JPH06166140A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法

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JPH06166140A
JPH06166140A JP30230892A JP30230892A JPH06166140A JP H06166140 A JPH06166140 A JP H06166140A JP 30230892 A JP30230892 A JP 30230892A JP 30230892 A JP30230892 A JP 30230892A JP H06166140 A JPH06166140 A JP H06166140A
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JP
Japan
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coating layer
primer layer
layer
resin coating
resin
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Pending
Application number
JP30230892A
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English (en)
Inventor
Hisao Ikeda
尚夫 池田
Seiichi Enomoto
聖一 榎本
Yasushi Goto
靖志 五藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属との密着性の良好なプライマー層を形成
し、プライマー層に対する耐蝕被覆層のアンカー効果を
充分に発揮させてプライマー層と耐蝕被覆層の接着強度
を向上させ、耐蝕性、耐熱水性、耐久性に優れた積層体
を得る。 【構成】 鋼板2の表面に有機チタネートを塗布し30
0〜450℃に加熱・焼結してプライマー層3が形成さ
れ、その上に粒径0.5〜30μm の粉体状シラン架橋
ポリエチレンを付着し溶融させた粉体樹脂コート層4が
形成され、更にその上にシラン架橋ポリエチレンを溶融
・押出してプレス・融着させた樹脂被覆層5が形成され
た積層体1。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は金属体と合成樹脂(以下
単に「樹脂」と称する)との積層体に関し、特に接着強
度、耐蝕性、耐熱水性、耐久性に優れ、また二次加工を
施すような用途に適した積層体に関する。
【従来の技術】従来、金属に耐蝕性を持たせるために、
その表面に、耐蝕性に優れた樹脂による耐蝕被覆層を、
接着剤を使用することなく直接融着して設けた積層体、
あるいは接着剤層を介して設けた積層体が知られてい
る。このような積層体は、屋根材、外壁材、雨樋、樹脂
被覆金属管等、耐蝕性と耐久性を要求される用途に広く
使用されている。これらの積層体においては、金属と耐
蝕被覆層との初期接着強度は概して強く、短期間の使用
に対してはほぼ良好な使用結果が得られている。
【0001】しかし、長期間使用する間に、耐蝕被覆層
の表面からの水や薬品の吸収、熱による接着層や接着剤
の劣化等によって、金属と耐蝕被覆層との接着強度が低
下し、更に金属と樹脂の線膨張係数の大きな差に起因す
る繰り返し剪断熱応力、耐蝕被覆層成形時の残留歪み等
の要因が加わって、接着界面での剥離や耐蝕被覆層の収
縮が発生し、その結果、金属に錆や腐食が発生すること
があり、大きな事故につながることがあった。
【0002】そこで、このような問題を解決するため
に、従来、金属体面に予めシランカップリング剤等の接
着促進剤を塗布して、金属体と樹脂の接着性を向上させ
ることが行われている。
【0003】また、特開平3−281667号公報に
は、金属体表面に有機チタネートのアルコキシドまたは
その初期縮合物とポリフェニレンサルファイド(以下P
PSと略称する)樹脂粉とからなるプライマー組成物を
塗布し、この塗膜を焼き付けて、有機チタネート焼結プ
ライマー層(以下単に「プライマー層」と称する)を形
成し、その上に樹脂を被覆して耐蝕被覆層を形成する技
術が提案されている。この技術は、形成されたプライマ
ー層が、金属との密着性及び耐蝕被覆層との接着性にも
優れていることを利用したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属体面にシ
ランカップリング剤等の接着促進剤を塗布しても、熱水
と冷水に交互に浸漬されるような過酷な条件下で使用さ
れる場合には、耐蝕被覆層の剥離や収縮が発生すること
がある。
【0005】また、特開平3−281667号公報に記
載されたようなプライマー層を設けた積層体において
も、このような過酷な条件下で使用されると同様にして
耐蝕被覆層の剥離や収縮が発生し、長期間の使用に耐え
られないことがある。また、この場合は粉末樹脂の焼き
付けであるために、耐蝕被覆層の厚さを厚くすることが
難しいと云う問題もある。
【0006】本発明者らは上記特開平3−281667
号公報記載の技術に関連して更に研究を重ねた結果、金
属の表面に塗布された有機チタネートを加熱するとアル
コキシル基が加水分解し、その際に生成する水酸基によ
って金属とプライマー層との良好な密着性が得られるこ
