JP2019206695A - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019206695A
JP2019206695A JP2019093541A JP2019093541A JP2019206695A JP 2019206695 A JP2019206695 A JP 2019206695A JP 2019093541 A JP2019093541 A JP 2019093541A JP 2019093541 A JP2019093541 A JP 2019093541A JP 2019206695 A JP2019206695 A JP 2019206695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
resin composition
rubber
reacts
olefin polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019093541A
Other languages
English (en)
Inventor
竜弥 榎本
Tatsuya Enomoto
竜弥 榎本
今井 正
Tadashi Imai
正 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Publication of JP2019206695A publication Critical patent/JP2019206695A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、極性ゴムと必要に応じてオレフィン系樹脂とを含み、各成分が高度に分散しており、機械的特性に優れるとともに、成形性にも優れた樹脂組成物、該樹脂組成物を含む成形体、およびそれらの製造方法を提供することを課題としている。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、カルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)、および必要に応じてオレフィン系重合体(D)を溶融混練してなる。【選択図】図1

Description

本発明は、極性ゴムと必要に応じてオレフィン系樹脂とを含む樹脂組成物、該樹脂組成物を含む成形体、ならびに該樹脂組成物の製造方法に関する。
極性ゴムは弾性に優れるとともに、軟質で伸びが大きく、耐摩耗性や耐油性にも優れるといった特性を有している。しかしながら極性ゴムは、このような特性を有する半面、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂と比較して、通常成形性には劣る。
一方で、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂は、安定した特性を有するとともに成形性に優れることから各種用途に用いられているが、弾性や伸びは比較的小さい。
また、非極性ゴムとポリオレフィン系樹脂とを混合してなる樹脂組成物を用いた成形体は、伸び等の機械物性は出るが耐油性等に劣る。
このため、ゴム弾性及び耐油性を有するとともに、成形性にも優れた樹脂組成物が望まれるが、極性ゴムとポリオレフィン系樹脂とを混合してなる樹脂組成物はゴムの配合量から期待される伸びを示すものではない。極性ゴムとポリオレフィンとを混合して得た樹脂組成物が、期待される程度の伸びを示さない理由の一つとして、両者の相容性が小さく、互いに十分に分散されていないことが考えられる。このため極性ゴムとポリオレフィンとが高度に相容化した樹脂組成物の出現が望まれていた。
特許文献1には、オレフィン重合体と、ニトリルゴムと、オレフィン重合体とニトリルゴムの両方に対して親和性を有するブロック共重合体とからなる重合体組成物が記載されている。このブロック共重合体は、グラフト形成性官能基を含有するオレフィン重合体またはグラフト形成性官能基を有するニトリルゴムから導かれたものであり、ニトリルゴム相溶化作用性分子セグメントとオレフィン重合体相溶化作用性分子セグメントとを有する。
特許文献2には、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィンと、カルボジイミド基含有化合物とを反応させて得られる樹脂改質剤が記載されている。また、特許文献3には、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィンと、カルボジイミド基含有化合物とを、に変性ポリオレフィンの存在下で反応させて得られる接着剤が記載されている。しかしながらこれらの文献には、極性ゴムとポリオレフィンとの相容性を向上させることについては教示されていなかった。
特開昭56−143233号公報 国際公開番号WO2005/097840 国際公開番号WO2006/098290
本発明は、極性ゴムを含み、オレフィン系重合体との相容性に優れた樹脂組成物、極性ゴムと必要に応じてオレフィン系樹脂とを含み、各成分が高度に分散し、相容化された状態で含まれた、機械的特性に優れるとともに、成形性にも優れた樹脂組成物、該樹脂組成物を含む成形体、ならびに該樹脂組成物の製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、次の〔1〕〜〔17〕の事項に関する。
〔1〕カルボジイミド基含有化合物(A)、
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、および
極性ゴム(C)を
溶融混練してなる樹脂組成物。
〔2〕オレフィン系重合体(D)をさらに含む、前記〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕前記カルボジイミド基含有化合物(A)と前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)を含有する、前記〔1〕または〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕前記極性ゴム(C)が、カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)を含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔5〕前記カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)が、活性水素を有する基を側鎖に有する極性ゴムである、前記〔4〕に記載の樹脂組成物。
〔6〕前記カルボジイミド基含有化合物(A)と前記カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)との反応生成物(II)を含有する、前記〔4〕または〔5〕に記載の樹脂組成物。
〔7〕前記カルボジイミド基含有化合物(A)が、下記一般式で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
−N=C=N−R1
(式中、R1は2価の有機基を示す。)
〔8〕前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)が、活性水素を有する基を側鎖に有するオレフィン系重合体である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔9〕前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)が、ポリオレフィンと、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物とのグラフト共重合体である、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔10〕前記極性ゴム(C)が、カルボキシ基含有ニトリルゴム、カルボキシ基含有ニトリルゴムの水添物、ニトリルゴム、ニトリルゴムの水添物、カルボキシル基含有アクリルゴム、エポキシ基含有アクリルゴム、アクリルゴム、カルボキシ基含有エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、多硫化ゴム、フッ素ゴムおよび水素化エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエンゴムよりなる群から選ばれる1種以上である、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔11〕前記カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)が、活性水素を有する基を側鎖に有する極性ゴムである、前記〔4〕〜〔10〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔12〕前記オレフィン系重合体(D)が、プロピレン系重合体である、前記〔2〕〜〔11〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔13〕前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、
前記極性ゴム(C)、および、
オレフィン系重合体(D)
の合計100質量部に対して、前記カルボジイミド基含有化合物(A)を0.01〜30質量部の範囲で含有する、前記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔14〕前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)およびオレフィン系重合体(D)の合計と、前記極性ゴム(C)との質量比が、1:99〜99:1を満たす、前記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔15〕走査型電子顕微鏡(SEM)による200倍以上の画像で海島構造が観察され、島相の平均粒子径が0.01〜20μmである、前記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔16〕前記〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する成形体。
