JP2016172922A - 銅粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施の形態に係る銅粉末は、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末(銅粉末粒子)により構成されるものであり、その粒子表面の全面が特定の環状シロキサン化合物の被覆膜により被覆されていることを特徴としている。
本実施の形態に係る銅粉末において、出発原料として使用する銅粉末としては、粒径が数十μm程度の電解銅粉からサブミクロン程度の湿式銅粉、またアトマイズ銅粉、CVD法銅粉等、様々な手法により作製された、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末(銅粉末粒子)を使用することができる。
(被覆膜について)
本実施の形態に係る銅粉末は、上述したように、出発原料粉末である0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末の粒子表面の全面に、特定の環状シロキサン化合物の被覆膜を形成している。
環状シロキサン化合物の被覆膜を形成した銅粉末について、形成した被覆膜の膜厚は極めて薄いため、その出発原料として使用した銅粉末粒子の平均粒径と同等であり、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有するものとなる。
次に、本実施の形態に係る銅粉末、すなわち、環状シロキサン化合物の被覆膜を形成した銅粉末の製造方法について説明する。
出発原料となる粉末は、電解銅粉、湿式銅粉、アトマイズ銅粉、CVD法銅粉等の、様々な手法により作製されたものであって、所望の形状を有し、平均粒径が0.1μm以上100μm以下である銅粉末(銅粉末粒子)を調製して使用することができる。
次に、平均粒径が0.1μm以上100μm以下である出発原料の銅粉末に対して、環状シロキサン化合物の被覆膜を形成する工程について説明する。
[実施例1]
銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約45μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に16時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。
実施例2では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に2時間入れて、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
実施例3では、銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約1μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
実施例4では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に2時間入れて、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させたこと以外は、実施例3と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
実施例5では、環状シロキサン化合物としてヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いたこと以外は、実施例3と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
実施例6では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に2時間入れ、実施例7では、銅粉末と環状シロキサン化合物とを80℃の恒温槽に64時間入れて、それぞれ、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させたこと以外は、実施例5と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
実施例8では、環状シロキサン化合物としてオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いたこと以外は、実施例3と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に、実施例9では16時間、実施例10では64時間、実施例11では88時間、実施例12では160時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、それぞれ処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。
銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に、実施例13では16時間、実施例14では88時間、実施例15では160時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、それぞれ処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末得た。
実施例16では、銅粉末(関東化学(株),平均粒径約100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理された銅粉末を得た。
比較例1では、実施例1等で使用した銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約45μm)100gを用いた。また、比較例2では、実施例3等で使用した銅粉末((株)高純度化学研究所製,平均粒径約1μm)100gを用いた。また、比較例3では、実施例9等で使用した銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを用いた。また、比較例4では、実施例16で使用した銅粉末(関東化学(株),平均粒径約100μm)100gを用いた。比較例1〜比較例4では、それぞれの銅粉末に対して表面処理せずに、実施例と同様にして評価した。
比較例5では、銅粉末(住友金属鉱山(株)製,UCP−030,平均粒径約0.3μm)100gを真空デシケーターの下段に設置し、その上段に環状シロキサン化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン)5gを置き、−0.1MPa以下に減圧後、80℃の恒温槽に0.5時間入れた。これにより、揮発した環状シロキサン化合物と銅粉末とを気相で接触させ、銅粉末に対する表面処理を行った。そして、処理後に銅粉末を取り出し、真空乾燥機中で90℃、6時間の乾燥を行い、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。得られた粉末を、実施例と同様に評価した。
比較例6では、環状シロキサン化合物としてヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いたこと以外は、比較例5と同様にして処理し、環状シロキサン化合物が被覆された銅粉末を得た。得られた粉末を、実施例と同様に評価した。
(撥水性試験)
作製した銅粉末5gをステンレス板の上に盛り、水を1滴落として撥水性を観察した。撥水性の評価としては、銅粉末の上に水滴が丸く保持されたものは撥水性が良好『○』であるとし、銅粉末の中に吸収されたものは撥水性が不良『×』であるとして評価した。表1に、それぞれの結果を示す。
ポリアミック酸溶液(宇部興産(株)製,U−ワニス)2gをスライドガラスの上に載せ、作製した銅粉末0.1gを加えて混ぜた後、スライドガラスの上に塗りつけて室温で静置した。そして、3時間、6時間、12時間、24時間経過後のそれぞれにおける色の変化を観察して、銅の腐食による変色が見られたものは『×』、変色が見られなかったものは『○』として評価した。表1に、それぞれの結果を示す。
Claims (3)
- 0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末により構成され、
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物により前記銅粉末の粒子表面の全面が被覆されており、
前記環状シロキサン化合物の被覆量が、当該銅粉末1000質量部当たり0.1質量部以上20質量部以下である
ことを特徴とする銅粉末。 - 0.1μm以上100μm以下の平均粒径を有する銅粉末に対して、へキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群から選択される一種以上の環状シロキサン化合物を含む気体と接触させることにより、該銅粉末の粒子表面の全面に該環状シロキサン化合物を被覆する工程を有し、
前記工程では、前記環状シロキサン化合物を真空容器内で前記銅粉末と共に配置し、真空圧−0.1MPa以下、温度40℃以上150℃以下の条件で、1時間以上200時間以下保持する
ことを特徴とする耐食性を有する銅粉末の製造方法。 - 前記環状シロキサン化合物を粒子表面に被覆した銅粉末のみを、真空容器内で、真空圧−0.1MPa以下、温度70℃以上150℃以下の条件で、1時間以上12時間以下保持する
ことを特徴とする請求項2に記載の銅粉末の製造方法。
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