JPH0434067Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、特に水性インキの流量を適量に制
御して、円滑に筆記することができる筆記具の流
量制御構造に関する。

（従来の技術） 従来、この種の筆記具にあつては、筆軸内のイ
ンキ貯溜部よりインキを筆記部に案内するに当
り、インキ誘導芯を用い中継芯にインキを導出す
るのであるが、その多くは単に誘導芯を中継芯中
に挿入するものであつた。また、中継芯に多孔質
材料を用い、筆記部にインキを円滑に供給するた
めインキを含浸してなるものもある。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記誘導芯が中継芯に単に挿入
されているため、長時間使用したり、高速の筆記
に用いると、インキの補給が充分でなくなること
が多く、筆記が困難となる場合がある。他方、イ
ンキの補給を充分にすると、その供給が過多とな
りインキのボタ落ちを防止することができない。
そこで、この考案は上記従来のものの欠点を改良
するものであり、インキ誘導芯より中継芯へのイ
ンキの流出を制御することにより、円滑な筆記を
可能にしようとするものである。

（問題点を解決するための手段） 外周軸方向に毛細溝を有するインキ誘導芯の先
端に多孔質よりなる中継芯を設けるとともに、こ
の中継芯を包囲する軸先端内壁に軸方向に毛細溝
を設け、上記誘導芯の毛細溝と軸先端内壁の毛細
溝とを連通させ、かつ、筆記先端に向け、繊維集
束体を結合してなるものである。

（作用） 上記構成をもつので、インキ誘導芯の毛細溝内
を通り案内されるインキは、中継芯を包囲する先
端軸内壁の毛細溝内に流入し、この毛細溝に沿
い、筆記に応じて軸方向にインキを流出させ、こ
れを中継芯内に含浸させた後、繊維集束体を介し
て筆記部にインキを流出させるものであるから、
中継芯におけるインキ含浸量の補給が迅速であ
り、インキ切れを生ずることがない。また、中継
芯が多孔質であるから、筆軸内の空気膨張等によ
り先端筆記部にインキが押出されても（毛細溝を
通じて流出するインキは僅かであり、溝の流出抵
抗が大きいので過度の流出は阻止される。）中継
芯に充分含浸できるので、ボタ落ちを防止するこ
とができる。

（実施例） この考案を図に示す実施例により説明する。第
１図乃至第３図はこの考案の要部の実施例を示
し、第４図はインキ誘導芯の１例を、第５図はこ
の考案の流量制御構造をもつ筆記具の実施例であ
る。各図面とも同一部品符号は同一部品を示すこ
ととする。１は軸先端部であり、内部に軸方向の
内孔８を具え、この内孔８に多孔質、例えばスポ
ンジ、綿等よりなる中継芯６を収容し、後端はイ
ンキ誘導芯３の先端面と当接する。インキ誘導芯
３は外周に軸方向に向う毛細溝（第２図では２
個）４を設け、先端において、内孔８の内壁に適
宜数設ける軸方向の毛細溝５に連通する。毛細溝
５は中継芯６の外周に接し、その適宜位置まで設
けられる。７は筆記部に向い中継芯６に挿入して
結合する繊維集束体であり、この先端が第２図に
示すように筆記部を形成することも、第３図に示
すようにボールを保持する金具９の後方より当接
して、筆記部であるボールにインキを導出するこ
ともできる。２は、軸先部１の内孔８開口端に固
定されて、繊維集束体７あるいはボール金具９を
連結するための連結金具である。第５図は、上記
のインキ流量制御構造を後部に櫛歯状ペン芯１０
を具え、先端にボールをもつ筆記具に取付けたも
のを示す。インキ誘導芯３は第４図と同様で、軸
方向に直角な平行歯（櫛歯）１１を設けたペン芯
１０内に挿入固定される。１２はペン芯１０外周
に設ける空気溝であり、インキ貯溜部１４の空気
膨張等によるインキ流出に当つては、上記櫛歯１
１内に一分的にインキを貯溜して外部への急激な
インキ流出（ボタ落ち）を阻止する。１５はイン
キ貯溜部を構成する中筒でペン芯１０に密嵌され
る。１３はらせん溝で徐々にインキ貯溜部１４内
に空気を導入する。１６は軸筒、１７は空気孔で
ある。実施例は以上のとおりの構造を具えるの
で、インキ貯溜部１４より、インキ誘導芯３の毛
細溝４を通じてインキはその先端まで導出し、つ
いで、その先端において軸先端部１の内孔８周壁
の毛細溝５を通じて中継芯６内に案内され、それ
を含浸する。中継芯６内のインキは、多数の単繊
維を束ねた繊維集束体７の毛細間隙より先端筆記
部あるいは、ボール筆記体に導出される。そし
て、例えば長時間の使用に当り、インキが中継芯
６から急速に消費されても、中継芯６の側面から
毛細溝５が接しているので、これを介して、イン
キ誘導芯３の毛細溝４とこれらに含まれるインキ
を補給できるので、円滑に筆記ができ、これは、
急速にインキを消費する高速筆記体の場合も同様
である。その上、毛細溝によりボタ落ちの危険も
回避でき、第５図に示すように、櫛歯状ペン芯を
用いればより適切にボタ落ちを防止できるもので
ある。特に水性インキを用いる場合に有効であ
る。

（考案の効果） 以上のとおりであるから、多孔質よりなる中継
芯とこれに側面より接する毛細溝を設ける簡単な
構成により、急激なインキの消費あるいは長時間
使用に際し、インキ切れを生ずることなく、しか
も、通常の利用に当つてもインキのボタ落ちのお
それがない等の優れた効果をもつものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第３図はこの考案の要部の一部断面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図を示し、第４
図はインキ誘導芯の斜視図であつて、第５図はこ
の考案のインキ流量制御構造をもつ筆記具の断面
図である。 １……軸先端部、２……インキ誘導芯、４，５
……毛細溝、６……中継芯、７……繊維集束体、
８……内孔、９……ボール筆記部、１０……ペン
芯、１１……櫛歯部、１４……インキ貯溜部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周軸方向に毛細溝を有するインキ誘導芯の先
   端に、多孔質よりなる中継芯を設けるとともに、
   この中継芯を包囲する軸先端部内壁に軸方向に毛
   細溝を設け、両毛細溝を連通し、かつ、中継芯に
   筆記先端に向け繊維集束体を結合してなる筆記具
   のインキ流量制御構造。