〔17〕カルボジイミド基含有化合物(A)、
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、
極性ゴム(C)、および、
必要に応じてオレフィン系重合体(D)を、
逐次または同時に溶融混練する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、極性ゴムを含みオレフィン系重合体との相容性に優れた樹脂組成物、相容性が良好な状態で極性ゴムとオレフィン系重合体とを含む樹脂組成物、該樹脂組成物を含む成形体、ならびに該樹脂組成物の製造方法を提供することができる。すなわち本発明によれば、極性ゴムを含みオレフィン系重合体との相容性に優れた樹脂組成物、極性ゴムとオレフィン系重合体とが高度に分散されており、伸張性等の機械物性および耐油性に優れるとともに、成形性にも優れた樹脂組成物、およびその製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1で得た樹脂組成物のSEMによる200倍画像を示す。 図2は、実施例2で得た樹脂組成物のSEMによる200倍画像を示す。 図3は、比較例1で得た樹脂組成物のSEMによる200倍画像を示す。 図4は、比較例2で得た樹脂組成物のSEMによる200倍画像を示す。 図5は、比較例5で得た樹脂組成物のSEMによる200倍画像を示す。
以下、本発明について具体的に説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、カルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)、および必要に応じてオレフィン系重合体(D)を、逐次または同時に溶融混練してなる。
カルボジイミド基含有化合物(A)
本発明で用いられるカルボジイミド基含有化合物(A)は、−N=C=N−で表されるカルボジイミド基を有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは下記一般式で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。
−N=C=N−R1
〔式中、R1は2価の有機基を示す〕
ポリカルボジイミドの合成法は特に限定されるものではないが、例えば有機ポリイソシアネートを、イソシアネート基のカルボジイミド化反応を促進する触媒の存在下で反応させることにより、ポリカルボジイミドを合成することができる。
本発明で用いられるカルボジイミド基含有化合物(A)が、前記のポリカルボジイミドである場合、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、通常400〜500,000、好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは2,000〜4,000である。数平均分子量(Mn)がこの範囲にあると、樹脂組成物中の各成分が良好な相容性を示し、得られる樹脂組成物がゴム弾性および耐油性を有するとともに、成形性にも優れたものとなるため好ましい。
本発明に用いられるカルボジイミド基含有化合物(A)は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。たとえば、ポリカルボジイミドのみを用いてもよく、ポリカルボジイミドとモノカルボジイミドとを併用してもよく、モノカルボジイミドのみであってもよい。本発明では、用いるカルボジイミド基含有化合物(A)が、ポリカルボジイミドを含むことが好ましい。
なお、カルボジイミド基含有化合物(A)としては、市販のカルボジイミド基含有化合物をそのまま使用することも可能である。市販のカルボジイミド基含有化合物としては、日清紡ケミカル株式会社製 カルボジライトHMV−8CA、HMV−15CA、LA1などが挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物(A)および得られた樹脂組成物中におけるカルボジイミド基含有量は、13C−NMR、IR、滴定法等により測定でき、カルボジイミド当量として把握することが可能である。13C−NMRでは130から142ppm、IRでは2130〜2140cm-1にピ−クを観察することが可能である。
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)
本発明で用いられる、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)は、特に限定されるものではないが、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)を用いて、カルボジイミド基と反応する基を、ポリオレフィンに導入することにより得ることができる。
カルボジイミド基と反応する基をポリオレフィンに導入する方法としては、周知の方法を採用することが可能であるが、例えば、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)をポリオレフィン主鎖にグラフト共重合する方法や、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)とオレフィンとをラジカル共重合する方法等を例示することができる。
以下に、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)を、グラフト共重合で得る場合、ならびにラジカル共重合で得る場合について、具体的に説明する。
[グラフト共重合]
本発明に係る、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)は、主鎖となる未変性のポリオレフィン(以下、ポリオレフィン主鎖ともいう)に対し、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)をグラフト共重合することによって得ることが可能である。
<未変性のポリオレフィン(ポリオレフィン主鎖)>
ポリオレフィン主鎖として用いられる未変性のポリオレフィンは、炭素数2〜20の脂肪族α−オレフィン、環状オレフィン、非共役ジエンを主成分とする重合体であり、好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィン、更に好ましくは2〜8のα−オレフィンを主成分とする重合体である。これらのオレフィンは、1種単独でも2種以上使用してもよい。本発明においては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、テトラシクロドデセン、ノルボルネンの単独重合体または共重合体を好ましく用いることができる。また、これらはアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。
本発明の樹脂組成物では、原料となるカルボジイミド基含有化合物(A)が、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)および/または後述する極性ゴム(C)の少なくとも一部と、溶融混練により反応し、生じた反応生成物が相容剤として作用することにより、極性ゴム(C)とオレフィン系重合体(D)との相容性が向上すると考えられる。本発明の樹脂組成物は、カルボジイミド基含有化合物(A)と、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)を含有することが好ましい。
ここで、反応生成物(I)による相容性向上の効果は、反応生成物(I)がオレフィン系重合体(D)と近似した主鎖を有する場合により顕著になることから、反応生成物(I)の主鎖となる、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の主鎖と、オレフィン系重合体(D)の主鎖の構造とは、近似していることがより好ましい。
たとえば、後述するオレフィン系重合体(D)がプロピレン系重合体である場合には、ポリオレフィン主鎖として、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体等のプロピレン系重合体を好ましく選択して用いることができる。
グラフト共重合に用いるポリオレフィンの密度、すなわちカルボジイミドと反応する基を導入する前のポリオレフィン主鎖の密度は、通常0.8〜1.2g/cm3、好ましくは0.90〜1.1g/cm3、更に好ましくは0.925〜1.0g/cm3である。
また、ポリオレフィン主鎖のASTM D1238による190℃または230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、通常0.01〜500g/10分、好ましくは0.05〜200g/10分、さらに好ましくは0.1〜100g/10分である。密度およびMFRがこの範囲にあれば、変性後のグラフト共重合体の密度、MFRも同程度となることからハンドリングしやすい。
また、グラフト共重合に用いるポリオレフィン主鎖の結晶化度は、通常2%以上、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上である。結晶化度がこの範囲にあれば、変性後のグラフト共重合体のハンドリング性に優れる。
