JPH0615867U - 溶鋼取鍋敷の補修部の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 補修部が使用途中において剥離することを防
止して、溶鋼取鍋敷の補修部の耐久性を向上させる。 【構成】 補修すべき敷部の少なくとも一部に下広がり
の形状を有する耐火物ブロック８を敷くとともに、その
他の部分には残存不定形耐火物６にアンカー９を打ち込
みその上から補修用流し込み耐火材６ａを施工する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、溶鋼の運搬容器、溶鋼処理時及び鋳造時の保持容器などとして用 いられる溶鋼取鍋の敷部の補修部の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の溶鋼取鍋は、例えば、図４に示すような構造を備えており、平面形状が 円形で上広がりの形状を有している。鉄皮１の内周上部のスラグライン附近には ジルコンレンガ２が張られ、その下側には、キャスタブル耐火物などの不定形耐 火物３が施工されている。さらに、敷部（底部）４には、図４及び図５に示すよ うに、溶鋼を注ぎ入れるときにその溶鋼が当たる部分に湯当りブロック５が敷か れ、かつその他の部分には、例えば、キャスタブル耐火物などの不定形耐火物６ が施工されている。さらに、敷部４には溶鋼を所定の供給対象に供給するための 供給口となる羽口７が形成されている。

【０００３】 このように構成された溶鋼取鍋においては、繰返して使用することにより、図 ６に示すように、敷部４の湯当りブロック５及び不定形耐火物６が損耗する。そ して、このように敷部４が損耗した場合、図７に示すように、継ぎ足し補修を行 なう。すなわち、従来においては、損耗した湯当りブロック５（図６）を新たな 湯当りブロック５ａに積み替えるとともに、損耗した不定形耐火物（残存不定形 耐火物）６の上にキャスタブル耐火物などの補修用流し込み耐火材６ａを、例え ば、施工厚み５０mm〜１５０mmで流し込むことにより、敷部４の継ぎ足し補修を 行なっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の補修方法により補修された溶鋼取鍋の敷部は、新しく施工 した補修用流し込み耐火材６ａの厚みが小さく、かつ従来からの残存不定形耐火 物６との結合強度が小さいため、使用途中（約５０〜６０回の使用）で補修用流 し込み耐火材６ａが剥離してしまい、耐久性が必ずしも十分ではないという問題 点がある。

【０００５】 この考案は、上記の問題点を解決するものであり、補修部分が使用途中で剥離 することのない、耐久性に優れた溶鋼取鍋敷の補修部の構造を提供することを目 的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案の溶鋼取鍋敷の補修部の構造は、受鋼 時に溶鋼が当る部分に耐火物ブロックを敷き、その他の部分には不定形耐火物を 施工して敷部を形成した溶鋼取鍋の該敷部の補修部の構造であって、補修すべき 敷部の少なくとも一部に下広がりの形状を有する耐火物ブロックを敷くとともに 、その他の部分には残存不定形耐火物にアンカーを打ち込みその上から補修用流 し込み耐火材を施工したことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

残存不定形耐火物に打込まれたアンカーが、補修用流し込み耐火材を残存不定 形耐火物に確実に結合させて補修用流し込み耐火材の剥離を防止するとともに、 耐火物ブロックは下広がりの形状を有し、周囲の不定形耐火物中に埋設されて該 流し込み耐火物により確実に保持されるため、使用中に浮上したり、溶鋼取鍋を 傾けた場合に脱落したりすることがないため、補修部分の強度が増大し耐久性が 向上する。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図に基づいて説明する。図１は、この考案の一実施 例にかかる溶鋼取鍋の補修部の構造を示す図である。なお、この実施例の溶鋼取 鍋の構造及びその敷部の損耗状態は、従来例の説明に用いた図４に示す溶鋼取鍋 の構造及び図６に示す敷部の損耗状態と同様であり、ここではその説明を省略す る。

