JP5587518B1 - ポリエチレン被覆鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】外面に入熱量が高い溶断または溶接を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が極めて少ないポリエチレン被覆鋼管の提供。
【解決手段】亜鉛を40〜70質量%、モリブデン酸化合物を1〜10質量%、溶剤膠漆シリカを10〜20質量%、およびアルキルシリケートを10〜40質量%含有する塗膜を鋼管内面に有するポリエチレン被覆鋼管。
【選択図】図1

Description

本発明はポリエチレン被覆鋼管に関する。
ガス配管等に使用されるポリエチレン被覆鋼管の内面に、防食等を目的として塗装が施される場合がある。このようなポリエチレン被覆鋼管や塗装に用いる組成物等として、従来、例えば特許文献1〜4に記載のものが提案されている。
特許文献1には、外面にポリエチレン樹脂の被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、該ポリエチレン被覆鋼管は内面に塗装膜を有し、該塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートが40〜60重量部、亜鉛末を40〜60重量部含有する塗料の硬化塗膜であることを特徴とする溶接接合性に優れたポリエチレン被覆鋼管が記載されている。
特許文献2には、珪酸エステル初期縮合物、亜鉛末、及びモリブデン含有顔料を含有し、乾燥塗膜中に亜鉛末が20〜60重量%、モリブデン含有顔料が20〜60重量%含有することを特徴とする無機ジンクショッププライマー組成物が記載されている。
特許文献3には、鋼管内面を清浄にした後、1分子中に平均1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を主剤とし、チオール基を有するチオール化合物を硬化剤とする耐熱性エポキシ塗料を塗装して硬化せしめた後、該内面塗装鋼管の外面を清浄にし、150℃以上に予熱してから外面に防食被覆を施こすことを特徴とする鋼管の内外面被覆方法が記載されている。
特許文献4には、鋼管の表面を除錆処理し、クロメートによる下地処理を施した後に、変性ポリエチレン層とポリエチレン層を順次積層するポリエチレン被覆鋼管において、変性ポリエチレン層として、ポリエチレン1gに対して無水マレイン酸1×10-6モル〜8×10-6モルをグラフトさせた無水マレイン酸変性ポリエチレンを使用したことを特徴とするポリエチレン被覆鋼管が記載されている。
特開2013−173340号公報 特開平05−339521号公報 特公平08−11217号公報 特開平10−119180号公報
しかし、従来のポリエチレン被覆鋼管の外面に、溶断または溶接(以下「溶接等」ともいう)を施すと、内面の塗膜成分が加熱分解されてミストや塵状または糸状の固形物が発生する場合があった(加熱分解されて発生するミストや塵状または糸状の固形物を、以下では「ミスト等」ともいう)。このようなミスト等が鋼管内に放出されると、ガス配管中のフィルターの目詰まりや、ガス配管と繋がっている機器や機材などの電磁弁が動作不良を発生する可能性がある。
また、ポリエチレン被覆鋼管の外面に、速度が遅い溶接等を施すと、入熱量が高いため、上記のミスト等の生成量が多くなることを、本発明者は見出した。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、外面に入熱量が高い溶接等を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が極めて少ないポリエチレン被覆鋼管を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(1)〜(4)である。
(1)外面にポリエチレン樹脂からなる被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、
亜鉛末を40〜70質量%、
モリブデン酸化合物を1〜10質量%、
溶剤膠漆シリカを10〜20質量%、および
アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%含有する塗膜を内面に有するポリエチレン被覆鋼管。
(2)前記モリブデン酸化合物がモリブデン酸亜鉛である上記(1)に記載のポリエチレン被覆鋼管。
(3)前記塗膜がさらに酸化チタンを5〜20質量%含有する上記(1)または(2)に記載のポリエチレン被覆鋼管。
(4)ガス管として用いる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエチレン被覆鋼管。
本発明によれば、外面に入熱量が高い溶接等を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が極めて少ないポリエチレン被覆鋼管を提供することができる。
