JPH06145514A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH06145514A
JPH06145514A JP31771892A JP31771892A JPH06145514A JP H06145514 A JPH06145514 A JP H06145514A JP 31771892 A JP31771892 A JP 31771892A JP 31771892 A JP31771892 A JP 31771892A JP H06145514 A JPH06145514 A JP H06145514A
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JP
Japan
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elastomer
weight
ethylene
olefin
polyamide
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Application number
JP31771892A
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English (en)
Inventor
Koichi Yokoyama
公一 横山
Akira Kobayashi
明 小林
Tatsuo Teraya
竜男 寺屋
Yuji Fujita
祐二 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリアミド系熱可塑性エラストマーとオレフ
ィン系エラストマーの特性をバランスよく兼備する軽量
で耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供す
る。 【構成】 (a)ポリアミド系熱可塑性エラストマー
と、(b)グリシジル化合物で変性されたオレフィン系
エラストマーを2重量%以上含有するオレフィン系エラ
ストマーとからなり、成分(a)と成分(b)の割合
が、重量比で(a)/(b)=98/2〜30/70で
あることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド系熱可塑性
エラストマーと変性オレフィン系エラストマーとを含有
する熱可塑性エラストマー組成物に関する。より詳しく
は、自動車の内外装品、ベルトやパイプ等の工業材料部
品、電気・通信部品、スポーツ用品、家電製品などの成
形品用等として好適な、ポリアミド系熱可塑性エラスト
マーとオレフィン系エラストマーの特性を兼備する熱可
塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】耐熱性、機械的強度およ
び絶縁性に優れたポリアミドの特性をゴム弾性と組合わ
せた熱可塑性エラストマー組成物が高性能エラストマー
として開発され、自動車産業、電気電子産業等の用途に
利用されている。ポリアミド系熱可塑性エラストマーは
ハードセグメントとしてポリアミド成分を有しているこ
とから耐熱性に優れるているが、比重が高いため製品の
軽量化が困難であること、および吸水性が高いため製品
にボイド(空泡部分)やシルバー(銀条)などの欠陥が
発生し易いなどの欠点を有している。
【0003】ポリアミド系熱可塑性エラストマーに比重
が小さく耐水性のオレフィン系エラストマーを配合する
ことにより、耐水性を有し軽量で耐熱性の熱可塑性エラ
ストマー組成物となることが期待される。しかし、ポリ
アミド系熱可塑性エラストマーとオレフィン系エラスト
マーは相溶性が悪いために、両者を配合した組成物では
エラストマーの特性は発揮されない。従って、本発明の
目的は、特に吸水性が高いというポリアミド系熱可塑性
エラストマーの欠点を解消した、軽量で耐熱性に優れた
熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、ポリアミド系熱可塑性エラスト
マーにグリシジル化合物で変性された特定量の変性オレ
フィン系エラストマーを配合することにより、ポリアミ
ド系熱可塑性エラストマーとオレフィン系エラストマー
の特性をバランスよく兼備し、特に吸水性が低く軽量で
耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる
ことを見出し、本発明に到達したものである。
【0005】すなわち、本発明は、(a)ポリアミド系
熱可塑性エラストマーと、(b)グリシジル化合物で変
性されたオレフィン系エラストマーを2重量%以上含有
するオレフィン系エラストマーとからなり、成分(a)
と成分(b)の割合が、重量比で(a)/(b)=98
/2〜30/70であることを特徴とする熱可塑性エラ
ストマー組成物である。
【0006】以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物を詳細に説明する。本発明で使用する(a)ポリアミ
ド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミド成分をハード
