JP2020151702A - 金属管の製造方法 - Google Patents

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仁志 柳谷
Hitoshi Yanagitani
仁志 柳谷
冨田 直岐
Naoki Tomita
直岐 冨田
健吾 明渡
Kengo Akewatari
健吾 明渡
慧 太田
Kei Ota
慧 太田
大津 秀樹
Hideki Otsu
秀樹 大津
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Abstract

【課題】焼鈍熱エネルギーの有効利用を図る。【解決手段】金属管Pは内外径が一定な円筒形直部の一方の端部が受口1、他方の端部が挿し口2となり、前記受口内面にロックリング3が装填され、前記挿し口外周面にロックリング3に係止する突部4が形成された前記金属管の製造方法である。その製造の際、金属管Pを遠心鋳造法で鋳造する。その鋳造後、熱処理によって焼鈍し、その焼鈍余熱を利用して前記金属管外面の塗装aを行う。その塗装aが下塗り塗膜と上塗り塗膜を含む複層塗膜で形成する場合は、下塗り塗膜を形成するジンク粉体塗料を金属管外面に塗布した後、そのジンク粉体塗料の上に上塗り塗膜を形成するポリエステル系樹脂や水添エポキシ樹脂からなる粉体塗料を塗布し、前記ジンク粉体塗料とポリエステル系樹脂塗料等を前記金属管の焼鈍余熱で溶融する。このとき、金属管の継手部内面への粉体塗装bを行うこともできる。【選択図】図2

Description

この発明は、内外面を塗装する金属管の製造方法に関する。
鋳鉄管(金属管)には、例えば、図2に示すように、内外径が一定な円筒形直部の一方の端部が受口1、他方の端部が挿し口2となり、前記受口内面にロックリング3が装填され、前記挿し口外周面に突部4が形成された管がある。この管Pは、一方の管Pの挿し口2を他方の管Pの受口1にロックリング3を乗り越えて挿入し、そのロックリング3に突部4が係止することによって一方の管Pの挿し口2の他方の管Pの受口1からの抜け出しが防止される。図中、5はロックリングホルダーである。
この種の管Pは、通常、遠心鋳造法によって鋳造される。その鋳鉄管Pは、例えば、図3のフロー1に示すように、鋳造後、まず焼鈍が行われ、その後、その焼鈍による高温の管Pを水冷して常温にし、スケール除去処理、渦流探傷検査(試験)、突部4の挿し口2への形成(挿し口突部形成)を経て、管P内に水を充満させる水圧試験を行った後、防錆処理(防錆塗装)を行う。その防錆処理が終了した鋳鉄管Pは、フロー2に示すように、別工場に移送され、加熱されてその内面に粉体塗装を行う。その後、フロー3に示すように、さらに別工場等に移送され、鋳鉄管Pを再加熱してその外面に合成樹脂塗装(外面塗装)を行っている(特許文献1段落0022〜同0031,図2等参照)。
このような鋳鉄管Pの製造方法では、高温の管Pを一旦水冷して常温にした後、管P全体を再加熱して、鋳鉄管Pを常温から内面の粉体塗装に適した所定温度まで昇温させるため、エネルギーコストが増大するとともに作業能率が低下するといった問題がある。
このため、鋳鉄管Pに焼鈍の余熱がある状態で、挿し口2に突部4を溶接によって形成したり、鋳鉄管Pに上記粉体塗装を行ったりする技術が開示されている(特許文献2請求項1)。この技術は次の作用効果1〜3を発揮するとしている。
1.焼鈍の焼鈍余熱がある状態で、挿し口2に突部4を溶接するため、金属管Pの温度が熱処理(焼鈍)直後の高温から粉体塗装に適した所定温度に低下するまでの時間を有効に利用することができ、金属管Pの製造効率が向上する。また、突部4の溶接を金属管Pに焼鈍の焼鈍余熱がある状態で行うため、金属管Pが常温の状態で溶接を行う場合に比べて、溶接性が良好である(特許文献2段落0011)。
2.熱処理後の金属管Pが常温まで冷め切らないうちに金属管Pの焼鈍余熱を利用して粉体塗装を行うため、エネルギーコストが低減されるとともに作業能率が向上する(特許文献2段落0012)。
3.溶接によって挿し口2が加熱されるため、粉体塗装を行う際、受口1が粉体塗装に適した所定温度に低下しても、挿し口2が前記所定温度よりも低温の状態になるのを防止することができる。このため、挿し口2の粉体塗装を良好に行うことができる(特許文献2段落0013)。