ポリエチレン被覆鋼管の外面に溶接ビートを形成する方法を説明するための概略斜視図である。
本発明について説明する。
本発明は、外面にポリエチレン樹脂からなる被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、亜鉛末を40〜70質量%、モリブデン酸化合物を1〜10質量%、溶剤膠漆シリカを10〜20質量%、およびアルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%含有する塗膜を内面に有するポリエチレン被覆鋼管である。
このようなポリエチレン被覆鋼管を、以下では「本発明の鋼管」ともいう。
また、本発明の鋼管が内面に有する塗膜を、以下では「本発明の塗膜」ともいう。
初めに、本発明の塗膜が含有する各成分について説明する。
本発明の塗膜は亜鉛末を含む。亜鉛末は犠牲陽極として働くことでポリエチレン被覆鋼管に防食能を付加する。
亜鉛末は亜鉛からなる粉体であり、通常、その平均粒子径は1〜20μm程度が好ましく、3.5〜10μmがより好ましい。
本発明の塗膜における亜鉛末の含有率は40〜70質量%であり、40〜65質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。亜鉛末の含有率がこのような範囲であると、高い防食能を有し、かつ外面を溶接等した場合の酸化亜鉛に由来するミスト発生量を抑制することができる。
本発明の塗膜は溶剤膠漆シリカを含む。ここで、溶剤膠漆シリカとは、本発明の塗膜を形成する際に用いる塗料に含まれる溶剤分散型コロイド状シリカに由来するシリカを指す。また、溶剤分散型とは、本発明の塗膜を形成する際に用いる塗料に含まれる溶剤に分散することを意味する。このようなシリカは、後述するアルキルシリケートとの分散性を向上させる。
本発明の塗膜における溶剤膠漆シリカの含有率は10〜20質量%であり、10〜17質量%であることが好ましく、10〜15質量%であることがより好ましい。溶剤膠漆シリカの含有率がこのような範囲であると、本発明の塗膜が密になり、より高い強度を得ることができる。本発明の塗膜の強度が向上すると、本発明の鋼管の外面に溶接等を施した場合に、本発明の塗膜が熱分解し難くなり、ミスト等の生成が抑制されるものと、本発明者は推定している。
本発明の塗膜はモリブデン酸化合物を含む。モリブデン酸化合物は本発明の塗膜の耐熱性を向上させる。
本発明の塗膜におけるモリブデン酸化合物の含有率は1〜10質量%であり、1〜7質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。モリブデン酸化合物の含有率がこのような範囲であると、本発明の鋼管の外面に溶接等を施した場合に、本発明の塗膜が熱分解し難くなり、ミスト等の生成が抑制される。この要因について本発明者は、特定量のモリブデン酸化合物を含むと、本発明の塗膜中における溶剤膠漆シリカの分散性が均一化し、その結果、本発明の塗膜の強度が向上するためと推定している。
本発明の塗膜では、上記モリブデン酸化合物がモリブデン酸亜鉛であることが好ましい。モリブデン酸亜鉛は、前記亜鉛末との親和性が高いことに起因し、他のモリブデン酸化合物よりも、溶剤膠漆シリカの分散性の向上に寄与するためと、本発明者は推定している。
本発明の塗膜はアルキルシリケート重縮合反応物を含む。アルキルシリケートは鋼管内面に塗装された後、空気中の水分を利用して加水分解を起こしシラノール基を生成した後に、重縮合反応により強固なシロキサン結合を形成する。そして、塗膜の強度を高める。アルキルシリケートはエチルシリケート(テトラアルコキシシラン)であることが好ましい。
本発明の塗膜におけるアルキルシリケート重縮合反応物の含有率は10〜40質量%であり、10〜37質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。アルキルシリケート重縮合反応物の含有率がこのような範囲であると、本発明の塗膜の強度がより高くなる。
本発明の塗膜はさらに酸化チタンを5〜20質量%含むことが好ましい。酸化チタンをこのような範囲で含むことで、本発明の塗膜の耐熱性がより高くなるからである。
本発明の塗膜は、上記以外の成分を含んでもよい。その他の成分として、例えば、本発明の塗膜を形成するために用いる塗料に含まれる添加剤(例えば、顔料、レベリング剤、たれ止め剤など)に由来する成分を含んでいてもよい。その他の成分は、本発明の塗膜において10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の鋼管は、上記のような本発明の塗膜を内面に有する。
本発明の塗膜の厚さは特に限定されないが、5〜100μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。なお、この塗膜の厚さは、電磁膜厚計を用いて測定する。
