JPH09268375A - 塗覆装鋼管の製造方法 - Google Patents
塗覆装鋼管の製造方法Info
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- JPH09268375A JPH09268375A JP10202696A JP10202696A JPH09268375A JP H09268375 A JPH09268375 A JP H09268375A JP 10202696 A JP10202696 A JP 10202696A JP 10202696 A JP10202696 A JP 10202696A JP H09268375 A JPH09268375 A JP H09268375A
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- coated steel
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、シリカ系クロメ−ト処理に比較し
て、塗布量が少なくかつ鋼管加熱温度が低減でき、同等
の耐陰極剥離性を発揮する経済的な塗覆装鋼管の製造方
法を提供する。 【解決手段】 外面をブラスト処理した鋼管に表面に、
下地処理剤としてモリブデン酸アンモニウム,ほう酸,
エチレンジアミン四酢酸とポリビニルアルコ−ルの混合
水溶液を塗布し加熱して焼き付け、次いで有機樹脂の防
食被覆を施す塗覆装鋼管の製造方法である。 【効果】 従来のシリカ系クロメ−ト処理に比較して、
同等の耐陰極剥離性を発揮し、また処理剤の塗布量と鋼
管加熱温度が低減できるので、より経済的な塗覆装鋼管
の製造ができる。
て、塗布量が少なくかつ鋼管加熱温度が低減でき、同等
の耐陰極剥離性を発揮する経済的な塗覆装鋼管の製造方
法を提供する。 【解決手段】 外面をブラスト処理した鋼管に表面に、
下地処理剤としてモリブデン酸アンモニウム,ほう酸,
エチレンジアミン四酢酸とポリビニルアルコ−ルの混合
水溶液を塗布し加熱して焼き付け、次いで有機樹脂の防
食被覆を施す塗覆装鋼管の製造方法である。 【効果】 従来のシリカ系クロメ−ト処理に比較して、
同等の耐陰極剥離性を発揮し、また処理剤の塗布量と鋼
管加熱温度が低減できるので、より経済的な塗覆装鋼管
の製造ができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管外面に防蝕被
覆を施した塗覆装鋼管の製造方法に関し、さらに詳しく
は、防食被覆の耐陰極剥離性が優れた塗覆装鋼管に関す
る。
覆を施した塗覆装鋼管の製造方法に関し、さらに詳しく
は、防食被覆の耐陰極剥離性が優れた塗覆装鋼管に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン被覆鋼管を始めとする塗覆
装鋼管は、被覆の防食性が優れるので石油や天然ガスの
輸送パイプラインに使用される。パイプラインの建設で
は、塗覆装鋼管の運搬や敷設のハンドリング時に砂礫や
建設機械などに防食被覆が当たって、被覆に貫通疵が入
る場合がある。特に土中や海底に敷設するパイプライン
では、貫通疵部分の防食のために、電気防食が施され
る。
装鋼管は、被覆の防食性が優れるので石油や天然ガスの
輸送パイプラインに使用される。パイプラインの建設で
は、塗覆装鋼管の運搬や敷設のハンドリング時に砂礫や
建設機械などに防食被覆が当たって、被覆に貫通疵が入
る場合がある。特に土中や海底に敷設するパイプライン
では、貫通疵部分の防食のために、電気防食が施され
る。
【0003】電気防食するパイプラインにおいて過防食
となる場合、防食電流によって土壌中の水分や海水が電
気分解を起こして、生成するアルカリによって被覆が剥
離する陰極剥離と呼ばれる現象が起こることがある。
となる場合、防食電流によって土壌中の水分や海水が電
気分解を起こして、生成するアルカリによって被覆が剥
