JPH06117371A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機

Info

Publication number
JPH06117371A
JPH06117371A JP26747192A JP26747192A JPH06117371A JP H06117371 A JPH06117371 A JP H06117371A JP 26747192 A JP26747192 A JP 26747192A JP 26747192 A JP26747192 A JP 26747192A JP H06117371 A JPH06117371 A JP H06117371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
compressor
alloy die
die casting
sliding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26747192A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Komine
健治 小峰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP26747192A priority Critical patent/JPH06117371A/ja
Publication of JPH06117371A publication Critical patent/JPH06117371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/04Heavy metals
    • F05C2201/0433Iron group; Ferrous alloys, e.g. steel
    • F05C2201/0448Steel
    • F05C2201/0457Cemented steel
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2253/00Other material characteristics; Treatment of material
    • F05C2253/12Coating

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮機の摺動部を構成する摺動部材の摩耗が
少なく、且つ長期使用による製品の信頼性を向上させる
ことができる圧縮機を提供する。 【構成】 圧縮機1の摺動部を構成する一方の摺動部材
7が窒化処理した鉄系材料にて形成され、他方の摺動部
材10が陽極酸化処理したアルミニウム合金ダイカスト
にて形成されているものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍機や空気調和機等に
使用される圧縮機に係り、特にその摺動部を形成する摺
動部材の構造を改良した圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、レシプロ圧縮機には、図8に示
す構成が採用されている。図示されているように、レシ
プロ圧縮機1は、密閉容器2内に収納された電動要素3
と圧縮要素4とから成っている。上記電動要素3はステ
ータ5とその内部で回転するロータ6とから成ってお
り、このロータ6に嵌挿されたシャフト7は上記圧縮要
素4へと延出されている。このシャフト7は主軸受8及
び副軸受9によって回転自在に支承されており、該シャ
フト7の両軸受8,9間に位置された部分には偏心部7
aが形成されている。このシャフト7の偏心部7aに
は、これを囲繞するようにコンロッド10が装着されて
いる。このコンロッド10には、ピストンピン11を介
してピストン12が取り付けられている。そして、この
ピストン12は、上記圧縮要素4のシリンダ室13を区
画形成するシリンダ14内に収納されている。
【0003】すなわち、上記ロータ6に嵌挿されたシャ
フト7の回転移動をその偏心部7aに装着されたコンロ
ッド10が直線移動に変換し、これにピストンピン11
を介して取り付けられたピストン12が上記シリンダ1
