JP4501394B2 - 防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法 - Google Patents

防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4501394B2
JP4501394B2 JP2003343704A JP2003343704A JP4501394B2 JP 4501394 B2 JP4501394 B2 JP 4501394B2 JP 2003343704 A JP2003343704 A JP 2003343704A JP 2003343704 A JP2003343704 A JP 2003343704A JP 4501394 B2 JP4501394 B2 JP 4501394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
resin
coating
heating
coated steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003343704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005103503A (ja
Inventor
泰宏 原田
志郎 宮田
彰彦 古田
慎一郎 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2003343704A priority Critical patent/JP4501394B2/ja
Publication of JP2005103503A publication Critical patent/JP2005103503A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4501394B2 publication Critical patent/JP4501394B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は、樹脂被覆鋼管の製造方法に関するもので、詳細には、樹脂被覆中にピンホールや気泡などの欠陥がない防食性に優れた樹脂被覆鋼管を製造するめの方法に関するものである。
従来、鋼板の成形及び溶接工程を経て製造された溶接鋼管(例えば、電縫管、スパイラル鋼管、UOE鋼管など)に防食用樹脂被覆を施した樹脂被覆鋼管が、ラインパイプなどに広く用いられている。一般に、ラインパイプとして用いられる樹脂被覆鋼管は、土壌中や海水中等のような湿潤環境に置かれることが多く、また、極寒地帯で使用される際には高温の流送物が流されるなど、厳しい環境で使用されるため高い防食性が求められる。このような厳しい環境に対応した鋼管の防食被覆として、厚膜型の単層粉体エポキシ樹脂被覆やポリオレフィン樹脂被覆が用いられている。
鋼管の外面に防食被覆を施した樹脂被覆鋼管を製造する方法としては、多くの方法が知られているが、例えば、単層粉体エポキシ樹脂被覆鋼管を製造するには、流動浸漬法や静電粉体塗装法により防食被覆を行う方法が一般的である。静電粉体塗装法の場合、まず、防食被覆すべき鋼管外面をブラスト処理した後、鋼管を予熱し、鋼管外面に粉体塗料(エポキシ樹脂)を静電塗装機を用いて吹き付け、粉体塗料を溶融・硬化させることにより防食被覆を形成する。また、流動浸漬の場合には、予熱した鋼管を粉体塗料(エポキシ樹脂)が入った流動浸漬槽に浸漬して引き上げ、粉体塗料を溶融・硬化させることにより防食被覆を形成する。
また、ポリオレフィン被覆鋼管を製造するには、鋼管の外面をブラスト処理した後、エポキシ樹脂などからなるプライマーを塗装し、このプライマー塗装前の鋼管の加熱又は/及び塗装後の加熱によりプライマーを硬化させる。しかる後、プライマー塗膜上に溶融状態のシート状ポリオレフィン樹脂を連続的に被覆してポリオレフィン被覆鋼管を得る(例えば、特許文献1,2)。
特開昭50−148488号公報 特開平9−76345号公報
しかし、本発明者らが検討したところによれば、上述した従来の製造方法によって得られた樹脂被覆鋼管は、鋼管の溶接部又はその近傍位置での防食性能がその他の部位に較べて劣っていることが判明した。そこで、本発明者らがその原因を詳細に検討した結果、溶接部上又はその近傍の樹脂被覆層内にピンホールや気泡が生じており、それが樹脂被覆の防食性能を著しく低下させる原因であると推測された。また、このようなピンホールや気泡の発生は、防食被覆の少なくとも一部に粉体塗料を用いた場合に特に顕著であることが判った。