離する陰極剥離と呼ばれる現象が起こることがある。
【0004】従来から塗覆装鋼管の耐陰極剥離性を向上
するために、除錆した鋼管の外面に、有機樹脂の防食被
覆を施す前に下地処理を施す方法が知られている。下地
処理としてはクロメ−ト処理の効果が大きく、例えば特
開昭52−14392号公報に見られるように、クロム
化合物にアミノ酸,酸アミド,ラクタム,飽和ポリカル
ボン酸あるいは不飽和ポリカルボン酸などの有機成分を
混合して還元し、微粉シリカを分散したシリカ系クロメ
−ト処理がある。
するために、除錆した鋼管の外面に、有機樹脂の防食被
覆を施す前に下地処理を施す方法が知られている。下地
処理としてはクロメ−ト処理の効果が大きく、例えば特
開昭52−14392号公報に見られるように、クロム
化合物にアミノ酸,酸アミド,ラクタム,飽和ポリカル
ボン酸あるいは不飽和ポリカルボン酸などの有機成分を
混合して還元し、微粉シリカを分散したシリカ系クロメ
−ト処理がある。
【0005】クロメ−ト処理以外の下地処理には、りん
酸亜鉛などのりん酸塩を使ったりん酸塩処理があるが、
シリカ系クロメ−ト処理に比較すると、陰極剥離抑制効
果が十分でない。
酸亜鉛などのりん酸塩を使ったりん酸塩処理があるが、
シリカ系クロメ−ト処理に比較すると、陰極剥離抑制効
果が十分でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】塗覆装鋼管の耐陰極剥
離性を十分に向上させるには、特開昭52−14392
号公報の実施例にもある通り、シリカ系クロメ−ト処理
剤を鋼管外面に乾燥重量が120〜300mg/m2 に
なるように塗布した後、鋼管を240℃程度に加熱して
クロム化合物の還元被膜を形成する必要があるが、必要
な塗布量が多く、クロム化合物の還元反応を利用するた
めに鋼管の加熱温度が高く、生産性が十分ではない。
離性を十分に向上させるには、特開昭52−14392
号公報の実施例にもある通り、シリカ系クロメ−ト処理
剤を鋼管外面に乾燥重量が120〜300mg/m2 に
なるように塗布した後、鋼管を240℃程度に加熱して
クロム化合物の還元被膜を形成する必要があるが、必要
な塗布量が多く、クロム化合物の還元反応を利用するた
めに鋼管の加熱温度が高く、生産性が十分ではない。
【0007】本発明は、シリカ系クロメ−ト処理に比較
して、塗布量が少なくかつ鋼管加熱温度が低減でき、同
等の耐陰極剥離性が発揮するより経済的な塗覆装鋼管の
製造方法を提供するものである。
して、塗布量が少なくかつ鋼管加熱温度が低減でき、同
等の耐陰極剥離性が発揮するより経済的な塗覆装鋼管の
製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ブラスト処理
した鋼管の外面に、2〜6重量%のモリブデン酸アンモ
ニウム,0.5〜2重量%のほう酸,0.2〜0.6重
量%のエチレンジアミン四酢酸と0.5〜5重量%のポ
リビニルアルコ−ルを含む混合水溶液を、被膜乾燥重量
が30〜100mg/m2 になるように塗布した後、1
20〜180℃で加熱焼き付けし、次いで有機樹脂の防
食被覆を施すことを特徴とする塗覆装鋼管の製造方法で
ある。
した鋼管の外面に、2〜6重量%のモリブデン酸アンモ
ニウム,0.5〜2重量%のほう酸,0.2〜0.6重
量%のエチレンジアミン四酢酸と0.5〜5重量%のポ
リビニルアルコ−ルを含む混合水溶液を、被膜乾燥重量
が30〜100mg/m2 になるように塗布した後、1
20〜180℃で加熱焼き付けし、次いで有機樹脂の防
食被覆を施すことを特徴とする塗覆装鋼管の製造方法で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に使用する鋼管としては、
炭素鋼やステンレス鋼を使用するが、炭素鋼でできた鋼
管の内面や外面にステンレス鋼やチタン,アルミニウム
