JP2016529084A - 炭素質原料の処理 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 石炭または黒液などの炭素質原料の処理のための方法が、開示される。その方法は、炭素質物質を可溶化かつ酸化するために、可溶化剤、水、及び酸化剤ありまたはなしで、その炭素質原料の混合物を加熱する工程を有する。黒液の酸化の場合、約2から約20の炭素原子を有する少なくとも1つの有機化合物が得られうる。その反応生成物は、化学的にまたは物理的に分離され、その加熱する工程へと再循環させられ、かつ/または微生物による消化を受ける。炭素質原料から1つまたはそれより多い望ましい生成物を産生するためである。【選択図】 図1

Description

発明の分野
本発明は、不溶性炭素質原料の水溶性生成物への変換に関する。とくに、本発明は、高価な化学生成物及び/または生分解性基質を生成するための炭素質原料の酸化と、石炭を含む炭素質原料の酸化的水蒸気ストリッピングとを対象とする。
さらに、本発明は、パルプ工場の黒液中の有機化合物の変換に関する。とくに、本発明は、約2から約20の炭素原子を有する有機化合物を生成するために黒液を酸化剤で処理する工程を有する、黒液を処理するための方法をもまた、対象とする。
関連技術の開示
エネルギー価格及び環境に関する懸念ゆえ、様々な炭素質物質、とくに以前は燃料としての使用には適性が低いと考えられてきた炭素質物質が、新たな注目を受けてきた。これらの物質は、処理されて、天然ガス、水素、メタノール、有機酸、及び長い炭化水素などの、使用可能な燃料から様々な工業のための原材料にまでわたる物質を生成しうる。例えば、炭素質物質は、高い温度及び圧力においてガス化され、これにより、続いてガス燃料へと変換されうる合成ガス流を生成しうる。
炭素質物質原料としての石炭の、高価な液体燃料及び化学物質への変換は、先行技術において広く研究され開示されてきた。これらの変換技術は、水添液化または直接液化、熱分解、及びガス化の、主なカテゴリーに分類される。これらの方法においては、石炭は、酸素を有するまたは有さないその有機構成要素へと、水を伴いまたは伴わずに、異なる度合いに脱重合化される。これらの技術すべてにおける目的は、より価値の高い燃料もしくは化学物質の混合物、または望ましい燃料もしくは化学物質の前駆体を作成することによる、石炭選鉱である。しかしながら、これらの方法は一般に、高い温度、圧力で実施され、かつ/または、高価な水素及び有機溶剤を使用する。
例えば、間接石炭液化(ICL)法は、酸素または空気の存在下において合成ガス(COとHとの混合物)を作成するための(摂氏約700度より高い温度での)ガス化工程と、これに続く、合成ガスを液体炭化水素へと変換する少なくとも1つの触媒工程とから構成される。これは、非常に資本集約的な方法である。
他方で直接石炭液化法(DCL)は、水素を用いて高い圧力及び温度環境中で溶剤及び触媒を適用して石炭の有機構造を分解することにより、ガス化の中間工程なしに石炭を液体へと直接変換する。液体炭化水素は一般に石炭より高い水素−炭素モル比を有するため、ICL及びDCLの両者において、水素化または炭素排除法のいずれかが用いられる。両方法は、著しいエネルギー消費を、また工業規模(何千バレル/日)では資本投資を要する。
一般に、ガス化法は、制御されたかつ/または制限された量の酸素、及び任意で蒸気の他に、加熱されたチャンバー(「ガス化装置」)中へ炭素質物質を供給する工程から構成される。焼却または燃焼は、過剰の酸素を用いて起こり、CO、HO、SO(SO、SO、SO、S、S、Sなどの生成物を含む)、及びNO(NO、NO、NOなどの生成物を含む)を生成する。これに対し、ガス化法は、CO、H、HS、及びNHを有する、原料ガス組成物を生成する。精製後、主要な、目的のガス化生成物は、H及びCOである。Demirbas, "Recovery of Energy and Chemicals from Carbonaceous Materials," Energy Sources, Part A, vol. 28, pages 1473−1482, 2006を参照。
様々な工業のための高価な出発物質を生産するため、炭素質物質は、可溶化されてもまたよい。米国特許第4,345,098号は、炭素質物質と水とグループIaまたはIIa金属を有する水溶性剤との混合物を、その炭素質物質中の芳香族化合物の少なくとも一部をその金属のベンゼンカルボン酸塩に変換するのに十分な条件下において酸素で処理すること、並びに、そのベンゼンカルボン酸塩を、異性化前に異なるグループIaまたはIIa金属のベンゼンカルボン酸塩に変換させることなく、加熱することでベンゼンカルボン酸塩を異性化させることにより、異性化ベンゼンカルボン酸塩を生産するための方法を開示する。それから、ベンゼンカルボン酸塩は反応混合物から回収さる。本方法のための彼らの好ましい温度は200℃から350℃の範囲にわたり、圧力は1700psigである。
米国特許出願公開第2012/0064609号は、石炭またはリグノセルロース系物質を、ピロリン酸またはその誘導体を有する組成物に接触させるための方法を開示する。石炭またはリグノセルロース系物質の可溶化は、地下構成物中、地上構成物中、またはex situリアクター中において実施されうる。この方法は、石炭またはリグノセルロース系物質の可溶化をもたらすために、ピロリン酸またはその誘導体を有する組成物を石炭またはリグノセルロース系物質に導入する工程を有する。
米国特許第2,193,337号は、おがくず、木材チップ、泥炭、または石炭などの炭素質物質を、炭素質物質の重量の少なくとも10倍の水、及び好ましくは、原料の重量の1.5から4倍量のアルカリまたはアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物の存在下、酸素含有性気体とともに高圧高温にて加熱することにより、シュウ酸塩を生産するための方法を開示する。シュウ酸、並びに、潜在的には、メリト酸、安息香酸、または酢酸などの他の有機酸が、それから、生じる生成物から単離されうる。この特許における実施例は、好ましい温度は180℃であり、圧力は20気圧に維持されるべきであり、かつ2時間の反応時間が用いられうることを示す。
米国特許第2,786,074号は、炭素質物質から有機酸を作成するための方法を開示する。本方法は、高温(200〜270℃)及び高圧(750〜1000psiゲージ)にて、水溶性アルカリ溶液の存在下、気体の酸素で炭素質物質を酸化する。本方法の収率は、システム中の酸素の分圧を望ましいレベルで維持するために、継続的に二酸化炭素の濃度を監視し、過剰の二酸化炭素を反応ゾーンから除去することにより向上しうる。
米国特許第8,563,791号は、可溶化した有機固体を形成するために有機固体を酸化剤と反応させることにより、有機固体を可溶化させる方法を開示する。酸化剤は、好ましくは、純粋で無希釈の分子酸素である。しかしながら、純粋な酸素は高価であるだけでなく、危険でもありうる。この法は、ヘッドスペースのないリアクター中で実行される(メタンまたは水素のような可燃性気体の小さな蓄積(それは熱分解工程において放出される)は、リアクターのヘッドスペースにおける酸素とともに、この方法の高温では爆発しうる)。
Jabobus J. Bergh et al., Non−catalytic oxidation of water−slurried coal with oxygen: identification of fulvic acids and acute toxicity Origin, 76 FUEL, 149−154 (1997)は、石炭の約8%をフルボ酸に変換するための、酸素を用いた石炭の水性酸化のための方法を開示する。彼らは、温度180℃及び圧力600psig、並びに反応時間1時間を使用する。彼らは、抗菌剤として生成物をその毒性について研究する。
初期の研究において、R. C. Smith et al., Oxidation of Carbonaceous Materials to Organic Acids by Oxygen at Elevated Pressures, 61 J. AM. CHEM. SOC., 2398−2402 (1939)は、酸の混合物、並びに50〜60%COを生成するための、高次炭の瀝青質のアルカリ−酸素酸化を開示する。KOHは、石炭の重量の6.8倍使用された。温度は100から250℃の範囲にわたり、酸素圧100から375psigが適用された。
本先行技術において開示される方法の主な欠点は、比較的高い、温度、圧力、及び/または溶剤もしくは酸化剤濃度の使用である。ここで、酸化剤は、純粋なOまたは他の高価な酸化剤などである。そのような過酷な条件は、非常に高い原材料またはエネルギーコストをもたらし、工業規模ではそのような方法を非経済的にする。これらの方法はまた一般に、それに続く微生物による変換工程には不適合な生成物ストリームをもたらす。
より穏やかな条件を用いるが、炭素質物質の効率的な酸化的脱重合を用い、かつ生じる混合物の化学物質及びバイオガスへの生分解性を増強する、改善された方法が必要とされる。そのような改善された方法は、炭素質原料から工業的原材料を生産するコストを低下させ、これにより本方法とその生成物の経済性を向上させうる。
莫大な石炭資源に加え、現時点までに未活用だと思われる炭素質物質の1つの大きな源は、化学パルプ工場であり、例えば、紙や類似製品を生産するために使用されるものなどである。
化学パルプ工場は、木材のリグニン及びヘミセルロースをセルロース系繊維から溶解かつ分離するために、水性環境中で、基礎的な試薬、熱、及び圧力の組合せを使用する。セルロース系繊維は、紙及び紙様製品を生産するために使用される。分解されたリグニン、分解されたヘミセルロース、無機物、及び抽出物(テルペン類、トール油類など)を含有する残余物質は、通常は苛性剤水溶液中に存在し、一般に「黒液」と呼ばれる。現在、黒液は廃棄物であり、限られた経済的価値しか有さないと考えられている。
黒液は、製紙工場に入る最初の木材のエネルギー含有量の半分以上を含有する。現在、パルピング工場産業における慣行は、黒液を脱水することにより黒液を濃縮し、またエネルギーを生産するために濃縮された黒液を回収ボイラー中で燃焼させることである。ベースの試薬はまた、回収されて、本方法において再利用されてもよい。
トール油類の可溶性は脱水とともに低下するため、一般に濃縮工程の前にトール油類(液体ロジン)が黒液から除去される。これらのトール油類は、粘着剤、乳化剤、ゴム類、インク類、掘削流体、ディーゼル燃料(例えば、米国特許第8,471,081号を参照)、または他の製品の成分として使用されうるため、経済的に高価な産物である。
トール油の回収率(これはパルピング工場の収益の約1から1.5%に寄与しうる)、及び黒液を燃焼することによるエネルギー生産があってもなお、黒液の経済的価値は低くあり続ける。より高価な産物を黒液から生産するために、様々な努力がなされてきた。
米国特許第4,436,586号は、硬材チップまたはその類似物から、クラフトパルプ及びアルコールの両者を生産するための方法を開示する。木材チップは、弱酸による前加水分解を、それに続き弱苛性前抽出を受ける。回収される加水分解産物は、微生物の成長を阻害するには十分でないフルフラールを有し、また加水分解産物中のヘキソース及びペントース糖の両者は発酵させられ、最終的にはエタノール、ブタノール、またはその類似物を産生する。苛性前抽出後、チップは硫黄で焼かれ、また洗浄を受け、その結果生じるパルプは、従来型のクラフトパルプと比べより望ましい粘性及び引裂強度特性を有すると言われるクラフトパルプである。そのパルプは酸素脱リグニンを受けてもよく、従来型クラフトパルプと比べ、より大きいK数が、より少ないそれに続く漂白段階で達成されうる。
米国特許第8,445,563号は、配向性ストランドボード(OSB‘s)のための、フェノールまたはホルムアルデヒド結着樹脂におけるクラフトリグニンの利用を開示する。本特許に従えば、OSB‘s中での使用のための液体PF樹脂における貯蔵期間及び化学発光特性は、クラフト木材パルピング法において生成する黒液から単離される、特定の分解リグニン物質の組み込みにより改善されうる。具体的には、分解リグニン物質が、OSB‘sにおける使用を対象とする液体PF樹脂へと組み込まれ、尿素成分のいくらかに取って代わる。これが、前述の長所、並びに原材料コストの低下を伴う組成物をもたらす。
米国第2012/0064609号は、石炭またはリグノセルロース系物質を、ピロリン酸またはその誘導体を有する組成物に接触させるための方法を開示する。石炭またはリグノセルロース系物質の可溶化は、地下構成物中、地上構成物中、またはex situリアクター中において実施されうる。本方法は、石炭またはリグノセルロース系物質の可溶化をもたらすために、ピロリン酸またはその誘導体を有する組成物を石炭またはリグノセルロース系物質中に導入する工程を有する。
米国特許第2,193,337号は、おがくず、木材チップ、泥炭、または石炭などの炭素質物質を、炭素質物質の重量の少なくとも10倍の水、及び好ましくは、原料の重量の1.5から4倍量のアルカリまたはアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物の存在下、酸素含有性気体とともに高圧高温にて加熱することにより、シュウ酸塩を生産するための方法を開示する。シュウ酸、並びに、潜在的には、メリト酸、安息香酸、または酢酸などの他の有機酸が、それから、生じる生成物から単離されうる。この特許における実施例は、好ましい温度は180℃であり、圧力は20気圧に維持されるべきであり、かつ2時間の反応時間が使用されうることを示す。
