JPH0613708B2 - 両親媒性炭素質メソフェースの製造方法 - Google Patents

両親媒性炭素質メソフェースの製造方法

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JPH0613708B2
JPH0613708B2 JP62166138A JP16613887A JPH0613708B2 JP H0613708 B2 JPH0613708 B2 JP H0613708B2 JP 62166138 A JP62166138 A JP 62166138A JP 16613887 A JP16613887 A JP 16613887A JP H0613708 B2 JPH0613708 B2 JP H0613708B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はピッチ等の重質歴青物の炭素化過程で生成し、
水、有機溶剤に不溶な炭素質メソフェースから得られる
水および有機溶剤に可溶な両親媒性炭素質メソフェース
に関するものである。
(従来の技術) ピッチ等の重質歴青物の熱処理による炭素への移行段階
(炭素化過程)で生成する炭素質メソフェースはいまだ
有機物であり、光学的異方性相であるが、水、有機溶剤
に不溶な成分である。しかし、最近の研究の進展により
有機溶剤に可溶な炭素質メソフェースの存在が明らかと
なっている。その代表的なものは石油系軽質油の流動接
触分解法(FCC法)で副生する重質歴青物を熱処理し
て生成させた炭素質メソフェースであり、このメソフェ
ースはかなりの部分がキノリン等の有機溶剤に可溶であ
る。また、キノリン等の有機溶剤に不溶な炭素質メソフ
ェースを含有するピッチを水素化処理することによって
キノリンに可溶にした潜在性メソフェースがあり、さら
にピッチ等を水素化処理した後、熱処理して生成した炭
素質メソフェースは、やはり大部分キノリン等の有機溶
剤に可溶なものである。これらはいずれも特殊な原料か
ら生成したものか、あるいは、水素化処理した原料から
生成したものである。
一方、石炭は炭素質メソフェースと同様に有機化合物よ
りなる固体である。この石炭の有機溶剤に対する溶解量
は炭種、石炭化度によって異なること、および、加熱し
たとき、軟化、溶融する石炭は粘結炭である歴青炭の一
群であり、しかも、軟化、溶融するといっても、部分的
に生じるのであって、一部の石炭(三池、夕張炭)を除
いて、流動する程度には致らないことは良く知られてい
る。固体の石炭を液体化する、いわゆる石炭液化は多く
の方法があるが、その主なものは水素添加法である。こ
れによって、無煙炭を除く石炭は大部分流動する液体状
に変換される。この方法を炭素質メソフェースに適用し
た場合、少量の液化物が得られるが、大部分は光学的異
方性相を示す固体として残存する(今村ら、第13回炭
素材料学会年会要旨集、1986年)。前述の潜在的メ
ソフェースの場合は全量液化するが、これはリチウムと
アンモニアによるバーチ還元法のような強力な還元法に
よるもので、石炭液化のような温和な還元法では全量液
化させることは困難である。このことは、石炭が芳香環
数の少ない分子が3次元構造を形成しているのに対し、
炭素質メソフェースでは芳香環数の多い分子が相構造を
形成しているためと考えられる。さらに、石炭、特に低
石炭化度炭の場合、芳香族カルボン酸であるフミン酸を
多く含むが、石炭化度の高い石炭でも酸化処理により容
易にアルカリに可溶なフミン質(再生フミン酸)が生成
することは古くから知られている。一般的な酸化方法と
しては硝酸による方法が用いられ、ニトロフミン酸が得
られる。これらのフミン酸はいずれもアルカリに可溶で
あり、酸性域では析出する。
(発明が解決しようとする問題点) 上述のように、炭素質メソフェースは水、有機溶剤に不
溶な固体である。製造条件によって得られる炭素質メソ
フェースの形態は異なるが、通常は粒状、塊状、粉状で
ある。そのため、これを例えば炭素材の原料として使用
するためには成形するが、固体であるため成形可能な形
は限定される。また、化学反応による修飾を行う上にお
いても、炭素質メソフェースは固体では化学反応が比較
的容易である(たとえば、山田ほか、燃料協会誌、55
巻、704ページ(1976))物質であるとはいえ、
修飾可能な化学反応は限られる。このように、炭素質メ
ソフェースが固体であるがために、芳香族炭化水素が一
定方向に配列、積層している特異な一種の結晶構造を持
っているにもかかわらず、その用途は炭素材原料以外に
特に見い出すことができない。一方、炭素質メソフェー
スを含むピッチ、すなわち、メソフェースピッチは熱可
塑性である。このピッチが熱可塑性であるのはピッチが
低分子量化合物から高分子量化合物の混合物であり、比
較的低分子量物が溶媒と同様の作用をなすためであると
