JP3002536B2 - ピッチ炭素繊維紡糸用有機金属含有メソ相ピッチ - Google Patents

ピッチ炭素繊維紡糸用有機金属含有メソ相ピッチ

Info

Publication number
JP3002536B2
JP3002536B2 JP3800034A JP80003491A JP3002536B2 JP 3002536 B2 JP3002536 B2 JP 3002536B2 JP 3800034 A JP3800034 A JP 3800034A JP 80003491 A JP80003491 A JP 80003491A JP 3002536 B2 JP3002536 B2 JP 3002536B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organometallic compound
pitch
ppm
metal
mesogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3800034A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1112576A (ja
Inventor
エイチ・アーネスト・ロマイン
ジェームス・アール・マックコナヒー,ジュニアー
ジョン・エイ・ロジャーズ
Original Assignee
コノコ・インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by コノコ・インコーポレーテッド filed Critical コノコ・インコーポレーテッド
Publication of JPH1112576A publication Critical patent/JPH1112576A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3002536B2 publication Critical patent/JP3002536B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10CWORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
    • C10C3/00Working-up pitch, asphalt, bitumen
    • C10C3/02Working-up pitch, asphalt, bitumen by chemical means reaction
    • C10C3/026Working-up pitch, asphalt, bitumen by chemical means reaction with organic compounds
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F9/00Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments
    • D01F9/08Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments of inorganic material
    • D01F9/12Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof
    • D01F9/14Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments
    • D01F9/145Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments from pitch or distillation residues