また、鋳鉄管Pの内面塗装は、例えば、塗装適正温度が200℃程度の粉体塗料が使用され、外面には適正温度が70℃程度の液体塗料が使用される。このため、このような塗装温度の異なる鋳鉄管の内外面の塗装において、内外面のうちの適正温度が高い方の一方の面(例えば、管内面)を所定の適正温度で塗装したのち、管Pを塗装温度の低い方の面(例えば、管外面)の適正温度まで強制冷却し、その他方の面を所定の適正温度で塗装する技術が開示されている(特許文献1請求項1)。
この技術は、塗装時間の短縮を図ることができる。としている(特許文献1段落0020)。
一方、鋳鉄管は、地中に埋設される水道管として使用する場合、地下水による鋳鉄管外面の腐食を防止するため、鋳鉄管外面に様々な処理が必要である。例えば、塗膜は、耐久性・耐食性を確保するため、単膜ではなく、プライマーとしてジンク(亜鉛)を多く含んだ塗料(例えば、ジンクリッチプライマー、ジンク粉体塗料など、以下、これらを総称して「ジンク粉体塗料」という。)を用いた塗装によったり、もしくは溶射(亜鉛溶射又は亜鉛系擬合金溶射)を用いたりする必要がある。
ジンク粉体塗料もしくは溶射(亜鉛溶射又は亜鉛系擬合金溶射)は、万が一塗膜もしくは溶射膜が損傷し、その損傷部分に水が付着したとしても、損傷部分の周りにある亜鉛が酸化する犠牲陽極作用が働くので、鉄の腐食を長期にわたって防止でき、下塗り塗膜としてよく利用されている。また、ジンク粉体塗料は、バインダー成分として熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂を用いているので、鋳鉄管外面への付着性も良好である。
下塗り塗膜の上には、目的に応じ、例えば、耐候性や美粧性を向上させるために、エポキシ系粉体塗料、ポリエチレン系粉体塗料、ポリエステル系粉体塗料、エポキシ/ポリエステル系粉体塗料からなる上塗り塗膜を形成することが多い。なお、上塗り塗膜を形成する粉体塗料は、バインダー成分として熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のいずれかを用いている。
このような下塗り塗膜と上塗り塗膜とからなる複層塗膜を鋳鉄管外面に形成するには、まず、ジンク粉体塗料を鋳鉄管外面に塗布し、その鋳鉄管を乾燥炉に入れて、ジンク粉体塗料の一般的な焼付け温度(120〜250℃)で15〜30分間ジンク粉体塗料を加熱・溶融する(焼付け処理)。これにより、ジンク粉体塗料の硬化反応が進行して下塗り塗膜が形成される。
つぎに、鋳鉄管を乾燥炉から取り出し、反応硬化した下塗り塗膜の上に他の粉体塗料を塗布し、鋳鉄管を再び乾燥炉に入れて、他の粉体塗料を120〜220℃の温度で15〜30分間加熱・溶融する(焼付け処理)。これにより、他の粉体塗料の硬化反応が進行して上塗り塗膜が形成される。なお、他の粉体塗料のバインダー成分が熱可塑性樹脂である場合は、加熱・溶融後の冷却により硬化する(特許文献3参照)。
特許第5376306号公報 特許第6161771号公報 特開2012−30156号公報
上記特許文献1記載の技術は、鋳鉄管Pの内外面を塗装する際、鋳鉄管Pを粉体塗料の塗装適正温度である200℃程度まで加熱炉で加熱し、粉体塗料による塗装後、強制冷却して液体塗料の塗装適正温度である70℃程度まで冷却している(同文献1段落0023)。すなわち、粉体塗料の塗装において、再加熱しており、焼鈍による熱エネルギーを有効に利用していない。
上記特許文献2記載の技術は、焼鈍の焼鈍余熱を利用して塗装を行うことが記載されているが、焼鈍の焼鈍余熱によって鋳鉄管の外面を塗装することは記載されていない。
さらに、特許文献3においても、焼鈍後、鋳鉄管の温度を下げ、下塗り塗膜と上塗り塗膜の形成において、乾燥炉に入れて再加熱しており、焼鈍による熱エネルギーを有効に利用していない。
この発明は、以上の実状の下、焼鈍の余熱によって金属管の内面又は外面の塗装を行うことを課題とする。
上記課題を達成するため、この発明は、金属管を焼鈍し、その焼鈍余熱を利用して前記金属管の内面又は外面への塗装を行うようにしたのである。
このように、金属管の内面又は外面に焼鈍余熱を利用して塗装すれば、エネルギーの有効利用を図ることができる。このとき、金属管内面及び外面の両面に焼鈍熱を利用して塗装することができる。
