JPH0616410A - 絶縁膜およびその製造方法 - Google Patents

絶縁膜およびその製造方法

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JPH0616410A
JPH0616410A JP33092491A JP33092491A JPH0616410A JP H0616410 A JPH0616410 A JP H0616410A JP 33092491 A JP33092491 A JP 33092491A JP 33092491 A JP33092491 A JP 33092491A JP H0616410 A JPH0616410 A JP H0616410A
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JP
Japan
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insulating film
film
perhydropolysilazane
nitrogen
water
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JP33092491A
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Inventor
Satoshi Waga
聡 和賀
Setsuo Ishibashi
節雄 石橋
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、特性の優れた絶縁膜を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 本発明は一般式(I)で表わされるぺルヒド
ロポリシラザンを焼成してなる絶縁膜において、焼成後
の膜中に窒素を残留させたものである。 【化1】 【効果】本発明によれば、絶縁膜中に窒素を残留させた
ので、膜厚が大きく、光の透過率に優れ、膜密度と膜硬
度が高いとともに、各種のエッチング液に対して侵され
にくく、耐薬品性に優れた絶縁膜を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、液晶表示素子、エレ
クトロルミネッセンス素子、エレクトロクロミック素子
などの表示デバイス用基板に形成される絶縁膜に用いて
好適な絶縁膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、時計、電卓、テレビ、携帯用コン
ピュータなどのディスプレイに各種の表示素子が利用さ
れている。これらの表示素子は、透明電極が形成された
基板と、対向電極が形成された基板とによって液晶層や
蛍光体発光層などの表示機能層を挟んだ構造になってい
る。この種の表示素子には、絶縁目的あるいは基板保護
などのために透明絶縁膜が形成されている。この透明絶
縁膜に要求される特性としては、光の透過率が高く、耐
薬品性が高く、絶縁耐圧が大きく、膜厚を厚くすること
ができ、膜に欠陥が少なく、硬度が高いことなどであ
る。
【0003】従来、この種の要求特性を加味した上でこ
れらの用途に好適な透明絶縁膜の例として、酸化珪素膜
と窒化珪素膜が知られている。そして、前記酸化珪素膜
の製造方法として、Si(OC254系の材料の塗布
物を大気中もしくは加湿雰囲気中で焼成して酸化珪素膜
を形成する方法が知られている。また、一般式(I)
【0004】
【化2】
【0005】で表わされるぺルヒドロポリシラザンを大
気中もしくは加湿雰囲気中で焼成して酸化珪素膜を形成
する方法も知られている。
【0006】一方、前記窒化珪素膜の製造方法として、
前記一般式(I)で表わされるぺルヒドロポリシラザン
を完全無水雰囲気あるいはNH3雰囲気中において焼成
して窒化珪素膜を形成する方法が知られている。
【0007】前述の方法で製造された酸化珪素膜は、厚
膜化が可能であり、光の透過率が高い利点を有し、前記
方法で製造された窒化珪素膜は、耐薬品性が高く、絶縁
耐圧も大きい利点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記の方法
で製造された酸化珪素膜は、耐薬品性が悪く、成膜工程
で使用されるエッチング液や現像液などに侵され易い欠
点がある。また、窒化珪素膜は、光の透過率が小さい欠
点を有するとともに、膜自体の内部応力が高いので厚膜
化するとクラックが入り易い欠点がある。特に、窒化珪
素膜においては3000Å程度の膜厚までは製造可能で
あるが、これ以上の厚膜化は不可能であり、1μm程度
の膜厚のものを無理に製造しようとすれば、自身の内部
