JPH0613299Y2 - 金属板葺き屋根 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は，折版屋根，その他の金属屋根板をハゼ継ぎ
して葺く形態の金属板葺き屋根に関する。

〔従来の技術〕

従来，例えば，第５図に示すように，この種の金属板葺
き屋根における金属屋根板５・５のハゼ継ぎ部６は，葺
き面Ｌから立ち上がった形で露出状態のままにある。な
お第５図において，５ａ・５ａは金属屋根板５・５のハ
ゼ継ぎされた端を示す。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかるに，上記金属屋根板のハゼ継ぎ部６では露出状態
のままであるため，ハゼ締めが不十分な場合，端５ａ・
５ａの巻き込み面間に雨水が侵入するおそれがあった。

そこで，この考案は上記のような金属板葺き屋根におけ
るハゼ継ぎ部の防水性の向上を図ることができ，また外
観上美しく仕上げられるようにすることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために，本考案の金属板葺き屋根で
は，金属屋根板５・５のハゼ継ぎ部６を外装キャップ７
で覆いつけたものである。すなわち，脚片９ｂ・９ｂを
有するキャップ取付けクリップ８の脚片９ｂ・９ｂをハ
ゼ継ぎ部６にはさみつけ固定したうえで，このクリップ
８に対し外装キャップ７を嵌めつけ固定したものであ
る。

上記キャップ取付けクリップ８としては，頭部９ａおよ
び頭部９ａから延設した脚片９ｂ・９ｂを有するクリッ
プ本体９と，止具１０と，座板１３とからなり，止具１
０の締めつけにより頭部９ａが座板１３に引き寄せられ
て脚片９ｂ・９ｂがハゼ継ぎ部６をはさみつける方向に
弾性変形するように構成することが，ハゼ継ぎ部６によ
り確実にはさみ固定できて好ましい。

また，外装キャップ７のキャップ取付けクリップ８への
嵌めつけ手段としては，キャップ取付けクリップ８側に
キャップ抜止め部１３ｃ・１３ｃを設けて，外装キャッ
プ７をキャップ取付けクリップ８に嵌め合わしたとき該
キャップ７の内面が前記キャップ抜止め部１３ｃ・１３
ｃに係合するようにするとよい。

さらに，外装キャップ７のキャップ取付けクリップ８へ
の嵌めつけ手段としては，外装キャップ７の内面に凹部
７ｃ・７ｃを設けて，外装キャップ７をキャップ取付け
クリップ８に嵌めつけたとき，該クリップ８に設けたキ
ャップ抜止め部１３ｃ・１３ｃが前記凹部７ｃ・７ｃに
係合するようにすることが，外装キャップ７をより確実
に止めつける上で好ましい。

〔作用〕

上記構成のようにハゼ継ぎ部６に覆いつけた外装キャッ
プ７は，雨水がハゼ継ぎ部６に侵入するのを防止する働
きをする。

そして，外装キャップ７はキャップ取付けクリップ８に
嵌めつけ固定することによって水漏れの原因となりやす
いボルト止めの必要もなく外装キャップ７をハゼ継ぎ部
６に簡単に取りつけられる。

また，キャップ取付けクリップ８は脚片９ｂ・９ｂをハ
ゼ継ぎ部６にはさみつけることで，ハゼ継ぎ部６に簡単
に固定できる。

〔実施例〕

この考案に係る金属板葺き屋根の一実施例を第１図ない
し第３図に基づき説明する。

第３図において，１は梁，２は梁１の上に固着した屋根
板受フレーム，３は屋根板受フレーム２にボルト軸４ま
わりに回動自在で屋根勾配の変化に対応するよう組み込
んだ自在吊り子，５は折版からなる金属屋根板である。

金属屋根板５・５の端５ａ・５ａどうしは屋根板受フレ
ーム２上で吊り子３を介在させて巻き込まれてハゼ継ぎ
部６を葺き面Ｌから立ち姿勢に形成している。このハゼ
継ぎ部６は頭部６ａとくびれ部６ｂを有する断面きのこ
形状，あるいはその他の所望形状に形成している。

ハゼ継ぎ部６にはこれを覆う外装キャップ７がキャップ
取付けクリップ８をもって取付けられる。

キャップ取付けクリップ８はクリップ本体９と，止具１
０，および座板１３を組み合わせて構成される。クリッ
プ本体９は金属板を断面Ｍ字型に曲げて，その上面側に
凹部９ｃを有する頭部９ａと，この頭部９ａの左右両端
を下方向に向かって相対向状に曲げた脚片９ｂ・９ｂと
を有する形に形成される。両脚片９ｂ・９ｂの各下部は
内方に折り曲げたのち更に外方へ張り出すコ字状に曲げ
て内向き突部９ｄを形成している。この内向き突部９ｄ
は前記ハゼ継ぎ部６のくびれ部６ｂに嵌まり合う形に形
成される。

