JP6692233B2 - ポリオレフィン被覆鋼管の誘導加熱方法 - Google Patents

ポリオレフィン被覆鋼管の誘導加熱方法 Download PDF

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石油・ガス等のエネルギー輸送に用いられるラインパイプの防食用外面被覆には通常ポリオレフィン被覆鋼管が使用されるが、このポリオレフィン被覆に先立って鋼管を誘導加熱する。本発明は、この誘導加熱方法に関する。
石油・ガス等のエネルギー輸送用ラインパイプに用いられる外面ポリオレフィン被覆鋼管において、長期の防食性と施工時の耐疵性が要求される場合には3層被覆鋼管が用いられる。その構成は鋼管側から、防食性の高いエポキシ樹脂プライマー層、接着剤層、ポリオレフィン樹脂層からなる3層構造である。被覆されるポリオレフィン樹脂には、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂があるが、安価で信頼性が高いことから、一般的にはポリエチレン樹脂が、高温用や耐疵性が要求される場合にはポリプロピレン樹脂が使用される。
ラインパイプは漏洩での事故損失が非常に大きいため、ポリオレフィン被覆鋼管では埋設時やその前の鋼面に達する疵発生があった場合を考慮する。従って万が一疵があった場合には、疵部の腐食を抑制するため、鉄の自然電位よりも電位を下げる防食方法として電気防食が行われる。但し、疵発生率や電位を正確に捉えることが難しいため電気防食が過剰になる場合が在る。その場合、疵部を中心に被覆の剥離が進行する現象、いわゆる陰極剥離が発生する。陰極剥離が進展して鋼材露出面積が大きくなると、最終的には腐食が発生することから耐陰極剥離性はラインパイプの防食性能の中でも特に重要な項目である。
ポリオレフィン被覆では陰極剥離を抑制するため3層の被覆構成を有するとともに、下地処理や樹脂の改良が日夜行われている。陰極剥離抑制には鋼材の下地処理とプライマーが重要である。現在、プライマーに関しては液体エポキシ樹脂を塗装した薄膜のプライマーに代わり、性能の良い粉体のエポキシ樹脂を塗装した厚膜のプライマーが用いられるようになって来ている。いずれのエポキシ樹脂でも樹脂を硬化させるために、ガスあるいは誘導加熱といった方法によるプライマー塗装前又はプライマー塗装後の鋼管加熱が必須である。
但し、液体エポキシ樹脂で誘導加熱方式を用いた製造方法は特許文献1に示されるように鋼管の加熱温度は180℃と低く、液体エポキシ樹脂塗装後に加熱が行われる。その一方、粉体エポキシ樹脂での厚膜塗装には塗装前に鋼管を加熱しておく必要があると同時に鋼管の加熱温度も液体より高い。これは、特に粉体エポキシ樹脂では溶融粘度が高温であるほど低下するために、下地にブラスト処理を行って表面に数μm以下の細かい凹凸がある鋼管では高温で塗装した方が良好な性能が得られる理由による。
特開昭58−74337号公報
特に粉体エポキシ樹脂をプライマーとする塗装では、鋼材加熱温度は180℃以上が必要で、更に高温にすれば溶融粘度が低下して、粗度のある鋼材表面への浸透性が高まることから耐陰極剥離性能も向上する。このため、粉体エポキシ樹脂塗装時の鋼材温度としては200℃以上が好ましい。しかしながら、高周波誘導加熱では200℃以上に加熱しても紛体プライマーの性能を十分に発揮できない現象が発生する。すなわち、ブラスト処理した鋼管を高周波誘導加熱で加熱した場合、十分な耐陰極剥離性能が得られないという課題があった。
かかる課題を解決するために、鋭意検討した結果、その原因は高周波誘導加熱の特性によることが明らかとなった。すなわち、高周波誘導加熱では鋼材に流れる誘導電流によって発熱するが、周波数が高い場合は表面の浅い部分が特に発熱する。これは表皮効果と呼ばれ、例えば周波数が20000Hzであると、その誘導電流の浸透深さは一般炭素鋼で50μmと非常に浅い領域となる。一方、ブラストを行った鋼材の表面は50μm以上の凹凸があるため凸部が極端に高温となり鋼材表面に不均一酸化が進行する。このために紛体プライマー塗膜との密着性が低下すると考えられる。
