JP2020192774A - 2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法 - Google Patents

2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法 Download PDF

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Nobuki Yoshizaki
信樹 吉崎
晃平 鵜口
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Abstract

【課題】従来の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管では高い接着性、すなわち高ピール強度を確保するために、粉体接着剤を厚膜塗装すると、接着剤層内への気泡残存や、溶融不足が発生してポリオレフィン樹脂との接着不良が発生した。一方で、溶融フィルム状の接着剤を使用する方法では、粉体エポキシ樹脂層と接着剤層の接着性が不足する問題があった。【解決手段】本発明の2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造は、粉体接着剤を塗布して薄膜の下層接着剤層3を形成し、続けて接着剤ペレットを押出機でTダイス又は丸ダイスを介して溶融フィルム接着剤を積層して上層接着剤層4を形成する。これによって、各界面の結合力が強化され、更には気泡等の欠陥の少ない厚膜接着剤層が形成される。この接着剤層の上に溶融したポリオレフィン樹脂層5を積層することで、高いピール強度を発現することが出来る。【選択図】図1

Description

石油・ガス等のエネルギー輸送用ラインパイプには、主に外面ポリオレフィン樹脂被覆鋼管が用いられる。このポリオレフィン樹脂被覆鋼管は世界の標準として使用されており、特に長期の防食性と施工時の耐疵性が要求される場合には3層被覆鋼管が用いられる。その構成は図3に示すように、防食性の高い粉体エポキシ樹脂プライマー層7、接着剤層4、ポリオレフィン樹脂層5からなる3層構造が用いられる。本発明は、このポリオレフィン樹脂被覆鋼管の高接着力と接着剤の凝集破壊を実現する接着剤層の製造方法、即ち、2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法に関する。
3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の外面被覆はISO21809−1で規定されており、−40〜80℃の領域ではポリエチレン樹脂、−20〜110℃の領域ではポリプロピレン樹脂が使用されるが、通常の環境では、安価なポリエチレン樹脂が採用される。これらのポリオレフィン樹脂被覆は埋設、あるいは海底パイプラインといったメンテナンスが難しい環境で使用されることが多いため、その品質要求も厳しいものとなっている。特に原油の重質化に伴い、原油粘度を下げるために流体(原油)の高温化が進んでいるため、高温における高い接着力が要求される。
3層ポリオレフィン樹脂被覆はピール試験によって接着力を評価する。一般に高い接着力は異種材料が接触する界面部分の接着が重要になる。被覆が3層構造を有することから、図3における鋼管1とエポキシ樹脂プライマー層7の界面、エポキシ樹脂プライマー層7と接着剤層4の界面、接着剤層4とポリオレフィン樹脂層5の界面といった3つの接着界面が存在する。このうち、鋼管とエポキシ樹脂プライマー層との界面はそもそもエポキシ樹脂と鋼管との接着が強固であるため、エポキシ樹脂プライマー層7と接着剤層4の界面、接着剤層4とポリオレフィン樹脂層5の界面の接着強度が接着にとっては重要となる。この中で、エポキシ樹脂プライマー層7と接着剤層4の界面接着力を向上させる方法としては特許文献1に示されるように、接着剤に粉体を用いてエポキシ樹脂プライマー層2の表面に凹凸を形成する図2に示す方法がある。また、特許文献2に示されるようにエポキシ樹脂プライマーの硬化度を調整して接着させることで界面結合力を向上させると供に、接着剤の降伏点強度を調整して凝集破壊を優先させて界面破壊を防止する方法が提案されている。
特開2018−176053号公報 特開2016−182795号公報