本発明の鋼管が有するポリエチレン被覆鋼管は、ガス管用等として用いられている従来公知のものであってよい。また、例えば、押出成形機から丸ダイまたはTダイを介して鋼管外面にポリエチレン樹脂からなる被覆層を形成したものが挙げられる。また、JIS G3477のポリエチレン被覆鋼管「P2S」や「P3X」に規定する鋼管などを用いることができる。
次に、本発明の鋼管の製造方法について説明する。
本発明の鋼管は、溶媒に、亜鉛末、モリブデン酸化合物、溶剤膠漆シリカおよびアルキルシリケートを特定比率(本発明の塗膜が得られる比率)で添加した塗料をポリエチレン被覆鋼管の内面に塗装し、乾燥させることで溶媒を分離除去して製造することができる。
溶媒として溶剤を用いることができる。溶剤は、塗装後の塗料を乾燥させることで揮発する水や有機溶媒等の成分を指す。具体的には、有機溶媒として、エチルベンゼン、キシレン、イソブタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、メタノール、エタノール等が挙げられる。これら溶剤成分は1種類のみ含んでもよいが、複数種含んでいてもよい。
塗料が含む塗膜形成成分(亜鉛末、モリブデン酸化合物、溶剤膠漆シリカおよびアルキルシリケート等)の含有率は30〜85質量%含まれることが好ましく、45〜70質量%含まれることがより好ましく、45〜60質量%含まれることがさらに好ましい。
上記のような塗料をポリエチレン被覆鋼管の内面に塗装する方法は特に限定されない。
例えば従来公知の方法を適用することができ、エアレススプレー方法を適用することが好ましい。
また、均一な塗膜を形成するため塗装には、鋼管を一定方向に回転させる装置(例えばターニングロール)を用いることが好ましい。
以下に、ターニングロールを用いたエアレススプレー方法を例に、鋼管内面の塗装について説明する。
塗装はアームの先端部にノズルを有するエアレススプレー装置を用いる。また、ノズルチップはパターン角度20〜60°、チップ口径0.2〜0.5mmのものを用いる。
まず、鋼管をターニングロールのロール対上に載置し、鋼管の管軸を中心として、一定速度で回転駆動させる。この回転する鋼管の一方の管端部より、エアレススプレー装置のアームを鋼管内へ挿入して、他方の管端部までアームを移動させてからノズルの先を下方に向ける。そして、アームを他方の管端部から一方の管端部へ一定速度で移動させながら、圧力5〜15MPa、噴出量300〜1500g/minにて塗料を鋼管内面へ吹き付け、鋼管内面が完全に被覆し、かつ塗膜が均一となるように塗布する。この際、塗料を吹き付ける際の鋼管内面とノズル先端との距離(吹き付け距離)は150〜600mmとする。
塗装後、塗膜を形成するため鋼管内面に塗布された塗料を乾燥させる。乾燥方法は特に制限されないが、塗装後の鋼管を風通しが良好な屋内で養生させることが好ましい。また、養生期間は2〜7日間が好ましい。
なお、ポリエチレン被覆鋼管の内面を塗装する前に、内面を表面処理することが好ましい。内面に付着した油脂の汚れやスケールなどを除去するためである。表面処理は従来公知の方法を用いることができ、例えばグリットブラスト処理や酸洗いなどが挙げられる。
このような製造方法によって、本発明の鋼管を得ることができる。
本発明の鋼管は、外面を溶断や溶接しても、内面から、ミスト等が生成し難い。特に入熱量が高い溶断や溶接を行っても、同様に、ミスト等は生成し難い。
本発明の鋼管に適用できる溶接方法としては、アーク溶接が好ましい。アーク溶接として、例えば被覆アーク溶接、ガスシールドアーク溶接(ミグ溶接、マグ溶接)、ティグ溶接などが挙げられる。
本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
塗膜を形成する成分(以下では塗膜成分ともいう)として、亜鉛末、モリブデン酸亜鉛、溶剤膠漆シリカ、エチルシリケートおよび酸化チタンを異なる含有率で含む塗料を10種類用意した。そして、各々を後述する方法でポリエチレン被覆鋼管の内面に塗布し、塗膜を形成し、各々を実施例1〜10に係る本発明の鋼管とした。各々の塗膜に含まれる各成分の含有率を第1表に示す。ここで、実施例9については、モリブデン酸亜鉛の代わりにモリブデン酸アルミニウムを用いた。
なお、塗料は、溶剤として、エチルベンゼン、キシレン、イソブタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、メタノール、エタノールの有機溶媒を混合したものを用いた。また、塗料中の塗膜成分は約50質量%とした。
また、塗料は、その他添加剤として、酸化亜鉛、レベリング剤、たれ防止剤を、20:1:7の質量比率で混合したものを用いた。レベリング剤としてポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを、たれ防止剤としてヒドロキシステアリン酸アミドを用いた。
