JP2013173340A - 溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、溶接接合時に内面塗装の部分から発生するガス管(例えば、ガス導管)のフィルターや弁などのつまりなどの不具合の原因となる熱分解生成物の発生量を減少させ、この不具合を解決する技術を提供するものである。
【解決手段】外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを80重量部以上95重量部以下含有する塗料の硬化塗膜である。または、前記塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを5重量部以上、犠牲防食作用を有する金属粉末を30重量部以上含有する塗料の硬化塗膜である。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶接接合性に優れた鋼管に関する。特に、都市ガスや液化天然ガスなどのガス導管等に用いられるポリエチレン被覆鋼管に関する。ここでガス導管等とは、ガス用配管のことを意味し、特に鋼管同士が溶接で接合されて配管されたものを指す。
更に詳しくは、ガス導管敷設までの一次防錆作用を有し、かつ鋼管の端部および鋼管表面に継手等の部材を溶接接合する際に、ガス導管に接続した各種機器の電磁弁動作不良やフィルター詰まり等などの悪影響をもたらす熱分解生成物を出さない内面塗装を有する溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管などの鋼管に関する。
鋼管の外面に酸洗やブラスト処理などの素地調整を行った後、粘着剤または接着剤を介してポリエチレン被覆層を押出被覆により形成したポリエチレン被覆鋼管は、都市ガスや液化天然ガスなどのガス導管用鋼管として広く使用されている。
鋼管の内面は、無塗装のケースと、エポキシ樹脂塗料などの塗装を行ったケースのそれぞれが知られている。
内面塗装の目的は、ポリエチレン被覆鋼管製造後、現地にて鋼管同士を接合して、ガス導管等を完成させるまでの期間のさびを防止することである。
鋼管同士の接合は、呼び径80A以下の小径ではねじ接合も使われるが、100A以上の径の場合には、溶接接合が一般的である。
溶接接合の場合には、外面のポリエチレン被覆層は燃焼防止のため、溶接部から所定距離を剥がすか、あるいは予め未被覆部分を設けるなどの対応を取るが、内面塗装を行った場合には、剥がすことは困難なため、通常は内面塗装がなされた状態で溶接を行う。
そのため溶接の熱により内面塗装膜が影響を受け、熱分解したり、部分的に焦げるなどの影響を受けることがある。またその熱分解の際の分解生成物がガス導管内に放出され、フィルターやガス導管に接続された、家庭用のファンヒーターなどの各種機器の電磁弁などの配管部材に詰まって動作不良などの悪影響をもたらすことがある。
また、ガス導管として使用後も、外面に継手等の部材を溶接で接続するケースもあり、その際の溶接熱による内面塗装の熱分解生成物によっても電磁弁等の動作不良を起こすことがある。
上記のような溶接時の内面塗装に対する熱影響を避けるために、内面を無塗装とするケースもあるが、この場合はポリエチレン被覆鋼管製造後、現地で接合するまでの保管期間等に鋼管内面からさびが発生し、剥離したさびが、フィルターや電磁弁などの配管部材に詰まり、ガス導管として動作不良などの悪影響をもたらすことがある。
この様に、ポリエチレン被覆鋼管の内面の塗装は、塗装がある場合もない場合も共に配管部材への悪影響をもたらす可能性が指摘されており、この問題の解決が望まれている。
一方、このポリエチレン被覆鋼管などの鋼管の内面塗装については、以下の技術が開示されている。
特許文献1には、鋼管の内面を清浄にした後、1分子中に平均1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を主剤とし、チオール基を有するチオール化合物を硬化剤とする耐熱性エポキシ塗料を塗装して硬化せしめた後、該内面塗装鋼管の外面を清浄にし、150℃以上に予熱してから外面に防食被覆を施こすことを特徴とし、鋼管内面の耐熱性エポキシ硬化塗膜の熱分解温度が220℃乃至300℃であることを特徴とする鋼管内外面被覆方法が開示されている。
しかし、この方法は、内面塗装に耐熱性のあるエポキシ塗料を使用しても、溶接接合時の高温では通常のエポキシ樹脂同様に熱分解し、発生する熱分解生成物によってガス導管のフィルターや弁などの詰まりなどの不具合を防ぐことはできないという問題がある。
また、特許文献2には、鋼管の表面を除錆処理し、クロメートによる下地処理を施した後に、変性ポリエチレン層とポリエチレン層を順次積層するポリエチレン被覆鋼管において、変性ポリエチレン層として、ポリエチレン1gに対して無水マレイン酸1×10-6モル〜8×10-6モルをグラフトさせた無水マレイン酸変性ポリエチレンを使用したことを特徴とするポリエチレン被覆鋼管が開示されている。しかし、その実施例では内面塗装は行われていない。この場合、外面の防食性能は優れるとしても、内面が無塗装であると、製造後、ガス導管施工現場で溶接接合するまでの間に、内面の鉄面からさびが発生し、そのさびがガス導管のフィルターや弁などの動作不良を起こすという問題がある。