応力により多数のクラックを生じてしまう問題がある。
【0009】即ち、以上説明したように従来の酸化珪素
膜と窒化珪素膜にあっては、いずれのものにおいても、
前述した要求特性の全てを満たすわけではなく、長所と
欠点を併せ持っているので、全ての要求特性を満たすこ
とのできる絶縁膜の登場が望まれている。
【0010】なお、スパッタ法などの物理蒸着法を駆使
すれば窒化ケイ素膜や酸化窒化膜を得ることができ、こ
れらの絶縁膜は優れた特性を有するが、物理蒸着法では
膜中の内部応力を小さくしつつ膜厚を大きくすることは
難しく、成膜に時間がかかるとともに、真空装置等が必
要になり、成膜コストも大きくなる欠点がある。
【0011】本願発明は、前記事情に鑑みてなされたも
ので、光の透過率が良好で、耐薬品性に優れ、クラック
を生じることなく厚膜化が可能であり、絶縁耐圧も大き
く、硬度も高い絶縁膜を提供すること、および、その絶
縁膜を容易に製造することができる方法の提供を目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、一般式(I)で表わされるぺ
ルヒドロポリシラザンを焼成してなる絶縁膜において、
焼成後の膜中に窒素を残留してなるものである。
【0013】
【化3】
【0014】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、一般式(I)で示されるぺルヒドロポリシラザ
ンを焼成して絶縁膜を形成する際に、焼成雰囲気中の水
分量を調節して絶縁膜中に窒素を残留させるものであ
る。
【0015】
【作用】ぺルヒドロポリシラザンを焼成して得られる膜
中に窒素を残留させることで、可視光全域において光の
透過率に優れ、内部応力が少なく、厚膜化が可能で、耐
薬品性が高く、硬度も高い絶縁膜が得られる。また、膜
厚が大きくなるとそれにつれて絶縁耐圧も大きくなる。
【0016】一方、ぺルヒドロポリシラザン焼成時の雰
囲気中の水分量を制御することで焼成後の膜中に窒素を
残留させることができ、残留する窒素量を制御すること
もできる。このような制御ができるのは、ぺルヒドロポ
リシラザンを適切な水分雰囲気中で適切な温度で焼成す
ると、ぺルヒドロポリシラザンが完全に加水分解しない
うちに縮合を起こすためである。この加水分解時におい
て、充分な量の水分の元でぺルヒドロポリシラザンを反
応させ、加熱すると、ぺルヒドロポリシラザンは完全に
加水分解した後に縮合して完全な酸化珪素膜となる。ま
た、前記加水分解が起こる温度において完全無水雰囲気
中で焼成した場合は、ぺルヒドロポリシラザンが加水分
解しないで窒素が完全に取り込まれたままぺルヒドロポ
リシラザンは窒化珪素膜となる。ところが、本願発明者
がぺルヒドロポリシラザンの焼成処理について研究を重
ねた結果、加水分解時に雰囲気中の水分量を調節し、ぺ
ルヒドロポリシラザンの加水分解反応を調節すると、焼
成後の膜に窒素を残留させることができ、しかも取り込
ませる窒素量に変化を生じさせ得ることが判明した。そ
して、焼成後に得られた膜は絶縁膜として種々の優れた
特性を発揮する。
【0017】以下、更に本発明の絶縁膜およびその製造
方法について詳細に説明する。本願発明では下記一般式
(I)で示されるぺルヒドロポリシラザンを出発材料と
して用いる。
【0018】
【化4】
【0019】このぺルヒドロポリシラザンは、ジクロロ
シランとアンモニアとの反応生成物、またはこれをアン
モニア又は熱重合で改質したものであるので、下記一般
式(II)で表わされる骨格を有し、これにアンモニア
に基づくーNHー単位が付加した構造を有するものであ
る。
【0020】
【化5】
【0021】ここで用いるぺルヒドロポリシラザンにお
いては、ポリスチレン換算数平均分子量を1400〜4
000、より好ましくは、1500〜2500である。
固形分の塗布材料への添加量は、目的とする膜厚により
適量用いられるが、塗布液の安定性や扱い易さ等を考慮
すると10〜20重量%のものが好ましい。このような
ぺルヒドロポリシラザンをキシレンなどの溶媒に溶解し
て液体状の塗布材料を得る。
【0022】この塗布材料を図1に示す基板1に塗布し
て所定厚さの塗布層2を形成する。ここで用いる基板1
としては、ケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、カリ石
灰ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、石英ガラス、ホ
ウケイ酸ガラスなどのガラスの板状体、あるいは、アク
リル樹脂などの高分子材料からなる透明基板、または、
セラミック、シリコンなどからなる不透明基板などのい
ずれを用いても良い。
【0023】前記塗布材料を基板1に塗布する方法は、
