JPH0616818A - カチオン電着性ゲル化微粒子及びそれを含むカチオン電着塗料組成物 - Google Patents

カチオン電着性ゲル化微粒子及びそれを含むカチオン電着塗料組成物

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JPH0616818A
JPH0616818A JP21869992A JP21869992A JPH0616818A JP H0616818 A JPH0616818 A JP H0616818A JP 21869992 A JP21869992 A JP 21869992A JP 21869992 A JP21869992 A JP 21869992A JP H0616818 A JPH0616818 A JP H0616818A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエ
ポキシ樹脂アミン付加物を水分散化し且つ粒子内架橋せ
しめてなるカチオン電着性ゲル化微粒子および該ゲル化
微粒子を含有するカチオン電着塗料組成物。 【効果】 該ゲル化微粒子は塗膜の防食性に優れ、カチ
オン電着塗料のレオロジーコントロール剤として有用で
あり、また、該電着塗料組成物は、エツジカバー性に優
れており、エツジ部の防錆性を向上させることができる
と共に、塗面平滑性の良好な塗膜を形成することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカチオン電着性ゲル化微
粒子に関し、さらに詳細には、加水分解性アルコキシシ
ラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物を水分散化
し、且つ粒子内架橋せしめてなるカチオン電着性ゲル化
微粒子、並びに該ゲル化微粒子を含有する、特に平滑性
にすぐれ、しかも角部や突起部などのエツジ部分にも肉
厚な塗膜を形成しうるカチオン電着塗料組成物に関す
る。
【0002】
【従来技術】粒子内の架橋反応によりゲル化された微粒
子重合体及びその製造方法は従来から広く知られてお
り、例えば、少なくとも2個のエチレン性二重結合を含
む架橋用単量体を含有する単量体混合物を水系で乳化重
合せしめる方法(英国特許第967051号明細書、特
開昭63−63761号公報参照);グリシジル(メ
タ)アクリレートと(メタ)アクリル酸などを含有する
単量体混合物を分散安定剤を用いて非水系で分散重合せ
しめると同時にこれらの官能基を反応せしめる方法(特
公昭57−34846号公報参照)などがあげられる。
【0003】特に、水系でアルコキシシランモノマーを
用いてゲル化微粒子重合体を製造する方法としては、ア
ルコキシシランモノマーと他のモノマーの混合物を水系
媒体中で非反応性界面活性剤を用いて乳化重合する方法
(特開昭60−181173号公報参照)、アルコキシ
シランモノマー、(メタ)アクリル酸およびその他のモ
ノマーを共重合した後水分散せしめてアルミ建材用つや
消し電着塗膜を形成する方法(特開昭59−67396
号公報参照)、アルコキシシラン基とカルボキシル基と
を含有するアクリル重合体とコロイド状シリカを組み合
わせた水溶液組成物(特公昭61−47178号公報参
照)、アルコキシシラン基とカチオン性基を含有するア
クリル共重合体を水分散化し、粒子内架橋せしめる方法
(特願昭62−54141号公報参照)等が提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】従来の方法によって
得られるゲル化微粒子重合体は、塗料組成物に添加され
てレオロジー特性や物理特性に影響を及ぼし、その結果
塗料のスプレー効率、塗膜のたれ防止、金属性顔料のパ
ターンコントロール等の改善に寄与する。
【0005】他方、自動車工業を中心に広く用いられて
いるカチオン電着塗料は、それ自体防食性に優れたもの
であるが、被塗物のエッジ部の塗装膜厚が厚くならずエ
ッジカバー性が劣るという欠点があり、その改良が望ま
れている。
【0006】そこで、本発明者らは上記問題点を解決す
るため、カチオン電着塗料に前記したゲル化微粒子重合
体を適用すべく検討を行なったが、従来公知のゲル化微
粒子重合体は、多くは非水系分散物であるか、或いは水
系分散物であったとしても非反応性界面活性剤を用いて
