JPH0614444Y2 - トランス - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はトランスの構造に関し、特にスイッチングレギ
ュレータの高周波トランス等のような小型トランスに用
いて好適なものである。

〔考案の概要〕

本考案は、両端が開口され且つ周囲にコイルが巻回され
たボビンを主体に設けると共に、上記ボビンの両端開口
から一対のコア部材の各一部を挿入して互いに突き合わ
せ、上記コア部材が挿入された上記主体を絶縁ケースに
収納し、この絶縁ケースと上記主体とを両者に設けられ
た係止手段により互いに固定したことにより、上記各部
材を互いにがたつくことなく、実質的に一体的に固定す
るようにしたものである。

〔従来の技術〕

従来の高周波トランス等のように、主としてプリント基
板上に配される小型トランスは、主としてコイル、コイ
ルが巻回されるボビン、Ｕ形又はＥ形を成す一対のコア
部材及び絶縁ケース等の各部材から成っている。そして
上記一対のコア部材を上記ボビンに挿入して両者を互い
に突き合わせて環状コアを形成し、然る後全体を絶縁ケ
ースに収納するようにしている。尚、壺形コアを有する
高周波トランスとして、例えば実公昭５７−２９２９４
号公報に開示されるものが知られている。

上述した従来のトランスにおいては、一対のコア部材ど
うしのがたつきや、ボビン、コイル部材及び絶縁ケース
の相互間のがたつきが問題となる。従来は一対のコア部
材を接着剤、止め金具、粘着テープ等を用いて固定する
と共に、ボビン、コア部材及び絶縁ケースの相互間に、
接着剤、含侵剤、デイップ剤、樹脂注型剤等を注入して
がたつきを防止するようにしている。また前記壺型コア
を用いたものでは、コアとケースとの間に弾性体を介在
させてがたつきを防止するようにしている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の斯種小型トランスにおいては、上記がたつきを防
止するために、接着剤、粘着テープ、金具、注入剤、弾
性体等々の部材を必要とし、また、これらの部材を用い
て、がたつき防止のための処理を施す工程を必要として
いた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案においては、両端が開口され且つ周囲にコイルが
巻回された筒状のボビンが設けられた主体と、上記ボビ
ンの上記両端開口から夫々その一部が挿入され互いに接
触された一対のコア部材と、上記主体、コイル及び一対
のコア部材を収納する絶縁ケースと、上記絶縁ケースの
内側に設けられ上記一対のコア部材を互いに圧接する方
向に押圧する一対の凹部と、上記絶縁ケース及び上記主
体に設けられ両者を固定する係止手段とを設けている。

〔作用〕

従来のようにがたつきを防止するための部材及び処理工
程を用いることなく、トランスを構成する各部材を実質
的に一体的に固定して、たがつきをなくすことができ
る。

〔実施例〕

第１図及び第２図において、合成樹脂を一体成形にして
成る主体１にはボビン２、このボビン２の両端のフラン
ジ３、４、略中央のフンラジ５、上記フランジ３、４が
設けられた基部６、７が主として設けられている。上記
基部６、７には球面の一部の形状を成す突部８、９が設
けられている。この突部８、９は基部６、７の図示され
ない反対側の面にも設けられている。基部６、７の下部
には４本のリード端子１０、１１、１２、１３が設けら
れている。上記ボビン２は内部に挿通孔１４が設けられ
た筒状に形成され、両端に開口１４ａ、１４ｂが設けら
れている。このボビン２の上記フランジ３と上記フラン
ジ５との間の周面に例えば一次コイルが巻回され、上記
フランジ４と上記フランジ５との間の周面に例えば２次
コイルが巻回されるように成されている。

一対のコア部材１５、１６は夫々コ字状に形成されてお
り、それらの下側部分が上記ボビン２に設けられた挿通
孔１４の開口１４ａ、１４ｂから挿入されるように成さ
れている。上記フンラジ３、４には、これらのコア部材
１５、１６の位置決め用凹部１７、１８が設けられてい
る。