グラフト共重合に用いるポリオレフィン主鎖のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜100,000である。平均分子量(Mn)がこの範囲にあれば、ハンドリング性に優れる。なお、数平均分子量は、エチレン系ポリオレフィンにおいては、コモノマー量が10モル%以下であればポリエチレン換算、10モル%以上であればエチレン−プロピレン換算(エチレン含量70モル%を基準)で求めることが可能である。
上記のようなポリオレフィン主鎖の製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いて重合することができる。また、グラフト変性に用いられるポリオレフィンは、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
本発明において、ポリオレフィン主鎖となる未変性のポリオレフィンは、後述するオレフィン系重合体(D)と、近似した性状であってもよく、全く異なる種類であってもよいが、高度な相容性が求められる場合には、密度、モノマー構成、立体規則性、ランダム/ブロック等の構造単位配列等がオレフィン系重合体(D)と近似した性状であることが好ましく、特にモノマー構成が近似していることが好ましい。また、ポリオレフィン主鎖となる未変性のポリオレフィンは、熱可塑性を有するポリオレフィン樹脂であることがより好ましい。
<カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)>
カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)としては、カルボジイミド基と反応性を有する活性水素を持つ基を有する化合物が挙げられ、具体的には、カルボン酸、無水カルボン酸、アミン、アルコール、チオール等に由来する基を持つ化合物が挙げられる。すなわち本発明では、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)として、たとえば、カルボジイミド基と反応する基として、無水カルボン酸基、カルボキシ基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)などの基を有するポリオレフィンが好適に用いられる。
カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)としては、前記のうち、カルボン酸あるいは無水カルボン酸などの不飽和カルボン酸に由来する基を持つ化合物が好適に用いられ、中でも不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が好ましく用いられる。また、活性水素を持つ基を有する化合物以外でも、水などにより容易に活性水素を有する基に変換される基を有する化合物も好ましく使用することができ、具体的にはエポキシ基、グリシジル基を有する化合物が挙げられる。本発明において、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)は、1種単独でも、2種以上を使用してもよい。
本発明において、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)として不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を用いる場合、化合物(b)としては、カルボキシ基を1以上有する不飽和化合物、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物およびその誘導体を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。具体的な化合物(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。酸無水物あるいは誘導体類の具体的な例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。
カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)として不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を使用する場合には、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。更には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などのジカルボン酸無水物であることが特に好ましい。
<グラフト共重合方法>
本発明で用いられる、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)を、グラフト共重合(グラフト変性)により得る方法としては、主鎖となる上記のポリオレフィン(ポリオレフィン主鎖)に、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)を、ラジカル開始剤の存在下、グラフト共重合する方法が挙げられる。このようなグラフト共重合は、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)とともに、更に必要に応じてその他のエチレン性不飽和単量体等を共存させて行ってもよい。
カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)をポリオレフィン主鎖にグラフト共重合させる方法については特に限定されず、溶液法、溶融混練法等、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。
[ラジカル共重合]
本発明で用いる、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)は、オレフィンと、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)とをラジカル共重合することによっても得ることが可能である。オレフィンとしては、上述のポリオレフィン主鎖を形成する場合のオレフィンと同一のものを採用することが可能であり、また、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)としては、グラフト共重合の項において上述したものが用いられる。
オレフィンとカルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)とを共重合させる方法については特に限定されず、従来公知のラジカル共重合法を採用することができる。
[カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の特性]
本発明で使用されるカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)は、カルボジイミド基含有化合物(A)とともに用いられて得られる樹脂組成物中においては、通常少なくとも一部がカルボジイミド基含有化合物(A)と反応し、反応生成物(I)を形成する。本発明に係る樹脂組成物が、構成する各成分が高度に分散した形態を示し、機械的特性に優れるのは、この反応生成物(I)が樹脂組成物中において、相容化剤としての作用を示すことが一因であると考えられる。
本発明で使用されるカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)中におけるカルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の含有量(化合物(b)に由来する部分の含有量)は、通常は0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜3.0質量%、さらに好ましくは0.1〜2.0質量%である。カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の含有量が上記範囲内であると、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応が生じやすいため好ましい。
本発明においては、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)中の、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の含有量が上記範囲内であると、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)の結合部分が生じ、得られる樹脂組成物中において、相容化剤としての作用を示すため好ましい。
架橋によるゲル化を防止するためには、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の数平均分子量が低いほど、また、(カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)のモル数)/(カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)のモル数)のモル比が小さいことが好ましい。これは即ち、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の主鎖上に、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)が複数でなく、単数に近い状態で存在している場合には、カルボジイミド基含有化合物(A)のカルボジイミド基(N=C=N)が、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)部と反応する際、架橋、ゲル化することなく結合できることを意味している。