スピンコーティング、浸積法、ロールコート法、スプレ
ー法、スクリーン法などのいずれの方法を採用しても良
い。ここで例えば、スピンコート法を用い、回転するガ
ラス基板上に塗布材料を滴下することで、数μm程度ま
での厚さの均一な塗布層2をガラス基板上に容易に形成
することができる。この塗布層2を後述する如く焼成す
ることで図2に示すような絶縁膜3を生成させることが
できる。なお、この絶縁膜3で所望の厚さのものを製造
する場合は、基板1上に塗布して形成する塗布層2の厚
さを増減して対応すれば良い。塗布層2の厚さを調節す
ることで数μm程度までの絶縁膜を容易に得ることがで
きる。
【0024】次に、本発明方法の実施に用いる焼成装置
として好ましい構造を図3に示す。この例の焼成装置A
は、加熱ヒータを備えた処理室4に導入管5と排出管6
を接続して構成されたものである。前記導入管5には、
流量計7が組み込まれ、導入管5には湿度測定装置8が
接続され、湿度測定装置8には収納容器9と開閉弁10
とを介して窒素ガスなどの不活性ガスの供給源11が接
続されている。なお、前記排出管6は処理室4を大気開
放している。
【0025】前記収納容器9の内部には純水12が収納
され、供給源11から送られたガスを収納容器9内で加
湿した後に導入管5を介して処理室4に送ることができ
るようになっている。また、収納容器9には図示略の加
熱ヒータが付設されていて、内部の純水を所定の温度に
加熱できるようになっている。これは、純水の温度を調
節することによりガス中に含ませる水分量を調節するた
めである。なお、この例において収納容器9内に挿入さ
れた送気管13の先端部は、純水中に挿入されて純水を
バブリングできるようになっているが、供給する水分量
を少なくする場合は、送気管13の先端を純水中に挿入
しない構成とすることもできる。
【0026】前記塗布層2を形成したガラス基板1を処
理室4に収納したならば、窒素ガスを収納容器9内の純
水中に供給してバブリングを行ない、その後この加湿ガ
スを処理室4に供給するとともに、処理室4内の空気を
排出管6から排出して処理室4の内部空間を全て加湿ガ
スに置換する。加湿ガスの供給量は数十l/分程度とす
る。ここで窒素ガスを加湿する場合、純水の温度を調節
することで水分量を数ppm〜20000ppm程度の
間で適宜調節することができる。水分量で10000p
pmは大気中(25℃、50%RH)で通常に存在する
水分量に相当し、20000ppmは、25℃、50%
RHでの飽和水蒸気量にほぼ相当する。本発明の目的に
見合った絶縁膜を得るために供給する、水分量はガス流
量を20l/分程度とした場合10000ppmより少
なくする。また、処理室4内の空気を全量完全に加湿ガ
スに置換するために、処理室4内の容積に応じて充分な
時間をかけてガス置換を行なうものとする。
【0027】前記ガス置換作業が終了したならば、窒素
ガスを流したままの状態で処理室4の加熱ヒータを作動
させて塗布層2を焼成する。
【0028】第1段階の加熱処理は120℃に1時間程
度、第2段階の加熱処理は250℃に1時間程度、第3
段階の加熱処理は500℃に1時間程度それぞれ加熱す
るものとする。第1段階の加熱処理により塗布層2中の
キシレンなどの溶媒を揮発させて飛ばすことができる。
【0029】また、第2段階の加熱処理により塗布層2
中のぺルヒドロポリシラザンを下記式(III)に示す
ように加水分解するとともに、この加水分解したものを
下記式(IV)に示すように縮合反応させることができ
る。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】ここで加水分解させる場合に、加湿ガス中
には大気中よりも低い所定量の水分が付加されているの
で、ぺルヒドロポリシラザンの大部分は加水分解されて
縮合するが、ぺルヒドロポリシラザンの全量が反応する
には水分量が不足する。よって一部のぺルヒドロポリシ
ラザンは加水分解することなく未反応のまま残留する。
【0033】次に第3段階の加熱処理で焼成し、縮合反
応を行なわせる。この焼成処理においても水分量は大気
中よりも不足するので絶縁膜3には窒素が残留したまま
のものが生じる。
【0034】以上の方法を実施することで基板1上に図
3に示す絶縁膜3を形成することができる。このように
製造された絶縁膜3は、酸化珪素膜の成分が大部分を占
め、残りの一部が窒素を含む膜になっていると推定され
る。よって、従来の酸化珪素膜と同様に厚膜化が容易で
数千Å程度あるいはそれ以上の厚さを有し、後述する実
施例で示されるように92%前後の高い透過率を示し、
膜応力も低く、絶縁膜として充分な硬度を有し、各種の
エッチング液に対して腐食されにくい特長を備えてい