乳化重合して得られるアニオン系もしくはノニオン系分
散物であって、カチオン電着塗料に用いることが通常困
難である。たとえ、それをカチオン電着塗料に適用した
としても、電着浴の安定性、電着特性、塗膜の耐水性、
防食性等が損なわれ、この分野の実用に耐え得ないもの
である。
【0007】一方、本出願人は先に、アルコキシシラン
基と水酸基およびカチオン性基を有する内部架橋ゲル化
微粒子重合体およびその製造方法を提案した(特開平2
−47173号公報参照)。また、アルコキシシラン基
とウレタン結合と水酸基およびカチオン性基を有する内
部架橋ゲル化微粒子重合体およびその製造方法も提案し
た(特開平3−62860号公報参照)。これら先に提
案した内部架橋ゲル化微粒子重合体はカチオン電着性を
有し、カチオン電着塗料に添加しても浴安定性、電着特
性を損なうことがなく、また焼付塗膜はエッジカバー性
に特に優れているが、アクリル系樹脂であるが故に、一
般防食性にやや劣るという欠点があり、実用上なお不充
分な点がある。
【0008】
【問題点を解決するための手段】そこで、本発明者ら
は、従来のゲル化微粒子より塗膜の防食性に優れ、且つ
カチオン電着塗料のレオロジーコントロール剤として有
用なカチオン電着ゲル化微粒子を開発すべく鋭意研究を
重ねた結果、今回、加水分解性アルコキシシラン基を含
有するエポキシ樹脂アミン付加物を水分散化せしめたも
のは、その後アルコキシシラン基の加水分解によって生
成したシラノール基がシラノール基同志で縮合し、そし
てヒドロキシル基が存在する場合にはそのヒドロキシル
基とも縮合して粒子内架橋が行なわれ、非常に分散安定
性の良好なゲル化微粒子を形成せしめることができ、し
かも、得られるゲル化微粒子はカチオン電着性を有し、
例えば通常のカチオン電着塗料用樹脂組成物に配合する
と、浴安定性、電着特性、塗膜の耐水性、防食性等を損
うことなく、電着塗膜の焼付硬化時における溶融塗膜粘
度低下が制御されて、塗面平滑性とエッジカバー性とが
共に優れたカチオン電着塗料組成物を与えることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】かくして、本発明は、加水分解性アルコキ
シシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物を水分
散化し且つ粒子内架橋せしめてなることを特徴とするカ
チオン電着性ゲル化微粒子を提供するものである。
【0010】さらに本発明は、上記のゲル化微粒子を、
全樹脂固形分に基いて1〜35重量%の範囲内で含有す
ることを特徴とするカチオン電着塗料組成物を提供する
ものである。
【0011】本発明において、「加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物」は、カ
チオン性基、特に酸で中和されたアミノ基を水分散基と
して水中において安定に分散し、かつ該アルコキシシラ
ン基の加水分解によって生成したシラノール基がシラノ
ール基同志、およびヒドロキシル基がある場合にはその
ヒドロキシル基とも縮合して粒子内架橋が行われ、ゲル
化することが可能な付加物を指称するものである。
【0012】本発明のゲル化微粒子の構成成分であるエ
ポキシ樹脂アミン付加物には、カチオン電着塗料におい
て通常使用されているポリアミン樹脂、例えば、(i)
ポリエポキシド化合物と1級モノ-及びポリアミン、2
級モノ-及びポリアミン又は1、2級混合ポリアミンと
の付加物(例えば米国特許第3,984,299号明細書
参照);(ii)ポリエポキシド化合物とケチミン化さ
れた1級アミノ基を有する2級モノ-及びポリアミンと
の付加物(例えば米国特許第4,017,438号明細書
参照);(iii)ポリエポキシド化合物とケチミン化
された1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエー
テル化により得られる反応物(例えば特開昭59−43
013号公報参照)などが包含される。
【0013】上記ポリアミン樹脂の製造に使用されるポ
リエポキシド化合物は、エポキシ基
【0014】
【化1】
【0015】を1分子中に2個以上有する化合物であ
り、一般に少なくとも200、好ましくは400〜40
00、更に好ましくは800〜2000の範囲内の数平
均分子量を有するものが適しており、特にポリフエノー