本発明においては、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の数平均分子量(Mn)と、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の含有量とを制御することにより、樹脂組成物製造時にカルボジイミド基含有化合物(A)との反応生成物(I)を形成した場合にも、架橋によるゲル化が生じ難く、製造安定性を保つことができ、また、得られる樹脂組成物中において、反応生成物(I)が相容化剤としての性能を十分に発現することができる。
本発明においては、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)は、以下の式(1)を満足していることが好ましい。
0.1<Mn/{(100−M)*f/M}<6 …(1)
(式(1)中、
f :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の式量(g/mol)
M :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の含有量(質量%)
Mn:カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の数平均分子量である。)
また、架橋によるゲル化を生じさせないという製造安定性の観点から、更に好ましくは以下の式(2)を満足する範囲であり、最も好ましくは式(3)を満足する範囲である。
0.3<Mn/{(100−M)*f/M}<4 …(2)
0.5<Mn/{(100−M)*f/M}<2.8 …(3)
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の数平均分子量(Mn)とカルボジイミド基と反応する基を有する化合物(b)の関係が上記範囲にあると、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)が生成する際、あるいは樹脂組成物を製造する際に、カルボジイミド基含有化合物(A)に起因する架橋によるゲル化を抑制し、安定して製造することが可能となる。
また本発明においては、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)をグラフト重合により得る場合には、グラフト主鎖となるポリオレフィンが、線状低密度ポリエチレンのようなエチレン含有量の多い樹脂である場合には、エチレン・ブテン共重合体のようなα−オレフィン共重合量の多い樹脂に比較すると架橋しやすい傾向がある。そのため、エチレン含有量の多い樹脂をグラフト主鎖として用いる場合には、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物が、ポリオレフィンの分子鎖上に単数に近い数で存在するほど、すなわち、上記計算式の数字が低いほど、架橋によるゲル化を抑制することが可能となる。
なお、数平均分子量は、GPC法、光散乱法、低角度光散乱光度法、蒸気圧浸透圧法、膜浸透圧法など高分子の一般的な分子量測定法にて求めることが可能である。
本発明に使用されるカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)のASTM D1238による荷重2.16kg、190℃または230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物を構成する極性ゴム(C)およびオレフィン系重合体(D)の特性にもよるが、通常0.01〜500g/10分、好ましくは0.05〜300g/10分である。上記範囲にあると、得られる樹脂組成物中において、極性ゴム(C)とオレフィン系重合体(D)との相容性がより優れたものとなるため好ましい。
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の密度は、通常0.8〜1.2g/cm3、好ましくは0.8〜1.1g/cm3、更に好ましくは0.8〜1.0g/cm3である。
このような範囲にある、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の中では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン1、ポリ−4−メチルペンテン−1およびこれらとα−オレフィンとの共重合体などの結晶性ポリオレフィンの無水マレイン酸グラフト共重合体が好ましく、相容化の対象にもよるが、ポリエチレンまたはポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト共重合体がより好ましく、ポリプロピレンの無水マレイン酸グラフト共重合体がさらに好ましい。
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の密度は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物を構成するオレフィン系重合体(D)の密度に近いもの、極性ゴム(C)の密度に近いもの、あるいは極性ゴム(C)の密度とオレフィン系重合体(D)の密度の間の密度のものが、より好ましい。
このようなカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)は、上述したグラフト共重合あるいはラジカル共重合により適宜調製したものを用いてもよく、また、市販のものを用いてもよい。市販のカルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(A)としては、たとえば、三井化学株式会社製アドマー(登録商標)、Arkema社製Orevac(登録商標)、Addivant社製Polybond(登録商標)等が挙げられる。
極性ゴム(C)
極性ゴム(C)としては、極性を有するゴム類を特に制限なく用いることができるが、その分子構造中に炭素(C)と水素(H)のほかに、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、ハロゲン(F、Cl、Br等)、リン(P)等の原子を含有する極性基を有するゴムが好ましく、側鎖に極性基を有するゴムがより好ましい。
極性ゴム(C)としては、具体的には、たとえば、カルボキシ基含有ニトリルゴム、カルボキシ基含有ニトリルゴムの水添物、ニトリルゴム、ニトリルゴムの水添物、カルボキシル基含有アクリルゴム、エポキシ基含有アクリルゴム、アクリルゴム、カルボキシ基含有エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、多硫化ゴム、フッ素ゴムおよび水素化エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエンゴム等が挙げられる。これらの中でも特にニトリルゴムやカルボキシ基含有ニトリルゴムが好ましい。
本発明で用いられる極性ゴム(C)は、数平均分子量が5,000〜2,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは10,000〜500,000の範囲である。ゴム組成物の用途にもよるが、数平均分子量が前記下限値以上であると、所望のゴム強度物性が得られやすく、また、前記上限値以下であると、所望の成形加工性が得られやすいため好ましい。
また、極性ゴム(C)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜150である。ムーニー粘度が前記下限値以上であると、所望のゴム強度物性が得られやすく、また、前記上限値以下であると、未架橋状態での取り扱い性が良好で、所望の加工性及び成形性が得られやすいため好ましい。
極性ゴム(C)は、溶解度パラメーター(SP値)が、通常16.5〜30(MPa)0.5、好ましくは17〜29(MPa)0.5、より好ましくは17.5〜28(MPa)0.5であることが望ましい。
極性ゴム(C)は1種単独で用いられてもよく、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
<カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)>
本発明の樹脂組成物においては、極性ゴム(C)は、カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)を含有することも好ましい。本発明では、極性ゴム(C)の全量がカルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)であってもよく、また、極性ゴム(C)の一部がカルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)であってもよい。ここで、カルボジイミド基と反応する基とは、活性水素を有する基、または水などにより容易に活性水素を有する基に変換される基を意味する。
カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)としては、たとえば、無水カルボン酸基、カルボキシ基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)などのカルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴムが挙げられ、特にカルボキシ基を含有する極性ゴムが挙げられる。
好ましくは、カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)としては、カルボキシ基含有ニトリルゴム、カルボキシ基含有ニトリルゴムの水添物、カルボキシル基含有アクリルゴム、エポキシ基含有アクリルゴム、カルボキシ基含有エピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。
カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)は、好ましくは、活性水素を有する基を側鎖に有する極性ゴムである。
カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)は、1種単独で用いられてもよく、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
本発明の樹脂組成物を構成する極性ゴム(C)が、カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)を含有する場合、溶融混練の順序等の製造工程にもよるが、得られる樹脂組成物中に、カルボジイミド基含有化合物(A)と、カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)との反応生成物(II)が含まれることとなる。樹脂組成物が反応生成物(II)を含む場合には、樹脂組成物中の各成分の相容性がより向上するため好ましい。
オレフィン系重合体(D
本発明の樹脂組成物は、上述したカルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応性を有する基を有するオレフィン系重合体(B)、および極性ゴム(C)に加えて、必要に応じてオレフィン系重合体(D)を原料として含んでもよい。
本発明の樹脂組成物を構成するオレフィン系重合体(D)は、オレフィンから導かれる構造単位を主として有する重合体あるいは共重合体であって、カルボジイミド基と反応性を有する基を実質的に有さない。カルボジイミド基と反応性を有する基を「実質的に有さない」とは、本発明の樹脂組成物として調製された状態において、カルボジイミド基含有化合物(A)のカルボジイミド基と実際には反応しないこと、あるいはたとえその基が極少量含まれていたとしても本発明の作用効果への寄与が認められない程度であることを意味する。
オレフィン系重合体(D)としては、上述のカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)の主鎖である、ポリオレフィン主鎖の項に記載したものと同様のものが例示される。すなわち、本発明で用いられるオレフィン系重合体(D)は、炭素数2〜20の脂肪族α−オレフィン、環状オレフィン、非共役ジエンを主成分とする重合体あるいは共重合体であり、好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィン、更に好ましくは2〜8のα−オレフィンを主成分とする重合体あるいは共重合体である。モノマーとなるこれらのオレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上使用してもよい。コモノマーの含有量は、通常50モル%以下であり、好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
本発明において、オレフィン系重合体(D)は、通常、熱可塑性を有するポリオレフィン樹脂である。
本発明においては、オレフィン系重合体(D)として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、テトラシクロドデセン、ノルボルネンの単独重合体または共重合体を好ましく用いることができる。また、これらはアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。上記のようなポリオレフィンの製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いて重合することができる。
本発明では、オレフィン系重合体(D)が、ポリプロピレン系重合体であることが好ましく、ポリプロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体等のプロピレン系重合体を好ましく選択して用いることができる。オレフィン系重合体(D)がポリプロピレン系重合体である場合、ASTM D1238に準じ、2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.01〜500g/10分、好ましくは0.05〜200g/10分、より好ましくは0.1〜100g/10分の範囲であることが望ましい。
その他の成分
本発明の樹脂組成物は、上述したカルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)、および必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)以外の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で原料として含有してもよい。
すなわち、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、エラストマー等を配合することができる。また、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、加工助剤、密着性付与剤、無機充填剤、ガラス繊維等の無機繊維、アクリル繊維、PET繊維、PEN繊維、ケナフ、植物繊維等の有機繊維、有機フィラー、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤、補強剤、架橋剤、架橋助剤、活性剤、吸湿剤、着色剤、および増粘剤等の添加剤を配合することもできる。
これらのその他の成分は、樹脂組成物の製造時の原料として、樹脂組成物の製造時に添加してもよく、また、樹脂組成物が得られた後で添加してもよい。
樹脂組成物およびその製造方法
本発明の樹脂組成物は、上述したカルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)、および必要に応じてオレフィン系重合体(D)を溶融混練してなる。本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、上述したその他の成分を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物中においては、上述したカルボジイミド基含有化合物(A)と、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)が有する「カルボジイミド基と反応する基」とが、溶融混練により少なくとも一部反応し、前記カルボジイミド基含有化合物(A)と前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)を形成している場合があると考えられる。この反応生成物(I)は、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)に由来するポリオレフィン鎖を有するとともに、カルボジイミド基を有する。このような反応生成物(I)は、極性基であるカルボジイミド基を有することから極性ゴム(C)との相容性に優れ、かつ、ポリオレフィン鎖を有することからオレフィン系重合体(D)との相容性にも優れるものとなる。このため、本発明の樹脂組成物は、極性ゴム(C)が樹脂組成物中においてその他の成分と良好な相容性を示すものとなり、特に本発明の樹脂組成物がオレフィン系重合体(D)を含む場合には、極性ゴム(C)とオレフィン系重合体(D)とが、両者を単に混合した場合と比較して、高度に混ざりあい、良好に分散された状態となる。このため本発明の樹脂組成物は、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)を含有することが好ましい。
また、原料である極性ゴム(C)の少なくとも一部としてカルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)を含む場合には、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)との少なくとも一部が、溶融混練により反応し、樹脂組成物内において、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)との反応生成物(II)を形成している場合があると考えられる。この反応生成物(II)は、極性ゴムの骨格を有し、かつカルボジイミド基を有することから、反応による消費がなされていない極性ゴム(C)との相容性に優れる。
本発明の樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、オレフィン系重合体(D)を含有する場合、極性ゴム(C)とオレフィン系重合体(D)とを、原料の質量比(C):(D)が、通常1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5を満たす割合で含有することが望ましい。本発明の樹脂組成物は、たとえば、極性ゴム(C)とオレフィン系重合体(D)とを、原料の質量比(C):(D)が、1:99〜49:51となる割合で含んでいてもよく、51:49〜99:1となる割合で含んでいてもよく、また、30:70〜70:30となる割合で含んでいてもよい。
また本発明の樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、カルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)、および必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)の合計100質量%中において、カルボジイミド基含有化合物(A)を通常0.01〜30質量%、好ましくは0.01〜20質量%の割合で、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)を通常0.05〜80質量%、好ましくは0.1〜70質量%の割合で、極性ゴム(C)を通常10〜95質量%、好ましくは20〜90質量%の割合で、オレフィン系重合体(D)を通常1〜90質量%、好ましくは10〜85質量%、より好ましくは20〜80質量%の割合で、原料として用いることが好ましい態様である。