などの金属、あるいはニッケル−クロム−モリブデンな
どの合金を積層したクラッド鋼管も使用できる。
炭素鋼やステンレス鋼を使用するが、炭素鋼でできた鋼
管の内面や外面にステンレス鋼やチタン,アルミニウム
などの金属、あるいはニッケル−クロム−モリブデンな
どの合金を積層したクラッド鋼管も使用できる。
【0010】また炭素鋼でできた鋼管の内面や外面に、
亜鉛,アルミニウム,クロムなどのめっき,亜鉛−鉄,
亜鉛−ニッケル,亜鉛−アルミニウムなどの合金めっき
を施しためっき鋼管も使用できる。これら鋼管は、使用
に先立ってブラスト処理によってスケ−ルを除去する必
要がある。
亜鉛,アルミニウム,クロムなどのめっき,亜鉛−鉄,
亜鉛−ニッケル,亜鉛−アルミニウムなどの合金めっき
を施しためっき鋼管も使用できる。これら鋼管は、使用
に先立ってブラスト処理によってスケ−ルを除去する必
要がある。
【0011】本発明に使用する下地処理剤は、鋼管外面
に塗布した後、加熱焼き付けによって被膜形成が可能な
水溶液であって、該水溶液は、2〜6重量%のモリブデ
ン酸アンモニウム,0.5〜2重量%のほう酸,0.2
〜0.6重量%のエチレンジアミン四酢酸と0.5〜5
重量%のポリビニルアルコ−ルを溶解した混合水溶液で
ある。
に塗布した後、加熱焼き付けによって被膜形成が可能な
水溶液であって、該水溶液は、2〜6重量%のモリブデ
ン酸アンモニウム,0.5〜2重量%のほう酸,0.2
〜0.6重量%のエチレンジアミン四酢酸と0.5〜5
重量%のポリビニルアルコ−ルを溶解した混合水溶液で
ある。
【0012】本処理剤中にこれらの4種の必須成分が規
定量範囲配合される場合には、シリカ系クロメ−ト処理
に匹敵する耐陰極剥離性が発揮する。処理剤中にこれら
の4種の成分のうちの任意の1成分が欠けると耐陰極剥
離性が悪化する。
定量範囲配合される場合には、シリカ系クロメ−ト処理
に匹敵する耐陰極剥離性が発揮する。処理剤中にこれら
の4種の成分のうちの任意の1成分が欠けると耐陰極剥
離性が悪化する。
【0013】また、処理剤中に上記の4種の成分を配合
する場合でも、モリブデン酸アンモニウムの配合量が2
重量%未満および6重量%越え、ほう酸の配合量が0.
5重量%未満および2重量%越え、エチレンジアミン四
酢酸の配合量が0.2重量%未満および0.6重量%越
え、ポリビニルアルコ−ルの配合量が0.5重量%未満
および5重量%越えでは、陰極剥離抑制の効果が十分で
ない。
する場合でも、モリブデン酸アンモニウムの配合量が2
重量%未満および6重量%越え、ほう酸の配合量が0.
5重量%未満および2重量%越え、エチレンジアミン四
酢酸の配合量が0.2重量%未満および0.6重量%越
え、ポリビニルアルコ−ルの配合量が0.5重量%未満
および5重量%越えでは、陰極剥離抑制の効果が十分で
ない。
【0014】本処理剤は、ブラスト処理した鋼管の外面
に、被膜の乾燥重量が30〜100mg/m2 になるよ
うに塗布し、鋼管を120〜180℃に加熱して焼き付
ける。本処理剤の塗布方法としては、ブラシによるしご
き塗布,刷毛塗布やスプレ−塗布などの手法を利用し、
鋼管の加熱方法としては高周波誘導加熱やバ−ナ−加熱
などによる方法を利用する。
に、被膜の乾燥重量が30〜100mg/m2 になるよ
うに塗布し、鋼管を120〜180℃に加熱して焼き付
ける。本処理剤の塗布方法としては、ブラシによるしご
き塗布,刷毛塗布やスプレ−塗布などの手法を利用し、
鋼管の加熱方法としては高周波誘導加熱やバ−ナ−加熱
などによる方法を利用する。
【0015】本処理剤の塗布量が30mg/m2 未満お
よび鋼管の加熱温度が120℃未満では、陰極剥離の抑
制効果が小さくなる。この塗布量が100mg/m2 越
えおよび該加熱温度が180℃越えでも、陰極剥離抑制
効果があるが経済的ではない。
よび鋼管の加熱温度が120℃未満では、陰極剥離の抑
制効果が小さくなる。この塗布量が100mg/m2 越