その金属管が一方の端部が受口、他方の端部が挿し口となり、前記受口内面にロックリングが装填され、前記挿し口外周面に前記ロックリングに係止する突部が形成された鋳鉄管であれば、金属管内面又は外面の塗装を行う前に、スケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験の少なくとも何れか一つ以上を行うことができる。
これらのスケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験は、金属管が焼鈍熱を有している必要はなく、一方、焼鈍熱の大きな低下を招くことなく行うことができるため、金属管内外面の塗装に必要な金属管の温度を維持できてその塗装に支障が生じる恐れはない。
上記金属管の内面及び外面の塗装を行った後に、水圧試験を行うようにすれば、水圧試験による金属管の温度低下を招くことなく、塗装を行うことができるため、焼鈍熱を有効に利用することができる。
また、上記外面への塗装は、下塗り塗膜を形成するジンク粉体塗料を金属管外面に塗布した後、そのジンク粉体塗料の上に上塗り塗膜を形成する他の粉体塗料を塗布し、前記ジンク粉体塗料と前記他の粉体塗料を前記金属管の焼鈍余熱で溶融することにより、前記下塗り塗膜と前記上塗り塗膜を含む複層塗膜を形成することが好ましい。
このように、上記と同様に、焼鈍余熱によって下塗り塗膜と上塗り塗膜を含む複層塗膜を形成するようにすれば、エネルギーの有効利用を図ることができる。
なお、前記下塗り塗膜の形成は、亜鉛溶射又は亜鉛系金属溶射を採用することもできる。
また、同様な、金属管を焼鈍し、その焼鈍熱を利用して前記金属管の継手部内面への粉体塗装を行う金属管の製造方法であって、
上記外面への粉体塗装は、下塗り塗膜を形成するジンク粉体塗料を金属管の継手部内面に塗布した後、そのジンク粉体塗料の上に上塗り塗膜を形成する他の粉体塗料を塗布し、前記ジンク粉体塗料と前記他の粉体塗料を上記焼鈍熱で溶融することにより、前記下塗り塗膜と前記上塗り塗膜を含む複層塗膜を前記金属管の継手部内面に形成するようにすることもできる。このようにすれば、同様に、エネルギーの有効利用を図ることができる。なお、この製造方法においても、前記下塗り塗膜の形成は、亜鉛系溶射又は亜鉛系擬合金溶射を採用することもできる。
これらの各構成において、上記上塗り塗膜を形成する他の粉体塗料は、ポリエステルウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、又は水添エポキシ樹脂とすれば、耐候性の優れた外面塗装となる。
また、上記ジンク粉体塗料を塗布する前の鋳鉄管の温度を、230〜250℃とすると好ましい。鋳鉄管の温度が250℃よりも高いと、下塗り塗膜の硬化完了後も高温の焼鈍余熱が伝えられるので、下塗り塗膜に対するオーバーベークが生じる可能性が高まるからである。また、鋳鉄管の温度が230℃よりも低いと、ジンク粉体塗料と他の粉体塗料の硬化反応が十分に進行しなくなるからである。
上記下塗り塗膜と上記上塗り塗膜との複層塗膜は、200〜400μmの膜厚となるように形成すると好ましい。複層塗膜の膜厚が400μmよりも厚いと、鋳鉄管の焼鈍余熱が他の粉体塗料の表面まで十分に伝わらず、ジンク粉体塗料と他の粉体塗料の硬化反応が十分に進行しなくなるからである。また、複層塗膜の膜厚が200μmよりも小さいと、防食性が十分に担保されなくなるからである。
この発明は、以上のように構成したので、焼鈍熱エネルギーの有効利用を図るものとなる。
この発明に係る金属管の製造方法の一実施形態のフローチャート図 この発明に係る金属管の一例の部分断面図 従来の金属管の製造方法のフローチャート図
この実施形態の金属管の製造方法も、図2に示した鋳鉄管(金属管)Pの製造に係わり、図1に示すように、まず、鋳鉄管Pは遠心鋳造法によって鋳造する。
この鋳鉄管Pを鋳造後、焼鈍し、スケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験、内面粉体塗装、外面塗装を順々に行い、最後に、水圧試験を行って、鋳鉄管Pの製造を終了する。
この工程において、鋳鉄管Pの焼鈍から、外面塗装aまでは、一工場において、流れ作業的に行う。