4内のシリンダ室13を往復移動することによって、冷
媒ガスを圧縮するように成っている。
【0004】従って、上記シャフト7とコンロッド10
とは摺動接触し、レシプロ圧縮機1の摺動部を構成する
摺動部材として機能するため、強度・硬度が高く、摺動
特性の良好な材料により形成されることが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の圧縮
機1にあっては、その圧縮効率の向上や振動の低減を目
的として、これを構成する部品の軽量化を図るべく、そ
れらのアルミニウム化が進められている。しかし、アル
ミニウムは、強度・硬度が低く、摺動特性も悪いため、
摺動接触による耐摩耗性に劣る材料である。従って、圧
縮機の長期使用による製品の信頼性に欠けるため、その
摺動部を構成する上記シャフト7やコンロッド10等の
摺動部材を形成するには適さないという問題があった。
従って、かかる摺動部材を形成する材料の改善が要望さ
れている。
【0006】本発明の目的は、上記課題に鑑み、圧縮機
の摺動部を構成する摺動部材の摩耗が少なく、且つ長期
使用による製品の信頼性を向上させることができる圧縮
機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係る圧縮機は、圧縮機の摺動部を構成する一方の
摺動部材が窒化処理した鉄系材料にて形成され、他方の
摺動部材が陽極酸化処理したアルミニウム合金ダイカス
トにて形成されているものである。
【0008】上記構成において、好ましくは、上記アル
ミニウム合金ダイカストに、陽極酸化処理により5〜2
0μmの改質被膜が形成されているものである。
【0009】また好ましくは、上記陽極酸化処理したア
ルミニウム合金ダイカスト上に、モリブデン硫化物が形
成されているものである。
【0010】さらに好ましくは、上記陽極酸化処理によ
りアルミニウム合金ダイカストに形成された改質被膜の
最表面が除去されているものである。
【0011】そして好ましくは、上記アルミニウム合金
ダイカストを陽極酸化処理する前に、そのチル層が除去
されているものである。
【0012】また好ましくは、上記鉄系材料が球状黒鉛
鋳鉄にて形成されているものである。
【0013】さらに好ましくは、上記窒化処理した鉄系
材料が、リン酸マンガン処理されているものである。
【0014】そして好ましくは、上記窒化処理した鉄系
材料が、リン酸マンガン処理された後二硫化モリブデン
処理されているものである。
【0015】
【作用】上記構成によれば、圧縮機の摺動部を構成する
一方の摺動部材を窒化処理した鉄系材料にて形成するの
で、この鉄系材料の表面に形成された窒化層により、該
摺動部材の耐摩耗性が向上する。また、他方の摺動部材
を形成するアルミニウム合金ダイカストは、高強度を有
している。このアルミニウム合金ダイカストは陽極酸化
処理されるので、その表面に形成された改質被膜によ
り、該摺動部材の摺動性は大きく改善されることにな
る。
【0016】また、上記他方の摺動部材を形成するアル
ミニウム合金ダイカストに、陽極酸化処理により5〜2
0μmの改質被膜を形成するようにすれば、上記一方の
摺動部材としての窒化処理した鉄系材料に対して、良好
な耐摩耗性が得られ、長期使用による製品の信頼性が大
巾に向上するものである。このように改質被膜の厚さを
5〜20μmとしたのは、この改質被膜が5μmより薄
いと硬度の低いアルミニウム母材の影響により変形し
て、当該被膜の耐摩耗性が低下するからである。また、
この改質被膜が20μmより厚いと、上記窒化処理した
鉄系材料に対する相対的な耐摩耗性が減少するからであ
る。
【0017】さらに、この改質被膜が形成されたアルミ
ニウム合金ダイカスト上に、モリブデン硫化物を形成す
れば、この硫化物により摩擦係数が低下し、潤滑性が良
くなるため、さらに摺動性が改善されるものである。
【0018】そして、上記アルミニウム合金ダイカスト
に形成された改質被膜の最表面を除去するようにすれ
ば、むらのない均一なモリブデン硫化物が形成されるも
のである。
【0019】また、上記アルミニウム合金ダイカストを
陽極酸化処理する前に、そのチル層を除去すれば、高強
度でかつ良好な摺動性を有する軽量な摺動部材を形成す