考えられる。しかし、このメソフェースピッチを加熱し
て溶融した状態で偏光顕微鏡下でその組織を観測したと
き、通常、メソフェースは光学的異方性を示す。このこ
とはピッチ全体は液状となるが、ピッチ中の高分子量化
合物は一種の結晶構造(液晶)を保持したままの状態で
存在しているのである。さらに、このピッチをキノリン
等の有機溶媒で処理して、その不溶成分として取り出し
た炭素質メソフェースは加熱しても軟化、溶融しない固
体である。一方、石炭の酸化処理によるフミン酸の製造
方法が炭素質メソフェースに対して適用された例はない
と考えられる。それは、上述のように石炭の水添液化法
が炭素質メソフェースにそのまま適用できないことから
知られるように、炭素質メソフェースの方がそれを構成
する芳香族分子が石炭のそれより大きいために困難が予
想されるためと思われる。
そこで本発明者らは水はもとより有機溶剤にも不溶であ
る炭素質メソフェースを水および極性基をもつ有機溶剤
に可溶化させることによって、固体である炭素質メソフ
ェースを液体と同様な自由な加工(種々の化学反応によ
って修飾することと自由な形態をもつ材料の製造が可能
な原料にする)が可能なものにすることを目的として種
々検討を行い、本発明に到達した。
(発明を解決するための手段) すなわち、本発明は、炭素質メソフェースを、ニトロ化
剤、スルホン化剤及び酸化剤の中から選ばれた反応剤に
よる処理に付すること及びニトロ化剤による処理後さら
に還元することを特徴とする両親媒性炭素質メソフェー
スの製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における両親媒性炭素質メソフェースは水
および極性有機溶剤の両者に可溶な炭素質メソフェース
である意であり、次のような方法によって得られる。
原料の炭素質メソフェースは熱処理した重質歴青物を室
温で偏光顕微鏡により観察される光学的異方性相を重質
歴青物に対して良溶媒であるキノリン、アントラセン油
のような芳香族系油の不溶成分として分離したもの、あ
るいは、重質歴青物を全量異方性相に変換させたものが
用いられる。なお、熱処理した重質歴青物中の光学的異
方性相を単に異方性相という。本来、炭素質メソフェー
スとは光学的等方性相である重質歴青物の熱処理によっ
て生成した光学的異方性相とそれを分離して得たものを
含めた総称として使用されるが、ここでは原料の炭素質
メソフェースとして光学的等方性相を実質的に含まない
光学的異方性相をいう。
(1) 原料炭素質メソフェースの調製 炭素質メソフェースの調製はタールやピッチ等の重質歴
青物の熱処理と分離によって行われる。用いられる重質
歴青物を例示すると、石炭系ではコールタール、コール
タールピッチおよび石炭液化物である。石油系では原油
の蒸溜残さ油、ナフサの熱分解により副生するタール、
流動接触分解(FCC)法で副生するタール、オイルサ
ンドやオイルシェールの重質成分である。その他、ポリ
塩化ビニル(PVC)等の合成高分子も用いうる。
これらの重質歴青物は約350−500℃の範囲の温度
で、好ましくは400−500℃で熱処理する。この温
度および保持時間は得られる炭素質メソフェースの性
状、特にその元素分析値で決められる。すなわち、構成
元素の内、水素量が1.5重量%以上含有するのが好適
である。この値以下の水素含有量の炭素質メソフェース
からは両親媒性炭素質メソフェースの収率が低下する。
熱処理した重質歴青物はその中に光学的等方性相を含む
場合はキノリン、アントラセン油のような芳香族系油を
加え、加熱して溶解、分散させる。そして、ろ過、遠心
分離によって可溶成分を分離し、不溶成分として炭素質
メソフェースを得るか、または重質歴青物を加熱して溶
融し、これを静置して異方性相を沈降させ、これを分離
することによって炭素質メソフェースが得られる。熱処
理した重質歴青物が実質的にすべて光学的異方性相であ
る場合はそのまま炭素質メソフェースとして用いられ
る。この炭素質メソフェースにはキノリン、芳香族系油
に可溶な成分を含む場合はこれらの溶剤で処理してもよ
い。
(2) 両親媒性炭素質メソフェースの製造 このようにして得られた炭素質メソフェースは、次いで
ニトロ化剤、スルホン化剤、酸化剤などの中から選ばれ
た反応剤による処理に付することによって、ニトロ基、
スルホン酸基、水酸基、カルボン酸基のような親水性基
が導入される。また、ニトロ基が導入されたものをさら
に還元するとアミノ基を有するものが得られる。これら
の反応剤による処理の具体例を示すと次のようになる。
(a) ニトロ化処理 反応試薬として濃硫酸と濃硝酸の混酸、あるいは濃硝酸
を用いるのが一般的である。混酸である硫酸と硝酸の混
合割合は好ましくは2:1−1:2mol比である。炭素
質メソフェース1gに対して混酸20ml以上加え、0−
150℃で10−300分間程度処理する。このとき、
