JP2016172922A - 銅粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気伝導性を低下させることなく、例えば銅粉末を分散した樹脂成形体での耐食性を高めることができる銅粉末を提供する。【解決手段】本発明に係る銅粉末は、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末により構成され、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物により銅粉末の粒子表面の全面が被覆されており、環状シロキサン化合物の被覆量が当該銅粉末1000質量部当たり0.1質量部以上20質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、銅粉末及びその製造方法に関し、詳しくは、特定の有機ケイ素化合物を被覆することにより、優れた防錆性、撥水性を付与した銅粉末及びその製造方法に関する。
銅は、その優れた電気伝導性や高特性の割に安価であるという利点があるため、従来から電気製品や自動車部品等の配線材料等の各種用途に広く使用されている。最近では、自動車部品の軽量化・省エネ化・高機能化のために、より高い性能を有し、また苛酷な環境でも耐え得る高い耐食性を有するものが強く要求されている。
また、銅粉末は、その優れた電気導電性を利用して、樹脂に分散させて導電性ペーストとし配線材料として使用されている。具体的に、銅粉末としては、粒径が数十μmの電解銅粉からサブミクロンの湿式銅粉、またアトマイズ銅粉、CVD法銅粉といったように、様々な手法によって所望の形状や粒径の銅粉末が作製されている。
一般に、銅粉末としては、上述したような製法によって作製され、また用途によって要求される特性に応じて調整された粒径の銅粉末が使用されているが、総じて課題となるのが、その耐食性である。
例えば、特許文献1には、銅微粒子の表面をシリコーンオイルと硫黄化合物とを用いて処理した銅粉末が記載されており、高級脂肪酸、リン酸エステル、高級脂肪酸アミン、カップリング剤、シリコーンオイル等を用いた従来の処理では不十分であった耐食性を改善し、向上させることができることが記載されている。
銅粉末(金属粉末)の高い電気伝導性を利用して、樹脂中に銅粉(金属粉)をフィラーとして分散して樹脂組成物を作製し、成形加工性に優れた熱伝導性熱硬化性樹脂組成物として、電子部品材料に使用することが、特許文献2に記載されている。
ここで、金属粉末を分散して樹脂組成物を作製する際、樹脂原料が酸性基を有する場合には、成形前に金属粉末が腐食してしまうことがある。
例えば、樹脂としてポリイミドを選択する場合、原料のポリアミック酸はカルボキシル基を有し、銅等の金属を腐食するという性質がある。なお、重合により樹脂成形してしまうとそのカルボキシル基はなくなるため、それ以上は金属を腐食することはなくなる。したがって、少なくともポリアミック酸溶液と金属粉末とを混練し、樹脂成形するまでの間における銅の腐食をできるだけ防止する必要がある。
特開2005−60778号公報 国際公開第2008/010297号
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電気伝導性を低下させることなく、銅粉末を分散した樹脂成形体での耐食性を高めることができる銅粉末、及びこれら銅粉末を簡便な処理により得ることができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末の粒子表面に、主要成分のCuの酸化を抑制する作用のある被覆膜を粒子全面に極薄く被覆することで、高い電気伝導性を低下することなく防錆性を向上させることについて鋭意検討を重ねた。その結果、特定の環状シロキサンを真空容器中で揮発させて、銅粉末の凝集面を含む、銅粉末の表面全面を完全に被覆することによって、耐食性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものである。
(1)本発明の第1の発明は、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末により構成され、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物により前記銅粉末の粒子表面の全面が被覆されており、前記環状シロキサン化合物の被覆量が、当該銅粉末1000質量部当たり0.1質量部以上20質量部以下であることを特徴とする銅粉末である。
(2)本発明の第2の発明は、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末に対して、へキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物を含む気体と接触させることにより、該銅粉末の粒子表面の全面に該環状シロキサン化合物を被覆する工程を有し、前記工程では、前記環状シロキサン化合物を真空容器内で前記銅粉末と共に配置し、真空圧−0.1MPa以下、温度40℃以上150℃以下の条件で、1時間以上200時間以下保持することを特徴とする耐食性を有する銅粉末の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記環状シロキサン化合物を粒子表面に被覆した銅粉末のみを、真空容器内で、真空圧−0.1MPa以下、温度70℃以上150℃以下の条件で、1時間以上12時間以下保持することを特徴とする銅粉末の製造方法である。
本発明に係る銅粉末によれば、銅粉末の粒子表面に環状シロキサン化合物の極薄い被覆膜が形成されていることにより、電気伝導性を損なわずに耐食性を高めることができる。