特許文献2に示されるように、図3において粉体接着剤をエポキシ樹脂プライマーが硬化する前に塗装することで官能基の結合を増やす方法は、エポキシ樹脂プライマー層7と接着剤層4の界面接着力を強固にするには非常に有効である。しかしながら、図6に示すポリオレフィン樹脂被覆の接着力を測定する方法であるピール強度は接着剤層4の変形を伴う接着力評価方法であるため、ピール強度を高めるには接着剤が完全凝集破壊する領域まで接着剤層膜厚を厚くする必要がある。その一方、図2に示すように、粉体接着剤を用いて厚膜塗装を行うと、接着剤層6とポリオレフィン樹脂層5との界面結合力には新たな課題が生じる。すなわち、粉体接着剤層の膜厚が厚くなると、接着剤層6の内部に気泡が混在しやすくなると供に、粉体接着剤粒子の溶融が不十分となって接着剤層表面が未溶融となり、ポリオレフィン樹脂層5との界面結合力が低下する。すなわち、ピール強度を上げるために膜厚を上げると逆にピール強度が低下する現象が発生する。これは、ポリオレフィン樹脂の中でもポリエチレン樹脂の場合により顕著となる現象である。
接着剤層が凝集破壊となる接着剤層厚みを備えつつ、エポキシ樹脂プライマー層と接着剤層の界面及び接着剤層とポオレフィン樹脂層の界面の接着力を確保し、高いピール強度を実現するポリオレフィン樹脂被覆鋼管を得る必要がある。その方法として、接着剤層を粉体接着剤と溶融フィルム状接着剤を組み合わせて積層形成するものである。溶融フィルム接着剤は溶融したポリオレフィン樹脂シートと積層した場合に相互に溶融して分子鎖のからみによって接着力を確保することが容易である。従って、上層であるポリオレフィン樹脂との接着には問題はない。
しかしながら、下層であるエポキシ樹脂プライマーとの接着は、エポキシ樹脂プライマーが高温では数秒で硬化してしまうため、接着能力のあるエポキシ樹脂プライマーの硬化前であって接着能力のある時間内に接着剤フィルムを積層するのはこの時間が非常に短いために難しい。また、接着剤フィルムではエポキシ樹脂プライマーとの接触面も滑らかであるためにエポキシ樹脂プライマーとの界面結合力に限界がある。
一方、粉体接着剤は、用いる静電塗装ガンがコンパクトであることから装置レイアウトの制限が少なく、たとえエポキシ樹脂プライマーの硬化時間が数秒であってもエポキシ樹脂プライマーが硬化する前に粉体接着剤塗布が可能である。
また、粉体接着剤をプライマーが未硬化で軟らかい状態で塗布することで凹凸が形成され、界面接着力を十分なものとすることが出来る。
但し、特許文献1に示されるような粉体接着剤の粒径が100μ〜300μmの粒子を50質量%以上含有するような粒径の大きい粉体粒子が積み重なると、鋼管からの伝熱が進みにくく溶融が不十分となり、図2に示すように接着剤層6の中に空孔も残存しやすくなる。
この結果、上面に被覆するポリオレフィン樹脂との界面接着力低下や、空孔による膜強度の低下が生じてしまうという問題があった。
本発明は、2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法に関し、上記問題を解決することを課題とする。
これらの問題を解決する方法として、エポキシ樹脂プライマーと接着剤の界面結合力に優れる粉体接着剤と、ポリオレフィン樹脂と接着剤の界面結合力に優れる溶融フィルム接着剤を厚膜にして組み合わせる。すなわち、図1に示す様に、加熱した鋼管1に粉体エポキシ樹脂プライマー層2を150〜400μmの厚みとなるように塗装し、その硬化前に粉体による接着剤層3を100〜200μmの薄膜を形成する量を塗布する。その直後にさらに100〜400μmの溶融フィルムによる接着剤層4、次いで1〜5mmのポリオレフィン樹脂層5を積層するものである。本方法は、ポリオレフィン樹脂の被覆方法が図4に示すTダイス式でも図5に示す丸ダイス式でも良い。特に丸ダイス式においては溶融フィルム状接着剤が、ダイス位置からフィルムが鋼管に接触する位置まで引き延ばされるため、粉体エポキシ樹脂プライマーが硬化する前に接着剤を積層することが非常に難しかった。従って、従来高接着力を有する接着剤層の形成が難しかった丸ダイス方式においては、本方法は非常に有効な方法である。
更に、本方法は下層である粉体による接着剤層3と上層である溶融フィルムによる接着剤層4とで異なる接着剤組成を使用することも出来、最適な組成を調整することが出来る。これは、特にポリエチレン樹脂被覆において有効な方法となる。即ち、ポリエチレン樹脂は分子分岐が少ないこともあって、組成が変わると接着が著しく困難となるため、接着剤にはポリエチレン成分が必須である。上層のポリオレフィン樹脂層(この場合はポリエチレン樹脂層)5との濡れ性という観点では接着剤は無極性のポリエチレン成分よりも極性の高い構造を分子内に多く含む方が有利となる。
しかしながら、下層であるエポキシ樹脂プライマー層2との接着性を考慮した場合はポリエチレンとの共重合タイプの接着剤が必須となる。通常の接着条件では共重合タイプの接着剤とポリエチレン樹脂との接着に問題は無いが、ポリエチレン被覆鋼管では耐疵性が要求されるためにポリエチレン樹脂に密度の高い、すなわち結晶性の高いポリエチレン樹脂が使用されるため、共重合タイプの接着剤では十分な接着強度が得られない場合がある。これに対して、基本成分はポリエチレン樹脂であって、それに無水マレイン酸を変性導入したポリエチレン接着剤であれば、エポキシ樹脂プライマーへの濡れ性は低いがポリエチレン樹脂との相溶性に問題が出ることは無い。