そこで、被覆ラインでの高周波誘導加熱による粉体エポキシ樹脂塗装での性能低下を防ぐ方法を詳細に検討した。その結果、鋼管を2段以上で加熱する、具体的には1段目で100〜160℃に均一加熱後、2段目の加熱で200〜260℃以上とすることで、鋼材表面の不均一酸化が抑制され、粉体エポキシ樹脂の耐陰極剥離性能を低下させることなく高温で塗装することが可能であることを見出した。
更に、高周波誘導加熱の周波数を3000Hz以下、更に望ましくは2000Hz以下とすることで粗度に対して誘導電流の浸透深さを十分に確保し、ブラスト処理によって生成した凸部の不均一加熱を軽減することが出来る。
本発明の加熱方法で製造したポリオレフィン被覆鋼管は、高周波誘導加熱を2段以上で行う事でブラスト表面の酸化状態が不均一とならないことから、粉体エポキシ樹脂をプライマーとして使用した場合に鋼管を200℃以上の高温に加熱することが可能となり、良好な陰極剥離性能が得られる。
図1は本発明のポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法における誘導加熱装置の配置の一例を示す模式図である。 図2は一般的なポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法における誘導加熱装置の配置の一例を示す模式図である。 図3は本発明の複数段(2段)の加熱と均熱化処理を行った場合の鋼管表面温度曲線のイメージ図。 図4は一般的な均熱化時間を有しない単数(1段)加熱処理を行った場合の鋼管表面温度曲線のイメージ図。 図5は高周波誘導加熱の周波数と電流浸透深さの関係を示す例。
以下、本発明のポリオレフィン被覆使用材料について説明を行なう。
本発明の被覆に使用する鋼管に特に制限は無く、普通鋼、あるいは高合金鋼など、ラインパイプに用いられる鋼種に適用可能である。また、サイズ、厚みの制約は設備に起因する。
次に、エポキシ樹脂プライマー層について説明する。粉体エポキシ樹脂塗料はビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を単独、もしくは混合し、更に多官能性のフェノールノボラック型エポキシ樹脂やハロゲン化エポキシ樹脂を組み合わせたものに、フェノール系、アミン系、イミダゾール化合物、ジシアンジアミドといった硬化剤を添加して調整され、更に20〜50重量%の無機顔料が添加されたものを用いる。無機顔料はシリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等を適宜用いることができる。粉体エポキシ樹脂塗料は、海外では、JOTUN、Arsonsisi、3M等のメーカーで鋼管被覆用として販売されている銘柄を適宜用いる。国内では日本ペイント株式会社、もしくは関西ペイント株式会社から入手可能で、プライマー層の厚みは150〜600μmが適切である。
粉体エポキシ樹脂プライマー層を塗装後に、変性ポリオレフィン樹脂接着剤を介してポリオレフィン樹脂被膜を積層する。変性ポリオレフィン樹脂接着剤は、ポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性したもの、あるいはポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、ポリオレフィンとアクリル酸エステルと、無水マレイン酸との共重合体をベースに変性したものを用いることができる。変性ポリオレフィン樹脂接着剤は、粉体あるいはペレットで供給される。ペレットで供給されるポリエチレンに使用する接着剤としては、例えば三井化学社製のNE060,NE065,NE080、BOREALIS社製のBorcoat ME0420、Lyondell Basell社製のLucalen G3710E等が使用できる。ペレットの場合、接着剤押出機を用いて加熱溶融した樹脂を、Tダイスを用いてプライマー塗布後の鋼管外面に被覆する。中小径鋼管では丸ダイスを用いる場合もある。その他の方法としては、変性ポリオレフィン樹脂接着剤を粉砕して粉体化し、この粉体を塗布する方法もある。これらの方法により、0.1〜0.4mmの接着剤層を形成する。