また、本発明に係る銅粉末によれば、耐食性が高まったことにより、従来使用することができなかったような苛酷な環境下においても、錆等を生じさせることなく使用することができ、電気伝導性の低下を防止することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.銅粉末≫
本実施の形態に係る銅粉末は、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末(銅粉末粒子)により構成されるものであり、その粒子表面の全面が特定の環状シロキサン化合物の被覆膜により被覆されていることを特徴としている。
このように、粒子表面の全面に被覆膜を被覆することによって、銅本来の高い電気伝導性を損なわずに、その銅粉末の耐食性を向上させることができる。これにより、従来の銅粉末では使用することができなかったような例えば高温高湿等の苛酷の環境下においても、錆等を生じさせることなく使用することができ、電気伝導性の低下を防止できる。
<1−1.出発原料>
本実施の形態に係る銅粉末において、出発原料として使用する銅粉末としては、粒径が数十μm程度の電解銅粉からサブミクロン程度の湿式銅粉、またアトマイズ銅粉、CVD法銅粉等、様々な手法により作製された、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末(銅粉末粒子)を使用することができる。
銅粉末としては、上述のように従来公知の製法により作製されたものを使用することができ、形状として特に限定されず、球形、針状、不定形等の形状の銅粉末を使用することができる。一般に、粉末の粒子表面に被覆膜を被覆する場合には、その粒子表面に凹凸が少ないことが要求されるが、本実施の形態においては、どのような形状の銅粉末であっても有効に適用することができる。
<1−2.環状シロキサン化合物の被覆膜を形成した銅粉末>
(被覆膜について)
本実施の形態に係る銅粉末は、上述したように、出発原料粉末である0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末の粒子表面の全面に、特定の環状シロキサン化合物の被覆膜を形成している。
具体的に、被覆する環状シロキサン化合物は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンから選択される一種以上の環状シロキサン化合物である。また、その他の揮発性を有する環状シロキサン化合物を使用することもできる。
詳しくは後述するが、この銅粉末においては、上述したような揮発性を有する環状シロキサン化合物を、真空容器内で揮発させ、その気体と出発原料粉末である銅粉末とを気相接触させる、いわゆる気相法により、粒子表面の全面に環状シロキサン化合物の被覆膜を形成させる。この気相法によれば、ナノレベルの極薄い被覆膜層を粒子表面に均一に形成することができ、銅粉末の電気伝導性を低下させることなく、極めて優れた耐食性等を発揮させることができる。
気相法により被覆する環状シロキサン化合物の被覆量としては、銅粉末1000質量部当たり0.1質量部以上20質量部以下とすることが重要となる。また、銅粉末1000質量部当たり0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
環状シロキサン化合物の被覆量が銅粉末1000質量部当たり0.1質量部未満であると、環状シロキサン化合物の被覆膜が銅粉末粒子の全面を必ずしも被覆することができず、あるいは全面に被覆されても膜厚が十分に得られないため、錆等が発生しやすくなる。一方で、環状シロキサン化合物の被覆量が銅粉末1000質量部当たり20質量部を超えると、被覆膜が厚くなり電気導電性の低下が起こるため好ましくない。
(粉末粒子の平均粒径について)
環状シロキサン化合物の被覆膜を形成した銅粉末について、形成した被覆膜の膜厚は極めて薄いため、その出発原料として使用した銅粉末粒子の平均粒径と同等であり、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有するものとなる。
≪2.環状シロキサン化合物の被覆膜を形成した銅粉末の製造方法≫
次に、本実施の形態に係る銅粉末、すなわち、環状シロキサン化合物の被覆膜を形成した銅粉末の製造方法について説明する。
<2−1.出発原料粉末の調製>
出発原料となる粉末は、電解銅粉、湿式銅粉、アトマイズ銅粉、CVD法銅粉等の、様々な手法により作製されたものであって、所望の形状を有し、平均粒径が0.1μm以上100μm以下である銅粉末(銅粉末粒子)を調製して使用することができる。
<2−2.環状シロキサン化合物に対する被覆膜の形成>
次に、平均粒径が0.1μm以上100μm以下である出発原料の銅粉末に対して、環状シロキサン化合物の被覆膜を形成する工程について説明する。
被覆膜の形成においては、先ず、加熱可能な真空容器内に調製した銅粉末(出発原料)を入れるとともに、その真空容器内に揮発性を有する環状シロキサン化合物を入れた別容器を設置する。そして、その真空容器内を、真空圧で−0.1MPa以下に脱気した後、真空容器全体を40℃以上150℃以下に加熱し、1時間以上200時間以下に亘って加熱処理を行う。つまり、被覆膜の形成においては、別容器に入れた環状シロキサン化合物を揮発させ、銅粉末の粒子表面に対して揮発した環状シロキサン化合物を気相で接触させるようにすることによって、凝集した凝集面を含む、銅粉末の表面の全面に適度に被覆膜を形成する(気相法による被覆膜の形成)。
