JPH0611958Y2 - 枚葉輪転印刷機の紙積装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は枚葉輪転印刷機において印刷ユニットへ供給す
る紙を給紙装置の紙積板上に積載する紙積装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕

枚葉輪転印刷機の給紙装置は昇降チエーンで吊下された
左右一対の紙積バーを備えており、給紙装置内または装
置外で紙を揃えて積載した紙積板は、これら左右の紙積
バーに両端を支承されて給紙装置内に配置され、紙積板
上の紙は上層のものから１枚ずつ吸引されて印刷ユニッ
トへ供給され印刷が施される。この給紙に際してはサン
サで積載紙の上端を検出してその信号で昇降チエーンを
巻上げ、給紙による減量にかかわらず紙面上端を一定高
さに保つように構成されている。そして、紙積板上の紙
を給紙し終わると、通常、機械を停止して紙積バーを下
降させ、次の紙を紙積板上に積載して給紙を再開する。

このような給紙作業においては、紙の前端が揃っていな
いと不正給紙となって機械が自動停止し印刷効率が低下
するので、紙積装置の前部に垂直バー状の前当てを設
け、紙積時および給紙時に紙の前端をこの前当てに当て
て紙を揃えることが従来から行われている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来の紙積装置においては、
昇降チエーンの巻上げによって間欠的に上昇する紙積バ
ーが、昇降チエーンのばたつき等で水平方向に移動して
紙の前端が前当てから離れ、不正給紙が発生することが
あって印刷効率を低下させていた。また、これを防止す
るためには、作業者が絶えず積載紙を前当てに当たるよ
うに押していなければならず、労力の負担が増大し、省
力化が阻害されるという問題があった。

〔課題を解決するための手段〕

このような課題を解決するために本考案においては、垂
直状案内部材で上下に案内されて昇降チエーンにより昇
降駆動され、かつ上下１組ずつ前後に複数組枢着された
ガイド部材を備えた昇降部材と、前記上下のガイド部材
に上下から挟持される傾斜面を備えて前記昇降部材で水
平方向に摺動自在に支持され前記紙積板を支承する紙積
板支持部材とが設けられ、前記ガイド部材は前部のもの
が後部のものより低い位置に枢着され、前記紙積板支持
部材の傾斜面の下面は前側が低い傾斜に形成されて、前
記紙積板支持部材は自重により前記前当て側への移動力
を付与されるとともに、前端部に係合部材が枢着され、
この係合部材を当接させ前記紙積板支持部材が下方へ向
かうほど前記前当てから遠ざかるように傾斜する傾斜面
を備え、前記紙積板支持部材を自重に抗して前当てから
遠ざかるようにしたカムをフレーム側に設けた。

〔作用〕

昇降部材とともに紙積板支持部材を下降限まで下降させ
ると、カムの傾斜面の作用で紙積板支持部材が自重によ
る付勢力に抗して後方へ移動するので、紙積板支持部材
上に紙積板を載置し、紙を前当てに前端を当てて揃えな
がら紙積板上に積載する。紙積後、印刷作業を開始する
と、昇降チエーンの巻上げにより昇降部材を介して紙積
板支持部材が上昇するが、このとき紙積板支持部材は後
方への押しから解放され、かつ自重と自らの傾斜面との
作用で前方へ移動し、手で押していなくても積載紙の前
端を常時前当てに当接させながら上昇する。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本考案に係る紙積装置の実施例を
示し、第１図はその側面図、第２図は第１図のII−II断
面図、第３図は紙積装置の一部破断平面図である。図に
おいて、給紙装置には左右のフレーム１が立設されてお
り、各フレーム１の上部水平部材（図示せず）と下部水
平部材２との間には、長尺板状に形成された左右一対の
垂直状案内部材である案内バー３が上下両端を固定され
て垂直状に立設されている。４は方形板状に形成されフ
レーム１の上部水平部材から昇降チエーン５で昇降自在
に吊下された左右一対の昇降部材である紙積バー受けで
あって、その前後上下４箇所に設けられたピン孔には、
ボルト６が鍔付きのピン７を介して挿入されており、各
ボルト６は短冊状に形成された内面側押え板８のねじ孔
に螺入されている。各ピン７にはころ９が紙積バー受け
４と押え板８との間に位置して嵌合されており、これら
４個のころ９は前記案内バー３を前後両側から挟持して
いる。こうすることにより昇降チエーン５を巻上げ巻戻
しすると、紙積バー受け４がころ９を回転させながら案
内バー３に案内されて昇降するように構成されている。