撹拌、静置のいずれでもよい。時間経過後、多量の水中
に移し、反応を停止させる。
(b) スルホン化処理 反応試薬として、濃硫酸と発煙硫酸の混合物を用いるの
が一般的である。濃硫酸のみを用いた場合はスルホン酸
基の導入は行われるが、両溶媒性炭素質メソフェースの
収率が非常に低いので好ましくない。濃硫酸に対する発
煙硫酸の混合割合は 10−100%(容量比)程度で
ある。炭素質メソフェース1gに対して20ml以上の混
合物を加え、50−150℃で、30分以上処理する。
処理後、そのままろ過するか、あるいは多量の水中に移
して反応を停止させる。
(c) 酸化処理 この処理には酸化窒素、オゾン、水蒸気等を用いる気相
法と過酸化水素または過酸化水素と酢酸、等を用い
る液相法のような固体炭素の表面酸化処理に用いられる
方法から選ぶのが一般的である。例えば液相法の場
合、濃度30−35%の過酸化水素20ml以上を炭素質
メソフェース1gに加え、80−100℃で60分以上
加熱処理する。また、の場合は酢酸に炭素質メソフェ
ース1gを懸濁させ、撹拌しながら30−35%濃度の
過酸化水素20ml以上を滴下しながら加える。全量加え
た後、80−100℃で60分以上加熱処理する。
(d) アミノ化処理 アミノ基の導入は上記のニトロ化処理したものを還元処
理により、ニトロ基をアミノ基に変換させることにより
行う。用いられるニトロ化処理物はニトロ化した炭素質
メソフェースあるいはこれから本発明によって得られる
両親媒性炭素質メソフェースである。これらのニトロ化
物の還元処理は通常の還元反応である鉄、亜鉛、スズ等
金属粉末と酸、アルカリ中、約100℃に加熱処理によ
って行う。この処理によりニトロ基は化学量論的にアミ
ノ基に変換できる。
以上の方法によって、(a)の場合はニトロ基およびカル
ボン酸基、(b)ではスルホン酸基、(c)では水酸基とカル
ボン酸基、(d)ではアミノ基が主として導入される。こ
れらの反応物を多量の水中に移して反応を停止させ、静
置すると、炭素質メソフェースは沈降する。上澄み液の
色は反応条件によって異なる。すなわち、温和な条件で
処理したときはほとんど着色していないが、条件が厳し
いときはわずかに着色する。このことは、反応物を水に
移した状態では上澄み液のpHは2程度以下であり、この
水に溶解する炭素質メソフェースの成分は少量であると
みられる。
本発明においては上記の親水性基を導入した炭素質メソ
フェースを水または極性有機溶剤に溶解させて、得られ
る溶解物より目的とする両親媒性炭素質メソフェースを
得る。
水に溶解させる場合は上記の反応後、水に懸濁させたも
のにアルカリ水溶液を加えてpHを調整して行う。用いら
れるアルカリはアルカリ金属塩あるいはアンモニア水溶
液が好ましい。アルカリ水溶液を加えたときの炭素質メ
ソフェースの溶解量はニトロ化反応等の反応条件と懸濁
液のpHに依存する。反応条件が厳しい程、低いpH領域で
炭素質メソフェースの全量が可溶化する。上記のアルカ
リ水溶液でpHを4−14に調整した後、ろ過、遠心分離
等で未溶解の炭素質メソフェースを除く。なお、懸濁液
のpHは12以上にしても溶解量は特に大きく変らない。
このようにして得られたアルカリ可溶分は酸を加えてpH
をより酸性領域に低下させると析出するので、これを採
取することによって両親媒性炭素質メソフェースが得ら
れる。なお、析出させる酸性域のpH値は反応条件によっ
て異なる。例えば、ニトロ化反応では100℃で反応さ
せた場合、pHは約2程度で析出し、静置によって析出物
が沈降した後の上澄み液はほとんど無色であるが、15
0℃で反応させた場合はpH=1以下に調製しても上澄み
液は着色しており、完全には析出させることはできな
い。また、過酸化水素による酸化処理物ではpHが2でほ
とんど析出せず、1以下で上澄み液が無色になるほど析
出、沈降するが、反応条件が厳しい場合は析出させるこ
とができない成分が存在する。
一方、有機溶剤による処理は上記反応処理後のものをそ
のまま有機溶剤中に移すか、あるいは反応処理後、水に
懸濁させた後、ろ過、遠心分離等によって反応試薬を除
いた炭素質メソフェースを有機溶剤に加えて溶解させ
る。用いられる有機溶剤はケトン類、エステル類、エー
テル類、アルコール類、有機酸類、含窒素化合物、スル
ホキシド等の極性基をもつものから選ばれる。
例えば、ケトン、エステル類はアセトン、メチルエチル
ケトン、酢酸エチルであり、エーテル類はテトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジエチルグリコールジメチルエー
テルであり、アルコール類はメタノール、エタノール、
エチレングリコール、グリセリンであり、有機酸類はギ
酸、フェノール、クレゾールであり、含窒素化合物はエ
チレンジアミン、アニリン、ピリジン、ジメチルホルム
アミド、ニトロメタンであり、スルホキシドはジメチル
