JP2638369B2 - 連続鋳造用鋳型の注湯方法 - Google Patents

連続鋳造用鋳型の注湯方法

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JP2638369B2
JP2638369B2 JP35550391A JP35550391A JP2638369B2 JP 2638369 B2 JP2638369 B2 JP 2638369B2 JP 35550391 A JP35550391 A JP 35550391A JP 35550391 A JP35550391 A JP 35550391A JP 2638369 B2 JP2638369 B2 JP 2638369B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造用の鋳型への
注湯方法に関し、特に、スラブ用の鋳型等の広幅の鋳型
への浸漬ノズルによる注湯方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法は、上下に開口を有する筒形
の鋳型に溶融金属(溶湯)を注入し、該鋳型の水冷され
た内壁に接触せしめて冷却し、外側を凝固シェルにて被
覆された鋳片を得て、これを鋳型の下側開口部から連続
的に引き抜きつつ更に冷却し、内側にまで凝固が進行し
た後に所定の寸法に切断して、圧延等の後工程での素材
となる製品鋳片を得る方法である。
【0003】鋳型への溶湯の注入(注湯)は、これの上
方に配されて溶湯を貯留するタンディッシュから延設さ
れた注湯ノズルを介して行われており、この注湯ノズル
としては、鋳型の内部に滞留する溶湯中にその先端を所
定長浸漬させてあり、内部を流れる溶湯と外気との接触
を防止し得るようになした浸漬ノズルが広く用いられて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上の如く
行われる連続鋳造用鋳型の注湯においては、浸漬ノズル
の内部を流れる溶湯の地金、及び溶湯中に含まれるアル
ミナが内壁に付着して堆積し、流路の閉塞、所謂ノズル
詰まりを招来する問題があり、操業を継続するためにノ
ズル及びタンディッシュの頻繁な交換を強いられ、この
ことが連続鋳造法の生産性を阻害する要因となってい
る。
【0005】なおこのノズル詰まりは、溶湯の流れに淀
みが生じる部位に発生し易く、タンディッシュ内部への
浸漬ノズルの開口端(吸込口)の近傍において特に顕著
であり、また、広幅のスラブ用の鋳型への注湯を行うた
めの浸漬ノズルにおいては、この鋳型の幅方向両側に向
けて開口する複数の吐出口を備え、内部を流下する溶湯
が両側の吐出口に向けて流れ方向を変えることから、こ
れらの吐出口の近傍にも顕著なノズル詰まりが発生す
る。
【0006】このようなノズル詰まりに対する従来の対
策として、浸漬ノズルの内部にアルゴンガスを吹き込み
つつ注湯を行う方法、及び浸漬ノズルを加熱しつつ注湯
を行う方法(特開昭54-6816 号公報)がある。ところが
これらの方法はいずれも、浸漬ノズルの中途部分を対象
としているのに対し、前述の如く実際のノズル詰まり
は、基端側の吸込口及び先端側の吐出口の近傍に集中す
ることから、これらのノズル詰まりを効果的に解消する
ことは難しい。
【0007】また、特開昭60-250862 号公報には、吸込
口近傍におけるノズル詰まりの防止方法が開示されてい
る。この方法は、吸込口近傍に周設したコイルに高周波
電流を通電し、これによりノズルの内部に生じる磁界の
作用により、導電体である溶湯の流れをノズルの内壁か
ら浮かせた状態に保持しつつ注湯を行い、ノズルの内壁
と溶湯との直接的な接触をなくし、ノズル詰まりの発生
を防止しようとするものである。
【0008】ところがこの方法の実施に際しては、ノズ
ルの内壁と溶湯との間の間隙が、鋳型への注湯量、タン
ディッシュ内部の貯留量、ノズルの内径等の注湯条件に
応じて異なることから、操業中に常時適正な間隙を確保