また、実施例1〜10とは異なる組成の塗料を6種類用意し、各々を実施例と同じポリエチレン被覆鋼管の内面に同様の方法で塗布し、塗膜を形成し、各々を比較例1〜6に係る鋼管とした。塗料中の塗膜成分の含有率も実施例の場合と同じとした。各々の塗膜に含まれる各成分の含有率を第1表に示す。
第1表に示すように、比較例2では溶剤膠漆シリカの代わりに水性膠漆シリカを用い、溶媒として有機溶媒の代わりに水を用いた。また、比較例3ではタルクを用いた。また、比較例4では、酸化第二鉄およびマンガン化合物を用いた。比較例5,6では、エチルシリケートの代わりにエポキシ樹脂を用いた。また、比較例6では硫酸バリウムおよびホウ酸亜鉛を用いた。
次に、上記の実施例1〜10および比較例1〜6に係る塗料の塗装方法について説明する。
初めに、JIS G 3452の規格に規定される配管用鋼管(新日鐵住金株式会社製、SGP200A×1m)を用いたポリエチレン被覆鋼管を用意した。
次に、この鋼管の内面にスチールグリット(粒径0.7mm)を0.5MPa程度の圧力で吹き付けて、グリットブラスト処理を行った。この処理により、鋼管の内面表面に付着した油脂や汚れ、スケール等を除去した。
次に、前述のターニングロールを用いたエアレススプレー方法により鋼管内面を塗装した。なお、塗装装置として、アームの先端部にノズルを有するエアレススプレー装置(株式会社旭サナック製、機種:エコポンジンク)を用いた。また、ノズルチップはパターン角度30°、チップ口径0.3mmのものを用いた。塗装方法の条件を以下に示す。
ターニングロールの回転速度 :140m/min
エアレススプレーの圧力 :11MPa
エアレススプレーの噴出量 :600g/min
エアレススプレーの吹き付け距離:200mm
上記のような塗装を行った後、鋼管を風通しが良好な屋内で7日間養生した。
上記のような方法で製造した塗膜を、以下のような方法で評価した。
<塗膜性>
上記の方法で得られた塗膜の厚さを電磁膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製、機種:SL−5P)を用いて測定した。また、塗膜の厚さが40μm未満であるものを「○」、40μm以上であるものを「△」として、各塗料の塗膜性を評価した。
結果を第1表に示す。
<溶接ビード形成方法>
上記のようにして得た実施例および比較例の内面塗装鋼管について、各々、鋼管外面の表面に溶接ビードを形成した。この溶接ビードの形成方法を、図1を用いて説明する。
初めに、ジェットヒーターで鋼管1の内面を95℃を超えない温度に予熱し、ポリエチレン被覆を貫通する切断線をカッターで入れた。チゼル、ジェットタガネ、金ヘラにてポリエチレンを剥離し、ベルトサンダー、ワイヤーブラシで鋼面の残渣樹脂を除去した。
次に、2本のターニングロール(3aおよび3b、ならびに4aおよび4b)同士が平行に配置されたロール対(3および4)上に鋼管1を載置した。そして、この4本のターニングロールを同方向に軸回転させて、鋼管1を矢印方向に回転駆動させた。この際の回転速度は0.28m/minとした。次に、鋼管1の外面における長手方向の中央部に溶接棒7を向け、溶接機5を操作し、被覆アーク溶接(手溶接)にて、長さ200mmの溶接ビード9を形成した。この際の溶接電流は120Aとした。なお、ターニングロールの回転速度は溶接速度と一致する。
次に、ターニングロールの回転速度を0.28m/minから0.06m/minへ変更し、同様の方法で溶接ビードを形成した。
なお、溶接棒7は、JIS Z 3211に規定される低水素系溶接棒E4316に相当する溶接棒(株式会社神戸製鋼所製、LB−52U、棒径3.2mm、棒長400mm)を用いた。また、溶接ビードの形成前に、被覆剤の再乾燥のため、溶接棒7を350℃で60分間加熱した。
そして、上記の溶接ビードの形成による溶接加工が、鋼管内面の塗膜に与える影響を次の方法で評価した。
<熱影響幅の測定>
溶接速度0.28m/minで溶接ビードを形成する際、熱によって鋼管内面の塗膜が、鋼管外面の溶接ビードに沿って黒色または白色に変色した。この変色部分の幅、つまり変色部の短手方向の長さを熱影響幅として、ノギスを用いて測定した。
測定値を第1表に示す。
<溶接時におけるミスト等の確認試験>
溶接ビードの形成時に、鋼管の管端部より鋼管内を目視し、白色や淡黄色の煙(ミスト)の発生の有無を「あり」または「なし」で評価した。