スルホキシドであり、導入した親水性基の種類等によっ
て適宜選択し得る。
上記の親水性基を導入した炭素質メソフェースはこれら
の有機溶剤にはほとんど全量溶解するが、反応の種類、
条件によっては未溶解の炭素質メソフェースが残存する
場合がある。このときはろ過、遠心分離等によって未溶
解炭素質メソフェースを除く。有機溶剤に溶解させたも
のは蒸溜等で有機溶剤を除去することによって、その残
さとして両親媒性炭素質メソフェースが得られる。
このようにして得られる両親媒性炭素質メソフェースの
収率は未溶解炭素質メソフェースがほとんど存在せず、
かつ、酸性域で全量析出した場合は100%以上とな
る。これは、官能基の導入によるもので、通常、その増
加率は30−40%である。なお、本発明で示す溶解と
は固体粒子である炭素質メソフェースを処理してアルカ
リ水溶液または有機溶剤に溶解操作したものをろ過によ
って未溶解炭素質メソフェースと分離するが、このと
き、目開きの大きさが0.5μm以下のフィルターを通
過したものを指す(溶解操作を行ったとき、その溶液で
の炭素質メソフェースの成分が真性溶液であるのか、あ
るいはコロイド状態であるのかは必ずしも明らかではな
い。)。
(3) 両親媒性炭素質メソフェースの性状 得られる両親媒性炭素質メソフェースは水を含有してい
るときは泥状またはスラリー状であるが、乾燥すると塊
状となる。この塊状物の破断面は黒色のガラス状鏡面を
呈し、炭素質メソフェースのそれが灰黒色の乱反射面を
持つ物とは異にする。また、この塊状物は再びアルカリ
水溶液または有機溶剤に加えると、完全に溶解し、酸に
よってpHを低下させるか、溶剤を除去すると析出する。
偏光顕微鏡観察では原料炭素質メソフェースが光学的異
方性であるのに対し、これは等方性を示し、分子は配向
していないことがわかる(メソフェースとしての実体は
変更されていないと考えられる)。
元素組成は酸素、窒素、硫黄のヘテロ元素を多く含有す
る。なお、これらの量は反応によって異なるので、実施
例で詳しく述べる。また、赤外線吸収スペクトルによっ
て官能基を調べてみると、炭素質メソフェースでは約3
030cm-1、750−900cm-1の芳香族水素に帰属さ
れる吸収と約2920cm-1の脂肪族水素に帰属される吸
収スペクトルが観測されるのに対し、両親媒性炭素質メ
ソフェースでは芳香族と脂肪族水素の吸収は非常に弱
く、場合によってはほとんど観測されない。それと共
に、約1700cm-1のカルボニル基、3500−300
0cm-1の水酸基、約1560、1340cm-1のニトロ
基、1230、1180cm-1付近のスルホン酸基、34
10、3500cm-1のアミノ基に帰属される吸収が新た
に出現する。
不活性ガス中で熱処理したとき液相を経由することなく
炭素化される(固相炭化)。1000℃まで熱処理した
ときの炭素化物の収率は約50−70重量%である。こ
の値は炭素質メソフェースのそれが約90重量%である
のに対し少ない。これは導入した官能基の脱離によるも
ので、熱天秤によって加熱過程での重量変化を調べてみ
ると、約250−350℃で多くの重量減少があり、こ
の温度範囲で導入した官能基が脱離したことによると考
えられる。
(実施例) 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
実施例1 コールタールピッチ(軟化点78℃、ベンゼン不溶分3
8.1重量%、キノリン不溶分3.8重量%)を約2倍
量のキノリン中に入れ、90℃に加熱して、溶解、分散
させた。これをガラスフィルター(No.4)で減圧ろ過
した。ろ液は減圧蒸溜して、その残さとしてキノリン不
溶成分を含有しないピッチを得た。このピッチ約400
gを500mlのガラス製円筒型容器に入れ、窒素ガス気
流中、撹拌しながら、430℃で所定時間加熱処理し
た。この熱処理時間は熱処理したピッチのキノリン不溶
成分量が約30、50および90重量%になるように調
整した。すなわち、30重量%では25分、50重量%
では45分、90重量%では120分であった。このよ
うにして熱処理したピッチを約2倍量のキノリンに加
え、90℃に加熱して溶解、分散させた。これを遠心器
で不溶成分を沈降させ、上澄み液を除いた。沈殿物には
新たなキノリンを加え、90℃に加熱した後、遠心器で
沈降操作を行った。この操作を繰り返してキノリンが僅
かに着色する程度(5−8回)まで不溶成分を洗浄し
た。ついで、ベンゼンで数回洗浄し、更にアセトンで洗
浄してキノリンを除き、乾燥して不溶成分を得た。この
ようにして得た不溶成分量は熱処理ピッチに対して、そ
れぞれ29.1、50.6および86.7重量%であっ
た。これらの不溶成分の内、29.1と50.6重量%
のものは更に約3倍量のキノリンに入れ、約300℃に
加熱し、キノリンの還流(キノリンの沸点238℃)下
で3時間保持した。これを90℃でキノリンで十分洗浄
