JPH06136625A - 紡機用リング - Google Patents
紡機用リングInfo
- Publication number
- JPH06136625A JPH06136625A JP28750692A JP28750692A JPH06136625A JP H06136625 A JPH06136625 A JP H06136625A JP 28750692 A JP28750692 A JP 28750692A JP 28750692 A JP28750692 A JP 28750692A JP H06136625 A JPH06136625 A JP H06136625A
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- JP
- Japan
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- ring
- film
- resin
- traveler
- thickness
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- Pending
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- Spinning Or Twisting Of Yarns (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 紡機用リングにおいて、初期馴染み性に優
れ、トラベラ焼け、トラベラの飛散を防止し、安定した
操業を達成する。 【構成】 紡機用リングの少なくともトラベラが接触す
るフランジ表面に、あらかじめ表面粗さRa が0.1〜1.
0μm で、膜厚が0.1〜1.0μm のリン酸鉄皮膜を形成
し、上記リン酸鉄皮膜の表面に厚さが5〜25μm で、
摩擦係数が0.3以下の樹脂皮膜を形成する。
れ、トラベラ焼け、トラベラの飛散を防止し、安定した
操業を達成する。 【構成】 紡機用リングの少なくともトラベラが接触す
るフランジ表面に、あらかじめ表面粗さRa が0.1〜1.
0μm で、膜厚が0.1〜1.0μm のリン酸鉄皮膜を形成
し、上記リン酸鉄皮膜の表面に厚さが5〜25μm で、
摩擦係数が0.3以下の樹脂皮膜を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精紡機,撚糸機等に用
いられ、特に高速域に於ける耐摩耗性、馴染み性を向上
させた紡機用リングに関するものである。
いられ、特に高速域に於ける耐摩耗性、馴染み性を向上
させた紡機用リングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の紡機用リングはフランジ部の表面
硬化方法として、一般には低炭素鋼材を用い、旋削して
リングを形成した後に浸炭を行ない、表面炭素量を0.8
〜1.0%とした後に、焼入れ焼き戻しが施されて形成さ
れていた。
硬化方法として、一般には低炭素鋼材を用い、旋削して
リングを形成した後に浸炭を行ない、表面炭素量を0.8
〜1.0%とした後に、焼入れ焼き戻しが施されて形成さ
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】今日の紡績工場に於け
る高速紡出条件下に於いては、リングとトラベラ間の摩
擦抵抗が増大するため、連続運転を行うためには、長期
間にわたるリングとトラベラ間の馴染み運転が必要であ
った。しかし、前記浸炭焼入れしたリングでは、馴染み
運転を行なってもトラベラの早期焼付きや飛散、更には
リング寿命の大幅な短縮をきたしたり、運転する前に、
防錆油をふきとる手間を要するという問題点があった。
る高速紡出条件下に於いては、リングとトラベラ間の摩
擦抵抗が増大するため、連続運転を行うためには、長期
間にわたるリングとトラベラ間の馴染み運転が必要であ
った。しかし、前記浸炭焼入れしたリングでは、馴染み
運転を行なってもトラベラの早期焼付きや飛散、更には
リング寿命の大幅な短縮をきたしたり、運転する前に、
防錆油をふきとる手間を要するという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するためになされたものであり、少なくともトラベ
ラと接触するフランジ表面にリン酸塩化成処理を施し、
膜厚が0.1〜1.0μm、表面粗さRa が0.1〜1.0μm
のリン酸鉄皮膜を形成し、上記リン酸鉄皮膜の表面に、
弗素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フエノール