パルピング工程からのリグニン類の抽出が、米国特許第4,764,596号において開示される。パルピング工程の間に生成するセルロース系パルプからの分離の後、天然型リグニンの誘導体が、減圧/フラッシング、それに続く冷水での希釈により、黒液から回収される。ここで、冷水での希釈は、分取された天然型リグニンの誘導体を沈殿させ、これにより標準的な固体/液体分離法による誘導体の回収を可能にする。米国特許第7,465,791号及びWO 2007/129921により例証される様々な開示は、その方法に対する修正を開示する。その修正は、バイオ生成の間に繊維状バイオマス原料から回収される天然型リグニンの分取された誘導体の収量を増加させる目的のためである。
後に更なる適用のために使用されうる一般的な有機小分子を生成するように黒液を処理する、改善された方法が必要である。パルプ工場の収益を改善し、また黒液をより有効に活用することにより環境を保護するためには、そのような方法が必要である。
本発明は、炭素質原料を処理するための方法を提供し、その方法は、炭素質原料の混合物を、任意で少なくとも1つの可溶化剤及び水とともに、300℃より低い温度までかつ1230psigより低い圧力にて、酸化する工程を有する。本発明の1つの重要な特色は、炭素質原料がその構造中への酸素の挿入または追加により質量を増し、酸素化された分子、及び既知の方法と比較して少量のCOの形成をもたらすことである。
この質量増加はかなりの量で、液相中の炭素質物質については初期原料質量の30%より大きく、またCOが含まれるならば75%より大きくてもよい。本方法は、これに続く1つまたはそれより多い工程、及び/または微生物による消化工程をさらに有しうる。
本発明は、固体−蒸気(非水性)環境において、水蒸気及び空気の組合せを使用して炭素質原料を処理するための方法をさらに提供する。これらの条件は、最終凝縮産物における水溶性化学物質の濃度を最終的に上昇させ(より少ない水供給量、及びより低い分離コスト)、生じる凝縮産物から懸濁固体(不完全な反応石炭または灰鉱物のいずれか)を減少させまたは除去しさえもすることにより、利点を提供しうる。さらに、反応の程度は、石炭粒子の消滅、及び唯一の副産物として灰を生産する段階にまで、至らせてもよい。O/石炭、水蒸気/石炭、蒸気及び固体の滞留時間、並びに温度に関する条件の過酷度は、生成物分布を変化させ、また特定の化学生成物に対する特異性及び収量を獲得するために、変更されうる。本方法は、いかなる供給源(空気または過酸化物を含む)からの純粋な酸素も必要としないし、純粋な酸素は望ましくもない。本発明の別の主な長所は、周囲圧に近い圧力にて機能できることであり、これは空気圧縮のコストを除去し、またリアクター設備のコストも低下させる。
本発明の方法は、本方法の異なる作動条件に基づく様々な生成物分布の産生を可能にする。例えば、一定の条件下では、脂肪族及び芳香族カルボン酸などの水溶性オキソ化学物質の混合物が生成される。他の条件では、これらのオキソ化学物質の混合物と、C10からC44鎖長の範囲にあるパラフィン類及びオレフィン類を含有するワックス状炭化水素の混合物とが生成する。これらの炭化水素は水に不溶であり、以下に提供される実施例において示されるように、水相から容易に分離される。本発明のさらに別の態様においては、構成物中の石炭の固定層が石炭粒子のためのフィルターとして働き、液体生成物からの粒子の分離の必要性を排除する。
本発明は、黒液原料を処理するための方法をさらに提供し、その方法は、1つまたはそれより多い有機化合物を得るために、少なくとも1つの酸化剤の存在下、300℃より低い温度にてかつ1230psigより低い圧力にて、黒液を処理する工程を有する。
図1は、本発明の一実施形態に従う方法を示す、フローチャートである。 図2は、微生物による消化工程からの反応生成物が加熱工程に戻されて供給される、本発明の代替的な方法を示す、フローチャートである。 図3は、本発明の別の一実施形態に従う方法の略図である。 図4は、本発明の一実施形態に従う方法を実行するための、概念的フロー図である。 図5は、本発明の一実施形態に従う方法により石炭をより生分解性にするための、石炭の酸素化を示す。 図6は、本発明の一実施形態に従う方法による、CuO触媒有りまたは無しの場合の、ヘッドスペース中の出発Oに対する酸素保持効率を示す。 図7は、本発明の一実施形態に従う、石炭の二通過処理における、石炭の溶存炭素への変換度を示す。 図8は、本発明の一実施形態に従う、アルカリへの空気の添加による酸化のバイオアベイラビリティーに対する影響を示す。 図9は、パルプ工場において黒液を処理する、先行技術の方法を示すフローチャートである。 図10は、本発明の一実施形態に従う方法を描写するフローチャートである。 図11は、本発明の別の一実施形態に従う方法を描写するフローチャートである。ここでは、原黒液から選定される有機ポリマー類が回収され、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生産するために、黒液の選定される成分のみが使用される。 図12は、本発明の別の一実施形態に従う方法を描写するフローチャートである。ここでは、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生産するために、黒液の選定される成分のみが使用され、また残留物はエネルギー回収のために更に処理される。 図13は、本発明の別の一実施形態に従う方法を描写するフローチャートである。ここで、選定される有機ポリマー類が原黒液から回収され、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生産するために、黒液の選定される成分のみが使用され、また残留物はエネルギー回収のために更に処理される。 図14は、本発明の一実施形態に従う方法により得られた、有機小化合物の酸画分のGCMSスペクトルを示す。 図15は、松材から得られた黒液に適用される本発明に従う方法により得られる、有機小化合物の生成物分布を、Powder River Basin(PRB)亜瀝青炭から得られた生成物についての生成物分布との比較で示す。 図16は、炭素質原料としての石炭の酸化的水蒸気ストリッピングのための方法を示す、本発明の一態様の簡易化された略図を示す。 図17は、pH及びFTIRにより追跡された、本発明の方法からのカルボン酸の形成(実施例6を参照)を示し、最小pH、及びFTIRにおけるカルボキシピークの最大強度に基づき200〜220℃の間に最大値を示す。 図18は、3相生成物混合物の画像(水相及び有機相に加え、出現し始めている炭水化物のワックス状相を示す)を示す。 図19は、ヘキサンにより抽出されたワックス状相のGC−MS分析から生じる、クロマトグラムを示す。 図20は、pH及びFTIRにより追跡された、本発明の方法からのカルボン酸の形成(実施例7を参照)を示す(試験は比較的一定な温度200℃で実施された)。
例証の目的で、本発明の原理が、様々な代表的な実施形態に言及することにより開示される。本明細書では本発明の一定の実施形態が具体的に開示されるが、同じ原理が他のシステム及び方法に同等に適用可能であり用いられうることを、当業者は容易に認識するであろう。本発明の開示される実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用において示されるいかなる特定の実施形態の詳細にも限定されないことが理解されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語は開示の目的のためであり、限定の目的のためではない。さらに、一定の方法は本明細書において一定の順序で示される工程に言及しながら開示されるが、多くの場合、これらの工程は当業者により認められうるあらゆる順序で実施されうる。従って新規の方法は、本明細書で開示される工程の特定の段取りに限定されない。
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別に規定しない限り複数形の参照対象を含むことに留意されなければならない。用語「comprising」、「including」、「having」、及び「constructed from」はまた、互換的に使用されうる。
用語「実質的に」は、少なくとも一般に約80%、あるいは約90%、またはあるいは約99%の量を意味する。
本明細書で使用される用語「炭素質原料」は、石炭、褐炭、タールサンド類、タール類、原油類、泥炭、ピッチ、樹脂類、リグニン、ラテックスゴム、ワックス類、農業廃棄物、樹皮、木材、あらゆる種類の再生可能なバイオマス、並びに、木、藻類ケーキ、及び他の不応性の有機物質からの他の産物などの、天然起源のポリマー物質を含む。また、原油常圧残油、原油減圧残油、流動接触分解からの残留物、石油コークス、コーカー及び他の熱分解軽油及び残油、抽残物、アスファルト類、多環芳香族化合物、並びにこれらの類似物などの、石油精製及び化学的製造からの価値が低いとされる副産物をも含みうる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル類、ポリアクリル類、及びこれらの類似物などの合成高分子系廃棄物さえも含みうる。
本発明の一実施形態においては、炭素質原料は、石炭、褐炭、タールサンド類、タール類、原油類、泥炭、ピッチ、樹脂類、リグニン、ラテックスゴム、ワックス類、石油コークス、農業廃棄物、樹皮、木材、及び藻類濃縮物を有する。
藻類ペーストまたは藻類ケーキなどの藻類濃縮物は、藻類を藻類が成育する媒体から分離することにより得られる残留物であり、その媒体は一般に水ベースである。濃縮された藻類は、少量の残留水を含有する形態へと処理されることができうる。藻類は、様々な方法で、例えば濾過により、媒体から分離されうる。
本明細書で用いられる用語「石炭」は、褐炭から無煙炭にわたる一連の炭素質燃料のあらゆるものを意味する。その一連の炭素質燃料の構成要素は、含有する水分、揮発性物質、及び固定炭素の相対量に関して、お互いに異なる。石炭は、大部分が、炭素、水素、硫黄、酸素、窒素、及び混入水で構成され、主に多数の炭素二重結合を有する大分子の形態をとる。低品位石炭鉱床は、大部分が石炭及び水で構成される。石炭は、化石燃料とみなされる可燃性物質を含有する鉱床である。石炭は、連続する脱酸素及び凝縮過程を通じて化石化されてきた植物から形成される。
本明細書で用いられる用語「微生物」は、細菌、古細菌、及び菌類を含む。その微生物は、例として、Archaeoglobales、Thermotogales、Cytophaga群、Azospirillum群、Paracoccus亜群、Sphingomonas群、Nitrosomonas群、Azoarcus群、Acidovorax亜群、Oxalobacter群、Thiobacillus群、Xanthomonas群、Oceanospirillum群、Pseudomonas及び類縁体、Marinobacter hydrocarbonoclasticus群、Pseudoalteromonas群、Vibrio亜群、Aeromonas群、Desulfovibrio群、Desulfuromonas群、Desulfobulbus集合体、Campylobacter群、Acidimicrobium群、Frankia亜群、Arthrobacter及び類縁体、Nocardioides亜群、Thermoanaerobacter及び類縁体、Bacillus megaterium群、Carnobacterium群、Clostridium及び類縁体、並びに、Methanobacteriales、Methanomicrobacteria及び類縁体、Methanopyrales、及びMethanococcalesなどの古細菌を含みうる。
微生物のより具体的な例は、例えば、Aerobacter、Aeromonas、Alcaligenes、Bacillus、Bacteroides、Clostridium、Escherichia、Klebsiella、Leptospira、Micrococcus、Neisseria、Paracolobacterium、Proteus、Pseudomonas、Rhodopseudomonas、Sarcina、Serratia、Streptococcus及びStreptomyces、Methanobacterium omelianskii、Mb. Formicium、Mb. Sohngenii、Methanosarcina barkeri、Ms. Methanica、Mc. Masei、Methanobacterium thermoautotrophicum、Methanobacterium bryantii、Methanobrevibacter smithii、Methanobrevibacter arboriphilus、Methanobrevibacter ruminantium、Methanospirillum hungatei、Methanococcus vannielli、Methanothrix soehngenii、Methanothrix sp.、Methanosarcina mazei、Methanosarcina thermophila、Methanobacteriaceae、Methanosarcinaceae、Methanosaetaceae、Methanocorpusculaceae、Methaanomicrobiaceae、他の古細菌、並びにこれらのあらゆる組合せを含みうる。
本明細書において用いられる用語「微生物共同体」は、微生物の2つまたはそれより多い種または株を含有する微生物集合体、また特にその中のそれぞれの種または株が他との相互作用から恩恵を受ける微生物集合体を指す。
本明細書で用いられる用語「生物変換」は、炭素質物質の、メタン並びに他の有用な気体及び液体成分を含みうる生成物への、微生物による変換を指す。生物変換の生成物は、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、及び他の有機小化合物などの炭化水素、並びに脂肪酸類及びアルコール類などの、燃料もしくは化学物質としてまたは燃料もしくは化学物質の生産において有用である有機物質と、水素及び二酸化炭素を含む気体などの無機物質とを含むが、これらに限定されない。