とが判明した。
【0007】また、有機チタネートを焼結すると、プラ
イマー層の表面に多数の微細なクラックが生成して、プ
ライマー層と耐蝕被覆層との接触面積が増大し、且つ、
クラックの中に樹脂が深く食い込み、いわゆる「アンカ
ー効果」によって、プライマー層と耐蝕被覆層の接着強
度が向上することが判明した。
【0008】しかるに、特開平3−281667号公報
記載の技術においては、プライマー組成物中のPPS樹
脂粉の粒径が300μm以下(より好ましくは100μ
m以下)と大きいために、PPS樹脂粉がプライマー層
表面のクラック中に進入しないことが多く、アンカー効
果が充分に発揮されないために、熱水冷水交互浸漬のよ
うな過酷な条件下での使用に対しては、なお充分な耐久
性が得られないものと考えられる。
【0009】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、プライマー層に対する耐蝕被覆層の
アンカー効果を充分に発揮させることによって、プライ
マー層と耐蝕被覆層の接着強度を向上させ、耐蝕性、耐
熱水性、耐久性に優れた積層体を得ることを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の積層体は、金属体表面に有機チタネート
を塗布後加熱して有機チタネート焼結プライマー層が形
成され、有機チタネート焼結プライマー層の上に粒径が
0.5μm以上30μm以下の粉体状ポリエチレン樹脂
を付着し溶融させた粉体樹脂コート層が形成され、更に
粉体樹脂コート層の上にポリエチレン樹脂の樹脂被覆層
が形成されていることを要旨とするものである。
【0011】また、本発明の積層体の製造方法は、金属
体表面に有機チタネートを塗布後加熱して有機チタネー
ト焼結プライマー層を形成し、有機チタネート焼結プラ
イマー層の上に粉体状ポリエチレン樹脂を付着、溶融さ
せて粉体樹脂コート層を形成し、粉体樹脂コート層の上
にポリエチレン樹脂の樹脂被覆層を形成する積層体の製
造方法であって、 金属体に有機チタネートを塗布後、第一加熱工程で金
属体をアルコキシル基のアルコール脱離温度に加熱して
アルコールを脱離させ、 次いで第二加熱工程で金属体を粉体状ポリエチレン樹
脂の溶融温度に加熱して粉体状ポリエチレン樹脂を付着
させ、 次いで第三加熱工程で金属体を有機チタネートの焼結
温度に加熱、焼結して有機チタネート焼結プライマー層
を形成するとともに、同プライマー層の上に粉体樹脂コ
ート層を形成し、 次いで第四加熱工程で金属体をポリエチレン樹脂の溶
融温度に加熱し、粉体樹脂コート層の上に溶融状態のポ
リエチレン樹脂を積層して樹脂被覆層を形成する、 ことを要旨とするものである。
【0012】本発明において、金属としては鉄、鋼、ス
テンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金、その他一般に
金属と呼ばれるものが使用できるが、特に鉄、鋼、アル
ミニウムが好適に用いられる。また、金属体は板状のも
のに限られず、管、棒、その他の形状のものであっても
よい。
【0013】金属体は、プライマー層との接着を良好に
するために、サンドブラスト、塩酸、硫酸、硝酸等によ
る錆等の酸化膜除去処理、アルカリ等による脱脂処理等
を施すことが好ましい。
【0014】本発明において、有機チタネートとして
は、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブト
キシチタン、テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)チタ
ン、テトラステアリルオキシチタン、ジ−i−プロポキ
シ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブト
キシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジヒド
ロキシ・ビス(ラクタト)チタン等が挙げられる。
【0015】金属体表面に形成されるプライマー層の厚
さは、好ましくは5〜100μm、最も好ましくは10
〜50μmとする。
【0016】本発明に用いられる粉体状ポリエチレン樹
脂は、0.5〜30μm、好ましくは1〜20μmの粒
径を持つものとする。粒径が0.5μm未満では、ポリ
エチレン樹脂をプライマー層上に付着させる際に、樹脂
の粒子同士が凝集してプライマー層表面のクラックの中
に進入し難く、また粒径が30μmを超える場合にも、
同じく粒子がクラックの中に進入し難いので、アンカー
効果が充分に発揮されずに、樹脂被覆層との接着性が充
分に得られないことがある。なお、粉体状ポリエチレン
樹脂は、例えばポリエチレン樹脂を溶融・混練し、粉砕
し易いペレット、薄板等に押出成形後、冷凍・粉砕して
微粉化する等の方法で得ることができる。
【0017】粉体樹脂コート層を形成するためのポリエ
チレン樹脂としては、通常の低密度・中密度・高密度ポ
リエチレン、線状低密度ポリエチレン等いずれも好適に
使用されるが、プライマー層及び樹脂被覆層との接着性
に優れたシラン架橋ポリエチレンが特に好ましい。
【0018】シラン架橋ポリエチレンは、ポリエチレン
樹脂、シラン化合物及びラジカル発生剤からなり、ポリ
エチレン100重量部に対し有機シラン化合物0.1〜
10重量部、好ましくは0.25〜3.0重量部、ラジ
カル発生剤0.001〜2.0重量部、好ましくは0.
