JPH06151140A - 磁気記録用磁性粉、その製造方法、およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録用磁性粉、その製造方法、およびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH06151140A
JPH06151140A JP4293231A JP29323192A JPH06151140A JP H06151140 A JPH06151140 A JP H06151140A JP 4293231 A JP4293231 A JP 4293231A JP 29323192 A JP29323192 A JP 29323192A JP H06151140 A JPH06151140 A JP H06151140A
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magnetic
magnetic powder
powder
particle
less
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JP4293231A
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English (en)
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Mitsuru Furuichi
満 古市
Taiichi Kishimoto
泰一 岸本
Toshihiko Oguchi
寿彦 小口
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性層中に高度に分散させることが可能な、
高密度の磁気記録に適した超微粒の磁性粉とその製造方
法、およびそれを用いた磁気記録媒体を提供する。 【構成】 磁性粉は、磁性粉の粒子表面に、粒径が実質
的に1nm以下のSiO2 粒子が均一な分布で付着する
ことにより、層厚が1nm以下のSiO2 層が形成され
ていることを特徴としている。製造にあたっては、磁性
粉を、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘ
キサメチルジシラザン、ペンタデカフルオロデシルトリ
メトキシシラン、あるいはオクタデシルトリエトキシシ
ランなどの特定の有機けい素化合物と反応させ、次いで
酸化雰囲気において加熱する。原料磁性粉としては、粒
径0.15μm以下の針状粉、あるいは粒径0.05μ
m以下の六方晶系フェライト粉などが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散性にすぐれた超微
粒の磁気記録用磁性粉、および、その製造方法に関す
る。さらにはそのような磁性粉を用いて作製される高密
度記録に適した磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルワードプロセッサ、パ
ーソナルコンピュータあるいはホームビデオなどの電子
機器の普及に伴い、フロッピーディスクあるいはビデオ
テープなどの磁気記録媒体が、大量の情報を記録する記
録媒体として多用されるようになっている。なかでも、
塗布型の磁気記録媒体が量産性にすぐれていることか
ら、市場の大半を占めている。
【0003】この塗布型の磁気記録媒体を製造するにあ
たっては、従来より、ポリエステルフィルムなどの基体
上にγ−Fe2 3 、CrO2 、Co−γ−Fe2 3
や鉄粉などの磁性粉を、樹脂バインダとともに塗布する
ことが行われている。この樹脂バインダは、磁性粉の分
散性および媒体の走行性を確保するために添加されてお
り、通常、その添加量は磁性粉100重量部に対して1
0重量部よりも大きいことが必要とされている。
【0004】ところで、近年では取り扱う情報量の増大
に伴って、磁気記録媒体に対する高密度記録化への要求
にが高まっている。このような要求に対しては、磁性粉
の配向性を向上させること、あるいは線記録密度を向上
させることにより応えることができる。そして、このよ
