JPH0611832Y2 - 製版印刷装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は製版印刷装置に係り、特に製版済みの孔版原紙
をストック部に一旦溜込み、その後、これを版胴に巻き
付けて印刷を行なう製版印刷装置に関する。

［従来の技術］ 従来の製版印刷装置には、製版済みの孔版原紙が巻装さ
れる版胴と製版部との間に、製版済みの孔版原紙を一時
的に貯め込んでおくためのストック部を備えたものがあ
る。このストック部を挟む上方の位置には、原紙送りロ
ーラと原紙排出ローラとが設けられている。そして前記
ストック部の上方で原紙送りローラと原紙排出ローラと
の間には揺動自在のガイド板が設けられ、搬送される原
紙の先端を必要に応じて案内するようになっている。

このような構成を有する従来の製版印刷装置の一例が、
例えば実開昭５９−１６９９６０号公報に開示されてい
る。この製版印刷装置によれば、原紙排出ローラにはワ
ンウェイクラッチが内蔵されて原紙搬送方向にゆるみ回
転するようになっているので、ストック部に一時貯め込
まれた製版済みの孔版原紙を、適度の張力を保持した状
態で原紙排出ローラから円滑に引き出して版胴に巻き付
けることができる。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、前記原紙排出ローラは、軸方向に連続し
た長い一対のローラによって構成されているわけではな
く、軸方向に所定間隔をおいて分割して設けられた比較
的短い複数のローラ対によって構成されている。従っ
て、版胴に巻き付けられる際に孔版原紙に与えられる張
力は、前記複数のローラ対によって挟持されている部分
にのみ作用し、搬送方向と直交する孔版原紙の幅方向に
均一に作用するわけではない。このため、版胴に巻き付
けられる上記孔版原紙はその搬送方向に皺が発生し、そ
のままの状態で巻き付けられて印刷されると、印刷され
た画像が歪んだり、また切れた途切れ途切れの画像にな
ってしまう。

本考案は上記の点に鑑み成されたもので、従来の原紙排
出ローラの構造を変えることなく、簡単な構成で、版胴
に巻き付けられる孔版原紙に対して均一かつ適度なテン
ションを与えることができる製版印刷装置を提供するこ
とを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 本考案の製版印刷装置は、製版部にて製版された孔版原
紙をストック部へ送り込む第一のローラと、前記ストッ
ク部に溜込まれた製版済みの孔版原紙を前記ストック部
より送り出して版胴方向へ搬送する第二のローラとを有
する製版印刷装置において、前記第一のローラと前記第
二のローラとの間に設けられ、前記孔版原紙の先端部を
前記版胴側へ搬送する場合には前記ストック部を閉状態
とし、前記製版済の孔版原紙を前記ストック部に溜込む
際には該ストック部を開状態とする揺動自在のガイド部
材と、ガイド部材と連動し、ストック部が前記閉状態に
ある時には前記孔版原紙の先端部の搬送を阻害しない位
置に設定され、ストック部が前記開状態にある時には前
記第二のローラに挟持された前記孔版原紙に所要の張力
を弾性的に与えるように付勢される可撓性の板部材であ
って、孔版原紙の幅方向に配置され該孔版原紙を弾圧す
る張力付与部材とを具備することを特徴としている。

また、本考案の他の製版印刷装置は、製版部にて製版さ
れた孔版原紙をストック部へ送り込む第一のローラと、
前記ストック部に溜込まれた製版済みの孔版原紙を前記
ストック部より送り出して版胴方向へ搬送する第二のロ
ーラとを有する製版印刷装置において、前記第二のロー
ラの近傍に設けられ、第二のローラに挟持された前記孔
版原紙を上面から案内する案内板と、前記第一のローラ
と前記第二のローラとの間に設けられ、前記孔版原紙の
先端部を前記版胴側へ搬送する場合には前記ストック部
を閉状態とし、前記製版済の孔版原紙を前記ストック部
に溜込む際には該ストック部を開状態とする揺動自在の
ガイド部材と、前記ガイド部材と一体に構成されて前記
案内板の下方に配設され、ストック部が前記閉状態にあ
る時には前記孔版原紙の先端部の搬送を阻害しないよう
に案内板から離れる方向に移動すると共に、ストック部
が前記開状態にある時には前記第二のローラを経て前記
版胴方向へ引き出される前記孔版原紙に所要の張力を与
えるように孔版原紙を前記案内板に弾性的に押圧する可
撓性の張力付与部材とを具備することを特徴としてい
る。

［作用］ ガイド部材によるストック部の開閉に応じて張力付与部
材が作動する。即ち、ガイド部材によってストック部が
閉状態とされた時には、孔版原紙の先端部が版胴方向に
搬送されるので、張力付与部材はこれを阻害しないよう
な位置に移動する。また、ガイド部材によってストック
部が開状態とされた時には、張力付与部材は孔版原紙に
弾性的に張力を与え、且つ孔版原紙の引っ張り方向に無
理が生じた時にはこの無理を吸収するので、第二のロー
ラから引き出されて版胴に巻付けられる原紙に皺が生じ
ることはなく、印刷された画像は製版画像に忠実な画像
となる。

請求項２の考案によれば、上記の作用において、ストッ
ク部が閉状態になると、ガイド板と一体の張力付与部材
は、案内板から離れる方向に移動することによって孔版
原紙と干渉しない位置に設定される。さらに、ストック
部が開状態になると、前記張力付与部材はガイド板に連
動して案内板の下面に孔版原紙を弾力的にで押し付け、
これによって版胴に巻付けられる原紙に所要の張力を与
える。

［実施例］ 本考案の一実施例を第１図〜第３図によって説明する。

第１図及び第２図は本実施例に係る製版印刷装置の構造
を示す模式的な断面図であり、第３図はその要部の斜視
図である。同図において１はロール状に巻成された連続
シート状の感熱孔版原紙（孔版原紙）である。この孔版
原紙１の案内部２には、孔版原紙１を搬送するための一
対の搬送ローラ３と孔版原紙１の存在を感知する検出セ
ンサ４が設けられている。

該搬送ローラ３の送り方向には、感熱式の製版手段であ
るサーマルヘッド５とプラテンローラ６から成る製版部
７が設けられている。このサーマルヘッド５には図示し
ない読取部から画像情報信号が送られるようになってお
り、該信号に基づいて、搬送ローラ３によって搬送され
てくる孔版原紙１を感熱製版するようになっている。

次に、前記製版部７の隣には、製版済みの孔版原紙１を
貯えておくためのストック部８が設けられている。スト
ック部８は、何回分にも相当する長さの孔版原紙１を貯
容しうるように箱状に形成されている。そして、ストッ
ク部８の上面開口の製版部７側には、製版部７からスト
ック部８内に孔版原紙１を送り込む第１のローラとして
の原紙送りローラ９（送りローラ９）が設けられてい
る。また、ストック部８の上面開口を間にして送りロー
ラ９の反対側には、第２のローラとしての原紙排出ロー
ラ１０（排出ローラ１０）が設けられており、ストック
部８内にある製版済みの原紙１を外部に取出して、後述
するカッタに送り込むことができるようになっている。
第３図に示すように、この排出ローラ１０は、軸方向に
所定間隔をおいて分割された合計３対の小ローラ１１に
よって構成されている。各小ローラ１１は共通の回転軸
１２及び駆動軸１３を有しており、駆動軸１３と小ロー
ラ１１の間には搬送方向にゆるみ回転するワンウェイク
ラッチが設けられている。

次に、前記回転軸１２と駆動軸１３の間で小ローラ１１
の設けられていない部分には、孔版原紙１の案内板１４
が設けられている。案内板１４は、排出ローラ１０によ
る孔版原紙１の挟持位置よりもやや上方の位置に水平に
設けられており、その下面で孔版原紙１を案内するよう
になっている。また、案内板１４の送りローラ９側は上
方に湾曲しており、送りローラ９から送られてくる孔版
原紙１を迎え入れ易いようになっている。

次に、前記送りローラ９と排出ローラ１０の間の位置、
即ち前記ストック部８の上方には、ガイド部材１５が設
けられている。ガイド部材１５は、排出ローラ１０に近
接して平行に設けられた回動軸１６に一端縁を固着され
ている。図示はしないが、この回動軸１６にはばね等の
付勢手段が設けられている。この付勢手段によってガイ
ド部材１５は常時下向きに回動付勢され、第２図に示す
下方の位置に設定されるようになっている。ガイド部材
１５がこの位置にある時、前記ストック部８は開状態と
される。また、前記回動軸１６には、図示しないソレノ
イド等の駆動手段が連動連結されている。この駆動手段
によって、ガイド部１５は前記付勢手段の力に抗して上
向きに回動され、第１図に示す略水平な位置に設定され
るようになっている。ガイド部材１５がこの位置にある
時、前記ストック部８は閉状態とされる。

次に、前記ガイド部材１５には、張力付与部材１７が一
体に設けられている。張力付与部材１７は、前記回動軸
１６に関してガイド部材１５と反対側、即ち排出ローラ
１０の側に設けられている。この張力付与部材１７は、
前記各案内板１４に対応した複数の舌片１７ａより成
り、各舌片１７ａは各案内板１４の下方にそれぞれ配設
されている。そして、張力付与部材１７は可撓性材料に
より構成されており、第２図に示すようにガイド部材１
５が下方の位置にある時には、張力付与部材１７は案内
板１４の下面に所要の弾性力をもって接触する。また第
１図に示すようにガイド部材１５が略水平な位置に設定
されると、張力付与部材１７は、これに連動して案内板
１４の下面から離れる方向に移動される。

次に、前記排出ローラ１０の排出方向隣部には、固定刃
１８と回転刃１９よりなるカッタ２０が設けられてい
る。そして、このカッタ２０の隣には、印刷部としての
版胴２１が設けられている。版胴２１は多孔構造の円筒
体により構成され、外周面には孔版原紙１の一端部を係
止するためのクランプ手段２２が設けられ、内部には図
示しないインキ供給装置が設けられている。そして、版
胴２１は、図示しない電動機によって図にて時計回り方
向に回転駆動されるようになっている。図示はしない
が、この版胴２１の下方には、ソレノイドの電磁力によ
って版胴の外周面へ向けて選択的に付勢されるプレスロ
ーラが設けられている。そして、プレスローラをはさむ
両側の位置には、該プレスローラと版胴２１の間に印刷
用紙を送り込む給紙装置と、印刷された印刷用紙を版胴
２１から剥ぎ取って排出させるための排紙装置とが設け
られている。

次に、以上の構成における作用を説明する。

孔版原紙１の先端を案内部２の搬送ローラ３に挟み、
図示しない操作パネルのローディングボタンを押す。す
ると、図示しない駆動手段によって回動軸１６が駆動さ
れ、下方位置にあったガイド部材１５は、第１図に示す
ように先端を送りローラ９に当接させた略水平な位置に
設定される。この時、ストック部８は閉状態となる。

孔版原紙１は、製版部７及び送りローラ９を通過し、
排出ローラ１０に入り、カッタ２０よりも少し先まで搬
送される。孔版原紙１の先端がカッタ２０を通過して突
出したことが図示しないセンサにより検知されると搬送
駆動は停止される。

ここで、送りローラ９と排出ローラ１０の間で孔版原紙
１が下方に落ち込んでも、該孔版原紙１はガイド部材１
５及び張力付与部材１７に案内されて排出ローラ１０に
確実に送り込まれる。また、張力付与部材１７は案内板
１４の下面から離れた位置にあるので、孔版原紙１の先
端部の搬送が阻害されることはない。

ここでカッタ２０が作動して孔版原紙１の先端を切断
し、孔版原紙１の初期位置が決まる。ここで、前記ガイ
ド部材１５の駆動手段による駆動が解除され、ガイド部
材１５は付勢手段によって第２図に示す下方位置に設定
される。ここで、ストック部８は開状態となる。

図示しない読取部において原稿が読取られる。製版部
７では、読取りに同期してサーマルヘッド５が孔版原紙
１を感熱穿孔すると共にプラテンローラ６がこれを搬送
していく。

プラテンローラ６に同期して、送りローラ９が駆動さ
れる。即ち、製版済みの孔版原紙１が前方に搬送されて
下方にたわみ、開状態のストック部８内に入り込んでい
く。

次に、排出ローラ１０が駆動して孔版原紙１が送ら
れ、で設定された孔版原紙１の先端が版胴２１のクラ
ンプ手段２２に送られてクランプされる。この孔版原紙
１の位置決めは、図示しないセンサによって行なう。

版胴２１が図示時計方向に回転し、製版済みの孔版原
紙１を所定長さだけ周面に巻付けたところで、カッタ２
０が孔版原紙１を切断する。

ここで、前記張力付与部材１７の各舌片１７ａは、各案
内板１４の下面に孔版原紙１を所定の力で弾力的に押し
付けている。このため、版胴２１が排出ローラ１０から
孔版原紙１を引き出す時には、孔版原紙１は、排出ロー
ラ１０によって挟持されている部分だけでなく、張力付
与部材１７と案内板１４で挟まれた他の部分にも所定の
張力を弾力的に受ける。即ち、版胴２１に巻き付けられ
る孔版原紙１の幅方向には、所要の張力が均一に作用す
ることになる。従って、版胴２１に巻き付けられる孔版
原紙１に皺が生じることはない。

版胴２１、プレスローラ、給紙装置及び排紙装置が作
動して孔版印刷が行なわれ、製版画像に忠実な高品位の
画像が得られる。

［考案の効果］ 本考案においては、ストック部の開口を開閉する揺動自
在のガイド板と、ストック部から孔版原紙を引き出して
版胴に巻き付ける時だけ、該原紙に弾性的な張力を与え
る可撓性の張力付与部材とを設け、さらにガイド板によ
るストック部の開閉操作に連動して前記張力付与部材が
操作されるようにしている。従って本考案によれば、孔
版原紙の版胴への巻き付け時に、孔版原紙に均一な所要
の弾性的な張力が与えられ且つ孔版原紙の引っ張り方向
に無理が生じた時には可撓性の張力付与部材がこの無理
を吸収するので、版胴に巻付けられた孔版原紙には皺が
なく、印刷された画像は製版画像に忠実な画像となる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例に係る製版印刷装
置の構造を示す模式的な断面図であり、第１図はストッ
ク部の閉状態を示し、第２図はストック部の開状態を示
す図である。また、第３図は同実施例の要部を示す斜視
図である。 １……感熱孔版原紙（孔版原紙）、 ７……製版部、８……ストック部、 ９……第１のローラとしての原紙送りローラ（送りロー
ラ）、 １０……第２のローラとしての原紙排出ローラ（排出ロ
ーラ）、 １４……案内板、１５……ガイド部材、 １７……張力付与部材、１７ａ……舌片、 ２１……版胴。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】製版部にて製版された孔版原紙をストック
   部へ送り込む第一のローラと、前記ストック部に溜込ま
   れた製版済みの孔版原紙を前記ストック部より送り出し
   て版胴方向へ搬送する第二のローラとを有する製版印刷
   装置において、 前記第一のローラと前記第二のローラとの間に設けら
   れ、前記孔版原紙の先端部を前記版胴側へ搬送する場合
   には前記ストック部を閉状態とし、前記製版済の孔版原
   紙を前記ストック部に溜込む際には該ストック部を開状
   態とする揺動自在のガイド部材と、 ガイド部材と連動し、ストック部が前記閉状態にある時
   には前記孔版原紙の先端部の搬送を阻害しない位置に設
   定され、ストック部が前記開状態にある時には前記第二
   のローラに挟持された前記孔版原紙に所要の張力を弾性
   的に与えるように付勢される可撓性の板部材であって、
   孔版原紙の幅方向に設置され該孔版原紙を弾圧する張力
   付与部材とを具備することを特徴とする製版印刷装置。
2. 【請求項２】製版部にて製版された孔版原紙をストック
   部へ送り込む第一のローラと、前記ストック部に溜込ま
   れた製版済みの孔版原紙を前記ストック部より送り出し
   て版胴方向へ搬送する第二のローラとを有する製版印刷
   装置において、 前記第二のローラの近傍に設けられ、第二のローラに挟
   持された前記孔版原紙を上面から案内する案内板と、 前記第一のローラと前記第二のローラとの間に設けら
   れ、前記孔版原紙の先端部を前記版胴側へ搬送する場合
   には前記ストック部を閉状態とし、前記製版済の孔版原
   紙を前記ストック部に溜込む際には該ストック部を開状
   態とする揺動自在のガイド部材と、 前記ガイド部材と一体に構成されて前記案内板の下方に
   配設され、ストック部が前記閉状態にある時には前記孔
   版原紙の先端部の搬送を阻害しないように案内板から離
   れる方向に移動すると共に、ストック部が前記開状態に
   ある時には前記第二のローラを経て前記版胴方向へ引き
   出される前記孔版原紙に所要の張力を与えるように孔版
   原紙を前記案内板に弾性的に押圧する可撓性の張力付与
   部材とを具備することを特徴とする製版印刷装置。