0015〜0.02重量部を配合し、変成したものとす
る。
【0019】上記の有機シラン化合物は加水分解可能な
アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキ
シ基等)を含み、且つ不飽和な炭化水素基またはハイド
ロカーボンオキシ基(例えばビニル基、アリル基、ブテ
ニル基等で、特にビニル基が好適)を含むものであっ
て、代表的なものとしては、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0020】また、ラジカル発生剤としては、ジクミル
パーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキサイド)ヘキ
サン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチルニトリ
ル、ジメチルアゾイソブチレート等のアゾ化合物等が挙
げられるが、有機過酸化物がより好ましい。なお、ラジ
カル発生剤はシラン化合物溶液として用いるのが好まし
い。
【0021】本発明において、樹脂被覆層に用いられる
ポリエチレン樹脂は、粉体樹脂コート層に用いるものと
同じか、もしくはこれと相溶性及び接着性の良いものが
好ましく、シラン架橋ポリエチレンが特に好ましい。
【0022】樹脂被覆層に用いるポリエチレン樹脂に
は、線膨張係数の低減、成形残留歪み開放による収縮の
抑制等を目的として、無機充填材を添加してもよい。無
機充填材としてはガラス短繊維、アスベスト、ウォラス
トナイト、チタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイ
スカー、タルク、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、酸化マグネシウム、カオリンクレー、ロウ石クレ
ー、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン等
の、1種もしくは2種以上の混合物が挙げられる。
【0023】これらの無機充填材には、ポリエチレン樹
脂とのなじみを良くするために表面処理を施すことが好
ましい。表面処理剤としてはシランカップリング剤、チ
タンカップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、
アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系
カップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。
【0024】なお、ポリエチレン樹脂には、本発明の効
果を阻害しないような酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色
剤等を添加してもよい。
【0025】本発明において、金属体表面に有機チタネ
ートを塗布する方法としては、ロール、刷毛、コーティ
ングロッド等、通常の塗布手段を使用することができ
る。
【0026】本発明において、第一加熱工程から第四加
熱工程の間に、金属体を加熱する方法としては、バーナ
ーで加熱する、熱風を吹付ける、赤外線ヒーターで照射
する、誘導加熱を使用する等の公知の加熱方法が挙げら
れる。
【0027】第一加熱工程における金属体の加熱温度は
有機チタネートのアルコキシル基のアルコール脱離温度
とし、好ましくは95〜150℃、最も好ましくは10
0〜120℃とする。
【0028】第二加熱工程における金属体の加熱温度は
粉体状ポリエチレン樹脂の溶融温度とし、好ましくは2
40〜300℃、最も好ましくは250〜280℃とす
る。
【0029】粉体状ポリエチレン樹脂の溶融温度に加熱
された金属体表面に粉体状ポリエチレン樹脂を付着させ
る方法としては、手動または振動式供給機による散布
法、空気による吹付け法、流動浸漬法、静電付着法等が
挙げられるが、粉体樹脂コート層の厚さを均一に且つ厚
くできること、大量生産に適していること等の点から、