ル化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られ
るものが好ましい。該ポリエポキシド化合物の形成のた
めに用いうるポリフエノール化合物としては、例えばビ
ス(4-ヒドロキシフエニル)-2,2-プロパン、4,
4′-ジヒドロキシベンゾフエノン、ビス(4-ヒドロキ
シフエニル)-1,1-エタン、ビス-(4-ヒドロキシフ
エニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシ-t
ert-ブチル-フエニル)-2,2-プロパン、ビス(2-
ヒドロキシナフチル)メタン、1,5-ジヒドロキシナフ
タレン、ビス(2,4-ジヒドロキシフエニル)メタン、
テトラ(4-ヒドロキシフエニル)-1,1,2,2-エタ
ン、4,4′-ジヒドロキシジフエニルスルホン、フエノ
ールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられ
る。
【0016】該ポリエポキシド化合物はポリオール、ポ
リエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
アシドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化
合物などと一部反応させて変性したものであってもよ
く、更にまた、ε-カプロラクトン、アクリルモノマー
などをグラフト重合させたものであってもよい。
【0017】加水分解性アルコキシシラン基の前述した
如きエポキシ樹脂アミン付加物への導入方法は、特に制
限されるものではなく、それ自体既知の方法の中から導
入すべき加水分解性アルコキシシラン基の種類等に応じ
て任意に選ぶことができるが、水可溶性塩類など電着塗
装に悪影響を及ぼす副生成物を生じない方法を採用する
ことが好ましく、例えば次のような方法を例示すること
ができる。
【0018】(1)アルコキシシラン基含有アミン化合
物を基体樹脂中のエポキシ基に付加する方法:ここで使
用しうるアミン化合物としては次式のものが例示され
る。
【0019】
【化2】
【0020】(2)アルコキシシラン基含有メルカプタ
ンを基体樹脂中のエポキシ基に付加する方法:ここで使
用しうるメルカプタンとしては下記式で示されるものが
例示される。
【0021】
【化3】
【0022】(3)アルコキシシラン基含有エポキシ化
合物を基体樹脂中のアミノ基に付加する方法:ここで使
用しうるエポキシ化合物としては下記式で示されるもの
が例示される。
【0023】
【化4】
【0024】(4)アルコキシシラン基含有イソシアネ
ート化合物を基体樹脂中の水酸基、アミノ基に付加する
方法:ここで使用しうるイソシアネート化合物としては
下記式で示されるものが例示される。
【0025】
【化5】
【0026】上記に述べた各式において、Rとしては次
のものを例示しうる:
【0027】
【化6】(i)−CH3、−C25、−C37、−C4
9、−C613、−C817などのアルコール残基;
【0028】
【化7】(ii)−C24OCH3、−C24OC
25、−C24OC37、−C24OC49、−C36
OCH3、−C36OC25、−C48OCH3、−C2
4OC24OCH3、−C24OC24OC25、−C
24OC24OC49などのエーテルアルコール残基; (iii)
【0029】
【化8】
【0030】(iv)
【0031】
【化9】
【0032】などのシクロアルキル又はアラルキルアル
コール残基; (v)
【0033】
【化10】
【0034】などのオキシムアルコール残基; (vi)その他
【0035】
【化11】
【0036】など。
【0037】前記式中のRは炭素数の小さなもの程加水
分解しやすいが、加水分解後縮合しやすく水系での安定
性に劣るので、炭素数2〜7程度がバランス上有利であ
る。また、炭素数2以下のものと7以上のものとを組み
合わせてバランスさせてもよい。
【0038】上記の加水分解性アルコキシシラン基を含
有するエポキシ樹脂アミン付加物の水分散化は、それ自
体既知の方法に従って行なうことができる。例えば、上
記の加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ
樹脂アミン付加物を、存在するアミノ基に対して約0.
