JP2502246Y2 - 孔版原紙の搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、孔版原紙ロール体から該孔版原紙を感熱製
版する製版部に正常な状態で供給することができる孔版
原紙の搬送装置に関するものである。

［従来の技術］ 感熱性の孔版原紙を用いる従来の製版印刷装置には、
サーマルヘッド及びプラテンローラを有する製版部と、
印刷部としての版胴を備えたものがある。このような製
版印刷装置では、製版部に供給れる孔版原紙に皺が生じ
ると、孔版原紙は折り重なった状態でサーマルヘッドと
プラテンローラに挟持されて穿孔されてしまうので、画
像の乱れを生じてしまう。これを防ぐため、サーマルヘ
ッドとプラテンローラを有する製版部に送り込まれる孔
版原紙に対してテンションを与え、これによって孔版原
紙に皺が生じるのを防いで正常な製版ができるようにし
ている。

［考案が解決しようとする課題］ 製版部に送り込まれる孔版原紙に対して常に一定のテ
ンションを与えることができれば、搬送時に孔版原紙に
皺が発生するのを防止することができる。しかしなが
ら、前述したような従来の装置においては、後述する要
因により、搬送される孔版原紙に加えられるテンション
の強さを常に一定に保つことはできず、テンションの強
さが変化することによって孔版原紙に皺が発生してしま
うという問題点があった。すなわち、孔版原紙ロール体
から孔版原紙を解いて製版装置に供給する場合、孔版原
紙が消費れるに従って孔版原紙ロール体の質量とロール
径が減少し、これにより製版部に搬送れる孔版原紙の張
力が変化する。例えば、孔版原紙ロール体の質量が減少
すると孔版原紙の張力は小さくなり、ロール径が小さく
なると案内部への進入角度が大きくなって案内部との摩
擦抵抗が増大すると共に、孔版原紙ロール体に作用する
回転モーメントが小さくなる（孔版原紙ロール体のロー
ル径が大きいときよりも孔版原紙ロール体を回転させる
ために強い力が必要となる）ため、孔版原紙の張力が増
大する。また孔版原紙ロール体は機枠に対しベアリング
を備えた高価な軸受によって支持されていないので、回
転は滑らかではない。

本考案は上記の点に鑑みてなされたものであり、上述
した要因により与えられるテンションの強さが変化して
も搬送される孔版原紙に皺を生じないような孔版原紙の
搬送装置を提供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 本考案の請求項１に記載した孔版原紙の搬送装置によ
れば、第１図〜第３図に示すように、孔版原紙（１）を
製版部（７）に供給する孔版原紙の搬送装置において、 連続シート状の孔版原紙（１）がロール状に巻かれて
なり機枠に回転可能に支持された孔版原紙ロール体と孔
版原紙（１）を感熱製版する製版部（７）との間に配設
され、孔版原紙ロール体から解かれた孔版原紙（１）を
製版部（７）へ案内する案内部（２）と、 該案内部（２）の入口（2a）に基部を固定し、該入口
（2a）よりも孔版原紙ロール体の側に自由端部を弾性変
形可能に延出し、製版部（７）へ搬送される孔版原紙
（１）と面接触し、該孔版原紙（１）の張力に応じて該
孔版原紙（１）から受ける圧力により自由端部を撓ませ
て孔版原紙（１）に摩擦抵抗を付与する板状の弾性部材
（11）を設けたことを特徴としている。

また、請求項２では、第３図に示すように、前記弾性
部材（11）には、前記孔版原紙（１）と接触して該孔版
原紙（１）に摩擦抵抗を与える抵抗部材（12）を重合状
に設けたことを特徴としている。

さらに、請求項３では、第４図に示すように、孔版原
紙（１）を入口（2a）でその搬送経路を変更させて製版
部（７）へ案内する案内部（２）の入口（2a）に固定す
る弾性部材としてのスポンジ（30）と該スポンジ（30）
の上面に重合状に固定する抵抗部材（31）とを具備し、
前記抵抗部材（31）が製版部（７）へ搬送される孔版原
紙（１）と面接触するとともに孔版原紙（１）からの圧
力により前記スポンジ（30）が厚み方向に変形して孔版
原紙（１）に摩擦抵抗を付与することを特徴としてい
る。

［作用］ 孔版原紙ロール体が巻き戻されて、孔版原紙が製版部
に供給されていく際、上述した要因により孔版原紙に与
えられるテンションの強さは変化する。ところが、この
孔版原紙は、搬送経路において弾性部材に接触してお
り、与えられたテンションの強さに応じて該弾性部材の
特に先端部分を孔版原紙平面と交差する方向に傾斜変形
させる。これによって、該孔版原紙はこの弾性部材から
上記テンションに応じた高摩擦抵抗を受ける。このよう
にして、テンションの変化に応じて孔版原紙に加わる摩
擦抵抗が変化するので、弾性部材より製版部の側に搬送
されている孔版原紙には皺が発生することはない。

