JPH10280012A - 塗料顔料用金属粉末およびその製造方法 - Google Patents
塗料顔料用金属粉末およびその製造方法Info
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Abstract
来品に比べて格段に優れた防食性を付与できる塗料顔料
用金属粉末およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 Mg:0.2〜10wt%を含み、Al:
1.0wt%以下を含むか含まず、残部がZnおよび不可
避的不純物からなる成分組成の金属粉末であって、この
粉末の金属組織がZnと、Zn−Mg合金中に、Znと
Mgの固溶金属を有することを特徴とする溶射用あるい
は塗料顔料用金属粉末。上記成分組成の溶融金属の液滴
の凝固までの冷却速度を15℃/sec以上とすることを特
徴とする溶射用あるいは塗料顔料用金属粉末の製造方
法。
Description
使用すると、その塗膜に優れた防食性を付与できる塗料
顔料用金属粉末およびその製造方法に関するものであ
る。
にZn粉が使用されている。この製造は単に純金属から
のZn粉の製造なので、厳しい酸度濃度管理や冷却速度
コントロールをして、その組織の内容についてコントロ
ールするようなことはなかった。
電力施設、橋梁、ウォーターフロントの構造物等に用い
られている鉄鋼材料の防食対策については、亜鉛粉末を
顔料として、有機材・無機材をビヒクルとした構成のジ
ンクリッチペイントが主流である。ジンクリッチペイン
トは、主に重防食塗装の下塗りとして用いられ、主に、
10μm以下の粒度を持つ亜鉛粉末が使われている。手
軽に取り扱え、防食効果も程々に期待できるため、よく
使われる塗料である。
ビ割れ、または塗装後のダレ発生のため、厚膜塗装に制
限があり、厚みMax250μmとなっている。このた
めに、亜鉛含有量に制限があり、長時間防食性となると
使用環境によっては亜鉛の防食による消失速度が大き
く、鋼材に対する保護作用が長続きしない場合があり、
より高性能防食材料の開発の期待がある。
料(Zn粉末)に比べて優れているという例が示され
た。例えば、特開昭59−52645号公報、特開昭5
9−167249号公報では、亜鉛粉末とZn−Mg合
金粉末を含むジンクリッチペイントが、また特開昭59
−198142号公報では亜鉛粉末とZn−Mg合金粉
末とMn粉末を含むジンクリッチペイントが示された。
更に、特開平1−311178号公報では塗料における
Zn−(5〜15%)Mg合金粉末の高寿命防食性能が
示され、また特開平2−73932号公報では金属組織
がZnとMgZn2 より構成されるZn−Mg合金粉末
の高寿命防食性能が示された。
では、Zn−Mg−Al溶融めっき層ではあるが、その
めっき層の金属組織がZnとMg2 Zn11よりなるもの
が、ZnとMgZn2 よりなるもよりも耐蝕性にすぐれ
ることが示されている。また、上記金属組織は溶融めっ
き層が凝固するまでの冷却速度で制御でき、その速度を
10℃/sec以下にすることでMg2 Zn11が得られ、ま
た10℃/sec超とするとMgZn2 が得られることが示
される。
金属組織がZnとMgZn2 より構成されるZn−Mg
合金粉末は、Zn粉末に比べて防食性は向上する。しか
しながら、これらの合金粉末は防食性が十分といえず、
またZn−Mg合金の金属組織におけるZn−Mg化合
物として、特開平2−73932号公報にはMgZn2
の方がMg2 Zn11よりも防食効能が良いとあり、また
逆に特開平8−60324号公報にはMg2 Zn11の方
がMgZn2 よりも防食効能が良いとあり、Zn−Mg
合金の金属組織と防食性との関係が必ずしも明確になっ
ていない。
Zn−(0.2〜10%)Mg−(1.0%以下)Al
合金粉末、Zn−(0.2〜10%)Mg合金粉末の金
属組織とその防食性について、種々検討を重ねた結果、
次の新知見を得た。 (1)粉末の金属組織がZnとZn−Mg共晶または化
合物組織の合金とから成るものよりも、ZnとZn−M
g合金中に、ZnとMgの固溶金属を有するものの方が
格段に防食性に優れる。 (2)ZnとMgの固溶金属の量が多い程、防食性能が
向上する。 (3)ZnとMgの固溶金属は、溶融金属の液滴の凝固
までの冷却速度を15℃/sec以上とすると得られる。
もので、塗料の顔料として使用すると、その塗膜に従来
品に比べて格段に優れた防食性を付与できる塗料顔料用
金属粉末およびその製造方法を提供することを目的とす
るものである。
%以下を含むか含まず、残部がZnおよび不可避的不純
物からなる成分組成の金属粉末であって、この粉末の金
属組織がZnと、Zn−Mg合金中に、ZnとMgの固
溶金属を有することを特徴とする塗料顔料用金属粉末。 (2)前記(1)に記載の成分組成の溶融金属から金属