ることができ、圧縮機の圧縮効率の向上や振動の低減が
図れるものである。これは、上記アルミニウム合金ダイ
カストが急激に冷却されると、その鋳物表面に非常に硬
くて緻密なチル層が形成されるため、薄肉でも強度の高
い鋳物になるが、その反面、このチル層は陽極酸化処理
を行う際の妨げとなるからである。
【0020】さらに、上記鉄系材料を球状黒鉛鋳鉄にて
形成すれば、その球状黒鉛により窒化後の表面粗さが良
好で被膜の保有性も良くなる。従って、上記アルミニウ
ム合金ダイカストに形成された陽極酸化層の摩耗が少な
くなり、長期使用による製品の信頼性が大巾に向上する
ものである。
【0021】そして、この窒化処理した球状黒鉛鋳鉄に
リン酸マンガン処理を施せば、そのリン酸塩被膜によ
り、潤滑性が向上するものである。
【0022】加えて、上記窒化処理した球状黒鉛鋳鉄に
リン酸マンガン処理を施した後、二硫化モリブデン処理
を施せば、上記リン酸塩被膜上にモリブデン硫化物が形
成され、この硫化物により摩擦係数が低下し、さらに潤
滑性が良くなるため、その摺動性が改善されるものであ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る圧縮機の好適な実施例を
添付図面に基づいて詳述する。
【0024】まず、本実施例においても従来装置と同様
のレシプロ圧縮機を用いるので、上述した図8に基づ
き、その全体構成を説明する。
【0025】図中、レシプロ圧縮機1の外観は密閉容器
2にて形成され、この密閉容器2は上部容器2aと下部
容器2bとから成っている。これら上部容器2a及び下
部容器2bは、溶接接合により密閉封止されている。そ
して、この密閉容器2内の上部には電動要素3が収納さ
れており、下部には圧縮要素4が収納されている。
【0026】上記電動要素3は、円筒状のステータ5と
その内部で回転駆動されるロータ6とから成っている。
このロータ6の軸心部にはシャフト7が嵌挿されてお
り、該シャフト7は上記圧縮要素4へと垂下されてい
る。そして、このシャフト7は、上記圧縮要素4を区画
する主軸受8及び副軸受9によって回転自在に支承され
ている。
【0027】また、上記シャフト7の両軸受8,9間に
位置された部分には、クランク状の偏心部7aが形成さ
れている。このシャフト7の偏心部7aには、これを囲
繞するようにメガネ状のコンロッド10が装着されてい
る。すなわち、コンロッド10内に上記シャフト7の偏
心部7aが挿通されている。このコンロッド10には、
ピストンピン11を介して円柱状のピストン12が取り
付けられている。そして、このピストン12は上記圧縮
要素4のシリンダ室13を区画形成する円筒状のシリン
ダ14内に収納されている。このピストン12は、上記
ロータ6に嵌挿されたシャフト7の回転移動がその偏心
部7aに装着されたコンロッド10によって直線移動に
変換されることにより、上記ピストンピン11を介して
シリンダ14内のシリンダ室13を往復移動して、冷媒
ガスを圧縮するように成っている。
【0028】さて、第1の実施例は、図1に示すような
シャフト7が窒化処理した鉄系材料により構成され、図
2に示すようなコンロッド10が陽極酸化処理したアル
ミニウム合金ダイカスト上にモリブデン硫化物を形成し
た材料により構成されたものである。これらシャフト7
とコンロッド10とは摺動接触し、本実施例のレシプロ
圧縮機1の摺動部を構成する摺動部材として機能してい
る。
【0029】具体的には、一方の摺動部材としてのシャ
フト7は、例えば、FC材等の鋳鉄にてシャフト形状を
形成し、これに窒化処理を施したものである。上記コン
ロッド10と摺動接触する部分はシャフト7の偏心部7
aであるので、少なくともこの偏心部7aに窒化処理が
施されていれば良い。
【0030】また、他方の摺動部材としてのコンロッド
10は、例えば、ADC−10等のアルミニウム合金ダ
イカストにてコンロッド形状を形成し、これに陽極酸化
処理を施した後、その表面にモリブデン硫化物を形成し
たものである。このアルミニウム合金ダイカストには、
陽極酸化処理により10μmの厚さの改質被膜が形成さ
れている。本実施例にあっては10μmの厚さの改質被
膜を形成したが、この改質被膜は5〜20μmの範囲の
