JPH0612942B2 - 電機子巻線の整流子結線方法およびその整流子結線構造体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、電機子巻線の整流子結線方法およびその整
流子結線構造体の改良に関するものである。

従来、電機子巻線を整流子に結線する方法として、整流
子の各セグメントに１つの爪片を形成し、その爪片に巻
線の一部を引っ掛け、爪片を倒して巻線を爪片とセグメ
ントとで圧着挟持し、フュージングを施し、その際に発
生する抵抗発熱を利用して巻線の絶縁被膜を焼失させ、
巻線を整流子に電気的に導通させる方法が適用されてい
るが、この結線方法では、線径の細い巻線を使用した場
合や整流子の小型のものを使用した場合には、爪片によ
る圧着部で引っ掛け巻線部分に圧力変形が生じて巻線が
断線したり、あるいは爪片自体が細いため巻線とセグメ
ントとの間で圧着不良を起こすおそれがあるなど、製造
ならびに性能上不利な面が多く、適用しにくい欠点があ
る。また、前記結線方法による整流子を有する電機子巻
線にあっては、巻線部分とセグメントとの接触状態が爪
片で隠されてしまうため、その接触状態を外部から確認
することができず、また、爪片が浮き上がった場合、導
通不良となる欠点がある。

この発明は、上記の欠点を解消するためになされたもの
であって、線径の太さや整流子の大きさに制約を受ける
ことがなく、しかも巻線がセグメントに接触する導通部
分の状態を外部から確認することができ、かつ断線事故
を招くおそれのない電機子巻線の整流子結線方法および
その整流子結線構造体を提供することを目的としている
ものである。

この発明は上記の如き観点に鑑みてなされたもので、整
流子の各セグメントに形成された巻始め用および巻終了
用の２個の爪片のうち、前記巻始め用爪片に巻線の巻始
め端を引っ掛け、その爪片とセグメント間で圧着保持す
ることにより巻線操作を開始し、前記巻線を鉄心に巻回
し、その巻線の一部を順次他のセグメントの巻始め用爪
片から巻終了用爪片へと２個の爪片に同時に引っ掛け、
前記２個の爪片間の巻線部分をセグメントに直接溶着接
合し、前記２個の爪片で前記巻線をセグメントに圧着保
持し、巻回終了後、前記巻終了用爪片に前記巻線の巻終
り端を引っ掛け、その爪片とセグメント間で圧着保持し
た後、巻始め端末線および巻終了端末線を２個の爪片間
のセグメントに溶着接合する電機子巻線の整流子結線方
法、および、各々が巻始め用および巻終了用の２個の爪
片を有するセグメントと、前記２個の爪片と前記セグメ
ントとの間に挿入され、前記２個の爪片により前記セグ
メントへと圧着保持され、前記２個の爪片間の中央部が
前記セグメントに溶着接合された巻線とを備えた電機子
巻線の整流子結線構造体を要旨とするものである。

以下、この発明を、その実施例の一例を示した図面に基
づいて詳細に説明する。

この発明で使用する整流子には、第１図および第２図に
示すように、整流子を構成する各セグメント１に２個の
爪片２、２を、例えばトリミング加工時の手段で形成し
ておき、それを予め点線の如くセグメント側に折曲げて
おく。３はモールドされた合成樹脂の絶縁支持体であ
る。

上記の如く構成された整流子は、第３図および第４図に
示すように、電機子に組み込む。４は回転軸、５は鉄心
である。

しかして、前記整流子に電機子巻線を結線するには、第
３図に示すように、巻線６の巻線部分６ａを２個の爪片
２、２に同時に掛け渡す状態で引っ掛け、爪片２、２間
における巻線部分６ａを、例えば超音波溶着機（図示し
ていない）によってセグメント１に直接溶着させ、その
後で爪片２、２をセグメント１の周面に圧着させて保持
する。７は溶着部である。

巻線の巻始め、巻終わりの端末線を整流子に結線するに
は、第４図に示すように、まず、巻始めの端末線６ｂを
１つのセグメントの両爪片２、２とセグメント１との間
に通し、次に引っ掛けるセグメントに近い方の爪片２を
セグメントに圧着して保持し、次いで巻線操作によって
他の各セグメントの爪片への巻線引っ掛けを順次に行な
い、巻終わりの端末線６ｃは前記爪片２の他方に通して
圧着して保持した後、両端末線６ｂ、６ｃを爪片２、２
間でほぼ平行に揃え、超音波溶着機でセグメント１に直
接溶着させる。８は溶着部である。

