JPH055230A - 紡機用リング - Google Patents
紡機用リングInfo
- Publication number
- JPH055230A JPH055230A JP15854591A JP15854591A JPH055230A JP H055230 A JPH055230 A JP H055230A JP 15854591 A JP15854591 A JP 15854591A JP 15854591 A JP15854591 A JP 15854591A JP H055230 A JPH055230 A JP H055230A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ring
- resin
- traveler
- spinning machine
- spinning
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 紡機用リングにおいて、初期馴染み性に優
れ、トラベラ焼け、トラベラの飛散を防止し、高速域に
おいても安定した操業を達成する。 【構成】 紡機用リング５の少なくともトラベラが接触
するフランジ部２の表面を、あらかじめ表面粗さＲa が
0.２μm 以下に仕上げ、さらに膜厚が0.１〜1.０μm の
リン酸鉄皮膜３を形成し、その上へ、固体潤滑剤微粒子
６を分散した樹脂を被覆し、厚さが５〜２５μm の樹脂
皮膜４を形成する。
れ、トラベラ焼け、トラベラの飛散を防止し、高速域に
おいても安定した操業を達成する。 【構成】 紡機用リング５の少なくともトラベラが接触
するフランジ部２の表面を、あらかじめ表面粗さＲa が
0.２μm 以下に仕上げ、さらに膜厚が0.１〜1.０μm の
リン酸鉄皮膜３を形成し、その上へ、固体潤滑剤微粒子
６を分散した樹脂を被覆し、厚さが５〜２５μm の樹脂
皮膜４を形成する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、精紡機、撚糸機等に用
いられ、特に高速域に於ける耐摩耗性、馴染み性を向上
させた紡機用リングに関するものである。
いられ、特に高速域に於ける耐摩耗性、馴染み性を向上
させた紡機用リングに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来の紡機用リングはフランジ部の表面
硬化方法として、一般には低炭素鋼材を用い、旋削して
リングを形成した後に浸炭を行ない、表面炭素量を0.８
〜1.０％とした後に、焼入れ焼戻しが施されて形成され
ていた。
硬化方法として、一般には低炭素鋼材を用い、旋削して
リングを形成した後に浸炭を行ない、表面炭素量を0.８
〜1.０％とした後に、焼入れ焼戻しが施されて形成され
ていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】今日の紡績工場に於け
る高速紡出条件下に於いては、リングとトラベラ間の摩
擦抵抗が増大するため、連続運転を行うためには、長期
間にわたるリングとトラベラ間の馴染み運転が必要であ
った。しかし、前記浸炭焼入れしたリングでは、馴染み
運転を行なってもトラベラの早期焼付きや飛散、更には
リング寿命の大幅な短縮をきたすという問題点があっ
た。
る高速紡出条件下に於いては、リングとトラベラ間の摩
擦抵抗が増大するため、連続運転を行うためには、長期
間にわたるリングとトラベラ間の馴染み運転が必要であ
った。しかし、前記浸炭焼入れしたリングでは、馴染み
運転を行なってもトラベラの早期焼付きや飛散、更には
リング寿命の大幅な短縮をきたすという問題点があっ
た。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するためになされたものであり、表面粗さＲa が0.
２μm 以下を有する少なくともトラベラと接触するフラ
ンジ表面に、リン酸塩化成処理を施し、膜厚が0.１〜1.
０μm のリン酸鉄皮膜を形成し、上記皮膜の表面にエポ
キシ樹脂、ポリアミド樹脂、フエノール樹脂のいずれか
一種類または二種類の混合物をベースとし、二硫化モリ
ブデンまたは弗素樹脂の微粒子を固体潤滑剤として混合
分散した樹脂を被覆し、熱処理により一体的に固着し、
厚みが５〜２５μm の樹脂皮膜を形成することにより、
初期馴染み性、耐摩耗性及び高速性を大巾に向上させた
紡機用リングを提供するものである。
解決するためになされたものであり、表面粗さＲa が0.
