JP2018134862A - ポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記プライマー層の前記鋼管外表面に接していた面をEPMAでFeのマッピングをした時の、Feの面積率が20%以下であり、
かつ、前記プライマー層に、バナジウム化合物およびリン酸アルミニウムから選ばれた1種または2種以上の化合物を合計で5〜50質量%含有する、ポリエチレン被覆鋼管。
鋼管外表面をブラスト処理後、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体を前記鋼管外表面に貼付し、次いで、前記粘着媒体を白色紙に貼り付け、画像解析により前記粘着媒体の256階調での輝度を測定し、該輝度の平均値が220以上である鋼管に、ポリエチレン被覆をする、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
陰極剥離は鋼管外表面とプライマー層間で生じる。鋼管外表面にブラスト処理等で発生した粉じんが多量に付着していると、その部分の鋼管外表面とプライマー層との密着性が十分ではないため、陰極剥離が生じやすくなる。そのため、以下のように鋼管外表面とプライマー層間に含まれる粉じん量を制御すると、優れた耐陰極剥離性を得ることができる。
EPMAは、種々の条件で測定することが可能であるが、本発明では、走査型電子顕微鏡を用いて、加速電圧5〜10kV、ビーム径10μm、10μmステップ1点あたり0.1秒の条件で測定することができる。
本発明で用いられる鋼管(母材鋼管)の種類や寸法などに特に制限はなく、鋼管の種類としては、例えば、電縫鋼管、スパイラル鋼管、UOE鋼管、プレスベンド鋼管等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。母材鋼管は、好ましくは、JIS規格200A〜600A(管外径216.3〜609.6mm)である。強度や経済性の面から母材鋼管は電縫鋼管が好ましい。
プライマーには一般的な材料を用いることができる。プライマー層を形成するためのプライマーとして例えば、エポキシプライマー(JIS G3477−1:2012)等を用いることができる。本発明においては、プライマー層にバナジウム化合物およびリン酸アルミニウムから選ばれた1種または2種以上の化合物を特定量含有させることで、陰極剥離が発生し難くなる。バナジウム化合物およびリン酸アルミニウムから選ばれた1種または2種以上の化合物の含有量は合計で5質量%以上必要である。5質量%未満の場合、陰極剥離を抑制する効果は得られない。また、50質量%以上含有しても効果は変わらず、不経済である。よって、バナジウム化合物およびリン酸アルミニウムから選ばれた1種または2種以上の化合物の含有量は合計で5〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。バナジウム化合物、リン酸アルミニウムは特に限定されるものではない。バナジウム化合物としては、例えば、五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム、バナジン酸マグネシウムなどが挙げられる。リン酸アルミニウムとしては、本発明では、リン酸アルミニウムを、リン酸の構造にアルミニウムが結合した物質の総称と定義する。リン酸以外にも、ポリリン酸の構造も含まれる。リン酸アルミニウムとして、たとえば、リン酸アルミニウム(AlPO4)や、トリポリリン酸二水素アルミニウム又はその誘導体が例として挙げられる。なお、上述の含有量はプライマーの総量に対する割合である。
本発明のポリエチレン被覆鋼管は、鋼管外表面に、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆鋼管である。ポリエチレン被覆は、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を形成することで作製できる。なお、本発明のポリエチレン被覆は、クロメート処理により形成した表面処理層を含まない。
以下に本発明のポリエチレン被覆鋼管の製造方法について説明する。
ブラスト処理したJIS SGP 200A鋼管について、エアブローで外表面に付着した粉じんを除去した。次いで、JIS Z0313(2004)に規定された方法でセロハン粘着テープ(サイズ:24mm×200mm)に鋼管外表面の粉じんを付着させ、そのセロハン粘着テープを白色の普通紙に貼り付けた。白色普通紙に貼り付けたセロハン粘着テープはその後スキャナで電子データとし、画像解析ソフト(Adobe社製PhotoshopCS6)を用いて、画像解析によりセロハン粘着テープの輝度を求めた。なお、上記の方法にて鋼管1本につき画像解析用のセロハン粘着テープを3枚準備し、1枚につき1回輝度を測定し、合計3回の輝度の平均値を表1に示す輝度とした。