したがって本発明の目的は、溶接部及びその近傍においても他の鋼管部位と同等の優れた防食性能が得られる、防食性に優れた樹脂被覆鋼管を製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、樹脂被覆鋼管の製造工程において、樹脂被覆中にピンホールや気泡が生成することを防止する方策について検討を行い、その結果、樹脂被覆前に鋼管の溶接部を特定の条件で加熱することにより、樹脂被覆中でのピンホールや気泡の生成が効果的に抑制され、溶接部又はその近傍の防食性能が従来に較べて飛躍的に向上することを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
[1]連続ラインにて溶接鋼管に樹脂被覆を施し、樹脂被覆鋼管を製造する方法において、
前記樹脂被覆を施す前に、下記(1)式を満足する加熱条件で溶接鋼管の溶接部を加熱することを特徴とする防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
300≧T≧270t−0.31 …(1)
但し、T:加熱温度(℃)
t:加熱保持時間(min)
[2]連続ラインにて溶接鋼管に樹脂被覆を施し、樹脂被覆鋼管を製造する方法において、
前記樹脂被覆を施す前に、下記(2)式を満足する加熱条件で溶接鋼管の溶接部を加熱することを特徴とする防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
300≧T≧438t−0.38 …(2)
但し、T:加熱温度(℃)
t:加熱保持時間(min)
[3] 上記[1]又は[2]の製造方法において、樹脂被覆が、粉体塗料の塗装により形成される樹脂被覆、又は粉体塗料の塗装により形成される樹脂被覆層とその上層に形成される1層以上の樹脂被覆層からなる多層樹脂被覆であることを特徴とする防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、樹脂被覆の下地として防錆処理を施すことを特徴とする防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
本発明によれば、溶接部及びその近傍の樹脂被覆中でのピンホールや気泡の生成が効果的に抑制され、このため溶接部及びその近傍においても他の鋼管部位と同等の優れた防食性能を備えた樹脂被覆鋼管を製造することができる。
本発明が対象とする樹脂被覆鋼管の素材鋼管は、鋼板の成形及び溶接工程を経て製造された溶接鋼管であり、例えば、電縫管、スパイラル鋼管、UOE鋼管などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において製造の対象となる樹脂被覆鋼管は、防食被覆が管外面又は内面のいずれか若しくは両方に形成されたものであるが、一般的な樹脂被覆鋼管は、少なくとも管外面に防食被覆を有する。
本発明の製造方法では、防食用の樹脂被覆を施す前に鋼管の溶接部を特定の条件で加熱するものであるが、その条件を規定するために行った試験の結果を以下に示す。
まず、単層樹脂被覆鋼管の製造試験を以下のようにして行った。
UOE鋼管の外表面をグリットブラスト処理した後、溶接部の加熱を目的として鋼管をインダクションヒーターにより種々の加熱温度(100℃〜300℃)と加熱保持時間(1分〜20分)で加熱した。引き続き、鋼管の上記加熱温度が230℃未満のものについてはインダクションヒーターにより鋼管を230℃まで加熱し、鋼管の上記加熱温度が230〜250℃のものについてはそのまま、鋼管の上記加熱温度が250℃超のものについては鋼管温度を250℃まで降温させた後、エポキシ粉体塗料(密度1.49、粒径250μm以下)を静電粉体塗装機により鋼管外面に平均膜厚が400μmとなるように塗装し、次いで、水冷により冷却することで単層樹脂被覆鋼管を得た。
このようにして得られた単層樹脂被覆鋼管の溶接部上及びその近傍の樹脂被覆について、管長方向の長さ12mの部分の1m当りのピンホールの発生個数をピンホール検出機(導通電圧3.0KV)で測定するとともに、溶接部及びその近傍の部位とその他の母材部分の防食性を、後述する実施例と同様の陰極剥離試験により評価した。
また、複層樹脂被覆鋼管(ポリオレフィン被覆鋼管)の製造試験を以下のようにして行った。