セグメントとし、エラストマー特性を付与するガラス転
移温度(Tg)の低いポリマーをソフトセグメントとす
る共重合体である。
【0007】ハードセグメントに使用するポリアミド
は、アミド結合を有する熱可塑性樹脂成分であり、例え
ば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−また
は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス
(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−
キシリレンジアミンのような脂肪族、脂環族または芳香
族のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸のような脂肪族、脂環族または芳香族のジカル
ボン酸とから製造されるポリアミド、6−アミノカプロ
ン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカ
ン酸のようなアミノカルボン酸から製造されるポリアミ
ド、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムのような
ラクタムから製造されるポリアミド、およびこれらの成
分からなる共重合ポリアミド、またはこれらのポリアミ
ドの混合物等が挙げられる。
【0008】上記ポリアミドの具体例としては、ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナ
イロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/
11、ナイロン6/12、ナイロン11、ナイロン1
2、ナイロン46、非晶質ナイロン、芳香族ナイロン等
が挙げられる。これらの中では、ナイロン6、ナイロン
11およびナイロン12が好ましい。
【0009】ソフトセグメントのポリマーとしては、ポ
リエーテルや脂肪族ポリエステルが用いられる。ポリエ
ーテルとしては、−(CH2 n −O−:(式中、nは
2〜10の整数を表わす。)を繰返し単位として有する
ものが挙げられるが、中でもnが4のポリテトラメチレ
ンエーテルグリコール(PTMG)が好ましい。また脂
肪族ポリエステルとしては、下記の繰返し単位: −CO(CH2 n −O− [式中、nは前記と同じ意味を表わす。]を有するもの
が挙げられるが、中でもnが4の−CO(CH2 4
O−を繰返し単位として有するポリカプロラクトンが好
ましい。
【0010】ハードセグメント(A)とソフトセグメン
ト(B)の割合は、重量比でA/B=95/5〜5/9
5、好ましくは90/10〜10/90である。重量比
が95/5を超えるとエラストマーとしての性質がなく
なり、5/95未満では耐油性、耐熱性の低下を招く。
【0011】本発明で使用するポリアミド系熱可塑性エ
ラストマーは、公知の方法に従って、例えば、下記式
(1)
【0012】
【化1】 HOOC−PA−COOH+HO−PE−OH → HO−(OC−PA−COO−PE−O)m −H … (1)
【0013】[式中、PAはポリアミド、PEはポリエ
ーテルまたはポリエステル、mは繰返し単位を表わ
す。]で示すように、ハードセグメントとなる末端カル
ボキシル基のポリアミドオリゴマーと末端ヒドロキシ化
合物のソフトセグメントとのエステル化による溶融重縮
合、下記式(2) で示すように、末端カルボキシル基のポ
リアミドオリゴマーと末端アミノ基のソフトセグメン
ト、または下記(3) で示すように、末端アミノ基のポリ
アミドオリゴマーと末端カルボキシル基のソフトセグメ
ントとのナイロン塩を経由する溶融重縮合による高分子
量化の2段階から合成される。
【0014】
【化2】 HOOC−PA−COOH+H2 N−PE−NH2 → HO−(OC−PA−CONH−PE−NH)m −H … (2)
【0015】
【化3】 H2 N−PA−NH2 +HOOC−PE−COOH → H−(HN−PA−NHCO−PE−CO)m −OH … (3)
【0016】[式中、PA、PEおよびmは前記と同じ
意味を表わす。]
【0017】本発明で使用する(b)グリシジル化合物
で変性されたオレフィン系エラストマーにおいて、変性
原料および未変性エラストマーとして用いられるオレフ
ィン系エラストマーとは、エチレンと、プロピレン、ブ
テン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等
のエチレン以外のα−オレフィンの1種または2種以上
との共重合体ゴムを意味する。α−オレフィンの1種ま
たは2種以上との共重合体ゴムの具体例としては、エチ
レン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−
ブテン共重合体ゴム(EBR)、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体ゴム(EPDM)等を挙げることがで
きる。
【0018】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴ
ム(EPDM)中のジエン成分としては、ジシクロペン
タジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエ
ン、メチレンノルボルネン等の非共役ジエン、またはブ
タジエン、イソプレン等の共役ジエンが挙げられる。オ
レフィン系エラストマー中のエチレン含有量は5〜95
重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%で
ある。エチレンの含有量が5重量%未満、あるいは95
重量%を超えると、エラストマーとしての性質の発現が
困難となる。また、オレフィン系エラストマーの結晶化
度は40重量%以下が好ましい。
【0019】本発明において使用するエチレン−プロピ
レン共重合体ゴム(EPR)は、エチレンから誘導され
る繰り返し単位の含有率が50〜80モル%、プロピレ
ンから誘導される繰り返し単位の含有率が20〜50モ
ル%であることが好ましい。より好ましくはエチレン系
の繰り返し単位の含有率が60〜70モル%、プロピン
系の繰り返し単位の含有率が30〜40モル%である。
また、EPRのメルトフローレート(MFR、230
℃、2.16kg荷重)は0.01〜50g/10分の範囲内にあ
るのが好ましく、より好ましくは 0.5〜30g/10分
である。
【0020】本発明において使用するエチレン−ブテン
共重合体ゴム(EBR)は、エチレンから誘導される繰
り返し単位の含有率が50〜90モル%、ブテンから誘
導される繰り返し単位の含有率が10〜50モル%であ
ることが好ましい。より好ましくはエチレン系の繰り返
し単位の含有率が60〜80モル%、ブテン系の繰り返
し単位の含有率が20〜40モル%である。また、EB
Rのメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷
重)は0.01〜50g/10分の範囲内にあるのが好まし
く、より好ましくは 0.5〜30g/10分である。
【0021】また、本発明において使用するエチレン−
プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)は、エチレン
から誘導される繰り返し単位の含有率が40〜70モル
%、プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有率が
30〜60モル%、およびジエンから誘導される繰り返
し単位の含有率が1〜10モル%であることが好まし
い。より好ましくはエチレン系の繰り返し単位の含有率
が50〜60モル%、プロピレン系の繰り返し単位の含
有率が40〜50モル%、およびジエン系の繰り返し単
位の含有率が3〜6モル%である。さらに、EPDMの
メルトフローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)
は0.01〜50g/10分の範囲内にあるのが好ましく、
より好ましくは 0.1〜30g/10分である。
【0022】本発明において使用するエチレン−プロピ
レン共重合体(EPR)、エチレン−ブテン共重合体ゴ
ム(EBR)、およびエチレン−プロピレン−ジエン共
重合体(EPDM)は、その特性を損なわない範囲内
で、例えば4−メチルペンテン−1などの他のα−オレ
フィンから誘導される繰り返し単位などの他の繰り返し
単位を、10モル%以下の割合まで含んでもよい。
【0023】本発明においては上述したオレフィン系エ
ラストマーにポリオレフィン、好ましくは結晶性ポリオ
レフィンを混合したオレフィン系エラストマー組成物を
用いることもできる。結晶性ポリオレフィンとしては、
エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4
−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィンの単独重合
体、エチレンとプロピレンまたは他のα−オレフィンと
の非エラストマー性共重合体、もしくはこれらのα−オ
レフィンの2種以上の非エラストマー性共重合体、ある
いはこれらの単独重合体同志、さらには単独重合体と共
重合体との混合物等を用いることができる。
【0024】これらのポリオレフィンの中では、ポリエ
チレンおよびポリプロピレンが好ましい。ポリエチレン
の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエ
チレン(HDPE)等が挙げられる。ポリオレフィンを
混合する場合、その混合量はオレフィン系エラストマー
とポリオレフィンの合計量を基準(100重量%)とし
て、80重量%以下、好ましくは50重量%以下であ
る。ポリオレフィンの混合量が80重量%を超えると、
エラストマーとしての特性が失われる。
【0025】変性剤としてはエポキシ基を少なくとも1
つ有する飽和もしくは不飽和のグリシジル化合物が使用
される。飽和グリシジル化合物としてはテレフタル酸ジ
グリシジルエステル、ビスフェノールAグリシジルエー
テルなどのエポキシ基を2つ有する化合物が挙げられ
る。不飽和グリシジル化合物としては、一般式(I)
【0026】
【化4】