本発明の樹脂組成物の製造において、カルボジイミド基含有化合物(A)のポリオレフィン類に対する配合割合、すなわち、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)と必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)との合計100質量部に対するカルボジイミド基含有化合物(A)の割合((A)の{(B)+(D)}に対する割合)は、カルボジイミド基含有化合物(A)のカルボジイミド基含有量および各成分の分子量にもよるが、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.03〜25質量部の範囲であることが望ましい。
また本発明の樹脂組成物は、極性ゴム(C)と、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)と必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)の合計との質量比(C):{(B)+(D)}が、通常1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5を満たすことが望ましい。
さらに本発明の樹脂組成物の製造において、カルボジイミド基含有化合物(A)の配合量は、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)および必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)の合計100質量部に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部の範囲であることが望ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用できる。たとえば、カルボジイミド基含有化合物(A)、カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、極性ゴム(C)および必要に応じてオレフィン系重合体(D)、あるいはさらに必要に応じて配合される樹脂および添加剤等のその他の成分とを、一括で、または逐次に溶融混練する方法が挙げられる。すなわち本発明の樹脂組成物は、原料となる各成分を、一括で配合して溶融混練して調製してもよく、また、各成分を任意の順番で逐次に添加して溶融混練することにより調製してもよい。
溶融混練する方法としては、たとえば、樹脂組成物の各成分をドライブレンドした後、一軸もしくは二軸の押出機、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダー等で溶融混練する方法などが挙げられる。溶融混練する温度については、各成分が溶融する温度を採用するのが好ましく、溶融混練に供する原料のうち最も融点が高い成分の融点よりも高い温度を採用するのが好ましいが、通常130〜400℃、好ましくは160〜280℃の温度範囲で実施するのが一般的である。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述したその他の成分を含んでもよい。その他の成分は、樹脂組成物の製造時の原料として、他の原料ともに当初より配合して溶融混練してもよく、また、(A)、(B)、(C)、および必要に応じて(D)成分からなる溶融混練物を調製した後に、引き続き添加してもよく、また使用時に別途添加してもよい。
本発明の樹脂組成物は、溶融混練を経て調製されることにより、通常、カルボジイミド基含有化合物(A)とカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)とがの反応生成物(I)を含み、これと極性ゴム(C)とが高度に分散して混合されていることにより、反応生成物(I)と極性ゴム(C)とが高度に分散した樹脂組成物となり、極性ゴムを単独で用いる場合よりも成形性に優れる。またオレフィン系重合体との相容性に優れ、本発明の樹脂組成物をさらにオレフィン系重合体と混合した場合にも優れた相容性を示す。本発明の樹脂組成物中においては、極性ゴム(C)および必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)が高度に分散しており、樹脂組成物から得られる成形体が高い耐油性および伸び特性を示す。また、本発明の樹脂組成物は、極性ゴムを含有する従来の樹脂組成物と比較して優れた成形性を有する。本発明の樹脂組成物中において、極性ゴム(C)と、必要に応じて用いられるオレフィン系重合体(D)とが高度に分散していることについては、たとえば、樹脂組成物から得られた成形体の表面あるいは断面を、顕微鏡等で観察し、分散した粒子径が充分に小さいことにより容易に確認することができる。
本発明の樹脂組成物は、走査型電子顕微鏡(SEM)による200倍以上の画像で、海島構造が観察され、島相の平均粒子径が好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.01〜10μmの範囲であることが望ましい。
成形体
本発明の成形体は、上述した本発明の樹脂組成物を含有する。本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を少なくとも一部に含有するものであればよい。
本発明の成形体を製造するための成形方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の方法を採用することができ、たとえば、射出成形、プレス成形、押出成形等の方法を採用することができる。
本発明の成形体は、上述した本発明の樹脂組成物を含むことにより、柔軟性、弾性、破断強度等の機械的特性に優れるとともに、成形性にも優れ容易に製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<測定・評価方法>
以下の実施例および比較例において、各性状は以下のようにして測定あるいは評価した。
数平均分子量(Mn)
数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HTを2本およびTSKgel GMH6−HTLを2本使用し、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおいては、ポリプロピレン換算により算出した。
破断強度(TB)(MPa)、破断伸び(EB)(%)
樹脂組成物を210℃でプレス成形して、厚さ1mmのプレスシートを作製し、このプレスシートを打ち抜いてダンベル状(JIS−6号)試験片を作製した。この試験片を用いて引張速度200mm/minで引張り強さ(TB)および破断伸び(EB)を測定した。
粒子径
四酸化オスミウムでゴム相を染色した試料を、走査型電子顕微鏡(測定装置:日本電子株式会社製JSM−7001F)を用い、200〜3000倍に拡大して得た画像を解析した。
解析は画像解析ソフトImageJを用いて二値化処理をし、解析した。この画像中のポリプロピレン樹脂と、極性ゴム粒子の占有域を特定した。
特定された粒子の占有域の一つ毎を画像解析により、その面積を算出した。そして、その面積と等しい面積の真円の直径を求め、それぞれの占有域について求めた値を算術平均したものを粒子の平均粒子径の測定値とした。すなわち、各粒子の粒子径は各粒子の面積Sを求め、Sを用いて、(4S/π)0.5を各粒子の粒子径とした。
[製造例1]
<カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂の製造>
ポリプロピレン1(株式会社プライムポリマー製、商品名プライムポリプロF327、以下PP1と略記)100質量部に、無水マレイン酸(富士フイルム和光純薬株式会社製。以下、MAHと略記)1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日油株式会社製、商品名パーヘキシン25B)0.25質量部を混合し、二軸混練機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30、L/D=40、真空ベント使用)を用いてシリンダー温度220℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP1と略記)を得た。得られたMAH−PP1をキシレンに溶解し、次いで得られたキシレン溶液をアセトンにそそぐことで、MAH−PP1を再沈させて精製し、無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.7質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn28,000であった。
[実施例1]
ポリカルボジイミド(A)(日清紡ケミカル株式会社製、商品名:カルボジライトHMV−15CA、カルボジイミド当量262g)、製造例1で得た無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)(MAH−PP1)およびポリプロピレン(D)(株式会社プライムポリマー製、商品名プライムポリプロF113G)を、表1に示す配合(質量部)で押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX44、L/D=70)に導入し、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数760rpm、吐出量1.33kg/分で溶融混練した。ここで、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)とポリプロピレン(D)との合計100質量部に対するポリカルボジイミド(A)の含有量は1.7質量部であった。次いで、カルボキシ基を有する極性ゴムであるカルボキシ化ニトリルゴム(C)(日本ゼオン株式会社製、Nipol NX775、カルボキシル基含有NBR、ムーニー粘度:44.0、結合アクリロニトリル量:26.7、SP値:約20)と上記組成物とを小型混練機(Xplore Instruments社製、Xploreシリーズ MC15)内に表1に示す量になるように導入し、180℃で2分間さらに溶融混練して、樹脂組成物1を得た。