る。よって本願発明方法を実施することで従来からこの
種の絶縁膜に要求されている種々の特性を全て併せ持つ
透明な絶縁膜3を得ることができる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)出発材料として、ポリスチレン換算数平均
分子量1700、固形分10重量%のぺルヒドロポリシ
ラザンをキシレンに溶解した塗布材料を作成した。ま
た、基板として、寸法101.6×101.6×1.1m
m、ホウケイ酸系のガラス(#7059ガラス)からな
る基板を用いた。
【0036】前記基板を回転装置(スピンナー)にセッ
トし、基板上に塗布材料を1ml滴下した後、基板を1
000rpmで15秒間回転させてスピン塗布を行な
い、基板上に均一な厚さの塗布層を形成した。次に図3
に示す焼成装置を用い、焼成装置の処理室内に基板をセ
ットするとともに、純水の温度を調節して水分含有量を
10ppmに調整した窒素ガスの加湿ガスを20l/分
の割合で焼成装置に供給して常温のまま30分間放置
し、処理室内の空気を加湿ガスに完全に置換した。
【0037】その後、120℃で1時間加熱して溶媒の
乾燥を行ない、次いで250℃で1時間加熱し、500
℃で1時間焼成処理を行なった後、室温まで徐冷した。
【0038】焼成後、基板上に生成されている絶縁膜に
ついて、フーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)と電
子分光装置(ESCA)を用いて成分分析を行なった。
また、この絶縁膜について、膜厚を測定し、400〜8
00nm(可視光のほぼ全域)における光透過率をスペ
クトロフォトメーターを用いて測定してその平均値を算
出し、更に膜密度と膜応力と膜硬度の測定を行なった。
【0039】また、この絶縁膜の耐薬品性を評価するた
めに、以下に示す組成の各種エッチング液と現像液に浸
積してどの程度絶縁膜が消失するか試験を行ない、その
エッチングレートを求めた。 エッチング液および現像液組成 バッファードフッ酸(BHF) HF:NH4F=1:10 インジウムティンオキサイド(ITO)用エッチング
液 HCl:HNO3:H2O=1:0.08:1 タングステン用エッチング液 K3Fe(CN)6:KOH:KH2PO4=1:0.2
5:0.25 現像液(CD-26) (CH34NOH 2.38重量%水溶液
【0040】(実施例2)前記実施例1の製造工程にお
いて、加湿ガスの水分量を1000ppmに設定し、他
の条件は同等として絶縁膜を製造し、この絶縁膜の各特
性を測定した。
【0041】(実施例3)前記実施例1の製造工程にお
いて、加湿ガスの水分量を5000ppmに設定し、他
の条件は同等として絶縁膜を製造し、この絶縁膜の各特
性を測定した。
【0042】(実施例4)前記実施例1の製造工程にお
いて、加湿ガスの水分量を10000ppmに設定し、
他の条件は同等として絶縁膜を製造し、この絶縁膜の各
特性を測定した。
【0043】(実施例5)前記実施例1の製造工程にお
いて、加湿ガスの水分量を20000ppmに設定し、
他の条件は同等として絶縁膜を製造し、この絶縁膜の各
特性を測定した。
【0044】(比較例1)前記実施例1の製造方法にお
いて窒素ガスによる水分量の制御を全く行なわず、25
℃の大気中、湿度50%で、他は前記と同等の条件で焼
成処理を行なって絶縁膜を得、この絶縁膜の各特性を測
定した。
【0045】(比較例2)塗布材料をテトラエトキシシ
ラン系塗布剤 OCD TYPE-2(東京応化工業株
式会社製)とした以外は、前記実施例1と同様の方法を
実施して絶縁膜を得、この絶縁膜の各特性を測定した。
【0046】(比較例3)塗布材料をテトラエトキシシ
ラン系塗布剤 OCD TYPE-2(東京応化工業株
式会社製)とし、前記比較例2と同様に水分量の制御は
全く行なわずに大気中、25℃、湿度50%で焼成処理
を行ない、それ以外の条件は実施例1と同等の条件で焼
成処理を行なって絶縁膜を得、この絶縁膜の各特性を測
定した。
【0047】以上の結果をまとめて表1〜表5に示す。
また、フーリエ変換赤外分光装置(以下、FT-IRと
称す。)による測定結果を図4〜図8に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】表1と図4〜図8に示すFT-IRによる
分析結果から明らかなように、焼成雰囲気に送る窒素ガ
ス中の水分量を10〜20000ppmまでそれぞれの
値に設定した場合、-NHとSiONとSiNの吸光度
の消失の仕方から、水分量5000ppmまでは膜中の
窒素の存在を認め得るが、10000ppm以上では窒
素の存在を認めることができないことが判明した。そし
て、水分量10000ppm以上のサンプルでは、絶縁