【0027】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基であり、Arはグリシジルオキシ基を少な
くとも1つ以上有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素
基であり、pは1〜4の整数を表わす。]、一般式(II)
【0028】
【化5】
【0029】[式中、Rは前記と同じ意味を表わす。]
または一般式(III)
【0030】
【化6】
【0031】[式中、Xはメチレン基またはフェニレン
基を表わし、Rは前記と同じ意味を表わす。]で示され
るオレフィンと共重合可能な不飽和基とグリシジルオキ
シ基とを有する重合性の化合物が挙げられる。これらの
変性剤の中では不飽和グリシジル化合物が好ましいが、
一般式(I) および一般式(II)で示される化合物がより好
ましい。一般式(I) で示される不飽和グリシジル化合物
の中でも、特に下記一般式(IV)で示される化合物が好ま
しい。
【0032】
【化7】
【0033】[式中、Rは前記と同じ意味を表わす。]
このようなグリシジル化合物は、例えば特開昭60-13058
0 号に示されるような方法により製造することができ
る。
【0034】また、一般式(II)で示される不飽和グリシ
ジルエステルおよび一般式(III) で示される不飽和グリ
シジルエーテルとしては、グリシジルアクリレート(G
A)、グリシジルメタクリレート(GMA)、アリルグ
リシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテ
ル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が挙げられ、
中でもグリシジルメタクリレート(GMA)が好まし
い。これら重合性化合物は、通常単独で使用されるが、
2種以上併用することもできる。
【0035】本発明において好ましい変性オレフィン系
エラストマーは、前記の原料オレフィン系エラストマ
ー、中でもEPR、EBRまたはEPDMを、前記一般
式(I)で示される不飽和グリシジル化合物、特に一般式
(IV)で示されるグリシジル化合物で変性したものであ
る。上記変性オレフィン系エラストマーの変性剤として
のグリシジル化合物の含有量は原料オレフィン系エラス
トマーの種類などによって異なり一概には言えないが、
一般には0.01〜30重量%程度、好ましくは0.01〜10
重量%である。グリシジル化合物の含有量が0.01重量%
未満では、オレフィン系エラストマーの変性が不十分で
あり、30重量%を超える配合は経済的でなく、またポ
リアミド系熱可塑性エラストマーとのブレンド時にゲル
化を生ずる。
【0036】このような変性オレフィン系エラストマー
は溶液法または溶融混練法等の既知の変性法を利用して
得ることができる。また、市販のものから所望のものを
適宜選択して使用してもよい。変性法の具体例として、
グラフト重合による方法を以下に説明する。すなわち、
溶融混練法においては、オレフィン系エラストマーと前
述したグリシジル化合物、および必要に応じて触媒を用
い、これら成分を押出機や二軸混練機等に投入し、18
0〜300℃程度の温度に加熱して溶融しながら、0.1
〜20分程度混練して変性オレフィン系エラストマーを
得る。また溶液法の場合には、キシレン等の有機溶剤に
上記の出発物質を溶解し、90〜200℃程度の温度で
0.1 〜100時間撹拌しながら変性を行なう。
【0037】いずれの変性法の場合にも、触媒として通
常のラジカル重合用触媒、例えば過酸化ベンゾイル、過
酸化ラウロイル、過酸化ジターシャリーブチル、過酸化
アセチル、ターシャリーブチルペルオキシ安息香酸、過
酸化ジクミル、ペルオキシ安息香酸、ペルオキシ酢酸、
ターシャリーブチルペルオキシピバレート、2,5−ジ
メチル−2,5−ジターシャリーブチルペルオキシヘキ
シン等の過酸化物類や、α,α−アゾビスイソブチロニ
トリル等のアゾ化合物類等を用いることができる。触媒
の添加量は変性用のグリシジル化合物100重量部に対
して0.1 〜10重量部程度である。なお、上記のグラフ
ト反応時にフェノール系酸化防止剤を添加することも可
能である。
【0038】各成分の配合割合は、(a)ポリアミド系
熱可塑性エラストマーと、(b)グリシジル化合物で変
性されたオレフィン系エラストマーとが、重量比で
(a)/(b)=98/2〜30/70、好ましくは9
5/5〜40/60であり、成分(b)には未変性のオ
レフィン系エラストマーを成分(b)のうち80重量%
まで含有させることができる。重量比が30/70未満
であるか、または98/2を超えると、成分(a)およ
び成分(b)の2種類のエラストマー成分の一方の割合
が少なくなり、両者の組合せ使用によるエラストマー組
成物の物性の改善効果が認められない。また未変性のオ
レフィン系エラストマーを配合することにより、製造コ
ストの低減や成形性の向上などがはかれるが、全オレフ
ィン系エラストマー中80重量%を超えると相溶性が悪
くなり、成形品の表面剥離を生じる。
【0039】本発明では上記した物質以外にも、さらに
熱可塑性エラストマー組成物の強化や改質を目的として
その他の物質、例えば、ガラス繊維等の充填材や強化