うな高密度記録特性を十分に発揮させるために、塗布型
磁気記録媒体においては、磁性粉を一次粒子に近い状態
まで分散させ、それにより配向率の向上を図り、磁性層
の表面粗さを可能な限り小さくすることが必要である。
【0005】さらに媒体の記録再生出力の向上をはかる
ためには樹脂バインダ中における、磁性粉粒子の体積比
率をできるだけ大きくすること、すなわち、磁性粉粒子
の樹脂バインダ中における充填率をできるだけ高めるこ
とが要求されている。
【0006】しかしながら、通常、超微粒子状の粉体を
分散媒中に高度に分散させることは非常に難しい。した
がって、磁気的な凝集力がさらに加わった超微粒子状の
磁性粉を樹脂バインダ中へ分散させるに際しては、大き
な困難が存在している。樹脂バインダ中の磁性粉の分散
状態が良好でない場合には、形成された磁性層の平滑性
が損なわれ磁性粉の充填率が低下するばかりか、磁性塗
料塗布後の磁場配向工程において、形成された磁性層中
の磁性粉の配向率が低下してしまう。その結果、作製さ
れた磁気記録媒体においては、記録再生時の出力が低下
し、さらに、ノイズが大きくなるなどの不都合が生起し
ていた。
【0007】さらに、磁気記録媒体の高記録密度化およ
び高出力化を目指して、超微粒子状の磁性粉を磁性層中
に高密度に充填させようとする場合には、磁性塗料中の
固形分が増加するため塗料粘度が上昇して、塗料の平坦
化性が低下するという塗布技術上の問題もあった。すな
わち、そのように固形分の多い磁性塗料を使用した場合
には、形成された磁性層塗膜が平滑性を失い表面荒れを
生じ易い。したがって、これもまた作製された磁気記録
媒体の再生出力やS/N比などの電磁気変換特性を劣化
させる原因の一つになっていた。塗料粘度がさらに高く
なった場合には、塗料の塗布自体が不可能になることす
らあった。
【0008】このような塗布技術上の好ましくない事態
を避けるため、また、形成された塗膜の耐久性を向上さ
せるためには、磁性塗料に用いられる樹脂バインダや硬
化剤などの含有量を増加させることが有効ではある。し
かしながらこのような非磁性材料の増量は、磁性層中の
磁性粉充填率の低下を意味するため、作製された磁気記
録媒体の再生出力低下をもたらす結果となり、あまり好
ましいものではない。したがって、塗膜の耐久性を向上
させる手段としての非磁性材料の増量には限界があり、
非磁性材料の増量のみで十分な耐久性を有する塗膜を得
ることは不可能であった。
【0009】すなわち現在のところでは、高密度記録化
の要求に対して使用される超微粒磁性粉の分散技術が十
分に確立されているとはいえない。そのために、塗膜の
平滑性や走行耐久性、さらには磁性層中での磁性粉の充
填率の向上も十分なものとはいい難い。しかも、磁性粉
の分散性の不良に起因する記録再生特性面上の新たな不
都合も生じている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、これまでに
も、超微粒子状の磁性粉を磁性層中へ高い充填率で充填
させ、また、非磁性材料の増量をせずに耐久性の向上し
た磁性層塗膜が得られるようにするために、樹脂バイン
ダへの分散性を向上させた磁性粉を求めて各方面から研
究が進められている。
【0011】そのような磁性粉の分散性向上の試みの一
つとして、SiO2 被膜を磁性粉表面に形成する方法な
どがあげられる。これは、たとえば、水ガラス中にBa
フェライトなどの六方晶系フェライト磁性粉を加えた後
pH調整して、いわゆるコロイダルシリカとよばれる粒
子径が数十nmのSiO2 の重合物の膜を、磁性粉表面
に沈着させるなどの方法である。表面にこのようなSi
2 粒子層被膜が形成された磁性粉は、磁性粉粒子相互
の磁気的な凝集力が弱まり一次粒子化が可能になって、
樹脂バインダ中への分散が容易になると考えられる。し
かしながら、このような従来得られたSiO2 粒子層で
磁性粉表面を均一に被着し、分散性・充填性を向上させ
るには、SiO2 粒子層は厚膜になってしまう。このた
め、磁性粉の飽和磁化を低下させたり、分散性・充填性
を十分に向上させることができなかった。そして、とく
に通常スタッキングしたような凝集状態にある六方晶系