得られた樹脂組成物1を210℃で厚さ1mmにプレス成形してダンベル形状(JIS−6号)に打ち抜いたものを成形体サンプルとし、上記の方法により破断強度(MPa)、破断伸び(%)を測定した。また、得られた樹脂組成物1からなる成形体サンプルを、SEM(測定装置:日本電子株式会社製JSM−7001F、倍率200倍)により観察し平均粒子径を測定した。これらの結果を表1に示す。また、樹脂組成物1からなる成形体サンプルのSEMによる200倍画像を図1に示す。
[実施例2]
実施例1において、ポリカルボジイミド(A)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)およびポリプロピレン(D)の配合量を、表1に示す量(質量部)としたことの他は、実施例1と同様にして樹脂組成物2を製造し、特性を評価した。評価結果を表1に併せて示す。無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)とポリプロピレン(D)との合計100質量部に対するポリカルボジイミド(A)の量は6.5質量部であった。また、樹脂組成物2からなる成形体サンプルのSEMによる200倍画像を図2に示す。
[比較例1]
カルボキシ化ニトリルゴム(C)(日本ゼオン株式会社製、Nipol NX775、カルボキシル基含有NBR、ムーニー粘度:44.0、結合アクリロニトリル量:26.7、SP値:約20)51.7質量部と、ポリプロピレン(D)(株式会社プライムポリマー製、商品名プライムポリプロF113G)48.3質量部とを、小型混練機(Xplore Instruments社製、Xploreシリーズ MC15)に導入し、180℃で2分間、溶融混練を行い、樹脂組成物3を得た。得られた樹脂組成物3を実施例1と同様にプレス成形して成形体サンプルを製造し、破断強度(MPa)、破断伸び(%)および平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。また、樹脂組成物3からなる成形体サンプルのSEMによる200倍画像を図3に示す。
カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体を含まない樹脂組成物3では、平均粒子径が実施例1の10倍程度、実施例2の100倍程度と大きなものであり、ポリオレフィン成分とゴム成分とが相容していないことが示された。また、破断伸びも実施例と比較して小さく、機械物性に劣ることがわかった。
[比較例2]
実施例1で用いたのと同じ、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)、カルボキシ化ニトリルゴム(C)およびポリプロピレン(D)を、表1に示す配合(質量部)で小型混練機(Xplore Instruments社製、Xploreシリーズ MC15)に導入し、180℃で2分間溶融混練して、ゴム組成物4を得た。得られた樹脂組成物4を実施例1と同様に押出成形して成形体サンプルを製造し、破断伸び(%)を測定した。結果を表1に示す。また、樹脂組成物4からなる成形体サンプルのSEMによる200倍画像を図4に示す。平均粒子径は比較例1よりは小さいが、オーダーとしては同程度であった。
カルボジイミド基を含有する化合物を用いていない比較例2では、平均粒子径及び破断伸びが比較例1と同程度であることから、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)には相容性を向上させる作用はなく、ポリオレフィンと変成ポリオレフィンの合計であるポリオレフィン成分と、極性ゴム成分とが、比較例1と同様に相容していないことがわかった。
[比較例3]
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)、カルボキシ化ニトリルゴム(C)、ポリプロピレン(D)、およびオキサゾリン基含有体(株式会社日本触媒製、エポックロス RPS−1005)を、表1に示す配合(質量部)で小型混練機(Xplore Instruments社製、Xploreシリーズ MC15)に導入し、180℃で2分間溶融混練して、樹脂組成物5を得た。得られた樹脂組成物5を実施例1と同様にプレス成形して成形体サンプルを製造し、破断伸び(%)を測定した。結果を表1に示す。
カルボジイミド基含有化合物に替えて、カルボジイミド基と同様にカルボキシ基との反応性に優れることで知られるオキサゾリン基含有体を用いた樹脂組成物5では、平均粒子径が実施例1と同程度であり、相容化の効果が見うけられるようではあったが、破断伸びは比較例1よりもさらに小さなものとなり、機械物性に劣ることがわかった。
[比較例4]
比較例3において、オキサゾリン基含有体に替えて、カルボン酸との反応性を有するジアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製、1,12−ドデカンジアミン)を用いたことの他は、比較例3と同様にして、樹脂組成物6を得た。得られた樹脂組成物6を実施例1と同様にプレス成形して成形体サンプルを製造し、破断伸び(%)を測定した。結果を表1に示す。平均粒子径は比較例1とほぼ同程度であった。
ゴム組成物6では、平均粒子径及び破断伸びが比較例1と同程度であることから、ポリオレフィン成分と、極性ゴム成分とが、比較例1と同様に相容していないことがわかり、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B)とジアミンとでは相容性を向上させる効果をもたらさないことがわかった。
[比較例5]
相容化剤として知られるグリシジルメタクリレート変成ポリエチレン(Arkema社製、Lotader AX8840)、カルボキシ化ニトリルゴム(C)およびポリプロピレン(D)を、表1に示す配合(質量部)で小型混練機(Xplore Instruments社製、Xploreシリーズ MC15)に導入し、180℃で2分間溶融混練して、ゴム組成物7を得た。得られたゴム組成物7を実施例1と同様に押出成形して成形体サンプルを製造し、破断伸び(%)を測定した。結果を表1に示す。また、ゴム組成物7からなる成形体サンプルのSEMによる200倍画像を図5に示す。平均粒子径は実施例1とほぼ同程度であった。
相容化剤としての作用が知られるグリシジルメタクリレート変性ポリエチレンを含む樹脂組成物7では、平均粒子径が小さく、ポリオレフィン成分と極性ゴム成分との相容化がなされていることがわかるが、実施例と比較して破断強度および破断伸びが小さく、また、この破断伸びは、カルボジイミド基含有化合物(A)およびカルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)を含まない比較例1と比較しても小さいものであり、機械物性に劣ることがわかった。
本発明に係る樹脂組成物は、耐油性および伸び等の機械物性に優れるため、従来よりゴム組成物あるいはエラストマーが用いられていた各種分野の成形品材料、防振材、シール材等として好適に用いることができる。本発明の樹脂組成物から得られる成形体、たとえば、架橋成形体や架橋発泡体などは、様々の用途に用いることができ、具体的には、タイヤ用ゴム、O−リング、工業用ロール、パッキン(例えばコンデンサーパッキン)、ガスケット、ベルト(例えば、断熱ベルト、複写機ベルト)、ホース(例えば、ウォーターホース、ブレーキリザーバーホース、ラジエターホース)、防止ゴム、スポンジ(例えば、ウェザーストリップスポンジ、断熱スポンジ、プロテクトスポンジ、微発泡スポンジ)、ケーブル(イグニッションケーブル、キャブタイヤケーブル、ハイテンションケーブル)、電線被覆材(高圧電線被覆材、低電圧電線被覆材、舶用電線被覆材)、グラスランチャネル、カラー表皮材、給紙ロール、ルーフィングシート等を例示できる。

Claims (17)

  1. カルボジイミド基含有化合物(A)、
    カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、および
    極性ゴム(C)を
    溶融混練してなる樹脂組成物。
  2. オレフィン系重合体(D)をさらに含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記カルボジイミド基含有化合物(A)と前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)との反応生成物(I)を含有する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記極性ゴム(C)が、カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)が、活性水素を有する基を側鎖に有する極性ゴムである、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記カルボジイミド基含有化合物(A)と前記カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)との反応生成物(II)を含有する、請求項4または5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記カルボジイミド基含有化合物(A)が、下記一般式で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
    −N=C=N−R1
    (式中、R1は2価の有機基を示す。)