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は金属含有炭素繊維及び炭素繊維製造に適する
可溶性の芳香族有機金属化合物を含有するメソ相(meso
phase)ピッチを製造するための進歩した過程に掛か
る。更に詳しくは、本発明は優れた酸化安定特性、引張
強さ及び伸長弾性率特性を示す高強度炭素繊維を製造す
る過程に関するものである。該過程は、黒鉛化可能な炭
素系原料に可溶性芳香族有機金属化合物を添加するこ
と、又は黒鉛化可能な炭素系原料中の芳香族有機金属化
合物の濃度を調整することと、前記炭素系原料を熱ソー
キング(heat soaking)して前記有機金属化合物から
メソジェン(mesogens)及び金属を含有する等方性ピッ
チ生成物を製造することとを含んで成る。得られたピッ
チ生成物を大気圧近くで溶剤を使用することによって溶
剤分別する。次に、金属含有メソジェンを十分な温度に
加熱して融解を生じさせ金属含有メソ相ピッチを生成す
る。こうして生成した金属含有メソ相ピッチは繊維加工
品への溶融紡糸に好適である。
【0002】 別の方法では、炭素系原料は熱ソーキングしてメソジ
ェンを含有する等方性ピッチ生成物製品を生ぜしめる。
次いで、この等方性ピッチ生成物に高分子量で可溶性の
芳香族有機金属化合物を添加し、その結果得られる混合
物を溶剤分別して金属含有メソジェンを分離する。
【0003】 更に別の方法として、上述のいずれかの方法による金
属含有等方性ピッチ生成物を超臨界抽出条件で溶剤分別
して金属含有メソ相ピッチを生成してもよい。超臨界抽
出条件を適用する場合には、該条件によってメソジェン
融解過程を不要とし溶融メソ相ピッチが直接に得られる
ようにする。
【0004】
【従来の技術】
金属含有ピッチ及び/又は炭素繊維を生産する過程は
既知であり、現在では商業的に実用化されている。例え
ば、1977年8月16日に発行された米国特許第3,258,419
号明細書は、アスファルトの通気を促進するためにリン
酸及び金属触媒の使用に関して開示している。該触媒は
溶存金属を含有するリン酸からなる。
【0005】 1968年5月28日に発行された米国特許第3,385,915号
明細書は、予備成型有機高分子材料に金属を含浸させる
ことを含んでなる金属酸化物繊維製造過程を開示してい
る。セルロース及びレーヨンが好適な有機高分子材料と
して示されている。
【0006】 1977年8月16日に発行された米国特許第4,042,486号
は、ピッチを結晶類似物質へ転化するための過程であっ
て、メソ相ピッチを製造するためにガス散布及び熱ソー
キングを行う前に固体無定形ピッチ粒子を金属又は金属
塩で被覆することからなる過程に関するものである。
【0007】 1985年11月19日に発行された米国特許第4,554,148号
は、少なくとも5重量%のメソ相を含有するピッチ生成
物を得るために、原料油を熱分解状態にすることを含ん
でなる炭素繊維製造過程に関するものである。メソ相を
実質的に含有しないピッチは、ピッチ生成物から特定の
粒径のメソ相を除去することによって得られる。前記の
原料油はナフテン基又は中間基の原油から誘導された金
属を含有する。
【0008】 1986年7月15日に発行された米国特許第4,600,496号
明細書は、ある種の金属の酸化物、ジケトン、カルボキ
シル酸塩及びカルボニルが触媒として効果的な量ほど存
在する条件下でピッチをメソ相に転化させる過程を開示
している。その結果得られるメソ相ピッチは炭素繊維の
製造に使用して好適であると説かれている。
【0009】 米国特許第4,704,333号は、上述の米国特許第4,600,4
96号明細書に記述されるピッチから生成される炭素繊維
を形成するための過程に関するものである。該過程は前
記メソ相を押し出して繊維を形成すること、押し出され
た繊維を冷却すること、及び前記繊維を昇温して炭化す
ることからなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の引用文献から容易に結論できるように、種々の
ピッチ及び炭素繊維を製造するための新規かつ一層進歩
した過程及び方法を求める研究努力が継続的に進められ
ている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属含有炭素繊維、金属含有メソ相ピッチ
及び容易に炭素繊維に紡糸できる前記金属含有メソ相ピ
ッチを製造する方法に関する。本明細書における金属含
有メソ相ピッチを製造する方法は、可溶性の芳香族有機
金属化合物を黒鉛化可能な(graphitizable)炭素系原
料(carbonaceous feedstock)に添加することを含ん
で構成される。金属含有炭素系原料を熱ソーキングし
て、メソジェン及び可溶性の芳香族有機金属化合物を含
有する等方性ピッチ生成物を生ぜしめる。得られたピッ
チ生成物を溶剤分別して金属含有メソジェンを等方性油
の留分(fraction)から分離する。その後で、メソジェ
ンを十分な高温に昇温して溶融を起こさせ、約50ppm乃
至約20,000ppmの有機金属化合物からの金属を含有する
メソ相ピッチを形成する。
【0012】 別の方法では、黒鉛化可能な炭素系原料を熱ソーキン
グしてメソジェンを含有する等方性ピッチ生成物を生ぜ
しめ、高分子量で可溶性の芳香族有機金属化合物を前記
ピッチ生成物に添加して溶剤分別する。このように、本
明細書の有機金属化合物は、熱ソーキングステップの前
又は後に、炭素系原料に添加してもよい。
【0013】 溶剤分別は溶剤又は溶剤混合物を用いて所望のメソ相
形成物(メソジェン)[mesophase formers(mesogen
s)]を等方性油及び微粒子混入物から分離するために
行う。溶剤分別は大気圧もしくはそれに近い圧力の下で
液体溶剤を用いて遂行する。代替的には、金属を含有す
る等方性ピッチ生成物を臨界超過状態で溶剤分別して金
属含有メソ相ピッチを生成させてもよい。超臨界抽出を
用いる場合は、該条件を溶融メソ相ピッチが直接に得ら
れメソジェン溶解ステップは不要となるようにする。
【0014】 本発明は、炭素加工品又は繊維に容易に紡糸できる金
属含有メソ相ピッチを提供する。本明細書の金属含有メ
ソ相ピッチは、増強された酸化安定性、引張強さ及び伸
長弾性率特性を具備する繊維を提供する。
【0015】 本発明にあっては、可溶性の芳香族有機金属化合物を
炭素系原料に添加する。該金属含有炭素系原料を熱ソー
キングして、メソジェン及び可溶性の芳香族有機金属化
合物を含有する等方性ピッチ生成物を生ぜしめる。得ら
れたピッチ生成物を溶剤分別して金属含有メソジェンを
分離する。その後で、金属含有メソジェンを十分に高温
に昇温して、可溶性の芳香族有機金属化合物から得られ
た金属を含有するメソ相ピッチを生成する。
【0016】 ある種の炭素系原料は少量の又は微量の金属化合物を
原料中に含有することに注目すべきである。かかる場合
は、常に炭素系原料の金属含有量を所望の濃度に調整す
るのが好ましい。これは本明細書の可溶性の芳香族有機
金属化合物を炭素系原料に添加し、それによって炭素系
原料の前記金属含有量を所望の濃度に調整することによ
って遂行できる。
【0017】 別の方法では、炭素系原料を熱ソーキングし、メソジ
ェンを含有する等方性ピッチ生成物を生ずるようにでき
る。次いで、高分子量で可溶性の芳香族有機金属化合物
をピッチに添加し、その後で溶剤分別する。有機金属化
合物は熱ソーキングステップの前後いずれにおいて炭素
系原料に添加してもよい。
【0018】 溶剤分別は、等方性油又は微粒子混合物(particulat
e contaminants)から所望のメソ相形成物(メソジェ
ン)を分離するために溶剤又は溶剤混合物を用いて行
う。溶剤分別は大気圧もしくはそれに近い圧力の下で液
体溶剤を用いて遂行する。代替的には、溶剤分別を超臨
界抽出温度及び圧力条件で行い、有機金属化合物を含有
するメソ相ピッチを生成させる。
【0019】 本発明の方法において使用する炭素系原料は、好まし
くはピッチと称せられる材料を包含する重質芳香族石油
留分及び石炭誘導の重質炭化水素留分である。使用する
原料はいずれも実質的にはメソ相ピッチを含んでいな
い。 本明細書において使用する用語「ピッチ」は、石油ピ
ッチ、天然アスファルト及びナフサ分解産業において副
産物として得られる重油、様々な産業的生産過程におい
て副産物として生成されるピッチの性質を具備する石油
又は石炭及びその他の物質から得られる高炭素含有量の
ピッチ類、を意味する。 用語「石油ピッチ」は、石油留出物又は残留物の熱及
び触媒分解から得られる残油性炭素系物質に適用する。 用語「異方性ピッチ又はメソ相ピッチ」は、相互作用
によって相互に関連して光学的に配列する液晶を形成す
る芳香族構造を具備する分子からなるピッチを意味す
る。 用語「等方性ピッチ」は、光学的に配列する液晶には
整列しない分子からなるピッチを意味する。 このようなピッチから生成される繊維は、メソ相ピッ
チから生成される繊維よりも品質において劣る。 用語「メソジェン」は、流動状態(fluid state)で
相互に作用して又は相互に関連してメソ相ピッチを形成
する分子を意味する。
【0020】 一般的には、高度の芳香族性を具備する黒鉛化可能な
原料が本発明を遂行するのに適している。核磁気共鳴分
光法によって約40%乃至約90%の芳香族炭素含有量を具
備すると確定される炭素系ピッチは、本発明の過程に特
に有用である。また、このようなピッチ又はこのような
ピッチに転化できるものを含有する高沸点で強芳香族性
のストリーム(stream)も有用である。
【0021】 高脂肪族含有量を含む炭素系ピッチ又は黒鉛化可能な
原料もまた本明細書における用途に好適であることに注
目すべきである。有機金属の安定性増強は高脂肪族含有
量を含む原料において特に効果的である。
【0022】 重量基準で、有用な黒鉛化可能な原料は炭素約88%乃
至約93%と水素約9%乃至約4%を含有することになろ
う。このようなピッチにはイオウや窒素のような炭素及
び水素以外の元素が、少量ながら、存在するのが通常で
ある。一般的には、これらの他の元素は原料の約5重量
%を越えることはない。また、これれらの有用な原料の
平均分子量は典型的には約200乃至約1000程度である。
【0023】 一般的には、任意の石油又は石炭誘導重質炭化水素留
分が、本発明の方法における炭素系原料として使用でき
る。石油ピッチ以外の好適な黒鉛化可能な原料には重質
芳香族石油ストリーム、エチレン分解タール(etylene
cracker tars)、石炭誘導体、石油サーマルタール
(petroleum thermal tars)、流体触媒分解残査(fl
uid catalytic cracker residues)、及び沸騰範囲6
50゜乃至−950゜Fの芳香族留出物がある。石油ピッチ−
タイプの原料の使用が好ましい。
【0024】 本発明の可溶性の有機金属化合物は天然に存在する有
機金属化合物又は合成の有機金属化合物のいずれであっ
てもよい。天然に存在する可溶性の有機金属化合物が好
ましいことに注目すべきである。本発明の天然に存在す