1〜1当量の酸、例えばギ酸、酢酸、乳酸、ヒドロキシ
酢酸などの水溶性カルボン酸などで中和し、その後、固
体分濃度が約40重量%以下になるようにして水中に分
散することによって行なうことができる。
【0039】かくして得られる加水分解性アルコキシシ
ラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物の分散粒子
は次いで粒子内架橋させることができる。粒子内架橋
は、該分散物を単に長期間貯蔵することによってもある
程度進行する可能性があるが、有利には、該水分散化物
を約50℃以上の温度に加熱することにより粒子内架橋
を促進するのが望ましい。あるいはまた、上記加水分解
性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付
加物の水分散化に際して、該樹脂溶液中または水媒体中
にオクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニ
ウム、ジブチル錫ジラウレートなどのシラノール基縮合
触媒を加えて、該触媒の存在下で水分散化を行なうこと
によって、水分散化と同時的に粒子内架橋を行なうこと
もできる。このようにして製造されるゲル化微粒子水分
散液は、通常約10〜40重量%、好ましくは15〜3
0重量%の樹脂固形分含量を有するとができる。また、
分散粒子の粒径は、一般に0.5μm以下、好ましくは
0.01〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μ
mの範囲内にあることができる。粒径の調整は加水分解
性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付
加物中のカチオン性基の量を調節することによって行な
うことができ、それによって容易に所望の範囲内の粒径
を得ることができる。
【0040】以上に述べた如くして製造される本発明の
ゲル化微粒子は、カチオン電着性を有しており、カチオ
ン電着塗料に配合することにより、浴安定性、電着特
性、塗膜の耐水性、防食性等を損うことなしに、電着塗
膜の焼付硬化時における溶融塗膜粘度低下がコントロー
ルされて、塗面平滑性とエツジカバー性とが共に優れた
カチオン電着塗料組成物とすることができる。
【0041】しかして、本発明によれば、本発明のゲル
化微粒子を含有するカチオン電着塗料組成物が提供され
る。該カチオン電着塗料組成物における本発明のゲル化
微粒子以外の成分は、特に制限されず、通常のカチオン
電着塗料組成物と実質的に同様のものであることができ
る。
【0042】本発明のカチオン電着塗料組成物は、樹脂
成分として、前記ゲル化微粒子以外に、カチオン電着塗
料において通常使用されている樹脂(以下、カチオン電
着塗料樹脂ということがある)、例えばアミン付加エポ
キシ樹脂に代表されるポリアミン樹脂、例えば前記ゲル
化微粒子の構成成分として述べた如きエポキシ樹脂アミ
ン付加物を含有しうる。
【0043】また、本発明の組成物を用いて形成される
複合硬化塗膜に対して良好な耐候性が要求される場合に
は、前記のゲル化微粒子以外の樹脂成分として、耐候性
の優れたアミノ基含有アクリル系樹脂又は非イオン性の
アクリル系樹脂を単独で用いるか、或いは前記アミン付
加エポキシ樹脂と併用するのが好都合である。
【0044】前記したアミン付加エポキシ樹脂は、必要
に応じて、アルコール類でブロツクしたポリイソシアネ
ート化合物を用いて硬化させることができる。
【0045】また、ブロツクしたイソシアネート化合物
を使用しないで硬化させることが可能なアミン付加エポ
キシ樹脂も使用することができ、例えばポリエポキシド
物質にβ−ヒドロキシアルキルカルバメート基を導入し
た樹脂(例えば特開昭59−155470号公報参
照);エステル交換反応によつて硬化しうるタイプの樹
脂(例えば特開昭55−80436号公報参照)などを
用いることもできる。
【0046】前記したカチオン電着塗料樹脂のカチオン
系水性溶液ないし水分散液の調製は通常、該樹脂をギ
酸、酢酸、乳酸などの水溶性有機酸で中和する水溶化・
水分散化処理によつて行なうことができる。
【0047】かくして得られるカチオン電着塗料樹脂溶
液ないし水分散液と前記ゲル化微粒子の水性分散液と
を、該ゲル化微粒子が全樹脂固形分(カチオン電着塗料
樹脂とゲル化微粒子の合計)に対し、1〜35重量%、
好ましくは4.5〜20重量%、さらに好ましくは5〜
15重量%となるよう混合することによつて、本発明の
カチオン電着塗料組成物を得ることができる。電着塗料
組成物におけるゲル化微粒子の含有量が全樹脂固形分に
対し1重量%未満である場合には、電着塗膜焼付け時の
塗膜溶融粘度低下に対する制御効果が小さく、電着塗膜
のエツジカバー性が不充分となり、他方、35重量%を
超えると、電着塗膜の平滑性が劣るという問題がある。
【0048】本発明のカチオン電着塗料組成物には、さ
らに必要に応じて通常の塗料添加物、例えば、着色顔
料、例えばチタン白、カーボンブラツクベンガラ、黄鉛
など;体質顔料例えばタルク、炭酸カルシウム、マイ
カ、クレー、シリカなど;防錆顔料例えばストロンチユ
ウムクロメート、ジンククロメートなどのクロム顔料、
塩基性ケイ酸鉛、クロム酸鉛などの鉛顔料等も含ませる
こともできる。
【0049】本発明のカチオン電着塗料組成物は、カチ
オン電着塗装によつて所望の基材表面に塗装することが
できる。カチオン電着塗装はそれ自体既知の方法に従
い、一般には、固形分濃度が約5〜40重量%となるよ
うに脱イオン水などで希釈し、さらにpHを5.5〜8.