被覆膜の形成に際しての温度条件として、真空容器全体の温度が40℃未満であると、環状シロキサン化合物の揮発が十分ではなく、銅粉末の粒子全面を被覆することが難しくなる。一方で、温度が150℃より高温にすると、短時間で環状シロキサン化合物が揮発して銅粉末への均一な被覆が難しくなる。したがって、温度条件としては、上述のように真空容器全体を40℃以上150℃以下に加熱し、より好ましくは60℃以上90℃以下に加熱する。
また、処理時間に関しては、被覆する銅粉末の形状、平均粒径、処理温度により好適な処理時間があるが、基本的には被覆すべき表面積に応じて決定することが好ましい。処理時間が少なすぎると、被覆膜の形成が十分ではなく、一方で、処理時間を長くしてもある一定の被覆量以上には被覆されない。このことから、処理時間としては、上述のように1時間以上200時間以下とし、より好ましくは12時間以上200時間以下とする。
気相法に基づく被覆膜の形成条件として、上述した温度条件、処理時間条件とすることによって、真空容器内に、銅粉末と揮発性を有する環状シロキサン化合物を設置するという簡易な操作だけで、銅粉末表面に、揮発した環状シロキサン化合物が接触するようになり、銅粉末の粒子表面の全面、また細部にわたり被覆膜を効率的に形成することができる。また、より効率的に且つより確実に、銅粉末の粒子全面に環状シロキサン化合物を被覆させるためには、真空容器内部に、撹拌機のような混合する装置を内蔵させることが好ましい。
本実施の形態においては、揮発した環状シロキサン化合物が銅粉末の粒子表面に接触することで被覆膜を生成する、いわゆる気相法によって被覆膜を被覆するため、出発原料の銅粉末がどのような形状を有する銅粉末に対しても、また0.1μm以上100μm以下の広範な平均粒径を有する銅粉末に対しても、その銅粉末の粒子表面の全面、また細部にわたって、環状シロキサン化合物の被覆膜を効率的に形成することができる。
なお、被覆膜の形成においては、銅粉末を大気圧下で不活性ガスを流しながら、温度40℃以上150℃以下の条件で1時間以上200時間以下保持することによって、環状シロキサン化合物と気相接触させるようにしてもよい。流通させるガス種としては、酸素雰囲気中での加熱による磁気特性の低下が懸念される観点から、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスであることが好ましい。また、大気中で気相接触させる場合には、積極的に銅粉末の粒子表面に環状シロキサン化合物を接触させるために、銅粉末を撹拌しながら行うことが好ましい。
ここで、上述したように、銅粉末の表面の全面に被覆膜の形成した後、表面に付着した環状シロキサン化合物の安定化を行うことが好ましい。具体的に、真空容器内で気相接触させることで被覆した環状シロキサン化合物の安定化の処理は、気相処理に用いた容器から被覆処理を施した銅粉末のみを取り出し、別の真空容器に移すか、又は、気相処理した同じ真空容器を用いるときは、環状シロキサン化合物を入れた容器を取り出し、内部のガスを大気で置換した後、再度、真空圧で−0.1MPa以下の真空下にして、70℃以上150℃以下の温度条件で、1時間以上12時間以下に亘って乾燥処理(熱処理)を施すようにする。
また、大気下において不活性ガスを流通させながら気相接触させて環状シロキサン化合物を被覆させた場合においては、気相処理に用いた容器、又は別の容器内に、不窒素ガスやアルゴンガス等の活性ガスを流通させながら、例えば70℃以上150℃以下の温度条件で1時間以上12時間以下に亘って熱処理を施す。なお、上述のように真空容器内で環状シロキサン化合物を被覆させた場合においても、被覆処理を施した銅粉末のみを別の容器に移して、大気下で、その容器内に不活性ガスを流通させた状態として、同様の処理条件で熱処理を施すようにしてもよい。
このようにして気相接触により環状シロキサン化合物を被覆した後に熱処理を行うことで、被覆膜の安定化と、余分な吸着分の除去を行うことができる。なお、熱処理の温度条件に関して、70℃未満であると、銅粉末に付着した環状シロキサン化合物を十分に安定化させることができず、一方で、150℃を超えると、得られる銅粉末の被覆膜に影響を与える可能性があるため好ましくない。したがって、70℃以上150℃以下の温度条件で行うことが好ましく、80℃以上110℃以下の温度条件で行うことがより好ましい。
本実施の形態に係る銅粉末の製造方法においては、上述したように、気相法を用い、揮発した環状シロキサン化合物を含む気体を気相で銅粉末表面に接触させて、被覆膜を形成させるようにしている。このような気相法は、液中で表面粒子表面にコーティング層を形成する液相法(湿式法)とは異なり、例えば厚さ0.5nm以上20nm以下程度、好ましくは1nm以上5nm以下程度のナノレベルの均一な被覆膜層を銅粉末の粒子表面全面に形成することができる。なお、従来よく行われていた液相での表面処理による被覆膜の形成方法では、粉末の形状が入り組んだ形状であったり、サブミクロンレベルやナノレベルの凝集しやすい超微粉の銅粉末に対しては、粒子表面の全体を完全に被覆することは難しく、未被覆の表面が残ってしまい、その後の樹脂との混合時に腐食して錆が発生してしまう。
このように、本実施の形態においては、銅粉末の表面の全面に、特定の環状シロキサン化合物からなる極薄い均一な被覆膜層を形成することができることにより、銅粉末の電気伝導性を低下させることなく、極めて優れた耐食性、撥水性を付与することができる。また、気相法により被覆膜を形成した後に、再度熱処理を施すことによって、付着した環状シロキサン化合物を、より緻密で、安定化させた被覆膜層とすることができる。