止具１０は，例えば，頭１１ａ付きのボルト１１とナッ
ト１２とからなり，ナット１２はクリップ本体９の頭部
９ａの内面側に予め溶接され，ボルト１１は頭部９ａの
通し孔１４に通してナット１２に螺合させている。ボル
ト１１には座板１３が頭部９ａの上側に重なり合うよう
に通される。

その座板１３はボルト１１の頭１１ａとクリップ本体９
の頭部９ａとの間に介在する平板部１３ａと，平板部１
３ａの左右両端を下方向に向かって相対向状に曲げて前
記脚片９ｂ・９ｂの外面側へ張り出すように形成された
翼片１３ｂ・１３ｂとを有してなり，翼片１３ｂは断面
くの字型に形成して外向きに突出するキャップ抜止め部
１３ｃを設けている。

第２図において，上記構成のクリップ本体９は，ボルト
１１を締めつけると，ナット１２と共に頭部９ａがその
締めつけ方向に引寄せられて該頭部９ａの両肩部Ｃ・Ｃ
が座板１３の平板部１３ａに強く当接し，脚片９ｂ・９
ｂが肩部Ｃ・Ｃを支点にして内向き突部９ｄ・９ｄどう
しを寄せ合う方向に弾性変形する。

外装キャップ７は，金属板を断面略山形状に曲げて天板
部７ａと，天板部７ａの左右両端を下方向にかつ左右外
方に向かって拡がり状に曲げた左右側面板部７ｂ・７ｂ
とを有する形に形成してなり，各側面板部７ｂの下部は
断面Ｓ字型に形成して凹部７ｃと内向きカール下端部７
ｄとが上下に設けられたものとなっている。

つぎに，上記外装キャップ７をキャップ取付けクリップ
８を用いてハゼ継ぎ部６に取りつける要領につき説明す
る。

まず，ハゼ継ぎ部６の長手方向の数箇所にキャップ取付
けクリップ８をはさみつける。キャップ取付けクリップ
８はクリップ本体９の両脚片９ｂ・９ｂがハゼ継ぎ部６
を跨ぐように葺き面Ｌ上に置き，前述したようにボルト
１１を締めつけることにより，脚片９ｂ・９ｂが縮小変
形して内向き突部９ｄ・９ｄをハゼ継ぎ部６のくびれ部
６ｂの左右両側をはさみつける。このようにはさみつけ
られたキャップ取付けクリップ８はハゼ継ぎ部６に対し
安定よく定置固定される。

次いで，外装キャップ７の左右側面板部７ｂ・７ｂのカ
ール下端部７ｄ・７ｄを座板１３の左右の翼片１３ｂ・
１３ｂ上に当接し（第１図中，仮想線Ｆの状態参照），
外装キャップ７を下方へ押し込むと，カール下端部７ｄ
・７ｄが翼片１３ｂ・１３ｂを滑り下りながら拡開し，
第１図中，実線で示すごとく葺き面Ｌ上に当接すると同
時に，復元力で縮小し，凹部７ｃ・７ｃにキャップ抜止
め部１３ｃ・１３ｃが係合してハゼ継ぎ部６を覆い包む
状態が得られる。

このように取りつけられた外装キャップ７は風により吹
き上がるようなことがなくてハゼ継ぎ部６の覆い状態を
確実に保持し，雨水がハゼ継ぎ部６に侵入するのをよく
防止する。

〔別実施例〕

上記実施例では，キャップ取付けクリップ８をハゼ継ぎ
部６にはさみつける手段として止具１０を用いるが，こ
の止具１０としてはボルト１１およびナット１２に代え
て，これと同じような作用をするリベット，その他のも
のであってもよい。また，止具１０および座板１３を用
いるに代えて，クリップ本体９の脚片９ｂ・９ｂをこれ
自体の弾性でハゼ継ぎ部６に無理な力で押し込むことに
よりハゼ継ぎ部６をはさみつけるようにしてもよい。こ
の場合はクリップ本体９にキャップ抜止め部１３ｃを設
ければよい。

外装キャップ７をキャップ取付けクリップ８に嵌め合わ
して固定する手段としては，クリップ８側のキャップ抜
止め部１３ｃ・１３ｃとこれに係合するキャップ７側の
凹部７ｃ・７ｃとの協働作用以外の方法でもよい。例え
ば，外装キャップ７の左右側面板部７ｂ・７ｂをこれ自
体の弾性のみでキャップ取付けクリップ８に無理な力で
嵌め合わすことにより，左右側面板部７ｂ・７ｂの内面
とキャップ取付けクリップ８の外面との接触面間におけ
る摩擦力のみで固定するようにしてもよい。