特公平08−11217号公報 特開平10−119180号公報
本発明は、溶接接合時に内面塗装の部分から発生するポリエチレン被覆鋼管のガス導管のフィルターや弁などの詰まりなどの不具合の原因となる熱分解生成物の発生量を減少させ、この不具合を解決する技術を提供するものである。
さらに、ポリエチレン被覆鋼管の配管施工までの間の内面の一次防錆機能を保有し、腐食により発生したさびによる配管の詰まり等の不具合を解決する。
上記課題は下記構成を有する発明により解決される。すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを80重量部以上95重量部以下含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[2]外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを5重量部以上、犠牲防食作用を有する金属粉末を30重量部以上含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[3]外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを5重量部以上、亜鉛末を30重量部以上含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[4]外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートが40〜60重量部、犠牲防食作用を有する金属粉末を40〜60重量部含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[5]外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートが40〜60重量部、亜鉛末を40〜60重量部含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかにおいて、前記アルキルシリケートのアルキル基がエチル基であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[7]外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗膜固形分100重量部に対し、シロキサン結合を有する成分が2重量部以上、亜鉛末が40重量部以上含まれる硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかにおいて、前記塗装膜の平均膜厚が5〜80μmの範囲であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかにおいて、前記塗装膜の平均膜厚が10〜30μmの範囲であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
本発明によれば、ポリエチレン被覆鋼管の溶接接合時の熱で内面塗装から発生し、ガス導管の電磁弁やフィルターに詰り誤動作を引き起こす熱分解生成物が減少し、誤動作による異常発生を著しく軽減することができる。
また、ポリエチレン被覆鋼管の製造後、配管施工までの間の内面さびの発生を抑え、さびによるガス導管の電磁弁やフィルター詰りによる誤動作をいちじるしく軽減することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。まず、本発明の構成要件の限定理由について説明する。
ポリエチレン被覆鋼管:
本発明の対象とする鋼管は、外面はポリエチレン被覆されている。ポリエチレン被覆は押出成形機から丸ダイまたはTダイを介して鋼管表面に被覆する。接着タイプにおいては、ポリエチレンとプライマーの間にモディファイドポリエチレンの層を形成するために、共押出により被覆してもよい。
また、JIS G3469のポリエチレン被覆鋼管「P2S」に規定する鋼管は、後述するように、防食用のポリエチレンを被覆した後、その上に更にもう一層保護層としてのポリエチレンを被覆して製造する。
さらに、本発明の対象とする鋼管は、ポリエチレン被覆鋼管の端部をアーク溶接により円周溶接して接合することを対象にしている。アーク溶接は溶接棒を用いる溶接、自動溶接、半自動溶接の如何を問わない。
なお、本発明の鋼管は、外面をポリエチレンで被覆するポリエチレン被覆鋼管を対象とするが、例えば、ポリプロピレン被覆鋼管であっても本発明の効果を奏することができる。その他としては、エポキシ樹脂塗装、アクリル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、合成樹脂調合ペイント、フタル酸樹脂塗料、ジンクリッチプライマー、ジンクリッチペイント、ウォッシュプライマー、防錆油などで外面が塗装された外面塗装鋼管、無塗装の鋼管も好適に用いることができる。