また、環状シロキサン化合物の被覆膜が形成され撥水性が付与された銅粉末では、耐湿性や耐食性に優れたものとなるため、銅粉末自体の保管においても、長期保管が可能となるという効果も認められる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されない。
≪銅粉末の作製(実施例及び比較例)≫
[実施例1]
銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約45μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に16時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)が0.05g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は0.5質量部であった。
[実施例2]
実施例2では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に2時間入れて、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)が0.01g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は0.1質量部であった。
[実施例3]
実施例3では、銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約1μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)が0.1g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は1質量部であった。
[実施例4]
実施例4では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に2時間入れて、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させたこと以外は、実施例3と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)が0.02g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は0.2質量部であった。
[実施例5]
実施例5では、環状シロキサン化合物としてヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いたこと以外は、実施例3と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)が0.05g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は0.5質量部であった。
[実施例6、7]
実施例6では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に2時間入れ、実施例7では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に64時間入れて、それぞれ、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させたこと以外は、実施例5と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)が、実施例6では0.01g被覆されており、実施例7では0.18g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は、それぞれ、0.1質量部(実施例6)、1.8質量部(実施例7)であった。
[実施例8]
実施例8では、環状シロキサン化合物としてオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いたこと以外は、実施例3と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(オクタメチルシクロテトラシロキサン)が0.05g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は0.5質量部であった。
[実施例9〜12]
銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に、実施例9では16時間、実施例10では64時間、実施例11では88時間、実施例12では160時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、それぞれ処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)が、それぞれ、0.4g(実施例9)、0.8g(実施例10)、1.2g(実施例11)、1.6g(実施例12)被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は、それぞれ、4質量部(実施例9)、8質量部(実施例10)、12質量部(実施例11)、16質量部(実施例12)であった。
[実施例13〜15]
銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に、実施例13では16時間、実施例14では88時間、実施例15では160時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、それぞれ処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)が、それぞれ、0.2g(実施例13)、0.8g(実施例14)、1.4g(実施例15)被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は、それぞれ、2質量部(実施例13)、8質量部(実施例14)、14質量部(実施例15)であった。