0の範囲内に調整した本発明のカチオン型電着塗料組成
物からなる電着浴を通常、浴温15〜35℃に調整し、
負荷電圧100〜400Vの条件で被塗物を陰極として
行なうことができる。
【0050】本発明の塗料組成物を用いて形成しうる電
着塗装の膜厚は特に制限されるものではないが、一般に
は、硬化塗膜に基いて10〜40μmの範囲内が好まし
い。また、塗膜の焼付け硬化温度は一般に100〜20
0℃の範囲内が適している。
【0051】
【発明の効果】本発明により提供されるカチオン電着性
ゲル化微粒子は、カチオン電着塗料に配合することによ
り、凝集、異常電着、沈降などの問題を引きおこすこと
がなく共電着され、ゲル化微粒子は、電着塗膜の加熱硬
化時における流動調整剤としての役割を果し、すぐれた
ハジキ防止効果、表面平滑性やエッジ部のカバリング効
果等を発揮する。また、本発明の電着塗料組成物を用い
て形成される塗膜はミクロ分離構造をなし、塗膜物性の
大きな改良効果をもたらす。
【0052】本発明のカチオン電着組成物は、浴安定
性、電着特性が良好であり、しかも加熱硬化時の塗膜の
粘度低下が抑制できる結果、エツジカバー性に優れてお
り、エツジ部の防錆性を向上させることができるととも
に、塗面平滑性の良好な塗膜を形成することができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。実施例および比較例において、「部」およ
び「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を示
す。
【0054】加水分解性アルコキシシラン基を含有する
エポキシ樹脂アミン付加物の製造例 製造例1 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物を次の配合で製造する:
【0055】
【表1】原 料 重量部 エポン828EL1) 1045 ビスフエノールA 171 ジエタノールアミン 52.2 KBE-9032) 221 ジエタノールアミン 157.5 エチレングリコールモノブチルエーテル 706 注1)エポキシ当量約190を持つビスフエノールAの
ジグリシジルエーテル(油化シエル(株)製) 注2)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化
学(株)製) 温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素ガス吹き込み口を
取り付けた反応容器に、窒素ガス吹き込み下でエポン8
28EL、ビスフエノールA及びジエタノールアミンを
仕込んで120℃に加熱し、エポキシ当量3)が理論値
(317)に達するまで反応させる。その後80℃まで
冷却し、KBE-903とジエタノールアミンを加え、
3級アミン価4)が理論値(102)に達するまで反応さ
せる。その後エチレングリコールモノブチルエーテルで
希釈し、数平均分子量約1650の加水分解性アルコキ
シシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物の固形
分70%のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液
を得た。
【0056】注3)JIS K-7236に準拠。但
し、アミノ基もエポキシ基として合算する。
【0057】注4)無水酢酸でアセチル化した後、クリ
スタルバイオレットを指示薬として過塩素酸で滴定。
【0058】製造例2 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物を次の配合で製造する:
【0059】
【表2】原 料 重量部 エポン828EL 950 ビスフエノールA 342 ジエタノールアミン 52.5 X-12-6365) 289.5 エチレングリコールモノブチルエーテル 700 注5)N-メチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン(信越化学(株)製) 製造例1と同様な反応装置に窒素ガス吹き込み下でエポ
ン828EL、ビスフエノールA及びジエタノールアミ
ンを仕込んで120℃に加熱し、エポキシ当量が理論値
(672)に達するまで反応させる。その後80℃まで
冷却し、X-12-636を加え、3級アミン価が理論値
(69)に達するまで反応させる。その後エチレングリ
コールモノブチルエーテルで希釈し、数平均分子量約1
600の加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポ
キシ樹脂アミン付加物の固形分70%の溶液を得た。
【0060】製造例3 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物を次の配合で製造する:
【0061】