本発明は以下に説明するような鋼管の内面に塗装膜を有していることが必要である。
アルキルシリケートを含有する塗料:
本発明では、アルキルシリケートを含有する塗料を鋼管の内面に塗装する。アルキルシリケートは塗装された後、空気中の水分により強固なシロキサン結合を有する塗膜を形成し、溶接時の高温でもガス導管の電磁弁の動作不良やフィルターの詰りなどの不具合を起こす塗膜熱分解生成物を生じさせない。上記作用を有するためには、アルキルシリケートの含有量としては、塗料固形分中100重量部に対し80重量部以上95重量部以下であることが必要である。つまり、塗料固形分100重量部の内にアルキルシリケートが80重量部以上95重量部以下含まれていることが必要である。ここで言う塗料固形分とは、硬化塗膜が形成される際には揮発して大気中に放散していく2−プロパノールや1−ブタノールなどの塗料溶剤などの溶媒を除き、硬化塗膜を構成するための成分の総重量のことを意味しており、アルキルシリケート以外に、分散剤、レべリング剤、たれ止め剤など硬化塗膜性能の改善のための各種塗料添加剤や顔料をも含む。80重量部未満または95重量部を超えると塗膜の造膜性に劣り、塗膜の耐食性に悪影響を及ぼす。また、本発明の効果を損なわない限りで、塗料固形分中に上述の塗料添加材等が含有されていてもよいが、塗料添加剤の量が多くなると電磁弁誤動作が発生する。そのため、塗料添加剤の量は塗料固形分100重量部に対して5重量部以下が好ましい。
犠牲防食作用を有する金属粉末を含有する塗料:
また、本発明では、アルキルシリケートと犠牲防食作用を有する金属粉末を含有する塗料を鋼管の内面に塗装することもできる。アルキルシリケートと犠牲防食作用を有する金属粉末を併せて含有することにより、アルキルシリケート単独で塗料に含有する場合と同様の作用を有することに加え、アルキルシリケート含有量を低減することができる。アルキルシリケートと犠牲防食作用を有する金属粉末を含有する場合は、アルキルシリケートの含有量としては、塗料固形分中100に対し5重量部以上であることが必要である。5重量部を下回ると塗膜の造膜性に劣り、必要な塗膜強度を確保できない。なお、特に40〜60重量部の範囲であれば、造膜性・耐食性・溶接時の熱分解生成物の低減効果が最も優れ、またヒュームの発生も抑えられ特に好ましい。犠牲防食作用を有する金属粉末は、溶接時の熱を加えても誤動作を引き起こすミストを発生させない効果があり、かつ内面塗装後、配管施工までの間の防錆性を向上させる効果がある。また、金属の犠牲防食作用により鋼管のさびの発生を抑え、仮に発生したとしてもガス導管の動作不良や詰りなどの不具合を発生させるような大きなさびを発生させない効果がある。必要な量は塗料固形分100重量部に対し、30重量部以上である。30重量部を下回ると塗膜の犠牲防食作用が不足し、保管期間中にさびが発生し易くなる。なお、特に40〜60重量部の範囲であれば、造膜性・耐食性・溶接時の熱分解生成物の低減効果が最も優れ、また金属ヒュームの発生も抑えられ特に好ましい。
犠牲防食作用を有する金属粉末としては、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムなどの粉体である。中でも、亜鉛末は最も防食効果に優れ、造膜性も損なわない特性がある点から、好ましく用いることができる。
なお、アルキルシリケートと犠牲防食作用を有する金属粉末を含有する塗料を鋼管の内面に塗装する場合、アルキルシリケートと犠牲防食作用を有する金属粉末の合計量は塗料固形分100重量部に対し、80重量部以上が好ましい。80重量部未満では溶接接合性に劣る場合がある。
また前記金属粉末は塗料には粉末のまま混入して適宜混合してもよく、事前に粉末をペースト状など、分散し易い様な形とした上で混合しても良い。
また、アルキルシリケートおよび犠牲防食作用を有する金属粉末以外に、塗料添加剤および/または無機の体質顔料を塗料に含有することが出来る。塗料添加材の量が多くなると、電磁弁誤動作が発生する。そのため、塗料添加材の量は塗料固形分100重量部に対して5重量部以下が好ましい。
無機の体質顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウムなどがあげられる。
なお、ここでの塗料固形分は、アルキルシリケート、犠牲防食作用を有する金属粉末、各種塗料添加剤や顔料をも含むものである。
シロキサン結合を有する塗膜:
シロキサン結合を有する塗膜は、アルキルシリケートと亜鉛末を含有する塗料が塗装された後、空気中に含まれる水蒸気等の水分によりアルキルシリケートが加水分解して、造膜した際に出来る塗膜であり、本発明で形成される硬化塗膜(塗装膜)のことである。加水分解の際に発生する成分は揮発性のアルコール(例えば、メチルシリケートの場合にはメタノール、エチルシリケートの場合にはエタノールが挙げられる。)であり、ガス導管としての使用中にこれらは、ガス導管の詰りや誤動作を引き起こす原因成分ではないという技術的意義がある。