  8. 前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)が、活性水素を有する基を側鎖に有するオレフィン系重合体である、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)が、ポリオレフィンと、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物とのグラフト共重合体である、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 前記極性ゴム(C)が、カルボキシ基含有ニトリルゴム、カルボキシ基含有ニトリルゴムの水添物、ニトリルゴム、ニトリルゴムの水添物、カルボキシル基含有アクリルゴム、エポキシ基含有アクリルゴム、アクリルゴム、カルボキシ基含有エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、多硫化ゴム、フッ素ゴムおよび水素化エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエンゴムよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 前記カルボジイミド基と反応する基を有する極性ゴム(C1)が、活性水素を有する基を側鎖に有する極性ゴムである、請求項4〜10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 前記オレフィン系重合体(D)が、プロピレン系重合体である、請求項2〜11のいずれかに記載の樹脂組成物。
  13. 前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、
    前記極性ゴム(C)、および、
    オレフィン系重合体(D)
    の合計100質量部に対して、前記カルボジイミド基含有化合物(A)を0.01〜30質量部の範囲で含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂組成物。
  14. 前記カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)およびオレフィン系重合体(D)の合計と、前記極性ゴム(C)との質量比が、1:99〜99:1を満たす、請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂組成物。
  15. 走査型電子顕微鏡(SEM)による200倍以上の画像で海島構造が観察され、島相の平均粒子径が0.01〜20μmである、請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する成形体。
  17. カルボジイミド基含有化合物(A)、
    カルボジイミド基と反応する基を有するオレフィン系重合体(B)、
    極性ゴム(C)、および、
    必要に応じてオレフィン系重合体(D)を、
    逐次または同時に溶融混練する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
JP2019093541A 2018-05-28 2019-05-17 樹脂組成物及びその製造方法 Pending JP2019206695A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018101567 2018-05-28
JP2018101567 2018-05-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019206695A true JP2019206695A (ja) 2019-12-05

Family

ID=68767449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019093541A Pending JP2019206695A (ja) 2018-05-28 2019-05-17 樹脂組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019206695A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09194719A (ja) * 1996-01-17 1997-07-29 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 樹脂組成物
JP2005307157A (ja) * 2004-03-26 2005-11-04 Mitsui Chemicals Inc 新規相溶化剤および該相溶化剤を用いた極性ポリマー組成物
JP2017155235A (ja) * 2016-03-03 2017-09-07 クライブルグ ティーピーイー ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー エラストマー、非エラストマー性ポリオレフィン、およびポリオレフィンブロックコポリマーベースの熱可塑性エラストマーからなる熱可塑性エラストマー組成物
WO2019230047A1 (ja) * 2018-05-28 2019-12-05 三井化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09194719A (ja) * 1996-01-17 1997-07-29 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 樹脂組成物
JP2005307157A (ja) * 2004-03-26 2005-11-04 Mitsui Chemicals Inc 新規相溶化剤および該相溶化剤を用いた極性ポリマー組成物
JP2017155235A (ja) * 2016-03-03 2017-09-07 クライブルグ ティーピーイー ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー エラストマー、非エラストマー性ポリオレフィン、およびポリオレフィンブロックコポリマーベースの熱可塑性エラストマーからなる熱可塑性エラストマー組成物
WO2019230047A1 (ja) * 2018-05-28 2019-12-05 三井化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5843577A (en) Thermoplastic elastomers having improved surface properties
US20100099817A1 (en) Flexible thermoplastic composition with improved resistance to the effect of oils, and use of such a composition
JP2009526934A (ja) ポリエーテルをグラフトした官能化ポリオレフィンを含む熱可塑性組成物で作られた構造物と、その使用
WO2005035648A1 (en) Compostions of polypropylene and polyamide
JP2007211059A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
KR102196802B1 (ko) 공기입 타이어 조립체용 내부 라이너
KR101012963B1 (ko) 적층체
US11286380B2 (en) Roofing compositions comprising linear low density polyethylene
JP2005307157A (ja) 新規相溶化剤および該相溶化剤を用いた極性ポリマー組成物
US6592957B2 (en) Hose for automobile cooling system
JP2006161045A (ja) エチレン−ビニルアルコールコポリマー及び反応性基を有する架橋性ゴムの混合物、並びに、良好なバリア特性を有する成形品の製造のためのその使用
JP6970824B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP2019206695A (ja) 樹脂組成物及びその製造方法
JP7248442B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2010111831A (ja) ポリプロピレン系樹脂用改質剤及びポリプロピレン系樹脂組成物
JPS6341555A (ja) 熱可塑性エラストマ−性組成物
JP2020122558A (ja) パッキンまたはo−リング用エラストマー組成物
JP2020122130A (ja) ベルト用エラストマー組成物
JP2020122129A (ja) チューブまたはホース用熱可塑性エラストマー組成物
JP2023134919A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JPH0987476A (ja) 熱可塑性重合体組成物
WO1993001236A1 (en) Thermoplastic elastomer composition
JPH06145261A (ja) 変性ポリオレフィン
JP2001114958A5 (ja)
US20070203292A1 (en) Composition Comprising A Non-Functionalized Polyolefin And A Graft Polyolefin And Article Produced Using This Composition

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230801