従って、エポキシ樹脂プライマーと濡れ性の良い共重合タイプの接着剤を下層の粉体による接着剤層3に用い、ポリオレフィン樹脂層(この場合はポリエチレン樹脂層)5との相溶性の高い変性ポリエチレン接着剤を上層の溶融フィルムによる接着剤層4に用いる方法が最も良い組み合わせとなり、よりポリエチレン樹脂被覆鋼管での接着性を安定させることが出来る。
3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管において、本発明の2層接着剤を用いることにより、鋼管の被覆プロセスや工場レイアウトでの制限を受けることなく、界面の接着性を確保しつつ、300μmを超える厚膜であっても、内部欠陥の無い接着剤層を形成する事が出来る。この結果、高いピール強度を実現することができる。
その方法としては、3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管における接着剤を粉体接着剤として100〜200μmの厚みとなるように塗装した後、溶融フィルム接着剤を積層して、従来の単層接着剤層に代わって、2層接着剤層を形成する。更には、異なる種類の接着剤を組み合わせることにより、さらに高い接着性(高ピール強度)を得ることができる。
以上の手法により、エポキシ樹脂プライマーと接着剤、接着剤とポリオレフィン樹脂といった異種材料の界面結合が強化されるとともに、気泡が混入しない厚膜の接着剤層が得られる。
その結果、ポリオレフィン樹脂被覆鋼管におけるピール試験での接着力をこれまでの単層接着剤層の場合よりも向上させることが出来る。
本発明で製造した2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の断面図を示す。 従来の粉体接着剤を用いて厚膜の接着剤層を塗装して製造した3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の断面図の例を示す。 従来の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の断面図の例(フィルム状接着剤使用)を示す。 本発明のTダイス法での被覆プロセスの例を示す。 本発明の製造方法のレイアウトの一例として丸ダイス法での被覆プロセスの例を示す。 ポリオレフィン樹脂被覆鋼管に対する90度ピール強度測定装置の模式図を示す。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
本発明によって製造されるポリオレフィン樹脂被覆鋼管の構成は、図1に示す様に、鋼管1の上に順次、粉体エポキシ樹脂プライマー層2、粉体接着剤層3、溶融フィルムによる接着剤層4、ポリオレフィン樹脂層5を積層したものである。
本発明に使用する鋼管1は普通鋼、あるいは高合金鋼など、どのような鋼種でも適用可能である。また、サイズ、厚みの制約は設備に起因するだけである。
本発明のポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造は、図4及び図5における鋼管ブラスト装置8によって鋼管1のブラスト処理を行い、表面の錆や汚れを除去するだけでなく、接着に必要な表面粗度を確保する。このブラスト処理に用いる研掃材としては、一般的には鋼製グリッド・ショット粒を用いる。更に清浄な表面が要求される場合には、アルミナ等のセラミック素材を用いても良い。
ブラスト処理後の表面には鉄粉等の汚れが付着しているため、下地処理装置9によって洗浄液による洗浄等の処理を行う。特に高い防食性能が要求される場合には、例えば日本パーカーライジング社製のパルクロム100などを用いた塗布型クロメート処理、あるいは、他の塗布型化成処理を適用することも出来る。
次に、粉体エポキシ樹脂プライマー層2について説明する。本発明では粉体エポキシ樹脂プライマー層2には防食性の高い粉体エポキシ樹脂を使用する。粉体エポキシ樹脂は、主剤にはビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられるが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の単独もしくは混合、更に多官能性のフェノールノボラック型エポキシ樹脂やハロゲン化エポキシ樹脂を組み合わせたものも使用出来る。硬化剤はフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール化合物硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤等を加え、更に無機顔料を20〜50質量%で配合する。無機顔料はシリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にバナジウムリン系化合物等の防錆顔料を適宜用いることができる。