UOE鋼管の外表面をグリットブラスト処理した後、溶接部の加熱を目的として鋼管をインダクションヒーターにより種々の加熱温度(100℃〜300℃)と加熱保持時間(1分〜20分)で加熱した。引き続き、鋼管の上記加熱温度が230℃未満のものについてはインダクションヒーターにより鋼管を230℃まで加熱し、鋼管の上記加熱温度が230℃超のものについては鋼管温度を230℃まで降温させた後、エポキシ粉体塗料(密度1.49、粒径250μm以下)を静電粉体塗装機により鋼管外面に平均膜厚が400μmとなるよう塗装(プライマー塗装)した。次いで、変性ポリエチレン樹脂接着層(無水マレイン酸変性ポリエチレン,融点:121℃,MFR:1.0)とポリエチレン樹脂層(高密度ポリエチレン,密度:0.943,融点:124℃,MFR:0.24)からなる2層溶融押出樹脂シートを螺旋状に鋼管に巻け付けた後、水冷により冷却することで多層樹脂被覆鋼管を得た。
このようにして得られた多層樹脂被覆鋼管について、溶接部上のポリエチレン樹脂被覆(上記2層溶融押出樹脂シートにより形成されたポリエチレン樹脂被覆)を管長方向に12m、幅100mmで剥がし取ってプライマー層を露出させ、このプライマー層の1m当りのピンホールの発生個数をピンホール検出器(導通電圧3.0KV)で測定するとともに、溶接部及びその近傍の部位とその他の母材部分の防食性を、後述する実施例と同様の陰極剥離試験により評価した。
図1は、以上の単層樹脂被覆鋼管及び複層樹脂被覆鋼管の製造試験の結果を、溶接部(鋼管)の加熱温度と加熱保持時間との関係で整理して示したものである。なお、単層樹脂被覆鋼管と複層樹脂被覆鋼管の評価結果は同様であったため、図1中では両者の結果を区別していない。ここで、図1における◎、○、△、×の評価は以下の結果を示している。
◎:溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中でのピンホール発生なし;陰極剥離試験での陰極剥離距離10mm以下
○:溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中のピンホール発生個数が0.5個/m未満;陰極剥離試験での陰極剥離距離10mm以下
△:溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中のピンホール発生個数が0.5個/m以上、1個/m未満;陰極剥離試験での陰極剥離距離10mm以下
×:溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中のピンホール発生個数が1個/m以上;陰極剥離試験での陰極剥離距離10mm超
図1によれば、下記(1)式を満足する範囲において、溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中でのピンホールの生成が効果的に抑制され、その部分の防食性能が大きく改善されている。
T≧270t−0.31 … (1)
但し、T:加熱温度(℃)
t:加熱保持時間(min)
さらに、下記(2)式を満足する範囲において、溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中でのピンホールの生成が特に効果的に抑制され、より高い防食性能が得られている。
T≧438t−0.38 … (2)
但し、T:加熱温度(℃)
t:加熱保持時間(min)
このため本発明の製造方法では、防食用の樹脂被覆を施す前に鋼管の溶接部を上記(1)式、好ましくは上記(2)式を満足する加熱条件で加熱することを条件とする。
鋼管の溶接部の加熱温度や加熱保持時間は上記(1)式、好ましくは上記(2)式を満足していればよいが、あまり高温に加熱しすぎると、鋼管表面が酸化劣化するため好ましくない。このため加熱温度Tの上限は300℃、好ましくは270℃とすることが望ましい。また、加熱保持時間があまり長いと生産性の低下やコストの上昇を招くため、加熱保持時間tは20分程度を上限とすることが望ましい。
なお、本発明において行う溶接部の加熱は、上記加熱条件内であれば、一定温度に保持されても、温度変化(昇温または降温)を生じてもよい。
本発明において行う溶接部の加熱は、樹脂被覆を施す前であれば、いずれの段階で行ってもよい。また、溶接部を加熱する方法としては、鋼管全体を加熱する方法、溶接部(または溶接部とその近傍)のみを部分的に加熱する方法のいずれかでもよいが、鋼管全体を加熱する方法が簡便である。したがって、本発明において「溶接部を加熱する」とは、鋼管全体を加熱することにより溶接部を加熱する場合も含む。また、以下の説明においても同様である。