することは困難であり、実際にはノズル内壁への溶湯の
接触が生じ、ノズル詰まりの発生を防ぎ得ない難点があ
った。
【0009】一方、前記吐出口近傍でのノズル詰まり
は、ノズルの先端での流れ方向の変化に起因することか
ら、ノズル先端面の全面を吐出口とし、溶湯の流れを直
線的にすることにより緩和される。ところがこのような
浸漬ノズルを用いた場合、注湯の流れが鋳型の深部にま
で達し、鋳型内に滞留する溶湯の表面に浮上し難くなる
結果、滞留溶湯の表面温度が低下し、該表面での皮張り
が阻害され、また、該表面に供給されるパウダの滓化不
良が引き起こされて、製品鋳片の品質低下を招来する問
題が生じる。
【0010】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、連続鋳造用の鋳型、特にスラブ用の鋳型等の広
幅の鋳型に浸漬ノズルにより注湯を行うに際し、ノズル
各部における詰まりの発生を有効に回避でき、長期間に
亘って良好な注湯状態を維持し得る注湯方法を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明に係る
連続鋳造用鋳型の注湯方法は、連続鋳造用の鋳型に、該
鋳型上方のタンディッシュから延設された浸漬ノズルに
より溶湯を注入する方法において、タンディッシュの内
部に開口する浸漬ノズルの吸込口近傍に制御コイルを周
設し、該制御コイルへの通電により前記吸込口の中心に
向かう電磁力を生ぜしめ、該吸込口の近傍での溶湯の流
れを浸漬ノズルの内壁との間に間隙を隔てて保持すると
共に、前記吸込口の近傍と該吸込口の下方に所定長離隔
した位置とに一対のコイルを埋設し、一方のコイルに低
周波の励磁電流を通電して磁場を生ぜしめ、該磁場によ
り他方のコイルに誘起される誘導電流を捉え、該誘導電
流と前記励磁電流との間の位相差及び/ 又は強度差を検
出し、該検出結果に基づいて前記間隙の大きさを演算し
て、該演算結果を所定の目標値に保つべく前記制御コイ
ルの通電を制御することを特徴とする。
【0012】更に本発明の第2発明に係る連続鋳造用鋳
型の注湯方法は、連続鋳造用の鋳型に、該鋳型の上方の
タンディッシュから延設された浸漬ノズルにより溶湯を
注入する方法において、前記鋳型の内部に先端部全面が
開口された吐出口を備えた浸漬ノズルを用いると共に、
該吐出口の下部に臨ませて前記鋳型にコイルを埋設し、
該コイルへの通電により上向きの電磁力を生ぜしめ、前
記吐出口から流出する溶湯の流れを制動することを特徴
とする。
【0013】
【作用】本発明の第1発明においては、浸漬ノズルの吸
込口の近傍及びこれの下方に埋設した一対のコイルの一
方(送信コイル)への励磁電流の通電により発生する磁
場のエネルギが、浸漬ノズルの周壁、これの内部の溶
湯、及び両者間の間隙を伝播して他方(受信コイル)に
誘起する誘導電流には、磁場の伝播経路の相違、特に前
記間隙の大小に応じた位相遅れ及び強度低下が生じるこ
とを利用して、励磁電流と誘導電流との間の位相差及び
/又は強度差から間隙の大きさを演算し、この結果を所
定値に保つべく制御コイルの通電電流を制御することに
より、吸込口近傍での溶湯の流れと浸漬ノズルの内壁と
の間に常に適正な間隙を維持して、吸込口近傍でのノズ
ル詰まりの発生を回避する。
【0014】また本発明の第2発明においては、先端部
全面に開口された吐出口を備えた浸漬ノズルを用いて吐
出側でのノズル詰まりを緩和する一方、前記吐出口の下
部に臨ませたコイルへの通電により生じる上向きの電磁
力により、吐出口から下向きに流出する溶湯の流れを制
動して上向きに転換させ、鋳型内部の溶湯表面への浮上
を促進し、該表面での皮張りの阻害及びパウダの滓化不
良を解消して、製品鋳片の品質低下を防ぐ。
【0015】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は本発明に係る連続鋳造用鋳型の注湯
方法(以下本発明方法という)の実施状態を示す模式図
である。
【0016】図中1は、上下に開口を有し筒形をなす連