フェライト粉においては、このような方法ではSiO2
粒子層を形成することができずほとんど効果が見出だせ
なかった。
【0012】そこで、本発明はこのような従来の難点を
解消すべくなされたものであり、磁性層中に高度に分散
させることが可能な、高密度の磁気記録に適した超微粒
の磁性粉とその製造方法を提供することを目的とし、さ
らにはそのような磁性粉を用いて作製される、走行耐久
性や記録再生特性の向上した磁気記録媒体を提供するこ
とをも、その目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の磁気
記録用磁性粉は、磁性粉の粒子表面に、粒径が実質的に
1nm以下のSiO2 粒子が均一な分布で付着すること
により、層厚1nm以下のSiO2 層が形成されている
ことを特徴としている。
【0014】本発明の磁性粉において、粒子表面にSi
2 層を形成すべき出発原料となる磁性粉としては、粒
径0.15μm以下の針状粉あるいは六方晶系フェライ
ト粉などが使用可能である。これらの中でも、六方晶系
フェライトは、板状結晶の板面に対して垂直な方向に磁
化容易軸が存在することにより垂直磁化成分を利用した
高密度記録が達成できるため、本発明に係わる磁性粉と
してに好ましく、とくに粒径0.05μm以下のものが
好適に使用可能である。
【0015】上記した本発明の磁性粉として好適な六方
晶系フェライトとしては、Baフェライト、Srフェラ
イト、Caフェライト、Pbフェライト、あるいは、一
般式 AO・n(Fe12-pp 18-α) (ただし、AはBa、Sr、PbおよびCaからなる群
から選ばれた少なくとも一種の金属元素を表し、Mは2
〜6価の金属元素から選ばれた少なくとも一種の金属元
素を表し、Pは1化学式あたりの置換量であって0〜2
の数、nは0.7〜4の数、αは0〜1の数をそれぞれ
表す。)で表される置換型のフェライト、などが例示さ
れる。これら置換型の六方晶系フェライトの他に、複合
型六方晶系フェライト、あるいはZnなどの固溶体が表
面に被着されたものなども好適に使用可能である。
【0016】これら六方晶系フェライトの粉末は、通常
六角板状の結晶構造を有しており、一般に板面の対角線
の長さを粒径、対角線の長さを板面の厚さで除した値が
板状比とよばれる。
【0017】本発明の磁気記録用磁性粉の製造に際して
は、まず原料となる磁性粉を、ある種の有機けい素化合
物と接触させて反応させる。その結果生じたシロキサン
結合を介して、これら有機けい素化合物は磁性粉の粒子
表面に結合される。粒子表面に有機けい素化合物が結合
された磁性粉を酸化雰囲気において加熱することによ
り、シロキサン結合が切断されて粒径が実質的に1nm
以下のSiO2 粒子が生成し、その結果、磁性粉の粒子
表面に層厚1nm以下のSiO2 層が形成されるのであ
る。
【0018】すなわち、本発明の磁気記録用磁性粉の製
造方法は、磁性粉を、下記の一般式化5、化6、化7あ
るいは化8で表される有機けい素化合物の少なくとも1
種と反応させ、次いで酸化雰囲気において加熱して粒径
が実質的に1nm以下のSiO2 粒子を形成させ、この
SiO2 粒子が前記磁性粉の粒子表面に均一な分布で付
着することにより、層厚1nm以下のSiO2 層が前記
磁性粉の粒子表面に形成されるようにしたことを特徴と
している。
【0019】
【化5】 (ただし、nは3〜10の数を表し、R1 は−H、−C
3 、またはフェニル基のいずれかを表す)
【化6】 (ただし、RはC1 〜C18のアルキル基、またはC1
12のパーフルオロ基のいずれか、R2 は−OH、−O
CH3 、−OC2 5 、−H、−CH3 またはフェニル
基のいずれかを表す)
【化7】 (ただし、nは2〜10の数を表し、R0 は−OH、−
H、またはC1 〜C18のアルキル基のいずれか、Xは−
H、−CH3 、−C2 5 のいずれかを表す)
【化8】 (ただし、R2 は−OH、−OCH3 、−OC2 5
−H、−CH3 またはフェニル基のいずれかを表す)本
発明において、上記一般式で表わされ磁性粉表面に被着
し表面処理することが可能な化合物として、具体的に
