JPH0614839Y2 - 塗布具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、インキ貯蔵部として、中綿を使用しない、所
謂生インキ式の、万年筆、ボールペン、筆ペン、アイラ
イナー等の塗布具に関する。

（従来の技術及び考案が解決しようとする課題） 従来、筆穂、連通多孔質体製ペン先、繊維を熱硬化性樹
脂などで結束し、先端を研磨したペン先などの塗布部
と、インキタンク、インキカートリッジ等のインキ貯蔵
室との間に、縦断面櫛歯状構造などの一時的インキ溜め
溝部と貫通孔とを有する一時的インキ溜め部材を配置
し、該一時的インキ溜め部材の貫通孔に、熱硬化性樹脂
などで繊維を結束した繊維体、インキを導通し得る長方
向溝設けた樹脂成形体、熱可塑性樹脂粒子の焼結体など
よりなるインキ導芯を貫挿しインキ貯蔵室中のインキを
塗布部に導出するようなした生インキ式塗布具は知られ
ている。

ここで、一時的インキ溜め部材は、使用中、温度上昇な
どによるインキ貯蔵室内の空気膨張により押し出された
過剰のインキを、その一時的インキ溜め溝に溜め、塗布
部よりのインキ洩れを防止するものであり、従来、アク
リル・ブタジエン・スレチン樹脂、アクリル・スチレン
樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などといった成
形時の収縮性の小さい樹脂により成形されている。

また、前記インキとの濡れ性を向上させるため、表面を
酸による処理、例えば、塩素酸又は塩素酸塩の酸性水溶
液や過マンガン酸カリウムの硫酸水溶液によるエッチン
グ等の方法にて親水処理を行なうことも知られている。

ところで、上記した構成の生インキ式塗布具は、使用し
ていると、インキ貯蔵室内が流出したインキ量分減圧さ
れ、インキの流出が悪くなるので、インキ貯蔵室には流
出したインキに対し空気が置換しなければならない。こ
の空気は、塗布部側から一時的インキ溜め部材を通っ
て、インキ貯蔵室内に到るが、この時、空気は一時的イ
ンキ溜め部材中に在るインキとその位置を交換しながら
移動するので、この交換がスムーズに行なわれないと、
インキの吐出にバラツキが発生する。

ここにおいて、従来、インキ・空気の置換における律速
部、従って、インキ吐出調整部は、一時的インキ溜め溝
部の後半部分における、一時的インキ溜め部材中の貫通
孔内径とインキ導芯外径との差によるクリアランスであ
った。

しかるに、前述したように、一時的インキ溜め溝部は、
その表面を親水処理しているので、表面に微細な凹凸が
形成されており、その為、微視的に見た場合、その位置
によって、表面の濡れ性が異なり、これがインキ・空気
置換の律速にバラツキを与え、その結果インキの吐出が
不安定になるという問題があった。

そこで、本考案は、インキの吐出が安定な塗布具を提供
することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は、上記目的に鑑みてなされたものであって、塗
布部とインキ貯蔵室との間に、表面を親水処理した縦断
面櫛歯状の一時的インキ溜め溝部と貫通孔とを有する一
時的インキ溜め部材を配置し、該一時的インキ溜め部材
にインキ導芯を少なくとも一時的インキ溜め溝後半位置
において貫通孔との間にクリアランスを形成するように
貫通挿入した塗布具において、前記一時的インキ溜め部
材後端に、貫通孔を有する表面未処理の継体を、その貫
通孔が前記一時的インキ溜め部材の貫通孔と連接するよ
う連設し、前記継体の貫通孔とインキ導芯とのクリアラ
ンスを、前記したクリアランスより小さくしたことを特
徴とする塗布具を要旨とするものである。

（実施例） 以下に本考案の実施例を添付図面に基づき詳細に説明す
る。

第１図乃至第３図は本考案の第１実施例を示すものであ
る。

参照符号１は前軸であり、該前軸１後端には後軸２を着
脱可能となすネジ部１ｂが設けられており、前端開口部
１ａには筆穂を意識して表現した塗布部３が固定管４を
介して固定してある。この塗布部は、筆穂に限定される
ものでなく、上述した連通多孔質体製ペン先、繊維を熱
硬化性樹脂などで結束し、先端を研磨したペン先であっ
てもよい。前記塗布部３後方の前軸１内には縦断面櫛歯
状となる一時的インキ溜め溝部５ａを有する一時的イン
キ溜め部材５が配置されてあり、該一時的インキ溜め部
材５後端にはインキ貯蔵室８を結合できる継体７が、そ
の貫通孔７ｂを前記一時的インキ溜め部材の貫通孔５ｂ
と連接するよう、連設されている。