本発明は、炭素質原料の少なくとも一部を、変換された生成物及び生分解性基質に変換する方法を提供する。本発明は、炭素質原料中の低価値の高分子量の炭素質物質を、より低分子量の炭化水素、オキソ化学物質、及び他の化学物質へと、同時に酸化し、脱重合させ、再構成し、かつ/または可溶化する。ここで、オキソ化学物質は、少なくとも1つの酸素原子を有する有機化合物である。
図1を参照し、本発明は、少なくとも1つの酸化剤の存在下、任意で少なくとも1つの可溶化剤及び水の存在下、炭素質原料の混合物を加熱する工程を含む。加熱工程は、混合物の温度を望ましい温度まで上昇させる工程、及び/または、その混合物を飽和水蒸気圧もしくはそれより高い圧力にて維持する工程を有しうる。いくらかの実施形態においては、反応生成物は、任意で、化学的及び/もしくは物理的分離、並びに/または微生物による消化を受けうる。
化学的及び/もしくは物理的分離は、反応生成物中の様々な成分の分離のために用いられうる。例えば、いくらかの高価値の鉱物及び化学物質は、反応生成物から、従来型の化学的及び/または物理的分離法を使用して回収されうる。そのような化学物質は、例えば、オキソ化学物質を含む。使用されうる適用可能な化学的及び物理的分離技術は、当業者にとって既知のあらゆる技術を含み、分留、液/液抽出、反応抽出、電気透析、吸着、クロマトグラフィー、イオン交換、膜濾過、及びハイブリッドシステムを含む。
いくらかの実施形態においては、炭素質原料は、例えばその限られた空隙率ゆえ、加熱工程により効率よく処理されるには不浸透性でありすぎるかもしれない。そのような場合には、炭素質原料は、その浸透性または利用可能な表面積を増加させるために前処理され(例えば粉砕され)、ゆえに本発明の処理に対する炭素質原料中の大きな炭素質分子の感受性を増大させてもよい。炭素質原料の粒子サイズを縮小させるために適切である当業者に既知のあらゆる方法が、本発明に対し使用されうる。例えば、物理的(例えば、研削、粉砕、破砕、及びこれらの類似手法)及び化学的手法(例えば、酢酸、水酸化ナトリウム、過炭酸塩、過酸化物、及びこれらの類似物などだがこれらに限定されない、界面活性剤、酸、塩基、酸化剤での処理)が、炭素質原料中の炭素質物質のサイズを縮小させるために、適用されうる。いくらかの実施形態においては、より多い有機物質を放出させるべく石炭、オイルシェール、褐炭、石炭誘導体、及び類似構造物を破壊するために、またはそれらをより小さい有機化合物への分解に対してより敏感にするために、前処理が使用されうる。いくらかの適切な前処理方法が、米国特許出願公開第2010/0139913号、国際特許公開第WO 2010/1071533号、及び米国特許出願公開第2010/0262987号において開示され、これらの開示内容は、本参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態においては、重量比約1:2の石炭及び水が鋼媒体を有するミルへと搭載される。粉砕の持続時間は、60から90分に及びうる。粉砕後、その石炭スラリーが、本発明の方法の加熱工程への投入物として使用されうる。
本発明において任意で使用されうる可溶化剤は、鉱酸または鉱塩基から選択されうる。好まれる塩基は、グループI(アルカリ金属)及びグループII(アルカリ土類)酸化物、水酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩、またはハロゲン化物を含む。とくに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム化合物が好まれる。可溶化剤の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム、及び炭酸カリウム、またはこれらのあらゆる混合物を含む。これらの物質のいくらかの、天然起源の鉱物もまた、本方法における使用に適している。これらは、ナーコライト、トロナ、テルモナトライト、ゲイラサイト、ハイドロマグネサイト、ランスフォルダイト、イカアイト、ハイドロカルサイト、ドロマイト、ハンタイト、アラゴナイト、ナトライト、マグネサイト、カルサイト、カルシナイト、グレゴライト、及びその他を含むが、それらに限定されない。
鉱塩基は、一般に加熱工程に提供される混合物のたった15重量%しか成さず、また好ましくは加熱工程に提供される混合物の10重量%より少量を、最も好ましくは6重量%またはそれより少量を成す。いくらかの実施形態においては、可溶化剤は、加熱工程に供給される混合物の少なくとも1重量%、または少なくとも3重量%、または少なくとも5重量%を成す。
いくらかの実施形態においては、可溶化剤は鉱酸であってもよく、それはリン酸、硝酸、ホウ酸、塩酸、及び硫酸などである。
炭素質原料は、混合物を作成するため、水溶液中に提供される可溶化剤とともに混合されうる。いくらかの代替的実施形態においては、炭素質原料は、可溶化剤を含有する水蒸気または水の蒸気と組み合わせられうる。これらの実施形態においては、蒸気または水蒸気が炭素質原料上に吹き付けられうる。
いくらかの実施形態においては、混合物を作成するため、炭素質原料が、可溶化剤の水溶液中で分散させられうる。水中に分散させられる炭素質原料の量は、炭素質原料から酸化的に再構成されうる単量体分子の平均サイズ、及びその単量体分子の官能基に基づく水中での可溶性と、その単量体分子が水中で有する電離度と、温度、pH、圧力、活量係数、及び他の検討事項などの、水性システムの物理的及び化学的特性とにより制限される。溶液粘性はまた、スラリー様混合物中の炭素質原料搭載量が高いほど増加し、固体と液体との間の物質移動及び混合を低減させうる限定事項である。いくらかの実施形態においては、混合物中の炭素質原料含有量は40重量%より小さくてもよい。混合物の炭素質原料含有量は、30重量%もしくはそれより少なくてもよく、あるいは25重量%もしくはそれより少なくてもよい。
いくらかの実施形態においては、混合物に少なくとも1つの触媒が任意で添加されうる。その触媒は、例えば過酸化物及び超過酸化物の形成を引き起こすまたは促進することにより、酸化反応を触媒しうる。これは、炭素質物質の完全酸化と比較して、炭素質物質への酸素挿入速度を上昇させうる。
触媒は、非水溶性金属、遷移金属、及び貴金属、またはこれらの塩もしくは酸化物から選択されうる。これらの金属の例は、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、レニウム、銅、鉄、亜鉛、バナジウム、ジルコニウム、及びルテニウムを含む。触媒は、クレー、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト類、活性炭、珪藻土、チタニア、ジルコニア、モリブデナ、セラミックス、及び類似物などの、不活性または活性マトリックス材料上に支持されていなくてもよく、あるいは支持されていてもよい。そのような触媒は、相対的酸化度を増加可能であることに加え、酸素移動、挿入、及び高分子量炭素質化合物の再構成の速度を上昇させうる。触媒の例は、セリウム、ランタン、混合希土類、ブルーサイト、ヒドロタルサイト、鉄、クレー類、銅、スズ、及びバナジウムの、金属酸化物、混合金属酸化物、水酸化物、及び炭酸塩を含む。
いくらかの実施形態においては、本発明において使用される触媒は、活性炭を含有する固体触媒である。本発明における触媒としての使用に適する活性炭の種類は、特に限定されない。適切な活性炭は、炭、石炭、コークス、泥炭、褐炭、及びピッチなどの物質から選択されうる。適切な活性炭はまた、アクリロニトリル系、フェノール系、セルロース系、及びピッチ系の活性炭素繊維などの、炭素繊維をも含む。
活性炭は、その表面上へと、炭素質物質からの被酸化可能物質を吸収する特性を有する。触媒表面上への被酸化可能物質の吸着は、化学結合を引き起こし、被酸化可能物質の分子の周りの電子密度を変化させ、その分子がより高効率で酸化を受けることを可能にする。酸化反応を触媒する目的で、活性炭表面上の極性基の種類及び量は、活性炭の特性を変化させうる。活性炭表面上の極性基の種類及び量は、被酸化可能物質との化学結合の形成に影響する。ゆえに、活性炭の触媒としての性能は、触媒中に導入される極性基の種類及び量にあわせて、大いに変化する。被酸化可能物質が大部分は有機物質及び/または無機アニオン性物質である場合、活性炭触媒は少量の極性基を含有してもよく、これは酸化のより効率の良い触媒のための疎水性特性を触媒に与える。大きい有機物質を酸化するのに適する活性炭触媒は、欧州特許第EP 1116694 B1号においてより詳細に開示され、この特許は本参照により本明細書に組み込まれる。
活性炭表面上の極性基の量は、活性炭触媒を生成する方法を変化させることにより制御されうる。例えば、米国特許3,996,161号は、廃液の処理のために活性炭を調製する方法を開示する。この方法は、極性基に結合した非極性基を含有する極性化合物の水溶液中に微粉炭を浸漬する工程、及び次いで浸漬された石炭を洗浄する工程、その後その洗浄された石炭を乾燥させる工程を有する。この書類は、その全体が本参照により本明細書に組み込まれる。極性化合物を、または水溶液中の極性化合物の量を変化させることにより、異なるレベルの極性基を有する活性炭が生産されうる。
いくらかの実施形態においては、炭素質物質そのもの、とくに大きな炭素質分子並びに内在鉱物及び関連イオンが、炭素質物質の酸化的破壊または脱重合を触媒するための触媒として機能しうる。これらの実施形態においては、炭素質物質表面上の大きい炭素質物質間の相互作用が、化学結合に携わり、あるいは大きい炭素質分子の周りの電子密度を変化させてもよく、このことは炭素質物質中の大きい炭素質分子の酸化及び脱重合を促進しうる。一実施形態においては、炭素質物質は石炭であり、石炭そのものが石炭の酸化及び脱重合のための触媒として機能する。
炭素質物質を含有する混合物は、少なくとも1つの酸化剤の存在下、反応槽中で加熱される。加熱工程は、混合物の温度をあらゆる適切な手段により望ましい温度まで上昇させる工程、及び/または混合物に飽和水蒸気圧またはそれより高い圧力をかける工程を有しうる。加熱工程の間には複数の反応が起こりうる。それは、酸化、脱重合、再構成、及び可溶化を含む。再構成の工程においては、炭化水素の分子構造が再編成される。
酸化剤は、空気、酸素富化空気、酸素、オゾン、硫酸、過マンガン酸塩、二酸化炭素、亜酸化窒素、硝酸、クロム酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、超過酸化物、塩素酸塩、過酸化物、次亜塩素酸塩、フェントン試薬、並びに、カチオンが金属カチオン、水素イオン、及び/またはアンモニウムイオンを有しうる硝酸塩から選択されうる。
酸化剤は、その強度によりランク付けされうる。Holleman et al. "Inorganic Chemistry," Academic Press, 2001, page 208を参照。当業者は、炭素質物質の過酸化を防ぐために、使用される酸化剤の強度に応じて加熱工程の条件が調節されうることを認識するであろう。例えば、強い酸化剤が使用される場合、過酸化を防止し、かつ/または変換の望ましい度合いを確実に超過しないため、加熱工程の温度、圧力、及び持続時間のうち1つまたはそれより多くが減少させられうる。一方で、弱い酸化剤が使用される場合は、酸化及び/または変換の望ましい度合いを確実に達成するため、加熱工程の温度、圧力、及び持続時間のうち1つまたはそれより多くが増加させられうる。酸化剤が気体である場合、加熱工程のための反応槽中の圧力は、酸化及び/または変換の望ましい度合いを確保するために重要である。
いくらかの実施形態においては、酸素が酸化剤として使用される。一実施形態においては、反応槽へ酸素が空気として送達されうる。いくらかの別の実施形態においては、炭素質原料の酸化に対する感受性によっては、酸素富化空気が使用されうる。適切な富化率は、大気の酸素濃度よりわずかに高い酸素濃度から実質的に純粋な酸素まででありうる。
本発明の1つの重要な特色は、炭素質物質中に添加または挿入された酸素ゆえの、原料の相当な質量増加である。これは、液体及び固体原料の両者に当てはまり、本方法の経済面に対し著しいポジティブな影響を与える。さらに、原料中の高分子炭素質分子中への酸素の組み込みとそれに続く原料の分解から起こるバイオアベイラビリティーの増加は、とても有益である。実際、残りの石炭固体(部分的に変換され、部分的に酸化されている)さえも表面ではより酸素化されており、このことはその石炭固体を土壌養分としてもまたよりバイオアベイラブルにする。
加熱工程が実施される反応槽は、いかなる特定のリアクター設計にも限定されないが、本発明に必要な温度及び圧力に耐えることができる、あらゆる密封可能な複数相の反応槽でありうる。いくらかの実施形態においては、混合物がリアクターに供給され、そのリアクターは望ましい温度まで前加熱されている。それから、望ましい圧力に達するまで、リアクターに空気または酸素富化空気がゆっくりと加えられる。空気または酸素富化空気の充填の間、並びに加熱工程そのものの間、リアクター中の温度及び圧力が監視されうる。いくらかのリアクター設計が、Blume("Bitumen blowing unit converts residues to asphalt," Hydrocarbon Processing, March 2014)において開示され、この文献は、本参照により本明細書に組み込まれる。
反応槽中の混合物は、300℃(572°F)より低い、または220℃(428°F)より低い、または150℃(302°F)より低い温度まで加熱される。反応槽中の正の圧力は、飽和水蒸気圧またはそれよりわずかに高くに維持され、例えば、それぞれ1230psigより低い、または322psigより低い、または54psigより低い圧力である。最低温度はおよそ130℃であり、対応する最低圧力はおよそ24psigである。