粉末を製造するに際して、溶融金属液滴の凝固までの冷
却速度を15℃/sec以上とすることを特徴とする塗料顔
料用金属粉末の製造方法。
する。まず、前記の本発明者等による新知見について述
べる。図1は、Mg:5wt%を含み、残部がZnおよび
不可避的不純物からなる成分組成の粒度20μm以下で
平均粒度15μmの金属粉末の金属組織のZnとMgの
固溶金属の量の防錆塗料の防錆性能に及ぼす影響を示し
たものである。
ル30wt%で顔料として上記金属粉末を、ビヒクルとし
てアルキルシリケートを用いた。この塗料を用いて、幅
50mm、長さ95mm、厚み2mmの表面ショットブラスト
仕上した材質がSS41の鋼板に45μの塗膜を形成し
たサンプルを作成した。そして、サンプル表面をクロス
カットして、JIS2371に基づくSST(塩水噴霧
試験)で赤錆発生までの時間で防錆性能を評価した。
ものがZnとMgの固溶金属のないものよりも防錆性に
優れること、ZnとMgの固溶金属の量が多い程、防食
性能が向上することが明らかである。
および不可避的不純物からなる成分組成の粒度20μm
以下で平均粒度15μmの金属粉末を製造する際に、溶
融金属液滴の凝固までの冷却速度を、液滴の冷却雰囲気
温度を調整して、5、10、15、60℃/secに制御
し、各冷却速度と金属粉末の金属組織の関係の調査結果
を示したものである。なお、表1におけるZn、Zn−
Mg共晶または化合物組織を有する合金は、X線回析の
計算機による定量値を示し、固溶金属は上記のZn−M
g合金量よりMg量を算定し全体Mgより引いた計算値
を示す。
際に、溶融金属液滴の凝固までの冷却速度を15℃/sec
以上とすることで、金属粉末の金属組織がZnと、Zn
−Mg合金中に、ZnとMgの固溶金属を有するように
なることが明らかである。
以下でしかも、緩冷却でなければ固溶金属ができない
が、上記のように急速冷却(15℃/sec以上)にすると
平衡状態図ではあり得ないMgZn2 、ZnとMgとの
固溶金属ができる理由は、明確ではないが、急速冷却で
は溶融状態での一部成分のランダム性がそのまま凝固し
て、できえない組織をもたらしたものと考えられる。
製造法は大きく分けて、揮発凝固法と噴霧法がある。図
2は、噴霧方式の金属粉末製造装置の一例を示したもの
である。製造装置は、所定の成分組成の溶融金属を得る
ための金属溶解炉、例えば誘導加熱式金属溶解炉1と、
この溶解炉1の下部に設けたアトマイズタワー2と、こ
のアトマイズタワー2の下部に設けたバケット3と、上
記溶解炉1の炉底に設けられアトマイズタワー内の上部
に下端が開孔するノズル4と、ストッパー5を介してノ
ズル下端開孔から流出する溶融金属をアトマイズ(溶融
金属液滴化)するアトマイズガスノズル6とからなり、
上記溶融金属液滴がアトマイズタワー内空間を自然落下
する過程で凝固し、凝固金属粉体がバケット内に貯留さ
れるように構成されている。
るいは、Zn−Mg合金あるいはZn−Mg合金とAl
の金属溶解方法については特に制限ないが、酸化防止の
ために例えば、Arガスで溶解炉内の雰囲気中の酸素濃
度を5ppm 以下にするのが望ましい。
成)については、Mg:0.2〜10wt%を含み、A
l:1.0wt%以下を含むか含まず、残部がZnおよび
不可避的不純物からなるものでなければならない。この
理由は次の通りである。
性を向上させるためZn−Mg溶融金属の粘性をより低
くして粉末製造用ノズルを通り安くするためである。従
って、粉末の要求粒径によっては、Alを投入しなくて
も生産性を低下させない場合がある。例えば、溶射材料
では平均粒度125μmで、ペイント顔料の平均粒度1
0μm以下である。粒径の大きい溶射材料では、Alは
入れなくても生産性は損なわれない。また、高効率を狙
わなければ顔料粉末の粒径の小さいものでもAlをいれ
なくても良い。Al量を1wt%以下としたのは、これ以
上入れても上記効果が上がらないためである。実質的に
はAl:0.1〜0.3wt%で十分である。一方、揮発
凝固法では上記工程がないため、Alの量は0wt%でよ
い。
が高いためと防食効果との経済的バランスによるもので
ある。Mgを0.2wt%以上としたのは、防食性能の向
上が期待できないからである。
が、酸化防止のためにアトマイズガスとしてN2 ガスを
用い、アトマイズタワー2内の雰囲気中の酸素濃度を5
ppm 以下にするのが望ましく、溶融金属がノズル6を通
過してアトマイズガスにより液滴となり、これが冷却さ
れ凝固して金属粉末となるまでの冷却速度は15℃/sec
以上にしなければならない。
マイズタワー外周全体に冷却用の配管7を巻き付け、配
管内の水温と流量を操作することで、アトマイズタワー
2内の雰囲気温度を制御し、金属液滴の凝固までの冷却
速度を制御できるようにしている。
バケット3との接続管部から雰囲気ガスを吸引するブロ