前記一時的インキ溜め部材５には、一時的インキ溜め溝
部５ａを形成する突出した薄肉部に軸心方向に平行に形
成された切欠きである空気交換溝５ｃと、一時的インキ
溜め溝部５ａと貫通孔５ｂとを連通させるスリットであ
る連通部５ｄが形成されている。

前記一時的インキ溜め部材５は、例えばアクリル・ブタ
ジエン・スチレン樹脂で成形したものを、塩素酸塩の酸
性水溶液で親水処理したものであり、継体７は、ポリブ
チレンテレフタレートなどで成形したものを用いてい
る。尚、継体７は、一時的インキ溜め部材５と一体であ
ってもよく、要は親水処理の非処理部であればよい。

前記連接させた貫通孔５ｂ、７ｂ内には、前部小径部６
ｃ、中間大径部６ａ、及び、後部小径部６ｂを有するイ
ンキ導芯６が、大径部６ａを前記インキ溜め溝部５ａの
略後半位置より前方に、小径部６ｂをインキ溜め溝部５
ａの略後半位置より後方に、前端小径部６ｃを前記塗布
部３内に挿入するよう配置されている。

次に、本実施例の作用について説明する。

空気は、前記一時的インキ溜め溝部５ａの前記空気交換
溝５ｃを通り、さらに、前記連通部５ｄを通り、貫通孔
５ｂ、７ｂ内に経由してインキ貯蔵室８に入るが、ここ
で、インキ吐出の調整部である、クリアランスを小さく
した場所が、表面を処理していない従って滑らかな表面
を有する継体７の位置となるので、空気・インキの置換
が安定して行なわれる。

第４図は第２実施例を示すものであって、継体７１の貫
通孔７１ｂ内に、適宜長さの軸心方向に平行な４本のリ
ブ７１ｄを設けてある以外の構成は、第１実施例と同様
である。

継体７１内のリブ７１ｄにより、継体７１の貫通孔７１
ｂ内において、インキ導芯６１が偏心することが無くな
るので、空気・インキの置換はより安定する。

第５図は、第３実施例を示すものであって、表面を親水
加工したアクリル樹脂などよりなる、一時的インキ溜め
部材５２の貫通孔５２ｂの後端に、貫通孔７２ｂ内に軸
心方向に平行な４本のリブ７２ｄを設けたポリエチレン
テレフタレートなどにより成形した継体７２の前端小径
部７２ａを挿入している以外は実施例２と同様である。

以上、第１実施例乃至第３実施例では、インキ導芯の後
部を縮径したもので説明したが、本願考案はこれに限定
されるものではなく、インキ導芯の外径を一定として、
一時的インキ溜め部材及び継体の貫通孔の内径を調整す
ることにより、クリアランスを所望の如くなしても良
い。

（考案の作用効果） 本考案の塗布具は、上述したように、前記継体位置のク
リアランスをインキ溜め溝部後半位置のクリアランスよ
り小くし、インキ吐出調整部を一時的インキ溜め部材の
表面未処理の継体位置となしたので、継体表面の濡れ性
が一定である為空気・インキの置換が円滑になり、イン
キ吐出にバラツキが生じない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、第１図は第
１実施例の要部縦断面図、第２図は第１図のＩ−Ｉ線横
断面図、第３図は第１図のII−II線横断面図、第４図は
第２実施例の第３図相当横断面図、第５図は第３実施例
の要部縦断面図である。 ３…塗布部、５，５２…一時的インキ溜め部材、５ａ…
一時的インキ溜め溝部、５ｂ，５２ｂ，７ｂ，７１ｂ，
７２ｂ…貫通孔、６，６１…インキ導芯、７，７１，７
２…継体、８…インキ貯蔵室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】塗布部とインキ貯蔵室との間に、表面を親
   水処理した縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め溝部と貫通
   孔とを有する一時的インキ溜め部材を配置し、該一時的
   インキ溜め部材にインキ導芯を少なくとも一時的インキ
   溜め溝後半位置において貫通孔との間にクリアランスを
   形成するよう貫通挿入した塗布具において、前記一時的
   インキ溜め部材後端に、貫通孔を有する表面未処理の継
   体を、その貫通孔が前記一時的インキ溜め部材の貫通孔
   と連接するよう連設し、前記継体の貫通孔とインキ導芯
   とのクリアランスを、前記したクリアランスより小さく
   したことを特徴とする塗布具。