上記「焼鈍」は、例えば、加熱炉内に鋳鉄管Pを入れて、約600℃〜1000℃の温度で行う。
「スケール除去」は、例えば、鋳鉄管P内で円盤状の砥石を回転させて内面の酸化スケールを研削する。このスケール除去は、焼鈍余熱を有する鋳鉄管Pで行うため、常温の状態で酸化スケールを除去する場合に比べて、酸化スケールが除去され易い。
「渦流探傷試験」は、例えば、試験体である鋳鉄管Pの周りに交流を通じたコイルを接近させ、電磁誘導現象によって鋳鉄管Pに発生した渦電流の変化を検出して探傷の有無を検出する。
「挿し口突部形成」は、例えば、挿し口2外周面にリング状部材を嵌めて溶接して突部4を形成したり、アーク溶接によって挿し口2外周面に肉盛溶接し、その溶接金属(溶接ビート)によって突部4を形成したりする。
ここで、挿し口2は、受口1と比べて肉厚が薄く、且つ鋳鉄管Pの端部に形成されているため、熱が放散し易く、受口1よりも温度の低下速度が大きく、冷め易い。しかし、挿し口突部4を形成する際、溶接によって挿し口2が加熱されるため、下記の粉体塗装を行う際、受口1が粉体塗装に適した所定温度以下(例えば約180℃〜260℃)に低下しても、挿し口2が下記所定温度よりも低温になるのを防止することができ、挿し口2を下記所定温度に保つことができる。このため、挿し口2の粉体塗装を良好に行うことができる。
「漏れ試験」は、例えば、鋳鉄管Pの両端をカバーで密封し、外部にヘリウム等の気体を満たし、真空ポンプ等を用いて鋳鉄管Pの内部を真空引きすることにより漏れ度合いを測って行う。このように、ヘリウム等の気体を用いることにより、鋳鉄管Pの温度が下記の塗装の所定温度よりも低い常温まで急激に低下してしまうことはなく、鋳鉄管Pに焼鈍の焼鈍余熱がある状態で、漏れ試験をすることができる。
「内面粉体塗装b」及び「外面塗装a」は、鋳鉄管Pがダクタイル鋳鉄管の場合、JDPA Z2010ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗装の規定に準拠して行い、例えば、鋳鉄管P内面の粉体塗装には、適正塗装温度:200℃のエポキシ樹脂粉体塗料等を使用し、同外面の塗装には、適正塗装温度:70℃の水系エマルジョン塗料等を用いることができる。
以上のように、スケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験は、鋳鉄管Pの塗装面温度が200℃以下に下がっていない状態で行い、その200℃の状態で、鋳鉄管P内面の粉体塗料(エポキシ樹脂粉体塗料)による塗装を行い、その後、鋳鉄管Pが70℃になった状態で、鋳鉄管Pの外面に液体塗料(エマルジョン塗料)による塗装を行う。前記内面粉体塗装には、エポキシ樹脂粉体塗料に珪砂等の無機系粉末を混合したものを使用しても良い。内面粉体塗装後の鋳鉄管Pを外面塗装の適正温度に強制的に下げるには、自然冷却や空気噴射等の強制冷却手段を採用し得る。
「水圧試験」は、鋳鉄管Pの両端面を塞ぎ、その内部に水圧を作用させて耐圧性の検査を行う。この水圧試験によって、鋳鉄管Pは水に触れて降温するが、高温を必要とする塗装などは終了しているため、その降温は支障がない。
この実施形態においては、焼鈍後(熱処理後)、鋳鉄管Pが常温に冷め切らないうちに、スケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験を行い、金属管Pの焼鈍余熱を利用して内面粉体塗装及び外面塗装を行うため、エネルギーコストの低減を図ることができる。
また、鋳鉄管Pの温度低下が大きい水圧試験を最後とし、その前に温度低下の少ない漏れ試験を行って温度低下の防止を行っている。
このように、焼鈍熱を利用して鋳鉄管の内面塗装・外面塗装を行うことによって、図3の従来に比べて、二回の加熱工程がなくなり、エネルギーコストの低減が図られる。
また、図3のように、水圧試験後の鋳鉄管Pを保管していると、管Pが錆びる恐れがあるため、防錆処理が必要であった。しかし、この実施形態では、その水圧試験の前に、焼鈍熱を利用して塗装するため、その防錆処理が不要となった。防錆処理においても加温が必要であるため、この防錆処理も含めると、三回の加熱工程がなくなることとなる。
以上から、製造コストの低減となった。