２μm 以下を有する少なくともトラベラと接触するフラ
ンジ表面に、リン酸塩化成処理を施し、膜厚が0.１〜1.
０μm のリン酸鉄皮膜を形成し、上記皮膜の表面にエポ
キシ樹脂、ポリアミド樹脂、フエノール樹脂のいずれか
一種類または二種類の混合物をベースとし、二硫化モリ
ブデンまたは弗素樹脂の微粒子を固体潤滑剤として混合
分散した樹脂を被覆し、熱処理により一体的に固着し、
厚みが５〜２５μm の樹脂皮膜を形成することにより、
初期馴染み性、耐摩耗性及び高速性を大巾に向上させた
紡機用リングを提供するものである。
【０００５】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。
説明する。
【０００６】
【実施例】図１に示す様に、高炭素クロム軸受鋼を切削
加工し、所定のリング形状に形成した後、浸炭処理を行
い、表面の炭素濃度を1.５〜5.０％とし、その後、焼入
れ、焼戻しを施してリング本体１を形成する。
加工し、所定のリング形状に形成した後、浸炭処理を行
い、表面の炭素濃度を1.５〜5.０％とし、その後、焼入
れ、焼戻しを施してリング本体１を形成する。
【０００７】次に、トラベラが接触、摺動するフランジ
部２の表面にラッピングによる研摩加工を施し、表面粗
さＲa を0.０５６μm に仕上げた。尚、図２は研摩加工
前後のフランジ表面の表面粗さを示し、（イ）は研摩加
工前、（ロ）は研摩加工後の表面粗さを測定したもので
ある。
部２の表面にラッピングによる研摩加工を施し、表面粗
さＲa を0.０５６μm に仕上げた。尚、図２は研摩加工
前後のフランジ表面の表面粗さを示し、（イ）は研摩加
工前、（ロ）は研摩加工後の表面粗さを測定したもので
ある。
【０００８】上記のように形成されたリング本体１をリ
ン酸鉄溶液に浸漬し、図３に示すように少なくともフラ
ンジ部２の表面に膜厚が0.５μm のリン酸鉄皮膜３を形
成する。
ン酸鉄溶液に浸漬し、図３に示すように少なくともフラ
ンジ部２の表面に膜厚が0.５μm のリン酸鉄皮膜３を形
成する。
【０００９】さらに必要に応じて上記リン酸鉄皮膜３を
形成したリング本体１を脱脂、洗浄し、好ましくは軟い
ワイヤブラシによりフランジ部２の表面に付着したスマ
ット等を除去して清浄にする。
形成したリング本体１を脱脂、洗浄し、好ましくは軟い
ワイヤブラシによりフランジ部２の表面に付着したスマ
ット等を除去して清浄にする。
【００１０】次いで、リング本体１を６０℃〜２３０℃
で１０〜６０分間予熱し、その後少なくとも、フランジ
部２の表面に、ベース樹脂７として用いるフエノール樹
脂に固体潤滑剤微粒子６として二硫化モリブデンを混合
分散した樹脂をスプレーにより塗布し、１５０℃〜２３
０℃の温度で２０〜６０分間加熱して焼付け処理し、フ
ランジ部２の表面に厚さが１０μm の樹脂皮膜４を一体
的にに固着形成した紡機用リング５を構成した。
で１０〜６０分間予熱し、その後少なくとも、フランジ
部２の表面に、ベース樹脂７として用いるフエノール樹
脂に固体潤滑剤微粒子６として二硫化モリブデンを混合
分散した樹脂をスプレーにより塗布し、１５０℃〜２３
０℃の温度で２０〜６０分間加熱して焼付け処理し、フ
ランジ部２の表面に厚さが１０μm の樹脂皮膜４を一体
的にに固着形成した紡機用リング５を構成した。
【００１１】なお、フランジ部表面の研摩加工後の表面
粗さＲa を0.０５６μm としたが、0.２μm 以下でも良
く、好ましくは0.１μm 以下とする。表面粗さＲa が0.