厚さでアルミニウム合金ダイカスト表面に形成されるこ
とが望ましい。さらに、この改質被膜の形成されたアル
ミニウム合金ダイカスト上には、例えば、二硫化モリブ
デン処理により上記モリブデン硫化物が形成されてい
る。この二硫化モリブデン処理に際して、モリブデン硫
化物を健全に形成するには、上記アルミニウム合金ダイ
カストの表面に形成された材質的に不安定でバラつきの
ある改質被膜の最表面を研削することが望ましい。上記
シャフト7の偏心部7aと摺動接触する部分はコンロッ
ド10の内周面10aであるので、少なくともこの内周
面10aに上記陽極酸化処理及び二硫化モリブデン処理
が施されていれば良い。
【0031】次に、第1の実施例における作用を述べ
る。
【0032】上述したように、レシプロ圧縮機1の摺動
部を構成する一方の摺動部材としてのシャフト7が鋳鉄
にて形成され、これに窒化処理が施されるので、この鋳
鉄の表面に形成された窒化層により該シャフト7の耐摩
耗性を向上させることができる。
【0033】また、他方の摺動部材としてのコンロッド
10がアルミニウム合金ダイカストにて形成されるの
で、薄肉材を使用しても簡便に高強度の摺動部材を実現
することができる。さらに、このアルミニウム合金ダイ
カストには陽極酸化処理が施されるので、その表面に形
成された改質被膜により、その摺動性を大きく改善する
ことができる。この改質被膜は、緻密なバリヤー層と多
孔質のポーラス層からなり、その組成は非晶質のAl2
3 である。
【0034】ところで、本実施例のように、この改質被
膜の形成されたアルミニウム合金ダイカストが窒化処理
された鋳鉄と摺動接触する場合、この改質被膜が薄過ぎ
ると硬度の低いアルミニウム母材の影響により変形し
て、その耐摩耗性が低下することになる。しかし、この
改質被膜を厚くすると、窒化処理された鋳鉄に対する相
対的な耐摩耗性が減少することになる。これは、図3に
示されているように、改質被膜を厚くすることにより、
ポーラス層Pの孔径Dが増大するからである。
【0035】ここで図4は、改質被膜の厚さと摺動部材
の摩耗量との関係を示すグラフである。図示されている
ように、改質被膜の厚さが5〜20μmの範囲で摺動部
材の摩耗量が少ないことが判る。尚、図4における摩耗
量は両摺動部材の摩耗量の合計を示している。従って、
上記アルミニウム合金ダイカストの表面に、陽極酸化処
理により5〜20μmの改質被膜を形成するようにすれ
ば、窒化処理された鋳鉄と摺動接触しても、良好な耐摩
耗性を得ることができ、長期使用による製品の信頼性を
大巾に向上することができるものである。
【0036】第1の実施例がこのような優れた作用効果
を奏するのを確認すべく、図5に示すような比較実験を
行った。図示されているように、ADC−10とFC材
との組合せを比較例1とし、陽極酸化処理したADC−
10とFC材との組合せを比較例2として、本実施例と
の比較により摩耗量を検討した。その結果、本実施例に
おける双方の摺動部材は、比較例1,2に比して、極め
て良好な耐摩耗性を有することが判った。
【0037】また、上記改質被膜が形成されたアルミニ
ウム合金ダイカストに、例えば、二硫化モリブデン処理
を施して、その表面にモリブデン硫化物を形成すれば、
この硫化物により摩擦係数が低下し、潤滑性が良くなる
ため、さらに摺動性を改善することができる。さらに、
この二硫化モリブデン処理に際して、上記アルミニウム
合金ダイカストに形成された改質被膜の最表面を除去す
るようにすれば、上記ポーラス層が調整され、その表面
にモリブデン硫化物をむらなく均一に形成することがで
きるものである。
【0038】第2の実施例では、図1に示した一方の摺
動部材としてのシャフト7が、窒化処理した鉄系材料に
リン酸マンガン処理を施した材料より構成されている。
具体的には、このシャフト7はFCD−600等の球状
黒鉛鋳鉄にてシャフト形状を形成し、これにガス窒化処
理を施した後、これに化学反応によるリン酸マンガン処
理を施したものである。第1の実施例と同様に、上記コ
ンロッド10と摺動接触する部分はシャフト7の偏心部
7aであるので、少なくともこの偏心部7aに上記窒化
処理及びリン酸マンガン処理が施されていれば良い。或
いは、球状黒鉛鋳鉄にて形成したシャフト7に窒化処理