また、使用する加熱手段にも特別な制限はなく、誘導加熱、バーナーによる直火加熱などを用いることができるが、加熱の迅速性、温度制御性などの点で誘導加熱装置、特に高周波誘導加熱装置が好ましい。
本発明により単層樹脂被覆鋼管を製造する場合には、下記(a)又は(b)の方法を採ることができる。
(a) 必要に応じてクロメート処理などの防錆処理(以下、総称して「防錆処理」という)を施した後、塗装工程(樹脂被覆工程)前の段階で防食性の向上を目的として溶接部を加熱し、引き続き塗装を行い、この塗装の前又は/及び後に塗料の硬化に必要な温度まで鋼管を加熱することにより塗料を硬化させる。なお、防食性向上を目的とした溶接部の加熱(この場合は鋼管全体の加熱)により塗料の硬化に必要な鋼管温度が確保できれば、塗装の前又は/及び後において特に塗料硬化のための加熱を行う必要はない。
(b) 防食性の向上を目的として溶接部を加熱した後、一旦100℃未満の温度まで放冷し、しかる後、必要に応じて防錆処理を施した後、塗装を行い、この塗装の前又は/及び後に塗料の硬化に必要な温度まで鋼管を加熱することにより塗料を硬化させる。
上記(a)の方法において、鋼管を防錆処理した後に塗装を行う場合、防錆処理後の加熱乾燥処理に引き続き、防食性向上を目的とした溶接部の加熱を上述した条件で行う。この溶接部の加熱は、その一部を防錆処理後の加熱乾燥処理を兼ねて行ってもよいが、防錆処理後の加熱乾燥処理だけでは上記加熱条件を満足させることができず、さらに、防錆処理後の加熱乾燥処理に引き続いて行われることがある塗装のための加熱(塗料を硬化させるための加熱)を合わせても、加熱時間の面で上記加熱条件を満足させることができない。したがって、溶接部の防食性向上を目的とした特別な加熱条件を設定する必要がある。
また、鋼管に防錆処理を施すことなく塗装を施す場合には、防食性向上を目的として溶接部を上述した条件で加熱し、引き続き、塗装を行う。
また、上記(b)の方法としては、例えば、鋼管に防錆処理を施す前に、防食性向上を目的として溶接部を加熱する場合がある。クロメート処理などの防錆処理は100℃未満の温度の鋼管に対して施される必要があるため、この場合には、加熱された鋼管を一旦100℃未満の温度まで冷却し、しかる後、防錆処理と塗装を順次行う。また、この(b)の方法では、防錆処理の有無に拘りなく、防食性向上を目的とした溶接部の加熱は任意の時期に行うことができ、勿論オフラインにおいて実施することも可能である。
また、本発明により複層樹脂被覆鋼管を製造する場合には、上述した(a)又は(b)の方法に従って塗装(この場合はプライマー塗装)を行うことでプライマー層を形成し、引き続き、その上層にポリオレフィン等の樹脂層を少なくとも1層被覆する。通常、ポリオレフィン樹脂層は下層側の接着樹脂層と上層側の防食樹脂層からなり、さらに防食樹脂層はそれ自体が複層からなる場合もある。
一般に、ポリオレフィン樹脂層などの樹脂層の被覆は、プライマー塗装後連続して行われる。すなわち、ポリオレフィン樹脂層などの樹脂層の被覆は、プライマー塗装後の昇温状態にある鋼管に、溶融押出樹脂シートを巻き付けることによりなされる。被覆方法は、Tダイ法、丸ダイ法が一般的であるが、これらに限定されるものではない。また、Tダイ法においては、下層側の接着樹脂層と上層側の防食樹脂層をそれぞれ単独で被覆してもよい。
鋼管表面に施される防錆処理としては、クロメート処理、リン酸塩処理等の任意の処理が適用できる。
なお、以上の実施形態は防食被覆構造として単層樹脂被覆、プライマー塗装−樹脂層からなる複層樹脂被覆を例に説明したが、本発明の樹脂被覆鋼管の製造方法は、これらの防食被覆構造に限定されるものではなく、要は、防食被覆の少なくとも一部として塗料の塗装がなされる任意の樹脂被覆鋼管の製造に適用することができる。
防食用の樹脂被覆前に鋼管の溶接部を上記(1)式、好ましくは上記(2)式を満足するように加熱することにより、溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中でのピンホールや気泡の生成が抑制される理由は必ずしも明らかではないが、次のように推定される。すなわち、樹脂被覆中でピンホールや気泡が生成する原因は、塗装時の加熱(焼付)により溶接部からガス(このガスとしては水素ガスが有力である)が発生し、このガスが塗膜中に閉じ込められるためであると推定される。つまり、溶接部から発生したガスが気泡として塗膜内に閉じ込められる際に、ガスの気泡が通過した部分にはピンホールが生成し、また、ピンホールにまで至らないものでも塗膜中に気泡として残存してしまうことが考えられる。そして、このような説明は、塗膜厚が比較的薄い液状塗料を塗装した場合に較べて塗膜厚が大きい粉体塗料を塗装した場合に、特にピンホールや気泡の生成が著しいという事実とよく合致している。つまり、塗膜厚が大きい粉体塗装の場合には、溶接部から発生したガスが塗膜外に逃げにくいために、ピンホールや気泡として残り易いということが考えられる。