材、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止
剤、発泡剤、造核剤等を添加配合することができる。本
発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記の各成分を
一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、混練ロ
ール、ブラベンダー等の混練機等を用いて溶融混練する
ことにより得ることができる。混練の温度は220〜3
00℃程度が適当であり、好ましくは240〜280℃
の範囲である。混練温度が220℃未満では各成分の混
練が十分に行なわれず、また300℃を超える温度では
熱可塑性エラストマー組成物が劣化する場合がある。
【0040】本発明において各成分の混練順序に特に制
限はなく、成分(a)と成分(b)を一括混練してよ
く、また成分(a)と成分(b)の所要量を適度に分割
して混練してもよい。さらには、成分(b)として未変
性のオレフィン系エラストマーを含む変性オレフィン系
エラストマーを用いる場合には、未変性オレフィン系エ
ラストマーと変性オレフィン系エラストマーとを独立し
た成分として混練することができる。例えば、未変性オ
レフィン系エラストマーと成分(a)とを混練した後、
変性オレフィン系エラストマーを混練してもよいし、そ
の他の混練順序をもとり得るものである。
【0041】
【作用】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリ
アミド系熱可塑性エラストマーにグリシジル化合物で変
性されたオレフィン系エラストマーを配合混練してなる
ものであり、吸水性が高いというポリアミド系熱可塑性
エラストマーの欠点が改善された軽量で耐熱性に優れた
熱可塑性エラストマー組成物である。本発明の熱可塑性
エラストマー組成物がこのような効果を発揮する理由は
必ずしも明らかではないが、変性オレフィン系エラスト
マー中のグリシジル成分がポリアミド系熱可塑性エラス
トマーとの親和性に優れているために相溶性が改善され
ることによると考えられる。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、各実施例および比較例にお
いて、原料および添加剤としては、以下のものを使用し
た。ポリアミド系熱可塑性エラストマー (1) TPE−1:[ハードセグメント:ナイロン6、宇
部興産株式会社製 PAE601 ]。 (2) TPE−2:[ハードセグメント:ナイロン12、
宇部興産株式会社製 PAE1201]。
【0043】オレフィン系エラストマー (1) エチレン−プロピレン共重合体ゴム EPR:[三井石油化学株式会社製 PO180、メルトフロ
ーレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)6.0 g/1
0分]。 (2) エチレン−ブテン共重合体ゴム EBR:[日本合成ゴム株式会社製 EBM2041P 、メルト
フローレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)4.8 g
/10分]。変性用モノマー AXE:下記化学式で表わされるグリシジル化合物[鐘
淵化学工業株式会社製]。
【0044】
【化8】
【0045】変性オレフィン系エラストマー (1) AXE変性エチレン−プロピレン共重合体ゴム(M
−EPR−1) エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)[三井石
油化学株式会社製 PO180]100重量部と、AXE3重
量部および有機過酸化物[パーヘキシン25B(日本油
脂株式会社製)]0.03重量部をドライブレンドした後、
これを直径30mmの一軸押出機を用いて、200℃、6
0rpm の条件で溶融混練したもの。メルトフローレート
(MFR、230℃、2.16kg荷重)4.6 g/10分、A
XEのグラフト率2.6 重量%。
【0046】なお、グラフト率は以下の方法で算出した
(以下、同様)。変性オレフィン系エラストマーを沸騰
キシレンに溶解し、不溶分を除去した後、メタノールに
より溶解成分を沈殿させ、これを50μm程度の厚さに
プレスし、IRスペクトルを測定し、AXEのC=O結
合の伸縮のピーク(1648cm-1)と、アイソタクティック
PPに特有のピークの1つ(840 cm-1)との比から、算
出した。
【0047】(2) AXE変性エチレン−プロピレン共重
合体ゴム(M−EPR−2) エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)[三井石
油化学株式会社製 PO180]80重量部と、ポリエチレン
(HDPE)[東燃化学株式会社製 J6170、メルトフロ
ーレート(MFR、190℃、2.16kg荷重)7.5 g/1
0分]20重量部と、AXE3重量部および有機過酸化
物[パーヘキシン25B(日本油脂株式会社製)]0.03
重量部をドライブレンドした後、これを直径30mmの一
軸押出機を用いて、200℃、60rpm の条件で溶融混
練したもの。メルトフローレート(MFR、230℃、