流動浸漬法、静電付着法等が好適である。
【0030】第三加熱工程における金属体の加熱温度は
有機チタネートの焼結温度とし、好ましくは300〜4
50℃、最も好ましくは350〜420℃とする。
【0031】第四加熱工程における金属体の加熱温度は
ポリエチレン樹脂の溶融温度とするが、粉体状ポリエチ
レン樹脂の場合よりも低くすることができ、200〜2
50℃が好適である。
【0032】粉体樹脂コート層の上に溶融ポリエチレン
樹脂を積層して樹脂被覆層を形成する方法としては、溶
融ポリエチレン樹脂を粉体樹脂コート層の上に押出し、
融着・積層する方法、更にこれをプレス機、加圧チュー
ブ等の圧下手段で圧着・積層する方法、予め成形された
ポリエチレンシートを加熱・軟化させて圧着・積層する
方法等が好適に実施される。
【0033】
【作用】本発明の積層体においては、金属体表面に有機
チタネートを塗布後、加熱・焼結することによって、金
属体表面と強固に密着したプライマー層が形成され、且
つプライマー層の表面には無数の微細なクラックが形成
される。
【0034】プライマー層の上に付着した粉体状ポリエ
チレン樹脂は溶融し、プライマー層に融着して粉体樹脂
コート層が形成されるが、それとともに粉体状ポリエチ
レン樹脂はプライマー層表面のクラック中に浸入して溶
融しているので、プライマー層と溶融樹脂との接触面積
が増大するとともにアンカー効果が発揮されて、粉体樹
脂コート層はプライマー層を介して金属体と強固に接着
される。
【0035】更に、粉体樹脂コート層の上に、これと接
着性の良好なポリエチレン樹脂の樹脂被覆層が形成され
るので、金属体、プライマー層、粉体樹脂コート層及び
樹脂被覆層が強固に接着された積層体が得られる。
【0036】また、本発明の積層体の製造方法にあって
は、金属体表面に塗布された有機チタネートは、第一加
熱工程でアルコール脱離温度に加熱されてアルコールが
脱離し、加水分解してアルコキシル基が水酸基となり、
金属との密着性の良好なプライマー層が得られる。
【0037】次いで、粉体状ポリエチレン樹脂が金属体
表面に付着し、第二加熱工程で粉体状ポリエチレン樹脂
の溶融温度に加熱されるので、金属体表面に接する部分
から溶融し始める。
【0038】次いで、金属体は第三加熱工程で有機チタ
ネートの焼結温度にまで加熱されて、金属体表面と強固
に密着したプライマー層が焼結・形成され、その時プラ
イマー層の表面には無数の微細なクラックが形成され
る。この時には、粉体状ポリエチレン樹脂は既に溶融し
ているので、形成されたクラック中に容易に浸入し、冷
却するとアンカー効果が発揮されて、粉体樹脂コート層
はプライマー層を介して金属体と強固に接着される。
【0039】更に、金属体は第四加熱工程でポリエチレ
ン樹脂の溶融温度に加熱され、粉体樹脂コート層の上に
溶融状態のポリエチレン樹脂が積層されて樹脂被覆層が
形成される。
【実施例】以下に、本発明を実施例により図面を参照し
て説明する。 (実施例1:請求項1の実施例)図1は本発明実施例
1の積層体を示す断面図である。縦120mm、横12
0mm、厚さ2mmの鋼板2の片面にアルカリ液による
脱脂処理、硝酸による酸化膜除去処理を施した後、有機
チタネートとしてジ−i−プロポキシ・ビス(アセチル
アセトナト)チタンの60%イソプロパノール溶液を刷
毛で塗布し、400℃で5分間加熱・焼結して、厚さ4
0μmのプライマー層3を形成した。
【0040】次いで、プライマー層3が形成された鋼板
2を250℃に昇温し、静電塗工装置によってプライマ
ー層3の上に平均粒径10μmのシラン架橋ポリエチレ
ンの粉体状樹脂を付着させ融着させて、厚さ30μmの
粉体樹脂コート層4を形成した。
【0041】なお、シラン架橋ポリエチレンの粉体状樹
脂は、見掛比重0.935,メルトインデックス5.0
g/10minのポリエチレン樹脂100重量部に対
し、シラン化合物(ビニルトリメトキシシラン)1重量
部、有機過酸化物(パーブチルD)0.01重量部を混
合し、190℃で混練・押出ししてから、冷凍し粉砕し
たものである。