続鋳造用の鋳型である。該鋳型1には、これの上方に配
したタンディッシュ2の内部に貯留された溶湯3が、該
タンディッシュ2の下方に延設された浸漬ノズル4を経
て注湯されており、この溶湯3は、鋳型1の内部に滞留
する間に、該鋳型1の水冷された内壁と接触して冷却さ
れ、凝固シェル5aにより外側を被覆された鋳片5とな
り、鋳型1の下側開口部から下方に連続的に引き抜かれ
る。タンディッシュ2の底面に開口する浸漬ノズル4の
吸込口4aは、これの上部にその先端を臨ませたストッパ
6の昇降により開閉され、鋳型1への注湯量が調節され
るようになっている。
【0017】浸漬ノズル4の上部外側には、前記吸込口
4aの周囲を囲繞する態様にて制御コイル7が周設してあ
る。この制御コイル7は、高周波発振器70に接続してあ
り、該発振器70の出力である高周波電流の通電により励
磁され、この通電量に対応する強さの磁界を形成して、
浸漬ノズル4の内部を流れる溶湯3に中心部に向かう電
磁力を付与し、溶湯3の流れを浸漬ノズル4の内壁との
間に間隙を隔てて保持する作用をなす。
【0018】また浸漬ノズル4の周壁には、前記吸込口
4aの近傍に送信コイル10が、これの下方に適長離隔した
位置に受信コイル11が夫々埋設してある。送信コイル10
は、低周波発振器12に接続してあり、該発振器12の出力
である低周波電流の通電により励磁されて、その周辺に
磁場を形成する作用をなす。この磁場のエネルギは、後
述の如く伝播して受信コイル11に達し、これにより受信
コイル11に誘起される誘導電流は、増幅器13を経て位相
差検出器14に与えられている。
【0019】位相差検出器14には、前記低周波発振器12
の出力もまた与えられており、該位相差検出器14は、送
信コイル10に通電される励磁電流と受信コイル11に誘起
される誘導電流との間の位相差を求め、この結果を演算
制御部15に出力する。
【0020】位相差検出器14の出力である前記励磁電流
と誘導電流との間の位相差は、後述の如く、両コイル1
0,11の埋設位置間において浸漬ノズル4の内壁とこれ
の内部の溶湯3との間に生じている間隙の大小に対応す
る。演算制御部15は、位相差検出器14の出力を用いて前
記間隙の大きさを演算し、この演算結果を表示部16に出
力し、該表示部16上に表示させると共に、演算結果を予
め設定された目標値と比較し、この比較結果に基づいて
前記制御コイル7に接続された高周波発振器70に制御信
号を発する動作をなす。
【0021】この制御信号は、前記演算結果が目標値を
下回っている場合に制御コイル7への通電量を増し、逆
に適正値を上回っている場合に制御コイル7への通電量
を減じるものであり、制御コイル7への通電量の増減
は、浸漬ノズル4の内部を流れる溶湯3に中心部に向け
て付与される電磁力を増減し、溶湯3の流れと浸漬ノズ
ル4の内壁との間の間隙を増減する作用をなすから、演
算制御部15での間隙の大きさの演算が正しく行われた場
合、吸込口4a近傍の内壁と溶湯3の流れとの間の間隙を
適正な幅に維持でき、両者の接触を完全に断つことが可
能となって、吸込口4a近傍でのノズル詰まりの発生は回
避される。
【0022】演算制御部15における演算は、以下に示す
原理に従って行われる。図2は、この原理の説明図であ
る。送信コイル10が、前述の如き励磁電流の通電に応じ
て発生する磁場は、これらの図中に白抜矢符にて示す如
く、浸漬ノズル4の周壁を直接伝播する第1の経路、浸
漬ノズル4の周壁内面と溶湯3との間の間隙Aを伝播す
る第2の経路、及び溶湯3の内部を伝播する第3の経路
を夫々経て受信コイル11に達し、該受信コイル11に誘導
電流を誘起する。
【0023】このとき第1の経路、即ち、浸漬ノズル4
の周壁を直接伝播する磁場は、そのエネルギの減衰程度
が大きく、送信コイル10と受信コイル11との離隔距離が
所定長を超えると無視出来るレベルとなる。また、非導
電体である間隙Aからなる第2の経路を伝播する磁場エ
ネルギと、導電体である溶湯3からなる第3の経路を伝