反応槽中の混合物は、少なくとも2つの相を有する。液相(水/可溶化剤/酸化剤)及び固相(炭素質原料)である。多くの実施形態においては、反応槽中には3つの相が存在する。気体(酸素/空気、及び/または水蒸気)、液体(水/可溶化剤)、及び固体(炭素質原料)である。これらの相間の効率的な熱及び物質移動を確実にするため、混合物は機械的または他の方法の攪拌を受けうる。反応槽は、これらの相間の相互作用を促進するための構造的機能を含みうる。例えば、気体分散機能を有する攪拌されていない反応槽、機械的攪拌装置を有する反応槽、並びに気体吸込み装置を有する反応槽、またはこれらの組合せである。代表的なリアクターは、気体分散を有する並流管状リアクター、気体分散を有する向流管状リアクター、及びスタティックミキサーを有する流動管状リアクターを含む。
いくらかの実施形態においては、反応槽は、気相から液相及び固相への酸素の物質移動を増強するように構成された、気泡塔リアクターである。気泡塔リアクターは一般に、垂直に配置された円柱塔から構成される。気泡塔は、気体が気泡の形態で、液体及び分散固体と接触しながら液体またはスラリー相中を上昇するように構成される。リアクターへの気体の導入は、塔の底部で起こり、気泡が液相の上表面まで上昇する際に液相への最適な酸素移動を可能にする、乱流を引き起こす。気、液、及び固相間の相互作用は、機械的攪拌に必要とされるであろうエネルギーよりずっと少ないエネルギーで増強される。液相は、気相に対し並流または向流でありうる。液相の上表面から脱出する気体は、気泡塔リアクターへと戻されて再利用され、塔の底部へと戻されて再導入されうる。槽はまた、より効率的な変換のため、固体滞留時間を増加するよう、直径が底部で徐々に増加する円錐形を有してもよい。
主に反応媒体じゅうの気体泡の上向きの移動により反応媒体の攪拌が提供されるため、気泡塔リアクターは、複数相反応媒体中での化学反応を促進しうる。気泡の直径は、気体−液体物質交換の効率との相関関係が示されうる。これは、気泡サイズが、気泡上昇速度、気体滞留時間、気体−液体界面面積、及び気体−液体物質移動係数などの流体力学パラメーターに対して、強い影響を及ぼすためである。当業者は、炭素質物質の効率的な酸化/脱重合を達成するための、気泡の最適なサイズまたはサイズ分布を決定しうる(Kantarci et al., "Bubble column reactors," Process Biochemistry, vol. 40, pages 2263−2283 (2005))。異なる種の炭素質物質は非常に多様な特徴を有するため、気泡のサイズは、炭素質物質の特徴及び望ましい前処理生成物に応じて調節されうる。
いくらかの他の実施形態においては、反応槽は、気相から液相への酸素の物質移動を増強するように構成される、トリクルベッドリアクターである。トリクルベッドリアクターでは、反応が起こる触媒粒子の固定層を、液相及び気相が同時に下向きに流れる。十分に低い液体及び気体の流速においては、液体は、充填された触媒上を本質的には層状フィルム状にまたは細流状にゆっくり流れ、また気体はその層中の空所じゅうを連続的に流れる。これは時折、気体連続領域または均質流と呼ばれ、気相から液相への酸素移動を増強する。トリクルベッドリアクターは、複雑なかつ未だ十分に定められていない流体力学的特徴を有する。触媒と分散した液体フィルムとの間の接触、及び触媒中への気体移動に対するフィルムの抵抗は、とくに触媒内の蒸気生成ゆえに、液体及び気体の速度の単純な関数ではない。最大の接触効率は、大きい液体質量速度で実現可能である。たとえば、1〜8kg/m、または2〜5kg/mである。トリクルベッドリアクター及び他の複数相リアクターの詳細な開示は、"Kirk−Othmer Encyclopedia of Chmemical Technology", Third Edition, Volume 19,pages 880−914 における、表題"Reactor Technology"の下に見つけられ、これは本参照により本明細書に組み込まれる。
トリクルベッドリアクターは、蒸気及び液体の流速及び特性に応じ、様々な流量レジメンで作動されうる。しかしながら、トリクル流の作動ウィンドウはとても幅広く、流速のみから決定されないことが留意されるべきである(例えば、E. Talmor, AlChE Journal, vol. 23, pages 868−874, 1977を参照、この論文は本参照により本明細書に組み込まれる)。ゆえに例えば、いくらかの実施形態においては、比較的大きい気体速度と合わせて、小さい液体流速でトリクルベッドリアクターを作動することが可能でありうる。
加熱工程の持続時間は、例えば混合物中で引き起こされた酸化ストレス及び望ましい生成物により、決定されうる。一般に、大きい酸化ストレスほど、より短い持続時間の加熱工程を要する。さらに、望ましい生成物が、例えば一連の連続的反応工程により、炭素質物質のより完全な酸化により生成する場合、より長い持続時間の加熱工程が要されうる。
反応時間は、必要な変換度、望ましい分子量の低下、原料の反応性、方法の経済面、産生される二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素の量、並びに他の制約に応じ、数秒から数時間まで様々でありうる。一実施形態においては、炭素質原料は石炭であり、反応時間は、約0.5から約4時間、もしくは約1から約3時間の範囲、または約2時間である。
いくらかの実施形態においては、温度、圧力、及び反応時間を含む反応条件は、特定の炭素質原料の分子的及び元素的特徴にもまた依存しうる。考慮されうる炭素質原料の特徴の例は、芳香族性の度合い、水素対炭素比、酸素対炭素比、窒素対炭素比、硫黄対炭素比、鉱物または灰含有量、及び他の要素である。ゆえに、いくらかの実施形態においては、異なる特徴を有する炭素質原料の混合は、これらの特徴の1つまたはそれより多くを調節することにより、本方法の効率を高めうる。例えば、石炭などの芳香族性が高くより反応しにくい炭素質物質を、農業廃棄物または合成高分子系廃棄物などのより非環式炭素質物質と混合すると、より生分解性が高い酸化された生成物ストリームを生じ、またより高い微生物固体群密度を支持し、並びに反応性がより小さい分子の変換の速度及び度合いを増大させるであろう。原料の混合技法は、米国第2012/0160658号において開示され、本特許は本参照により本明細書に組み込まれる。
変換の度合いは、異なる種類及び量の例えば部分酸化生成物を生成するための、異なる反応条件を使用することにより制御されうる。炭素質化合物のCO産生への著しい損失を生じることなく、灰ストリーム中に濃縮された無機物の他に、変換された石炭固体を除去するためにもまた、反応条件は調節されうる。
いくらかの実施形態においては、反応槽中の気相の一部が、任意で継続的にまたは定期的に回収されかつ入れ替えられうる。反応中に形成される二酸化炭素はいくつかの役割を有し、過剰な塩基の中和剤として機能すること、及び水中で炭酸塩緩衝系を形成することを含む。炭酸塩緩衝系は、後の微生物による気体及び化学物質への変換を増強するためには望ましい特徴である。多くの場合、対象の微生物は、pH7またはpH7付近のシステムを好む。本方法において生成されるCOは、過剰の塩基と反応し、また酸の添加により脱重合から生じる生成物ストリームのpHを調節する必要性を減少させまたは排除し、これによりコストを低下させる。COはまたシステム中の無機化炭素の一部を保持し、そのうちのいくらかは、一定の微生物により、酸化された炭素質物質のその全代謝中に有益産物へと分解されうる。本反応中に形成されるあらゆる過剰の二酸化炭素は、好ましくは反応槽から取り除かれる。一実施形態においては、反応槽から気体が回収され、回収された気体中の二酸化炭素含有量が低減され、低減された二酸化炭素含有量を有する気体が、酸素富化されてまたはされずに、任意で反応槽へ戻されて再供給される。本実施形態は、反応の間に反応槽中の望ましい酸素分圧を維持するために使用されうる。
原料中の炭素質物質のいくらかは酸化されて二酸化酸素となり、また続いてアルカリ炭酸塩へと変換されうる。従って、酸化剤が酸素または酸素富化空気である場合は、高いレベルの酸素分圧を維持するためには、変換反応により生成する二酸化炭素のいくらか、殆ど、または全てを固定するのに十分アルカリ性である溶液を使用することが望ましいかもしれない。さもなければ、反応中の二酸化炭素の形成が、変換反応が減速し最終的には停止する程にまで、システム中の酸素分圧を低下させうる。
いくらかの実施形態においては、反応の進行を監視するために、反応槽中の気相の標本試料が定期的に回収されうる。その気体標本試料は、反応の進行の指標を提供するべく、1つまたはそれより多い成分の含有量を同定するために、例えばガスクロマトグラフにより、分析されうる。変換の望ましい度合いが達成されると、加熱工程は終了させられうる。酸化剤の望ましいレベルを維持するため、二酸化炭素は回収され、または、反応槽に酸素が定期的もしくは継続的に添加されうる。
本発明の方法は、バッチ式、半バッチ式、または連続的に実施されうる。一態様においては、本発明は炭素質原料中の炭素質物質を酸化する。炭素質物質の少なくとも一部が、シュウ酸、メリト酸、安息香酸、及び酢酸などの有機酸へと酸化されうる。さらに、高分子量炭素質化合物は、低分子量炭素質化合物へと脱重合/再構成されうる。いくらかの実施形態においては、混合物のpHを7より大きい、9より大きい、または10より大きい苛性アルカリpHへと増加させるために、鉱塩基が使用される。そのような混合物においては、形成された有機酸は、鉱塩基の存在ゆえに塩の形態で存在するだろう。そのような塩は、固体物質を濾過により除き、そこから希釈塩酸または硫酸を用いてシュウ酸を抽出することにより、反応生成物から回収されうる。メリト酸及び類似酸の塩は、酸性化し、温め、そして温液を濾過することにより、濾過液から単離されうる。一方で酢酸は、例えば水蒸気蒸留により、残留液体から回収されうる。
反応槽の生成物は、鉱物、化学物質、及び低分子量炭素質化合物を含みうる。これらの生成物は、化学、ポリマー、織物、及び医薬品工業などの、様々な工業のための原材料として使用されうる。金属類は、反応生成物から回収されうる。反応生成物中の固体は、肥料、セメント及びアスファルトのためのフィラー、並びに他のそのような物質としての価値をもまた有しうる。
鉱物及び高価値な化学物質を抽出した後、反応生成物の残りは微生物による消化を受けうる。反応生成物の一部は、可溶化炭素質化合物、及び潜在的にいくらかの固体高分子量炭素質物質を含む。両画分は、原料中の高分子炭素質分子への酸素の組み込みと、続くその分子の分解との直接的な結果として、酸化的前処理から相当なバイオアベイラビリティーを獲得している。これらの生成物は微生物による消化装置に導入されうる。そこでは、炭素質物質、とくに酸化及び脱重合により生成した低分子量炭素質物質が、生物変換工程を経る。生物変換工程の間、炭素質物質のいくらかまたは全てが、微生物による消化装置中の微生物により消化される。一実施形態においては、生物変換工程は、メタン、水素、一酸化炭素、他の気体、及びこれらの混合物などのバイオガスを生成しうる。これらのガスは、燃料として使用されてもよく、または電気へと変換されうる。
微生物による消化装置中の条件は、消化装置中の炭素質物質の最大の生分解を達成するように最適化されるべきであり、それは生物変換の度合い及び速度のうち一方または両方を含む。加熱工程から得られた反応生成物は、それに続く生物変換における生物変換の度合い及び速度のうち一方または両方に影響しうる。ゆえに、本発明の一態様においては、加熱工程の条件は、より量の多い生分解性物質を含みうる、かつ/または高い生分解速度もしくは生分解する強い傾向を示しうる反応生成物を生成することに基づき、選択される。
微生物による消化装置は、好気性消化装置もしくは嫌気性消化装置のいずれか、またはその2つの組合せでもよい。好気性消化装置においては、消化装置に酸素が供給され、これは消化装置に供給される炭素質物質の迅速な分解をもたらす。嫌気性消化装置においては、消化装置に酸素は供給されない。嫌気性消化装置における炭素質物質の分解の方が、一般にはより遅い。いくらかの実施形態においては、好気性及び嫌気性消化装置の両者が使用されうる。好気性消化及び嫌気性消化は、一般に異なる生成物を提供する。ゆえに、好気性及び嫌気性消化は相補的に機能しうる。
いくらかの実施形態においては、微生物による消化装置は、部分的に嫌気性の消化装置であってもよく、それは微生物による消化装置の一部のみが酸素にさらされるように構成されうる。その微生物による消化装置の別の部分においては、酸素は本質的に消費されており、ゆえに微生物による消化装置のこの部分は嫌気性消化装置として機能する。この部分的に嫌気性の消化装置においては、炭素質物質が好気性消化と嫌気性消化との両者を受けるように、炭素質物質が微生物による消化装置の好気性部分から嫌気性部分へと通過する。いくらかの実施形態においては、微生物による消化装置は、限られた酸素が供給されうる。初めの好気性消化の後では、酸素は本質的には消費されている。それから消化装置は嫌気性消化装置となる。
低分子量炭素質化合物などの炭素質物質を、メタン及び水素などの気体、有機酸及びアルコールなどの液体、並びにオキソ芳香族化合物などの固体を含む目的の他の生成物へと分解するため、微生物による消化装置中の炭素質物質は、単一の種もしくは株の微生物、複数の種もしくは株の微生物、または微生物共同体の形態をとる、微生物を使用して代謝される。
異なる目的のためには、異なる微生物が利用されうる。例えば、異なる微生物の導入により、微生物による消化装置1つの中で、2つまたはそれより多い異なる反応が実施されうる。相対的な反応速度を変更するために、微生物の濃度もまた変化させられてもよい。これにより、とくに反応が同じ反応物について競合する状況においては、反応生成物混合物に影響を与える。生物変換工程の律速工程に関与する特定の微生物は、その律速工程の反応速度または収量を増加させるために捕捉されうる。