る可溶性有機金属化合物は、少なくとも部分的に芳香属
性であって良好な熱安定性を示し、かつ少なくとも部分
的に芳香族炭化水素における可溶性を具備する。一般的
には、これらの化合物は原油のアスファルト留分中に存
在する有機金属複合体から得られる。ここに述べる有機
金属化合物の芳香族性有機成分はポルフィリン(porphy
rins)及び変形ポルフィン環(altered porphin rin
g)構造を有する関連大環状化合物(related macrocyc
lic compounds)を包含する。これらの化合物は窒素配
位子の他に付加的な芳香族リング及び/又はイオウ及び
酸素を具備するポルフィン類も包含する。本発明の好ま
しい有機金属化合物は、炭素系原料に容易に溶解し熱的
に比較的安定なポルフィン型構造体である。これらの化
合物は溶融アリール置換基を具備することが多い。ここ
で述べる有機金属化合物の金属成分は、一般に遷移金属
から選ばれる金属又は金属混合物である。周期表のVII
又はVIII属の金属が好ましい。
【0025】 上記の属のうちで特に好ましい金属には、バナジウ
ム、ニッケル、亜鉛、鉄、銅、イリジウム、マンガン及
びチタン並びにこれらの混合物がある。ここに述べた全
ての金属が本発明での使用に適しているが、バナジウム
及びニッケルは非常にに好適であり、特に好適なのはバ
ナジウムであることに注目すべきである。
【0026】 理論に固執する意図ではないが、本件出願人は上述の
金属が有機金属化合物の芳香族有機成分と複合してここ
に述べる炭素系原料に対して実質的に可溶性のキレート
を形成するものと考える。
【0027】 本発明の用途に好適であって天然に存在する可溶性の
芳香族有機金属化合物の一つの供給源の例は、マヤ(Ma
yan(MAYAとしても知られている))原油である。十分
な量の可溶性芳香族有機金属化合物を含有したマヤ原油
から濃縮物が精製できる。
【0028】 使用に適する可溶性合成有機金属化合物の代表例に
は、5、10、15、20−テトラフェニル−21H、23H−ポル
フィンバナジウム(IV)オキサイド;5、10、15、20−テ
トラフェニル−21H、23H−ポルフィンニッケル(II);
5、10、15、20−テトラフェニル−21H、23H−ポルフィ
ン亜鉛;5、10、15、20−テトラフェニル−21H、23H−ポ
ルフィンコバルト(II)及び5、10、15、20−テトラフ
ェニル−21H、23H−ポルフィン銅並びにそれらの混合物
がある。合成バナジウム有機金属化合物は特に好まし
い。これらの合成有機金属化合物は、ウィスコンシン州
ミルウォーキー所在のオールドリッチ・ケミカル社(Al
drich Chemical Company)によって製造及び商業販売
されている。
【0029】 ここに開示する有機金属化合物は、天然に存在する有
機金属化合物及び合成の有機金属化合物の両者を包含
し、任意の使いやすい方法で炭素系原料に組み入れてよ
い。従って、所望の有機金属化合物を所望の濃度レベル
で炭素系原料に溶解することにより、有機金属化合物を
炭素系原料に直接添加してよい。
【0030】 別の方法として、ここに述べる有機金属化合物を適当
な溶剤と混合して、適当な炭素系原料に所望の濃度で容
易に溶解できる有機金属化合物−溶剤混合物を形成して
もよい。有機金属化合物−溶剤混合物を使用する場合
は、該混合物は有機金属化合物対溶剤の比率をそれぞれ
約0.05:20とするのが通常である。ただし、この比率範
囲から外れた溶剤比でも同程度に好適であることに注目
すべきである。
【0031】 ここで述べる混合物の形成において使用するに好適な
溶剤には、石油ベースの化合物、例えば、ガス油、ベン
ゼン、キシレン及びトルエン並びにそれらの混合物があ
る。選定される特定の溶剤は、無論、最終的な炭素系原
料組成物のその他の所望の性質に有害な影響を及ぼさな
いように選ばなければならない。
【0032】 通常は、有機金属化合物の十分な量を炭素系原料に添
加して、溶剤分別及びメソジェン融解後において、メソ
相ピッチ中の有機金属化合物から供給された金属によっ
て、炭素系原料から生成したメソ相ピッチに含まれる金
属濃度を約50ppm乃至約20,000ppm、特に約80ppm乃至約1
0,000ppm、好ましくは約100ppm乃至約500ppm、にする。
【0033】 可溶性芳香族有機金属化合物を炭素系原料に添加し、
金属含有原料を熱ソーキング過程で処理すると、メソジ
ェン及び可溶性芳香族有機金属化合物を含有する異向性
ピッチ生成物が生ずる。適用する熱ソーキング過程の条
件は当該技術では周知であり、圧力約0.1乃至27気圧、
時間約1分乃至約100時間、特に約5分乃至約50時間、
好ましくは約2時間乃至約10時間における温度範囲約35
0℃乃至約525℃、好ましくは約370℃乃至約425℃を包含
する。熱ソーキングの前後いずれかにおいて約0.1乃至
約75mmHgの減圧状態での真空脱油によって熱ソーキング
したピッチの油量を調整することが望ましい。炭素系原
料を真空脱油する手順は米国特許第4,219,404号明細書
に適切に記述されおり、その全文をここに参照すること
により該特許の開示するところを本明細書に援用するも
のとする。前記熱ソーキングは、メソジェンが原料中に
形成できる程度の十分な時間をかけて行うが、原料の5
%越える量がメソ相に転化するほどの長時間をかけるも
のではないことに注目すべきである。
【0034】 メソジェンの形成を加速するために、熱ソーキング期
間中は金属含有炭素系原料を酸化反応性気体に接触させ
ることが望ましい。炭素系原料の酸化処理を加速するた
めの好ましい気体は窒素を含んだ空気又は酸素と窒素と
の混合物であって、酸素が混合気体の約0.05%乃至約5
%を構成する気体である。その他の酸化反応性気体に
は、オゾン、過酸化水素、二酸化窒素、ギ酸蒸気及び塩
化水素蒸気がある。これらの酸化反応性気体は単独で又
は窒素、アルゴン、キセノン、ヘリウム、メタン、炭化
水素ベースの煙道ガス及び気体流並びにそれらの混合物
のような不活性気体(非酸化性)と共に使用してよい。
通常は、原料を原料1ポンドに対して約1.0乃至約20SCF
(標準立方フィート)/時間の酸化反応性気体の割合で
酸化反応性気体と接触させる。炭素系原料を酸化反応性
気体に接触させる手順は、米国特許第4,892,642号明細
書に更に十分に開示されており、その全文をここに参照
することにより該特許の開示するところを本明細書に援
用するものとする。
【0035】 熱ソーキングに先立って有機金属化合物を炭素系原料
に添加する場合は、比較的低い分子量の有機金属化合物
が本発明における使用に適当である。これらの化合物は
メソジェン形成熱ソーキング反応に関与し、それによっ
て熱ソーキング過程の間に形成されるメソジェンに実質
的に近似するサイズにまで成長する。従って、熱ソーキ
ング過程の間に金属含有原料中の比較的小さい有機金属
化合物がメソジェンに組み入れられる傾向がある。比較
的高分子量の有機金属は熱ソーキングの間に存在する必
要はないが、熱ソーキング間におけるこれらの金属の存
在は本発明の用途に適している。
【0036】 天然に存在する芳香族有機金属化合物の濃縮物を黒鉛
化可能な炭素系原料に添加してその混合物を熱ソーキン
グする場合には、得られる熱ソーキングしたピッチ中の
メソジェンが黒鉛化可能な材料であることが重要であ
る。従って、濃縮物は黒鉛化可能な材料であることが望
ましい。
【0037】 別の方法として、黒鉛化可能な炭素系原料を熱ソーキ
ングしてメソジェンを含有する等方性ピッチ生成物が生
ぜしめ、その後で、可溶性の芳香族有機金属化合物をピ
ッチ生成物に添加し、次いで溶剤分別してもよい。この
経路を実施する場合は、可溶性の芳香族有機金属化合物
は既に述べた天然又は合成のいずれのタイプでもよい。
可溶性芳香族有機金属類は単独に又は濃縮物として添加
してよく、これらの金属類をメソジェン含有等方性ピッ
チと任意の便利な方法で混合してよい。可溶性芳香族有
機金属を天然に存在する濃縮物として添加する場合に
は、比較的高い金属含有量(50ppmより大きい又は1000p
pmよりさえも大きい)を有する濃縮物が好ましい。濃縮
物を抽出によって分離したメソジェンが黒鉛化可能であ
ることを妨げない限り、濃縮物は黒鉛化可能な炭素系材
料である必要はない。マヤ残査及びマヤ原油のアスファ
ルト類は、この態様における本発明の実施に好適な天然
に存在する濃縮物の例である。
【0038】 熱ソーキング操作後に可溶性芳香族有機金属化合物を
ピッチ生成物に添加する場合には、高分子量の有機金属
化合物のみを使用することが重要である。高分子量芳香
族有機金属化合物の実質的な部分は溶剤分別の間に等方
性ピッチからメソジェンと共沈する。本過程の溶剤分別
ステップはピッチ生成物からメソジェンと共に高分子量
可溶性芳香族有機金属化合物を分離及び濃縮することに
対して選択的に働く。比較的低分子量の有機金属化合物
は、溶剤分別の間において可溶性のままである。メソジ
ェンを沈殿する条件下で好適な高分子量有機金属化合物
が不溶性である必要はないことに注目すべきである。有
機金属の実質的な部分のみがメソジェンと共沈すること
が必要なだけである。本発明における使用に好適な高分
子量可溶性芳香族有機金属化合物は、実質部分が約800
乃至約2,000の範囲内の分子量を有する有機金属化合物
である。
【0039】 上述の教示に従って熱ソーキング又は混合によって形
成してメソジェンと可溶性芳香族有機金属化合物とを含
有する等方性ピッチ生成物は、溶剤分別を経て融解後、
炭素加工品又は繊維への紡糸に好適な金属含有メソ相
(異方性)ピッチを生成する。溶剤分別は次のステップ
によって実行する: (1)メソジェン及び可溶性芳香族有機金属化合物を含
有する等方性ピッチを芳香族溶剤中でフラックス化(fl
uxing)するステップ。 (2)フラックス不溶物を濾過、遠心分離その他の適当
な方法によって分離するステップ。 (3)フラックス濾過液を反溶剤で希釈して金属含有メ
ソ相ピッチ前駆体、例えば、有機金属化合物を含有する
メソジェン、を沈殿させ、該メソ相ピッチ前駆体を洗浄
し、乾燥するステップ。
【0040】 溶剤分別のフラックス化及びフラックス不溶物の除去
ステップは省略してよい。溶剤分別する等方性ピッチが
高温濾過によって得られるような透明な材料である場合
には、特にこれが当てはまる。最上の炭素繊維特性は本
発明の好ましい態様おいて得られ、メソジェン及び可溶
性有機金属化合物を含有する等方性ピッチをフラックス
化溶剤(fluxing solvent)と混合し、フラックスにし
てメソジェンを可溶化する。各種の溶剤が融剤材料とし
ての使用に適している。これらの溶剤には、ベンゼン及
びナフタレンのような芳香族化合物、テトラリン及び9,
10−ジヒドロアントラセンのようなナフタリン系芳香
族、トルエン、キシレン及びメチルナフタレンのような
アルキル芳香族、ピリジン、キノリン及びテトラヒドロ
フランのようなヘトロ芳香族、及びそれらの組合せがあ
る。クロロホルム及びトリクロロエタンのように1乃至
4炭素原子を含有するパラフィン系炭化水素のクロロ及
びフルオロ誘導体及びトリクロロベンゼンのようなハロ