した。次いで、ベンゼン、アセトンで洗浄してキノリン
を除き、乾燥した。このようにして得られた不溶成分を
炭素質メソフェースとした。なお、以下、これらの炭素
質メソフェースをそれぞれCP(30)238Q1、CP(5
0)238Q1およびCP(90)90Q1と呼ぶが、CPはコール
タールピッチの略号、( )内の数値は90℃で熱処理し
たピッチのキノリン不溶成分量であり、次の数値、記号
は炭素質メソフェースを調製したときの温度、キノリン
不溶成分の略号である。
さらに、上記と同様の原料ココールタールピッチを45
0℃で、180分および300分間熱処理して全量固化
させた。これをそのまま粉砕するか、あるいは、450
℃で300分処理したものを約3倍量のキノリン中で約
300℃に加熱し、キノリンの還流下、3時間処理して
得たキノリン不溶成分を炭素質メソフェースとした。な
お、これらの炭素質メソフェースはそれぞれCP(450
−180)、CP(450−300)およびCP(450−300)238
Q1と呼ぶ。
以上の操作で得られた炭素質メソフェースは42メッシ
ュ(0.35mm)以下に粉砕し、これを用いて以下の実
験を行った。表1に炭素質メソフェースの元素組成を示
す。
(a) ニトロ化反応 炭素質メソフェース1gを200ml容量の三角フラスコ
に入れ、これに97%濃硫酸と68%濃硝酸の混酸20
ml加えた後、100℃の油浴中で60分間加熱した。時
間経過後、直ちに油浴から取り出し、約300mlの水中
に移して反応を停止させた。これに1規定のNaOH水
溶液を加えてpHを12に調整した。ついで、この溶液を
遠心器により不溶成分を沈降させ、上澄みは目開き0.
45μmのメンブランフィルターで減圧ろ過した。不溶
成分はpH=12のNaOHの水溶液で全量フィルター上
に洗い出し、ろ過し、最後に少量の蒸溜水で不溶成分を
洗浄した後、乾燥し、秤量した。フィルターを通過した
溶液にHCl水溶液を加え、pHを0.7−1.0に調整
した。これを一昼夜静置すると可溶成分が析出し、沈降
したので、遠心器により析出物を沈降させ、上澄みを目
開き0.45μmのメンブランフィルターで減圧ろ過
し、析出物はpH=1のHCl水溶液でフィルター上に全
量洗い出し、乾燥した。この析出物はろ過した段階では
泥状であり、乾燥することにより粒状となった。
上記と同様の操作を反応温度、時間および濃硫酸と濃硝
酸の混合割合を変えた混酸で行い、目開き0.45μm
のメンブランフィルターを通過した成分を可溶成分であ
るとして、用いた炭素質メソフェースの量から不溶成分
量の差を炭素質メソフェースに対する百分率で求め、こ
の値を溶解率とした。また、可溶成分をpH調整によって
析出させ、乾燥した析出物、すなわち、両親媒性炭素質
メソフェースの量を析出物として、得られた結果をまと
めて表2に示す。
次に、CP(50)238Q1の炭素質メソフェース1gを三
角フラスコに入れ、これに97%濃硫酸と64%濃硝酸
の70:30(容量比)の混酸20mlを加え、100
℃、60分間処理した。室温まで冷却した後、300ml
の水に移した。この水溶液のpHは約1.5であったの
で、1規定NaOH水溶液を加えてpHが10、8、6、
4および2に調整した。これを遠心沈降させた後、上澄
みは目開き0.45μmのメンブランフィルターで減圧
ろ過し、沈殿物はHClまたはNaOHでpHを調整した
それぞれの水溶液で全量フィルター上に洗い出し、少量
の蒸溜水で洗浄した後、乾燥、秤量した。ろ液はHCl
水溶液でpH=0.7−10に調整し、一昼夜静置した
後、析出物を遠心沈降させた後、同様のフィルターで減
圧ろ過し、乾燥、秤量した。
このようにして求めた不溶成分量、溶解率および析出物
量をまとめて表3に示す。
更に、炭素質メソフェースとしてCP(50)238Q1を用
い、その1gを三角フラスコに採取し、これに97%濃
硫酸と64%濃硝酸の70:30(容量比)の混酸20
mlを加え、100℃、60分間処理した。ついで、約3
00mlの水に移し、1規定NaOH水溶液でpH=12に
調整した後、目開き0.45μmのメンブランフィルタ
ーで減圧ろ過した。得られたろ液を一昼夜静置したが沈
殿物は全く認められなかった。ついで、遠沈管に移し、
遠心器で13000回転、60分間遠心沈降させたが、
この場合も沈降したものはなかった。
これらのろ液を6個調製し、それぞれにHCl水溶液を
加え、pHを8、6、4、3、2および1に調整した後、
一昼夜静置した。この結果、pH=4以上のものは外観上
沈降している様子は認められなかったが、pH=3では析
出物が沈降しているが、上澄み液はかなり濃い赤褐色で
あった。pH=2以下では完全に沈降物が分離し、上澄み
液はわずかに黄色であった。
粒度の影響を調べるために、炭素質メソフェースとして
CP(90)90Q1の24−42メッシュ(0.35-7.