【０００９】 使用により損傷摩耗して図６に示すような状態になった溶鋼取鍋の敷部４を補 修する場合、まず湯当りブロック５（図６）を新たな湯当りブロック５ａ（図１ ）に積み替える。それから、残存不定形耐火物６の損耗のひどい部分に、プレキ ャストブロックやあるいは大型耐火れんがなどからなる、抜け落ち防止のために 下広がりの形状（図３）を有する耐火物ブロック８をモルタルもしくは軟質プラ スチック耐火物１０により接着させる。

【００１０】 そして、耐火物ブロック８が敷かれていない部分の残存不定形耐火物６にアン カー９を打ち込んだ後、補修用流し込み耐火材（キャスタブル耐火物）６ａを流 し込んで施工し硬化させる。

【００１１】 このようにして補修が行なわれた溶鋼取鍋（図１）は、敷部４の補修部が十分 な補修強度を有し、使用途中で補修部が剥離することなく、敷部の寿命の限界で ある湯当りブロック５ａの寿命（８０回〜１００回の使用）まで特に問題を生じ ることなく使用することができた。

【００１２】 上記実施例で用いた耐火物ブロック８としては、プレキャストブロックや大型 耐火れんがなどから好ましいものを選択して用いることができる他、これら併用 することも可能である。

【００１３】 上記実施例では、補修用流し込み耐火材６ａとしてキャスタブル耐火物を用い た場合について説明したが、場合によっては、流し込み耐火材６ａとしてその他 の不定形耐火物を用いることが可能である。

【００１４】 さらに、補修用流し込み耐火材６ａは残存不定形耐火物６と同一または同種の 耐火材であってもよく、異なる耐火材であってもよい。 なお、上記耐火物ブロック８の形状には特に制約はないが、作業性などを考慮 すれば、厚みが約８０〜３００mm（通常は２００mm）、長さ及び幅が約３００mm 〜１６００mmの範囲内にあることが好ましい。また、図３に示すような下広がり の形状の耐火物ブロック８を用いる場合、耐火物ブロックが周りの補修用流し込 み耐火材６ａから抜け落ちないようにする見地から、側面８ａの垂線Ａに対する 角度θは約５〜３０度の範囲にあることが好ましい。

【００１５】 なお、上記実施例では使用した耐火物ブロック８の数が２つである場合につい て説明したが、敷部の補修にあたって用いるべき耐火物ブロック８の数及びその 配設位置は、上記実施例によって制約されるものではなく、敷部の損耗状態に応 じて任意に選択、決定することができる。

【００１６】

【考案の効果】

上述のように、この考案の溶鋼取鍋敷の補修部の構造は、補修すべき敷部の損 耗部分の少なくとも一部に下広がりの形状を有する耐火物ブロックを敷き、その 他の部分には残存不定形耐火物にアンカーを打ち込みその上から補修用流し込み 耐火材を流し込むように構成しているので、補修用流し込み耐火材の剥離を確実 に防止できるとともに、耐火物ブロックが周囲の補修用流し込み耐火材により確 実に保持されるため、補修部分全体としての強度が増大し、耐久性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例にかかる溶鋼取鍋敷の補修
部の構造を示す断面図である。

【図２】補修した溶鋼取鍋の敷部を示す平面図である。

【図３】実施例において用いられている耐火物ブロック
を示す斜視図である。

【図４】溶鋼取鍋の損耗前の状態を示す断面図である。

【図５】損耗前の溶鋼取鍋の敷部を示す平面図である。

【図６】溶鋼取鍋敷の損耗状態を示す断面図である。

【図７】従来の溶鋼取鍋の補修部の構造を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

５，５ａ 湯当り部ブロック ６ 不定形耐火物 ６ａ 補修用流し込み耐火材 ８ 耐火物ブロック ９ アンカー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 金谷 利雄 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)考案者 本町 勉 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 受鋼時に溶鋼が当る部分に耐火物ブロッ
   クを敷き、その他の部分には不定形耐火物を施工して敷
   部を形成した溶鋼取鍋の該敷部の補修部の構造であっ
   て、補修すべき敷部の少なくとも一部に下広がりの形状
   を有する耐火物ブロックを敷くとともに、その他の部分
   には残存不定形耐火物にアンカーを打ち込みその上から
   補修用流し込み耐火材を施工したことを特徴とする溶鋼
   取鍋敷の補修部の構造。