は、テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタデシ
ルトリエトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキ
サン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシ
シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタデカフルオロ
デシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデ
シルトリエトキシシラン、あるいはペンタデカフルオロ
デシルトリメトキシシランなどの有機けい素化合物が例
示される。
【0020】上記一般式で表わされるこれら化合物の磁
性粉に対する被着量は、BET法により得られる磁性粉
の表面積1 m2 に対して5×10-7〜1×10-5 molの
範囲内であることが望ましい。5×10-7 molよりも少
ない場合には焼成後の磁性粉表面のSiO2 粒子の被覆
量が少ないのでおいて十分な分散効果が得られず、1×
10-5 molよりも多い場合には逆に分散性が著しく阻害
されるためである。
【0021】本発明の製造方法において、被着するSi
2 粒子の粒径が実質的に1nm以下であり、形成され
るSiO2 粒子層厚が実質的に1nm以下であること
は、磁性粉表面の電子顕微鏡観察やX線光学分光分析な
どにより確認することができる。
【0022】酸化雰囲気下における加熱条件(焼成条
件)としては、200〜1000℃における3時間程度
の加熱が好ましい。
【0023】本発明における磁性粉粒子の焼成後の表面
には、粒径が実質的に1nm以下のSiO2 粒子が均一
な分布で沈着し、層厚が実質的に1nm以下の全体的に
連続な層とみなせる状態のSiO2 層が形成されてい
る。均一な分布とは、粒子の重なりや塊がないことを意
味し、また、全体的に連続な層とみなせる状態とは、完
全に連続した層であることを意味するのではなく、粒子
の付着する間隔がほぼ等しく均質な層とみなせる状態に
あることを意味している。
【0024】そして、上記したようにして製造される本
発明の磁性粉を用いて得られる本発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に、磁性粉と樹脂バインダとを含む
磁性層を形成してなる磁気記録媒体において、前記磁性
粉粒子表面に、粒径が実質的に1nm以下のSiO2
子が均一な分布で付着することにより、層厚1nm以下
のSiO2 粒子層が形成されていることを特徴としてい
る。
【0025】本発明の磁気記録媒体において磁性層形成
のため使用可能な樹脂バインダとしては、たとえばポリ
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノキシ樹
脂、メラミン樹脂、ビニルブチラール樹脂、フラン樹
脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニルアルコー
ル樹脂、セルロース誘導体、あるいはこれらの混合物も
しくは共重合物などがあげられる。
【0026】これら樹脂バインダの、磁性粉表面への吸
着性は、磁性粉の分散性に大きく影響し、ひいては塗膜
の表面性を高めるために非常に重要である。そのため、
これら樹脂バインダには、たとえば水酸基、カルボキシ
ル基、リン酸基、スルホン酸基、およびこれらの金属塩
基、アミノ基、あるいは第四アンモニウム塩基などの極
性基が導入されていることが好ましい。これらの樹脂バ
インダには、所望によって、バインダ中の活性水素と反
応して塗布後の塗膜を硬化させるための硬化剤としてイ
ソシアナート系硬化剤、アミン系硬化剤を併用してもよ
い。
【0027】本発明の磁気記録媒体において、磁性層形
成のため使用可能な他の添加剤としては、磁気記録媒体
に通常使用されているものならばどのようなものであっ
ても同じように使用可能であり、たとえば潤滑剤として
は、脂肪酸アルキルエステル系、シリコーン系、フッ素
化炭化水素系などが使用可能である。
【0028】