【0042】この粉体樹脂コート層4の上に、縦100
mm、横100mm、厚さ2mmの枠体を載せ、枠体の
中にシラン架橋ポリエチレン樹脂(但し粉体状にしなく
てよい)を190℃で溶融させ押出した後、直ちにプレ
スして融着させ、厚さ2mmの樹脂被覆層5を形成した
積層体1を得た。
【0043】この積層体1について、JIS K685
4「接着剤の剥離接着強さ試験方法」に準じて(但し巾
10mmの「T形はく離試験片」で実施)鋼板2と樹脂
被覆層5の剥離接着強度を測定した結果、26.2kg
f/10mmであった。
【0044】次いで、この積層体1を90℃の熱水に5
分間浸漬し、その後20℃の冷水に5分間浸漬する操作
を10000サイクル繰り返す加熱−冷却試験を行っ
た。試験後、鋼板2とプライマー層3、プライマー層3
と粉体樹脂コート層4、及び粉体樹脂コート層4と樹脂
被覆層5の、各層間の剥離その他異常発生の有無を観察
した結果、いずれにも剥離、隙間の発生、収縮等の異常
は認められなかった。
【0045】また、加熱−冷却試験後についても前記と
同じ方法で、鋼板2と樹脂被覆層5間の剥離接着強度を
測定した結果、23.3kgf/10mmであった。
【0046】(実施例2:請求項1の実施例)図2
は、本発明実施例2の複合管を示す断面図である。外径
114mm、厚さ2mm、長さ5mの鋼管7の内面に、
実施例1と同じ表面処理を施した後、有機チタネートと
してジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)
チタンの60%イソプロパノール溶液を回転ブラシで塗
布し、400℃で5分間加熱・焼結して、厚さ30μm
のプライマー層31を形成した。
【0047】次いで、鋼管7を250℃に加熱し、静電
塗工装置によって、上記プライマー層31の上(内面)
に、厚さ50μmの粉体樹脂コート層41を形成した。
【0048】更に、粉体樹脂コート層41の上(内面)
に、直ちに実施例1と同じシラン架橋ポリエチレン樹脂
を190℃で押出し融着させて、厚さ2.5mmの樹脂
被覆層51を形成した複合管6を得た。
【0049】この複合管6の管端部を、図3に示すよう
に拡径して鍔返し加工し、プライマー層31、粉体樹脂
コート層41及び樹脂被覆層51の割れ、及び各層間の
剥離、隙間の発生、収縮その他異常発生の有無を観察し
た結果、異常は認められなかった。
【0050】また、複合管6の管内に90℃の熱水を5
000時間通水する熱水通水試験を行った後、各層間の
剥離、隙間の発生、収縮その他異常発生の有無を観察し
た結果、異常は認められなかった。
【0051】(実施例3:請求項2の実施例)縦12
0mm、横120mm、厚さ2mmの鋼板の片面に、実
施例1と同じ表面処理を施した後、実施例1と同じ有機
チタネートを刷毛で塗布し、110℃で2分間加熱し
た。
【0052】次いで、鋼板を260℃に昇温し、有機チ
タネート塗膜の上に、実施例1と同じシラン架橋ポリエ
チレンの粉体状樹脂を実施例1と同じ方法で付着させた
後、400℃で3分間加熱し、プライマー層及び粉体樹
脂コート層を形成し、鋼板、プライマー層、粉体樹脂コ
ート層よりなる積層体中間製品を得た。
【0053】この積層体中間製品(の鋼板)を、210
℃に再加熱し、実施例1と同じシラン架橋ポリエチレン
樹脂を実施例1と同じ方法融着させて樹脂被覆層を形成
し、鋼板、プライマー層(厚さ40μm)、粉体樹脂コ
ート層(厚さ30μm)、樹脂被覆層(厚さ2mm)よ
りなる積層体を得た。
【0054】この積層体について、実施例1と同じ方法
で、鋼板と樹脂被覆層の剥離接着強度を測定した結果、
26.6kgf/10mmであった。
【0055】次いで、実施例1と同じ方法で加熱−冷却
試験を行った結果、剥離、隙間の発生、収縮等の異常は
認められなかった。
【0056】また、加熱−冷却試験後の剥離接着強度を
測定した結果、24.1kgf/10mmであった。
【0057】(実施例4:請求項2の実施例)外径1
14mm、厚さ2mm、長さ5mの鋼管の内面に、実施