上記した本発明の電機子巻線の整流子結線方法によれ
ば、下記の効果が得られる。

(1)巻線の溶着接合部を保護するために、接合部とは直
接に接しない線部分を２個の爪片で保持するので、接合
部に外力が直接に加わるおそれはない。

(2)従来の結線方法では、爪片が浮き上がった場合、導
通不良が生ずるが、前記本発明の方法によれば、巻線部
分をセグメントに直接溶着接合するので、爪片の影響に
よる導通不良は発生しない。

(3)従来のフュージング加工は、巻線の線径や整流子の
大きさに限界があるが、前記本発明の方法によれば、極
細線ならびに小型整流子の使用範囲の大幅な拡大が図れ
る。

(4)品質面においては、結線工程から生ずる断線、導通
不良などを大幅に低減することができるばかりでなく、
その接合部の状態を外部から確認することが容易であ
り、結線部の信頼性を格段と高めることができる。

(5)各セグメントに巻始め用および巻終わり用の２個の
爪片により巻始め、巻終わりの各線端部の結線を前記各
爪片で保持することができるため、巻線工程中における
巻線の張力等によって巻始め線端部の爪片からの線の外
れを防止でき、又、巻線溶着接合等の次工程搬送中の振
動等による巻終わり線端部の線の爪片からの外れを防止
することができる。

(6)各セグメントの巻線の溶着接合部の線強度不足を保
護するために、接合部と対称に位置する２個の爪片で接
合部とは直接に接しない巻線部を圧着保持するので、接
合部に外力が直接に加わることはなく、断線や導通不良
の発生を防止することができる。

尚、前記実施例では巻線の巻始めと巻終わり端を第４図
のようにした場合について説明したが、これに限定され
ず、巻線の鉄心への巻回方向や巻線端の爪片への挿入方
向等により異なり、巻線始めの端末線６ｂを両爪片２、
２とセグメント１との間に通し、いずれか一方の爪片２
をセグメントに圧着して保持し、順次巻回後、巻終わり
端の端末線６ｃは前記爪片２の他方に通して圧着保持し
両端末線を同時に溶着させればよい。

以上に述べたように、この発明によれば、電機子巻線の
整流子への結線において、断線や導通不良を起こすおそ
れがなく、かつ結線部を外部から容易に確認することが
できる結線方法を提供することができると共に巻線の線
径太さや整流子の大きさへの適用範囲の大幅な拡大を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明で使用する整流子の側面図、第２図は
平面図、第３図および第４図は巻線を整流子に結線する
状態を示す電機子の側面図である。 １……セグメント、２……爪片、３……絶縁支持体、 ４……回転軸、５……鉄心、６……巻線、 ６ａ……巻線部分、７、８……溶着部、 ６ｂ、６ｃ……端末線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−64709（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−118010（ＪＰ，Ａ) 実開 昭50−147103（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】整流子の各セグメントに形成された巻始め
   用および巻終了用の２個の爪片のうち、前記巻始め用爪
   片に巻線の巻始め端を引っ掛け、その爪片とセグメント
   間で圧着保持することにより巻線操作を開始し、 前記巻線を鉄心に巻回し、その巻線の一部を順次他のセ
   グメントの巻始め用爪片から巻終了用爪片へと２個の爪
   片に同時に引っ掛け、前記２個の爪片間の巻線部分をセ
   グメントに直接溶着接合し、前記２個の爪片で前記巻線
   をセグメントに圧着保持し、 巻回終了後、前記巻終了用爪片に前記巻線の巻終り端を
   引っ掛け、その爪片とセグメント間で圧着保持した後、
   巻始め端末線および巻終了端末線を２個の爪片間のセグ
   メントに溶着接合することを特徴とする電機子巻線の整
   流子結線方法。
2. 【請求項２】各々が巻始め用および巻終了用の２個の爪
   片を有するセグメントと、 前記２個の爪片と前記セグメントとの間に挿入され、前
   記２個の爪片により前記セグメントへと圧着保持され、
   前記２個の爪片間の中央部が前記セグメントに溶着接合
   された巻線と を備えたことを特徴とする電機子巻線の整流子結線構造
   体。