２μm 以上では、高速紡出の際にトラベラ焼け、糸切れ
が生じ易くなり、好ましくない。
粗さＲa を0.０５６μm としたが、0.２μm 以下でも良
く、好ましくは0.１μm 以下とする。表面粗さＲa が0.
２μm 以上では、高速紡出の際にトラベラ焼け、糸切れ
が生じ易くなり、好ましくない。
【００１２】また、リン酸鉄皮膜３の厚みを0.５μm と
したが、0.１〜1.０μm でもよく、0.１μm 以下では、
皮膜の形成にムラが生じ易く、リング本体との密着性が
低下し、1.０μm 以上では処理時間が長くなり、経済性
が悪くなる。
したが、0.１〜1.０μm でもよく、0.１μm 以下では、
皮膜の形成にムラが生じ易く、リング本体との密着性が
低下し、1.０μm 以上では処理時間が長くなり、経済性
が悪くなる。
【００１３】さらに、樹脂皮膜４の厚さを１０μm とし
たが、好ましくは５〜２５μm とする。５μm 未満で
は、潤滑効果が十分でなく、２５μm を超えると運転時
にトラベラが樹脂皮膜４に喰い込んで、トラベラが滑走
せず、糸切れの原因となる。しかも処理時間が長くなっ
て経済性が悪くなり、生産コストが高くなる。
たが、好ましくは５〜２５μm とする。５μm 未満で
は、潤滑効果が十分でなく、２５μm を超えると運転時
にトラベラが樹脂皮膜４に喰い込んで、トラベラが滑走
せず、糸切れの原因となる。しかも処理時間が長くなっ
て経済性が悪くなり、生産コストが高くなる。
【００１４】上記の様にして得られた紡機用リングの実
施例を表１に示す。
施例を表１に示す。
【００１５】
【表１】
【００１６】本発明の紡機用リングＡ，Ｂと従来の樹脂
皮膜を施していない紡機用リングＣの糸切れ数及びトラ
ベラ摩耗量を下記紡出条件で測定した結果を図４および
図５に示す。 （紡出条件） リング：3.２mmＦ φ３８ 紡出糸：綿コーマ 英式４０番手 スピンドル回転数：１８５００r.p.m. トラベラ：ＹＳ−２／ｈｆ ４／０
皮膜を施していない紡機用リングＣの糸切れ数及びトラ
ベラ摩耗量を下記紡出条件で測定した結果を図４および
図５に示す。 （紡出条件） リング：3.２mmＦ φ３８ 紡出糸：綿コーマ 英式４０番手 スピンドル回転数：１８５００r.p.m. トラベラ：ＹＳ−２／ｈｆ ４／０
【００１７】本発明の紡機用リングＡ，Ｂは、従来の紡
機用リングＣに比べ、糸切れが少なく、しかもトラベラ
の摩耗が少いため、２００００r.p.m.以上の高速域での
運転が可能である。
機用リングＣに比べ、糸切れが少なく、しかもトラベラ
の摩耗が少いため、２００００r.p.m.以上の高速域での
運転が可能である。
【００１８】
【発明の効果】本発明の紡機用リングは、少くともトラ
ベラと接触するフランジ表面をあらかじめＲa ＝0.２μ
m 以下の表面粗さに仕上げ、さらにリン酸塩化成処理を
施すことにより、膜厚が0.１〜1.０μm のリン酸鉄皮膜
を形成し、さらにその表面に固体潤滑剤微粒子を混合分
散した厚さが５〜２５μm の樹脂皮膜層を形成している
ため、トラベラとの初期馴染み性が良好で、馴染み時間
が大幅に短縮できるとともに、馴染ませるためのトラベ
ラ交換が不要となる。
ベラと接触するフランジ表面をあらかじめＲa ＝0.２μ
m 以下の表面粗さに仕上げ、さらにリン酸塩化成処理を
施すことにより、膜厚が0.１〜1.０μm のリン酸鉄皮膜
を形成し、さらにその表面に固体潤滑剤微粒子を混合分
散した厚さが５〜２５μm の樹脂皮膜層を形成している
ため、トラベラとの初期馴染み性が良好で、馴染み時間
が大幅に短縮できるとともに、馴染ませるためのトラベ
ラ交換が不要となる。
【００１９】しかも、高速紡出条件下に於いても紡出初
期より糸切れが少なく、通常の運転条件での紡出が可能
である。
期より糸切れが少なく、通常の運転条件での紡出が可能
である。
【００２０】さらに、トラベラ焼けやトラベラ飛散が大
幅に減少するとともに、トラベラ寿命が延長し、長期間
にわたり安定した操業が維持できる。また、リング寿命
も大幅に延長できる等の優れた効果を有するものであ
る。
幅に減少するとともに、トラベラ寿命が延長し、長期間
にわたり安定した操業が維持できる。また、リング寿命
も大幅に延長できる等の優れた効果を有するものであ
る。
【図１】本発明の紡機用リングの一実施例を示す要部断
面図である。
面図である。
【図２】フランジ表面の表面粗さを示す曲線図であり、
（イ）は研摩加工前、（ロ）は研摩加工後である。
（イ）は研摩加工前、（ロ）は研摩加工後である。
【図３】フランジ部の表層の断面構造を示す説明図であ
る。
る。
【図４】トラベラの摩耗量と運転時間との関係を示す関