播する磁場エネルギとを比較した場合、前者は後者に比
して位相遅れが少ないことから、これら双方の伝播によ
り受信コイル11に誘起される誘導電流の位相遅れは、第
2の経路を構成する間隙Aの幅の増加に伴って減少す
る。
【0024】従って、浸漬ノズル4及び溶湯3の夫々と
同種の金属を用いた予備試験を実施し、両者間の間隙A
の幅を種々に変えて各場合に生じる位相差を調べ、この
結果を演算制御部15に記憶させておけば、該演算制御部
15においては、連続鋳造設備の操業中に得られる位相差
検出器14の出力を用い、吸込口4aの近傍において浸漬ノ
ズル4の内壁と溶湯3の流れとの間に生じている間隙の
大きさの演算が可能となる。
【0025】以上の原理は、本願出願人により特願平2-
298536号に提案された「金属体の面間間隙計測方法」に
基づくものであり、本発明方法においては、吸込口4a近
傍の内壁と溶湯3の流れとの間の間隙をオンラインにて
知ることができ、この結果に基づいて中心に向けて溶湯
3に加わる電磁力が増減される結果、前記間隙を適正な
幅に維持しての注湯が可能となり、吸込口4a近傍でのノ
ズル詰まりの発生は略完全に回避される。前記間隙の適
正幅は、少なくとも 1.0mm以上とする必要があり、好ま
しくは 1.5mm以上とするのがよい。
【0026】なお、送信コイル10と受信コイル11との離
隔距離を前記第1の経路の伝播エネルギが十分小さくな
るように設定した場合、受信コイル11の受信結果中に生
じる浸漬ノズル4による電磁的な影響は排除されるか
ら、送信コイル10及び受信コイル11の浸漬ノズル4の内
壁面からの埋設深さは適宜に設定でき、両コイル10,11
が高温の溶湯3からの熱放射による損傷を防ぐことがで
きる。
【0027】また、受信コイル11に誘起される誘導電流
には、前述した磁場エネルギの伝播経路の相違に応じた
強度低下もまた生じるから、前記位相差検出器14に換え
て強度差検出器を設け、これの出力を用いて間隙幅の演
算を行わせるようにしてもよい。
【0028】さて一方、図1に示す如く前記浸漬ノズル
4は、その先端部(下端部)の全面を開口させてなる吐
出口4bを備えており、鋳型1の短辺には、この吐出口4b
のやや下方に位置してコイル8が埋設してある。このコ
イル8は、高周波発振器80に接続してあり、該発振器80
の出力である高周波電流の通電により励磁され、この通
電量に対応する強さの磁界を形成し、鋳型1の内部の溶
湯3に、上向きの電磁力を付与するようになしてある。
コイル8への通電は、連続鋳造設備の操業中、常時一定
のレベルにて行われている。
【0029】而して、浸漬ノズル4の内部を流下する溶
湯3の流れは、該浸漬ノズル4の先端に開口する前記吐
出口4bから下向きに流出し、図中に破線の矢符にて示す
如く鋳型1の内部に深く進入しようとするが、この流れ
には、前記コイル8の通電に伴う上向きの電磁力が前記
進入を妨げる制動力として作用するから、吐出口4bから
流出する溶湯3の流れは、図中に矢符にて示す如く上向
きの流れに転換せしめられ、鋳型1の内部に滞留する溶
湯3の表面に速やかに浮上する。
【0030】つまり、先端の全面に開口する吐出口4bを
備えた浸漬ノズル4の採用により、吐出口4b近傍でのノ
ズル詰まりの発生を防ぐことができ、このような浸漬ノ
ズル4の使用に伴う問題、即ち、鋳型1内部の溶湯3表
面での皮張りの阻害、及び溶鋼2の表面に供給されてい
るパウダ9の滓化不良の問題は、コイル8への通電によ
り生じる電磁力の作用により解消されるから、製品鋳片
の品質低下を招来することなく吐出側でのノズル詰まり
を防止できる。
【0031】最後に、以上の如き本発明方法の効果を調
べるため、1600w×200tなるサイズのスラブを製造する
湾曲半径が10mの1点矯正型連続鋳造設備において、本
発明方法と従来の方法とにより同一条件下での連鋳試験
を行い、両者を比較した結果について述べる。なお、鋳
込速度は3.0m/minであり、試験に用いた材料は、表1に