樹脂のいずれか一種類または二種類の混合物をベースと
した樹脂を被覆し、熱処理により一体的に固着し、厚み
が5〜25μm で摩擦係数が0.3以下の樹脂皮膜を形成
することにより、初期馴染み性、耐摩耗性及び高速性を
大幅に向上させた紡機用リングを提供するものである。
解決するためになされたものであり、少なくともトラベ
ラと接触するフランジ表面にリン酸塩化成処理を施し、
膜厚が0.1〜1.0μm、表面粗さRa が0.1〜1.0μm
のリン酸鉄皮膜を形成し、上記リン酸鉄皮膜の表面に、
弗素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フエノール
樹脂のいずれか一種類または二種類の混合物をベースと
した樹脂を被覆し、熱処理により一体的に固着し、厚み
が5〜25μm で摩擦係数が0.3以下の樹脂皮膜を形成
することにより、初期馴染み性、耐摩耗性及び高速性を
大幅に向上させた紡機用リングを提供するものである。
【0005】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。
説明する。
【0006】
【実施例】図1に示す様に、C:0.1%を含む低炭素鋼
を切削加工し、所定のリング形状に形成した後、浸炭処
理を行い、表面の炭素濃度を0.6〜1.1%とし、その
後、焼入れ、焼戻しを施してリング本体1を形成する。
なお、リング素材としてクロム軸受鋼を使用し、焼入
れ、焼戻しを行なうこともある。
を切削加工し、所定のリング形状に形成した後、浸炭処
理を行い、表面の炭素濃度を0.6〜1.1%とし、その
後、焼入れ、焼戻しを施してリング本体1を形成する。
なお、リング素材としてクロム軸受鋼を使用し、焼入
れ、焼戻しを行なうこともある。
【0007】上記のように形成されたリング本体1を酸
洗した後にリン酸鉄溶液に浸漬し、図2に示すように少
なくともフランジ部2の表面に膜厚が0.5μm で、表面
粗さRa が0.5μm のリン酸鉄皮膜3を形成する。
洗した後にリン酸鉄溶液に浸漬し、図2に示すように少
なくともフランジ部2の表面に膜厚が0.5μm で、表面
粗さRa が0.5μm のリン酸鉄皮膜3を形成する。
【0008】さらに必要に応じて上記リン酸鉄皮膜3を
形成したリング本体1を脱脂、洗浄し、好ましくは軟い
ワイヤブラシによりフランジ部2の表面に付着したスマ
ット等を除去して清浄にする。
形成したリング本体1を脱脂、洗浄し、好ましくは軟い
ワイヤブラシによりフランジ部2の表面に付着したスマ
ット等を除去して清浄にする。
【0009】次いで、リング本体1を60℃〜230℃
で10〜60分間予熱し、その後少なくとも、フランジ
部2の表面に、弗素樹脂をスプレーにより塗布し、15
0℃〜230℃の温度で20〜60分間加熱して焼付け
処理し、フランジ部2の表面に厚さが10μm で、摩擦
係数が0.2の樹脂皮膜4を一体的に固着形成した紡機用
リング5を構成した。
で10〜60分間予熱し、その後少なくとも、フランジ
部2の表面に、弗素樹脂をスプレーにより塗布し、15
0℃〜230℃の温度で20〜60分間加熱して焼付け
処理し、フランジ部2の表面に厚さが10μm で、摩擦
係数が0.2の樹脂皮膜4を一体的に固着形成した紡機用
リング5を構成した。
【0010】なお、二硫化モリブデン、グラファイト等
の固体潤滑剤を樹脂皮膜中に分散することもできる。ま
た、リン酸鉄皮膜の厚みを0.5μm としたが、0.1〜1.
0μm でもよく、0.1μm 未満では、皮膜の形成にムラ
が生じ易く、リング本体との密着性が低下し、1.0μm
を超えると処理時間が長くなり、経済性が悪くなる。
の固体潤滑剤を樹脂皮膜中に分散することもできる。ま
た、リン酸鉄皮膜の厚みを0.5μm としたが、0.1〜1.
0μm でもよく、0.1μm 未満では、皮膜の形成にムラ
が生じ易く、リング本体との密着性が低下し、1.0μm
を超えると処理時間が長くなり、経済性が悪くなる。
【0011】また、リン酸鉄皮膜の表面粗さRa を0.5
μm としたが、0.1〜1.0μm でもよく、好ましくは0.
5〜0.7μm とする。粗さRa が0.1μm 未満では樹脂
皮膜との密着性が悪く、1.0μm を超えるとトラベラの
摩耗が増大する。なお、粗さRa を0.1〜1.0μm の範
囲に調整する事により、樹脂皮膜の密着性が向上し、し
かも樹脂皮膜が摩耗した後でも、リングのフランジ表面
の凹部に残った樹脂及び固体潤滑剤により、潤滑効果を
長期間維持する事が可能となるものである。
μm としたが、0.1〜1.0μm でもよく、好ましくは0.