変性ポリオレフィン接着剤層の上に被覆するポリオレフィン樹脂は、鋼管被覆用として市販されているものを使用することができる。代表的なポリオレフィンはポリエチレンであり、その他には高温用にポリプロピレンが用いられる。ポリエチレン樹脂としては鋼管被覆用に用いられる銘柄を使用することができる。例えば、国内では日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002S、海外では BOREALIS社製のBorcoat HE3450、Lyondell Basell社製のLupolen 4552Dなどの、鋼管被覆に要求される長期耐久性を有し、カーボンブラックを添加したものが使用可能である。
ポリプロピレン樹脂としては一般的にはホモポリマーよりも低温特性に優れる共重合体が使用され、耐熱性と耐候性対策として、着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等が添加されたもので、低温靭性と高温使用での耐酸化劣化性を兼ね備えたものであることが好ましい。ポリプロピレン樹脂の着色顔料としてカーボンブラックを用いると、高温で酸化防止剤の効果が消失するため、高性能の被覆鋼管品では用いられない。このため、着色顔料の色としては白色が一般的である。ポリプロピレン樹脂は、例えば国内では日本ポリプロピレンのTX1843B、海外ではBOREALIS社製のBorcoat BB108E-1199、LyondellBasell社製のMoplen Coat EP60R/BIANCOといった鋼管被覆用の樹脂が使用出来る。
ポリオレフィン樹脂被覆層は取り扱い時の疵発生を抑制するため、2mm以上被覆する。ポリオレフィン樹脂被覆層は厚い程、耐疵性と防食性に優れるが、厚膜になると内部応力が大きくなるため6mm以下が望ましい。
以下に本発明のポリオレフィン被覆鋼管の製造方法を説明する。
鋼管は油付着を事前に除去した後に、鋼管表面の錆や汚れを除去して接着に必要な粗度を確保するためにブラスト処理を行う。ブラスト処理に用いる研掃材としては、一般的には鋼製ショット粒及びグリッド粒を用いる。更に清浄な表面が要求される場合には、アルミナ等のセラミック素材を用いても良い。ブラスト処理後の表面に、鉄粉等の汚れが付着している場合、ブラシ、吸引、液体による洗浄等の処理を行うことができる。洗浄には酸性の洗浄剤を用いる方法が有効で、反応性を高めるために30〜80℃に鋼材を加熱して使用する。洗浄剤の酸としてはリン酸系が良く、例えばChemetall社のOakite31、32、33、131が使用出来る。洗浄後には水洗と乾燥を行う。更にクロメートやその他の化成処理を行っても本発明の効果を減じるものでは無い。ただし、本発明の加熱方式の効果は鋼材表面に洗浄剤や化成処理による保護膜が形成された場合には小さくなる。
次いで本発明による高周波誘導加熱による塗装前の鋼管の加熱方法を示す。本発明では前述のブラスト処理による50μm程度の微細な凹凸がある鋼管を高周波誘導加熱によって200℃以上の高温加熱を行う場合にも、鋼材表面の不均一な酸化を防止し耐陰極剥離性能の低下を抑制することが出来る。
ブラスト時の鋼材表面は清浄な面であるが、すぐに薄い酸化物や分子レベルの付着水で覆われる。この初期段階の酸化物層の厚みは5nm程度であることがX線光電子分光分析(XPS/ESCA)で観察される。一方、高周波誘導加熱では瞬間的に鋼管表面のみが高温に加熱される。特にブラスト処理した鋼管では粗度があることもあって、特に凸部や鋼管と接触面積が少ないへげ部分が瞬間的に高温になるために、付着水による表層酸化が激しく生じる。従って、通常の1段加熱で急激に鋼材表面を加熱すると、表面が不均一な状態で酸化膜が急激に成長して鋼材表面は数10nmに及ぶ厚い鉄酸化層の被膜に覆われ、塗料の濡れ性や密着性が大きく減少する。これに対して、事前に低温加熱を行って結晶水を除去し、比較的緩やかな酸化条件で鋼材表面に予め薄い10nm以下の酸化被膜を均一に形成させておくと、その後、酸化の激しくなる高温まで加熱を行っても酸化物の急激な成長が抑制されることから、接着阻害の影響が小さくなる。
このことから、初めの加熱工程では鋼材表面の付着水除去と薄い均一酸化膜形成を目的とした加熱を行う。この時、鋼材均熱時の温度を100〜160℃の範囲で調整すると、付着水除去と鋼材酸化のバランスが良く、10〜20nm程度の均一な保護酸化膜が形成出来る。その後に、次の加熱工程で均熱化後に粉体プライマーが性能を発揮する200℃以上となる加熱を行う方法を提案するものである。本発明の基本的な方法は2段加熱であるが、本発明の骨子として一度薄い酸化膜を形成する100〜160℃に加熱する工程が含まれていれば、その後の加熱工程を分割して多段の工程としても問題無い。