えおよび該加熱温度が180℃越えでも、陰極剥離抑制
効果があるが経済的ではない。
【0016】本処理剤で下地処理した鋼管外面には、塗
覆装鋼管の通常の防食被覆を施す。例えばポリエチレン
被覆鋼管では、一般市販の無水マレイン酸変性ポリエチ
レンの接着剤を介して低密度や高密度のポリエチレンを
被覆する。
覆装鋼管の通常の防食被覆を施す。例えばポリエチレン
被覆鋼管では、一般市販の無水マレイン酸変性ポリエチ
レンの接着剤を介して低密度や高密度のポリエチレンを
被覆する。
【0017】この接着剤とポリエチレンの被覆方法は、
例えば両者を二層一体で丸ダイから押出被覆する方法
や、両者を二層Tダイから押出被覆する方法等一般の手
法を利用する。この場合、接着剤の膜厚は100〜30
0μm、ポリエチレンの膜厚は1.5〜8mm程度であ
ると良好な結果が得られる。
例えば両者を二層一体で丸ダイから押出被覆する方法
や、両者を二層Tダイから押出被覆する方法等一般の手
法を利用する。この場合、接着剤の膜厚は100〜30
0μm、ポリエチレンの膜厚は1.5〜8mm程度であ
ると良好な結果が得られる。
【0018】また、本発明の下地処理はポリエチレン被
覆以外の塗覆装鋼管にも活用でき、例えばウレタンエラ
ストマ−被覆鋼管では、本発明による下地処理を施した
鋼管の外面に、一般市販のウレタンプライマ−を介して
ウレタンエラストマ−を塗布する。
覆以外の塗覆装鋼管にも活用でき、例えばウレタンエラ
ストマ−被覆鋼管では、本発明による下地処理を施した
鋼管の外面に、一般市販のウレタンプライマ−を介して
ウレタンエラストマ−を塗布する。
【0019】ウレタンプライマ−やウレタンエラストマ
−の塗布方法としてはスプレ−塗装法を利用する。この
場合、ウレタンプライマ−の膜厚は30〜100μm,
ウレタンエラストマ−の膜厚は1.5〜8mm程度であ
ると、ポリエチレン被覆鋼管の場合と同様に良好な耐陰
極剥離性が得られる。
−の塗布方法としてはスプレ−塗装法を利用する。この
場合、ウレタンプライマ−の膜厚は30〜100μm,
ウレタンエラストマ−の膜厚は1.5〜8mm程度であ
ると、ポリエチレン被覆鋼管の場合と同様に良好な耐陰
極剥離性が得られる。
【0020】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
る。図1は本発明の製造方法によるポリエチレン被覆鋼
管の一部断面を示す図面,図2は本発明の製造方法によ
るウレタンエラストマ−被覆鋼管の一部断面を示す図面
である。
る。図1は本発明の製造方法によるポリエチレン被覆鋼
管の一部断面を示す図面,図2は本発明の製造方法によ
るウレタンエラストマ−被覆鋼管の一部断面を示す図面
である。
【0021】実施例1として、鋼管(外径200A×5
500mm長さ×5.8mm厚み)の外面をグリットブ
ラスト処理してスケ−ルを除去した。その表面に表1に
示す本発明例の下地処理剤aおよびb、または比較例と
してシリカ系クロメ−ト処理剤である関西ペイント社製
のコスマ−#100および表1の比較例の下地処理剤c
〜jを塗布し、高周波誘導加熱によって鋼管を加熱して
焼き付けた。比較例として下地処理剤の塗布を省略した
加熱した鋼管も試作した。
500mm長さ×5.8mm厚み)の外面をグリットブ
ラスト処理してスケ−ルを除去した。その表面に表1に
示す本発明例の下地処理剤aおよびb、または比較例と
してシリカ系クロメ−ト処理剤である関西ペイント社製
のコスマ−#100および表1の比較例の下地処理剤c
〜jを塗布し、高周波誘導加熱によって鋼管を加熱して
焼き付けた。比較例として下地処理剤の塗布を省略した
加熱した鋼管も試作した。
【0022】これらの下地処理鋼管の外面には加熱後直
ちに、無水マレイン酸変性ポリエチレンの接着剤と高密
度ポリエチレンを2層丸ダイから一体で押出して被覆
し、ポリエチレン被覆鋼管を製造した。