ゲン化芳香族を包含する単純なハロカーボンも好適であ
る。
【0041】 一般的には、ピッチに対しては非反応性であり、十分
な量のピッチと混合するとメソジェンを可溶化できる任
意の有機溶剤を、本発明の過程を実行するために使用し
てよい。約500℃を越える温度では、ピッチ内の芳香族
化合物と又は間で望ましくない反応が起こり得る。従っ
て、溶剤は約500℃より低温で所要の可溶化作用を有し
ていなければならない。
【0042】 使用する溶剤の量は、混合を行う温度及びピッチの組
成に依存して変化する。一般には、使用する溶剤の量
は、溶剤約0.05重量部/ピッチ1重量部乃至溶剤約2.5
重量部/ピッチ1重量部の範囲にある。好ましくは、溶
剤対ピッチの重量比は約0.7:1乃至約1.5:1の範囲内にあ
る。フラックス化操作は通常には昇温しかつ十分な圧力
で行われ、系を液態に維持する。混合又は攪拌はフラッ
クス化操作の間に行われてメソジェン及び有機金属化合
物の可溶化を促進する。通常は、フラックス化操作を約
30乃至約150℃の範囲内の温度で約0.1乃至約2.0時間の
期間に亙って行う。しかしながら、フラックス化を系の
圧力での溶剤の沸点に至るまで行ってよい。
【0043】 フラックス化ステップが完了すると、可溶化したメソ
ジェン及び有機金属化合物を、沈降、遠心分離、濾過と
いった通常の技法によってピッチの不溶部分から分離す
る。分離技法に濾過を選定して使用する場合は、所望な
ら、濾過助剤を使用して流体材料の固体からの分離を容
易にしてもよい。液体ピッチから除去する固体材料は、
熱ソーキング間に発生した不溶物の他に、熱ソーキング
以前にピッチ中に存在していたコークス及び触媒微粒子
のような材料を含む。熱ソーキング条件を慎重に調整し
ないと、熱ソーキング間にピッチにメソ相が発生するこ
とがある。フラックス混合物ではメソ相は圧倒的に不溶
性であり、分離過程において他の不溶物と共に除去され
るから、このメソ相はフラックス過程において一部を損
耗する。本発明の過程においては、等方性ピッチ(これ
は実質的にメソ相を含んでいない)が好ましい。なぜな
ら、等方性ピッチであるということは、ピッチ中に最大
量のメソジェンを生ずるように溶剤分別前のピッチの処
理が行われていることを意味するからである。
【0044】 系から固体を除去した後、溶解したメソジェン及び有
機金属化合物を含んで残留しているピッチと溶剤との混
合物はコミックス(comix)又は溶解阻止剤(anti−sol
vent)で処理して有機金属含有メソジェンをピッチから
沈殿させる。メソジェン及び有機金属化合物を含有する
等方性ピッチを、1ステップ又は2ステップ過程のいず
れかでコミックス又は溶解阻止剤と接触させてよい。
【0045】 好ましくは、コミックス又は溶解阻止剤系は、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等のような芳香族炭化水素及び
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン等のような脂肪族炭化水素混合物を含む。特に望
ましいコミックス又は溶解阻止剤はトルエンとヘプタン
との混合物である。一般的には、芳香族−脂肪族のコミ
ックスは約6:4乃至約9.1:0.1の容量比で混合する。典型
的には、コミックス又は溶解阻止剤は、等方性ピッチ1
グラム当たり反溶剤約5ml乃至約150mlの割合で、等方性
ピッチに添加する。この比率範囲で金属含有メソジェン
を等方性ピッチ系から十分に沈殿させることができる。
金属含有メソジェンを等方性ピッチから沈殿させた後
で、沈降、遠心分離、濾過等のような慣用の技術を用い
て金属含有メソジェンを等方性ピッチから分離する。本
明細書における溶剤分別手順については、フラックス化
用液体、溶解阻止用液体、熱ソーキング処理後に生じた
ピッチ生成物に対する流体化用液体又は反溶剤液体の比
率を含めて、米国特許第4,277,324号及び4,277,325号明
細書に更に詳細に示してあり、その全文を参照すること
によって該特許明細書をここに援用するものとする。
【0046】 別の方法として、米国特許第4,208,267号で教示され
るように、等方性ピッチを抽出してメソ相ピッチ前駆体
である不溶性残査を生じさせてもよい。例えば、米国特
許第4,208,267号明細書は、メソ相ピッチを生成するた
めの過程を開示しており、該明細書においては炭素系等
方性ピッチを溶剤を用いて抽出し、約350℃より低い焼
結点を有する溶剤不溶部分を得る。溶剤不溶部分を溶剤
可溶部分から分離し、前記溶剤不溶部分に熱処理を施し
て光学的に異向性のピッチを生ぜしめる。前記米国特許
第4,208,267号明細書の開示の全文をここに参照するこ
とにより該特許を援用するものとする。
【0047】 溶剤分別ステップの後、金属含有メソジェンを十分に
高温に加熱し、それによってメソジェンを融解して金属
含有メソ相ピッチを形成する。該メソジェンを400℃以
内でかつ前記メソジェンの分解温度より低い温度まで昇
温して、メソ相ピッチの形成を促進する。好ましくは、
メソジェンを焼結温度より10℃乃至30℃高い約230℃乃
至約400℃の温度にまで昇温する。こうして形成された
金属含有メソ相ピッチは、高温ステージ顕微鏡に載置し
て加熱する場合、典型的には約230℃乃至約400℃の軟化
温度を示す。
【0048】 別の方法では、上述の熱ソーキングステップで得られ
たメソジェン及び可溶性芳香族有機金属化合物を含有す
る等方性ピッチ生成物を温度及び圧力の超臨界抽出条件
にさらして金属含有メソ相ピッチを生ぜしめる。超臨界
抽出を適用する場合は、溶剤も約500℃より低い臨界温
度を有するものでなければない。超臨界抽出過程におい
ては、等方性ピッチ生成物(該生成物はメソジェン及び
可溶性芳香族有機金属化合物を含有する)を、温度及び
圧力の超臨界抽出条件にされして金属含有メソ相ピッチ
を生ぜしめる。超臨界抽出は次のステップで行う。 (1)芳香族溶剤中でメソジェン及び可溶性芳香族有機
金属化合物を含有する等方性ピッチ生成物をフラックス
にするステップ。 (2)濾過、遠心分離その他の適当な手段でフラックス
不溶物を分離するステップ。 (3)フラックス可溶物を温度及び圧力の超臨界条件に
さらして金属含有メソ相ピッチを生成するステップ。 溶解したメソジェン及び有機金属化合物を含有する上
述のステップ(3)のピッチ液剤混合物を、超臨界的温
度及び圧力、即ち、フラックス溶剤の臨界温度及び臨界
圧力又はそれを越える温度及び圧力にさらしてピッチか
らのメソジェンの分離を起こさせる。例えばトルエンの
場合には、臨界条件は319℃及び611psia(絶対ポンド平
方インチ)である。メソジェンを系から分離するための
所要時間は、所定のピッチ及び使用する溶剤並びに分離
槽の形状に依存して変化する。一般的には、メソジェン
を系から分離するためには約1分乃至約60分の時間で十
分である。
【0049】 所望なら、例えば、超臨界抽出の間に、追加の溶剤を
加えてもよい。このような追加の溶剤の量は、約12重量
部の溶剤/ピッチ1重量部、好ましくは約0.5乃至約8
重量部の溶剤/ピッチ1重量部までよい。追加の溶剤を
加える際は、密接な相間接触を促進するために攪拌又は
混合が好ましい。
【0050】 従来技術の等方性ピッチの溶剤分別(これにはコミッ
ス又は溶解阻止剤の使用を含む)においては、融解操作
はメソジェンをメソ相ピッチに転化するのに役立った。
本発明の過程においては、超臨界相分離ステップから得
られる生成物がメソジェンではなくメソ相であるから、
この転化を遂行するための融解は必要でない。
【0051】 本発明の過程の実施において適用する超臨界条件は、
使用する溶剤、ピッチの組成及び使用温度に依存して変
化する。超臨界圧力のレベルは、溶剤に対するピッチの
溶解度を調整するために用いてよく、それによってメソ
相生成物の収量及び融点を確定する。例えば、与えられ
た温度及び溶剤対ピッチ比で、系への印加圧力を増す
と、溶剤に対するピッチの溶解度も増す。その結果、一
層高い融点で一層低い収量の金属含有メソ相生成物が得
られる。圧力を下げれば、反対の結果が得られる。一般
的には、使用する超臨界温度は溶剤の臨界温度又はそれ
より幾分か高い温度、例えば溶剤の臨界温度より0乃至
100℃高い温度、である。所望なら、更に高い温度を使
用してもよいが、それが必要というわけではない。系に
対して維持される圧力は、生成物の性質及び収量の調節
に最も便利に使用できるから、広範囲に亙って変化す
る。従って、系に対する印加圧力は、所望なら、臨界圧
力の2倍まで高くしてよい。
【0052】 この過程に必要な温度及び圧力は、この過程に使用す
る溶剤の臨界温度及び圧力と同一又はより高い。好適な
溶剤は、約100℃乃至約500℃の範囲の臨界温度を具備す
る溶剤である。上限温度はピッチ及び/又は溶剤混合物
の熱的安定性に支配される。下限温度は、使用する特定
の溶剤の臨界温度によって定まる。好ましい溶剤は200
℃より高い臨界温度を有する。しかし、ハロカーボンの
ような他の溶剤はこれよりも低い臨界温度を有してい
る。例えば、クロロトリフルオロメタンは臨界温度29℃
を有す。プロセス温度は典型的には溶剤の臨界温度より
も約100℃高いか又はそれ以上である。プロセス圧力は
一般的には約500psig(ゲージ・ポンド毎平方インチ)
乃至約3,000psigである。しかしながら、ある種のピッ
チ/溶剤系は更に高い又は更に低い圧力を利用すること
に注目すべきである。系の圧力は、生成物の性質及び収
量を調節するために最も便利に使用できるるから、広範
囲に亙って変化する。従って、系に対する印加圧力は溶
剤の臨界圧力の2倍まで又はそれ以上であってよい。
【0053】 過程に使用する溶剤量及び適用する温度も、溶剤に対
するピッチの溶解度に影響を及ぼし、更に溶解度は金属
含有メソ相生成物の融点に影響を及ぼす。溶剤量が増加
すると、低い溶剤対ピッチ比(1:1)で可溶なピッチの
量は減少するが、高い溶剤対ピッチ比(10:1)で可溶な
ピッチの量はやや増加する。収量減少をもたらす溶剤対
ピッチ比の変化は、金属含有メソ相生成物の融点を増大
させる。
【0054】 メソジェン(既にメソ相である)及び有機金属化合物
のピッチからの相分離が完了すると、温度を十分なレベ
ルに維持してメソ相を液態に保ったままで、系の圧力を
減圧することによってメソ相に溶解した溶剤を除去す
る。溶剤除去は通常は約300乃至約400℃の間の温度で約
0.01乃至約2時間に亙り、適用する溶剤除去手順に応じ
て行う。例えば、薄膜蒸発法では極く短い滞留時間しか
必要でない。
【0055】 慣用の溶剤フラックス法の他に、本発明の方法は増強
フラックス法をも含む。増強フラックス法は、フラック
ス混合物の臨界条件まで上昇させた温度及び圧力を使用
する。増強フラックス法は一層高い溶解度を生じて収量
の向上をもたらす。またこの方法は、過程に適用する超
臨界条件に対する一層大きな適合性及び低粘性混合物の
フラックス濾過の容易性等の処理上の利点をもたらす。
増強フラックス法に適用する溶剤比は、溶剤約0.5乃至
約2.5重量部/ピッチ1重量部の間で変化する。
【0056】 溶剤除去後、本発明の超臨界条件下で回収した金属含