また、塗膜が加熱分解されて生じる塵状固形物または糸状固形物の有無を次のような方法で評価した。ここで、塵状固形物とは、加熱により塗膜から飛沫した細かい塵状の加熱分解物を指す。また、糸状固形物とは、加熱により塗膜成分が溶融して下垂し、糸状に凝固した加熱分解物を指す。この塵状固形物および糸状固形物の発生の有無を、溶接ビードの形成時に目視で確認した。また、これら固形物が発生した場合、鋼管内面から薬さじでこれら固形物を丁寧にこそぎ取り、薬包紙上に集め、精密天秤を用いてその質量を測定した。この結果を基に、これら固形物の質量が0.01g以下の場合を「○」、0.01gよりも多く0.1g以下の場合を「△」、0.1gよりも多い場合を「×」と評価した。
さらに、溶接ビードの形成時に鋼管の管端部に鼻を近づけ、臭気についての評価を行った。臭気は「無臭」を「○」、「弱い刺激臭を感じる」を「△」、「強い刺激臭を感じる」を「×」として評価した。
上記の塗膜厚、熱影響幅ならびに塵状固形物および糸状固形物の測定値を第1表に示す。また、塗膜性、加熱分解物(ミスト、塵状固形物および糸状固形物)の有無、および臭気の各評価も第1表に示す。
なお、0.28m/min(低入熱量)の溶接速度においてミストの発生が確認されたものについては、0.06m/min(高入熱量)の溶接速度における上記の試験は行わなかった。
Figure 0005587518
全ての実施例において、0.28m/minおよび0.06m/minの溶接速度で溶接ビードを形成しても、ミストが発生しないことが確認された。また、0.06m/minの溶接速度で発生した、塵状固形物および糸状固形物の質量は0.2gよりも少なかった。
<ミストの成分分析>
比較例4、比較例5および比較例6について、溶接速度0.28m/minで溶接ビードを形成する時に塗膜から生じるミストを採取し、その成分分析を行った。まず、鋼管の一方の管端部にろ紙(アドバンテック株式会社製、5A、直径216mm)を感圧接着剤で固定した。また、溶接ビードを形成する時に発生するミストがろ紙に吸着されるよう、他方の管端部には送風機を設置し、一方の管端部に向かって0.5m/minの風速で送風した。この状態で、上記の方法により溶接ビードを形成した後、ろ紙に吸着した煤を採取し、これを試料とした。
採取した試料について、FT−IR分析および走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(以下、SEM−EDXという。)により、ミストの成分分析を行った。
FT−IR分析は、機種スポットライト(パーキンエルマ社製)を用いた。
また、SEM−EDX分析は、機種JSM−6010LA(日本電子社製)を用いた。
FT−IR分析により、比較例6の塗膜から生じたミストには、炭化物が含まれることが確認された。
また、同じくFT−IR分析により、比較例4の塗膜から生じたミストには、カーボンが含まれることが確認された。さらに、SEM−EDX分析により、比較例4および比較例5におけるミストには酸化亜鉛が含まれることが確認された。
<塵状固形物および糸状固形物の成分分析>
実施例4、実施例7、比較例1、比較例2および比較例3について、溶接ビードの形成時に、塗膜から生じる上記の2種類の固形物を採取し、その成分分析を行った。分析は、上記のミストの成分分析と同様の機種を用いて、FT−IR分析およびSEM−EDX分析を用いた。なお、溶接速度は0.06m/minであった。
FT−IR分析により、実施例4、実施例7、比較例1、比較例2および比較例3の塗膜から生じた塵状固形物には、カーボンが含まれることが確認された。
また、SEM−EDX分析により、塵状固形物は酸化亜鉛を含むことが確認された。
SEM−EDX分析により、実施例4、実施例7、比較例1、比較例2および比較例3の塗膜から生じた糸状固形物は、酸化亜鉛を含むことが確認された。
1 鋼管
3、4 ロール対
3a、3b、4a、4b ターニングロール
5 溶接機
7 溶接棒
9 溶接ビード

Claims (4)

  1. 外面にポリエチレン樹脂からなる被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、
    亜鉛末を40〜70質量%、
    モリブデン酸化合物を1〜10質量%、
    溶剤膠漆シリカを10〜20質量%、および
    アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%含有する塗膜を内面に有するポリエチレン被覆鋼管。
  2. 前記モリブデン酸化合物がモリブデン酸亜鉛である請求項1に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  3. 前記塗膜がさらに酸化チタンを5〜20質量%含有する請求項1または2に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  4. ガス管として用いる、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン被覆鋼管。
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