ちに、無水マレイン酸変性ポリエチレンの接着剤と高密
度ポリエチレンを2層丸ダイから一体で押出して被覆
し、ポリエチレン被覆鋼管を製造した。
【0023】表2にこれらのポリエチレン被覆鋼管を製
造する際に使用した下地処理剤の種類,塗布した下地処
理剤の乾燥被膜重量および鋼管加熱温度を一括して示
す。
造する際に使用した下地処理剤の種類,塗布した下地処
理剤の乾燥被膜重量および鋼管加熱温度を一括して示
す。
【0024】表2中、ポリエチレン被覆鋼管A〜Hが本
発明による下地処理方法で製造した被覆鋼管で、Iは特
開昭52−143934号公報に相当する従来のシリカ
系クロメ−ト処理を施した被覆鋼管,Jは下地処理を省
略した被覆鋼管,KとLは本発明の下地処理剤を使用し
ているが鋼管加熱温度が本発明の範囲外の被覆鋼管,M
〜Pは本発明の下地処理剤の必須成分のうち1成分を欠
く下地処理剤c〜fを使用した被覆鋼管,Q〜Tは下地
処理剤の必須成分のうちの1成分の配合量が本発明の範
囲を逸脱する下地処理剤g〜jを使用した被覆鋼管を各
々示す。
発明による下地処理方法で製造した被覆鋼管で、Iは特
開昭52−143934号公報に相当する従来のシリカ
系クロメ−ト処理を施した被覆鋼管,Jは下地処理を省
略した被覆鋼管,KとLは本発明の下地処理剤を使用し
ているが鋼管加熱温度が本発明の範囲外の被覆鋼管,M
〜Pは本発明の下地処理剤の必須成分のうち1成分を欠
く下地処理剤c〜fを使用した被覆鋼管,Q〜Tは下地
処理剤の必須成分のうちの1成分の配合量が本発明の範
囲を逸脱する下地処理剤g〜jを使用した被覆鋼管を各
々示す。
【0025】尚、被覆鋼管Iの下地処理では、特開昭5
2−143934号公報に示された実施例3を参考にし
て、シリカ系クロメ−ト処理剤の塗布量を300mg/
m2とし、鋼管加熱温度を240℃とした。これらの被
覆鋼管は、いずれも無水マレイン酸変性ポリエチレンの
接着剤を膜厚180μm,高密度ポリエチレンを膜厚
2.5mmになるように被覆した。
2−143934号公報に示された実施例3を参考にし
て、シリカ系クロメ−ト処理剤の塗布量を300mg/
m2とし、鋼管加熱温度を240℃とした。これらの被
覆鋼管は、いずれも無水マレイン酸変性ポリエチレンの
接着剤を膜厚180μm,高密度ポリエチレンを膜厚
2.5mmになるように被覆した。
【0026】これらのポリエチレン被覆鋼管を切断加工
して、ASTM G8に規定された方法で陰極剥離試験
を行った。陰極剥離試験では電解液に3%食塩水を用
い、鋼管と電極間の電位差を−1.5Vで一定とし、被
覆には3.2mmφの貫通疵を入れて常温で30日間試
験した。試験後、貫通疵部から広がった剥離の長さを測
定した。試験結果を表2に示す。
して、ASTM G8に規定された方法で陰極剥離試験
を行った。陰極剥離試験では電解液に3%食塩水を用
い、鋼管と電極間の電位差を−1.5Vで一定とし、被
覆には3.2mmφの貫通疵を入れて常温で30日間試
験した。試験後、貫通疵部から広がった剥離の長さを測
定した。試験結果を表2に示す。
【0027】表2からブラスト処理した鋼管外面に、水
溶液中に2〜6重量%のモリブデン酸アンモニウム,
0.5〜2重量%のりん酸,0.2〜0.6重量%のエ
チレンジアミン四酢酸と0.5〜5重量%のポリビニル
アルコ−ルを溶解した本発明例の下地処理剤aおよびb
を乾燥被膜重量が30〜100mg/m2 塗布し、鋼管
を120〜180℃で加熱して焼き付け、本発明例の下
地処理を施したポリエチレン被覆鋼管A〜Hは、いずれ
も特開昭52−143934号公報に示された下地処理
に相当するシリカ系クロメ−ト処理を施した被覆鋼管I
と同等の陰極剥離距離を示し、陰極剥離抑制効果が大き
い。
溶液中に2〜6重量%のモリブデン酸アンモニウム,
0.5〜2重量%のりん酸,0.2〜0.6重量%のエ
チレンジアミン四酢酸と0.5〜5重量%のポリビニル
アルコ−ルを溶解した本発明例の下地処理剤aおよびb