【表3】原 料 重量部 エポン828EL 950 ビスフエノールA 342 アミンA6) 96.5 アミンA(後添加) 193 アミンB7) 159 脱イオン水 36 KBE-4028) 496 エチレングリコールモノブチルエーテル 486 注6)有効成分74%のモノエタノールアミンとメチル
イソブチルケトンとのケチミンのメチルイソブチルケト
ン溶液。
【0062】注7)有効成分84%のジエチレントリア
ミンのメチルイソブチルケトンジケチミンのメチルイソ
ブチルケトン溶液。
【0063】注8)γ-グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン(信越化学(株)製)製造例1と同様な
反応装置に窒素ガス吹き込み下でエポン828EL、ビ
スフエノールA及びアミンAを仕込んで160℃に加熱
し、エポキシ当量が理論値(694)に達するまで反応
させる。その後、100℃まで冷却し、アミンA及びア
ミンBを加え、3級アミン価が理論値(97)に達する
まで反応させる。その後、100℃で脱イオン水を加え
て脱ケチミン化反応を行ない、続いて、同じく100℃
にてKBE-402を加えてエポキシ基がなくなるまで
反応させる。その後エチレングリコールモノブチルエー
テルで希釈し、数平均分子量約1900の加水分解性ア
ルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物
の固形分70%の溶液を得た。
【0064】ゲル化微粒子の製造例 実施例1 2lフラスコに、製造例1で得た加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物100部
および10%酢酸11部を加えて30℃で5分間撹拌し
た後、脱イオン水239部を強く撹拌しながら約30分
間かけて滴下し、50℃に昇温して約3時間撹拌を行な
った。
【0065】かくして、固形分20%の乳白色の粒子内
架橋したゲル化微粒子分散液が得られ、この微粒子のエ
チレングリコールモノブチルエーテル中での平均粒子径
は0.15μmであった。
【0066】実施例2 2lフラスコに、製造例2で得た加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物100部
および10%酢酸7.5部を加えて30℃で5分間撹拌
した後、脱イオン水242.5部を強く撹拌しながら約
30分かけて滴下し、50℃に昇温して約3時間撹拌を
行なった。
【0067】かくして、固形分20%、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル中での平均粒子径0.15μm
の乳白色の粒子内架橋したゲル化微粒子分散液が得られ
た。
【0068】実施例3 2lフラスコに、製造例3で得た加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物100部
および10%酢酸11部を加えて30℃で5分間撹拌し
た後、脱イオン水239部を強く撹拌しながら約30分
かけて滴下し、50℃に昇温して約3時間撹拌を行なっ
た。
【0069】かくして、固形分20%、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル中での平均粒子径0.15μm
の乳白色の粒子内架橋したゲル化微粒子分散液が得られ
た。
【0070】カチオン電着塗料組成物の製造例 実施例4 ポリアミド変性エポキシ樹脂および完全ブロックしたジ
イソシアネートからなる固形分35%のカチオン電着用
クリヤーエマルジョン(関西ペイント社製商品名、エレ
クロン9450)572部に実施例1で得た固形分20
%のゲル化微粒子分散液100部および固形分43%の
下記の顔料ペースト139.4部を撹拌しながら加え、
脱イオン水588.5部で希釈してカチオン電着塗料を
得た。
【0071】
【表4】
【0072】実施例5 実施例4において、ゲル化微粒子分散液として実施例2
で得た分散液を100部使用する以外は、実施例4と同
様の方法でカチオン電着塗料を得た。
【0073】実施例6 実施例4において、ゲル化微粒子分散液として実施例3
で得た分散液を100部使用する以外は、実施例4と同
様の方法でカチオン電着塗料を得た。
【0074】実施例7 ポリエステル変性エポキシ樹脂、完全ブロツクしたジイ
ソシアネートおよび非イオン系アクリル樹脂からなる固
形分32%のカチオン電着用クリヤエマルジヨン(関西
ペイント社製商品名、エレクロン9600)626部に
実施例1で得た固形分20%のゲル化微粒子分散液10
0部および固形分43%の顔料ペーストA139.4部
を撹拌しながら加え、脱イオン水534.6部で希釈
し、カチオン電着塗料を得た。
【0075】比較例1 実施例4において、ゲル化微粒子分散液を使用しない以
外は、実施例4と同様の方法でカチオン電着塗料を得
た。
【0076】比較例2 実施例7において、ゲル化微粒子分散液を配合しない以
外は、実施例7と同様の方法でカチオン電着塗料を得