例2と同じ表面処理を施した後、回転ブラシで実施例2
と同じ有機チタネートを塗布し、120℃で3分間加熱
した。
【0058】次いで、鋼管を270℃に昇温し、実施例
2と同じシラン架橋ポリエチレンの粉体状樹脂を実施例
2と同じ方法で付着させた後、400℃で3分間加熱
し、プライマー層及び粉体樹脂コート層を形成し、鋼
管、プライマー層、粉体樹脂コート層よりなる複合管中
間製品を得た。
【0059】この複合管中間製品(の鋼管)を、240
℃に再加熱し、実施例2と同じシラン架橋ポリエチレン
樹脂を実施例2と同じ方法で融着させて樹脂被覆層を形
成し、鋼管、プライマー層(厚さ50μm)、粉体樹脂
コート層(厚さ30μm)、樹脂被覆層(厚さ2.5m
m)よりなる複合管を得た。
【0060】この複合管の管端部を、実施例2と同じ方
法で鍔返し加工し、樹脂被覆層の割れ、各層間の剥離、
隙間の発生、収縮その他異常発生の有無を観察した結
果、異常は認められなかった。
【0061】また、実施例2と同じ方法で熱水通水試験
を行った後、同様に異常発生の有無を観察した結果、異
常は認められなかった。
【0062】(比較例1)縦120mm、横120m
m、厚さ2mmの鋼板の片面に、実施例1と同じ表面処
理を施した後、その上に実施例1と同じシラン架橋ポリ
エチレン樹脂を実施例1と同じ方法で融着させて、鋼板
と樹脂被覆層だけからなる積層体を得た。
【0063】この積層体について、実施例1と同じ方法
で鋼管と樹脂被覆層間の剥離接着強度を測定した結果、
20.9kgf/10mmであった。
【0064】次いで、実施例1と同じ方法で加熱−冷却
試験を行い、試験後の鋼管と粉体樹脂コート層4間の剥
離接着強度を測定した結果、8.9kgf/10mmで
あった。
【0065】(比較例2)粉体樹脂コート層を設けない
以外は、実施例1と同じ方法で、鋼板22、プライマー
層32、及び樹脂被覆層52よりなる積層体12を得
た。
【0066】この積層体12について、実施例1と同じ
方法で鋼板22と樹脂被覆層52間の剥離接着強度を測
定した結果、21.6kgf/10mmであった。
【0067】次いで、実施例1と同じ方法で加熱−冷却
試験を行い、鋼板22とプライマー層32、プライマー
層32と樹脂被覆層52の各層間の剥離その他異常発生
の有無を観察した結果、剥離、隙間の発生、収縮等の異
常は認められなかった。
【0068】また、加熱−冷却試験後の鋼板22と樹脂
被覆層52間の剥離接着強度を測定した結果、17kg
f/10mmであった。
【0069】(比較例3)有機チタネートを塗布後、鋼
板を110℃で2分間加熱してポリエチレンの粉体状樹
脂を付着させ、その後ポリエチレンの粉体状樹脂の溶融
温度での加熱を行わず、一気に400℃で3分間加熱し
た以外は、実施例1と同じ方法で、鋼板、プライマー層
(厚さ40μm)、粉体樹脂コート層(厚さ30μ
m)、樹脂被覆層(厚さ2mm)よりなる積層体を得
た。
【0070】この積層体について、実施例1と同じ方法
で鋼板と樹脂被覆層間の剥離接着強度を測定した結果、
23.5kgf/10mmであった。
【0071】次いで、実施例1と同じ方法で加熱−冷却
試験を行い、各層間の剥離その他異常発生の有無を観察
した結果、剥離、隙間の発生、収縮等の異常は認められ
なかった。
【0072】また、加熱−冷却試験後の鋼板22と樹脂
被覆層52間の剥離接着強度を測定した結果、19.3
kgf/10mmであった。
【0073】(比較例4)粉体樹脂コート層を設けない
以外は、実施例2と同じ方法で、鋼管、プライマー層及
び樹脂被覆層よりなる複合管を得た。
【0074】この複合管について、実施例2と同じ方法
で管端部を拡径して鍔返し加工し、プライマー層及び樹
脂被覆層の割れ、各層間の剥離、隙間の発生、収縮その
他異常発生の有無を観察した結果、異常は認められなか
った。
【0075】次いで、実施例2と同じ方法で熱水通水試
験を行った後、異常発生の有無を観察した結果、鍔返し
部の先端の一部に、プライマー層と樹脂被覆層の剥離が
見られた。
【0076】(比較例5)粉体樹脂コート層を設けない