を乾燥被膜重量が30〜100mg/m2 塗布し、鋼管
を120〜180℃で加熱して焼き付け、本発明例の下
地処理を施したポリエチレン被覆鋼管A〜Hは、いずれ
も特開昭52−143934号公報に示された下地処理
に相当するシリカ系クロメ−ト処理を施した被覆鋼管I
と同等の陰極剥離距離を示し、陰極剥離抑制効果が大き
い。
【0028】これに対して、鋼管の下地処理を省略した
被覆鋼管Jでは、陰極剥離距離が大きくなる。また本発
明の下地処理剤を使用しているが、鋼管加熱温度を本発
明の範囲未満にして焼き付けた被覆鋼管KとLでは剥離
距離が大きくなり、本発明例の下地処理では、鋼管を1
20℃以上に加熱する必要がある。
被覆鋼管Jでは、陰極剥離距離が大きくなる。また本発
明の下地処理剤を使用しているが、鋼管加熱温度を本発
明の範囲未満にして焼き付けた被覆鋼管KとLでは剥離
距離が大きくなり、本発明例の下地処理では、鋼管を1
20℃以上に加熱する必要がある。
【0029】さらに本発明の下地処理剤の必須成分のう
ち、1成分を欠く下地処理剤c〜fを使用した被覆鋼管
M〜Pでは剥離が大きくなるので、本発明例の下地処理
剤の4成分は陰極剥離を抑制する必須成分である。しか
も下地処理剤の必須成分のうちの、1成分の配合量が本
発明の範囲を逸脱する下地処理剤g〜jを使用した被覆
鋼管Q〜Tでは剥離が大きくなるので、各必須成分は特
許請求の範囲に記載のとおりの処方が必要である。
ち、1成分を欠く下地処理剤c〜fを使用した被覆鋼管
M〜Pでは剥離が大きくなるので、本発明例の下地処理
剤の4成分は陰極剥離を抑制する必須成分である。しか
も下地処理剤の必須成分のうちの、1成分の配合量が本
発明の範囲を逸脱する下地処理剤g〜jを使用した被覆
鋼管Q〜Tでは剥離が大きくなるので、各必須成分は特
許請求の範囲に記載のとおりの処方が必要である。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】本発明の塗覆装鋼管の製造方法によれば、
シリカ系クロメ−ト処理に比較して、下地処理剤の塗布
量を格段に少なくでき、かつ鋼管の加熱温度も十分低減
できるので、経済性に優れた塗覆装鋼管の製造が可能に
なる。
シリカ系クロメ−ト処理に比較して、下地処理剤の塗布
量を格段に少なくでき、かつ鋼管の加熱温度も十分低減
できるので、経済性に優れた塗覆装鋼管の製造が可能に
なる。
【0033】実施例2として、実施例1と同じブラスト
処理した鋼管の表面に、本発明例の下地処理剤aを乾燥
被膜重量が30mg/m2 になるようにロ−ルで塗布
し、バ−ナ−加熱により鋼管を120℃で10分間焼き
付けた。次いでその表面に、ウレタンプライマ−を膜厚
が50μmになるようにスプレ−塗装したのち、ウレタ
ンエラストマ−を膜厚が2.5mmになるようにスプレ
−塗装して本発明例としてのウレタンエラストマ−被覆
鋼管Uを製造した。
処理した鋼管の表面に、本発明例の下地処理剤aを乾燥
被膜重量が30mg/m2 になるようにロ−ルで塗布
し、バ−ナ−加熱により鋼管を120℃で10分間焼き
付けた。次いでその表面に、ウレタンプライマ−を膜厚
が50μmになるようにスプレ−塗装したのち、ウレタ
ンエラストマ−を膜厚が2.5mmになるようにスプレ
−塗装して本発明例としてのウレタンエラストマ−被覆
鋼管Uを製造した。
【0034】比較例として、下地処理剤をシリカ系クロ
メ−ト処理剤に変更し、その乾燥被膜重量が300mg
/m2 になるようにブラスト処理鋼管の外面に塗布し、
バ−ナ−加熱によって鋼管を120℃で10分間焼き付
けた。その表面にウレタンプライマ−を膜厚が50μm
になるようにスプレ−塗装したのち、ウレタンエラスト
マ−を膜厚が2mmになるようにスプレ−塗装してウレ
タンエラストマ−被覆鋼管Vを製造した。
メ−ト処理剤に変更し、その乾燥被膜重量が300mg
/m2 になるようにブラスト処理鋼管の外面に塗布し、