た。
【0077】試験例(電着塗装試験) 実施例4〜7および比較例1、2で得たカチオン電着塗
料中に、パールボンド#3030[日本パーカライジン
グ(株)製、リン酸亜鉛系]で化成処理した0.8×3
00×90mmの冷延ダル鋼板(端面と平坦部との角度
が45度)を浸漬し、それをカソードとして電着塗装を
行なった。電着塗装条件は、電着塗料浴温30℃、pH
6.5、電圧300Vであり、膜厚(乾燥膜厚に基づい
て)20μmの電着塗膜を形成し、電着後塗膜を水洗
し、185℃、20分間焼付を行なった。この塗装板の
性能試験結果を後記表−1に示す。また、塗膜溶液粘度
の測定結果も併せて表−1に示す。
【0078】[性能試験方法] (※1)塗膜溶融粘度 焼付時の電着塗膜溶融粘度を転球式粘度測定法(JIS
-Z-0237に準ずる)との対比により引っかき傷跡の
熱流動外観から評価した。数値は最低時の粘度(センチ
ポイズ)を示す。
【0079】(※2)端面被覆性 平坦部の硬化膜厚が20μmとなる条件で、エッジ部角
度45°を有する鋼板に電着塗装し、所定の焼付条件で
硬化させて試験板を作成する。試験板のエッジ部が垂直
になる様にソルトスプレー装置にセットし、JIS-Z-
2371塩水フンム試験により168時間後のエッジ部
の防食性を評価する。
【0080】◎:サビ発生全くなし ○:サビわずかに発生 ×:サビ著しく発生 (※3)塗面の平滑性 電着塗面の仕上り性を目視で評価する。
【0081】◎:良好 ○:ほぼ良好 △:やや不良 (※4)耐衝撃性 JIS-K-5400 8.3.2-1990法に準じ
て、20℃の雰囲気下において行なう。重さ500g、
撃心の先端半径1/2インチの条件で塗膜損傷を生じな
い最大高さを示す(cm)。50cmを最高値とした。
【0082】(※5)耐チッピング性 焼付電着塗装板に、さらに熱硬化性の中塗り塗料および
上塗塗料を塗装し、加熱硬化したものについて下記の試
験を行なう。
【0083】 試験機器:Q-G-Rグラペロメーター
(Qパネル会社製品) 吹付けられる石:直径約15〜20m/mの砕石 吹付けられる石の容量:約500ml 吹付けエアー圧力:約4kg/cm2 試験時の温度:約20℃ 試験片を試験片保持台にとりつけ、約4kg/cm2
吹付けエアー圧力で約500mlの砕石を試験片に発射
せしめた後、その塗面状態を評価した。塗面状態は目視
観察し、下記の基準で評価する。
【0084】(評価) ◎(良):上塗り塗膜の一部に衝撃によるキズが極く僅
か認められる程度で、電着塗膜の剥離を全く認めず。
【0085】○(やや不良):上塗りおよび中塗りの塗
膜に衝撃によるキズがみられしかも電着塗膜の剥れが僅
かに認められる。
【0086】△(不良):上塗りおよび中塗り塗膜に衝
撃によるキズが多く認められ、しかも電着塗膜の剥れも
かなり認められる。
【0087】(※6)温水浸漬2次付着性 40℃の水に20日間浸漬した後、JIS-K-5400
8.5.2−1990に準じて塗膜にゴバン目を作
り、その表面に粘着セロハンテープを粘着し、急激に剥
した後の塗面を評価する。
【0088】◎:異常なく良好 △:ゴバン目の縁が僅かにハガレる程度 ×:ゴバン目の一部分がハガレる (*7)耐塩水噴霧性 素地に達するように電着塗膜にナイフでクロスカツトキ
ズを入れ、これをJIS Z2371によつて1000
時間塩水噴霧試験を行ない、ナイフ傷からの錆、フクレ
巾を測定する。
【0089】(*8)2コート耐候性 焼付電着塗板上に、さらにアミノアルキド樹脂系塗料ア
ミラツククリヤ(関西ペイント社製)を35μm塗装
し、140℃、15分焼付けた。この塗板を20時間サ
ンシヤインウエザオメーターにかけ、40℃の水中に2
0時間浸漬した後、塗板にクロスカツトを入れて、セロ
フアン粘着テープで剥離試験を行なう。この試験を繰り
返し行って剥離の生じた時間を調べた。
【0090】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 63:00 (72)発明者 森本 和之 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 久米 政文 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加水分解性アルコキシシラン基を含有す
    るエポキシ樹脂アミン付加物を水分散化し且つ粒子内架
    橋せしめてなることを特徴とするカチオン電着性ゲル化
    微粒子。
  2. 【請求項2】 加水分解性アルコキシシラン基を含有す
    るエポキシ樹脂アミン付加物を水分散化し且つ粒子内架
    橋せしめてなるゲル化微粒子を、全樹脂固形分に基いて
    1〜35重量%の範囲内で含有することを特徴とするカ
    チオン電着塗料組成物。
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