紙積バー受け４には、上下２個を１組とする前後２組の
ピン孔が、前部のものを後部のものよりも低く位置させ
て穿設されており、各ピン孔に挿入されたボルト１０が
ナット１１で固定されている。各ボルト１０には、ガイ
ド部材であるころ１２が嵌合されており、短冊状の押え
板１３とナット１４とでボルト１０からの抜けを阻止さ
れている。１５は断面長方形の水平バー状に形成された
左右一対の紙積板支持部材である紙積バーであって、そ
の上面と下面とには、前側が低い傾斜面１５ａ，１５ｂ
が形成されており、これら上下の傾斜面１５ａ，１５ｂ
は、前記４個のころ１２によって摺動自在に挟持されて
いる。そして前記押え板１３で押えられてころ１２で挟
持された紙積バー１５は、傾斜面１５ａ，１５ｂの作用
により、紙積バー１５自身とその積載物（後述）との自
重で前方への移動力を付与されている。

左右の紙積バー１５の前後２箇所には、バー１６が一体
的に支架されており、このバー１６上には、長方形板状
に形成され紙１７を積載する紙積板１８が載置されてい
る。この紙積板１８の前方には、複数個の垂直状前当て
１９がフレーム１側に支持されて立設されており、紙１
７の前端をこれに当接させて積むことにより前端を揃え
るように構成されている。

さらに、左右の紙積バー１５と前当て１９との間には、
下へ向うにしたがって前当て１９から遠ざかるように傾
斜する傾斜面２０ａを備えたカム２０が左右のフレーム
１を連結する上下の角ステー２１に固定されて設けられ
ており、傾斜面２０ａを含む垂直カム面には、紙積バー
１５の前端部に枢着された係合部材であるころ２２が前
記自重による付勢力で当接している。

以上のように構成された給紙紙積装置の動作を説明す
る。印刷作業に先立ち昇降チエーン５を巻戻して紙積バ
ー受け４とともに紙積バー１５を図示の下降限位置まで
下降させると、ころ２２がカム２０の傾斜面２０ａの低
部から高部へと移動するので、紙積バー１５は自重によ
る付勢力に抗し後方へ押されて移動する。そこで紙積バ
ー１５と一体のバー１６上に紙積板１８を載置して紙１
７を紙積板１８上に積載する。この場合、紙積板１８は
前当て１９に当てるか、あるいはわずかに離してもよい
が、紙１７は前当て１９に前端を当てて紙端を揃えなが
ら積載する。積載に際しては、紙積バー１５は自重によ
る付勢力に抗しカム２０で押されているので安定してい
る。

積載後、紙積バー１５等を所定位置まで上昇させて自動
上昇に切替えたのち印刷作業を開始すると、紙１７は上
層のものから１枚ずつ吸引され、印刷ユニットへ供給さ
れて印刷が施される。給紙にしたがって昇降チエーン５
が間欠的に巻上げられ紙積バー受け４を介して紙積バー
１５が上昇するが、このとき、ころ２２がカム２０の傾
斜面２０ａの高部による押圧から解放されるので、紙積
バー１５はその傾斜面１５ａ，１５ｂの作用により自ら
の重量と、紙積板１８および紙１７の重量とでころ１２
を回転させながら前方へ滑行する。したがって、紙積バ
ー１５と紙積板１８とを介して一体の紙１８の前端が前
当て１９に押圧されて安定し、手で押していなくても紙
１８の前端が前当て１９から離れることがない。なお、
紙１７の積載量が少ないときには、紙積板１８とバー１
６とが滑り、ころ２２がカム２０の傾斜面２０ａおよび
低部垂直面に当接するが、紙１７の積載量が多くなって
紙積板１８とバー１６とが滑らないときには、紙１７の
前端が前当て１９に当接しても、ころ２２はカム２０の
カム面に接触しない。紙積バー１５がさらに上昇してこ
ろ２２がカム２０の垂直カム面から離れたのちも、紙１
７の前端は紙積バー１５の付勢力により前当て１９に圧
接されているので、手で押していなくても離れることが
ない。