有液体メソ相を直接に紡糸したり、或いは代替的に、こ
の材料を冷却して輸送又は貯蔵用の固相材料にする。所
望なら、メソ相生成物を、慣用の2溶剤過程における場
合と同様に、溶剤洗浄し、乾燥してよい。
【0057】 本発明の好ましい態様においては、上述のように、熱
ソーキングした等方性ピッチの溶剤フラックス化及びフ
ラックス混合物の濾過によって、無機不純物及びフラッ
クス不溶物成分を所望の生成物から除去する。これによ
って極低キノリン不溶物含有量を有する高品質の金属含
有メソ相が得られる。所望の金属含有メソ相生成物を生
ずるためのフラックス化又は濾過ステップを経ないで、
高密度相又は超臨界のメソジェン及び有機金属化合物の
ピッチからの分離も達成できる。この簡略化過程によっ
て得られる金属含有メソ相は、フラックス化及び濾過を
経て得られるメソ相ほどの高品質を具備してはいない
が、多くの用途にとってはこのほうが経済的かつ適切で
ある。本発明のこの態様においては、有機金属化合物及
びメソジェンを含有する熱ソーキングした等方性ピッチ
を適当な方法で溶剤と混ぜ合わせる。例えば、ピッチを
溶解し、熱した溶剤と混ぜ合わせ、次いで該混合物を超
臨界条件にさらしてもよい。別の方法として、ピッチ
を、使用する特定の溶剤の超臨界条件にさらし、次いで
やはり超臨界条件を与えて溶剤と混ぜ合わせてもよい。
これらを混ぜ合わせた後、相分離の実施に先立って、ピ
ッチ及び溶剤を混合又は攪拌して緊密なコミックスの材
料を生ぜしめる。その後の手順は、本発明に関して既に
説明した濾過ステップ後の手順と同様である。この態様
の本発明で使用する溶剤は、先に列挙した溶剤と同じで
ある。使用する溶剤量は約12重量部/ピッチ1重量部で
あり、好ましくは溶剤約0.5乃至約8.0部/ピッチ1部で
ある。
【0058】 本発明のメソ相ピッチは、黒鉛化可能な炭素系原料に
添加された可溶性芳香族有機金属化合物を供給源とする
約50ppm乃至20,000ppmの金属を含有し、慣用の技術を用
いて金属含有炭素加工品に形成したり、或いは溶融紡
糸、遠心紡糸、吹出紡糸等のような手順によって金属含
有異方性炭素繊維に紡糸することができる。
【0059】 ここに開示する手順に従って生成する炭素加工品又は
炭素繊維は、金属含有メソ相ピッチに関して叙述したも
のと実質的に同一の金属及び金属濃度を含有することに
注目すべきである。
【0060】 溶融紡糸繊維の中の金属は、安定化処理の間に増強さ
れた酸素反応性を増進させ一層急速な安定化速度をもた
らす。炭素繊維の一層急速な安定化速度は、商業的観点
から評価すれば重要である。なぜなら、それによって比
較的緩やかな条件で一層良好な安定化反応の調整が可能
になるからである。商業的処理等において比較的厚い繊
維束を安定化すれば、最終製品は実質的に向上した繊維
特性を具備することになる。炭素繊維の商業生産におい
て、安定化は時間と費用がかかる処理ステップである。
比較的高密度の又は厚い束の繊維を処理することによっ
て、安定化処理の経済性が向上する。束サイズを増大す
る能力は非均一安定化量及び低品質繊維特性の増加によ
って制約される。ここで述べる金属含有ピッチは、増強
された安定化特性を示し、金属を含有していないピッチ
及び繊維に比較すると一層急速かつ一層均一に安定化す
る。ここに述べる過程における炭素繊維の急速な安定化
速度は、均一で等質的な安定化及び繊維の増強された引
張強さを増進する。この構成については後述の例IV及び
Vにおいて、スプール上の1/4インチ厚繊維束の処理方
法を説明することによって、例示する。
【0061】 実験用トレイ安定化(experimental tray stabiliz
ation)で使用するような薄い繊維束は、金属の組入れ
による繊維特性の向上を示さないことに注目すべきであ
る。それらの例に示すように、繊維束は増強された酸化
安定性速度を示すのである。これらの小さな繊維束では
均一で等質的な安定化が容易に達成できるから、特性の
向上は期待できない。
【0062】 酸化安定性の増進における可溶性芳香族有機金属化合
物の効果は、可溶性芳香族有機金属含有メソ相ピッチを
調整するために使用する方法には無関係に得られる。そ
れらの例で示すように、その効果は抽出型又は多孔分散
型(spargetype)のメソ相ピッチのいずれにおいても得
られる。
【0063】 この加工品及び繊維を、当業界で慣用の技術及び手順
を用いて炭化し黒鉛化する。例えば、加工品又は繊維の
炭化を約1,000℃乃至約2,200℃、好ましくは約1,400℃
乃至約1,700℃の温度で約1乃至約60分間に亙って行
う。所望なら、炭化繊維を不活性雰囲気中で約1秒乃至
約5分間に亙って約2,200℃乃至約3,200℃、好ましくは
約2,800℃乃至約3,000℃に更に加熱して黒鉛化してもよ
い。場合によっては更に長い加熱時間、例えば10分又は
それ以上が、望ましいことがある。生成するメゾ相ピッ
チ及び/又は炭化加工品の中に存在する金属の一部又は
実質的に全部が黒鉛化ステップの間に発生することがあ
る点に注目すべきである。ここでの強力な効果を達成す
るためには安定化又は酸素化の間に金属が存在すること
のみが重要なのである。従って、これらの繊維増強効果
は黒鉛化ステップ以前に達成され、黒鉛化ステップの間
に存在する金属の一部又は実質的に全部の発生が、安定
化ステップの間に金属が繊維に付与した増強特性を減少
させることはない。
【0064】
【実施例】
次の例は、本発明を実施する方法の最良の形態を実証
するために提示するものであり、本発明の範囲を限定す
るものと解釈されるべきではない。
【0065】 例 I 中央大陸の精油所のデカント油をトッピングして850
゜F+残査を生成し、溶融紡糸用の金属含有メソ相ピッ
チを調製した。C13NMR(核磁気共鳴)分析によると、該
残査は炭素91.8%、水素6.5%、残留炭素分35.1%、芳
香族炭素81.6%を含有していた。デカント油残査を740
゜F(393℃)で6.3時間熱ソーキングした後に真空脱油
して、熱ソーキングしたピッチを生成させた。
【0066】 マヤ原油をトッピングしてマヤ残油(収量46.8%)を
生成させた。該濃縮残油をトルエンと1:1の比率で混合
し、混合物を1.2マイクロメーター過フッ化炭化水素フ
ィルターで濾過した。濃縮残油からトルエンを除去し
た。発光分光分析によると、この残油は970ppmの灰分を
含有しており、該灰分を分析して90%を越える酸化バナ
ジウムを含むことを確認した。
【0067】 熱ソーキングしたデカント油ピッチ(85重量%)とマ
ヤ残油(15重量%)との混合物を、次の手順に従って、
溶剤分別した。 デカント油ピッチとマヤ残油との混合物をトルエンと
1:1の比率で混合した。シーライト濾過助剤(0.15重量
%)を上記混合物に加え、該混合物を約1時間110℃で
攪拌してフラックス化し、濾過した。フラックス不溶物
の量はピッチ混合物の7.6%であった。
【0068】 フラックス濾過液を高温コミックス溶剤と4mlのコミ
ックス:1gmのトルエン:ヘプタン混合物の比率で混ぜ合
わせて析出混合物(rejection mixture)を形成させ
た。該コミックスは、トルエン:ヘプタンを4ml:1mlに
混合したものであった。析出混合物を攪拌して90℃に加
熱し、その温度で1時間保持し、30℃に冷却し、30℃で
1時間半保持し、最後に濾過して沈殿したピッチ生成物
を回収した。ピッチ生成物を15℃のコミクス2.6ccで洗
浄した後、22℃のヘプタン0.75cc/出発ピッチ混合物1gm
で洗浄した。これを乾燥してメソジェン粉末(収量19.4
%)を回収した。
【0069】 前記の生成物は307℃で融解し、100%異向性メソ相を
形成することを高温ステージ顕微鏡検査によって確認し
た。ピッチの灰分含有量は90ppmであり、該灰分は、発
光分光分析によって、80%を越える酸化バナジウムを含
むことが確認できた。
【0070】 生成メソ相ピッチを炭素繊維に溶融紡糸した。紡糸は
335℃で良好に実施できた。トレイ安定化(tray stabi
lized)し、炭化繊維を試験して引張強さ415Mpsi及び伸
長弾性率34MMpsiを得た。紡糸したままの繊維の酸化DSC
は、後述の例IIIの制御繊維と比較して安定化に対応す
る酸化レベルに到達するための所要時間が29%減少した
ことを示した。
【0071】 例 II 熱ソーキングした芳香族ピッチをマヤ原油アスファル
ト留分と混ぜ合わせ、混合物を溶剤分別して紡糸用のメ
ソ相ピッチを調製した。 例Iに用いたものと同一の熱ソーキングし真空脱油し
たデカント油ピッチを本例にも用いた。
【0072】 マヤ原油をトッピング(900゜F)してマヤ残油(収量
46.0%)を生成した。マヤ原油を等重量のトルエンに溶
解させることによって、マヤ・アスファルテン(Mayan
asphaltenes)を35%リッチフィールド(Richfield)
ペンタン不溶物としてマヤ原油から分離した、残油−ト
ルエン混合物にペンタン20gm/残油1gmを加えて、マヤ・
アスファルテンを沈殿させた。発光分光分析によって、
アスファルテンは3000ppmの灰分を含有しており、該灰
分は90%を越える酸化バナジウムから成ることを分析し
て確認した。
【0073】 溶剤分別を例Iに示した手順に従って実施した。溶剤
分別へ供給したピッチ材料は、熱ソーキングしたデカン
ト油ピッチ95%と、マヤ・アスファルテン5%とを含ん
でいた。フラックス不溶物の量は、ピッチ+マヤ・アス
ファルテンの6.9%であった。本例におけるコミックス
は容量比が88:12のトルエン:ヘプタン混合剤であっ
た。析出及び洗浄ステップの間におけるコミックス対ピ
ッチ比は、例Iに適用したものと同一であった。生成物
収量は19.3%であった。高温ステージ顕微鏡分析によっ
て、生成ピッチは322℃で融解するメソ相90%を含んで
いることを確認した。発光分光分析によるとメソ相ピッ
チの灰分含有量は150ppmであり、灰分は90%をこえる酸
化バナジウムから成ることを試験で確認した。メソ相ピ
ッチを340℃で溶融紡糸して良好な結果を得た。溶融紡
糸によって得られた安定化及び炭化した繊維のメソ相ピ
ッチは伸長弾性率36MMpsiで引張強さ425Mpsiの試験結果
を示した。
【0074】 例 III (比較例) 次に示す例外を除いて例Iの手順通りにメソ相ピッチ
を調製した。 トッピングした中央大陸精油所デカント油には濃縮マ
ヤ残油を加えなかった。コミックス溶剤は容量比92:8の
トルエン:ヘプタン混合剤であった。
【0075】 メソ相ピッチは、340℃で良好な曳糸性を示した。ト
レイ安定化した炭化繊維は引張強さ45Mpsi及び伸長弾性
率34MMpsiを有していた。安定化に対応する酸化レベル
に到達するまでの所要時間は、例Iに比較すると29%長
かった。
【0076】 例 IV (中央大陸精油所デカント油850゜F+残査)3/4と
(中央大陸ガス油815゜F+残査)1/4との混合物とを混
ぜ合わせて溶融紡糸用の金属含有メソ相ピッチを調製し
た。該混合物は、濃縮され可溶性であって天然に存在
し、石油から得られた有機金属を含有していた。該混合
物を試験して、炭素90.2%、水素7.5%を含有すること