粉体エポキシ樹脂は塗料として一般に市販品されている物を用いる。国内では日本ペイント株式会社、もしくは関西ペイント株式会社から入手できる。海外では、JOUTAN、KCC、Arsonnsisi、3M Co.等のメーカーで鋼管被覆用として販売されている銘柄から必要な硬化特性に合わせて選択して用いる。
鋼管1を誘導加熱等の加熱装置10によって160〜260℃に加熱した後、その外面に粉体エポキシ樹脂プライマー塗装機11を用いて粉体エポキシ樹脂塗料を塗布し、溶融後に反応硬化して粉体エポキシ樹脂プライマー層2を形成する。プライマー層2の厚みは、通常150〜400μmである。
粉体エポキシ樹脂プライマー層2の上に粉体接着剤塗装機12を用いて粉体接着剤を塗布する。接着剤はポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性したもの、あるいはポリオレフィン樹脂と、アクリル酸又はアクリル酸エステルとの共重合体を無水マレイン酸で変性したものを用いると良い。
この時、粉体エポキシ樹脂プライマー層2が硬化していると、凹凸が形成されなくなることから、粉体エポキシ樹脂が硬化前のゲル状態にある時間内に粉体接着剤を塗布し粉体接着剤層3を形成する。ゲル化時間としてはISO 21809のゲルタイム測定方法を用い、塗布時の鋼管温度でのゲルタイムを測定しておく。これによって実塗装での粉体エポキシ樹脂の溶融時間を知ることが出来る。
粉体エポキシ樹脂プライマー層2が溶融した状態の表面に固体の粉体接着剤を塗布し粉体接着剤層3を形成する。この時、接着剤の厚みが厚くなると、気泡の混入や、接着剤粒子の溶融不足が生じることから、200μm以下の厚みとなるように塗布することが好ましい。
次に接着剤ペレットを、押出機を用いてフィルム状に溶融押し出したものを積層し溶融フィルムによる接着剤層4を形成する。この場合、鋼管1をスパイラル回転搬送する図4のTダイス方式では、接着剤押出機13によって、または鋼管1を直線状に搬送する図5の丸ダイス方式では接着剤押出機16によってフィルムの厚みを100〜400μmに調整する。この場合の粉体接着剤及び溶融フィルムによる接着剤は、いずれも変性ポリオレフィン樹脂を用いる。
市販のポリエチレン用接着剤では、例えばペレット供給では三井化学社製のNE060、NE065、BOREALIS社製のBorcoatTMME0420、Lyondell−Basell社製のLucalenTMG3710E等がある。また粉体供給では、BorcoatTMME0433powder等がある。ポリプロピレン接着剤では、ペレットとしては三菱化学社製のAP−P501、BOREALIS社製のBorcoatTMBB127E、Lyondell−Basell社製のHifaxTM−adhesiveEP2−015/60等がある。粉体供給では例えば HifaxTMEPR60(M)/Biancoがある。
更に溶融フィルムによる接着剤層4の上にTダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機14、又は丸ダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機17を用いて2〜5mm厚みのポリオレフィン樹脂を積層し、ポリオレフィン樹脂層5を形成する。ポリオレフィン樹脂は鋼管被覆用として市販されているものを使用することができる。一般的には着色耐候性顔料としてポリエチレン樹脂にはカーボンブラック、ポリプロピレン樹脂には白色顔料、例えば酸化チタンが配合され、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等が添加されたもので、低温靭性と高温使用での耐酸化劣化性を兼ね備えたものであることが好ましい。
積層するポリエチレン樹脂としては鋼管被覆用に用いられる銘柄を使用することができる。例えば、BOREALIS社製のBorcoatTMHE3450、Lyondell−Basell社製のLupolenTM4552D、日本ポリエチレン社製のNOVATECTM ER002Sなどの、鋼管被覆に要求される長期耐久性を有し、カーボンブラックを添加したものを使用することができる。
積層するポリプロピレン樹脂としては日本ポリプロピレン社製のTX1843B、BOREALIS社製のBB108E−1199 、Lyondell−Basell社製のMoplenTM Coat−EP60R/BIANCO等が使用出来る。
〔実施例、比較例に使用する材料〕