図示例では外装キャップ７の下端部７ｄ・７ｄを葺き面
Ｌ上に接触させたが，接触させずに近接対向する状態に
してあってもよい。

外装キャップ７の裏面には，図示省略するがそのほぼ全
面にポリエチレンフオーム，ウレタンフオーム等の断熱
層を設けておいて，該断熱層がキャップ取付キャップ８
に接触してこの接触面間に生じる摩擦力で外装キャップ
７が屋根勾配方向に滑り移動することの無いようにする
こともできる。また，外装キャップ７の裏面に断熱層を
設けるか又は設けずに，座板１３の外面側に同じ断熱層
を設けるようにしてもよい。

第４図はこの考案の更に別実施例を示しており，これで
は座板１３の頭部１３ａが断面円弧状に形成される一
方，クリップ本体９の頭部９ａがフラットに形成されて
いる点が，第２図の実施例のものと異なり，その他の構
成については同様である。この実施例においても，止具
１０の締めつけにより頭部９ａが座板１３に引き寄せら
れて脚片９ｂ・９ｂがハゼ継ぎ部６をはさみつける方向
に弾性変形することになる。

〔考案の効果〕

この考案によれば，金属板葺き屋根のハゼ継ぎ部６が外
装キャップ７で覆い包まれるので，雨水がハゼ継ぎ部６
に侵入するのを防止できて雨漏りへの対処が一段と高ま
り，またハゼ継ぎ部６が外観的に美しく仕上がる。そし
て外装キャップ７は，キャップ取付けクリップ８を用い
てハゼ継ぎ部６に取りつけることにより，ハゼ継ぎ部６
および外装キャップ７に取付け穴をあけないでボルトレ
スで水漏れを有効に防止でき，また安定確実に取りつけ
ることができる。

キャップ取付けクリップ８は，クリップ本体９の脚片９
ｂ・９ｂをハゼ継ぎ部６にはさみつけることで迅速かつ
確実に取りつけることができて現場施工性に優れる。

外装キャップ７はキャップ取付けクリップ８に対し抜け
止め状に嵌め合わすことにより，簡単な作業で迅速に取
りつけることができ，現場施工性により優れる。

外装キャップ７の内面に凹部７ｃ・７ｃを設け，この凹
部７ｃ・７ｃをキャップ取付けクリップ８のキャップ抜
止め部１３ｃ・１３ｃに対し係合させることにより，外
装キャップ７の抜け止めがより確実に達成され，風によ
る吹き上げをより有効に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案に係る金属板葺き屋根の
一実施例を示しており，第１図はハゼ継ぎ部の納まり状
態を示す断面図，第２図はハゼ継ぎ部にキャップ取付け
クリップを締めつける前の状態を示す断面図，第３図は
ハゼ継ぎ部に外装キャップおよびキャップ取付けクリッ
プを取付ける前の状態を示す分解斜視図である。 第４図はこの考案の別実施例を示しており、ハゼ継ぎ部
にキャップ取付けクリップを締めつける前の状態を示す
断面図である。 第５図は従来例の金属板葺き屋根のハゼ継ぎ部の断面図
である。 ５……金属屋根板， ５ａ……金属屋根板の端， ６……ハゼ継ぎ部， ７……外装キャップ， ７ｃ……凹部， ８……キャップ取付けクリップ， ９……クリップ本体， ９ａ……頭部， ９ｂ……脚片， １０……止具， １１……ボルト， １２……ナット， １３……座板， １３ｃ……キャップ抜止め部。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金属屋根板５・５の端５ａ・５ａを葺き面
   Ｌから立ち上げたハゼ継ぎ部６に，１対の脚片９ｂ・９
   ｂを有するキャップ取付けクリップ８の前記脚片９ｂ・
   ９ｂをはさみつけて固定し，前記ハゼ継ぎ部６およびキ
   ャップ取付けクリップ８を外装キャップ７で覆うととも
   に，該外装キャップ７を前記キャップ取付けクリップ８
   に嵌めつけ固定してなる金属板葺き屋根。
2. 【請求項２】キャップ取付けクリップ８が，頭部９ａお
   よび頭部９ａから延設した脚片９ｂ・９ｂを有するクリ
   ップ本体９と，止具１０と，座板１３とからなり，止具
   １０の締めつけにより頭部９ａが座板１３に引き寄せら
   れて脚片９ｂ・９ｂがハゼ継ぎ部６をはさみつける方向
   に弾性変形するように構成されてなる請求項１記載の金
   属板葺き屋根。
3. 【請求項３】キャップ取付けクリップ８が，外装キャッ
   プ７の内面に係合して外装キャップ７の上方への抜止め
   をはかるキャップ抜止め部１３ｃ・１３ｃを有している
   請求項１又は２記載の金属板葺き屋根。
4. 【請求項４】外装キャップ７の内面に，キャップ抜止め
   部１３ｃ・１３ｃが係合する凹部７ｃ・７ｃを有してい
   る請求項３記載の金属板葺き屋根。