したがって、本発明法は、防食用の樹脂被覆の少なくとも一部として粉体塗料の塗装(特に、塗膜厚が200μm以上となるような粉体塗装)が行われる場合に、特に有用なものであると言える。
ここで、粉体塗料の塗装が行われる場合の本発明法の実施形態には、以下のようなものが考えられる。
(i) 粉体塗料の塗装を行う前に、鋼管の溶接部を上記(1)式の条件、好ましくは上記(2)式の条件を満足するように加熱する樹脂被覆鋼管の製造方法。
(ii) 上記(i)の製造方法において、粉体塗料の塗装を行う前に、鋼管の溶接部を上記(1)式の条件、好ましくは上記(2)式の条件を満足するように加熱し、引き続き、粉体塗料の塗装に必要な温度まで鋼管を加熱した後、粉体塗料の塗装を行う樹脂被覆鋼管の製造方法。
(iii) 上記(ii)の製造方法において、鋼管にクロメート処理などの防錆処理を施した後、鋼管の溶接部を上記(1)式の条件、好ましくは上記(2)式の条件を満足するように加熱する樹脂被覆鋼管の製造方法。
(iv) 上記(i)の製造方法において、鋼管の溶接部を上記(1)式の条件、好ましくは上記(2)式の条件を満足するように加熱した後、常温付近まで冷却し、次いで、鋼管にクロメート処理などの防錆処理を施し、さらに、粉体塗料の塗装を行う樹脂被覆鋼管の製造方法。
(v) 上記(i)〜(iv)のいずれかの製造方法において、粉体塗料の塗装を行ってプライマー層を形成した後、その上層に1層以上の樹脂層を被覆する樹脂被覆鋼管の製造方法。
樹脂被覆鋼管を製造し、得られた樹脂被覆鋼管について、溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中のピンホール発生状況を調べるとともに、溶接部及びその近傍の部位と他の母材部位での防食性を陰極剥離試験により評価した。
それらの結果を、樹脂被覆鋼管の製造条件とともに表1及び表2に示す。なお、表1に示す以外の樹脂被覆鋼管の製造条件、防食性の試験方法は、以下のとおりである。
(1) 製造条件
・前処理:グリットブラスト処理,除錆度Sa2.5以上
・クロメート処理:クロメート処理剤「コスマー100」(関西ペイント(株)製),クロメート処理皮膜の全クロム付着量300mg/m
・粉体塗料による塗装:エポキシ粉体塗料(密度1.49,粒径250μm以下),平均塗膜厚350〜400μm
・プライマー層の上層にポリオレフィン樹脂層を形成する場合の2層ポリオレフィン樹脂層の構成
接着層:接着性ポリエチレン樹脂(MFR=1.0g/10min,融点121℃)、膜厚0.2〜0.5mm
防食層:高密度ポリエチレン樹脂(MFR=0.24g/10min,融点124℃,密度0.943g/cm)、膜厚3.0mm
(2) 防食性の試験方法
防食性は陰極剥離試験により評価した。母材部と溶接部について、以下のような条件で試験を行い、初期孔からの剥離半径を剥離距離とし、剥離距離が10m以下の場合を防食性:良好とした。
初期孔:9mmφ
電圧:−1.5V VS SCE
電解質:3%食塩水
温度:80℃
期間:30日
[実施例1]
造管して2日以内のJIS G−3457によるSTPY40,外径914.4mm,管厚9mmのUOE鋼管を使用し、その鋼管の外面をグリットブラスト処理した後、溶接部の加熱を目的としてインダクションヒーターで200℃×3分間加熱保持した。この鋼管を室温付近まで放冷した後、スキューロール上を回転させながら搬送しつつ、まず、転写ロールを用いてクロメート処理液を鋼管表面に塗布した後、塗布面が次のスキューロールと接触するまでに、第1インダクションヒーターにより鋼管を100℃に加熱して焼付け、クロメート層を形成した。その後、直ちに第2インダクションヒーターにより鋼管を230℃まで加熱した後、エポキシ粉体塗料を静電粉体塗装機により鋼管外面に塗装し、プライマー層を形成した。引き続き、変性ポリエチレン樹脂接着層とポリエチレン樹脂層からなる2層溶融押出樹脂シートを螺旋状に鋼管に巻け付けた後、水冷により冷却し、複層樹脂被覆鋼管を得た。