5〜0.7μm とする。粗さRa が0.1μm 未満では樹脂
皮膜との密着性が悪く、1.0μm を超えるとトラベラの
摩耗が増大する。なお、粗さRa を0.1〜1.0μm の範
囲に調整する事により、樹脂皮膜の密着性が向上し、し
かも樹脂皮膜が摩耗した後でも、リングのフランジ表面
の凹部に残った樹脂及び固体潤滑剤により、潤滑効果を
長期間維持する事が可能となるものである。
【0012】さらに、樹脂皮膜4の厚さを10μm とし
たが、好ましくは5〜25μm とする。5μm 未満では
潤滑効果が十分でなく、25μm を超えると運転時にト
ラベラが樹脂皮膜4に喰い込んで、トラベラが滑走せ
ず、糸切れの原因となる。しかも処理時間が長くなって
経済性が悪くなり、生産コストが高くなる。
たが、好ましくは5〜25μm とする。5μm 未満では
潤滑効果が十分でなく、25μm を超えると運転時にト
ラベラが樹脂皮膜4に喰い込んで、トラベラが滑走せ
ず、糸切れの原因となる。しかも処理時間が長くなって
経済性が悪くなり、生産コストが高くなる。
【0013】上記の様にして得られた紡機用リングの実
施例を表1に示す。
施例を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】本発明の紡機用リングA,B,Cと従来の
樹脂皮膜を施していない紡機用リングDの糸切れ数及び
トラベラ摩耗量を下記紡出条件で測定した結果を図3お
よび図4に示す。 〔紡出条件〕 リング:3.2mmF φ38 紡出糸:綿コーマ 英式40番手 スピンドル回転数:18,500r.p.m. トラベラ:YS−2/hf 4/0
樹脂皮膜を施していない紡機用リングDの糸切れ数及び
トラベラ摩耗量を下記紡出条件で測定した結果を図3お
よび図4に示す。 〔紡出条件〕 リング:3.2mmF φ38 紡出糸:綿コーマ 英式40番手 スピンドル回転数:18,500r.p.m. トラベラ:YS−2/hf 4/0
【0016】本発明の紡機用リングA,B,Cは従来の
紡機用リングDに比べ、糸切れが少なく、しかもトラベ
ラの摩耗が少ないため、20,000r.p.m.以上の高速域
での運転が可能である。
紡機用リングDに比べ、糸切れが少なく、しかもトラベ
ラの摩耗が少ないため、20,000r.p.m.以上の高速域
での運転が可能である。
【0017】
【発明の効果】本発明の紡機用リングは、少なくともト
ラベラと接触するフランジ表面にリン酸塩化成処理を施
すことにより、膜厚が0.1〜1.0μm 、表面粗さRa が
0.1〜1.0μm のリン酸鉄皮膜を形成し、さらにその表
面に厚さが5〜25μm で摩擦係数が0.3以下の樹脂皮
膜層を形成しているため、トラベラとの初期馴染み性が
良好で、馴染み時間が大幅に短縮できるとともに、馴染
ませるためのトラベラ交換が不要となる。特に固体潤滑
剤を混合分散したときには上記効果はより向上するもの
である。
ラベラと接触するフランジ表面にリン酸塩化成処理を施
すことにより、膜厚が0.1〜1.0μm 、表面粗さRa が
0.1〜1.0μm のリン酸鉄皮膜を形成し、さらにその表
面に厚さが5〜25μm で摩擦係数が0.3以下の樹脂皮
膜層を形成しているため、トラベラとの初期馴染み性が
良好で、馴染み時間が大幅に短縮できるとともに、馴染
ませるためのトラベラ交換が不要となる。特に固体潤滑
剤を混合分散したときには上記効果はより向上するもの
である。
【0018】しかも、高速紡出条件下に於いても紡出初
期より糸切れが少なく、通常の運転条件での紡出が可能
である。また、防錆効果を有するため、従来のように防
錆油を塗布する必要がなく、運転前に油をふきとる手間
を省くことができる。
期より糸切れが少なく、通常の運転条件での紡出が可能
である。また、防錆効果を有するため、従来のように防
錆油を塗布する必要がなく、運転前に油をふきとる手間
を省くことができる。
【0019】さらに、トラベラ焼けやトラベラ飛散が大
幅に減少するとともに、トラベラ寿命が延長し、長期間
にわたり安定した操業が維持できる。また、リング寿命
も大幅に延長できる等の優れた効果を有するものであ
る。
幅に減少するとともに、トラベラ寿命が延長し、長期間
にわたり安定した操業が維持できる。また、リング寿命
も大幅に延長できる等の優れた効果を有するものであ
る。
【図1】本発明の紡機用リングの一実施例を示す要部断
面図である。
面図である。
【図2】フランジ部の表層の断面構造を示す説明図であ
る。
る。
【図3】トラベラの摩耗量と運転時間との関係を示す関
係図である。
係図である。
【図4】糸切れ数と運転時間との関係を示す関係図であ
る。
る。
1 リング本体 2 フランジ部 3 リン酸鉄皮膜 4 樹脂皮膜 5 紡機用リング
Claims (1)
- 【請求項1】 少なくともトラベラと接触するフランジ
表面に、リン酸塩化成処理を施し、膜厚が0.1〜1.0μ
m 、表面粗さRa が0.1〜1.0μm のリン酸鉄皮膜を形
成し、上記リン酸鉄皮膜の表面に、弗素樹脂、エポキシ
樹脂、ポリアミド樹脂、フエノール樹脂のいずれか一種
類または二種類の混合物をベースとした樹脂を被覆し、
熱処理を行なう事により一体的に固着し、厚みが5〜2
5μmで、摩擦係数が0.3以下の樹脂皮膜を形成したこ
とを特徴とする紡機用リング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28750692A JPH06136625A (ja) | 1992-10-26 | 1992-10-26 | 紡機用リング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28750692A JPH06136625A (ja) | 1992-10-26 | 1992-10-26 | 紡機用リング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06136625A true JPH06136625A (ja) | 1994-05-17 |
Family
ID=17718224
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28750692A Pending JPH06136625A (ja) | 1992-10-26 | 1992-10-26 | 紡機用リング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06136625A (ja) |
-
1992
- 1992-10-26 JP JP28750692A patent/JPH06136625A/ja active Pending
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