係図である。
係図である。
【図５】糸切れ数と運転時間との関係を示す関係図であ
る。
る。
１ リング本体 ２ フランジ部 ３ リン酸鉄皮膜 ４ 樹脂皮膜 ５ 紡機用リング ６ 固体潤滑剤微粒子 ７ ベース樹脂
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項１】 表面粗さＲa が0.２μm 以下を有する少
なくともトラベラと接触するフランジ表面に、リン酸塩
化成処理を施し、膜厚が0.１〜1.０μm のリン酸鉄皮膜
を形成し、上記リン酸鉄皮膜の表面に、エポキシ樹脂、
ポリアミド樹脂、フエノール樹脂のいずれか一種類また
は二種類の混合物をベースとし、二硫化モリブデンまた
は弗素樹脂の微粒子を固体潤滑剤として混合分散した樹
脂を被覆し、熱処理を行なう事により一体的に固着し、
厚みが５〜２５μm の樹脂皮膜を形成した事を特徴とす
る紡機用リング。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15854591A JPH055230A (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 紡機用リング |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15854591A JPH055230A (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 紡機用リング |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH055230A true JPH055230A (ja) | 1993-01-14 |
Family
ID=15674052
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15854591A Pending JPH055230A (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 紡機用リング |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH055230A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0786616A4 (en) * | 1994-10-04 | 1998-05-27 | Nippon Steel Corp | STEEL TUBE COUPLING WITH INCREASED RESISTANCE TO ABRASIVE WEAR AND THEIR METHOD FOR TREATING THE SURFACE |
| DE102006024614A1 (de) * | 2006-05-26 | 2007-11-29 | Schaeffler Kg | Verfahren zum Behandeln einer Wälzlagerkomponente und Wälzlagerkomponente |
-
1991
- 1991-06-28 JP JP15854591A patent/JPH055230A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0786616A4 (en) * | 1994-10-04 | 1998-05-27 | Nippon Steel Corp | STEEL TUBE COUPLING WITH INCREASED RESISTANCE TO ABRASIVE WEAR AND THEIR METHOD FOR TREATING THE SURFACE |
| US6027145A (en) * | 1994-10-04 | 2000-02-22 | Nippon Steel Corporation | Joint for steel pipe having high galling resistance and surface treatment method thereof |
| DE102006024614A1 (de) * | 2006-05-26 | 2007-11-29 | Schaeffler Kg | Verfahren zum Behandeln einer Wälzlagerkomponente und Wälzlagerkomponente |
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