以外は、実施例4と同じ方法で、鋼管、プライマー層及
び樹脂被覆層よりなる複合管を得た。
【0077】この複合管について、実施例2と同じ方法
で管端部を拡径して鍔返し加工し、プライマー層及び樹
脂被覆層の割れ、各層間の剥離、隙間の発生、収縮その
他異常発生の有無を観察した結果、異常は認められなか
った。
【0078】次いで、実施例2と同じ方法で熱水通水試
験を行った後、異常発生の有無を観察した結果、鍔返し
部の先端の一部に、プライマー層と樹脂被覆層の剥離が
見られた。
【0079】以上、実施例1〜4、及び比較例1〜5の
結果を、表1にまとめて示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の積層体は、金属体とプライマー層が強固に密着され、
プライマー層と粉体樹脂コート層、粉体樹脂コート層と
樹脂被覆層がそれぞれ強固に接着されているので、耐蝕
性、耐熱水性、耐久性及び二次加工性に優れている。
【0082】また、本発明の積層体の製造方法によれ
ば、金属との密着性の良好なプライマー層と、同プライ
マー層とアンカー効果によって強固に接着された樹脂被
覆層が形成された積層体を、容易且つ確実に得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の積層体を示す断面図である。
【図2】本発明実施例2の複合管を示す一部切欠正面図
である。
【図3】本発明実施例2の複合管の鍔返し加工状態を示
す一部切欠正面図である。
【図4】比較例2の積層体を示す断面図である。
【符号の説明】
1,12 積層体 2,22 鋼板 3,31,32 プライマー層 4,41, 粉体樹脂コート層 5,51,52 樹脂被覆層 6 複合管 7 鋼管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属体表面に有機チタネートを塗布後加
    熱して有機チタネート焼結プライマー層が形成され、有
    機チタネート焼結プライマー層の上に粒径が0.5μm
    以上30μm以下の粉体状ポリエチレン樹脂を付着し溶
    融させた粉体樹脂コート層が形成され、更に粉体樹脂コ
    ート層の上にポリエチレン樹脂の樹脂被覆層が形成され
    ていることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 金属体表面に有機チタネートを塗布後加
    熱して有機チタネート焼結プライマー層を形成し、有機
    チタネート焼結プライマー層の上に粉体状ポリエチレン
    樹脂を付着、溶融させて粉体樹脂コート層を形成し、粉
    体樹脂コート層の上にポリエチレン樹脂の樹脂被覆層を
    形成する積層体の製造方法において、 金属体に有機チタネートを塗布後、第一加熱工程で金
    属体をアルコキシル基のアルコール脱離温度に加熱して
    アルコールを脱離させ、 次いで第二加熱工程で金属体を粉体状ポリエチレン樹
    脂の溶融温度に加熱して粉体状ポリエチレン樹脂を付着
    させ、 次いで第三加熱工程で金属体を有機チタネートの焼結
    温度に加熱、焼結して有機チタネート焼結プライマー層
    を形成するとともに、同プライマー層の上に粉体樹脂コ
    ート層を形成し、 次いで第四加熱工程で金属体をポリエチレン樹脂の溶
    融温度に加熱し、粉体樹脂コート層の上に溶融状態のポ
    リエチレン樹脂を積層して樹脂被覆層を形成する、 ことを特徴とする、積層体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1322265C (zh) * 2004-12-21 2007-06-20 上海宝钢综合开发公司 煤气管道复合补强结构及其施工方法
KR101648407B1 (ko) * 2015-09-25 2016-08-16 주식회사 투에이취켐 논슬립 열가소성 분체 도료

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