鋳鉄管Pの外面に防錆処理を行う場合、図1に示すフローチャートで鋳鉄管Pを製造し、その外面塗装aが上記実施形態とは異なる。この外面塗装aは、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層とからなり、その下塗り塗膜を形成するジンク粉体塗料は、亜鉛金属粉末と、バインダー成分としてのエポキシ樹脂および硬化剤を配合したものであり、市販のものであればいずれのものを用いることができる。なお、前記下塗り塗膜の形成は、亜鉛溶射又は亜鉛系擬合金溶射を採用することもできる。
上塗り塗膜を形成する他の粉体塗料としては、バインダー成分として熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のいずれを用いてもよく、例えば、エポキシ系粉体塗料、ポリエチレン系粉体塗料、ポリエステル系粉体塗料、エポキシ/ポリエステル系粉体塗料、水添エポキシ系樹脂塗料等が挙げられ、市販のものであればいずれのものを用いてもよい。
この鋳鉄管外面を塗装する前に、まず、鋳鉄管表面に付着しているさびや油脂類などを除去するため、鋳鉄管の下地処理を行なう。下地処理では、まず、脱脂処理による油脂類の除去を行ない、ついで、洗浄および乾燥の後、ディスクサンダーなどの工具を用いて研磨紙によりさびの除去を行なう。さびの除去は、サンドブラスト、ショットブラスト、グリッドブラストなどのブラスト処理により除去してもよい。
つぎに、ジンク粉体塗料を鋳鉄管外面に塗布する前に、鋳鉄管の焼鈍余熱による温度が230〜250℃になるようにする。鋳鉄管Pが230〜250℃になれば、鋳鉄管Pの温度が低くならないうちにジンク粉体塗料を鋳鉄管外面に塗布する。このとき、ジンク粉体塗料は、鋳鉄管の焼鈍余熱により溶融して硬化反応が進行する。ジンク粉体塗料を塗布する手段としては、例えば、粉体塗料供給装置によって空気搬送されたジンク粉体塗料を静電吹付けガンから噴射させることにより、鋳鉄管外面に付着させることができる(静電粉体吹付け法)。
具体的には、鋳鉄管の両端の内面を適宜の把持手段で掴み、鋳鉄管を管軸周りに回転させながら、粉体塗料を噴射するガンを管軸方向に沿って移動させ、鋳鉄管の外面にジンク粉体塗料を噴射していく手法を採用することができる。
また、ジンク粉体塗料の塗布手段は、流動化したジンク粉体塗料槽の中に鋳鉄管を浸せきすることにより、鋳鉄管外面に付着させたり(流動浸せき法)、底部に高電圧極を配置したジンク粉体塗料の浮動層を作り、その上に形成されるジンク粉体塗料の流動層にアースした鋳鉄管を近づけることで静電力により鋳鉄管外面に付着させたりしてもよい(静電流動浸せき法)。このジンク粉体塗料の塗布に代えて、亜鉛又は亜鉛系擬合金の溶射によって鋳鉄管外面に溶射層を形成することもできる。
つぎに、ジンク粉体塗料の塗装、又は亜鉛又は亜鉛系擬合金の溶射に続けて、上塗り塗膜を形成する他の粉体塗料を前記塗装層又は溶射層の上に塗布する。上塗り塗膜を塗布する手段としては、例えば、下塗り塗装の場合と同様に、静電粉体吹付け法を用いることができる。また、ほかにも、流動浸せき法、静電流動浸せき法などを用いることができる。
このとき、上塗り塗膜を形成する外面粉体塗装用塗料は耐候性が求められる。そのため、その塗料は、ポリエステル系樹脂、例えば、ポリエステルウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂等や、水添エポキシ樹脂を使用する。水添エポキシ樹脂はエポキシ樹脂に水素を添加したものであり、この水添エポキシ樹脂を粉体塗料として用いることで、従来のエポキシ樹脂で問題となる耐候性の問題が解決される。
これにより、ジンク粉体塗料と他の粉体塗料が鋳鉄管の焼鈍余熱で溶融することにより、従来のような乾燥炉による加熱処理を行なわなくても、下塗り塗膜と上塗り塗膜との複層塗膜が鋳鉄管外面に形成される。複層塗膜の膜厚は、200〜400μmとし、好ましくは、下塗り塗膜の膜厚と上塗り塗膜の膜厚がそれぞれ150〜200μmとなるようにするとよい。