なお、本実施例では紙積バー受け４を昇降チエーン５で
吊下した例を示したが、周回する無端チエーンの１箇所
に紙積バー受け４を固定し、無端チエーンの周回により
紙積バー受け４を昇降駆動してもよい。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように本考案によれば枚葉輪
転印刷機の紙積装置において、垂直状案内部材で上下に
案内されて昇降チエーンにより昇降駆動され、かつ上下
１組ずつ前後に複数組枢着されたガイド部材を備えた昇
降部材と、上下のガイド部材に上下から挟持される傾斜
面を備えて前記昇降部材に水平方向に摺動自在に支持さ
れ紙積板を支承する紙積板支持部材とが設けられ、ガイ
ド部材は前部のものが後部のものより低い位置に枢着さ
れ、紙積板支持部材の傾斜面の下面は前側が低い傾斜に
形成されて、紙積板支持部材は自重により前当て側への
移動力を付与されるとともに、前端部に係合部材が枢着
され、この係合部材を当接させ紙積板支持部材が下方へ
向かうほど前当てから遠ざかるように傾斜する傾斜面を
備え、紙積板支持部材を自重に抗して前当てから遠ざか
るようにしたカムをフレーム側に設けたことにより、紙
の積載時や給紙時にこれを前方へ押していなくても、紙
積板支持部材が傾斜面の作用により自重で滑行して紙の
前端が常時前当てに圧接されていて離れることがないの
で、不正給紙による機械の停止が発生せず、印刷効率が
向上するとともに、紙を押す必要がなくなることにより
労力の軽減と省力化が計れる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る枚葉輪転印刷機の紙
積装置の実施例を示し、第１図はその側面図、第２図は
第１図のII−II断面図、第３図は紙積装置の一部破断平
面図である。 ３……案内バー、４……紙積バー受け、５……昇降チエ
ーン、９……ころ、１２……ころ、１５……紙積バー、
１５ａ，１５ｂ……傾斜面、１７……紙、１８……紙積
板、１９……前当て、２０……カム、２０ａ……傾斜
面、２２……ころ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】印刷用紙を積載する紙積板と、積載紙の前
   端を当接させて揃える垂直バー状の前当てとを備えた枚
   葉輪転印刷機の紙積装置において、垂直状案内部材で上
   下に案内されて昇降チエーンにより昇降駆動され、かつ
   上下１組ずつ前後に複数組枢着されたガイド部材を備え
   た昇降部材と、前記上下のガイド部材に上下から挟持さ
   れる傾斜面を備えて前記昇降部材で水平方向に摺動自在
   に支持され前記紙積板を支承する紙積板支持部材とが設
   けられ、前記ガイド部材は前部のものが後部のものより
   低い位置に枢着され、前記紙積板支持部材の傾斜面の下
   面は前側が低い傾斜に形成されて、前記紙積板支持部材
   は自重により前記前当て側への移動力を付与されるとと
   もに、前端部に係合部材が枢着され、この係合部材を当
   接させ前記紙積板支持部材が下方へ向かうほど前記前当
   てから遠ざかるように傾斜する傾斜面を備え、前記紙積
   板支持部材を自重に抗して前当てから遠ざかるようにし
   たカムをフレーム側に設けたことを特徴とする枚葉輪転
   印刷機の紙積装置。