2.16kg荷重)3.2 g/10分、AXEのグラフト率2.3
重量%。
【0048】(3) AXE変性エチレン−プロピレン共重
合体ゴム(M−EPR−3) エチレン−プロピレン共重合体ゴム[日本合成ゴム株式
会社製 EPO2P、メルトフローレート(MFR、230
℃、2.16kg荷重)3g/10分]100重量部と、AX
E5重量部および有機過酸化物[パーヘキシン25B
(日本油脂株式会社製)]0.05重量部をドライブレンド
した後、これを直径30mmの一軸押出機を用いて、20
0℃、60rpm の条件で溶融混練したもの。メルトフロ
ーレート(MFR、230℃、2.16kg荷重)0.01g/1
0分、AXEのグラフト率4.2 重量%。
【0049】(4) AXE変性エチレン−ブテン共重合体
ゴム(M−EBR) エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)[日本合成ゴ
ム株式会社製 EBM2041P ]100重量部と、AXE3重
量部および有機過酸化物[パーヘキシン25B(日本油
脂株式会社製)]0.03重量部をドライブレンドした後、
これを直径30mmの一軸押出機を用いて、200℃、6
0rpm の条件で溶融混練したもの。メルトフローレート
(MFR、230℃、2.16kg荷重)2.3 g/10、AX
Eのグラフト率2.2 重量%。
【0050】実施例1〜15および比較例1〜12 ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPE−1または
TPE−2)と、オレフィン系エラストマー(EPRま
たはEBR)と、変性オレフィン系エラストマー(M−
EPR−1、M−EPR−2、M−EPR−3またはM
−EBR)とを第1表に示す割合でヘンシェルミキサー
によりドライブレンドした後、直径45mmの二軸押出機
(L/D=30)により、250℃の温度で、200rp
m にて溶融混練して熱可塑性エラストマー組成物のペレ
ットを得た。このペレットを射出成形し、成形品の比
重、破断点伸度、表面硬度、永久伸びおよび吸水率を測
定した。結果を第1表に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】第1表に示した各物性の測定方法は以下の
とおりである。 (1) 比重:JISK7112に準拠して測定。 (2) 破断点伸度(23℃):JISK6301に準拠して測定。 (3) 表面硬度(23℃):ASTM D2240に準拠し、ショア
D硬度を測定。 (4) 永久伸び(23℃):JISK6301に準拠し、100%
伸長にて評価。 (5) 吸水率:JISK7209に準拠して測定。
【0056】第1表から明らかなように、ポリアミド系
熱可塑性エラストマー(比較例1、2)に未変性のオレ
フィン系エラストマーを配合することにより(比較例3
〜12)、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの吸水性
が低下し軽量化する傾向が見られるものの、破断点伸度
が低く(100%以下)、永久伸びは測定不能であり、
エラストマー特性が失なわれてしまう。これに対してグ
リシジル化合物で変性されたオレフィン系エラストマー
を含有する本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、破
断点伸度、表面硬度および永久伸びのすべての物性をバ
ランスよく保持する軽量な組成物であり、特に吸水性の
改善が著しい。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の熱可塑性エ
ラストマー組成物は、ポリアミド系熱可塑性エラストマ
ーとオレフィン系エラストマーの特性をバランスよく保
持し、特に吸水性が高いというポリアミド系熱可塑性エ
ラストマーの欠点が改善された軽量で耐熱性に優れたエ
ラストマー組成物である。このような本発明の熱可塑性
エラストマー組成物は、各種エンジニアリング用エラス
トマーとして、特に自動車の内外装品、ベルトやパイプ
等の工業材料部品、電気・通信部品、スポーツ用品、家
電製品等用のエラストマー組成物として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 祐二 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリアミド系熱可塑性エラストマ
    ーと、(b)グリシジル化合物で変性されたオレフィン
    系エラストマーを2重量%以上含有するオレフィン系エ
    ラストマーとからなり、成分(a)と成分(b)の割合
    が、重量比で(a)/(b)=98/2〜30/70で
    あることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
JP31771892A 1992-11-02 1992-11-02 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JPH06145514A (ja)

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