この発明に係る鋳鉄管外面に複層塗膜を形成する製造方法は、下塗り塗膜を形成するジンク粉体塗料を鋳鉄管外面に塗布したときに、鋳鉄管の焼鈍余熱によりジンク粉体塗料が溶融して硬化反応が進行するので、上塗り塗膜を形成する他の粉体塗料を塗布するときに、ジンク粉体塗料が硬化反応の進行した半硬化状態もしくは硬化反応の完了した硬化状態となっている。このため、ジンク粉体塗料と他の粉体塗料とが混じり合うコンタミネーションが起きにくく、防錆効果の優れた安定した下塗り塗膜を得ることができる。また、ジンク粉体塗料と他の粉体塗料を鋳鉄管の焼鈍余熱で溶融することにより、下塗り塗膜と上塗り塗膜を形成するようにしたので、従来のようにジンク粉体塗料と他の粉体塗料とで計2回焼付け処理する場合と比べて、塗膜形成作業が簡単である。
上記実施形態では、下塗り塗膜又は溶射膜と上塗り塗膜とからなる複層塗膜を形成したが、下塗り塗膜又は溶射膜と中塗り塗膜と上塗り塗膜とからなる複層塗膜を形成してもよい。この場合、中塗り塗膜としては、例えば、エポキシ系粉体塗料、ポリエチレン系粉体塗料、ポリエステル系粉体塗料、エポキシ/ポリエステル系粉体塗料、水添エポキシ系粉体塗料等で形成することができる。また、複層塗膜の膜厚は200〜400μmとする。
また、上記実施形態では、鋳鉄管の外面を塗装の対象としたが、鋳鉄管の継手部内面(受口1内面)に対しても上記の各構成を適用できる。すなわち、図2に示すように、外面塗装aのみならず、内面塗装bも行うことができる。このとき、内面塗装bは、外面塗装aと同様な、ポリエステル系樹脂、例えば、ポリエステルウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂等や、水添エポキシ樹脂等を使用することができ、継手部内面となる受口1内面のみならず、直管部内面にも行うことができる。また、内面塗装bは前記材料に加え、セラミック等の無機材料を使用できる。
上記図1に示す実施形態において、スケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験の少なくとも何れか一つ以上を行うことができる。これらのスケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験は、金属管が焼鈍熱を有している必要はなく、一方、焼鈍熱の大きな低下を招くことなく行うことができるため、金属管内外面の塗装に必要な金属管の温度を維持できてその塗装に支障が生じる恐れはない。このため、鋳鉄管Pの内外面の塗装は焼鈍余熱を利用して行うことができることに変わりはない。
なお、スケール除去処理及び挿し口突部形成は鋳鉄管Pの内外面塗装には前処理として必要であるが、渦流探傷試験、漏れ試験はその前処理として必要がないため、それらの渦流探傷試験、漏れ試験は内外面塗装の後とすることもできる。
また、上記鋳鉄管Pに限らず、内外面を塗装する金属管であれば、その金属管の焼鈍後、焼鈍余熱を利用して前記金属管内外面の塗装を行う各種の金属管の製造方法に、この発明を採用し得ることは言うまでもない。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
P 鋳鉄管(金属管)
a 外面塗装
b 内面塗装
1 鋳鉄管の受口(継手部)
2 同挿し口
3 ロックリング
4 挿し口突部
5 ロックリングホルダー

Claims (3)

  1. 金属管(P)を焼鈍し、その焼鈍熱を利用して前記金属管(P)の外面又は内面及び外面の両面の塗装を行う金属管の製造方法。
  2. 上記金属管(P)が、内外径が一定な円筒形直部の一方の端部が受口(1)、他方の端部が挿し口(2)となり、前記受口内面にロックリング(3)が装填され、前記挿し口外周面に前記ロックリング(3)に係止する突部(4)が形成された鋳鉄管であり、上記内外面の塗装を行う前に、スケール除去処理、渦流探傷試験、挿し口突部形成、漏れ試験の少なくとも何れか一つ以上を行う請求項1に記載の金属管の製造方法。
  3. 上記金属管(P)の内外面の塗装を行った後に、水圧試験を行う請求項1又は2に記載の金属管の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113898824A (zh) * 2021-10-12 2022-01-07 河北钜兴智能装备制造有限公司 球墨铸铁管陶瓷内衬层涂衬设备及形成工艺

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