【作用】本発明の磁性粉においては、超微粒子状の磁性
粉をある種の有機けい素化合物と接触させてその表面に
シロキサン結合を形成させた後、これを酸化雰囲気で加
熱することにより、磁性粉粒子表面に、実質的に1nm
以下の粒径のSiO2 粒子を均一な分布で付着させ、そ
の結果としてSiO2 薄層を形成させている。
【0029】このようなSiO2 薄層を磁性粉粒子表面
に形成されるのは以下の機構によると推察される。
【0030】すなわち、超微粒子状の磁性粉の粒子表面
は非常に活性であるため、その表面に存在する酸素原子
あるいは水酸基と、分子量が比較的小さく反応性に富ん
だある種の有機けい素化合物は常温あるいは若干の加熱
により容易に反応する。この反応には、有機けい素化合
物の開環や分裂、およびアルコキシ基などの分解が関与
し、その結果生じた活性部分が、磁性粉の粒子表面と結
合する。粒子表面の金属に結合した状態で存在する−M
−OH基(Mは金属原子を表す)に、有機けい素化合物
が反応して、金属原子に結合したシロキサン結合(M−
Si−O−結合)が新たに形成されると考えられる。
【0031】上記した反応は、常温においてすみやかに
かつ定量的に進行する。したがって、シロキサン結合の
鎖の断面積と、比表面積から得られる磁性粉粒子の表面
積から、接触させる有機けい素化合物と磁性粉の量を適
切に設定することにより、有機けい素化合物がほぼ単分
子層に近い薄さの層を形成して、磁性粉の表面全体に結
合されることになると考えられる。
【0032】上記の反応で得られた磁性粉を酸化雰囲気
において加熱することにより、有機けい素化合物由来の
炭素や水素は酸化されて離脱し、SiO2 分子が磁性粉
粒子表面に残ることになる。
【0033】上記の経過を経て形成されるので、本発明
の磁性粉粒子表面においてSiO2は、有機けい素化合
物を酸化した結果生じた粒径が実質的に1nm以下とい
う非常に小さい粒子となって均一な分布で被着し、層厚
が実質的に1nm以下の全体的に連続な層とみなせる状
態のSiO2 薄層が磁性粉粒子表面に形成されることに
なる。
【0034】このように非磁性のSiO2 の非常に薄い
層が均一な分布で表面に形成されることにより、磁性粉
粒子の磁気的特性が損なわれることなくその凝集力が弱
まり、分散性が向上される。したがって、樹脂バインダ
中の磁性粉粒子のより完全な一次粒子化が可能になる。
【0035】樹脂バインダ中の磁性粉の分散が良好にな
れば、凝集物が少なくなり空隙が小さくなるため充填率
が向上しする。そのため、高固形分で低粘度の磁性塗料
を作製し、耐久性や表面性の良好な塗膜を形成すること
が可能になる。SiO2 薄層が形成されることにより、
磁性粉粒子の表面の分散剤や樹脂バインダの吸着サイト
のほとんどが覆われるため、分散に必要な分散剤や樹脂
バインダの量が著しく減少する。したがって、磁性層中
の磁性粉の充填率はさらに向上される。
【0036】本発明の磁性粉を用いることにより、磁性
粉の充填率が向上し表面が平滑な磁性層が形成されるた
め、とくに短波長領域における記録再生出力の向上した
すぐれた磁気記録媒体が得られる。
【0037】
【実施例】以下本発明の磁性粉、その製造方法、および
それを用いた磁気記録媒体を、具体的な実施例について
説明する。
【0038】はじめに、本発明の磁性粉とその製造方法
の実施例について説明する。
【0039】磁性粉実施例1 本発明の磁性粉の実施例1である、シロキサン化合物に
よる処理を施した磁性粉は、出発原料となる磁性粉から
以下のようにして製造された。
【0040】まず、コバルトマグネタイト針状粉(粒径
0.13μm、比表面積50m2 /g)100重量部と
環状有機けい素化合物(ヘキサメチルシクロトリシロキ
サン)1重量部を密閉容器内に収容し、温度40℃の恒
温槽中に3日間静置した。次いでこの容器を解放状態に
して、温度80℃の恒温槽中に3時間静置した。その
後、空気雰囲気下、温度500℃で2時間熱処理して本
発明の磁性粉実施例1を得た。
【0041】磁性粉実施例2 出発原料となる磁性粉としてCo−Ti置換型Baフェ
ライト粉(平均粒径0.04μm、比表面積40m2
g、平均板状比3、Hc=1050 Oe、σ=62.