［実施例］ 本考案は第１実施例を第１図〜第３図によって説明す
る。

第１図及び第２図は、孔版原紙の搬送装置を備えた製
版印刷装置の模式的な断面図である。

同図において１はロール状に巻成された連続シート状
の感熱孔版原紙（孔版原紙）である。この孔版原紙１の
搬送経路の一部である案内部２には、孔版原紙１を搬送
するための一対の搬送ローラ３と孔版原紙１の存在を感
知する検出センサ４が設けられている。また、案内部２
の入口2aには、弾性変形しうる板状の弾性部材11が、そ
の一縁部側において固定され、自由端側が揺動自在とな
るように設けられている。第３図（ａ）に示すように、
弾性部材11の上面には抵抗部材12が設けられており、弾
性部材11を弾性変形させて接触する孔版原紙１に高い摩
擦抵抗を与えるようになっている。本実施例における弾
性部材11としては、例えば樹脂フィルムを用いることが
できる。また、前記抵抗部材12としては、プラスチック
フィルムにシリコンゴムをコーティングした例えば住友
スリーエム株式会社製のロールカバリングテープNo.546
0等を用いることができる。

次に、前記搬送ローラ３の送り方向には、孔版原紙の
処理手段としての製版部７が設けられており、この製版
部７は、サーマルヘッド５とプラテンローラ６を有して
いる。このサーマルヘッド５には図示しない読取部から
画像情報信号が送られるようになっており、該信号に基
づいて、搬送ローラ３によって搬送されてくる孔版原紙
１を感熱製版するようになっている。

次に、前記製版部７の隣には、製版済みの孔版原紙１
を貯えておくためのストック部８が設けられている。ス
トック部８は、何回分にも相当する長さの孔版原紙１を
貯容しうるように箱状に形成されている。そして、スト
ック部８の上面開口の製版部７側には、製版部７からス
トック部８内に孔版原紙１を送り込む第１のローラとし
ての原紙送りローラ９（送りローラ９）が設けられてい
る。また、ストック部８の上面開口を間にして送りロー
ラ９の反対側には、第２のローラとしての原紙排出ロー
ラ10（排出ローラ10）が設けられており、ストック部８
内にある製版済みの原紙１を外部に取出して、後述する
カッタに送り込むことができるようになっている。

次に、前記排出ローラ10の排出方向隣部には、固定刃
20と回転刃21よりなるカッタ22が設けられている。そし
て、このカッタ22の隣には、孔版原紙の処理手段として
の印刷部23が設けられている。印刷部23が有する版胴24
は多孔構造の円筒体により構成され、外周面には孔版原
紙１の一端部を係止するためのクランプ手段25が設けら
れ、内部には図示しないインキ供給装置が設けられてい
る。そして、版胴24は、図示しない電動機によって図に
て時計回り方向に回転駆動されるようになっている。図
示はしないが、この版胴24の下方には、ソレイノイドの
電磁力によって版胴の外周面へ向けて選択的に付勢され
るプレスローラが設けられている。そして、プレスロー
ラをはさむ両側の位置には、該プレスローラと版胴24の
間に印刷用紙を送り込む給紙装置と、印刷された印刷用
紙を版胴24から剥ぎ取って排出させるための排紙装置と
が設けられている。

次に、以上の構成における作用を説明する。

第２図に示すように、孔版原紙１の先端を案内部２の
搬送ローラ３に挟み、該搬送ローラ３を駆動して孔版原
紙１を製版部７に搬送する。

第１図に示すように、孔版原紙１は、製版部７及び送
りローラ９を通過し、排出ローラ10に入り、カッタ22よ
りも少し先まで搬送される。孔版原紙１の先端がカッタ
22を通過して突出したことが図示しないセンサにより検
知されると搬送駆動は停止される。

ここでカッタ22が作動して孔版原紙１の先端を切断
し、孔版原紙１の初期位置が決まる。そして、図示しな
い読取部において原稿が読取られる。製版部７では、読
取りに同期してサーマルヘッド５が孔版原紙１を感熱穿
孔すると共にプラテンローラ６がこれを搬送していく。
また、プラテンローラ６に同期して、送りローラ９が駆
動される。

このような製版工程において、製版部７よりも手前側
にある孔版原紙１にはテンションが加わっているが、こ
のテンションは必ずしも一定ではなく、上述した種々の
要因によって変化する。ところが、第３図（ｂ）に示す
ように、孔版原紙１は案内部２の入口2aで弾性部材11を
変形させた状態で抵抗部材12に面接触している。第３図
（ｂ），（ｃ）に比較して示すように、弾性部材11の変
形量は孔版原紙１のテンションに対応して変わり、これ
に応じて孔版原紙１と抵抗部材12の間に生じる摩擦抵抗
も変化する。即ち、搬送時に孔版原紙１に加わるテンシ
ョンが大きいと、弾性部材11は大きく変形し、孔版原紙
１には大きな摩擦抵抗が加わるし、テンションが小さけ
ればこれとは逆の結果になる。これによって、孔版原紙
１に加えられるテンションが変化しても、摩擦抵抗がそ
の変化を吸収するので、結果として孔版原紙１にはテン
ションの変化を原因とする皺が発生することはない。