得られた樹脂被覆鋼管の溶接部上のポリエチレン樹脂被覆(上記2層溶融押出樹脂シートにより形成されたポリエチレン樹脂被覆)を100mm幅で管長方向に12m剥がし取ってプライマー層を露出させ、このプライマー層の1m当りのピンホールの発生個数をピンホール検出機(導通電圧3.0KV)で測定した。また、溶接部及びその近傍の部位とその他の母材部分の防食性を陰極剥離試験により評価した。
[実施例2]
造管して2日以内のJIS G−3457によるSTPY40,外径914.4mm,管厚9mmのUOE鋼管を使用し、その鋼管の外面をグリットブラスト処理した後、スキューロール上を回転させながら搬送しつつ、まず、転写ロールを用いてクロメート処理液を鋼管表面に塗布した後、塗布面が次のスキューロールと接触するまでに、第1インダクションヒーターにより鋼管を100℃に加熱して焼付け、クロメート層を形成した。引き続き、溶接部の加熱を目的として鋼管を第2インダクションヒーターにより200℃×3分間加熱保持した後、直ちに第3インダクションヒーターにより鋼管を230℃まで加熱し、エポキシ粉体塗料を静電粉体塗装機により鋼管外面に塗装した後、水冷により冷却し、単層樹脂被覆鋼管を得た。
得られた樹脂被覆鋼管の溶接部上及びその近傍の樹脂被覆層の1m当りのピンホールの発生個数をピンホール検出機(導通電圧3.0KV)で測定した(管長方向に12m測定)。また、溶接部及びその近傍の部位とその他の母材部分の防食性を陰極剥離試験により評価した。
[実施例3]
造管して2日以内のJIS G−3457によるSTPY40,外径914.4mm,管厚9mmのUOE鋼管を使用し、その鋼管の外面をグリットブラスト処理した後、スキューロール上を回転させながら搬送しつつ、まず、転写ロールを用いてクロメート処理液を鋼管表面に塗布した後、塗布面が次のスキューロールと接触するまでに、第1インダクションヒーターにより鋼管を100℃に加熱して焼き付け、クロメート層を形成した。引き続き、溶接部の加熱を目的として鋼管を200℃×3分間加熱保持した後、直ちに第2インダクションヒーターにより鋼管を230℃まで加熱し、エポキシ粉体塗料を静電粉体塗装機により鋼管外面に塗装した。引き続き、変性ポリエチレン樹脂接着層とポリエチレン樹脂層からなる2層溶融押出樹脂シートを螺旋状に鋼管に巻け付けた後、水冷により冷却し、複層樹脂被覆鋼管を得た。
得られた樹脂被覆鋼管の溶接部上のポリエチレン樹脂被覆(上記2層溶融押出樹脂シートにより形成されたポリエチレン樹脂被覆)を管長方向12m、幅100mmで剥がし取ってプライマー層を露出させ、このプライマー層の1m当りのピンホールの発生個数をピンホール検出機(導通電圧3.0KV)で測定した。また、溶接部及びその近傍の部位とその他の母材部分の防食性を陰極剥離試験により評価した。
[実施例4,5,7]
溶接部の加熱を目的とする鋼管の加熱条件を表1に示す条件とした以外は、実施例3と同様の条件で樹脂被覆鋼管を製造し、同様の測定及び試験を行った。
[実施例6]
造管して2日以内のJIS G−3457によるSTPY40,外径914.4mm,管厚9mmのUOE鋼管を使用し、その鋼管の外表面をグリットブラスト処理した後、スキューロール上を回転させながら搬送しつつ、まず、転写ロールを用いてクロメート処理液を鋼管表面に塗布した後、塗布面が次のスキューロールと接触するまでに、第1インダクションヒータにより鋼管を100℃に加熱して焼付け、クロメート層を形成した。引き続き、溶接部の加熱を目的として鋼管を250℃×5分間加熱保持した後、エポキシ粉体塗料を静電粉体塗装機により鋼管外面に塗装した。引き続き、変性ポリエチレン樹脂接着層とポリエチレン樹脂層からなる2層溶融押出樹脂シートを螺旋状に鋼管に巻き付けた後、水冷により冷却し、複層樹脂被覆鋼管を得た。それ以外は実施例3と同様の測定および試験を行った。
[比較例1〜3]
溶接部の加熱を目的とする鋼管の加熱条件を表1に示す条件とした以外は、実施例3と同様の条件で樹脂被覆鋼管を製造し、同様の測定及び試験を行った。
[比較例4、5]
溶接部の加熱を目的とする鋼管加熱条件を表1に示す条件で行った後、鋼管温度を250℃まで降温させ、エポキシ粉体塗料を静電粉体塗装機により鋼管外面に塗装した。それ以外は実施例3と同様の条件で樹脂被覆鋼管を製造し、同様の測定および試験を行った。
表1及び表2に示されるように、比較例ではピンホールの発生が避けられないのに対し、本発明例はピンホールの発生が効果的に抑制され、このため優れた防食性能が得られている。