以下、本発明の実施例及び比較例を具体的に説明する。粉体エポキシ樹脂には3M社製226N、ポリエチレン用の粉体接着剤にはBOREALIS社製のBorcoatTMME0433powder、ペレット状の接着剤にはBOREALIS社製のBorcoatTMME0420、三井化学社製のNE080を用いた。ポリエチレン樹脂にはBOREALIS社製のBorcoatTMHE3450を用いた。ME0433、ME0420、はエチレンとアクリル酸エステル共重合体の無水マレイン酸変性物を用いた接着剤で、NE080はポリエチレンの無水マレイン酸変性物を用いた接着剤である。
〔実施例1〜4の製造〕
図1の断面構成を持つ実施例1〜3の製造を行った。鋼管1には600AのUO鋼管を用いた。被覆方法は図4に示すTダイス方式を用い、スパイラル状に鋼管を搬送した。鋼管1の外面を鋼管ブラスト装置8によってIKK社製のTGD−70番のグリッドブラスト処理を行い除錆した。その後、下地処理装置9によって鋼管の表面洗浄処理を行い汚れや鉄粉等を除去した。
鋼管1を搬送して加熱装置10で204℃に加熱後、粉体エポキシ樹脂プライマー塗装機11によって粉体エポキシ樹脂プライマーを目標膜厚200μmで静電粉体塗装を実施した。この後、共重合タイプの粉体接着剤を粉体接着剤塗装機12によって100〜300μm厚で塗装を行った。この時、粉体プライマー塗装が終わって、粉体接着剤塗装が始まるまでの時間は、ゲルタイムよりも短くなるように調整した。
その後、Tダイスによる接着剤押出機13を用いて、実施例1〜3は共重合タイプ゜の接着剤、実施例4ではポリエチレンタイプの接着剤を用いて半溶融状態の接着剤フィルムを押し出し、200μm厚み狙いで鋼管1の外面に巻き付け被覆を行った。
更に、Tダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機14を用いてポリエチレンのペレットを半溶融状態のシート状として鋼管1の外面に厚みが3mmになるように調整し巻き付け被覆を行った後、冷却装置15によって水冷を行って、実施例1〜4の被覆鋼管を製造した。
〔比較例1〜3の製造〕
図2の接着剤層が粉体接着剤のみで構成される比較例1〜3を製造した。
すなわち、図2の被覆構成を図4に示すTダイス方式での被覆方法で、Tダイスによる溶融フィルム接着剤押出機13による溶融フィルム状接着剤塗布を省略して、粉体接着剤塗装機12によって粉体接着剤のみによる3層ポリエチレン樹脂被覆鋼管を製造した。
具体的には、鋼管1の外面を鋼管ブラスト装置8によってグリッドブラスト処理を行い除錆した。その後、下地処理装置9によって鋼管の表面洗浄処理を行い汚れや鉄粉等を除去した。
鋼管1を搬送して加熱装置10で204℃に加熱後、粉体エポキシ樹脂プライマー塗装機11によって粉体エポキシ樹脂プライマーを目標膜厚200μmで静電粉体塗装を実施した。この後、共重合タイプ゜の粉体接着剤を粉体接着剤塗装機12によって100〜400μm厚で塗装を行った。この時、粉体プライマー塗装が終わって、粉体接着剤塗装が始まるまでの時間は、ゲルタイムよりも短くなるように調整した。その後、Tダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機14を用いて半溶融状態のシート状として鋼管1の外面に厚みが3mmになるように調整し巻き付け被覆を行った後、冷却装置15によって水冷を行って、比較例1〜3の被覆鋼管を製造した。
〔比較例4〜5の製造〕
図3の接着剤層が溶融フィルム接着剤のみで構成される比較例4〜5を製造した。図3の被覆構成を図4に示すTダイス方式での被覆方法で、粉体接着剤塗装機12による塗装を省略して、従来の3層ポリエチレン樹脂被覆鋼管を製造した。
鋼管1を搬送して加熱装置10で204℃に加熱後、粉体エポキシ樹脂プライマー塗装機11によって粉体エポキシ樹脂プライマーを目標膜厚200μmで静電粉体塗装を実施した。Tダイスによる溶融フィルム接着剤押出機13を用いて、半溶融状態の接着剤フィルムを押し出し、200及び400μm厚み狙いで鋼管1の外面に巻き付け被覆を行った。その後、Tダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機14を用いて半溶融状態のシート状として鋼管1の外面に厚みが3mmになるように調整し巻き付け被覆を行った後、冷却装置15によって水冷を行って、比較例4〜5の被覆鋼管を製造した。
〔ピール強度の測定と結果〕
被覆した鋼管を400×400mmに切断し試験片を作製した。作製した試験片を鋼管被覆用のピール強度測定用試験機により、常温で、速度10mm/分、幅20mmで、90度ピール試験を行って、ポリエチレンの剥離強度を測定した。試験方法の概略を図6に示す。