微生物共同体を利用する実施形態においては、異なる種の微生物が異なる目的のために供給されうる。例えば、栄養物を増加し、毒素の濃度を低下させ、かつ/または、競合する微生物を変換工程に関与する共同体中の別の微生物のために阻害する目的のため、特定の微生物が導入されうる。これらの目的の2つまたはそれより多くを達成するため、1つまたはそれより多い微生物種が導入されうる。
微生物は、天然起源であってもよく、あるいは天然起源株から合成されてもよい。さらに、微生物は遺伝子改変生物を組み込みうる。これらの微生物は、菌類、細菌、古細菌、及びこれらの組合せを含みうる。微生物は一般に、目的の特定の生成物への炭素質分子の変換を達成する代謝経路を基に、選択される。
いくらかの実施形態においては、少なくとも1つの栄養物が微生物による消化装置に導入されうる。その栄養物は、1つまたはそれより多い種の微生物が依存する物質でありうる。あるいは、その栄養物は、1つまたはそれより多い種の微生物が依存する物質へと変換されうる、または変換されるであろう物質でありうる。本発明のための適切な栄養物は、アンモニウム、アスコルビン酸、ビオチン、カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩素、コバルト、銅、葉酸、鉄、KHPO、KNO、マグネシウム、マンガン、モリブデン、NaHPO4、NaNO、NHCl、NHNO、ニッケル、ニコチン酸、p−アミノ安息香酸、ビオチン、リポ酸、メルカプトエタンスルホン酸、ニコチン酸、リン、カリウム、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、セレン、ナトリウム、チアミン、チオクト酸、タングステン、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンK、酵母抽出物、亜鉛、及びこれらの栄養物の1つまたはそれより多くの混合物を含む。
いくらかの実施形態においては、少なくとも1つの酵素もまた、微生物による消化装置に添加されうる。酵素は、例えば炭素質物質の変換を増強するために、使用されうる。例えば、酵素は、生物変換工程中の特定の変換反応を、好ましくは律速反応を、補助するために使用されうる。いくらかの代表的な実施形態においては、生物変換工程の収量、速度、及び/もしくは選択性を、またはその生物変換工程の収量、速度、及び/もしくは選択性に対し阻害的である少なくとも1つの種の成長を阻害する物質を、さらに増強するために、酵素が使用されうる。
本発明に適切な酵素は、アセチルキシランエステラーゼ、アルコールオキシダーゼ類、アロファネートヒドロラーゼ、アルファアミラーゼ、アルファマンノシダーゼ、アルファ−L−アラビノフラノシダーゼ、アルファ−L−ラムノシダーゼ類、アンモニアモノオキシゲナーゼ、アミラーゼ類、アミロ−アルファ−1,6−グルコシダーゼ、アリールエステラーゼ、細菌性アルファ−L−ラムノシダーゼ、細菌性プラナーゼ類、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、カルボキシラーゼ類、カルボキシルエステラーゼ、カルボキシムコノラクトンデカルボキシラーゼ、カタラーゼ類、カテコールジオキシゲナーゼ、セルラーゼ類、キトビアーゼ/ベータ−ヘキソ−アミニダーゼ、COデヒドロゲナーゼ、CoAリガーゼ、デカルボキシラーゼ類、ジエンラクトンヒドロラーゼ、ジオキシゲナーゼ類、ジスムターゼ類、ドーパ4,5−ジオキシゲナーゼ、エステラーゼ類、ファミリー4グリコシルヒドロラーゼ類、グルカナーゼ類、グルコデキストラナーゼ類、グルコシダーゼ類、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、グリコシルヒドロラーゼ類、ヒアルロニダーゼ類、ヒドラターゼ類/デカルボキシラーゼ類、ヒドロゲナーゼ類、ヒドロラーゼ類、イソアミラーゼ類、ラッカーゼ類、レバンスクラーゼ類/インベルターゼ類、マンデル酸ラセマーゼ類、マンノシルオリゴ糖グルコシダーゼ類、メリビアーゼ類、MethanomicrobialesオプテリンS−メチルトランセフェラーゼ類、メテニルテトラヒドロメタノプテリンシクロヒドロラーゼ類、メチル補酵素Mリダクターゼ、メチルムコノラクトンメチル−イソメラーゼ、モノオキシゲナーゼ類、ムコノラクトンデルタ−イソメラーゼ、ニトロゲナーゼ類、O−メチルトランスフェラーゼ類、オキシダーゼ類、オキシドリダクターゼ類、オキシゲナーゼ類、ペクチンエステラーゼ類、ペリプラズム性ペクチン酸リアーゼ、ペルオキシダーゼ類、フェノールヒドロキシラーゼ、フェノールオキシダーゼ類、フェノール酸デカルボキシラーゼ、フィタノイル−CoAジオキシゲナーゼ、多糖デアセチラーゼ、プラナーゼ類、リダクターゼ類、テトラヒドロメタン−オプテリンS−メチルトランスフェラーゼ、Thermotogaグルカノトランスフェラーゼ、及びトリプトファン2,3−ジオキシゲナーゼを含みうる。
いくらかの実施形態においては、加熱工程において生産された二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素もまた、微生物による消化装置に供給されうる。消化装置では、特定の微生物が、これらを小さい有機酸、水素、アルコール、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、及びこれらの組合せへと変換しうる。
本発明の一実施形態に従う方法の略図が、図3に描写される。前処理工程において、炭素質原料原材料が、試薬、水、及び空気または酸素富化空気と混合される。試薬は、少なくとも1つの可溶化剤、少なくとも1つの酸化剤、及び任意で触媒を含む。本前処理工程はまた、その混合物を適切な温度及び適切な圧力まで加熱する工程をも含む。
加熱工程(前処理)からの反応生成物はそれから、鉱物、オキソ化学物質、及び他の化学物質が反応生成物から分離される、化学的分離を受ける。残りの反応生成物は、バイオガスを生成するための生物変換のために、微生物による消化装置へと導入される。
前処理工程には2つの重要な目的が存在し、それは微生物による消化装置における生分解性を増強すること、並びに、炭素質物質を鉱物及び望ましい化学物質へと変換することである。いくらかの実施形態においては、両目的をいっそう十分に満足のいくまで達成するためには、加熱工程を複数の連続する工程として実行するのが望ましいかもしれない。例えば、より高い生分解性のために最初の加熱がその条件が最適化されている場合、炭素質原料の完全な酸化的分解可溶化は達成されないかもしれない。本発明はゆえに、異なる条件下で2つまたはそれより多い連続する加熱工程が実施される方法を含む。
いくらかの実施形態においては、2つまたはそれより多い連続する加熱工程が、前の工程の反応生成物を次の工程への供給物として使用して、異なる条件下で実施されうる。各サブ工程における反応条件は、異なる反応、反応速度、変換の度合いなどを支持するように調節される。1つのサブ工程からの反応生成物、またはその成分の1つもしくはそれより多い成分は、次のサブ工程に供給されうる。例えば、ある1つのサブ工程は、高価なオキソ化学物質の産生のために選択された反応条件を有しうる。また、別のサブ工程は、反応生成物の生分解性を増強するために選択された反応条件を有しうる。
あるいは、反応生成物を次の工程に供給する前に、反応生成物は何かしらの方法で改変されうる。例えば、化学的にまたは物理的に、反応生成物の1つまたはそれより多くの成分を分離することによってである。また、反応生成物、またはその1つもしくはそれより多い成分は、初めの加熱工程へと再循環させられうる。炭素質原料中の炭素質物質の変換及び可溶化を増強しまたは完全にするためには、加熱工程を少なくとも1回余計に通過させることが使用されうる。再循環させられる生成物の成分の例は、機械的手段で分離されうる部分的に変換された固体である。可溶化された炭素質物質から未変換のまたは部分的に変換された大きい粒子状生成物物質を分離するためには、濾過、沈殿、遠心分離、ハイドロサイクロン、及び他の技法が使用されうる。これらの大きい、一般的には部分的に酸化された(反応した)物質は、再循環させられることにより、より小さい物質へとさらに反応させられうる。再循環工程により、より長い総計滞留時間が達成されるゆえである。
図1−2を参照し、いくらかの実施形態においては、本発明の方法は、反応生成物またはその成分を、加熱、微生物による消化、及び/または化学的もしくは物理的分離工程から、加熱または粉砕工程へと再循環させるように構成されうる。任意で、加熱工程の一度目の通過時の反応条件とは、加熱工程の後の通過時の反応条件は異なってもよい。
図4を参照して、本発明の方法は、酸化反応及び再構成の効率を増強するために、微生物による消化装置からの金属イオン及び未変換の炭素質物質を含む物質を、工程(2)へと再循環させるように構成されうる。
先行技術の方法は、本発明と比較して、一般に実質的により高い過酷度の反応条件を使用する。その過酷度は、より高い温度、より高い圧力、あるいはより高い濃度の溶剤、または純粋なOもしくは他の高価な酸化剤などの酸化剤の形態でありうる。例えば、検討された先行技術における溶剤の濃度は、原料の重量の0.12から10倍の範囲にある。本発明は、方法の総合的なコストを低下させ、また石炭及び類似炭素質原料からの化学物質の商品化を可能にする。これは、これまでに実現していない。さらに、様々な種類及び量の部分的な変換または酸化生成物を生成するために、本発明の方法においては変換または酸化の度合いが制御されうる。さらに、灰ストリーム中に濃縮された無機物以外の、変換された石炭固体を、COへの顕著な損失なしに排除するために、本発明の方法の条件は調節されうる。
さらに、本発明は、顕著な量の様々な種類の有機小化合物を産生するための、黒液の処理のための方法を対象とする。その処理は、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生成するために、黒液を酸化剤で処理する工程を有する。
本明細書で用いられる用語「黒液」は、パルプ及び製紙工業における通常の意味を有する。用語「黒液」はまた、セルロース繊維を遊離させるために、リグニン、ヘミセルロース類、トール油、及び木材からの他の抽出物を除去する製紙法であるKraft法などの、アルカリ溶液中のパルプ木材のソーダまたは硫酸中での加熱から生じる、液体をも意味する。
図9は、黒液の生成、黒液の処理、黒液からのエネルギーの回収において、多くのパルプ工場により実践されている先行技術の方法を示すフローチャートを表わす。本発明は、黒液がパルピング工程から回収された後、かつ燃焼によるエネルギー回収の従来型の工程の前の、黒液に対して作用する。
本発明の方法による黒液の処理の一実施形態が、図10において例証される。黒液及び酸化剤が、任意の追加の試薬とともに、リアクター中へ供給され、圧力下で加熱される。リアクター内での反応は反応混合物を生じ、その反応混合物はそれから化学的、物理的、または微生物的手段により処理及び/または分離されて、有機化合物を生成する。これらの有機化合物は、約2から約20の炭素原子を有する有機化合物を有する。
代替的な実施形態においては、黒液は、処理の前に様々な成分へと分離または分画される。1つの可能な実施形態が、図11において例証される。黒液は、化学的、物理的、または微生物的手段により分離され、選択された有機ポリマー類が経済的に高価な産物として回収され、黒液の残余物は黒液成分リアクター原料である。この黒液成分リアクター原料は、酸化剤、及び任意の追加の試薬とともに、リアクター中へと供給され、圧力下で加熱される。リアクター内での反応は反応混合物を生じ、その反応混合物はそれから化学的、物理的、または微生物的手段により処理及び/または分離されて、有機化合物を生成する。これらの有機化合物は、約2から約20の炭素原子を有する有機化合物を含む。
図11に例証される実施形態の長所は、経済的に高価であるそれらの有機ポリマー類が、リアクター、及びそれに続く化学的、物理的、または微生物的分離により生成する有機化合物よりも大きい利益を得るために、売られうることである。
別の一実施形態においては、図12において例証されるように、黒液が処理前に様々な成分へと分離または分画される。パルプラインからの黒液(「原黒液」)は、黒液成分リアクター原料、及び残留物を得るために、化学的、物理的、または微生物的方法により分離される。黒液成分リアクター原料は、酸化剤及び任意の追加の試薬とともに、リアクター中へと供給され、圧力下で加熱される。リアクター内での反応は反応混合物を生じ、その反応混合物はそれから化学的、物理的、または微生物的手段により処理及び/または分離されて、有機化合物を生成する。これらの有機化合物は、約2から約20の炭素原子を有する有機化合物を含む。原黒液の分離からの残留物は、さらに脱水させられ、エネルギーを生成するために回収ボイラー中で燃焼させられる。
図12において例証される実施形態の長所は、パルプラインからの黒液の、リアクターへの供給前の分離であり、そのため、約2から約20の炭素原子を有する有機化合物を作成するための反応の収量、効率、または収益性を低下させる成分を除去するように、黒液が浄化される。その結果、望ましくない成分が、なおも燃料として有用となりうる。
さらに別の代替的な一実施形態においては、図13において例証されるように、黒液が、処理前に様々な成分へと分離または分画される。選択された有機ポリマー類、黒液成分リアクター原料、及び残留物を得るために、黒液は、化学的、物理的、または微生物的方法により分離される。黒液成分リアクター原料は、酸化剤及び任意の追加の試薬とともに、リアクター中へと供給され、圧力下で加熱される。リアクター内での反応は反応混合物を生じ、その反応混合物はそれから化学的、物理的、または微生物的手段により処理及び/または分離されて、有機化合物を生成する。これらの有機化合物は、約2から約20の炭素原子を有する有機化合物を含む。原黒液の分離からの残留物は、さらに脱水させられ、エネルギーを生成するために回収ボイラー中で燃焼させられる。