を確認した。該混合物を741゜F(394℃)で7.2時間熱ソ
ーキングした後、真空脱油した。
【0077】 コミックス6.9ml/ピッチ1gmを使用したこと以外は例
Iの手順を用いて、熱ソーキングしたピッチを溶剤分別
した。コミックスは4ml:1mlのトルエン:ヘプタン混合
剤であった。高温ステージ顕微鏡分析によると、メソジ
ェン粉末は350℃で融解後において100%メソ相であっ
た。X線分光分析によると、生成物は全灰分で166ppmを
含み、該灰分は酸化バナジウム129ppmと酸化ニッケル30
ppmとを含んでいた。メソ相粉末は360℃で優れた曳糸性
を示した。安定化し炭化した繊維は引張強さ518Mpsi及
び伸長弾性率36.4MMpsiの試験結果を示した。
【0078】 繊維をスプール上で1/4インチ厚の束にし、2段階酸
化処理によって安定化した。第1段階では14%の酸素の
存在下で、これらの繊維を320分間に亙って240℃に熱し
た。第2段階では0.5%の酸素を用いて30分間245乃至24
9℃で処理した後に安定化を完了した。繊維が安定化し
たことを確認するためにはマッチ試験を用いた。この試
験では、燃焼中のマッチの火炎を繊維を横切って走らせ
る。繊維に何等かの溶融又は融解があれば、不完全な安
定化の表示となる。 炭化した繊維を灰にし、灰分の金属を分析した。229p
pm相当量の酸化バナジウムを灰分から検出した。
【0079】 例 V (比較例) 次に示す例外を除き例IVの手順を用いて炭素繊維を調
製した: 熱ソーキングしたピッチを中央大陸精油所デカント油
850゜F+残査から調製したが、このピッチは有機金属化
合物を含有していなかった。得られたメソ相粉末は優れ
た曳糸性を示し、該粉末から製作した繊維は引張強さ41
0Mpsi及び伸長弾性率36.5MMpsiを有していた。
【0080】 例IVで開示した繊維をスプール安定化するための手順
を用いた場合、繊維は安定化されなかった。換言すれ
ば、マッチ試験を用いて検査したところ繊維は融解し
た。第2段階の245乃至249℃処理を(14%酸素で40分
間)+(0.5%酸素で15分間)に増したが、やはり結果
的には非安定化繊維しか得られなかった。繊維の安定化
には、(14%酸素で70分間)+(0.5%酸素で15分間)
から成る第2段階が必要であった。
【0081】 例 VI 中央大陸精油所デカント油のトッピングにより850゜F
+残査を生成して溶融紡糸に好適な金属含有メソ相ピッ
チを調製した。次に、5,10,15,20−テトラフェニル−21
H,23H−ポルフィンバナジウムオキサイド(オールドリ
ッチ・ケミカル社製)0.2%とトルエン27%との混合溶
剤(cosolvent)を前記残査に加えた。得られた混合物
を攪拌しながら加熱して4時間還流させた。トルエンを
除去した後に、得られた芳香族残査は150ppmの付加バナ
ジウム(IV)オキサイドを含有していた。
【0082】 バナジウム・スパイクされた(vanadium spiked)芳
香族残査上を7時間752゜Fで熱ソーキングし、次に、真
空脱油して、熱ソーキングした金属含有合成ピッチを生
成した。試験の結果、このピッチは17.2%のテトラヒド
ロフラン不溶物を含んでいた。
【0083】 熱ソーキング及び真空脱油したデカント油を、等重量
基準のトルエン溶剤で先ずフラックス化して分別した。
フラックス混合物にシーライト濾過助剤(0.15重量%)
を加え、0.2マイクロメーター膜(membrane)を用いて
フラックス混合物を濾過した。フラックス濾過液を、ト
ルエン:ヘプタンの容量比が90:10のコミックスと混ぜ
合わせ、コミックス8ml/熱ソーキングしたピッチ1gmか
ら成る析出混合物を得た。析出混合物を攪拌しながら10
0℃に熱し、30℃で5時間保持し、その後で濾過して沈
殿物を回収した(収量19.9%)。こうして調製した生成
物を15℃のコミックス及び22℃のヘプタンを用いて相次
いで洗浄した。高温ステージ顕微鏡分析によると、生成
物は融点348℃の100%メソ相であった。X線分析による
と、該メソ相中には416ppmのバナジウムがあった。その
上、発光分光分析によると、生成物は542ppmの灰分を有
し、灰分は90%を越えるバナジウムを含有していた。
【0084】 例 VII (比較例) 中央大陸精油所のデカント油のトッピングによって85
0゜F+残査を生成して、溶融紡糸に好適な金属含有メソ
相ピッチを調製した。このデカント油残査を6.3時間740
゜Fで熱ソーキングした後、真空脱油して熱ソーキング
したピッチを生成した。試験の結果、このピッチは75゜
Fでピッチ1gm/テトラヒドロフラン20mlの比率であって1
6.4%のテトラヒドロフラン不溶物を含有していた。
【0085】 熱ソーキング及び真空脱油したデカント油ピッチを等
重量基準のトルエンで先ずフラックス化して溶剤分別し
た。フラックス化の間に、0.2%の5,10,15,20−テトラ
フェニル−21H,23H−ポルフィンバリウム(IV)オキサ
イド(オールドリッチ・ケミカル社製)をフラックス混
合物に加えた。シーライト濾過助剤(0.15重量%)をこ
のフラックス混合物に添加し、0.2マイクロメーター膜
を用いてフラックス混合物を濾過した。
【0086】 次に、フラックス濾過液を、88:12のトルエン対ヘプ
タン容量比から成るコミックスと混ぜ合わせ、コミック
ス8ml/ピッチ1gmから成る析出混合物を得た。析出混合
物を攪拌しながら100℃に熱し、30℃で5時間保持し、
最後に濾過して沈殿物を回収した(収量22.9%)。得ら
れた生成物を15℃のコミックス及び22℃のヘプタンを用
いて相次いで洗浄した。高温ステージ顕微鏡分析によっ
て、生成物は融点308℃を有する90%メソ相であると確
定した。灰分含有量は40ppmであると定まり、メソジェ
ン部分への金属移動が乏しいことを示していた。
【0087】 例 VIII 中央大陸精油所のデカント油のトッピングによって85
0゜F+残査を生成して、溶融紡糸に好適なバナジウム含
有メソ相ピッチを調製した。この残査を0.15%の5,10,1
5,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウ
ム(IV)オキサイドと10%トルエンとの混合溶剤と混合
した。金属を含有いているピッチを32時間385℃で熱ソ
ーキングした。熱ソーキングの間に残査中に、原料1ポ
ンドにつき4SCF/時間の割合で窒素を気泡放出した。試
験の結果、残査生成物は融点320℃を有する100%メソ相
であり、収量は23%であった。得られたメソ相ピッチ
は、灰化すると、644ppmの残査を生じ、該残査が90%を
越えるバナジウムを含有していることを発光分光分析に
よって確認した。
【0088】 メソ相生成物は360℃で相当な曳糸性を示し、これを
炭素繊維に溶融紡糸した。安定化及び炭化処理した繊維
は引張強さ380Mpsi及び伸長弾性率45MMpsiの試験結果を
示した。次に示す例IXの繊維に比較すると、この繊維の
ほうが13%早く安定化に対応する酸化レベルに到達し
た。
【0089】 例 IX (比較例) 溶融紡糸に好適なメソ相ピッチを、次の例外を除い
て,上述の例VIIIについて説明した手順に則って調製し
た。 化合物5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポル
フィンバナジウム(IV)オキサイドとトルエンとの混合
溶剤を中央大陸精油所のデカント油のトッピングによっ
て得た850゜F+残査に加える処理は実施しなかった。得
られた生成ピッチは100%メソ相であることを試験によ
って確認し、高温ステージ顕微鏡分析から融点は300℃
であると定まり、また収量は23.0%であった。メソ相ピ
ッチの灰分含有量は5ppm未満と決まった。ピッチを320
℃で炭素繊維に紡糸する際に、メソ相ピッチは良好な曳
糸性を示した。安定化及び炭化処理した繊維は引張強さ
390Mpsi及び伸長弾性率36MMpsiの試験結果を示した。
【0090】 例 X 金属含有等方性原料の超臨界抽出を次に手順に従って
行う。 FCCユニットからのデカント油の850+゜F留分を6時
間741゜Fで熱ソーキングすることにより等方性原料を調
整する。 マヤ原油をトッピングしてマヤ残油(収量46.8%)を
生成させる。該濃縮残油をトルエンと1:1の比率で混合
し、混合物を1.2マイクロメーター過フッ化炭化水素フ
ィルターで濾過する。濃縮残油からトルエンを除去す
る。残油を発光分光法によって分析して、970ppmの灰分
を含有し、該灰分が90%を越える酸化バナジウムを含む
ことを確認する。
【0091】 熱ソーキングしてデカント油ピッチ(85重量%)とマ
ヤ残油(15重量%)との混合物を、次の手順に従って、
超臨界条件下で溶剤分別する。 その後、熱ソーキングした金属含有ピッチを、慣用の
手段によって、ほぼ等量のピッチとフラックス溶剤(ト
ルエン)とをトルエンの還流温度で混ぜ合わせることに
よりフラックス化する。混合物のフラックス濾過によっ
てミクロン以下の寸法の粒子に至るまで除去する。
【0092】 2リットルの高圧攪拌オートクレーブに750gのフラッ
クス濾過液と665gのトルエンとを装填する。系を自然圧
(autogeneous pressure)下で340℃に昇温し、追加の
トルエン790gを加えて圧力を1190psiaまで昇圧する。得
られる混合物を340℃及び1190psiaで1時間攪拌した
後、1/2時間放置する。底質相(bottom phase)を回収
し、残留トルエンを乾燥蒸発させる。乾燥生成物は100
%メソ相で融点335℃であることが高温顕微鏡分析で確
認された。材料を炭素繊維に圧縮紡糸(press spin)
し、炭素繊維を慣用の手段によってトレイ安定化及び炭
化する。安定化は非金属増強(non−metal−enhanced)
メソ相ピッチ繊維よりも緩やかな条件で起こる。
【0093】 例 XI 金属含有等方性原料の超臨界抽出を、次に例外を除い
て、例Xの手順に従って行う。 原料は中央大陸精油所のデカント油(850゜F+残査)
3/4部と中央大陸ガス油(815゜F+残査)1/4部との混合
物から成る。該混合物は、石油から得られる可溶性で天
然に存在する有機金属を含有する。混合物を熱ソーキン
グし、フラックス化し、超臨界抽出して、メソ相を生成
する。
【0094】 本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、ここで
説明した本発明に関して多数の変更態様及び変形が明ら
かに可能であり、それゆえに特許請求の範囲に示すとこ
ろによってのみ本発明は限定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン・エイ・ロジャーズ アメリカ合衆国テネシー州37363,オウ ルテワー,ハイドアウェイ・ロード 6488 (56)参考文献 特開 昭64−62388(JP,A) 特開 昭62−79289(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10C 3/02,3/08,3810 D01F 9/145