5 emu/g)を用いた他は実施例1と同様にして、
本発明の磁性粉実施例2を製造した。
【0042】次に、上記のようにして得られた本発明の
磁性粉実施例1、2を用いて作製した磁気記録媒体実施
例1、2、および本発明に係わる有機けい素化合物によ
る処理を施さない磁性粉を用いて作製した磁気記録媒体
比較例1、2について説明する。
【0043】磁気記録媒体実施例1 上記した本発明の磁性粉実施例1である処理磁性粉を用
いて磁気記録媒体を製造するにあたり、下記に示す組成
の原料を混合しサンドグラインダにより10時間分散し
て、磁性塗料を調製した。
【0044】[磁性塗料組成] 処理磁性粉 100重量部 樹脂バインダ(スルホン基含有ポリウレタン樹脂) 7重量部 界面活性剤(レシチン) 1重量部 潤滑剤(ステアリン酸およびステアリン酸ブチル) 3重量部 研磨材(アルミナ) 5重量部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(1/1)混合
溶剤 140重量部 得られた磁性塗料に、ポリイソシアナート系硬化剤(商
品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)を塗料中
の樹脂バインダ100重量部に対して20重量部の割合
で加えた後、リバースコータを用いて厚さ7.5μmの
ポリエステルフィルム上に塗布した。そして常法にした
がって乾燥処理、カレンダ処理ののち、得られた原反を
所定の幅に裁断して、本発明の磁気記録媒体実施例1で
ある8mmVTR用磁気テープを作製した。
【0045】磁気記録媒体実施例2 磁性粉実施例1の代わりに磁性粉実施例2を使用した他
は磁気記録媒体実施例1と同様にして、本発明の磁気記
録媒体実施例2を作製した。
【0046】磁気記録媒体比較例1 磁性粉として、磁性粉実施例1の出発原料であって本発
明に係わる有機けい素化合物による処理を施されていな
いコバルトマグネタイト針状粉を用いた他は磁気記録媒
体実施例1と同様にして、磁気記録媒体比較例1を作製
した。
【0047】磁気記録媒体比較例2 磁性粉として、磁性粉実施例2の出発原料であって本発
明に係わる有機けい素化合物による処理を施されていな
いCo−Ti置換型Baフェライト粉を用いた他は磁気
記録媒体実施例1と同様にして、磁気記録媒体比較例2
を作製した。
【0048】磁気記録媒体比較例3 樹脂バインダ(スルホン基含有ポリウレタン樹脂)の量
13重量部に増量した他は磁気記録媒体実施例1と同様
にして、磁気記録媒体比較例3を作製した。
【0049】ここで本発明の効果を調べるために、上記
のようにして得られた実施例1、2および比較例1、2
および3の磁気記録媒体について、また、磁気記録媒体
作製にあたって調製した磁性塗料について、それらの特
性評価を行った。評価項目は、磁性塗料の固形分、塗料
光沢、塗料粘度、および、磁気記録媒体の配向率、高域
出力、スチル耐久性の各項目であり、その評価結果を表
1に示す。
【0050】なお、これらの評価に際して以下のような
測定を行った。
【0051】固形分の測定にあたっては、各磁性塗料の
数グラムをサンプリングし、100℃の恒温槽中で溶剤
分を蒸発させ、溶剤分蒸発の前後の重量を測定し、蒸発
前の重量に対する蒸発後の重量の100分比を算出し
た。
【0052】塗料光沢の測定にあたっては、ギャップが
30μmのアプリケータを用いて手引き膜を作製し、J
IS−K5400に準じてその表面の60度鏡面光沢度
を測定した。
【0053】塗料粘度の測定にあたってはB型粘度計
(4号ロータ)を用い、60rpm、1min値を測定
した。
【0054】磁気記録媒体について、配向率は振動試料
型磁化測定装置(VSM)を使用して、高域出力は記録
波長0.5μmにおける再生出力を東芝社製8mmVT
Rデッキを用いて測定した。スチル耐久性は、低温低湿
度(0℃、10%)の環境下において、スチルモードに
おける再生出力が、初期出力の70%に低下するまでの
時間を測定した。
【0055】