7mm)および14−24メッシュ(0.7−1.17m
m)を用い、97%濃硫酸と64%濃硝酸の70:30
(容量比)の混酸中、100℃、60分間処理した。つ
いで、上記表2の場合と同様の操作によって不溶成分
量、溶解率および析出物の量を求め、その結果を表4に
示す。
(b) スルホン化 炭素質メソフェースとしてCP(50)238Q1を用
い、その1gを三角フラスコに入れ、これに97%濃硫
酸と30%発煙硫酸の混酸20mlを加えた。ついで、1
00℃に加熱した魅浴中で60分間保持した後、油浴か
ら取り出し、室温まで冷却した。これを300mlの水に
徐々に移した後、1規定のNaOH水溶液をpHが12に
達するまで加えた。そして、目開き0.45μmのメン
ブランフィルターで減圧ろ過した。フィルター上の不溶
成分はpH=12のNaOH水溶液で洗浄した後、少量の
蒸溜水で洗浄し、乾燥し、秤量した。ろ液はHCl水溶
液を加えてpHを0.7−1.0に調整した後、一昼夜静
置した。析出物が沈降していることを確認した後、遠心
器により析出物を沈降させ、上澄みを0.45μmのフ
ィルターで減圧ろ過した。遠沈管中の沈降物にpH=1の
HCl水溶液を加え、撹拌した後、遠心沈降させた。こ
の操作を数回繰り返した後、全量フィルター上に移して
減圧ろ過し、乾燥した。ろ過したものは泥状であり、乾
燥したものは1−5mmの粒状であった。
更に、上記と同様の炭素質メソフェース1gを三角フラ
スコに入れ、これに30%発煙硫酸20ml加え、100
℃、60分間処理した。そして、室温まで冷却した後、
目開き0.5μmのポリ四フッ化エチレン(“テフロ
ン")製メンブランフィルターで減圧ろ過した。全量少量
の30%発煙硫酸でフィルター上に移した後、少量の蒸
溜水で洗浄し、乾燥、秤量した。
このようにして得られた不溶成分量、溶解率および析出
物の亮をまとめて表5に示す。
(c) 酸化処理 (1) 過酸化水素による方法 炭素質メソフェースとしてCP(50)238Q1を用
いた。この1gを200ml容量の三角フラスコに入れ、
これに35%濃度の過酸化水素(H2O2)水を加え、還流
冷却管を付けて100℃の油浴中で、60分および18
0分間処理した。時間経過後、室温まで冷却し、300
mlの水中に移した。この水溶液のpHは約2.3であった
ので、1規定のNaOH水溶液によりpHを12、10、
8、6および4に調整した後、一昼夜静置した。つい
で、遠心沈殿器により不溶成分を沈降させ、上澄みは目
開き0.45μmのメンブランフィルターで減圧ろ過し
た。沈降物は同一のpHの水溶液で洗浄した後、全量フィ
ルター上に移し、少量の蒸溜水で洗浄した後、乾燥、秤
量した。ろ液はHCl水溶液でpHを0.7−1.0に調
整し、一昼夜静置した後、遠心沈殿器で析出物を沈降さ
せた後、0.45μmのフィルターでろ過、洗浄し、乾
燥、秤量した。
このようにして、得られた不溶成分量、溶解率、析出物
の量をまとめて表6に示す。
上記と同様にして過酸化水素で100℃、180分間処
理し、pH=12に調整した後、ろ過したろ液にHCl水
溶液を加え、pHを8、6、4、2および1に調整した。
これを一昼夜静置し、その沈降状態を調べた。その結
果、pH=2以上のものでは全体が黒色で、傾斜して底部
を調べたが、沈降物の存在は認められなかった。pH=1
のものでは外観上、沈降物の生成が認められたが、上澄
み液は暗赤黄色であり、これを遠心器で沈降、分離させ
たが、上澄み液は同様の色相であった。
(2) 過酸化水素と酢酸による方法 上記と同様の炭素質メソフェース1gと氷酢酸25mlを
300mlの三角フラスコに入れ、これに35%濃度の過
酸化水素水20mlを撹拌しながら滴下して加えた。つい
で、冷却管を付け、100℃で60分間処理した。処理
後、約300mlの水中に移し、1規定のNaOH水溶液
を加えてpHを調整し、遠心器により不溶成分を沈降させ
た。上澄みは目開き0.45μmのメンブランフィルタ
ーで減圧ろ過し、不溶成分は同一のpH水溶液で全量フィ
ルター上に洗い出し、洗浄した後、少量の蒸溜水で洗浄
し、乾燥、秤量した。ろ液はHCl水溶液でpH=0.7
−1.0に調整し、一昼夜静置した後、遠心器で析出物
を沈降させ、上澄みを0.45μmのフィルターで減圧
ろ過し、ついで、析出物を全量フィルター上に移し、洗
浄、乾燥、秤量した。
このようにして得られた不溶成分量、溶解率、析出物の
量を7表に示す。