合成樹脂等を一体成形して成る絶縁ケース１９の対向す
る両側面には、上記突部８、９が嵌合係止される丸孔２
０、２１、２２、２３が設けられると共に、上記両側面
の内面にはガイド用突条２４、２５が設けられている。
またこのケース１９の上記両側面とは異なる他の両側面
には、上記コア１５、１６を押圧するための一対の凸部
２６、２７が設けられている。上記中央のフンラジ５の
両側部には、上記突条２４、２５が嵌合されるガイド溝
２８、２９が設けられている。

第３図は上記主体１に上記一対のコア部材１５、１６と
一次コイル３０、二次コイル３１を取付けた状態を示
す。

上記コア部材１５、１６は、その下側の水平部分が上記
ボビン２の両端開口１４ａ、１４ｂから夫々上記挿通孔
１４に挿通され、その略中央で両者の端面が突き合わさ
れると共に、上側の水平部分も突き合わされた状態で取
付けられている。従って、コア部材１５、１６によって
環状の磁路が形成されている。

また上記一次コイル３０はボビン２のフランジ３、５間
に巻回され、上記二次コイル３１はフランジ４、５間に
巻回されている。

第４図は第３図のようにコイル３０、３１及びコア部材
１５、１６が取付けられた主体１にケース１９をかぶせ
た状態を示す。

ケース１９を主体１の上方からかぶせる際は、上記突条
２４、２５をガイド溝２８、２９に嵌入して、ケース１
９の位置決めを行い、そのままガイド溝２８、２９に沿
って垂直に下降させればよい。そして所定位置まで下降
させると、上記丸孔２０〜２３に上記突部８、９が嵌合
して、ケース１９が係止される。

この状態では第４図のように、主体１、コア部材１５、
１６及びコイル３０、３１の全体がケース１９内に収納
され、リード端子１０〜１３が下方に突出している。こ
れと共に上記凸部２６、２７がコア部材１５、１６の垂
直部を弾性的に押圧するので、これらのコア部材１５、
１６が互いに圧接された状態で突き合わされている。ま
た上記垂直部は上記凹部１７、１８に嵌合されて、位置
決めされている。

以上によれば、主体１、コア部材１５、１６及びコイル
３０、３１は互いにがたつくことなく、実質的に一体的
に固定されてケース１９内に収納される。

従って、従来のようなコア部材１５、１６を接着剤、金
具、粘着テープ等を用いて固定したり、また主体１とケ
ース１９との間に注入剤を充填したりする必要がなく、
第３図の状態の主体１に単にケース１９をかぶせるだけ
で、がたつきを防止することができる。

〔考案の効果〕

従来のようにがたつきをなくすための部材や処理工程が
不要となり、簡単な組立作業によって確実にがたつきを
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本考案の実施例を示すもので、第１図は分
解斜視図、第２図は一部断面分解正面図、第３図は主体
にコア部材及びコイルを取付けた状態を示す斜視図、第
４図は完成されたトランスの断面正面図である。 なお図面に用いた符号において、 １……主体 ２……ボビン ８、９……突部 14……挿通孔 14a、14b……開口 15、16……コア部材 19……絶縁ケース 20〜23……丸孔 26、27……凸部 30……１次コイル 31……２次コイル である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】両端が開口された筒状のボビンと、このボ
   ビンの両側に夫々設けられ、位置決め用凹部を前面に有
   するフランジ部と、このフランジ部が設けられた基部と
   を有する主体と、 上記ボビンの周囲に巻回されたコイルと、 上記ボビンの両端開口から夫々その一部が挿入されて互
   いに接触された一対のコア部材と、 上記コイル及びコア部材が取付けられた上記主体を収納
   すると共に、上記位置決め用凹部に嵌合される突条を有
   する絶縁ケースと、 上記絶縁ケースの内側に設けられて、収納時の上記コア
   部材を互いに圧接する方向に押圧する一対の凸部と、 上記主体の基部の前面に設けられた係止部と、収納時に
   上記係止部に係合するように上記絶縁ケースの前面に設
   けられた被係止部とからなる係止手段とを備えてなるト
   ランス。