【表1】 表1からも明らかなように、本発明によれば、固形分が
高くとも塗料粘度の低い磁性塗料を調製することが可能
であり、塗料光沢が増加していることから磁性粉の分散
性が向上していることが理解される。その結果、作製さ
れた磁気記録媒体の高域出力やスチル耐久性も向上して
いる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、磁
性層中に高度に分散させることが可能で高密度の磁気記
録に適した、層厚が1nm以下のSiO2 層が形成され
た超微粒の磁性粉を提供することが可能になる。しか
も、そのようなすぐれた磁性粉を容易に製造する方法と
して、磁性粉を特定の有機けい素化合物と反応させたの
ち酸化雰囲気において加熱するという方法をも提供す
る。さらには、そのような磁性粉を用いることにより得
られる、走行耐久性や記録再生特性の向上したすぐれた
磁気記録媒体をも提供し得る。
【0057】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉の粒子表面に、粒径が実質的に1
    nm以下のSiO2 粒子が均一な分布で付着することに
    より、層厚が1nm以下のSiO2 粒子層が形成されて
    いることを特徴とする磁気記録用磁性粉。
  2. 【請求項2】 磁性粉を、下記の一般式化1、化2、化
    3、あるいは化4で表される有機けい素化合物の少なく
    とも1種と反応させ、次いで酸化雰囲気において加熱し
    て粒径が実質的に1nm以下のSiO2 粒子を形成さ
    せ、このSiO2粒子が前記磁性粉の粒子表面に均一な
    分布で付着することにより、層厚1nm以下のSiO2
    粒子層が前記磁性粉の粒子表面に形成されるようにした
    ことを特徴とする磁気記録用磁性粉の製造方法。 【化1】 (ただし、nは3〜10の数を表し、R1 は−H、−C
    3 、またはフェニル基のいずれかを表す) 【化2】 (ただし、RはC1 〜C18のアルキル基、またはC1
    12のパーフルオロ基のいずれか、R2 は−OH、−O
    CH3 、−OC2 5 、−H、−CH3 またはフェニル
    基のいずれかを表す) 【化3】 (ただし、nは2〜10の数を表し、R0 は−OH、−
    H、またはC1 〜C18のアルキル基のいずれか、Xは−
    H、−CH3 、−C2 5 のいずれかを表す) 【化4】 (ただし、R2 は−OH、−OCH3 、−OC2 5
    −H、−CH3 またはフェニル基のいずれかを表す)
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に、磁性粒子粉と樹脂バ
    インダとを含む磁性層を形成してなる磁気記録媒体にお
    いて、前記磁性粒子粉表面に、粒径が実質的に1nm以
    下のSiO2 粒子が均一な分布で付着することにより、
    層厚が1nm以下のSiO2 粒子層が形成してなり、前
    記磁性粒子粉100重量部に対して10重量部以下の樹
    脂バインダが含有されていることを特徴とする磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 前記磁性粉が、粒径0.15μm以下の
    針状磁性粉であることをことを特徴とする特許請求の範
    囲請求項1記載の磁気記録用磁性粉。
  5. 【請求項5】 前記磁性粉が、粒径0.05μm以下の
    六方晶系フェライト磁性粉であることを特徴とする特許
    請求の範囲請求項1記載の磁気記録用磁性粉。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172922A (ja) * 2015-03-16 2016-09-29 住友金属鉱山株式会社 銅粉末及びその製造方法

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