バ−ナ−加熱によって鋼管を120℃で10分間焼き付
けた。その表面にウレタンプライマ−を膜厚が50μm
になるようにスプレ−塗装したのち、ウレタンエラスト
マ−を膜厚が2mmになるようにスプレ−塗装してウレ
タンエラストマ−被覆鋼管Vを製造した。
【0035】これらの被覆鋼管UおよびVを実施例1と
同じ陰極剥離試験を行った。その結果、本発明例の下地
処理を施した被覆鋼管Uでは、剥離距離が12mmと小
さく陰極剥離抑制効果が十分であった。しかし、シリカ
系クロメ−ト処理を施した被覆鋼管Vでは、鋼管加熱温
度が120℃と低くクロム化合物の還元反応が十分進ま
なかったため、剥離距離が33mmと大きくなり、陰極
剥離抑制効果が十分発揮されなかった。
同じ陰極剥離試験を行った。その結果、本発明例の下地
処理を施した被覆鋼管Uでは、剥離距離が12mmと小
さく陰極剥離抑制効果が十分であった。しかし、シリカ
系クロメ−ト処理を施した被覆鋼管Vでは、鋼管加熱温
度が120℃と低くクロム化合物の還元反応が十分進ま
なかったため、剥離距離が33mmと大きくなり、陰極
剥離抑制効果が十分発揮されなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の塗覆装鋼管の製造方法では、モ
リブデン酸アンモニウム,ほう酸,エチレンジアミン四
酢酸とポリビニルアルコ−ルを必須成分として含有する
下地処理の陰極剥離抑制効果が大きいので、下地処理剤
の塗布量と鋼管加熱温度が低減でき、経済的な塗覆装鋼
管の製造が可能になる。
リブデン酸アンモニウム,ほう酸,エチレンジアミン四
酢酸とポリビニルアルコ−ルを必須成分として含有する
下地処理の陰極剥離抑制効果が大きいので、下地処理剤
の塗布量と鋼管加熱温度が低減でき、経済的な塗覆装鋼
管の製造が可能になる。
【図1】本発明の製造方法によるポリエチレン被覆鋼管
の一部断面を示す図である。
の一部断面を示す図である。
【図2】本発明の製造方法によるウレタンエラストマ−
被覆鋼管の一部断面を示す図である。
被覆鋼管の一部断面を示す図である。
1 ブラスト処理した鋼管 2 2〜6重量%のモリブデン酸アンモニウム,0.5
〜2重量%のほう酸,0.2〜0.6重量%のエチレン
ジアミン四酢酸と0.5〜5重量%のポリビニルアルコ
−ルを含む混合水溶液を被膜の乾燥重量が、30〜10
0mg/m2 になるように塗布した後、120〜180
℃で加熱焼き付けした本発明例の下地処理剤 3 無水マレイン酸変性ポリエチレンの接着剤 4 ポリエチレン 5 ウレタンプライマ− 6 ウレタンエラストマ−
〜2重量%のほう酸,0.2〜0.6重量%のエチレン
ジアミン四酢酸と0.5〜5重量%のポリビニルアルコ
−ルを含む混合水溶液を被膜の乾燥重量が、30〜10
0mg/m2 になるように塗布した後、120〜180
℃で加熱焼き付けした本発明例の下地処理剤 3 無水マレイン酸変性ポリエチレンの接着剤 4 ポリエチレン 5 ウレタンプライマ− 6 ウレタンエラストマ−
Claims (1)
- 【請求項1】 ブラスト処理した鋼管の外面に、2〜6
重量%のモリブデン酸アンモニウム,0.5〜2重量%
のほう酸,0.2〜0.6重量%のエチレンジアミン四
酢酸と0.5〜5重量%のポリビニルアルコ−ルを含む
混合水溶液を、被膜乾燥重量が30〜100mg/m2
になるように塗布した後、120〜180℃で加熱焼き
付けし、次いで有機樹脂の防食被覆を施すことを特徴と
する塗覆装鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10202696A JPH09268375A (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 塗覆装鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10202696A JPH09268375A (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 塗覆装鋼管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09268375A true JPH09268375A (ja) | 1997-10-14 |