前述の高周波誘導加熱における周波数は3000Hz以下、更に望ましくは2000Hz以下とする。高周波誘導加熱による渦電流は鋼材の表面に近いほど大きく、内部にゆくにつれて指数関数的に小さくなることが知られている。いわゆる表皮効果である。渦電流が表面における電流密度の0.368倍に減少した点での表面からの深さを電流の浸透深さσと呼び、以下の(式1)が成立することが知られている。
σ(cm)= 5.03×103×√(ρ/μf) ・・・・・・・(式1)
ρ(μΩ・cm):電気抵抗率
μ :比透磁率
f(Hz) :周波数
周波数の影響を例えばρを常温の鋼材の値として20μΩ・cm、炭素鋼の比透磁率を1000として計算した例を図5に示す。但し、実際の加熱では温度によりρは大きくなる。
図5の例からも明らかなように高周波加熱では例えば周波数が10000Hzでは浸透深さσは70μmと非常に薄い領域のみが加熱される。このため、塗装鋼管の様にブラスト処理で鋼材に50μm以上の凹凸がある場合、表層のみ加熱される影響が更に大きくなる。従って、電流浸透深さσは粗度に対して十分に大きくする必要がある。そこで、本発明では粗度の影響を除外するために用いる周波数は3000Hz以下とした。3000Hzでのσの計算値は130μmで粗度の2倍以上の値となる。その一方で周波数が低すぎると、高周波加熱の効率が低下することから200Hz以上が実用的である。
本発明におけるポリオレフィン被覆鋼管の加熱〜冷却までの工程概念図を図1に示す。また、本工程で得られる鋼管表面の想定温度曲線を図3に示す。図1における鋼管1の被覆工程で、第1段階の誘導加熱用コイル2を用いて鋼管を100〜160℃に均一加熱し、第2段階の誘導加熱用コイル3を用いて鋼管を200〜260℃に均一加熱する。この後、粉体エポキシ樹脂を粉体エポキシ樹脂プライマーの塗装装置4を用いて塗装した後、接着剤ペレット樹脂を押出機とTダイスからなる接着剤塗布装置5によりフィルム状にして巻き付ける。更に同様にポリオレフィン樹脂ペレットを押出機とTダイスからなるポリオレフィン樹脂塗布装置6によって巻き付け、その後水冷ゾーン7で水冷して本発明のポリオレフィン樹脂被覆鋼管を製造する。
比較として通常のポリオレフィン被覆鋼管の加熱〜冷却までの工程概念図を図2に示す。また、本工程で得られる鋼管表面の想定温度曲線を図4に示す。図2における鋼管1の被覆工程で、誘導加熱用コイル8を用いて鋼管を200〜260℃に均一加熱する。この後、粉体エポキシ樹脂を粉体エポキシ樹脂プライマーの塗装装置4を用いて塗装した後、接着剤塗布装置5によってフィルム状にして巻き付ける。更に同様にポリオレフィン樹脂塗布装置6によって巻き付け、その後水冷ゾーン7で水冷して一般的なポリオレフィン樹脂被覆鋼管を製造するが、この場合は、ブラストによる微細な凹凸がある鋼管を高周波誘導加熱によって急速に200℃以上の高温加熱を行うため、紛体プライマーの性能を十分に発揮できず、耐陰極剥離性能に劣る被覆となる。
〔実施例及び比較例の製造方法〕
以下、本発明のポリオレフィンとしてポリエチレンを使用し、所定の誘導加熱を行った場合の実施例及び比較例の製造方法を示す。
鋼管は200AのJIS G3452の配管用炭素鋼管5.5m長を用いた。鋼管外面にIKK社製のTGD−100番のグリッドブラスト処理を行って除錆したものを用意した。その後、鋼管の表面洗浄処理液にOAKITE31を用いて汚れや鉄粉等を除去し、残った液を水洗した後にエアブロー乾燥した。
次いで被覆ラインの誘導加熱装置として200KWの誘導加熱用コイル2と100KWの誘導加熱用コイル3を搬送ライン内に並べた。誘導加熱用コイル2の出端と誘導加熱用コイル3の入端の距離を本発明の実施例1〜8及び比較例1〜5では1.0mとなるように調整し、鋼管のライン搬送速度は1.5m/分として30秒以上の間欠加熱となるようにした。一方、比較例6〜8では本発明とは異なる1段加熱を行うため、2つのコイル間の距離を0とした。
