JPH028597Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は製鉄業等で使用する取鍋特に炉外精
錬炉の敷コーナー部即ち底面外周部におけるスタ
ンプ材及びれんがの損傷防止構造に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

取鍋等溶融金属容器においては側壁内張り耐火
れんが（以下単に「側壁れんが」という）と敷即
ち底部の内張り耐火れんが（以下単に「敷れん
が」という）との接触面即ちコーナー部が、その
使用形態から最も溶損が激しいので、この部位の
構造および施工法について従来多くの改良がなさ
れてきた。

第４図は取鍋における従来の敷コーナー部の構
造を示す縦断面図であり、図において１は側壁れ
んが、２は敷れんが、３は敷外周部れんが、４は
側壁れんがと敷れんがが接触するコーナー部であ
り、５はコーナー部４に充填した耐溶損性のスタ
ンプ材である。

また第５図、第６図、第７図はそれぞれ特公昭
61−54508号公報、特公昭61−54509号公報、実公
昭61−38760号公報に示された従来の取鍋敷コー
ナー部を示す縦断面図であり。第５図は側壁内張
り不定形耐火物６と敷の外周部れんが３との間の
コーナー部４とその上方に不定形耐火物を流し込
んで保護壁７を立設させた構造である。

第６図は側壁内張り不定形耐火物６と敷れんが
２の端部との間に広い間隙部８を設けて、側壁内
張り６の下部が、間隙部８と前記敷れんが２の端
部を覆い、かつ取鍋の中心方向へ向けて突出する
ように不定形耐火物の流し込み施工をした構造で
ある。

また第７図は敷れんが２を側壁内張り不定形耐
火物６の下部まで延設し、両者の接触面コーナー
部を耐火物からなる保護壁９で覆う構造となつて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のような従来の敷コーナー部の構造では、
例えば第４図に示す構造では、実使用前の鍋返し
の時点でコーナー部に充填したスタンプ材５が脱
落し易く、また敷れんが２がスタンプ材５に至る
まで平面であるため、溶鋼流の衝撃によつてスタ
ンプ材は脱離浮上と溶損が進行し易いため、第８
図の破線で示すようにコーナー部スタンプ材５が
急速に下部まで溶損する。

また第５図のような構造においては、不定形耐
火物からなる保護壁７を流し込むための特別の型
枠を必要とし、さらに保護壁７が側壁から脱離浮
上し易いので使用によるコーナー部の溶損状態は
第８図に示すものと大差はない。

また第６図に示す構造では、側壁内張りの下部
を厚くしているために従来の施工用型枠は使用で
きずまたコーナー部の溶損度も第４図、第５図に
示した構造のものと大差はないという欠点があつ
た。

さらに第７図に示すものは、使用後短期間で側
壁内張り６と保護壁９との間に間隙が生じ易く、
このため保護壁９が離脱浮上して流出してしま
い、また保護壁９と敷れんが２との水平目地に取
鍋内の溶鋼が浸透しコーナー部が溶損して耐用性
が低下するという問題点があつた。

この考案は、上記したような問題点を解決する
ためになされたもので、取鍋敷コーナー部に充填
したスタンプ材が取鍋操業中に浮上することな
く、またその溶損の進行を遅らせて取鍋の耐用性
を向上できるコーナー部の構造を得ることを目的
とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案に係る取鍋敷コーナー部の構造は、敷
の外周部れんがを１つ置き、もしくは２つ置きに
長尺れんがを立設したものとし、この長尺れんが
は敷れんがより30〜80mm背高であつて、これを取
鍋の中心方向に向けて傾斜して充填したスタンプ
材で覆い埋設したものである。

〔作用〕

この考案においては敷の外周部において長尺れ
んがが凸状に突出立設し、かつスタンプ材で埋設
されているので、敷れんがの外周部への溶損の進
行を抑制し、かつ溶鋼の平目地浸透が少なくコー
ナー部スタンプ材の溶損も抑制される。また長尺
れんががアンカーれんがの機能をするのでスタン
プ材の脱落および溶鋼流の直撃による溶損および
剥離浮上を防止する。

〔実施例〕

第１図はこの考案の一実施例を示す取鍋の湯当
り側の縦断面図であり、側壁れんが１と敷れんが
２は従来の構造である。１０は敷れんがの外周部
に立設した長尺れんがで、この実施例では敷れん
がおよび敷外周部れんがより50mm長尺となつてお
り、第２図の斜視図で示すように敷外周部れんが
３の１つ置きに立設している。なお長尺れんが１
０と側壁れんが１との間に適宜の空隙部１１があ
りコーナー部４を形成している。なお第２図はス
タンプ材の充填前を示すものである。

再び第１図において１２は、長尺れんが１０、
空隙部１１およびコーナー部４を覆い取鍋の中心
方向に向けて傾斜して充填したスタンプ材であ
り、施工後の状態を第３図の斜視図に示す。

敷れんがおよび敷外周部れんがとの高さの差
は、30mm以下ではアンカーの効果が少いので耐離
脱性および耐溶損性が低下する。また80mmを超え
ると、スタンプ材の施工作業性及びスタンプ材の
増量使用によるロス、異形れんがの手配に伴う形
状・種類の増加等によつてれんがの製造及び施工
作業面で能率低下をきたす。

また長尺れんがを敷外周部に連続して立設する
と従来構造と同様の問題点が残る。逆に３つ置き
のように相互の間隔が離れすぎると従来構造に近
似することによつて同様の問題点が残るので１〜
２個置きが望ましい。

なお第１図において、破線は取鍋を30回操業し
た結果、敷れんが、長尺れんが、側壁れんがの溶
損状態を示すものであり、敷コーナー部における
スタンプ材の溶損が従来の構造にくらべて極めて
少いという結果を得た。

また長尺れんがは施工するスタンプ材に対して
アンカーれんがの効果が得られるので、スタンプ
材は操業終期まで離脱することは全くなかつた。

なお上記説明は、この考案を一般取鍋に利用す
る場合について述べたが、操業条件のより厳しい
炉外精錬炉に適用できることはいうまでもない。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明したとおり、敷外周部に長
尺れんがを突出立設させてスタンプ材で覆うこと
によつて、敷れんがの溶損がスタンプ材に進行す
るのを抑制し、またスタンプ材の離脱浮上を防止
し、最も溶損の激しい敷コーナー部の損傷を大幅
に減少させることによつて取鍋等の耐用性の向上
を図れるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例および使用後の溶
損状態を示す縦断面図、第２図は第１図のスタン
プ施工前の斜視図、第３図は第１図の斜視図、第
４図は従来例を示す説明図、第５図乃至第７図は
従来の敷コーナー部の構造を示す取鍋の縦断面
図、第８図は第４図の敷コーナー部の拡大図およ
び取鍋使用後の溶損状態を示す縦断面図である。 図において、１は側壁れんが、２は敷れんが、
３は敷外周部れんが、４は敷コーナー部、５はス
タンプ材、１０は長尺れんが、１１は長尺れんが
と側壁れんがとの空隙部、１２は長尺れんがを覆
うスタンプ材である。なお各図中同一符号は同一
または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 取鍋敷内張り構造において、敷外周部れんがの
   一つ置きもしくは２つ置きに敷れんがより30〜80
   mm背高の長尺れんがを立設し、この長尺れんがを
   取鍋の中心方向に向けて傾斜して充填したスタン
   プ材で埋設したことを特長とする取鍋敷コーナー
   部の構造。