次に、第４図は第２実施例の要部を示す断面図であ
る。この実施例においては、案内部２の入口2aの上面に
沿って弾性部材としてのスポンジ30を設け、スポンジ30
の上面に抵抗部材31を設けている。このような構成で
も、孔版原紙１に加えられるテンションの変化に応じて
スポンジ30がその厚み方向に変形し、これによって抵抗
部材31が該孔版原紙１に与える摩擦抵抗が変化するの
で、上記テンションの変化によって孔版原紙１に皺が生
ずることはない。

以上説明した各実施例では、弾性部材11,30と抵抗部
材12,31を別体としたが、弾性部材にサンド処理等の表
面処理を施して高摩擦抵抗を生じるようにしてもよい。
また、ゴムを用いることにより、弾性部材と抵抗部材を
単一の部材で兼ねるようにしてもよい。

［考案の効果］ 本考案によれば、製版部に孔版原紙を導く案内部の入
口に、孔版原紙平面と交差する方向に特に先端部が傾斜
変形して摩擦抵抗を生じる弾性部材を設けて孔版原紙と
接触するようにしたので、孔版原紙ロール体の直径と質
量が変化することにより孔版原紙に加わるテンションが
搬送中に変動しても、孔版原紙と弾性部材との摩擦抵抗
がこれに応じて変わるので、該孔版原紙にはテンション
の変動に起因する皺が発生しないという効果がある。

請求項３では、案内部（２）の入口（2a）に固定する
弾性部材としてスポンジ（30）を用いているため、孔版
原紙の全幅方向に均一に無理なく傾斜変形して、孔版原
紙に皺が発生することを防止するとともに、孔版原紙に
無理なく部分張力を生じさせるということがない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の第１実施例に係る製版印刷
装置の模式的な断面図、第３図（ａ），第３図（ｂ），
第３図（ｃ）は、それぞれ同実施例における要部の形状
及び作用を比較して示す断面図、第４図は本考案の第２
実施例の要部を示す断面図である。 １……孔版原紙、２……案内部、2a……案内部の入口、
７……製版部、11……弾性部材、12……抵抗部材、23…
…印刷部、30……弾性部材としてのスポンジ、31……抵
抗部材。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】孔版原紙（１）を製版部（７）に供給する
   孔版原紙の搬送装置において、 連続シート状の孔版原紙（１）がロール状に巻かれてな
   り機枠に回転可能に支持された孔版原紙ロール体と孔版
   原紙（１）を感熱製版する製版部（７）との間に配設さ
   れ、孔版原紙ロール体から解かれた孔版原紙（１）を製
   版部（７）へ案内する案内部（２）と、 該案内部（２）の入口（2a）に基部を固定し、該入口
   （2a）よりも孔版原紙ロール体の側に自由端部を弾性変
   形可能に延出し、製版部（７）へ搬送される孔版原紙
   （１）と面接触し、該孔版原紙（１）の張力に応じて該
   孔版原紙（１）から受ける圧力により自由端部を撓ませ
   て孔版原紙（１）に摩擦抵抗を付与する板状の弾性部材
   （11）を設けたことを特徴とする孔版原紙の搬送装置。
2. 【請求項２】前記弾性部材（11）には、前記孔版原紙
   （１）と接触して該孔版原紙（１）に摩擦抵抗を与える
   抵抗部材（12）を重合状に設けたことを特徴とする請求
   項１に記載の孔版原紙の搬送装置。
3. 【請求項３】孔版原紙（１）を製版部（７）に供給する
   孔版原紙の搬送装置において、 連続シート状の孔版原紙（１）がロール状に巻かれてな
   り機枠に回転可能に支持された孔版原紙ロール体と孔版
   原紙（１）を感熱製版する製版部（７）との間に配設さ
   れ、孔版原紙ロール体から解かれた孔版原紙（１）を入
   口（2a）でその搬送経路を変更させて製版部（７）へ案
   内する案内部（２）と、 該案内部（２）の入口（2a）に固定する弾性部材として
   のスポンジ（30）と該スポンジ（30）の上面に重合状に
   固定する抵抗部材（31）とを具備し、 前記抵抗部材（31）が製版部（７）へ搬送される孔版原
   紙（１）と面接触するとともに孔版原紙（１）からの圧
   力により前記スポンジ（30）が厚み方向に変形して孔版
   原紙（１）に摩擦抵抗を付与することを特徴とする孔版
   原紙の搬送装置。