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可溶性金属含有メソ相ピッチを製造するた
    めの方法であって、 (a)可溶性の芳香族有機金属化合物を黒鉛化可能な炭
    素系原料に溶解して、前記原料から生成されるメソ相ピ
    ッチが前記有機金属化合物由来の約50ppmないし約20,00
    0ppmの金属を含有するようにするステップ、 (b)aステップを経た前記炭素系原料を熱ソーキング
    して、メソジェン及び可溶性の芳香族有機金属化合物を
    含有する等方性ピッチ生成物を製造するステップ、 (c)bステップで製造された前記ピッチ生成物を溶剤
    分別して、約50ppmないし約20,000ppmの前記有機金属化
    合物を含有するメソジェンを分離するステップ、及び (d)前記メソジェンを最大400℃までの温度に最大10
    分間加熱して、前記メソジェンの溶融物を製造し、前記
    有機金属化合物由来の約50ppmないし約20,000ppmの金属
    を含有するメソ相ピッチを形成するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】炭素人工物を製造するのに好適なメソ相ピ
    ッチ組成物を製造するための方法であって、前記ピッチ
    組成物は安定化中はずっと増大した酸化反応性を有して
    おり、 (a)十分な量の有機金属化合物を炭素系原料に溶解し
    て、前記炭素系原料から生成されるメソ相ピッチが前記
    有機金属化合物由来の約50ppmないし約20,000ppmの金属
    を含有するようにし、ここにおいて、前記有機金属化合
    物は炭素系原料に可溶性であり、かつポルフィンタイプ
    の構造を有し、前記ポルフィンタイプ構造の金属成分は
    周期律表の第VII族および第VIII族の金属からなる群よ
    り選択される1種もしくは2種以上の金属であることを
    特徴とし、 (b)aステップの前記メソ相ピッチおよび前記有機金
    属化合物を約350℃ないし約525℃の温度で熱ソーキング
    して、メソジェン及び可溶性の芳香族有機金属化合物を
    含有する等方性ピッチ生成物を製造するステップ、 (c)bステップの前記等方性ピッチ生成物を溶剤分別
    して、約50ppmないし約20,000ppmの前記有機金属化合物
    を含有する不溶性メソジェンを単離するステップ、及び (d)前記メソジェンを最大400℃までの温度に最大10
    分間加熱して、前記メソジェンの溶融物を製造し、前記
    有機金属化合物由来の約100ppmないし約500ppmの金属を
    含有するメソ相ピッチを形成するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】前記ポルフィンタイプ構造の金属成分がバ
    ナジウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、イ
    リジウム、マンガン及びチタンからなる群より選ばれる
    1種もしくは2種以上の金属である請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】前記有機金属化合物がポルフィリン、変形
    ポルフィン環構造を有する大環状化合物、添加された芳
    香族環を有するポルフィン、イオウ、酸素及び窒素の配
    位子を有するポルフィン並びに縮合アリール置換基を有
    するポルフィンからなる群より選ばれる1種もしくは2
    種以上の物質である請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】前記有機金属化合物が天然に存在する金属
    ポルフィリンである請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】前記有機金属化合物の75%が約800ないし
    約2,000の範囲内の分子量を有する請求項2記載の方
    法。
  7. 【請求項7】安定化中はずっと増大した酸化反応性を示
    す、炭素人工物を製造するのに好適な組成物であって、
    メソ相ピッチ、および、炭素系原料に可溶性である安定
    化中における前記メソ相ピッチの酸化を促進するのに十
    分な量の有機金属化合物を含み、ここにおいて、前記有
    機金属化合物はポルフィンタイプの構造を有し、そのポ
    ルフィンタイプ構造の金属成分は周期律表の第VII族お
    よび第VIII族の金属からなる群より選択される1種もし
    くは2種以上の金属であり、かつ、前記組成物は約50pp
    mないし約20,000ppmの前記有機金属化合物を含有する、
    前記組成物。
  8. 【請求項8】前記ポルフィンタイプ構造の金属成分がバ
    ナジウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、イ
    リジウム、マンガン及びチタンからなる群より選ばれる
    1種もしくは2種以上の金属である請求項7記載の組成
    物。
  9. 【請求項9】前記有機金属化合物がポルフィリン、変形
    ポルフィン環構造を有する大環状化合物、添加された芳
    香族環を有するポルフィン、イオウ、酸素及び窒素の配
    位子を有するポルフィン並びに縮合アリール置換基を有
    するポルフィンからなる群より選ばれる1種もしくは2
    種以上の物質である請求項7記載の組成物。
  10. 【請求項10】前記組成物が約230℃ないし約400℃の融
    点を有し、炭素繊維を製造するのに好適である請求項7
    記載の組成物。
  11. 【請求項11】少なくとも1種の可溶性芳香族有機金属
    化合物由来の約50ppmないし約20,000ppmの金属を含有す
    る黒鉛化可能で、金属含有の、紡糸可能なメソ相ピッチ
    であって、前記ピッチは約230℃ないし約400℃の軟化点
    を有する、前記メソ相ピッチ。
  12. 【請求項12】前記メソ相ピッチが前記有機金属化合物
    由来の約80ppmないし約1,000ppmの金属を含有する請求
    項11記載の黒鉛化可能で、金属含有の、紡糸可能なメソ
    相ピッチ。
  13. 【請求項13】前記メソ相ピッチが前記有機金属化合物
    由来の約100ppmないし約500ppmの金属を含有する請求項
    11記載の黒鉛化可能で、金属含有の、紡糸可能なメソ相
    ピッチ。
  14. 【請求項14】前記有機金属化合物の金属がバナジウ
    ム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、イリジウ
    ム、マンガン及びチタン並びにそれらの混合物から選ば
    れる請求項11記載の黒鉛化可能で、金属含有の、紡糸可
    能なメソ相ピッチ。
  15. 【請求項15】少なくとも1種の有機金属化合物由来の
    約50ppmないし約20,000ppmの金属を含有し、増強された
    酸素反応特性を有する紡糸された黒鉛化可能な金属含有
    繊維。
  16. 【請求項16】前記繊維が約80ppmないし約1,000ppmの
    少なくとも1種の有機金属化合物由来の金属を含有する
    請求項15記載の紡糸された黒鉛化可能な金属含有繊維。
  17. 【請求項17】前記有機金属化合物の金属成分がバナジ
    ウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、イリジ
    ウム、マンガン及びチタン並びにそれらの混合物から選
    ばれる請求項15記載の紡糸された黒鉛化可能な金属含有
    繊維。
  18. 【請求項18】少なくとも1種の有機金属化合物を含有
    するメソ相ピッチを製造するための方法であって、 (a)少なくとも1種の可溶性の芳香族有機金属化合物
    を黒鉛化可能な炭素系原料に添加するステップ、 (b)aステップの前記生成物を熱ソーキングして、メ
    ソジェン及び前記芳香族有機金属化合物を含有する等方
    性ピッチ生成物を製造するステップ、 (c)メソジェン及び前記芳香族有機金属化合物を含有
    する前記等方性ピッチを、芳香族炭化水素、ナフテン−
    芳香族炭化水素、アルキル−芳香族炭化水素、ヘテロ−
    芳香族炭化水素、1−4個の炭素原子を有するパラフィ
    ンのハロゲン化誘導体及びハロゲン化芳香族炭化水素並
    びにそれらの混合物であって、いずれも約500℃より低
    い臨界温度を有するものからなる群より選ばれる溶剤と
    混ぜ合わせるステップ、 (d)前記メソジェン及び前記芳香族有機金属化合物の
    前記等方性ピッチからの相分離を、温度と圧力に関する
    溶剤の超臨界条件の下で行って、前記芳香族有機金属化
    合物由来の約50ppmないし約20,000ppmの金属を含有する
    メソ相ピッチを形成するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】aステップの前記有機金属化合物が金属
    ポルフィリンである請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】dステップの前記メソ相ピッチが、約80
    ppmないし約1,000ppmの前記有機金属化合物を含有する
    請求項18記載の方法。
  21. 【請求項21】ピッチを製造するための方法であって、 (a)黒鉛化可能な炭素系原料を熱ソーキングして、メ
    ソジェンを含有する等方性ピッチ生成物を製造するステ
    ップ、 (b)前記メソジェン含有等方性ピッチ生成物に少なく
    とも1種の高分子量の可溶性芳香族有機金属化合物を添
    加するステップ、 (c)メソジェン及び芳香族有機金属化合物を含有する
    前記等方性ピッチを、芳香族炭化水素、ナフテン−芳香
    族炭化水素、アルキル−芳香族炭化水素、ヘテロ−芳香
    族炭化水素、1−4個の炭素原子を有するパラフィンの
    ハロゲン化誘導体及びハロゲン化芳香族炭化水素並びに
    それらの混合物であって、いずれも約500℃より低い臨
    界温度を有するものからなる群より選ばれる溶剤と混ぜ
    合わせるステップ、 (d)前記メソジェン及び前記芳香族有機金属化合物の
    前記等方性ピッチからの相分離を、温度と圧力に関する
    溶剤の超臨界条件の下で行って、前記芳香族有機金属化
    合物由来の約50ppmないし約20,000ppmの金属を含有する
    メソ相ピッチを形成するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】bステップの前記有機金属化合物の金属
    成分がバナジウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、
    鉄、銅、イリジウム、マンガン及びチタン並びにそれら
    の混合物からなる群より選ばれる請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】bステップの前記有機金属化合物が金属
    ポルフィリンである請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】メソ相ピッチを製造するための方法であ
    って、 (a)メソジェン及び少なくとも1種の可溶性芳香族有
    機金属化合物を含有する等方性ピッチを溶剤を用いてフ
    ラックス化して、前記メソジェン及び前記有機金属化合
    物を可溶化するステップ、 (b)前記フラックス混合物をろ過して不溶物を除去す
    るステップ、 (c)前記可溶化したメソジェン及び芳香族有機金属化
    合物を温度と圧力に関する溶剤の超臨界条件下で前記フ
    ラックス溶剤から分離して、少なくとも1種の芳香族有
    機金属化合物を含有するメソ相ピッチを製造するステッ
    プ、 を含むことを特徴とする方法。
  25. 【請求項25】メソ相ピッチを製造するための方法であ
    って、 (a)メソジェン及び少なくとも1種の可溶性有機金属
    化合物を含有する等方性ピッチを溶剤と混ぜ合わせるこ
    とによって混合物を形成するステップ、 (b)aステップで形成された前記混合物を温度と圧力
    に関する溶剤の超臨界条件下で相分離を生じさせるステ
    ップ、及び (c)有機金属含有メソ相ピッチを回収するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  26. 【請求項26】ピッチを製造するための方法であって、 (a)黒鉛化可能な炭素系原料を熱ソーキングして、メ
    ソジェンを含有する等方性ピッチ生成物を製造するステ
    ップ、 (b)前記メソジェン含有等方性ピッチ生成物に少なく
    とも1種の高分子量の可溶性芳香族有機金属化合物を添
    加するステップ、 (c)bステップで製造された前記ピッチ生成物を溶剤
    分別して、前記有機金属化合物由来の約50ppmないし約2
    0,000ppmの金属を含有するメソジェンを分離するステッ
    プ、及び (d)前記メソジェンを金属含有メソ相ピッチを形成す
    るのに十分な温度まで加熱するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  27. 【請求項27】メソ相ピッチを製造するための方法であ
    って、 (a)メソジェン及び少なくとも1種の可溶性芳香族有
    機金属化合物を含有する等方性ピッチを溶剤を用いてフ
    ラックス化して、前記メソジェン及び前記有機金属化合
    物を可溶化するステップ、 (b)前記フラックス混合物をろ過して不溶物を除去す
    るステップ、 (c)bステップで製造された前記ピッチ生成物を溶剤
    分別して、前記有機金属化合物由来の約50ppmないし約2
    0,000ppmの金属を含有するメソジェンを分離するステッ
    プ、及び (d)前記メソジェンを金属含有メソ相ピッチを形成す
    るのに十分な温度まで加熱するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  28. 【請求項28】メソ相ピッチを製造するための方法であ
    って、 (a)メソジェン及び少なくとも1種の可溶性有機金属
    化合物を含有する等方性ピッチを溶剤と混ぜ合わせるこ
    とによって混合物を形成するステップ、 (b)aステップで製造された前記ピッチ生成物を溶剤
    分別して、前記有機金属化合物由来の約50ppmないし約2
    0,000ppmの金属を含有するメソジェンを分離するステッ
    プ、及び (c)前記メソジェンを金属含有メソ相ピッチを形成す
    るのに十分な温度まで加熱するステップ、 を含むことを特徴とする方法。
  29. 【請求項29】aステップの前記有機金属化合物の金属
    成分がバナジウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、
    鉄、銅、イリジウム、マンガン及びチタン並びにそれら
    の混合物からなる群より選ばれる請求項18、26、27、2
    8、29及び30のいずれかに記載の方法。
  30. 【請求項30】温度と圧力のプロセス条件が319℃及び6
    11psiaに等しいか、319℃及び611psiaより高い請求項18
    及び21のいずれかに記載の方法。
JP3800034A 1990-12-14 1991-12-12 ピッチ炭素繊維紡糸用有機金属含有メソ相ピッチ Expired - Fee Related JP3002536B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US62831490A 1990-12-14 1990-12-14
US628314 1990-12-14