膜がほぼ完全にSiO2になっていると推定できる。
【0054】なお、水分含有量において10000pp
mとは、通常の大気中においても発生し得る値であり、
この条件は大気中において焼成した場合に近い条件とな
る。また、水分含有量20000ppmとは飽和水蒸気
量に相当する値である。以上のことから、10000p
pmより少ない水分含有量の窒素ガスを供給しながらぺ
ルヒドロポリシラザンを焼成することで絶縁膜中に窒素
を残留させ得ることが明らかになった。
【0055】次に、表2に示す電子分光装置による分析
結果から、水分量が10000ppm以上のサンプルで
は絶縁膜中に窒素が存在しないことが明らかであり、水
分量が10000ppmより少ないサンプルでは絶縁膜
中に窒素が存在することが明らかである。また、表2の
O/Si比の欄の値およびそれらをプロットした図9に
示す結果を見ても、水分量10000ppm以上ではO
/Si比が2を超えており、絶縁膜のほぼ全体がSiO
2からなることが裏付けられている。
【0056】表3は絶縁膜の膜厚と透過率と膜密度と膜
応力と膜硬度の各値を示し、図10は透過率と水分量の
関係を示し、図11は膜密度と水分量の関係を示し、図
12は膜応力と水分量の関係を示し、図13は膜硬度と
水分量の関係を示している。これらの測定結果から、い
ずれの水分量のものも充分な厚さと透過率と膜密度を有
することが明らかである。また、前記絶縁膜は、透過率
において基板を構成する#7059ガラスと同等であ
る。
【0057】また、膜応力においては、水分量が100
00ppmより小さいサンプルが多少大きな値となって
いるが、この程度の値では絶縁膜としての使用に支障を
来すおそれはない。更に、膜硬度に関しては、いずれの
絶縁膜も表5に示す比較例2よりも高い値を示す。ま
た、水分量を少なくした絶縁膜は、比較例1、2、3よ
りも更に膜硬度が向上し、#7059ガラスに近い値に
なっている。これは水分量を少なくすることで絶縁膜中
に残留する窒素がより多く残留し、硬度の向上に寄与す
るためであると推定される。
【0058】表4はエッチングレートを示すが、BHF
エッチングレートにおいていずれの絶縁膜も表5に示す
比較例2、3よりも優秀になっている。タングステンエ
ッチングレートについては、比較例2よりも優秀であ
り、ITOエッチングレートについては比較例1、2、
3のいずれよりも優秀な値を示し、CD-26エッチン
グレートについては比較例2、3と同等の優秀な値を示
している。即ち、本発明に係る絶縁膜は、種々のエッチ
ング液に対し、平均的に優秀な特性を有し、特定のエッ
チング液に弱いということがない。
【0059】(試験例)次に、前記製造方法において採
用したぺルヒドロポリシラザンの焼成温度について行な
った試験結果について説明する。膜厚5000Åのぺル
ヒドロポリシラザンの塗布層を120℃で1時間焼成す
る方法と、120℃で1時間焼成後更に300℃で1時
間焼成する方法と、120℃で1時間焼成後更に400
℃で焼成する方法と、120℃で1時間焼成後更に50
0℃で焼成する方法をそれぞれ実施して絶縁膜を形成
し、得られた絶縁膜について電子分光装置(ESCA)
を用いて成分分析を行なった。電子分光装置における測
定条件は、信号取出角80deg、スパッタ時間3分間
とした。その結果を表6と図18〜図19に示す。
【表6】
【0060】表6と図18〜図19に示す結果から、焼
成温度が高くなるにつれて炭素と窒素の含有量が減少
し、SiO2膜の組成に近づいていくことが明らかであ
る。また、500℃の焼成で窒素が完全になくなり、組
成がSi:O=1:1.94となり、ほぼ完全なSiO2
膜となっている。用いた電子分光装置の分解能を考慮す
ると、炭素については400℃の焼成でほぼ完全に無く
なると考えられる。以上の試験結果から鑑みて、前記実
施例において焼成する場合の第1段階の焼成温度を12
0℃に、最終段階の焼成温度を500℃にそれぞれ設定
した。
【0061】ところで前記実施例においては、加湿ガス
として窒素ガスに水分を添加したものを用いたが、他の
不活性ガスに水分を添加して加湿したものを用いて雰囲
気ガスを形成しても良い。更に前記実施例では純水を通
過させた窒素ガスを用いて水分量を制御したが、加湿ガ
ス中の水分を調節する手段はこの方法に限るものではな
く、他の手段を用いても良い。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ぺ
ルヒドロポリシラザンを焼成してなる絶縁膜に窒素を残
留させたので、膜厚が厚く、光の透過率に優れ、膜密度
と膜硬度が高いとともに、各種のエッチング液に対して
侵されにくく、耐薬品性に優れた絶縁膜を提供すること