示す如き組成を有する低炭材である。
【0032】
【0033】なおこの試験における本発明方法は、制御
コイル7への通電により浸漬ノズル4の中心部において
7000ガウスの前後で変化する磁場を生ぜしめ、また鋳型
1に埋設したコイル8への通電により、吐出口4bの開口
位置に4500ガウスの一定磁場を生ぜしめる条件にて実施
した。
【0034】図3に本発明方法と従来法とにおけるノズ
ル開度の時間的変化の様子を示す。本図の縦軸はノズル
開度を、横軸はタンディッシュ2及びこれの底部の浸漬
ノズル4を交換することなく行った操業の回数、所謂連
々回数を示している。本図に示す如く従来法において
は、4連鋳目の中途から所定の鋳込速度(3.0m/min)を
維持するためにノズル開度が大きくなり始め、6連鋳目
の終了前にはノズル開度が80%を超え、以降の制御が困
難となって操業を中止せざるを得なくなったのに対し、
本発明方法においては、7連鋳目においても1連鋳目と
略等しい溶湯とノズルの断面積比により所定の鋳込速度
を維持でき、ノズル詰まりが殆ど発生しないことがわか
る。
【0035】また、本発明方法と従来法とにより夫々得
られたスラブ中の介在物の混入状態を比較した結果を図
4に示す。この比較は、両スラブの同一の断面位置にお
いて採取した同一の大きさのサンプルに対するミクロ検
鏡検査により介在物の個数を数え、これを一定面積当た
りの個数に換算した値(介在物指数)によって行ったも
のであり、本発明方法の優位性は本図から明らかであ
る。
【0036】これは、浸漬ノズル4の内壁におけるアル
ミナ等の介在物の付着量が少なく、この付着物が離脱し
て溶湯3と共に鋳型1内に流入し、該鋳型1から引き抜
かれる鋳片5中に混入する虞が少ない上、浸漬ノズル4
の吐出口4bに臨ませたコイル8が形成する磁界の作用に
より、鋳型1に流入する溶湯3の流れが上向きに転換さ
れて、溶湯3中に混入する介在物が、鋳型1内に滞留す
る溶湯3の表面に浮き上がり、該表面を覆うパウダ9に
捕捉されるためである。即ち本発明方法によれば、製品
スラブの清浄度を増す付加的な効果も得られる。
【0037】更に、浸漬ノズル4の内壁とこれの内部の
溶湯3との間の間隙の大きさの適正値を求めるべく、制
御コイル7への通電により形成される磁場の強度を変
え、種々に異なる大きさの間隙を保って1チャージの操
業を行い、浸漬ノズル4内壁の付着物の厚さを測定する
試験を行った。この結果を図5に示す。
【0038】本図から、浸漬ノズル4の内壁とこれの内
部の溶湯3との間の間隙を 1.0mm以下とした場合には付
着物の厚さは大きく、ノズル詰まりの解消に殆ど役立た
ないのに対し、前記間隙を 1.0mm以上とした場合に付着
物の厚さが激減することがわかる。これは、制御コイル
7への通電により形成される磁場内においても、前記間
隙が 1.0mm以下である場合、溶湯3が完全な棒状をなし
て保持されなくなり、局所的な膨らみが生じて浸漬ノズ
ル4の内壁との接触が生じるからである。
【0039】即ち、ノズル詰まりを有効に防止するため
には、前記接触を回避すべく少なくとも 1.0mm以上、好
ましくは 1.5mm以上の間隙を確保する必要があり、本発
明方法においては、演算制御部15の演算結果と比較する
目標値を 1.5mm以上に設定し、この目標値を維持すべく
制御コイル7への通電制御を行うことにより、適正な間
隙の維持が可能であり、ノズル詰まりを有効に防止でき
る。
【0040】なお制御コイル7への通電量は、浸漬ノズ
ル4の断面積、更に詳しくは、該浸漬ノズル4の内部を
流れる溶湯3の流れの断面積に応じて異なる。浸漬ノズ
ル4の中心における磁場強度の必要量を調べた結果を表
2に示す。制御コイル7の通電量は、表2に示された磁
場強度を得るために必要な通電量を基準として設定すれ
ばよい。
【0041】
【0042】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明方法において
は、浸漬ノズルの吸込口近傍及びこれの下方に埋設した