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1112576A JPH1112576A (ja) 1999-01-19
JP3002536B2 true JP3002536B2 (ja) 2000-01-24

Family

ID=24518377

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3800034A Expired - Fee Related JP3002536B2 (ja) 1990-12-14 1991-12-12 ピッチ炭素繊維紡糸用有機金属含有メソ相ピッチ

Country Status (8)

Country Link
US (3) US5720871A (ja)
JP (1) JP3002536B2 (ja)
CA (1) CA2055092C (ja)
DE (1) DE4141164C2 (ja)
ES (1) ES2126414B1 (ja)
FR (1) FR2756841B1 (ja)
GB (1) GB2319780B (ja)
NL (1) NL9102053A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015221070A (ja) * 2014-05-22 2015-12-10 株式会社オーエ 組ブラシ式清掃用具

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2055092C (en) * 1990-12-14 2002-01-15 Conoco Inc. Organometallic containing mesophase pitches for spinning into pitch carbon fibers
US6331245B1 (en) 1999-11-23 2001-12-18 Kellogg Brown & Root, Inc. Petroleum resid pelletization
US6499979B2 (en) 1999-11-23 2002-12-31 Kellogg Brown & Root, Inc. Prilling head assembly for pelletizer vessel
US6361682B1 (en) 2000-03-16 2002-03-26 Kellogg Brown & Root, Inc. Pelletization of petroleum resids
KR100490832B1 (ko) * 2002-09-05 2005-05-19 (주)카보닉스 질소 산화물 제거용 촉매의 제조 방법
KR100490831B1 (ko) * 2002-09-05 2005-05-19 (주)카보닉스 질소산화물 제거용 촉매의 제조방법
BRPI0408896A (pt) 2003-03-28 2006-04-25 Monsanto Technology Llc promotores de planta para uso no desenvolvimento precoce de sementes
CA2580201A1 (en) * 2004-09-14 2006-03-23 Monsanto Technology Llc Promoter molecules for use in plants
KR20080057449A (ko) * 2006-12-20 2008-06-25 재단법인 포항산업과학연구원 질소산화물 제거용 활성탄소섬유 촉매의 제조방법 및 이에따라 제조된 활성탄소섬유 촉매
FR2910824B1 (fr) * 2006-12-27 2009-02-27 Anticor Chimie Sa Molecules stabilisantes d'asphaltene presentant un motif tetrapyrrolique
US7968020B2 (en) * 2008-04-30 2011-06-28 Kellogg Brown & Root Llc Hot asphalt cooling and pelletization process
US7964240B2 (en) * 2009-01-19 2011-06-21 Conocophillips Company Producing coated graphitic anode powders by extracting pitch from high volatile matter coke and coating the same in-situ
US20110185631A1 (en) * 2010-02-03 2011-08-04 Kellogg Brown & Root Llc Systems and Methods of Pelletizing Heavy Hydrocarbons
JP2016529084A (ja) * 2013-05-14 2016-09-23 シリス エナジー、インク. 炭素質原料の処理
CN105177766B (zh) * 2015-09-28 2018-07-17 东华大学 一种中间相沥青连续长丝的制备方法
CN108486689B (zh) * 2018-03-08 2020-03-24 湖南东映碳材料科技有限公司 一种高模量高导热沥青基炭纤维连续长丝的制备方法
CN109056119B (zh) * 2018-06-26 2020-12-08 武汉科技大学 一种通过高温加张制备性能提升的中间相沥青基石墨纤维的方法
US10920153B2 (en) 2019-01-15 2021-02-16 Suncor Energy Inc. Combined process to produce both a pipelineable crude and carbon fiber from heavy hydrocarbon
CN112831334B (zh) * 2021-01-13 2022-07-29 中国石油大学(华东) 一种中间相沥青和中间相炭微球的制备方法
US11731878B2 (en) * 2021-07-14 2023-08-22 Suncor Energy Inc. Production of carbon fiber from asphaltenes
CN115197732B (zh) * 2022-06-07 2023-12-22 中国矿业大学(北京) 一种高品质合成可纺沥青及碳纤维的制备方法

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3258419A (en) * 1963-03-25 1966-06-28 Union Oil Co Catalytic airblown asphalt
US3385915A (en) * 1966-09-02 1968-05-28 Union Carbide Corp Process for producing metal oxide fibers, textiles and shapes
FR2250571B1 (ja) * 1973-11-12 1980-01-04 British Petroleum Co
US4026788A (en) * 1973-12-11 1977-05-31 Union Carbide Corporation Process for producing mesophase pitch
US4042486A (en) * 1974-06-24 1977-08-16 Kureha Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Process for the conversion of pitch into crystalloidal pitch
US4208267A (en) * 1977-07-08 1980-06-17 Exxon Research & Engineering Co. Forming optically anisotropic pitches
US4341621A (en) * 1979-03-26 1982-07-27 Exxon Research & Engineering Co. Neomesophase formation
US4277324A (en) * 1979-04-13 1981-07-07 Exxon Research & Engineering Co. Treatment of pitches in carbon artifact manufacture
US4219404A (en) * 1979-06-14 1980-08-26 Exxon Research & Engineering Co. Vacuum or steam stripping aromatic oils from petroleum pitch
JPS588786A (ja) * 1981-07-10 1983-01-18 Mitsubishi Oil Co Ltd 炭素繊維原料用ピツチの製造方法
JPS58120694A (ja) * 1982-01-13 1983-07-18 Mitsubishi Oil Co Ltd 炭素繊維原料ピツチの製造法
JPS58142976A (ja) * 1982-02-22 1983-08-25 Toa Nenryo Kogyo Kk 均質低軟化点光学的異方性ピッチの製法
JPS59216921A (ja) * 1983-05-20 1984-12-07 Fuji Standard Res Kk 炭素繊維の製造方法
US4600496A (en) * 1983-05-26 1986-07-15 Phillips Petroleum Company Pitch conversion
DE3334056A1 (de) * 1983-09-21 1985-04-18 Basf Ag, 6700 Ludwigshafen Fluessig-kristalline phasen bildende polymere
US4704333A (en) * 1983-11-18 1987-11-03 Phillips Petroleum Company Pitch conversion
DE3610375A1 (de) * 1986-03-27 1987-10-01 Ruetgerswerke Ag Verfahren zur herstellung eines kohlenstoffaser-vorprodukts und daraus hergestellte kohlenstoffasern
US4892642A (en) * 1987-11-27 1990-01-09 Conoco Inc. Process for the production of mesophase
DE4000174A1 (de) * 1990-01-05 1991-07-11 Ruetgerswerke Ag Verfahren zur herstellung von mesophasen
US5730949A (en) * 1990-06-04 1998-03-24 Conoco Inc. Direct process route to organometallic containing pitches for spinning into pitch carbon fibers
CA2055092C (en) * 1990-12-14 2002-01-15 Conoco Inc. Organometallic containing mesophase pitches for spinning into pitch carbon fibers

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015221070A (ja) * 2014-05-22 2015-12-10 株式会社オーエ 組ブラシ式清掃用具

Also Published As

Publication number Publication date
US5720871A (en) 1998-02-24
ES2126414A1 (es) 1999-03-16
US5932186A (en) 1999-08-03
GB9126474D0 (en) 1998-03-18
JPH1112576A (ja) 1999-01-19
DE4141164C2 (de) 2003-03-27
ES2126414B1 (es) 1999-11-16
DE4141164A1 (de) 1998-08-27
FR2756841B1 (fr) 1999-02-05
NL9102053A (nl) 2001-05-01
CA2055092C (en) 2002-01-15
CA2055092A1 (en) 1992-06-15
GB2319780B (en) 1998-09-23
FR2756841A1 (fr) 1998-06-12
US6270652B1 (en) 2001-08-07
GB2319780A (en) 1998-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3002536B2 (ja) ピッチ炭素繊維紡糸用有機金属含有メソ相ピッチ
US5540903A (en) Process for producing solvated mesophase pitch and carbon artifacts thereof
EP0480106B1 (en) Process for isolating mesophase pitch
US4874502A (en) Method of purifying coal tars for use in the production of carbon products
JPH0340076B2 (ja)
GB2051118A (en) Preparation of an optically anisotropic pitch precursor material
US4277325A (en) Treatment of pitches in carbon artifact manufacture
JP3789936B2 (ja) メソフェーズピッチの単離方法
EP0034410A2 (en) Process for the preparation of a feedstock for carbon artifact manufacture
JP3062247B2 (ja) ピッチ炭素繊維紡糸用有機金属含有ピッチの直接製造方法
WO1997020770A1 (en) Self-stabilizing pitch for carbon fiber manufacture
JP2980619B2 (ja) 等方性ピッチからメソフェーズピッチを生成する方法
US4427531A (en) Process for deasphaltenating cat cracker bottoms and for production of anisotropic pitch
US4522701A (en) Process for preparing an anisotropic aromatic pitch
US4414096A (en) Carbon precursor by hydroheat-soaking of steam cracker tar
JP3051155B2 (ja) メソフェーズピッチの単離方法
JP3786967B2 (ja) 炭素繊維製造のための自己安定化性ピッチ
JPS58156023A (ja) 炭素繊維の製造方法
CA2055155C (en) Direct process route to organometallic containing pitches for spinning into pitch carbon fibers
CA2026488C (en) Process for isolating mesophase pitch
CA1259576A (en) Method of purifying the starting material for use in the production of carbon products
JPS59190206A (ja) 炭素材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees