JP2517275B2 - 枚葉印刷機の給紙紙積装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は枚葉印刷機において、印刷ユニツトへ供給す
る紙を紙積板上に積載する給紙紙積装置に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

枚葉印刷機の印刷ユニツトへ供給する紙を、印刷機の
給紙装置に設けた紙積板上に積載する装置としては、紙
が無くなるたびに機械を停めて給紙装置の紙積板上へ紙
端を揃えながら直接積載するいわゆる直積み装置と、印
刷機の機外に設けた紙積装置の紙積板上へ印刷作業中に
積んでおいた紙を、停止した給紙装置へ供給する装置と
に大別され、紙積み時間が短縮できるところから、後者
の装置が広く用いられている。

この種の紙積装置は、例えば本願出願人が提案して実
公昭60−6024号公報に開示されているように、給紙位置
のトロツコ上にパレツトを置いてこの上に定規で紙端を
揃えながら紙を積載し、積載後、この紙積載済のトロツ
コを給紙位置へ引き込み、トロツコを残して紙積載のパ
レツトのみを昇降バーとともに上昇させて給紙を行うも
のである。そしてこの種の装置は１ロツトの印刷枚数が
多くて紙サイズ変更の少ない印刷に適しており、また前
記直積み装置は、紙を市販のハンドリフトなどでロツト
ごとに運搬することができるので、１ロツトの印刷枚数
が少なくて紙サイズ変更の多い印刷に適している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながらこのような従来の直積み装置と機外積載
式の装置とはそれぞれ専用機であつて、設備台数の多い
大手の印刷会社ではこれらを別々に専用機として設備す
ることが可能であるが、中小の印刷会社ではこれが困難
であり、いずれか一方の紙積装置を設備することにな
り、ロツトの印刷枚数によつては装置が不適当となつて
紙積の作業性を著しく低下させるという問題があつた。
また、両装置に兼用させようとすると、切替のたびに多
大の労力と長時間を要するという問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本発明において
は、給紙位置の床面に下部紙積板を水平方向へ位置規制
して昇降自在に載置し、その上に昇降自在な上部紙積板
を下降限位置よりやゝ上方において水平各方向に移動可
能にして載置するとともに、上部紙積板にはこの移動可
能位置からの上昇動作に連動して両紙積板を面圧で固定
する制動部材を設け、下部紙積板には回動によつて昇降
バーの係合をトロツコ上のパレツト側から下部紙積板側
へ切替えさせるフツクを設けた。

〔作用〕

直積みの場合には両紙積板をわずかに上昇させて上部
紙積板を下部紙積板に対し移動自在にし、フツクを回し
て昇降バーと下部紙積板とを係合させたのち、上部紙積
板上のパレツトに紙を積載して位置決め後、給紙を行う
と、昇降バーは、紙積載のパレツトおよび面圧で固定さ
れた上下の紙積板を伴つて上昇する。この場合紙積板が
下降した紙積時には、上部紙積板が移動可能であるから
紙揃えに支障がなく、上部紙積板がわずかに上昇すると
面圧で制動されて水平方向へ移動不能になるから給紙が
安定する。

この状態から機外積載式に切替える場合には、上部紙
積板の固定を解き、またフツクを回動させて昇降バーと
下部紙積板との係合を解く。そして機外紙積位置でパレ
ツトを介して紙を積載したトロツコを、レールに沿つて
上部紙積板上へ引き込み、パレツトと昇降バーとの間へ
積載バーを挿入することにより、昇降バーを上昇させる
と、紙積載のパレツトのみを上昇させながら給紙が行わ
れる。

〔実施例〕

第１図ないし第８図は本発明に係る給紙積載装置の実
施例を示し、第１図はその平面図、第２図は第１図のAA
断面図、第３図は第１図下端部のＢ視正面図、第４図は
第１図下部のＣ視拡大側面図、第５図は第１図のDD断面
図、第６図は第１図のＥ視側面図、第７図は第１図のFF
断面図、第８図は機外の積載装置も含めた装置全体の正
面図である。図において、逆Ｌ字状に形成されて床面に
固定された左右のフレーム１は、印刷装置側を複数個の
角ステー２で連結されており、水平部材の後端部と前部
とは、各一対の円柱３と角柱４とで床面に支持されてい
る。また、フレーム１の後方には、その水平部材の後端
との間をステー５で連結された一対の支柱６が床面に立
設されており、その上端部は別のステー７で左右に連結
されている。そして支柱６の後方には、全体を符号８で
示す機外紙積装置が配設されている。この紙積装置８は
床面下のピツト９内に平行して敷設された左右一対のレ
ール10を備えており、このレール10は給紙位置の円柱３
近傍まで延設されている。11は方形の枠体12と前後複数
個ずつの車輪13とからなるトロツコであつて、車輪13を
レール10上で転動させながら積載位置と給紙位置との間
を往復動するように構成されている。14は積載位置でト
ロツコ11を床面側に固定する固定ボルトである。このト
ロツコ11上には、板材15aと一対の脚15bとで一体形成さ
れたパレツト15が載置されており、このパレツト15上に
は、紙16が積載される。17は上端をステー７側に支持さ
れ下端を溝部18内の図示しない移動装置に支持されて直
立する定規であつて紙積板16の前端と側端とを揃えると
ともに、移動装置で開いて紙積載のトロツコ11の通過を
可能ならしめるように構成されている。

そしてフレーム１と円柱とで囲まれた給紙位置の床面
には、方形のピツト20が設けられており、このピツト20
内には、方形板状の下部紙積板21が、これに固定された
複数個のピン22をピツト20側のピン受け23に係合させる
ことにより水平方向への移動を規制されて昇降自在に載
置されている。下部紙積板21の上面には、複数個の球面
軸受24が固定されており、下部紙積板21よりも小寸法の
方形に形成された上部紙積板25は、これらの球面軸受24
に載置されて水平各方向へ移動自在に支承されている。
上部紙積板25の裏面には、ピン26が装着されていて、下
部紙積板21の孔25aを貫通しており、ビツト20側のピン
受け27に嵌合されている。そして、直積みの場合はピン
26はピン受け27から抜けるまで紙積板21,25が上昇して
上部紙積板25が移動自在になされる。また上部紙積板25
は、前記レール10の間隔と同幅でかつレール10と同高に
形成されており、第４図に示すようにトロツコ11の車輪
13は、レール10から上部紙積板25の両端に乗り移つて引
き込まれる。

30は一対の縦部材30aと一対の横部材30bとで枠状に形
成された昇降バーであつて、４隅を昇降チエーン31で昇
降自在に吊下されており、昇降チエーン31を手動操作ま
たは自動制御で巻上げ、巻戻しすることにより４隅のこ
ろ32を前記円柱３と角柱４との切溝に嵌合させて案内さ
れながら昇降するように構成されている。下部紙積板21
の左右３箇所ずつ計６箇所には、フツク33が水平方向へ
回動自在に枢着されており、これを第１図の鎖線位置か
ら実線位置へほゞ90°回動させることにより、昇降バー
30と係合するように構成されている。34はフック33を鎖
線位置と実線位置とでそれぞれ係止するクリツク機構で
ある。また、４隅のフツク33隣接位置には、上端に溝を
有するバー受け35が昇降バー30側に固定されて設けられ
ており、これとパレツト15との間へ前後一対の紙積バー
36が挿入されて切溝と係合するように構成されている。
こうすることにより、機外積載の場合、フツク33を鎖線
位置に回動させたのち、紙積バー36を挿入して昇降バー
30を上昇させると、紙積バー36がパレツト15と係合し、
紙積載のパレツト15のみを伴つて上昇する。また直積み
の場合、フツク33を実線位置に回動させて下部紙積板21
と昇降バー30とを係合させた状態で昇降バー30を上昇さ
せると、下部紙積板21,上部紙積板25,パレツト15が、積
載紙16とともに一体的に上昇する。

さらに下部紙積板21には、上部紙積板25の下降限位置
よりもやゝ高い位置からの上昇開始動作と連動してこれ
を面圧で固定する制動装置が設けられている。すなわ
ち、下部紙積板21の幅方向中央部には、両紙積板25,21
間を紙16の天地方向に延びるカム軸40が、軸受41に軸支
されて設けられており、その一端には、遊端部にころ42
が枢着されたレバー43が軸着されている。カム軸40上に
は、一対のカム44がカム面の位相を対称状に位置させて
固定されていて、各カム44からは同構成の２組の機構が
左右両側へ延びており、以下片側のものについて説明す
る。45は下部紙積板21側の軸受46に進退自在に軸支され
たころ軸であつて、その一端に設けた金具47には、カム
44のカム面に対接するころ48が枢着されており、ころ48
は軸受46とカラー49との間に介装された圧縮コイルばね
50の弾発力によりカム44のカム面に圧接されている。こ
ろ軸45の他端には、下部紙積板21側に固定のくさび51と
先鋭端を対向させたくさび52が固定されており、両方の
くさび51,52間には、これと同傾斜面を有するホルダ53
が両側のガイド54と上部紙積板25との間に浮動状態で介
装されている。54はゴム等の弾性材で円板状に形成され
ホルダ53に固定保持された制動板であつて、上部紙積板
25の下面と対向しておりくさび52の進退によりその傾斜
面の作用でホルダ53とともに昇降するように構成されて
いる。このように構成されていることにより、両紙積板
25,21が下降限よりもやゝ高い位置まで下降すると、第
６図に示すように、ころ42が地面側に設けたストツパ56
に着地してレバー43が水平姿勢に回動し、カム44の大径
部がころ48を押すので、ころ軸45が圧縮コイルばね50を
圧縮させながら図の右方へ移動し、くさび51,52の作用
でホルダ53および制動板54が下降して面圧が解除される
ことにより、上部紙積板25が水平各方向へ移動自在にな
る。なお、この下降限よりもやゝ高い位置とは、第７に
おけるピン22,26が未だピン受け23,27に係入されない位
置であつて、直積みの場合の紙積位置である。またこの
位置から両紙積板21,25が上昇すると、レバー43がスト
ツパ56を離れて第５図に示すように垂下姿勢になると、
カム44が回動してその小径部がころ48と対向することに
よりころ軸45が圧縮コイルばね50の弾発力で図の左方へ
移動し、くさび51,52の作用で制動板55が上昇して面圧
により上部紙積板25を移動できないように制動する。第
２図，第８図に符号57で示すものは、角ステー２に固定
されて紙16の前端を揃える複数個の定規である。

以上のように構成された給紙紙積装置の動作を説明す
る。まず直積みの場合には、フツク33を実線位置へ回動
させて昇降バー30と下部紙積板21とを係合させたのち、
昇降チエーン31の巻き上げにより昇降バー33を上昇させ
て両紙積板21,25を、ピン26がピン受け27から抜けるま
でわずかに上昇させると、前述したようにころ42がスト
ツパ56に着地してレバー43が水平姿勢となつていること
により、制動板54による面圧が解かれて上部紙積板25が
球面軸受24の支承により昇降バー30とともに水平方向に
固定の下部紙積板21に対して水平各方向へ移動自在にな
る。上部紙積板25上にパレツト15を置き、紙16を定規57
で紙端を揃えながらパレツト15上に載置したのち、昇降
バー30を上昇させると、昇降バー30は、上下の紙積板2
5,21および紙積台積載済のパレツト15を伴つて上昇し、
上昇を手動から自動に切替えることにより給紙が開始さ
れる。この場合、積載中は上部紙積板25が水平方向へ移
動自在であるから紙揃えに支障がなく、またこれより上
昇位置では上部紙積板25が面圧で固定されるので、給紙
が安定する。

次に機外積載の場合には、フツク33を鎖線位置へ回動
させて昇降バー30と下部紙積板21との係合を解き、上下
の紙積板25,21を、ピン26がピン受け27と係合する下降
限まで下降させる。この場合上部紙積板25は、面圧を解
かれているが、ピン26の係合により水平方向へは移動し
ない。このように準備したのち、機外の紙積位置におい
て、紙端を定規17で揃えながらパレツト15上に紙16を積
載し、定規17を開いてトロツコ11をレール10上で前進さ
せる。このとき上部紙積板25はピン26による位置決めで
側端がレール10と一直線かつ同一高さになつているの
で、トロツコ11は上部紙積板25上へ円滑に引き込まれ
る。そこで昇降バー30のバー受け35上へ一対の紙積バー
36を挿入し、昇降チエーン31の巻上げにより昇降バー30
を上昇させると、昇降バー30は紙積バー36を介して紙積
載のパレツト15のみを伴つて上昇し、上下の紙積板25,2
1とトロツコ11とは下降限位置に残される。すなわち、
上部紙積板25はレールの役目をするだけである。この場
合、上下の紙積板25,21はピン26,22で位置決め固定され
ているので、安定したトロツコ11の引き込みが行われ
る。そして直積みと機外積載との切替は、フツク33の回
動操作と両紙積板25,21のわずかな昇降のみでよく、短
時間で容易に切替が可能である。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように、本発明によれば枚
葉印刷機の給紙紙積装置において、給紙位置の床面に下
部紙積板を水平方向へ位置規制して昇降自在に載置し、
この上に昇降自在な上部紙積板を、下降限位置よりもや
ゝ上方において水平各方向へ移動可能にして載置すると
ともに、上部紙積板にはこの移動可能位置からの上昇動
作に連動して両紙積板を面圧で固定する制動部材を設
け、下部紙積板には回動によつて昇降バーの係合をトロ
ツコのパレツト側から下部紙積板側に切替えるフツクを
設けたことにより、簡単な構造でボルトの締付け等を必
要とせず、フツクの回動操作と、地面に対する両紙積板
の固定，非固定切替のための昇降操作との簡単な操作の
みで工具を用いることなくこの紙積装置を直積み式と機
外積載式とに切替えることができるので、簡単な操作で
両式への共用が可能になつて汎用性が向上し、その効果
が極めて大きい。また、直積みの紙積み時には上部紙積
板が移動可能であつて紙揃えが円滑に高精度で行われ、
給紙時には上部紙積板が制動によつて固定されるので、
給紙が安定し給紙性能が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図は本発明に係る枚葉印刷機の給紙紙
積装置の実施例を示し、第１図はその平面図、第２図は
第１図のAA断面図、第３図は第１図下端部のＢ視正面
図、第４図は第１図下部のＣ視拡大側面図、第５図は第
１図のDD断面図、第６図は第１図のＥ視側面図、第７図
は第１図のFF断面図、第８図は機外の積載装置も含めた
装置全体の正面図である。 ８……機外紙積装置、10……レール、11……トロツコ、
15……パレツト、16……紙、17……定規、20……ピツ
ト、21……下部紙積板、22……ピン、23……ピン受け、
24……球面軸受、25……上部紙積板、26……ピン、27…
…ピン受け、30……昇降レバー、31……昇降チエーン、
33……フツク、35……バー受け、36……紙積バー、40…
…カム軸、42……ころ、43……レバー、44……カム、45
……ころ軸、48……ころ、50……圧縮コイルばね、51,5
2……くさび、53……ホルダ、55……制動板、56……ス
トツパ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】給紙位置の床面に水平方向への移動を規制
   されて載置された昇降自在な下部紙積板とこの下部紙積
   板上に支承部材を介して水平各方向へ移動自在に載置さ
   れ機外紙積位置でパレツトを介して紙を積載したトロツ
   コを引込み可能なレール兼用上部紙積板と、この上部紙
   積板を下降限位置において水平方向への移動を規制しか
   つ昇降を許す規制部材と、この規制部材による移動規制
   解除位置では前記上部紙積板の水平方向への移動を許し
   この位置からの上部紙積板の上昇動作に連動してこの上
   部紙積板と下部紙積板とを面圧で固定する制動部材と、
   前記下部紙積板に水平方向へ回動自在に枢着されその回
   動操作により積載紙昇降用昇降バーの係合を前記トロツ
   コ上のパレツト側から前記下部紙積板側に切替えさせる
   フツクとを設けたことを特徴とする枚葉印刷機の給紙紙
   積装置。