値Ts
を上回り、測温値Tの時間的変化率(ΔT/Δt)がし
きい値(ΔT/Δt)S1を上回っている場合、内蔵され
たタイマの計時結果により、この状態が所定時間tS1
続されるか否かを調べ(ステップ6)、所定時間tS1
継続を確認した時点において、即ち、図5のt1 時点に
おいて鋳型Mへの注湯が正常に開始されたと判定し、開
度制御部10への開度指令を変更し、スライディングノズ
ル7の開度を減じ、先の開度よりも小さい所定開度に維
持する(ステップ7)。
【0038】以上の動作は、スライディングノズル7に
詰まりが生じ易い注湯開始初期に十分な開度下にて注湯
を行わせて詰まりの発生を回避し、測温器26の検出結果
により正常な注湯が開始されたと判定された場合にスラ
イディングノズル7の開度を減じ、注湯時間の調整を行
わせるためのものである。
【0039】なお、ステップ4,5及び6での判定のい
ずれかが否である場合、スライディングノズル7の開放
時点からの経過時間tを調べ(ステップ8)、この時間
が所定の基準時間tmax1を超えている場合、即ち、スラ
イディングノズル7の開放時点からの経過時間がtmax1
に達したにも拘わらず、前記各条件が満足されない場
合、レベル制御部1は、スライディングノズル7の詰ま
り等の要因により、以降の動作、及びその後の操業に支
障を来すと判定し、開度制御部10に閉止指令を発し、ス
ライディングノズル7を閉止せしめると共に、警報の発
生等の異常報知動作を行い(ステップ9)、その動作を
停止する。
【0040】前記ステップ7において設定されるスライ
ディングノズル7の所定開度は、例えば、鋳型M内部の
溶湯3のレベルが、3〜30mm/sec前後の一定速度にて変
化するように、鋳型M、スライディングノズル7のサイ
ズを用いて予め決定された開度であってよい。この場
合、スライディングノズル7の開度は、注湯の開始が確
認された後、前記所定開度にて一定に維持され、鋳型M
内の湯面レベルは、前記所定開度の決定に用いられた速
度を保って上昇するようになる。
【0041】また前記所定開度は、予め設定された所定
の開度パターンに従って変更される開度であってもよ
い。この変更は、例えば、タンディッシュTの内部に残
る溶湯3の重量変化、又は、注湯開始時点からの経過時
間を基準として行うことができる。なお、タンディッシ
ュT内部の溶湯3の重量は、操業管理に必要な状態量と
して一般的な連続鋳造設備において検出対象となってお
り、溶湯3の残量を基準とするスライディングノズル7
の開度変更は、この検出結果をレベル制御部1に与える
ことにより容易に実施できる。また、注湯開始時点から
の経過時間を基準とするスライディングノズル7の開度
変更は、レベル制御部1に内蔵されたタイマによる計時
を利用して容易に実施できる。
【0042】以上の如き所定開度を実現した後、レベル
制御部1は、渦流レベル計の出力、具体的には、渦流信
号処理部21の出力を取り込み(ステップ10)、渦流レベ
ル計によるレベル検出が可能か否かを判定する(ステッ
プ11)。このステップは、鋳型M内部を上昇する溶湯3
の表面レベルが、渦流レベル計により検出可能なレベ
ル、即ち、前記下限レベルL2 に達したか否かを判定す
るステップであり、この判定は、例えば、渦流信号処理
部21の出力を所定の判定基準値と比較することにより行
われる。
【0043】ステップ11において検出可能との判定がな
された場合、レベル制御部1は、渦流レベル計の出力、
具体的には、渦流信号処理部21の出力を、鋳型M内部の
湯面レベルを示すものとして逐次取り込み(ステップ1
2)、この検出レベルの変化状態、即ち、鋳型M内での
湯面の上昇速度を求め、これを予め設定された目標速度
に保つべく、開度制御部10への開度指令を変更し、スラ
イディングノズル7の開度を増減する開度制御動作をな
す(ステップ13)。
【0044】前記目標速度は、下限レベルL2 に到達す
るまでの間の上昇速度よりもやや小さく、鋳型Mのサイ
ズに応じて2〜20mm/sec程度に設定されており、この速
度は渦流レベル計の検出結果に基づくスライディングノ
ズル7の開度変更により、正しく一定に保つことができ
る。
【0045】なお、ステップ11での判定が否である場
合、レベル制御部1は、スライディングノズル7の開放
時点からの経過時間tを調べ(ステップ14)、この時間
が所定の基準時間tmax2を超えている場合、以降の動
作、及びその後の操業に支障を来すと判定し、前記ステ
ップ9に戻り、スライディングノズル7を閉止せしめる
と共に、警報の発生等の異常報知動作を行い、その動作
を停止する。
【0046】以上の如き開度制御動作の間、レベル制御
部1は、渦流レベル計による検出レベルが引き抜きレベ
ルL1 に達したか否かを調べ(ステップ15)、引き抜き
レベルに達した時点にてロールモータ60に駆動指令を発
し、ピンチロール6,6の回転によりダミーバー5の引
き抜きを開始させ(ステップ16)、本発明方法に従うス
タート動作を完了する。
【0047】ダミーバー5の引き抜きは、予め設定され
た所定の昇速パターンに従って速度を増しつつ行われ、
またレベル制御部1は、前述した如く、鋳型M内部の湯
面レベルを前記目標レベルLに維持するレベル制御動作
をなし、タンディッシュTから注入される溶湯3が鋳型
Mの水冷内壁との接触により凝固し、外側を適正な厚さ
の凝固シェルにより覆われてなる鋳片として、ダミーバ
ー5に続いて連続的に引き抜かれるようになり、前述し
た通常操業に移行される。
【0048】図6は、本発明方法を実施した場合の湯面
レベル及び湯面上昇速度の変化状態を示すグラフであ