図13において例証される実施形態の長所は、3つのストリーム(つまり、有機ポリマー類、黒液成分リアクター原料、及び残留物)への原黒液の分離であり、3つのストリームの含有量のバランスを取ることが、投資に対して最大の収益を達成するように方法を最適化しうる。
より良質のリアクター原料を得るため、黒液成分リアクター原料の組成が調節されうる。そのようなより良質のリアクター原料は、特に商業上高価な有機化合物の収量を向上させうる。あるいは、パルプラインからの黒液よりも速く、容易に、または安価に反応する組成物を生じうる。あるいは、化学的、物理的、または微生物的分離がより容易にされうる。
黒液成分リアクター原料は、水、及び有機固体の混合物を有する。黒液成分リアクター原料は、任意で無機固体もまた有しうる。黒液成分リアクター原料は、パルプラインからの黒液の組成とは異なる組成を有する。具体的には、いくらかの有機ポリマー類(図11により例証される実施形態の場合)、更なる蒸発及びエネルギー回収のための残留物(図12により例証される実施形態の場合)、または両方(図13により例証される実施形態の場合)などの、黒液から分離されるどんな内容物も、より少ない。
原黒液からの成分のそのような分離は、いくらかの成分の濃度を低下させ、ゆえに他の成分の相対濃度を上昇させうる。例えば、ソープ類及び/またはトール油類の除去は、リグニンの濃度を上昇させるだろう。一実施形態の下では、リグニンの濃度は、全有機物に対して約35から45重量%から、少なくとも55重量%まで上昇させられる。別の一実施形態下では、その濃度は少なくとも65重量%まで上昇させられうる。別の一実施形態下では、その濃度は少なくとも75重量%まで上昇させられうる。
用語「リグニン」は、約17から約30重量%の木材を含む無定形構造のフェニルプロパンポリマーを意味する。リグニンは、高温での化学反応を実施することにより分離される、木質材料の残りを構成するホロセルロースと、結合していてもよい。一般に、理論により拘束されることを望まないが、リグニンは、ホロセルロース繊維のための形成性結合剤として役立つと信じられている。
用語「セルロース」の定義は、例えば本質的に線形である長い分子鎖を形成する酸素結合により連結されるアンヒドログルコース単位を含む多糖類などの、天然型の高炭水化物ポリマーを含む。重合度は、木材パルプについての約1,000単位から、綿繊維についての約3,500単位であって、分子量は約160,000〜約560,000でありうる。
用語「ヘミセルロース」は、150またはそれより小さい重合度を有するセルロースを意味する。
用語「ホロセルロース」は、木材の非水溶性炭水化物画分を意味する。
用語「トール油」は、ロジン酸と、脂肪酸と、松材などの木材の消化またはパルピングからのアルカリ性液体の酸処理により得られる他の物質との混合物を指す。さらに、パルピング工程からの使用済み黒液は、セッケン類などの様々な酸のナトリウム塩類が分離されるまで濃縮され、それからすくい取られうる。さらなるトール油を提供するために、これらの塩類は硫酸により酸性化されうる。その組成は広く多様でありうるが、例えば、平均して約35から約40重量%のロジン酸、及び約50から約60重量%の脂肪酸でありうる。
本発明は、黒液原料の少なくとも一部を、変換された生成物、及び生分解性基質へ変換する方法を提供する。本発明は、黒液原料中の低価値の高分子量物質を、より低分子量の炭化水素、及び酸素化有機化合物、並びに他の低分子量化合物へと、同時または連続的に酸化し、脱重合させ、再構成し、かつ/または可溶化する。
句「酸素化有機化合物」は、少なくとも1つの酸素原子を有する有機化合物を意味する。酸素化有機化合物の例は、酸素化炭化水素類、及び追加のヘテロ原子を有する酸素化化合物を含む。
用語「ヘテロ原子」は、水素または炭素以外のあらゆる原子を意味する。ヘテロ原子の例は、酸素、窒素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素を含む。
酸素化炭化水素の例は、アルコール類、アルデヒド類、カルボン酸類、カルボン酸類の塩、エステル類、エーテル類、無水物、及び類似物を含む。酸素化化合物は、単官能性、二官能性、三官能性、または多官能性でありうる。酸素化炭化水素類の定義には、ポリオール類、ジカルボン酸類、三酸類、ポリエステル類、ポリエーテル類、アルデヒド酸類、及び類似物などの、1つより多い官能基を有する化合物もまた含まれる。酸素化炭化水素類の定義には、1つより多い官能基が存在し、その官能基が異なる化合物もまた含まれる。
カルボン酸類の例は、式R−COOHの化合物を含む。式中、Rはアルキル基である。具体的な例は、ギ酸またはメタン酸、酢酸またはエタン酸、プロピオン酸、酪酸、ブタン酸、吉草酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘキサン酸、エナント酸、ヘプタン酸、カプリル酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、カプリン酸、デカン酸、ウンデシル酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ドデカン酸、トリデシル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘキサデカン酸、マルガリン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オクタデカン酸、アラキジン酸、及びイコサン酸を含む。
本発明のジカルボン酸類は、2つのカルボン酸基を含有する有機化合物である。そのようなジカルボン酸類は、酸素、窒素、または硫黄などの、追加のヘテロ原子を有しうる。ジカルボン酸類は、脂肪族または芳香族でありうる。2つの−COOH基は別として、ジカルボン酸類は、飽和または不飽和でありうる。ジカルボン酸類は、式HOOC−R−COOHにより表わされうる。式中、Rは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、及び上記が1つまたはそれより多いヘテロ原子で改変されたものなどの、二官能基性の有機基である。
ジカルボン酸の例は、アルキレンジカルボン酸などの一般式HOOC−(CH−COOHを有する化合物、その一不飽和型、その二不飽和型、その三不飽和型、及びその多価不飽和型を含む。式中、nは0から12である。
ジカルボン酸の例は、シュウ酸またはエタン二酸、マロン酸またはプロパン二酸、コハク酸またはブタン二酸、グルタル酸またはペンタン二酸、アジピン酸またはヘキサン二酸、ピメリン酸またはヘプタン二酸、スベリン酸またはオクタン二酸、アゼライン酸またはノナン二酸、セバシン酸またはデカン二酸、ウンデカン二酸、及びドデカン二酸を含む。
芳香族ジカルボン酸の例は、フタル酸、ベンゼン−1,2−ジカルボン酸、o−フタル酸、イソフタル酸、ベンゼン−1,3−ジカルボン酸、m−フタル酸、テレフタル酸、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸、及びp−フタル酸を含む。
一不飽和酸の例は、マレイン酸、(Z)−ブテン二酸、フマル酸、(E)−ブテン二酸、グルタコン酸、2−ペンテン二酸、トラウマチン酸、及び2−ドデセン二酸を含む。
二不飽和酸の例は、ムコン酸の3つの異性体型、及び(2E,4E)−ヘキサ−2,4−ジエン二酸を含む。
本発明の代表的な反応は、コハク酸(2.49%)、リンゴ酸(0.59%)、フマル酸(0.36%)、グルタル酸(0.19%)、プロパン1,2,3−トリカルボン酸(0.15%)、及びヘプタン酸(0.10%)を含む様々な有機小分子を含む、反応混合物を生じた。本発明のこの代表的な反応の酸画分のGCMSスペクトルについては、図3を参照。
反応生成物中の有機小化合物の正体及び量は、圧力及び反応温度を含む反応条件、使用される酸化剤の種類、並びに酸化剤対黒液の重量比などの、処理パラメーターに依存する。本発明の一実施形態においては、黒液の処理は主にアルコール類及びエーテル類を生成する。本発明の、さらなる酸化を伴う別の一実施形態においては、反応生成物はより大きい相対量のアルデヒド類を有する。酸化度をさらに増大させることにより、反応生成物はより大きい相対量のカルボン酸類及びエステル類を有しうる。
アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、エステル類、及びカルボン酸類は、単官能性または多官能性でありうる。例えば、本発明の方法による黒液の処理は、モノ、ジ、及びトリカルボキシル脂肪酸を生じうる。
一実施形態においては、少なくとも1つの酸化剤の存在下で、反応槽中で黒液が加熱されうる。処理する工程は、あらゆる適切な手段により混合物の温度を望ましい温度まで上昇させる工程、及び/または混合物を飽和水蒸気圧もしくはそれより高い圧力にかける工程を有しうる。酸化、脱重合、再構成、及び可溶化を含む、複数の反応が処理工程中に起こりうる。再構成する工程においては、炭化水素の分子構造が再編成される。理論に拘束されることなく、本発明の処理工程は、木材ポリマー類を酸化的に分解して有機小化合物を提供しうると信じられている。
酸化剤は、空気、酸素富化空気、オゾン、硫酸、過マンガン酸塩、二酸化炭素、亜酸化窒素、硝酸、クロム酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、超過酸化物、塩素酸塩、過酸化物、次亜塩素酸塩、フェントン試薬、並びに、金属カチオン、水素イオン、及び/またはアンモニウムイオンを有しうる硝酸塩から選択されうる。
酸化剤は、その強度によりランク付けされうる。Holleman et al. "Inorganic Chemistry," Academic Press, 2001, page 208を参照。当業者は、炭素質物質の過酸化を防ぐためには、使用される酸化剤の強度に応じて、処理工程における条件が調節されうることを認識するであろう。例えば、強い酸化剤が使用される場合、過酸化を防止し、かつ/または変換の望ましい度合いを確実に超過しないため、処理工程の温度、圧力、及び持続時間のうち1つまたはそれより多くが減少させられうる。一方で、弱い酸化剤が使用される場合は、酸化及び/または変換の望ましい度合いを確実に達成するため、処理工程の温度、圧力、及び持続時間のうち1つまたはそれより多くが増加させられうる。酸化剤が気体である場合、処理工程のための反応槽中の圧力は、酸化及び/または変換の望ましい度合いを確保するために重要である。
いくらかの実施形態においては、酸素が酸化剤として使用される。一実施形態においては、反応槽へ酸素が空気として送達されうる。いくらかの別の実施形態においては、炭素質原料の酸化に対する感受性によっては、酸素富化空気が使用されうる。適切な富化率は、大気の濃度よりわずかに高い酸素濃度から実質的に純粋な酸素と同等の濃度までの酸素濃度を提供しうる。
パルピング法により生成する黒液ストリームは、一般に非常に苛性である。そのような苛性環境は、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生成する、木材ポリマー類の酸化的分解を可能にするには、一般に十分である。しかしながら、いくらかの場合においては、黒液ストリームは、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生成する、木材ポリマー類の許容可能な酸化的分解を容易には可能にしない、より低いpHを有しうる。そのような状況下では、鉱塩基が黒液に添加されうる。使用されうる代表的な塩基は、グループI(アルカリ金属)及びグループII(アルカリ土類)酸化物、水酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩、及びハロゲン化物を含む。とくに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム化合物が好まれる。適切な塩基の例は、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムを含む。
天然起源の鉱物もまた、酸化を補助するにあたり有用でありうる。そのような鉱物の例は、ナーコライト、トロナ、テルモナトライト、ゲイラサイト、ハイドロマグネサイト、ランスフォルダイト、イカアイト、ハイドロカルサイト、ドロマイト、ハンタイト、アラゴナイト、ナトライト、マグネサイト、カルサイト、カルシナイト、及びグレゴライトを含む。
鉱塩基は、一般に処理工程に提供される混合物のわずか15重量%しか成さず、また好ましくは処理工程に提供される混合物の10重量%より少量を、最も好ましくは6重量%またはそれより少量を成す。いくらかの実施形態において、塩基は、処理工程に供給される混合物の少なくとも1重量%、または少なくとも3重量%、または少なくとも5重量%を成す。
代替的な実施形態においては、得ようとする目標の有機小分子に応じ、塩基を使用する代わりに、反応を実施するためのより酸性な条件を提供するために鉱酸が使用されうる。適切な鉱酸の例は、リン酸、硝酸、ホウ酸、塩酸、及び硫酸を含む。
いくらかの実施形態においては、混合物に少なくとも1つの触媒が任意で添加されうる。その触媒は、例えば過酸化物及び超過酸化物の形成を引き起こすまたは促進することにより、酸化反応を触媒しうる。これは、そのような触媒の非存在下での黒液の酸化と比較して、炭素質物質への酸素挿入速度を上昇させうる。