シロキサン結合を有する塗膜は、シロキサン結合を主骨格とした高分子を主成分としており、必要によって、犠牲防食作用を有する金属粉末及び/または無機体質顔料等を含んでいる。塗装膜が本発明のシロキサン結合を有する塗膜であることは、従来公知の塗装膜の分析方法、例えば、蛍光X線分析、赤外吸光分析、酸に溶解した後の誘導結合プラズマ発光分光法、誘導結合プラズマ質量分析法等での元素分析、官能基分析等により確認できる。
塗膜固形分100重量部に対し、シロキサン結合を有する成分が2重量部以上であることが好ましい。また、この場合、亜鉛末が40重量部以上であることが好ましい。
ここでの、塗膜固形分は、硬化塗膜(塗装膜)を意味する。
なお、シロキサン結合を有する成分の塗膜固形分に対する割合は、赤外吸光分析によりシロキサン結合の特性吸収である1030cm-1付近での吸光度を測定することによって求めた。吸光度とシロキサン結合を有する成分の量との相関は、例えば、純度の高いエチルシリケートを酸触媒の元で完全に加水分解して得られた無機ケイ素化合物を基準物質として用い、その重量と上記吸光度の相関を求めそれより導出した。また、硬化塗膜(塗装膜)中の犠牲防食作用を有する金属粉末の量は、硬化塗膜(塗装膜)を 蛍光X線分析、および塗膜を酸で溶解し誘導結合プラズマ発光分光法により求めた。
アルキルシリケートのアルキル基がエチル基である:
この要件が好ましいのは、アルキル基の炭素数が小さいほど加水分解反応が早くなり造膜速度が早くなるからである。また、塗料としてのハンドリングのし易さの観点等から、適度な乾燥・造膜速度を持つエチル基が最適である。メチル基では反応が早すぎて造膜性に劣る場合があり、プロピル基以上の分子量の大きなアルキル基では、反応速度が遅くなり、同様に造膜性に劣る場合もある。したがって、アルキルシリケートのアルキル基がエチル基であることが好ましい。
内面の塗装の平均膜厚:5〜80μmの範囲が好ましい:
内面の塗装の平均膜厚が5μm未満では、防錆効果が十分に発揮しない場合がある。80μm超えは塗膜の内部応力が大きくなり剥離し易くなり、また溶接時の亜鉛ヒュームの影響も大きくなることがある。したがって、内面塗装の平均膜厚:5〜80μmの範囲が好ましい。防錆性と亜鉛ヒューム影響、溶接時の熱分解成分の発生抑止の観点から、特に好ましい内面の塗装の平均膜厚は、10〜30μmの範囲である。膜厚の測定は、マイクロメーター、永久磁石式、光学式、渦電流式、静電容量式など適宜使用することができる。
製造方法:
本発明が適用されるポリエチレン被覆鋼管は、JIS G3469のP1H、P2S、P1T、P2H、P1Sなどが挙げられる。また、JIS G3469に限らず、ポリエチレン被覆鋼管およびその他の規格(APIなど)に適用されるポリエチレン被覆鋼管のいずれにも適用することができる。
1)鋼管素材
まず素材である鋼管は、ガス用に用いられる配管用鋼管であれば特に種類は問わないが、JISG3452(SGP)、JISG3454(STPG)、JISG3457(STPY),JISG3460(STPL)、ISO3183、API Spec5Lなどが好ましく用いられる。鋼管同士の接合は、溶接により行うため、予め両管端はベベル加工がなされていることが好ましい。
2)鋼管の素地調整
鋼管は表面を酸洗、またはブラスト処理(ショットブラスト、グリットブラストなど)を行い、鋼管の内外面のさびや汚れ、ミルスケールを除去する。
3)内面塗装
次に、鋼管の素地調整後、内面塗装を行う。鋼管の内面に本発明の成分を含有した塗料を塗装する。塗装はエアレススプレーにより行うことが好ましい。塗装工程においては、鋼管の内面に先端にノズルのついたアームを装入し、鋼管を回転させながらノズル先端から塗料を噴出し、アームを徐々に引き抜きながら鋼管の内面全長に塗装を行う。予め鋼管の外径に応じて引き抜き速度を調整し、適切な膜厚とする。膜厚は電磁膜厚計にて測定することが好ましい。
本発明の塗料は塗装後、空気中の水分と接触することで硬化し造膜する。造膜後乾燥炉で加熱してもよい。
4)外面のポリエチレン被覆
外面化成処理工程においては、必要により外面にクロメート処理、ノンクロメート処理、リン酸塩処理、リン酸処理などの化成処理を行うことができる。
アンダーコート・プライマー処理においては、アスファルト系粘着材によるアンダーコート、またはエポキシ樹脂系の接着剤によるプライマー、粉体エポキシ樹脂による粉体プライマーなどを行う。
ポリエチレン被覆の工程において、押出成形機から丸ダイまたはTダイを介して鋼管表面にポリエチレンを被覆する。接着タイプにおいては、ポリエチレンとプライマーの間にモディファイドポリエチレンの層を形成するために、共押出により被覆することもよく行われる。