Family
ID=14316252
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10202696A Withdrawn JPH09268375A (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 塗覆装鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09268375A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11200065A (ja) * | 1998-01-16 | 1999-07-27 | Nisshin Steel Co Ltd | 亜鉛または亜鉛系合金の着色処理液 |
JP2002371372A (ja) * | 2001-06-18 | 2002-12-26 | Nippon Steel Corp | 亜鉛系めっき鋼材とコンクリートの複合構造体 |
CN103205739A (zh) * | 2013-04-28 | 2013-07-17 | 东南大学 | 一种提高钢材耐磨性的表面化学处理方法 |
CN108431287A (zh) * | 2015-12-22 | 2018-08-21 | Posco公司 | 形成有后处理薄膜的镀锌系钢板及其后处理方法 |
JP2020514532A (ja) * | 2016-12-23 | 2020-05-21 | ポスコPosco | シーラー接着性に優れた亜鉛系めっき鋼材及び後処理被膜形成用組成物 |
-
1996
- 1996-04-02 JP JP10202696A patent/JPH09268375A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11200065A (ja) * | 1998-01-16 | 1999-07-27 | Nisshin Steel Co Ltd | 亜鉛または亜鉛系合金の着色処理液 |
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JP2019507238A (ja) * | 2015-12-22 | 2019-03-14 | ポスコPosco | 後処理被膜が形成された亜鉛系めっき鋼板及びその後処理方法 |
CN108431287B (zh) * | 2015-12-22 | 2020-05-08 | Posco公司 | 形成有后处理薄膜的镀锌系钢板及其后处理方法 |
US11255010B2 (en) | 2015-12-22 | 2022-02-22 | Posco | Zinc-based plated steel sheet having post-treated coating formed thereon |
JP2020514532A (ja) * | 2016-12-23 | 2020-05-21 | ポスコPosco | シーラー接着性に優れた亜鉛系めっき鋼材及び後処理被膜形成用組成物 |
US11299639B2 (en) | 2016-12-23 | 2022-04-12 | Posco | Zinc-based plated steel material having excellent sealer adhesion |
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