ワーであり、その配管途中にはサイクロン9、バグ式集
塵機10が配置され、微細粉がサイクロン9で捕捉さ
れ、下方のサブバケット11に貯留され、不必要な微粉
は集塵機10で回収される。なお、バケット3とサイク
ロン9の外周全体に冷却用の配管12,13を巻き付
け、金属粉末の保有熱で金属粉末が凝集するのを防止す
るため、バケット3に貯留されるかあるいはサブバケッ
ト11に貯留される前の金属粉末を冷却するようにして
いる。
n:98.8wt%、Mg:1wt%、Al:0.2wt%の
材料を入れ、600℃まで加熱した。この際、炉内をA
rパージし、炉内酸素濃度を5ppm とした。このときの
Ar使用量は原料1Kg当り1Nm3 /Kgであった。
アトマイズタワー内でアトマイズした。この時のアトマ
イズタワー内の圧力は1.5Kg/m2 、酸素濃度は5ppm
であった。また、アトマイズタワー外部冷却用水の使用
料を原料1Kg当り1Nm3 /Kgとして、アトマイズタワー
内の雰囲気温度を20℃にし、溶融金属液滴の凝固まで
の冷却速度を15℃/secにした。
/min(溶融金属より金属粉末30℃までの生産))、粒
度20μm以下で平均粒径は15μであった。このよう
にして得た金属粉末の組織の分析を行った。その結果を
表2に示す。
その結果、この金属粉末で最も嫌われる酸化物は、ヨウ
素メタノールのICP法での定量分析でMgの酸化物は
0.0006%以下で、Znの酸化物は0.0037%
以下と優れたものであった。
%、Mg:0.5wt%、Al:0.2wt%のもの、Z
n:94.8wt%、Mg:5.0wt%、Al:0.2wt
%のもの、Zn:89.8wt%、Mg:10.0wt%、
Al:0.2wt%のものに変更して、上記と同一の条件
で金属粉末を製造した。これらの金属粉末の組織分析を
行い、その結果を表2に併記した。
5.0wt%、Al:0.2wt%のものと、Zn:89.
8wt%、Mg:10.0wt%、Al:0.2wt%のもの
について、アトマイズタワー内の雰囲気温度を40℃に
し、溶融金属液滴の凝固までの冷却速度を10℃/secに
して、金属粉末を製造し、これらの金属粉末の組織分析
結果を表2に併記した。
または化合物組織を有する合金は、X線回析の計算機に
よる定量値を示し、固溶金属は上記のZn−Mg合金量
よりMg量を算定し全体Mgより引いた計算値を示す。
と市販のZn粉末(粒度20μm以下で平均粒径は15
μ)を顔料とする防錆塗料の防錆性能を調査した。この
時の防錆塗料は顔料70wt%、ビヒクル30wt%で、ビ
ヒクルとしてアルキルシリケートを用いた。この塗料を
用いて、幅50mm、長さ95mm、厚み2mmの表面ショッ
トブラスト仕上した材質がSS41の鋼板に45μの塗
膜を形成したサンプルを作成した。そして、サンプル表
面をクロスカットして、JIS2371に基づくSST
(塩水噴霧試験)で赤錆発生までの時間で防錆性能を評
価した。その結果を表2に併記した。
のZn粉末は勿論のこと、ZnとMgとの固溶金属のな
い金属粉末に比べ、本発明法で得られた本発明品のZn
とMgとの固溶金属の存在する金属粉末は、優れた防錆
特性を塗膜に付与していることが判り、また防錆性能は
ZnとMgとの固溶金属の量に比例していることも判
る。
ば、塗料の顔料として使用すると、その塗膜に従来品に
比べて格段に優れた防食性を付与できる塗料顔料用金属
粉末およびその製造方法を提供できた。
能に及ぼす影響の説明図。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg:0.2〜10wt%を含み、Al:
1.0wt%以下を含むか含まず、残部がZnおよび不可
避的不純物からなる成分組成の金属粉末であって、この
粉末の金属組織がZnと、Zn−Mg合金中に、Znと
Mgの固溶金属を有することを特徴とする塗料顔料用金
属粉末。 - 【請求項2】 請求項1に記載の成分組成の溶融金属か
ら金属粉末を製造するに際して、溶融金属液滴の凝固ま
での冷却速度を15℃/sec以上とすることを特徴とする
塗料顔料用金属粉末の製造方法。
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JP08830497A JP3753162B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | 塗料顔料用金属粉末の製造方法 |
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- 1997-04-07 JP JP08830497A patent/JP3753162B2/ja not_active Expired - Fee Related
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