触媒は、非水溶性金属、遷移金属、及び貴金属から選択されうる。これらの金属の例は、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、レニウム、銅、バナジウム、及びルテニウムを含む。触媒は、クレー、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト類、活性炭、珪藻土、チタニア、ジルコニア、モリブデナ、セラミックス、及び類似物などの、不活性または活性マトリックス材料上に支持されていなくてもよく、あるいは支持されていてもよい。そのような触媒は、相対的酸化度を増強可能であることに加え、酸素挿入、及び高分子量炭素質化合物の再構成の速度を上昇させうる。触媒の例は、セリア、ランタン、混合希土類、ブルーサイト、ヒドロタルサイト、鉄、クレー類、銅、スズ、及びバナジウムの、金属酸化物、混合金属酸化物、水酸化物、及び炭酸塩を含む。
処理工程が実施される反応槽は、いかなる特定のリアクター設計にも限定されないが、本発明に必要な温度及び圧力に耐えることができる、あらゆる密封可能な反応槽でありうる。いくらかの実施形態においては、混合物がリアクターに供給され、そのリアクターは望ましい温度まで前加熱されている。それから、望ましい圧力に達するまで、リアクターに空気または酸素富化空気がゆっくりと加えられる。空気または酸素富化空気の充填の間、並びに処理工程そのものの間、リアクター中の温度及び圧力が監視されうる。
本発明に従う黒液の処理は、黒液の成分を酸化して、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生成するのに十分な温度で起こる。この温度は、最大約300℃である、または約150℃と約250℃との間であることが分かっている。別の一実施形態においては、黒液の処理は、約150℃と約220℃との間の温度で起こる。さらに別の一実施形態においては、黒液の処理は約150℃より低い温度で起こる。
本発明に従う黒液の処理は、黒液の成分を酸化して、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれより多い有機化合物を生成するのに十分な圧力で起こる。この圧力は、約1230psigまたは約322psigより低いことが分かっている。別の一実施形態においては、この圧力は約54psigより低いことが分かっている。一定の実施形態においては、この圧力は、大気圧から、約1230psig、または約322psig、または約54psigの範囲にわたる。
処理工程の持続時間は、例えば混合物中で引き起こされた酸化ストレス、及び望ましい生成物により、決定されうる。一般に、大きい酸化ストレスほど、より短い持続時間の処理工程を要する。さらに、望ましい生成物が、例えば一連の連続的反応工程による、炭素質物質のより完全な酸化により生成する場合、より長い持続時間の処理工程が要されうる。
反応時間は、必要な変換及び/酸化度、望ましい分子量の低下、原料の反応性、用いられる酸化剤の種類及び/または量、触媒が用いられるかどうか、方法の経済面、産生される二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素の量、並びに他の制約に応じ、数秒から数時間まで様々でありうる。代表的な反応時間は、約0.5から約4時間、または約1から約3時間もしくは約2時間の範囲にわたる。
いくらかの実施形態においては、温度、圧力、及び反応時間を含む反応条件は、特定の黒液原料の分子的及び元素的特徴にもまた依存しうる。異なる種の木材は、成分が異なる黒液を生じうる。考慮される必要がありうる、パルピング法において使用される黒液の特徴は、芳香族性の度合い、水素対炭素比、酸素対炭素比、窒素対炭素比、硫黄対炭素比、及び鉱物または灰含有量、並びに他の要素である。
処理工程により生成する有機小化合物は、反応混合物から分離かつ単離されうる。使用されうる適用可能な化学的及び物理的分離技術は、当業者にとって既知のあらゆる技術を含み、それは分留、液/液抽出、吸着、イオン交換、膜濾過、及びハイブリッドシステムを含む。本発明の一実施形態においては、分離は、トール油類を分離するのに使用される様式(鹸化及び塩析)と類似の様式で達成されうる。
処理工程の完了後に物理的または化学的分離により反応生成物を回収する工程の一代替法には、反応生成物を微生物による消化にさらす工程が関与する。反応生成物は微生物による消化装置に導入されうる。そこでは、反応生成物は生物変換工程を経うる。生物変換工程の間、反応生成物のいくらかまたは全てが、微生物による消化装置中に存在する1つまたはそれより多い微生物により消化されうる。一実施形態においては、生物変換工程は、メタン、水素、一酸化炭素、及び他の気体、並びにこれらの混合物などのバイオガスを生成しうる。これらのガスは、燃料として使用され、または電気へと変換されうる。
微生物による消化装置中の条件は、高い反応生成物の生分解度を達成するように最適化されうる。それは、生物変換の度合い及び速度のうち1つまたは両方を制御することを含む。処理工程から得られた反応生成物は、生物変換工程における生物変換の度合い及び速度のうち1つまたは両方に影響しうる。ゆえに、本発明の一態様においては、処理工程の条件は、より量の多い生分解性物質を含みうる、及び/または、それに続く生物変換工程を受ける際に、高い生分解速度もしくは生分解する強い傾向を示しうる反応生成物を生成することに基づき、選択される。
処理された黒液から生じる反応生成物からの、選択された有機化合物の分離後、残留物が得られる。残留物はそれから、今日パルプ工場により日常的に行われるように処理されうる。エネルギー回収のために残留物をボイラー中で燃焼させることなどである。
実施例
以下の実施例は、本開示の方法の例証であり、限定ではない。本分野において通常遭遇する様々な条件及びパラメーターの他の適切な修正及び適応、並びに当業者にとって自明である修正及び適応は、本開示の範囲内である。
石炭または他の炭素質原料が湿式粉砕され、約20μmのメディアン粒子サイズを有する水性スラリーが提供された。スラリーはそれから、バッチ毎または連続モードで操作される、継続的に攪拌されるタンクリアクター(CSTR)へと供給された。NaOHなどのアルカリ塩基が水性スラリーへと添加された。バッチモードにおいては圧縮された空気もしくはO富化空気を用いたヘッドスペースの加圧により、または連続モードについては空気の連続流により、OがCSTRへと導入された。炭素質原料の様々な酸化的脱重合度を達成するため、固体含有量、アルカリ塩基濃度、温度、圧力、及び攪拌速度が、調節された。
この実施例においては、3つの異なる方法を使用して石炭が処理された。ジェネレーションI、II、及びIIIである。本発明の方法は、石炭中の炭素質物質の酸化により、石炭の酸素/炭素(O/C)比を増大させることができた。異なる前処理のジェネレーションの後、酸素化の度合いは、他の一般的な炭素質物質と比較して様々であった(図5)。この実施例については、ジェネレーションI、II、またはIII前処理は、ここで特に言及される条件を除き、実施例Iと同じであった。ジェネレーションI及びIIは、操作温度230℃を有し、一方でジェネレーションIIIは155℃まで加熱された。3つの実施形態すべてにおいて使用された混合物は、リアクター中20重量%の石炭含有量、及び、石炭の重量に基づき6重量%を与えるNaOH量を有した。リアクターのヘッドスペース中の圧力は、ジェネレーションI、II、及びIIIについて、ぞれぞれ、大気圧、400psig、または800psigであった。炭素質物質の酸化について、ホールド時間は0.5時間であった。
モルO/C比で表わされる酸素化度は、実験前及び後のヘッドスペース気体分析から計算され、石炭中におけるOの保持という結果になった。O保持は、処理前の石炭との比較での、処理されたスラリーの究極分析(C、H、O)によってもまた確認された。グラフ上に示される炭素損失は、同様に計算された。石炭及び木材の分子式、並びに様々な原料についてのO/C比は、報告されている文献から得られた。
処理された石炭及び他の炭素質原料のO/C比が、図5に表わされる。ジェネレーションI処理は、石炭についてのO/C比を顕著には変化させず、処理による炭素損失はわずか0.6%であった。ジェネレーションII処理は、石炭のO/C比を58%増大させ、炭素損失は7.3%であった。ジェネレーションII処理後の石炭の最終O/C比は、典型的な木材よりもなお58%低い。ジェネレーションIII処理は、石炭のO/C比を87%増大させ、炭素損失は7.5%であった。ジェネレーションIII処理後の石炭の最終O/C比は、典型的な木材よりも約51%低い。
処理された石炭についてより高いO/C比を提供するために、ヘッドスペース中の圧力を増加させ、または接触時間を長くすることにより、高い酸素化度が達成されうることが予期される。これは、処理された石炭のO/C比を、生分解性木材のO/C比近くまで持っていくだろう。本実施例から、本発明の方法は、石炭を酸素化し、より生分解性にすることができるようである。
別の一実施例においては、触媒有りまたは無しでの、酸素保持と、リアクターのヘッドスペース中の出発酸素含有量との間の相関関係が調べられた。手順は実施例1に類似し、反応温度は145℃、リアクター中の固体含有量は10%であった。異なる出発O/石炭比(出発酸素)を達成するため、ヘッドスペース圧は100から1300psigまで変化させられた。保持されたOは、再度ヘッドスペース分析からガスクロマトグラフ(GC)により計算され、処理されたスラリーの究極分析(C、H、O)により確認された。
石炭中の酸素保持の効率は、ヘッドスペース中の酸化に利用可能な酸素量に依存した(図6)。CuOなどの金属酸化物触媒が反応混合物に添加されると、保持効率は顕著に上昇した。ここでは5%CuO(重量/石炭重量)が使用され、より高いO保持効率をもたらし、これにより石炭の酸化の有効性を向上させた。
本実施例においては、石炭から可溶性炭素へのより完全な変換を提供するため、炭素質原料を、CSTRに2回通過させた。第一通過は実施例3と同じであった。第二通過については、第一通過からの残留固体が、半量のNaOHが使用されたことを除いては同じ条件にさらされた。炭素変換は、処理されたスラリー中の溶解有機炭素(DOC)の濃度と、ヘッドスペース中のCO(無機炭素またはIC)とを測定することにより、計算された。ケーキ固体は、実験後の残留固体を表わし、遠心分離に続く室温乾燥により測定された。
第一通過及び第二通過それぞれの後の炭素変換が、図7に表わされる。二回の通過後の残留固体は約11.1%で、この石炭についての灰含有量に非常に近かった。石炭炭素の約66.4%がDOCへと変換され、一方でわずか13.9%がCOとして失われた。残留した石炭固体の11.1%は殆どが無機物で成り、この石炭の灰含有量は約9%であった。この実施例は、この石炭中の本質的には全ての有機炭素が、二回のCSTR通過により可溶化されたことを示す。
この実施例では、CSTRからの反応生成物が微生物よる消化装置へと導入され、炭素質物質のバイオアベイラビリティーが評価された。1つの処理がヘッドスペース中において600psigの空気を、及び120℃の温度を使用し(MM042512−R4)、一方で他方の処理は232℃で実施されヘッドスペースにおいては大気圧の空気のみを使用した(MM051812−R4)ことを除き、石炭は、実施例1で開示された手順を使用して処理された。
処理された石炭は、微生物による消化装置へと入れられた。培養微生物もまた、その消化装置へと添加された。培養微生物は、排水処理施設から得られた。微生物による消化装置中の培養微生物の成長は、CSTR処理後の石油のバイオアベイラビリティーを表わす。消化装置中の微生物の成長は、0.3及び7日間の間隔で測定された。細胞成長は、播種時のMPN技法を使用して測定された。実験はデュープリケートで行われた。
0日における出発点と比較して、3または7日後に微生物細胞成長が有意でなかったため、これらの実験は、処理MM051812−R4が、石炭の有為な割合を生物消化性化合物に変換しなかったことを示す。他方で、0日における出発点との比較での、7日間にわたる培養微生物の成長により証明されるように、処理MM042512−R4は、石炭の有意な割合を生物消化性化合物に変換した。酸化的処理(MM042512−R4)は、より低い温度にて行われたものの、よりずっと著しい細胞成長をもたらした生成物を提供した。これは、反応生成物の、微生物による発酵工程にとってのバイオアベイラビリティーがより高いことを示す。
しかしながら、本発明の多数の特徴及び長所が、先の開示において本発明の構造及び機能の詳細と共に明らかにされてきたが、本開示は例証的のみであり、特に本開示の原理内での要素の形、サイズ、及び配置の事項においては、添付の特許請求の範囲が表現される用語の、広い一般の意味により示される全範囲に渡り、詳細に変更がなされうることが理解されるべきである。
石炭745gが固定層(直径3インチの塔)中に、また水100gが水蒸気発生装置中に配置された。水蒸気が230℃にて発生させられ、空気は300psi及び流速13L/分にて提供され、石炭の塔上に水蒸気空気混合物を生成させた。本試験は2時間続き、この間、(壁の)固定層の温度、及び層を出る気体の組成が監視された。さらに、層からの蒸気生成物は、5℃にて凝縮され、HPLC及びGC−MSにより分析された。カルボン酸類の形成がpH及びFTIRにより追跡され、これは、最小pH及びFTIRにおけるカルボキシピークの最大強度に基づき、200〜220℃の間に最大値を示した(図17参照)。
生産された揮発性脂肪酸類(VFA)の濃度を測定するため、表1において示されるように、凝縮物3及び4がHPLCにより分析された。
Figure 2016529084
表1におけるデータは、本方法が、顕著により高い酢酸濃度へと分布をシフトさせることができることを示す。その酢酸は、市販するためには、後に混合物から分離されうる。さらに、これらのVFAの合計濃度は、以前の水性法と比較して約二倍である。本実験からのオフガスは、CO、N、及びOを含有した。
220℃を超えると、カルボン酸の生成は低下し、水相及び有機相に加え、炭化水素のワックス状相が出現し始めた。この3相生成物混合物の画像が、凝縮物#6についての図18において示される。