表1にJISG3452に規定するSGP管を素材として、種々の鋼管の内面塗装条件で塗装し(表中「鋼管の内面塗装条件(A)」と記載する。)、その後空気中の水分と接触することで硬化し造膜した(表中「塗膜成分(B)」と記載する。)。塗膜成分(B)は、シロキサン結合成分と、必要に応じて亜鉛の他、それ以外の成分が存在する(表1中で各々、シロキサン結合成分と亜鉛の合計が100とならないのはこのためである)。それ以外の成分とは、塗料中のその他添加物であり、具体的には分散材、レべリング材、たれ止め材など塗料および塗膜性能の改善のための各種添加剤である。なお他の鋼管を素材としても同様に実施することができる。
表1中、アルキルシリケート、犠牲防食作用を有する金属粉末、その他添加物、その他成分の重量部は、塗料固形分100重量部に対する各成分の重量部である。
表1中、シロキサン結合成分、金属粉末の重量部は、前述の方法にて求めた、塗膜固形分100重量部に対する各成分の重量部である。
Figure 2013173340
比較例として、内面塗装条件で、アルキルシリケートや亜鉛末の量が本発明範囲外であるものや別異の塗装種や無塗装として以下の評価試験を行った。結果を表2に示す。
なお評価試験の評価項目及び内容を以下に説明する。
Figure 2013173340
溶接接合性:ポリエチレン被覆鋼管の端部をアーク溶接により円周溶接して接合する。そのパイプに電磁弁とフィルターを取り付けて、半年間使用し、電磁弁やフィルターに塗膜加熱分解物による動作不良や詰りなどのトラブルが無いかを確認する。
耐食性:ポリエチレン被覆鋼管を製造後、半年間屋外に保管し、内面のさびの発生状況、特にフィルターや電磁弁のつまりの原因となる層状で剥離性のさびの状況を確認する。溶接施工性:溶接時の熱により内面塗膜から発生する発煙や亜鉛ヒュームの発生状況を確認し評価する。
塗装作業性;エアレススプレー塗装を行った時の乾燥性、造膜性など適切な塗膜が形成されるか否かをもって評価する。
評価は、◎:非常に優れる、○:優れる、△:やや劣る、×:劣る、の4段階で評価した。総合的に使用可能と評価したのは、以上の4段階で評価した項目に×が無く溶接接合性の評価項目が◎または○であるものである。上記の実施例1〜17は、ポリエチレン被覆鋼管のガス導管の内面塗装から発生する熱分解生成物に起因する電磁弁作動不良やフィルター詰りなどの不具合が改善され、かつ無塗装の時に問題となる内面のさびによる電磁弁作動不良やフィルター詰りなどの不具合の不具合も抑制できることで、ガスの安定供給に寄与する被覆鋼管の提供が可能となり、その効果は多大なものがある。

Claims (9)

  1. 外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを80重量部以上95重量部以下含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  2. 外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを5重量部以上、犠牲防食作用を有する金属粉末を30重量部以上含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  3. 外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを5重量部以上、亜鉛末を30重量部以上含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  4. 外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートが40〜60重量部、犠牲防食作用を有する金属粉末を40〜60重量部含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  5. 外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートが40〜60重量部、亜鉛末を40〜60重量部含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  6. 前記アルキルシリケートのアルキル基がエチル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  7. 外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗膜固形分100重量部に対し、シロキサン結合を有する成分が2重量部以上、亜鉛末が40重量部以上含まれる硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  8. 前記塗装膜の平均膜厚が5〜80μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
  9. 前記塗装膜の平均膜厚が10〜30μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管。
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