一対のコイルの一方を送信コイルとし、他方を受信コイ
ルとして、前者への通電により発生する磁場のエネルギ
の伝播により後者に誘起される誘導電流を捉えて、吸込
口近傍での溶湯の流れと浸漬ノズルの内壁との間の間隙
の大きさを求め、この結果を適正範囲に維持すべく前記
吸込口に周設した制御コイルへの通電量を制御して、こ
の通電により生じる電磁力の作用により、吸込口周辺の
溶湯の流れを保持するから、吸込口周辺における浸漬ノ
ズルの内壁への溶湯の接触を回避でき、吸込口近傍での
ノズル詰まりの発生を防止できる。
【0043】また、浸漬ノズルの吐出口に臨ませて鋳型
に埋設したコイルへの通電により、上向きの電磁力を生
ぜしめ、吐出口から流出する溶湯の流れを制動して上向
きに転換させるから、先端部の全面に開口する吐出口を
備えた浸漬ノズルを製品鋳片の品質低下を招来すること
なく用いることができ、吐出側でのノズル詰まりの発生
を防止できる。
【0044】即ち本発明方法によれば、連鋳設備の操業
中に生じるノズル詰まりの発生を吸込側及び吐出側の夫
々において有効に防止でき、長期間に亘って良好な注湯
状態を維持し得ることになり、タンディッシュ及び浸漬
ノズルの交換頻度の減少により生産性の大幅な向上が図
れる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施状態を示す模式図である。
【図2】間隙の大きさの演算原理の説明図である。
【図3】本発明方法と従来法とにおけるノズル開度の時
間的変化の様子を比較した結果を示す図である。
【図4】本発明方法と従来法とにより夫々得られたスラ
ブ中の介在物の混入状態を比較した結果を示す図であ
る。
【図5】磁場強度と付着物の量との相関関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 鋳型 2 タンディッシュ 3 溶湯 4 浸漬ノズル 4a 吸込口 4b 吐出口 7 制御コイル 8 コイル 10 送信コイル 11 受信コイル 12 低周波発振器 14 位相差検出器 15 演算制御部 70 高周波発振器 80 高周波発振器

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造用の鋳型に、該鋳型上方のタン
    ディッシュから延設された浸漬ノズルにより溶湯を注入
    する方法において、タンディッシュの内部に開口する浸
    漬ノズルの吸込口近傍に制御コイルを周設し、該制御コ
    イルへの通電により前記吸込口の中心に向かう電磁力を
    生ぜしめ、該吸込口の近傍での溶湯の流れを浸漬ノズル
    の内壁との間に間隙を隔てて保持すると共に、前記吸込
    口の近傍と該吸込口の下方に所定長離隔した位置とに一
    対のコイルを埋設し、一方のコイルに低周波の励磁電流
    を通電して磁場を生ぜしめ、該磁場により他方のコイル
    に誘起される誘導電流を捉え、該誘導電流と前記励磁電
    流との間の位相差及び/又は強度差を検出し、該検出結
    果に基づいて前記間隙の大きさを演算して、該演算結果
    を所定の目標値に保つべく前記制御コイルの通電を制御
    することを特徴とする連続鋳造用鋳型の注湯方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造用の鋳型に、該鋳型の上方のタ
    ンディッシュから延設された浸漬ノズルにより溶湯を注
    入する方法において、前記鋳型の内部に先端部全面が開
    口された吐出口を備えた浸漬ノズルを用いると共に、該
    吐出口の下部に臨ませて前記鋳型にコイルを埋設し、該
    コイルへの通電により上向きの電磁力を生ぜしめ、前記
    吐出口から流出する溶湯の流れを制動することを特徴と
    する請求項1記載の連続鋳造用鋳型の注湯方法。
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