[実施例16]
実施例16では、銅粉末(関東化学(株),平均粒径約100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
処理後の銅粉末には、環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)が0.04g被覆されていた。すなわち、銅粉末1000質量部に対し、環状シロキサン化合物の被覆量は0.4質量部であった。
[比較例1〜4]
比較例1では、実施例1等で使用した銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約45μm)100gを用いた。また、比較例2では、実施例3等で使用した銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約1μm)100gを用いた。また、比較例3では、実施例9等で使用した銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを用いた。また、比較例4では、実施例16で使用した銅粉末(関東化学(株),平均粒径約100μm)100gを用いた。比較例1〜比較例4では、それぞれの銅粉末に対して表面処理せずに、実施例と同様にして評価した。
[比較例5]
比較例5では、銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に0.5時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。得られた粉末を、実施例と同様に評価した。
[比較例6]
比較例6では、環状シロキサン化合物としてヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いたこと以外は、比較例5と同様にして処理し、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。得られた粉末を、実施例と同様に評価した。
≪評価、結果≫
(撥水性試験)
作製した銅粉末5gをステンレス板の上に盛り、水を1滴落として撥水性を観察した。撥水性の評価としては、銅粉末の上に水滴が丸く保持されたものは撥水性が良好『○』であるとし、銅粉末の中に吸収されたものは撥水性が不良『×』であるとして評価した。表1に、それぞれの結果を示す。
(樹脂耐食性試験)
ポリアミック酸溶液(宇部興産(株)製,U−ワニス)2gをスライドガラスの上に載せ、作製した銅粉末0.1gを加えて混ぜた後、スライドガラスの上に塗りつけて室温で静置した。そして、3時間、6時間、12時間、24時間経過後のそれぞれにおける色の変化を観察して、銅の腐食による変色が見られたものは『×』、変色が見られなかったものは『○』として評価した。表1に、それぞれの結果を示す。
Figure 2016172922
表1の結果に示されるように、実施例1〜実施例16のように、種々の平均粒径を有する銅粉末に特定の環状シロキサン化合物を所定の被覆量で被覆させて得られた銅粉末では、比較例1〜比較例4の表面処理(被覆処理)を施していない銅粉末や、実施例とは異なる条件で被覆処理を施した銅粉末と比較して、耐食性が向上し、また撥水性が付与されて、長期保存が可能であることが分かった。
本発明に係る銅粉末は、所定の被覆量で環状シロキサン化合物を銅粉末の粒子表面の全面に被覆してなるものであり、銅の電気伝導性を低下させることなく、耐食性を高めることができる。このような銅粉末によれば、従来使用することができなかったような苛酷な腐食環境下においても、錆等を生じさせることなく使用することができ、電気伝導性の低下を防止することができる。

Claims (3)

  1. 0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末により構成され、
    ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物により前記銅粉末の粒子表面の全面が被覆されており、
    前記環状シロキサン化合物の被覆量が、当該銅粉末1000質量部当たり0.1質量部以上20質量部以下である
    ことを特徴とする銅粉末。
  2. 0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末に対して、へキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物を含む気体と接触させることにより、該銅粉末の粒子表面の全面に該環状シロキサン化合物を被覆する工程を有し、
    前記工程では、前記環状シロキサン化合物を真空容器内で前記銅粉末と共に配置し、真空圧−0.1MPa以下、温度40℃以上150℃以下の条件で、1時間以上200時間以下保持する
    ことを特徴とする耐食性を有する銅粉末の製造方法。
  3. 前記環状シロキサン化合物を粒子表面に被覆した銅粉末のみを、真空容器内で、真空圧−0.1MPa以下、温度70℃以上150℃以下の条件で、1時間以上12時間以下保持する
    ことを特徴とする請求項2に記載の銅粉末の製造方法。
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