Figure 0004501394
Figure 0004501394
鋼管の溶接部を樹脂被覆前に加熱した際の加熱温度及び加熱保持時間と、溶接部上及びその近傍の樹脂被覆中でのピンホールの発生状況及び耐食性との関係を示すグラフ

Claims (4)

  1. 連続ラインにて溶接鋼管に樹脂被覆を施し、樹脂被覆鋼管を製造する方法において、
    前記樹脂被覆を施す前に、下記(1)式を満足する加熱条件で溶接鋼管の溶接部を加熱することを特徴とする防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
    300≧T≧270t−0.31 …(1)
    但し、T:加熱温度(℃)
    t:加熱保持時間(min)
  2. 連続ラインにて溶接鋼管に樹脂被覆を施し、樹脂被覆鋼管を製造する方法において、
    前記樹脂被覆を施す前に、下記(2)式を満足する加熱条件で溶接鋼管の溶接部を加熱することを特徴とする防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
    300≧T≧438t−0.38 …(2)
    但し、T:加熱温度(℃)
    t:加熱保持時間(min)
  3. 樹脂被覆が、粉体塗料の塗装により形成される樹脂被覆、又は粉体塗料の塗装により形成される樹脂被覆層とその上層に形成される1層以上の樹脂被覆層からなる多層樹脂被覆であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
  4. 樹脂被覆の下地として防錆処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法。
JP2003343704A 2003-10-01 2003-10-01 防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法 Expired - Lifetime JP4501394B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003343704A JP4501394B2 (ja) 2003-10-01 2003-10-01 防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003343704A JP4501394B2 (ja) 2003-10-01 2003-10-01 防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005103503A JP2005103503A (ja) 2005-04-21
JP4501394B2 true JP4501394B2 (ja) 2010-07-14

Family

ID=34537594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003343704A Expired - Lifetime JP4501394B2 (ja) 2003-10-01 2003-10-01 防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4501394B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55156022A (en) * 1979-05-24 1980-12-04 Nippon Kokan Kk <Nkk> Continuous manufacturing method of steel pipe coated at its outer surface with thermosetting resin
JPH0448968A (ja) * 1990-06-19 1992-02-18 Sumitomo Metal Ind Ltd 粉体エポキシ樹脂塗装鋼管の製造方法
JPH0810704A (ja) * 1994-07-05 1996-01-16 Nippon Chiyuutetsukan Kk 表面被覆金属管およびその製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS494605B1 (ja) * 1970-10-14 1974-02-01