上記エアブロー処理した鋼管外表面に、まずプライマー層を形成した。市販の液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「基本液状タイプ828」)と硬化剤(三菱化学(株)製「変性脂肪族アミングレードT」)に、表1に示す添加剤を混合したエポキシプライマーを、膜厚が40μmとなるようにスプレー塗布し、誘導加熱により表面温度150℃まで加熱し硬化させた。バナジウム化合物またはリン酸アルミニウムは、液状エポキシ樹脂に対して所定の質量%になるように調整した。なお、表1に示すように、バナジウム化合物として、五酸化バナジウムまたはバナジン酸マグネシウムを用い、リン酸アルミニウムとしてトリポリリン酸二水素アルミニウム(テイカ(株)製「K―WHITE #105」)を用いた。
一部の鋼管には、上記エアブロー処理した後にシランカップリング剤を塗布した。シランカップリング剤として、エポキシ基をもつ3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−403」)を用い、シランカップリング剤が1質量%となるように純水で希釈した処理液をスプレーで鋼管外表面に塗布し、その後誘導加熱装置により処理液が完全に乾燥するように加熱し、表面処理層を形成した。次いで、上記のポリエチレン被覆を行った。表面処理層を有するものは、表1の「表面処理」欄に「エポキシシラン」と記載した。
上記により得られたポリエチレン被覆後の鋼管に対して、端部20mm×50mmを切り出し測定用試料とした。この測定用試料を液体窒素中に浸漬した後、取り出してポリエチレン被覆をプラスチックハンマーで叩いてポリエチレン被覆を鋼管外表面から剥離させた。剥離させたポリエチレン被覆の鋼管外表面側の5箇所について、それぞれ、測定面積を10mm×10mmとして上述の方法によりEPMAでFeのマッピングをし、Feの面積率(測定面積に対するFeが検出された面積の割合)を求め、5箇所のFeの面積率の平均値を、表1に示すFeの面積率とした。表1に示すFeの面積率が20%以下である場合を合格とした。
参考例として、クロメート処理を行った鋼管を用いたポリエチレン被覆鋼管を作製した。クロメート処理液(関西ペイント(株)製「コスマー100」)を純水で1/5(質量割合)に希釈したものを使用し、鋼管外表面にCr換算付着量が300mg/m2となるようスプレー塗布し、鋼管表面到達温度が100℃となるよう加熱乾燥させてクロメート層を形成した。プライマー層中に、シランカップリング剤、バナジウム化合物およびリン酸アルミニウムを含有させなかった。それ以外は、他の実施例と同様とし、ポリエチレン被覆鋼管を作製した。Cr換算付着量は、クロメート層を形成したダミー板を作製し、所定面積のクロメート皮膜を10質量%NaOHで溶解した後、溶液中のCr量を吸光光度法で測定し、これを元に1m2当たりのCr換算付着量を算出して求めた。
電気防食とともにポリエチレン被覆鋼管が使用された時の耐陰極剥離性を調べるために、以下の方法で陰極剥離距離を測定して評価した。
Claims (8)
- 鋼管外表面に、鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、
前記プライマー層の前記鋼管外表面に接していた面をEPMAでFeのマッピングをした時の、Feの面積率が20%以下であり、
かつ、前記プライマー層に、バナジウム化合物およびリン酸アルミニウムから選ばれた1種または2種以上の化合物を合計で5〜50質量%含有する、ポリエチレン被覆鋼管。 - 前記プライマー層にさらに酸化亜鉛を2〜20質量%含有する、請求項1に記載のポリエチレン被覆鋼管。
- 電気防食下で使用される、請求項1または2に記載のポリエチレン被覆鋼管。
- 海底への敷設用または地下への埋設用である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエチレン被覆鋼管。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法であって、
鋼管外表面をブラスト処理後、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体を前記鋼管外表面に貼付し、次いで、前記粘着媒体を白色紙に貼り付け、画像解析により前記粘着媒体の256階調での輝度を測定し、該輝度の平均値が220以上である鋼管に、ポリエチレン被覆をする、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法。 - 前記ポリエチレン被覆は、鋼管外表面に接する側から順に、プライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆である、請求項5に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
- 鋼管外表面にシランカップリング剤を塗布し乾燥させた後に、前記ポリエチレン被覆をする、請求項5または6に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
- プライマーを鋼管に塗布し、乾燥させるに際し、赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせにて行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
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