JPH06160256A - 試料分解方法及びその装置 - Google Patents

試料分解方法及びその装置

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JPH06160256A
JPH06160256A JP20366592A JP20366592A JPH06160256A JP H06160256 A JPH06160256 A JP H06160256A JP 20366592 A JP20366592 A JP 20366592A JP 20366592 A JP20366592 A JP 20366592A JP H06160256 A JPH06160256 A JP H06160256A
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sample
container
pure water
solvent
decomposing
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Application number
JP20366592A
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English (en)
Inventor
Miyuki Takenaka
みゆき 竹中
Masaru Hayashi
勝 林
Hideki Matsunaga
秀樹 松永
Shoji Kozuka
祥二 小塚
Motoo Yabuki
元央 矢吹
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、能率的に試料の分解を行ない、か
つ環境からの汚染が極めて少ない分析用試料溶液を調製
するための試料分解方法及びその装置を提供することを
目的とする。 【構成】 本願第2の発明の試料分解装置は、密閉され
る第1の容器と、この第1の容器中に収容される試料分
解用の溶媒と、この溶媒を加熱する加熱手段と、当該密
閉容器内に前記溶媒と離間して配設され、純水と該純水
中に浸される試料とを収容する第2の容器と、この第2
の容器の近傍に設けられ、前記加熱手段で加熱され溶媒
から生じた気体を冷却する冷却手段とを備えて構成され
る。また、本願第4の発明の試料分解装置は、密閉され
る容器と、この容器中に収容される試料を加熱する加熱
手段と、当該密閉容器内に該試料と離間して設けられ、
加熱手段で加熱され該試料から生じた気体を吸収する吸
収液とを備えて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体及び半導体用有
機ポリマ等の各種試料の分析の際の試料分解方法及びそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン結晶やガリウムヒ素結晶
が半導体素子基盤として使用されている。この結晶中に
ナトリウム(Na),カリウム(K),鉄(Fe)など
の不純物が存在すると、その存在量が極微量であって
も、これら結晶から形成される半導体素子の電気特性が
不安定になる等の大きな影響を与えることが知られる。
したがって、半導体素子の特性を高めるには、これら不
純物の含有量を可能な限り、低く抑える事が必要とされ
る。
【0003】このための処置をとる前提として、結晶中
の不純物の濃度を正確に分析することが不可欠になる。
【0004】従来、その分析方法としては、フレームレ
ス原子吸光分析法や誘導結合プラズマ質量分析装置(例
えば、四重極型ICP質量分析装置(セイコー電子工業
製:SPQ6500))が広く適用されている。この方
法において、従来、各種半導体材料を直接酸分解する方
法や、さらに超微量不純物含有量を測定するために図4
に示す構造の分解装置が、用いられていた。
【0005】図4において、例えばシリコン結晶を分解
する場合、結晶試料Mを50mlの超純水Wと共にテフ
ロン容器103に収納し、酸液Aとしてそれぞれ50%
弗化水素酸400mlと60%硝酸400mlとを別々
に容器109A,109Bに収納する。この酸液Aを加
熱手段(ヒータプレート)107A,107Bを作動し
て、210℃で150分間加熱し、得られた酸蒸気によ
り試料Mを分解する方法が用いられる。
【0006】また、試料としてガリウム・ヒ素結晶が用
いられる場合には、酸液として塩酸と硝酸との混合酸液
が用いられる。
【0007】一方、LSI、超LSIなどの高密度集積
回路、あるいはそれらの製造に用いるフォトマスク製造
の際のリソグラフィ工程で用いられるレジストは、微細