(d) アミノ化処理 炭素質メソフェースとしてCP(50)238Q1を用い、そ
の1gを三角フラスコに入れ、これに97%濃硫酸と6
8%濃硝酸の70:30(容量比)の混酸20ml加えた
後、100℃、60分間加熱した。次いで、約300ml
の水中に移して反応を停止させた。静置することによ
り、処理物は沈降するので、上澄みはデカンテーション
で除き、沈殿物を減圧ろ過し、少量の水で洗浄した後、
乾燥してニトロ化物を得た。この1gを300mlの三角
フラスコに採取し、スズ粉末を2gと酢酸100mlを加
え、撹拌しながら、36%塩酸20mlを徐々に加えて。
塩酸を全量加えた後、沸騰水浴中で60分間加熱した。
室温まで冷却後、減圧ろ過し、少量の水で洗浄し、乾燥
した。このものの収率は87.3%であり、元素組成は
炭素73.6%、水素2.3%、窒素6.1%、硫黄
0.8%、酸素16.7%であった。更に赤外線吸収ス
ペクトルから、ニトロ化物では約1540、1380cm
-1のN=0の伸縮振動に帰属される吸収が認められるの
に対し、還元処理したものではこれらの吸収は認められ
ず、約3410、3500cm-1および約700−900
cm-1のブロードな吸収が認められ、これはアミンの吸収
に帰属される。
還元処理したもの0.5gをpH=12のNaOH水溶液10
0ml中に入れ、撹拌した後、目開き0.45μmのメン
ブランフィルターで減圧ろ過し、フィルター上のものを
少量の水で洗浄し、乾燥した。ろ液には塩酸水溶液を加
えてpH=1とし、1昼夜静置した後、目開き0.45μ
mのメンブランフィルターで減圧ろ過し、少量の水で洗
浄したあと、乾燥した。この結果、フィルター上の不溶
成分量は0.1%であり、溶解率99.9%となる。ま
た、析出物は91.6%であった。析出物の元素組成は
炭素73.3%、水素2.4%、窒素6.1%、硫黄
0.8%、酸素16.8%であり、赤外線吸収スペクト
ルは還元処理物と同様であった。
実施例2 実施例1で用いた炭素質メソフェース、CP(50)238Q
1を97%硫酸と67%硝酸の70:30(容量比)の
混酸により、100℃、60分間処理した。これを多量
の水に移し、そのまま目開き0.45μmのメンブラン
フィルターにより減圧ろ過した。そして、蒸溜水でろ液
のpHが4に達するまで洗浄した後、乾燥した。この収率
は138.6wt%であった。
この0.5gとメチルエチルケトン(MEK)50mlを
200ml容量の三角フラスコに入れ、密せんした後、3
0℃で5時間振とうした。ついで、目開き0.5μmの
“テフロン”製メンブランフィルターで減圧ろ過し、最
後に少量のMEKで洗浄し、乾燥、秤量した。この結
果、フィルター上に留まる不溶成分は存在せず、全量可
溶化した。
これと同様の方法によって有機溶剤を変えて不溶成分量
を求めた結果を表8に示す。
また、表6の実験番号33(100℃、180分、pH1
2)により得られた酸化物についても同様な方法により
不溶成分量を求めた(表8)。
実施例3 炭素質メソフェースとして工業規模のデイレードコーカ
ーで製造された未仮焼コークス(グリーンコークスまた
は生コークスと呼ばれる)とこれを窒素気流中、60
0、700および800℃でそれぞれ60分間熱処理し
たものを用いた。これらの元素分析値を表9に示した。
これらを100−270メッシュ(0.05−0.15
mm)に粉砕し、その1gを97%濃硫酸と67%濃硝酸
の70:30(容量比)の混酸20ml中、100℃、6
0分間処理した。ついで、実施例1の表2の場合と同様
の操作によって、不溶成分量、溶解率および析出物の量
を求めた。その結果を表9に示した。
実施例4 炭素質メソフェースを調製する原料として、石油系重質
歴青物であるナフサの熱分解時に副生するタールを10
mmHgの減圧下、250℃まで蒸溜した残さのピッチを用
いた。このピッチ約400gを500ml容量のガラス製
円筒容器に入れ、430℃、90分間熱処理した。つい
で、約3倍量のキノリン中、90℃で溶解、分散させた
後、遠心器で不溶成分を沈降させ、上澄みはデカンテー
ションで除き、不溶成分に新たなキノリンを加えて90
℃に加熱し、遠心器で不溶成分を沈降させた。この操作
をキノリンがわずかに着色する程度まで繰り返して不溶
成分を洗浄した後、ベンゼン、アセトンで洗浄してキノ
リンを除き、乾燥した。このようにして得られたキノリ
ン不溶成分を炭素質メソフェースとした。収率は38.