ワックス状相がヘキサンにより抽出され、GC−MSにより分析され、図19におけるクロマトグラムを生じた。
より高い温度においては、CO2、N2、及びO2に加え、オフガス中の低濃度のCO及びH2の存在により証明されるように、ガス化が起こっていると信じられる。しかしながら、同時に、少なくとも2つの他の反応、つまり水性ガスシフト(WGS)及びFischer Tropsch(FT)もまた起こっており、また褐炭中のCo及びFeの酸化物の存在により潜在的に触媒されているようである。
カルボン酸が産生される部分酸化の状況に留まるよう、この試験は、比較的一定温度の200℃にて実施された。本試験の定常状態は約75分であり、この間に層からの蒸気生成物は5℃にて凝縮させられ、HPLC及びGC−MSにより分析された。図20に示されるように、カルボン酸類の形成がpH及びFTIRにより追跡された。
HPLCにより分析された、本実験からの代表的な凝縮物からの揮発性脂肪酸類(VFA)の濃度が、表2に示される。
Figure 2016529084
本試験は、破砕されて〜50メッシュサイズまで篩い分けされた低品位石炭を使用して、異なるリアクター構成、つまり連続流動層(直径4インチ)中で実施された。その低品位石炭は、7.5g/分の速度で供給された。層温度は225℃であり、2インチの水の圧力を有した。空気は、水蒸気無しで27.4L/分にて供給された。この流速は、流動化速度の要件、並びに酸化的脱重合に必要なO/石炭を満たした。しかしながら水蒸気は、石炭中の内在水分から層中で産生された(この石炭の水分含有量の約40%)。サイクロン、及びリアクター下流のフィルターが、あらゆる懸濁された微細な石炭粒子を捕獲し、生じた凝縮物は固体が無かった。蒸気生成物は5℃で凝縮させられ、HPLC及びGCにより分析された。凝縮物生成物は、水性法と比較して、以下の濃度の揮発性脂肪酸類(VFA)を有した(表3)。
Figure 2016529084
酢酸に対し大幅により高い濃度及び選択性が達成されることが、見うけられうる。このことは、低い分離コストで高価な生成物混合物とする。
松材の削りくずが、反応生成物を生成するため、上記開示において開示されたように処理された。反応生成物のガスクロマトグラムが、図14に示される。本処理工程により得られた反応生成物の生成物分布の、PRBから得られた反応生成物との比較が、図15に示される。
しかしながら、本発明の多数の特徴及び長所が、先の開示において本発明の構造及び機能の詳細と共に明らかにされてきたが、本開示は例証的のみであり、特に本開示の原理内での要素の形、サイズ、及び配置の事項においては、添付の特許請求の範囲が表現される用語の、広い一般の意味により示される全範囲に渡り、詳細に変更がなされうることが理解されるべきである。

Claims (62)

  1. 炭素質原料を処理する方法であって、少なくとも1つの酸化剤の存在下で、水と共に、炭素質原料の混合物を300℃より低い温度かつ1230psigより低い圧力まで加熱する工程を有する、方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記混合物が、鉱酸または鉱塩基からなる群から選択される少なくとも1つの可溶化剤を有する、方法。
  3. 請求項1記載の方法において、前記加熱する工程が、複数の加熱する工程として構成される、方法。
  4. 請求項3記載の方法において、前記複数の加熱する工程が、それぞれ、温度、圧力、持続時間、または酸化剤を含む異なる条件を有する、方法。
  5. 請求項2記載の方法において、前記鉱塩基が、前記炭素質原料の15重量%以下である、方法。
  6. 請求項1記載の方法において、前記炭素質原料が、前記混合物中で40重量%より少ない、方法。
  7. 請求項2記載の方法であって、さらに、前記混合物に少なくとも1つの触媒を添加する工程を有する、方法。
  8. 請求項7記載の方法において、前記少なくとも1つの触媒が、不溶性金属、遷移金属、及び貴金属からなる群から選択される、方法。
  9. 請求項8記載の方法において、前記少なくとも1つの触媒が、マトリックス材料上に支持される、方法。
  10. 請求項9記載の方法において、前記マトリックス材料が、クレー、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト類、活性炭、珪藻土、チタニア、ジルコニア、モリブデナ、セラミックスから選択される、方法。
  11. 請求項7記載の方法において、前記触媒が活性炭である、方法。
  12. 請求項11記載の方法において、前記活性炭が、炭、石炭、コークス、泥炭、褐炭、ピッチ、及び活性炭繊維類から選択される、方法。
  13. 請求項7記載の方法において、前記触媒が、前記炭素質原料の少なくとも一部である、方法。
  14. 請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの酸化剤が、空気、酸素富化空気、酸素、オゾン、過塩素酸塩、二酸化炭素、亜酸化窒素、酸化物、超過酸化物、過マンガン酸塩、塩素酸塩、過酸化物、次亜塩素酸塩、または硝酸塩からなる群から選択される、方法。
  15. 請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの酸化剤が、金属、水素、及びアンモニウムイオンから選択されるカチオンを有する、方法。
  16. 請求項1記載の方法において、前記加熱する工程が、前記混合物を220℃より低い温度まで加熱する、方法。
  17. 請求項13記載の方法において、前記温度が150℃より低い、方法。
  18. 請求項1記載の方法において、前記加熱する方法が、前記混合物を322psigより低い圧力まで加熱する、方法。
  19. 請求項18記載の方法において、前記圧力が54psigより低い、方法。
  20. 請求項1記載の方法において、前記加熱する工程が、前記混合物が攪拌されながら実行される、方法。
  21. 請求項1記載の方法において、前記加熱する工程が、0.02時間から4時間の期間で実行される、方法。
  22. 請求項21記載の方法において、前記期間が1時間から3時間である、方法。
  23. 請求項1記載の方法であって、さらに、研削する工程、粉砕する工程、篩い分けする工程、または破砕する工程から選択される、前処理する工程を有する、方法。
  24. 請求項1記載の方法であって、さらに、化学的及び/または物理的に分離する工程、並びに微生物によって消化する工程を有する、方法。
  25. 請求項24記載の方法において、前記化学的に分離する工程からの反応生成物が、前記加熱する工程に戻されて導入される、方法。
  26. 請求項21記載の方法において、前記微生物によって消化する工程からの反応生成物が、前記加熱する工程に戻されて導入される、方法。
  27. 請求項24記載の方法において、前記微生物によって消化する工程からの反応生成物が、前記前処理する工程に戻されて導入される、方法。
  28. 請求項21記載の方法において、前記微生物によって消化する工程が、前記加熱する工程からの反応生成物中の炭素質物質を消化するために、微生物または微生物共同体を利用する、方法。
  29. 請求項24記載の方法において、前記微生物によって消化する工程が、前記前処理する工程からの反応生成物中の炭素質物質を消化するために、微生物または微生物共同体を利用する、方法。
  30. 請求項24記載の方法において、前記微生物によって消化する工程が、好気性処理、嫌気性処理、並びに好気性及び嫌気性処理の組合せから選択される処理である、方法。
  31. 請求項24記載の方法において、前記微生物によって消化する工程中に酵素が存在する、方法。
  32. 請求項1記載の方法において、前記炭素質原料が、石炭、褐炭、タールサンド、タール、原油、泥炭、ピッチ、樹脂、リグニン、ラテックスゴム、ワックス、農業廃棄物、樹皮、木材、及び藻類ケーキからなる群から選択される、方法。
  33. 請求項32記載の方法において、前記炭素質原料が、木材及び藻類ケーキからなる群から選択される、方法。
  34. 請求項1記載の方法において、前記加熱する工程が、気泡塔リアクター及びトリクルベッドリアクターからなる群から選択される複数相反応槽において実施される、方法。
  35. 請求項1記載の方法において、前記加熱する工程が、固体−蒸気環境中で水蒸気と空気との組合せの使用を有するものである、方法。
  36. 黒液または黒液の成分を処理するための方法であって、約2から約20の炭素原子を有する1つまたはそれ以上の有機化合物を生成するために、最大約250℃の温度かつ最大約1230psigの圧力で、前記黒液または黒液の成分を酸化剤で処理する工程を有する、方法。
  37. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程が、約150℃から約250℃の温度で実行される、方法。
  38. 請求項36記載の方法において、前記1つまたはそれ以上の有機化合物が、酸素化有機化合物を有する、方法。
  39. 請求項38記載の方法において、前記酸素化有機化合物が、有機酸、アルコール、エステル、アルデヒド、及びエーテルからなる群から選択される、方法。
  40. 請求項39記載の方法において、前記酸素化有機化合物が有機酸である、方法。
  41. 請求項40記載の方法において、前記有機酸がジカルボン酸である、方法。
  42. 請求項38記載の方法において、前記酸素化有機化合物が、ステアリン酸、フタル酸ジブチル、パルミチン酸、ウンデカン二酸、アゼライン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、フタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、シトラコン酸、安息香酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、フロン酸、及びシュウ酸からなる群から選択される、方法。
  43. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程中に、鉱酸及び鉱塩基からなる群から選択される可溶化剤が存在する、方法。
  44. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程中に触媒が存在する、方法。
  45. 請求項44記載の方法において、前記触媒が、不溶性金属、遷移金属、及び貴金属からなる群から選択される、方法。
  46. 請求項44記載の方法において、前記触媒が、マトリックス材料上に支持される、方法。
  47. 請求項46記載の方法において、前記マトリックス材料が、クレー、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、活性炭、珪藻土、チタニア、ジルコニア、モリブデナ、及びセラミックスからなる群から選択される、方法。
  48. 請求項44記載の方法において、前記触媒が活性炭である、方法。
  49. 請求項48記載の方法において、前記活性炭が、炭、石炭、コークス、泥炭、褐炭、ピッチ、及び活性炭繊維類から選択される、方法。
  50. 請求項36記載の方法において、前記少なくとも1つの酸化剤が、空気、酸素富化空気、酸素、オゾン、過塩素酸塩、二酸化炭素、酸化物、超過酸化物、過マンガン酸塩、塩素酸塩、過酸化物、次亜塩素酸塩、及び硝酸塩からなる群から選択される、方法。
  51. 請求項36記載の方法において、前記少なくとも1つの酸化剤が、金属カチオン、水素イオン、及びアンモニウムイオンから選択されるカチオンを有する、方法。
  52. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程が、約150℃から約220℃の温度で実行される、方法。
  53. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程が、約150℃より低い温度で実行されるものである、方法。
  54. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程が、約322psigより低い圧力で実行される、方法。
  55. 請求項36記載の方法において、前記処理する工程が、約54psigより低い圧力にて実行されるものである、方法。
  56. 請求項36記載の方法であって、さらに、前記処理する工程に続いて実行される、化学的に分離する工程、物理的に分離する工程、及び微生物によって消化する工程からなる群から選択される工程を有する、方法。
  57. 請求項56記載の方法であって、微生物によって消化する工程を有し、前記微生物によって消化する工程が、前記処理する工程からの生成物混合物中の液体または固体物質を消化するために、少なくとも1つの微生物または微生物共同体を利用する、方法。
  58. 請求項57記載の方法において、前記微生物によって消化する工程が、好気性処理、嫌気性処理、並びに好気性及び嫌気性処理の組合せから選択される処理である、方法。
  59. 請求項58記載の方法において、前記微生物によって消化する工程中に酵素が存在する、方法。
  60. 請求項36記載の方法であって、前記黒液の成分を処理する工程を有し、前記黒液の成分が、リグニン、ヘミセルロース、及びトール油からなる群から選択される有機固体を有する、方法。
  61. 請求項60記載の方法において、前記有機固体が、少なくとも65重量%リグニンを有する、方法。
  62. 請求項36記載の方法において、前記加熱する工程が、気泡塔リアクター及びトリクルベッドリアクターからなる群から選択される複数相反応槽中で実施される、方法。
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