パターン形成に適したものが必要とされる。
【0008】すなわち、近年では、集積回路の集積度上
昇に伴い、リソグラフィ技術もより超微細なパターン加
工技術を確立する努力が払われており、前記結晶の場合
と同様にレジストの高純度化は必須条件とされる。その
ため、レジスト中の、ナトリウム(Na),カリウム
(K),鉄(Fe)および各種陰イオンなどの不純物の
含有量を可能な限り低くするための処置をとる前提とし
て、レジスト中の不純物の濃度を正確に分析し、把握す
ることが不可欠となる。
【0009】従来、その定量方法として陽イオンは、前
述のフレームレス原子吸光分析法や誘導結合プラズマ質
量分析装置、また、陰イオンはイオンクロマト法が広く
適用されている。しかし、これらの方法を適用する場
合、分析試料となる各種レジストを酸やアルカリで分解
する前処理操作が用いられている。
【0010】たとえば、図5を参照するに陰イオンの場
合、試料を水及び水酸化ナトリウムと共にニッケル製の
ルツボに収納し(ステップS1)、低温で試料と水酸化
ナトリウムをよく馴染ませた後、50〜700℃まで徐
々に温度を上昇させ、試料を炭化(ステップS3)・分
解(ステップS5)した後、水で溶解し(ステップS
7)、得られた溶液を陽イオン交換樹脂により、定量の
妨害となるナトリウムを除去し(ステップS13)、試
料溶液を調製する前処理操作が行われている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た結晶の分解に、前述したような試料溶液の調製法を用
いる場合、密閉容器内に酸蒸気が飽和するまでに大変長
い時間を要する上、分解に要する時間も長く、極めて非
効率的なものであった。
【0012】また、さらにレジストの分解に、前述した
ような試料溶液の調製法を用いる場合、分解に用いる試
薬の量及びその試薬に含まれる不純物量とも多く、また
炭化・分解に要する時間も長く、極めて非効率的なもの
であった。
【0013】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、上述した従来の分解方法及び装置による場合より
も、はるかに能率的に試料の分解を行ない、かつ周囲の
環境からの汚染が極めて少ない分析用試料溶液を調製す
るための試料分解方法及びその装置を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願第1の発明は、密閉される容器中に収容される試料
分解用の溶媒を加熱して生じる気体を冷却することで、
当該密閉容器内に前記溶媒と離間して収容される純水に
吸収させて、該純水に浸される試料を当該純水に吸収さ
れた溶媒によって分解することを要旨とする。
【0015】また、本願第2の発明は、密閉される第1
の容器と、この第1の容器中に収容される試料分解用の
溶媒と、この溶媒を加熱する加熱手段と、当該密閉容器
内に前記溶媒と離間して配設され、純水と該純水中に浸
される試料とを収容する第2の容器と、この第2の容器
の近傍に設けられ、前記加熱手段で加熱され溶媒から生
じた気体を冷却する冷却手段とを有し、冷却手段で冷却
され液化した溶媒を第2の容器内の純水に吸収させ該純
水に浸される試料を当該純水に溶け込んだ溶媒によって
分解することを要旨とする。
【0016】また、本願第3の発明は、密閉される容器
中に収容される試料を加熱し、該試料から生じた気体
を、当該密閉容器内に離間して設けられる吸収液に吸収
させ該吸収液を当該試料の分析に供することを要旨とす
る。
【0017】さらに、本願第4の発明は、密閉される容
器と、この容器中に収容される試料を加熱する加熱手段
と、当該密閉容器内に該試料と離間して設けられ、加熱
手段で加熱され該試料から生じた気体を吸収する吸収液
とを有して、該試料から生じた気体を吸収した吸収液を
当該試料の分析に供することを要旨とする。
【0018】
【作用】本願第1の発明の試料分解方法は、まず密閉さ
れる容器中に試料分解用の溶媒を収容し、この試料分解
用の溶媒を加熱する。この加熱によって溶媒が蒸発して
生じる気体を冷却して、再度液化した溶媒を当該密閉容
器内に前記溶媒と離間して収容される純水に効率良く吸
収させて純度の極めて高い溶媒を得る。また、該純水に
は試料が浸されていることから、該試料は当該純水に吸
収された溶媒によって分解されることになる。
【0019】本願第2の発明の試料分解装置は、密閉さ
れる第1の容器中に収容される試料分解用の溶媒を加熱
手段で加熱し、該溶媒の蒸気を得る。この蒸気は第2の
容器の近傍に設けられる冷却手段によって冷却され、第
2の容器に収容される純水に効率良く吸収され、該純水
を純度の極めて高い溶媒とする。これにより前記純水中
に浸されていた試料を当該純水に溶け込んだ溶媒によっ
て精度良く分解することができる。
【0020】本願第3の発明の装置試料分解方法は、ま
ず密閉される容器中に試料を収容し、この収容される試
料を加熱して生じる気体、すなわち当該試料を構成する
成分の蒸気を得る。次に、この蒸気を当該密閉容器内に
離間して設けられる吸収液に吸収させて、当該試料を含
む吸収液を得る。この吸収液は試料の成分のみを高純度
で含むことから当該試料の分析に最適である。
【0021】本願第4の発明の試料分解装置は、密閉さ
れる容器中に収容される試料を加熱手段で加熱し、該試
料を構成する成分の気体を得る。この気体を当該密閉容
器内に該試料と離間して設けられる吸収液に吸収させ
て、当該試料を含む吸収液を得る。この吸収液は試料の
成分のみを高純度で含むことから当該試料の分析に最適
である。
【0022】
【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面を参照し
て説明する。図1は本願第1及び第2の発明に係る試料
分解装置の構成を示したブロック図である。
【0023】図1において、密閉容器1は試料分解用の
溶媒としての酸液を収容する容器であり、少なくとも当
該密閉容器1の外部からの気体等の侵入を阻止し得る構
造に構成される。また、この密閉容器1を構成する材質
としては、この密閉容器1中で試料の分解が行われるこ
とから、貯蔵される各種酸蒸気などに浸蝕されず、また
ある程度は耐熱性を有する材質であれば良く、とくに半
導体結晶の分解の場合には酸液Aとして弗化水素酸など
が用いられるので、例えば、テフロンなどが好適であ
る。なお、密閉容器1に収容する酸液Aは試料Mの種類
によって、任意に選択される。
【0024】密閉容器1の上部に配設される収納容器3
は、図2に示すように、当該容器内に前記酸液Aの蒸気
を吸収させ高純度の酸液を得るための純水Wと、この純
水W中に浸漬され分解すべき試料Mとを収容するための
容器である。この収納容器3の周囲側壁の上方には複数
の通気孔3aが設けられると共に、底部には上方に凸で
ある凸部3bが設けられる。通気孔3aは後述する酸蒸
気を収納容器3の内部に導くための孔であり、凸部3b
は該凸部3bの頂部に載置される試料Mの純水Wに対す
る接触面積を拡大するためのものである。
【0025】また、収納容器3の外側壁面の通気孔3a
の周囲には冷却手段としての冷却管5が配設され、この
冷却管5内を冷却用媒体が配管5a、5bを介して外部
の冷却機から供給される。この冷却管5は収納容器3内
部の適宜の位置に配設するようにしてもかまわない。な
お、これら収納容器3及び冷却管5は、密閉容器1の場
合と同様な性状が必要とされることから、例えばテフロ
ン加工が施される。また、冷却手段としては、冷却用媒
体を介在させるもののほか、ペルチエ効果を用いて直接
的に冷却するようにしたものであっても良い。
【0026】また、この収納容器3に収納される純水W
としては、脱イオン水,蒸留水など、不純物を除去して
得た精製水が好適である。
【0027】加熱手段7は、密閉容器1内の酸液Aを加
熱し蒸発させて酸蒸気を発生させるために配設される。
この加熱手段7における加熱方法は、電気抵抗加熱など
が採用され、その種類は問わない。また、この加熱手段
7は、酸蒸気による汚染及び腐食を防止する観点から密
閉容器1の外部に配設されることが好ましい。
【0028】次に、上述した試料分解装置を用いた試料
分解手順を説明する。図1において、蓋体1aを外し、
密閉容器1内に酸液Aを注入する。この酸液Aの注入量
は、収納容器3を密閉容器1にセットして加熱した際
に、酸液Aが容易にかつ直接、収納容器3、通気孔3a
及び冷却管5に到達しない量に設定される。
【0029】続いて、収納容器3を密閉容器1の上部に
セットした後、収納容器3内に純水Wと、この純水W中
に試料Mとを収容し、さらに蓋体1aを該密閉容器1が
完全に密閉されるように装着する。このとき純水Wの量
は試料Mが完全に純水Wに没し、かつ通気孔3aの高さ
より十分下方となるように設定される。
【0030】次に、加熱手段7によって密閉容器1の底
部を加熱し、密閉容器1内の酸液Aを加熱する。加熱さ
れた酸液Aは蒸発し、酸蒸気となって図1に示す矢印の
ように移動して、上部に配設される収納容器3の通気孔
3aから収納容器3内部に侵入する。収納容器3内部は
冷却管5により強制冷却されていることから、酸蒸気が
収納容器3の純水Wに吸収され高純度な酸液に復元す
る。このとき蒸発に際しては、酸液A中の不純物は気圧
の関係で蒸発しないので、得られた酸蒸気の純度は極め
て高いものとなる。
【0031】これにより、試料Mはこの高純度酸液Aに
よって分解され、全体として外部汚染のない試料溶液を
得ることが出来る。
【0032】なお、以上の説明は試料Mが半導体結晶で
ある場合を主眼にして行なったが、この装置および方法
はこれに限定されるものではなく、各種の試料とそれを
分解する能力を有する酸液とを組み合わせたいかなる場
合であっても適用できることは、その原理からして極め
て明瞭である。
【0033】次に具体例を参照して本実施例を具体的に
説明する。
【0034】実施例1 この実施例1においては、試料として比抵抗1.2Ωc
m、厚み436umのリンドープシリコンウエハを用意
した。このリンドープシリコンウエハを1g程度の大き
さの断片としたものを、超純水5mlとともに収納容器
3に収納し、酸液としてそれぞれ50%フッ化水素酸2
00mlと60%硝酸100mlをそれぞれ密閉容器1
に収納した。なお、各容器はいずれもテフロン製であ
り、また密閉容器1の容積は1,000〜1,500c
3 程度の大きさであった。加熱手段(ヒータプレー
ト)を作動して、各酸液を210℃で60分間加熱し、
更に冷却管6により収納容器2を20〜30℃に冷却し
たところ、ウエハの溶解が確認された。
【0035】上記分解処理により得られた試料溶液をフ
レームレス原子吸光装置にかけてNa,K,Fe,Cr
の分析を行なった。測定条件は以下の通りである。
【0036】乾燥:120℃で30秒。
【0037】灰化:Naは600℃,Kは700℃,F
eとCrは1000℃でそれぞれ30秒間。
【0038】原子化:Naは2500℃,Kは2700
℃,FeとCrは2800℃でそれぞれ8秒間。キャリ
アガス:アルゴンで300ml/分、ただし原子化の時
は通流しない。
【0039】測定波長:Naは589.0nm,Kは7
66.5nm,Feは248.3nm,Crは359.
4nm。
【0040】妨害吸収補正用光源:Na,Kのときは、
ハロゲンタングステンランプ、Fe,Crのときは重水
素ランプを使用。
【0041】以上の結果、Na:0.3ppb,K:
0.1ppb,Fe:0.1ppb,Cr:0.3pp
bであった。
【0042】比較例1 次に、実施例1に対する比較のための測定を、実施例1
で用いたシリコンウエハを用いて行った。50%フッ化
水素酸10mlと60%硝酸5ml、96%硫酸0.1
mlおよび純水1mlからなる混酸に、前記シリコンウ
エハを浸漬し、これを約50℃で20分間かけて分解し
た。この分解で得られた溶液を約160℃で120分間
加熱して蒸発乾固した後、純水で5mlに希釈した。
【0043】実施例1と同一の測定条件で分析したとこ
ろ、Na,Kは分析できたが、1ppb以下のFeやC
rは分析できなかった。
【0044】実施例2 この実施例2においては、シリコンウエハが比抵抗2.
3Ωcm、厚み230umのホウ素をドープしたもので
あったこと、酸液の加熱時間が45分間であったことを
除いては、実施例1と同様にして試料溶液を調製し、同
一の測定条件でフレームレス原子吸光分析を行なった。
【0045】Na:0.2ppb,K:0.1ppb,
Fe:0.07ppb,Cr:0.05ppbの結果が
得られた。
【0046】比較例2 図4に示した装置を用いて、実施例1で用いたシリコン
ウエハを密閉可能な容器101内に配置される容器10
3内に収納し、50%フッ化水素酸400mlと60%
硝酸400mlを選び、それぞれを別々に容器109
A,109Bに収納した。このとき、容器101の空間
体積は約8500cm3 であった。
【0047】分解した試料Mを、実施例1と同一の測定
条件でフレームレス原子吸光分析を行なった。
【0048】Na:0.2ppb,K:0.1ppbは
検出されたが、0.1ppb以下のFe,Crは検出さ
れなかった。また、分解時間も150分間と実施例1、
2と比較して、非常に長かった。
【0049】上述した実施例1、2から明らかなよう
に、本実施例によれば、従来と比較して微量不純物元素
が10倍以上の高感度で、また分解時間も1/2以下と
著しく高能率で試料の分解を行なうことができる。
【0050】次に、図3の試料分解装置の構成を示した
ブロック図を参照して本願第3及び第4の発明について
説明する。
【0051】図3において、試料貯蔵容器21は底部に
試料Mとして半導体用フォトレジストが収容される容器
であって、蓋体21aによって少なくとも当該密閉容器
1の外部からの気体等の侵入を阻止し得る構造に構成さ
れる。この試料貯蔵容器21中で試料Mの分解と同時に
陰イオンの蒸発・揮発が行われる。
【0052】試料貯蔵容器21を構成する材質として
は、前述の陰イオン蒸気などに腐食されず、またある程
度耐熱性を有する材質が適宜選択され、とくに半導体用
フォトレジストの分解の場合には、例えば合成石英など
が好適である。
【0053】吸収液収納容器23は、試料Mから蒸発し
た陰イオンを吸収するアルカリ溶液Aを収納するための
容器である。この吸収液収納容器23の周囲側壁の上方
には複数の通気孔23aが設けられる。この通気孔23
aは後述するイオン蒸気を吸収液収納容器23の内部に
導くための孔であり、該通気孔23aの周囲には冷却手
段としての冷却管25が配設され、この冷却管25内を
冷却用媒体が外部の冷却機から供給される。なお、冷却
管25は吸収液収納容器23内部の適宜の位置に配設す
るようにしてもかまわない。また、冷却手段としては、
上記のように冷却用媒体を介在させるもののほか、ペル
チエ効果を用いて直接的に冷却するようにしたものであ
っても良い。
【0054】吸収液収納容器23及び冷却管25の材質
には、耐アルカリ性の材質のものが適宜選択されるが、
陰イオンの溶出の少ないテフロン製のものが好ましい。
【0055】また、アルカリ溶液Aは、陰イオンを吸収
できるアルカリ溶液であれば何であっても良いが、比較
的高純度が得られる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
及び水酸化テトラメチルアンモニウム溶液が好ましい。
これら溶液の濃度も従来の分解に使用されるような高濃
度の溶液を用いる必要はなく、微量の陰イオンを吸収で
き、かつ直接装置で測定できる濃度であればよい。
【0056】加熱手段7は貯蔵容器の加熱するためのも
のである。これは吸収液収納容器23内の試料中の陰イ
オンを蒸発・揮発させて蒸気を発生させるために配設さ
れる。電気抵抗加熱などその加熱手段の種類は問わな
い。これら加熱手段7は、汚染防止の観点から試料貯蔵
容器21の外部に配設されることが好ましい。
【0057】次に、上述した試料分解装置を用いた試料
分解手順を説明する。図1において、蓋体21aを外
し、試料貯蔵容器21内に試料Mとしての半導体用フォ
トレジストを注入する。続いて、収納容器23を試料貯
蔵容器21の上部にセットした後、収納容器23内にア
ルカリ容液Aを収容し、さらに蓋体21aを該試料貯蔵
容器21が完全に密閉されるように装着する。
【0058】次に、加熱手段27によって試料貯蔵容器
21の底部を加熱し、試料貯蔵容器21内の半導体用フ
ォトレジストMを加熱する。半導体用フォトレジストM
中に含まれる陰イオンは加熱によって蒸発し、陰イオン
蒸気が矢印のように移動して、通気孔23aから吸収液
収納容器23内部に侵入し、冷却管25により強制冷却
され、アルカリ容液Aに吸収され溶液に復元する。かく
して、陰イオン試料は試薬を用いずに分解され、全体と
して外部汚染のない試料溶液が得られる。
【0059】なお、以上の説明は試料が半導体用フォト
レジストである場合を主眼にして行なったが、この装置
および方法はこれに限定されるものではなく、各種の試
料に適用できることは、その原理からして極めて明瞭で
ある。
【0060】次に、本発明の実施例を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何等制約され
るものではない。
【0061】実施例3 この実施例3においては、試料Mとして半導体用ポジ型
レジストを用意した。この半導体用ポジ型レジスト10
gを試料貯蔵容器21に収納し、吸収液収納容器23に
は、1%NaOH溶液を収納した。なお、試料貯蔵容器
21は合成石英製、吸収液収納容器23はテフロン製で
あった。加熱手段(ヒータプレート)7を作動して、試
料Mを400℃で1時間加熱して、レジストの分解が確
認された。この分解で得られた試料溶液をイオンクロマ
ト装置にかけてF,Cl,Brの分析を行なった。
【0062】以上の結果、F:5ppb,Cl:2pp
b,Br:2ppbであった。分解から測定までに要し
た時間は、約2時間であった。
【0063】比較例3 次に、実施例3に対する比較のための測定を行った。こ
の比較例3では、50%水酸化ナトリウム2mlに、実
施例3で用いた半導体用ポジ型レジストを浸漬し、これ
を約50℃〜700℃までを徐々に温度を上昇させ、4
時間かけて分解した。放冷後、これに水10mlを加
え、約100℃で30分間加熱して溶解した後、純水で
一定量に希釈した。この溶液を遠心分離した後、一部を
取り、陽イオン交換樹脂でナトリウムを除去した。調製
した試料を実施例3と同一の測定条件で分析した。
【0064】以上の結果、F:50ppb以下,Cl:
200ppb,Br:50ppb以下であった。分解か
ら測定までに要した時間は、約8時間であった。
【0065】実施例4 この実施例4においては、ポジ型レジストがポリビニル
フェノール樹脂であったことを除いては、実施例3と同
様にして試料溶液を調製し、同一の測定条件でイオンク
ロマト分析を行なった。
【0066】以上の結果、F:36ppb,Cl:51
4ppb,Br:82ppbであった。分解から測定ま
でに要した時間は、約3時間であった。
【0067】比較例4 同様に、実施例4で用いたポジ型レジストを用い、比較
例3と同一の条件で試料を分解し、測定を行なった。
【0068】以上の結果、F:50ppb以下,Cl:
500ppb,Br:100ppb以下であった。分解
から測定までに要した時間は、約10時間であった。
【0069】上述してきたように、本願第3、第4の発
明によれば、微量不純物元素が試薬を必要とすることな
く、10倍以上の高感度で、また分解時間も1/5以下
と著しく高能率で試料の調製を行なうことができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本願第1、第2の発
明によれば、微量不純物元素を高感度、かつ短い分解時
間で試料の分解を行なうことができる。
【0071】また、さらに本願第3、第4の発明によれ
ば、微量不純物元素を試薬を必要とすることなく、高感
度かつ短い分解時間で試料の調製を行なうことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1、第2の発明に係る試料分解装置の一
実施例の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す収納容器の構成を示す概略図であ
る。
【図3】本願第3、第4の発明に係る試料分解装置の一
実施例の構成を示す概略図である。
【図4】従来の試料分解装置の概略図である。
【図5】従来の試料分解方法のスキーム図である。
【符号の説明】
1 酸液貯蔵容器 3 収納容器 3a 通気孔 3b 凸部 5 冷却管 7 加熱手段 21 試料貯蔵容器 23 吸収液収納容器 23a 通気孔 25 冷却管 27 加熱手段 A アルカリ溶液 M 試料 W 純水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小塚 祥二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝総合研究所内 (72)発明者 矢吹 元央 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉される容器中に収容される試料分解
    用の溶媒を加熱して生じる気体を冷却することで、当該
    密閉容器内に前記溶媒と離間して収容される純水に吸収
    させて、該純水に浸される試料を当該純水に吸収された
    溶媒によって分解することを特徴とする試料分解方法。
  2. 【請求項2】 密閉される第1の容器と、 この第1の容器中に収容される試料分解用の溶媒と、 この溶媒を加熱する加熱手段と、 当該密閉容器内に前記溶媒と離間して配設され、純水と
    該純水中に浸される試料とを収容する第2の容器と、 この第2の容器の近傍に設けられ、前記加熱手段で加熱
    され溶媒から生じた気体を冷却する冷却手段とを有し、
    冷却手段で冷却され液化した溶媒を第2の容器内の純水
    に吸収させ該純水に浸される試料を当該純水に溶け込ん
    だ溶媒によって分解することを特徴とする試料分解装
    置。
  3. 【請求項3】 密閉される容器中に収容される試料を加
    熱し、該試料から生じた気体を、当該密閉容器内に離間
    して設けられる吸収液に吸収させ該吸収液を当該試料の
    分析に供することを特徴とする試料分解方法。
  4. 【請求項4】 密閉される容器と、 この容器中に収容される試料を加熱する加熱手段と、 当該密閉容器内に該試料と離間して設けられ、加熱手段
    で加熱され該試料から生じた気体を吸収する吸収液とを
    有して、該試料から生じた気体を吸収した吸収液を当該
    試料の分析に供することを特徴とする試料分解方法。
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