る。注湯開始時点t0 においては、スライディングノズ
ル7が大開度(略50%)にまで開放されるため、湯面レ
ベル及び湯面上昇速度は急激に増加し、このような増加
に応じた測温器26の測温値の変化に基づいて注湯が開始
されたと判定された時点t1 において、スライディング
ノズル7の開度が減じられ、この開度近傍の所定開度に
維持される結果、湯面レベルは、予め定めた速度にて上
昇し、予定された時点t2 の近くで下限レベルL2 に到
達する。
【0049】この到達は、渦流レベル計の検出結果に基
づいて判定され、これ以降は、渦流レベル計による検出
レベルを用いてスライディングノズル7の開度が制御さ
れる結果、湯面は、先の速度よりも低く、スライディン
グノズル7に詰まりが生じる虞れのない所定の速度を正
しく維持して上昇し、引き抜きレベルL1 への到達時点
3 においてダミーバー5の引き抜きが開始される。こ
の後においても、通常操業時の目標レベルLに達するま
での間は湯面レベルは上昇するが、目標レベルLへの到
達時点t4 以降は、この目標レベルLを維持すべく行わ
れる湯面レベル制御の実施により整定し、湯面上昇速度
は略零に保たれる。
【0050】なお本実施例においては、浸漬ノズル4の
中途に配したスライディングノズル7を鋳型Mへの注湯
手段として用いたが、タンディッシュT内の浸漬ノズル
4の開口端をストッパ棒により開閉する構成としたスト
ッパ装置等、他の注湯手段を用いてもよいことは言うま
でもない。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明方法において
は、鋳型の上側に内部の溶湯表面に臨ませてレベル計と
測温器とを配し、レベル計による検出範囲を外れた位置
にて行われる注湯の開始を測温器の検出結果に基づいて
判定し、またレベル計の検出範囲の下限に相当する所定
レベルへの到達をレベル計の検出結果に基づいて判定
し、この間は、鋳型への注湯手段の開度を注湯開始時の
開度よりも小さい開度に維持するから、前記所定レベル
への到達までの時間を略正確に管理でき、更に所定レベ
ルへの到達の以降は、レベル計の検出結果に基づいて注
湯手段の開度制御を行うから、引き抜きレベルへの到達
の判定とこの到達までの時間管理とが、正確に、しかも
注湯手段の極端な開度変更を強いることなく行えるよう
になり、鋳型への注湯開始からダミーバーの引き抜き開
始までの一連のスタート過程を無理なく自動化でき、連
続鋳造法の省力化に寄与できる。
【0052】また、鋳型への注湯開始の判定は、測温器
の検出結果と、これの時間的な変化率とが夫々の判定基
準値を超えたか否かを調べることによりなされるから、
複雑な演算を要することなく正確な判定が可能となり、
制御系の構成を大幅に簡素化できる等、本発明は優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法が適用される連続鋳造設備の模式的
ブロック図である。
【図2】本発明方法の実施に用いるレベル検出装置のセ
ンサ部の拡大断面図である。
【図3】本発明方法の実施手順を示すフローチャートで
ある。
【図4】本発明方法の実施手順を示すフローチャートで
ある。
【図5】注湯開始後における測温器の測温値の変化状態
を示すグラフである。
【図6】本発明方法の実施による湯面レベル及び湯面上
昇速度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レベル制御部 2 レベル検出装置 3 溶湯 5 ダミーバー 6 ピンチロール 7 スライディングノズル 8 開閉シリンダ 10 開度制御部 20 センサ部 21 渦流信号処理部 22 測温信号処理部 24 発信コイル 25 受信コイル 26 測温器 27 防熱カバー 80 開度検出器 M 鋳型 T タンディッシュ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/08 B22D 11/16 104 B22D 11/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダミーバーにより下部を閉塞された連続
    鋳造用の鋳型の内部に開度調節が可能な注湯手段を経て
    注湯を開始し、鋳型内にて上昇する湯面が所定の引き抜
    きレベルに到達した時点で前記ダミーバーを引き抜く連
    続鋳造のスタート方法において、前記鋳型の上側に内部
    の湯面に臨ませてレベル計と測温器とを配し、前記引き
    抜きレベルへの到達と、該引き抜きレベルよりも低い所
    定レベルへの到達とを、前記レベル計の検出結果に基づ
    いて夫々判定し、前記注湯手段を所定開度に開放して行
    われる前記鋳型への注湯の開始を、前記測温器の測温結
    果に基づいて判定し、注湯開始の判定時点から前記所定
    レベルへの到達の判定時点までの間は、前記注湯手段を
    前記所定開度よりも小さい開度に保ち、前記所定レベル
    への到達の判定時点から前記引き抜きレベルへの到達の
    判定時点までの間は、所定の湯面上昇速度を得るべく、
    前記レベル計の検出結果に基づいて前記注湯手段の開度
    を制御することを特徴とする連続鋳造のスタート方法。
  2. 【請求項2】 前記鋳型への注湯の開始の判定は、前記
    測温器による測温値と、該測温値の時間的な変化率とが
    各別の判定基準値を上回ることを条件として行う請求項
    1記載の連続鋳造のスタート方法。
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