2つのコイルの周波数として、本発明の範囲として実施例1〜6では2000Hz、実施例7では200Hz、実施例8では3000Hzを用いた。また比較例4〜5では本発明の誘導加熱周波数とは異なる5000Hz,10000Hzで加熱を実施した。
2つの誘導加熱用コイル2と誘導加熱用コイル3は出力を制御して温度調整を行った。本発明の実施例では誘導加熱用コイル2の加熱後の均一化温度を100〜160℃に調整し、誘導加熱用コイル3で加熱後の温度が200〜260℃となる場合を実施例とした。比較例1は誘導加熱用コイル3の加熱温度が不足して粉体の溶融〜硬化が不十分となる場合とした。比較例2は誘導加熱用コイル2での加熱温度が100℃以下のため付着水の除去が不十分となる場合とした、比較例3は誘導加熱用コイル2での加熱温度が高すぎる場合とした。比較例4及び5は誘導加熱の周波数が高く、本発明の範囲から外れる場合である。比較例6〜8は誘導加熱用コイル2と誘導加熱用コイル3の距離をゼロとし、加熱間欠処理を設けない場合である。
上記の加熱を行った鋼管に粉体エポキシ樹脂プライマー(3M社製226N 8G)を200μm狙いで静電粉体塗装を実施した後にポリエチレン接着剤としてLyondell Basell社製のLucalen G3710Eのペレットを押出機とTダイスを用いてシート状の半溶融状態成形して巻き付け被覆を行った。次いで、ポリエチレン被覆にはLyondell Basell社製のLupolen 4552Dのペレットを押出機とTダイスを用いてシート状の半溶融状態成形して巻き付け被覆を行った。接着剤膜厚は0.2mm、ポリエチレン樹脂被覆は3mmになるように調整した。被覆後、水冷を行って3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管を製造した。
〔陰極剥離試験〕
製造したポリオレフィン被覆鋼管を長さ方向に150mm、円周方向に8分割して試験片を作製した。作製した1水準に対して3個の試験片をISO 21809のAnnex H に示される方法で試験片中央の被覆にドリルで穴を開けた後に試験用セルを立て、内部に3%食塩水電解液を満たした後に全体を80℃のオーブンに入れて温度を制御し、銀塩化銀電極に対して−1.45Vの陰極防食を鋼材露出部に施した。試験を28日行った後にポリオレフィン被覆を除去し、穴を中心として8方向にカッターでプライマーに切り込みを入れ、プライマーを疵穴部からはつって容易に剥離する陰極剥離部分を露出させた。剥離直径を4方向で測定して平均し、初期穴からの剥離距離を算出した値で15mm以下を合格とした。
実施例での試験結果を表1、比較例の試験結果を表2に示す。
同一被覆材料を用いた場合、陰極剥離距離は鋼材の下地処理とプライマーの加熱温度、膜厚で決定される。今回の試験ではこれらの因子を揃えても、1段加熱の比較例7に対して、2段加熱の実施例1及び実施例4〜6では陰極剥離試験性能が向上した。また、一段目の加熱温度を変えた場合に実施例4〜6の100〜160℃が良好で、本発明の温度範囲から外れる比較例2及び3では陰極剥離が大きくなることがわかる。また、比較例4及び5の様に周波数が高く、誘導電流浸透深さが浅い場合には粗度の影響が大きくなって規格性能を満足することが出来ない。
以上の表1及び表2の結果からも明らかなように、本発明の誘導加熱を2段以上の間欠で行う方法で、かつ加熱温度域を調整することで、鋼材の高周波誘導加熱における悪影響を減じることが出来ることから、要求される陰極剥離に対して高い性能を有するポリオレフィン被覆鋼管を製造することが可能である。
1 鋼管
2 誘導加熱用コイル
3 誘導加熱用コイル
4 粉体エポキシ樹脂プライマーの塗装装置
5 接着剤塗布装置
6 ポリオレフィン塗布装置
7 水冷
8 一般的な誘導加熱用コイル

Claims (1)

  1. 鋼管にポリオレフィンを被覆するために被覆前に鋼管を誘導加熱する際、周波数が3000Hz以下である誘導加熱を2段以上の間欠で行い、1段目の加熱温度100〜160℃、2段目以降の加熱温度200〜260℃とすることを特徴とするポリオレフィン被覆鋼管の誘導加熱方法。
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