ピール強度の測定は、図6に示すピール試験装置20によってポリエチレン樹脂被覆のポリオレフィン樹脂層(この場合はポリエチレン樹脂層)5のみを掴んで上方に引き上げ剥がれる時の力即ちピール強度(F)19を測定し、その値をピール強度記録計18に記録する。
評価はピール強度の測定と目視で接着剤破壊形態の観察を行った。完全凝集では接着剤層内で90%以上の破壊が見られたもの、凝集は70%程度の破壊が見られた場合、半凝集は50%以下、界面は20%以下として判別した。ピール強度の目安としては30N/mm以上、破壊形態は目視で70%以上の凝集が望ましい。
実施例、比較例の結果を表1に示す。
実施例2である本発明の2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆は接着剤層の厚みが同じでも、従来の単層の比較例3及び比較例5に比べて高いピール強度と接着剤の凝集破壊形態を得ることが出来ることがわかる。
但し、粉体による接着剤層3の膜厚を変えた実施例1〜3で見られるように、粉体による接着剤層が200μmを超えると、気泡の混入によってピール強度が低下し始め、接着剤の破壊形態も変化する。このため、粉体による接着剤層の厚みとしては100〜200μmが良い。
また、接着剤樹脂の種類として、溶融フィルムによる接着剤層4に関しては、粉体接着剤と同種の濡れ性の良い共重合タイプの接着剤を用いた実施例1よりも、ポリエチレンに近い特性を持つ実施例4の変性ポリエチレンタイプの接着剤を用いた方が高いピール強度を得ることが出来る。これは、上層のポリエチレン樹脂との相溶性の差が接着性に影響を及ぼすためと考えられ、より高い接着性が要求される場合には下層である粉体による接着剤層3と上層である溶融フィルムによる接着剤層4は、それぞれの特性に適した異なる接着剤を使用することが適当である。
一方、従来の単層接着剤を粉体接着剤で形成した比較例1〜3では、膜厚を上げた場合に、比較例1の100μmに比べて比較例2の200μmまではピール強度の向上が見られるが、比較例3の400μmではピール強度はあまり向上しておらず、膜厚によるピール強度向上効果があまり見られない。さらに比較例3では接着剤層内に気泡が観察され、またポリエチレンと接着剤の界面剥離が増加し、破壊形態が完全凝集ではなくなり適当ではない。また、従来のフィルム接着剤を使用した比較例4と5では、粉体エポキシ樹脂層と接着剤層の界面剥離が主となり、さらに膜厚を増やした比較例5でも高いピール強度を得ることが出来なかった。
以上の結果からも明らかなように、本発明の異なる方法で形成した2層接着剤層をポリオレフィン樹脂被覆鋼管の接着剤層として適用することにより、従来方法では難しかった高いピール強度と接着剤の凝集破壊形態を得ることが出来る。中でも、下層である粉体による接着剤層3の粉体接着剤に無水マレイン酸変性のエチレンとアクリル酸エステルの共重合樹脂、上層である溶融フィルムによる接着剤層4の溶融フィルムによる接着剤に無水マレイン酸変性のポリエチレン樹脂を用いることで、より高い接着力を得る事が可能である。
Figure 2020192774
1 鋼管
2 粉体接着剤によって表面に凹凸を有する粉体エポキシ樹脂プライマー層
3 粉体接着剤塗装による接着剤層
4 溶融フィルムによる接着剤層
5 ポリオレフィン樹脂層
6 粉体接着剤の厚膜塗装によって気泡を含有した接着剤層
7 平滑表面を有する粉体エポキシ樹脂プライマー層
8 鋼管ブラスト装置
9 洗浄、化成処理等の下地処理装置
10 加熱装置
11 粉体エポキシ樹脂プライマー塗装機
12 粉体接着剤塗装機
13 Tダイスによる溶融フィルム接着剤押出機
14 Tダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機
15 冷却装置
16 丸ダイスによる溶融フィルム接着剤押出機
17 丸ダイスによる溶融ポリオレフィン樹脂押出機
18 ピール強度記録計
19 ピール強度(F)
20 ピール試験装置

Claims (2)

  1. 粉体エポキシ樹脂プライマー層、接着剤層、ポリオレフィン樹脂層を順次積層するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法において、粉体接着剤を塗布後、その上に溶融押し出ししたフィルム状接着剤を積層して接着剤層を2層とすることを特徴とするポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂層がポリエチレン樹脂、前記粉体接着剤がエチレン−アクリル酸エステル共重合体の無水マレイン酸変性物、前記フィルム状接着剤がポリエチレンの無水マレイン酸変性物であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法。
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