3重量%であり、元素分析値は炭素93.9wt%、水素
4.4wt%、窒素0.1wt%、硫黄0.2wt%、酸素
1.3wt%であった。
この炭素質メソフェースを0.15−0.35mmに粉砕
し、その1gを実施例1と同様にして、97%硫酸と6
7%硝酸の混酸(70:30、容量比)20ml中、10
0℃、60分間処理してニトロ化反応を行った。反応物
は約300mlの水中に移し、1規定のNaOH水溶液で
pH=12に調整し、遠心器で不溶成分を沈降させた。上
澄み液は目開き0.45μmのメンブランフィルターで
減圧ろ過し、ついで、不溶成分を同一のpHの水溶液で全
量フィルター上に移し、最後に少量の蒸溜水で洗浄し、
乾燥、秤量した。ろ液はHCl水溶液でpHを7.7−
1.0に調整し、一昼夜静置した後、遠心器で析出物を
沈降させた。析出物はpH=1のHCl水溶液で洗浄し、
0.45μmのフィルターでろ過し、乾燥、秤量した。
このようにして得られた不溶成分量から溶解率を求めた
結果、不溶成分量は0.1重量%以下の痕跡程度であ
り、溶解率は100重量%となり、析出物の量は13
5.8重量%であった。
実施例5 析出物として得られた両親媒性炭素質メソフェースの性
状を元素組成と赤外線吸収スペクトルから調べた。試料
としての両親媒性炭素質メソフェースは表2−9までの
代表的なものを選んだ。赤外線吸収スペクトルは拡散反
射法によるFT−IRで測定し、クーベルカームンク
(Kuberke-Munk)式で吸光度に変換した。そして、約1
600cm-1の炭素、炭素2重結合(C=C)に帰属され
る吸光強度を基準として他の強度の比(吸光度比)を求
めた。吸収スペクトルの帰属は約1700cm-1の吸収ピ
ークをカルボニル基(C=C)、1560cm-1のそれを
ニトロ基、1230cm-1のそれをスルホン酸基とした。
これらの結果を表10に示した。
(発明の効果) 固体である炭素質メソフェースをニトロ化、スルホン
化、酸化処理することにより両親媒性炭素質メソフェー
スを容易に得ることが出来る。得られる両親媒性炭素質
メソフェースは、(1)水または有機溶剤に溶解し、液状
となる、(2)ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、
水酸基、アミノ基等の親水性基を持つ、(3)水、有機溶
剤を除去すると固形物となる、(4)固形物は熱処理によ
って、導入した官能基の脱離が生ずると共に、軟化、溶
融することなく炭化する、等の性質を有している。この
性質を利用した種々の用途が考えられる。それらの例を
示すと次ようである。
(1) 吸着材:導入した親水性基の脱離による細孔の形
成。これは性質(4)の利用。
(2) イオン交換体:導入した親水性基はイオン交換能
を持つが、アルカリ水溶液に可溶であるので、高分子化
合物との共重合による不溶化処理を行う。これは性質
(2)の利用。
(3) 高分子化合物:芳香環の反応性は官能基の存在に
よって増大するので、例えば、フォルマリンによるフェ
ノール樹脂類似高分子の製造が可能となる。これは性質
(1)、(2)の利用。
(4) 流し込み成形による炭素材の製造。これは性質
(1)、(3)、(4)の利用。
上記のように、固体である炭素質メソフェースの親水性
基の導入による液体化は炭素材原料以外にも、縮合多環
芳香族有機化合物としての多くの用途が考えられる。こ
のように両親媒性炭素質メソフェースは新たな原料とし
て有用な物質であるといえる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素質メソフェースを、ニトロ化剤、スル
    ホン化剤及び酸化剤の中から選ばれた反応剤による処理
    に付することを特徴とする両親媒性炭素質メソフェース
    の製造方法。
  2. 【請求項2】反応剤との処理生成物をアルカリ水溶液に
    溶解し、不溶物を除去したのち、酸性に変え、析出した
    固形分を回収する特許請求の範囲第1項記載の両親媒性
    炭素質メソフェースの製造方法。
  3. 【請求項3】反応剤との処理生成物を極性有機溶剤に溶
    解し、不溶物を除去したのち、上記溶剤を留去して残留
    分を回収する特許請求の範囲第1項記載の両親媒性炭素
    質メソフェースの製造方法。
  4. 【請求項4】炭素質メソフェースをニトロ化剤による処
    理に付したのち、その生成物を還元することを特徴とす
    る両親媒性炭素質メソフェースの製造方法。
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