ができる。
【0063】また、ぺルヒドロポリシラザンを焼成する
際に、焼成雰囲気中の水分量を制御することで、焼成後
の絶縁膜に窒素を残留させることでき、しかも焼成後の
絶縁膜に含まれる窒素量を制御することができる。この
ような制御ができるのは、ぺルヒドロポリシラザンを適
切な水分雰囲気中で焼成すると、ぺルヒドロポリシラザ
ンが完全に加水分解しないうちに縮合を起こすためであ
る。この加水分解時に雰囲気中の水分量を調節し、ぺル
ヒドロポリシラザンの加水分解反応を調節すると、焼成
後の膜に窒素を残留させ得るとともに、膜に残留させる
窒素量に変化を生じさせることができる。従って本願発
明方法を実施することで、膜厚が大きく、光の透過率に
優れ、膜密度と膜硬度が高いとともに、各種のエッチン
グ液に対して侵されにくく、耐薬品性に優れた絶縁膜を
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は基板上に塗布層を形成した状態を示す断
面図である。
【図2】図2は基板上に絶縁層を形成した状態を示す断
面図である。
【図3】図3は本発明方法を実施する際に使用する装置
の一例を示す構成図である。
【図4】図4は水分量10ppmの加湿ガスを供給して
得られた絶縁膜のFT-IRによる分析結果を示す図で
ある。
【図5】図5は水分量1000ppmの加湿ガスを供給
して得られた絶縁膜のFT-IRによる分析結果を示す
図である。
【図6】図6は水分量5000ppmの加湿ガスを供給
して得られた絶縁膜のFT-IRによる分析結果を示す
図である。
【図7】図7は水分量10000ppmの加湿ガスを供
給して得られた絶縁膜のFT-IRによる分析結果を示
す図である。
【図8】図8は水分量20000ppmの加湿ガスを供
給して得られた絶縁膜のFT-IRによる分析結果を示
す図である。
【図9】図9は加湿ガス中の水分量とO/Si比との関
係を示す図である。
【図10】図10は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜の透過率との関係を示す図である。
【図11】図11は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜の膜密度との関係を示す図である。
【図12】図12は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜の内部応力との関係を示す図である。
【図13】図13は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜の硬度との関係を示す図である。
【図14】図14は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜のフッ酸によるエッチングレートとの関係を示す図で
ある。
【図15】図15は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜のタングステン用エッチング液によるエッチングレー
トとの関係を示す図である。
【図16】図16は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜のITO用エッチング液によるエッチングレートとの
関係を示す図である。
【図17】図17は加湿ガス中の水分量と得られた絶縁
膜のパターニング用現像液によるエッチングレートとの
関係を示す図である。
【図18】図18は焼成温度と絶縁膜の膜組成との関係
を示す図である。
【図19】図19は焼成温度とO/Si比との関係を示
す図である。
【符号の説明】
A 焼成装置 1 基板 2 塗布層 3 絶縁膜 4 処理室 5 導入管 6 排出管 8 湿度測定装置 9 収納容器 11 供給源 12 純水

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表わされるぺルヒドロポ
    リシラザンを焼成してなる絶縁膜において、 焼成後の膜中に窒素が残留されてなることを特徴とする
    絶縁膜。 【化1】
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示されるぺルヒドロポリ
    シラザンを焼成して絶縁膜を形成する際に、焼成雰囲気
    中の水分量を調節して絶縁膜中に窒素を残留させること
    を特徴とする絶縁膜の製造方法。
JP33092491A 1991-12-13 1991-12-13 絶縁膜およびその製造方法 Withdrawn JPH0616410A (ja)

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