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55156022A (en) * 1979-05-24 1980-12-04 Nippon Kokan Kk <Nkk> Continuous manufacturing method of steel pipe coated at its outer surface with thermosetting resin
JPH0448968A (ja) * 1990-06-19 1992-02-18 Sumitomo Metal Ind Ltd 粉体エポキシ樹脂塗装鋼管の製造方法
JPH0810704A (ja) * 1994-07-05 1996-01-16 Nippon Chiyuutetsukan Kk 表面被覆金属管およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005103503A (ja) 2005-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2532769C2 (ru) Металлическая трубка для трубопроводов транспортных средств и способ ее поверхностной обработки
JP5353297B2 (ja) ポリオレフィン粉体ライニング鋼管
JPH0622990B2 (ja) ポリオレフイン被覆鋼材
JP4501394B2 (ja) 防食性に優れた樹脂被覆鋼管の製造方法
JP5233493B2 (ja) 内面被覆鋼管の製造方法
JP6692233B2 (ja) ポリオレフィン被覆鋼管の誘導加熱方法
JP5928328B2 (ja) 転造ねじ加工性に優れたポリエチレン粉体ライニング鋼管
JP2020032366A (ja) 粉体エポキシ樹脂塗料の粉体塗装方法及び粉体塗装被覆鋼管の製造方法
JP6909969B2 (ja) 鋼管及び鋼管の製造方法
CN110486573B (zh) 钢制异形管件表面防腐结构构建方法
JP2988302B2 (ja) ポリオレフィン被覆鋼管とその製造方法
JP4321262B2 (ja) 防食性に優れたプライマー下地樹脂被覆鋼管の製造方法
JP2020151702A (ja) 金属管の製造方法
JP6871794B2 (ja) 防食被覆金属管の製造方法
JPH09268374A (ja) 塗覆装鋼管の製造方法
RU68000U1 (ru) Труба с защитным покрытием
RU2559621C1 (ru) Способ нанесения наружного трехслойного покрытия на магистральную трубу
JPH09268375A (ja) 塗覆装鋼管の製造方法
JP2005280345A (ja) 耐震性及び防食性に優れた樹脂被覆鋼管及びその製造方法
KR102208535B1 (ko) 냉난방기용 다층구조 알루미늄 배관의 제조방법 및 이에 의해 제조된 다층구조의 알루미늄 배관
JPS5935667A (ja) 鋼管の表面処理方法
US20090194187A1 (en) Application of Hydraulic Friction Reducing Internal Diameter Coatings for Fire Protection Piping
JPH0858023A (ja) ポリエチレン被覆金属管の製造方法
JP3736377B2 (ja) ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法
WO2018021137A1 (ja) ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100330

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4501394

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130430

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130430

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140430

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term