及びリン酸マンガン処理を施した後、これに二硫化モリ
ブデン処理を施しても良い。
【0039】また、図2に示した他方の摺動部材として
のコンロッド10は、例えば、ADC−12等のアルミ
ニウム合金ダイカストにてコンロッド形状を形成し、そ
の表面のチル層を除去した後、これに陽極酸化処理を施
し、さらにその表面にモリブデン硫化物を形成したもの
である。すなわち、アルミニウム合金ダイカストの表面
のチル層が除去された後、陽極酸化処理が施されること
により、その表面には改質被膜が形成されている。さら
に、この改質被膜の形成されたアルミニウム合金ダイカ
スト上には、上記二硫化モリブデン処理により上記モリ
ブデン硫化物が形成されている。第1の実施例と同様
に、上記シャフト7の偏心部7aと摺動接触する部分は
コンロッド10の内周面10aであるので、少なくとも
この内周面10aに陽極酸化処理及び二硫化モリブデン
処理が施されていれば良い。
【0040】次に、第2の実施例における作用を述べ
る。
【0041】上述したように、上記アルミニウム合金ダ
イカストが急激に冷却されると、その鋳物表面には非常
に硬くて緻密なチル層が形成される。このアルミニウム
合金ダイカストは薄肉材でも強度の高い鋳物になるが、
その反面、上記チル層はバリヤーとなって陽極酸化処理
を行う際の妨げとなる。ここで図6は、陽極酸化処理に
より形成される改質被膜の厚さとチル層の有無との関係
を示すグラフである。図示されているように、チル層を
除去した方がADC−12上に改質被膜が形成され易い
ことが判る。すなわち、上記アルミニウム合金ダイカス
トにて形成したコンロッド10の摺動面である内周面1
0aのチル層を少なくとも除去して、上記陽極酸化処理
を行えば、該内周面10aに良好な改質被膜を得ること
ができる。従って、高強度でかつ良好な摺動性を有し、
かつ軽量のコンロッド10を形成することができ、圧縮
機の圧縮効率の向上や振動の低減を図ることができるも
のである。
【0042】また、上記コンロッド10と摺動接触する
シャフト7を構成する材料としては窒化処理を施した鋳
鉄が適し、特に球状黒鉛鋳鉄が極めて良好である。これ
は、球状黒鉛鋳鉄中の球状黒鉛が窒化後の表面粗さを良
好にし、被膜の保有性を良くするため、上記陽極酸化処
理によりアルミニウム合金ダイカストの表面に形成され
た陽極酸化層の摩耗を少なくして、長期使用による製品
の信頼性を大巾に向上することができるものである。
【0043】第2の実施例がこのような優れた作用効果
を奏するのを確認すべく、図7に示すような比較実験を
行った。図示されているように、ADC−12とFC−
250との組合せを比較例3とし、陽極酸化処理したA
DC−12とガス窒化したFC−250との組合せを比
較例4として、本実施例との比較により摩耗量を検討し
た。その結果、本実施例における双方の摺動部材は、比
較例3,4に比して、極めて良好な耐摩耗性を有するこ
とが判った。
【0044】また、この窒化処理した球状黒鉛鋳鉄にリ
ン酸マンガン処理を施せば、そのリン酸塩被膜により、
潤滑性を向上させることができる。或いは、このリン酸
マンガン処理を施した後、二硫化モリブデン処理を施せ
ば、上記リン酸塩被膜上には化学反応により結晶が均一
に形成されているので、モリブデン硫化物が結晶の隙間
や孔等に入り込みやすくなる。従って、鉄系材料に直接
二硫化モリブデン処理を施す場合に比べて剥離しにくく
なる。また、この硫化物により摩擦係数が低下し、さら
に潤滑性が良くなるため、その摺動性を改善することが
できるものである。
【0045】尚、上記レシプロ圧縮機1において、摺動
部材としてシャフト7及びコンロッド10を例に説明し
たが、これに限らず、ロータリ圧縮機やスクロール圧縮
機の摺動部を構成する摺動部材にも適用することができ
る。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る圧縮機
によれば、その摺動部を構成する摺動部材の摩耗が少な
く、且つ長期使用による製品の信頼性を向上させること
ができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧縮機のシャフトを示す概略図で
ある。
【図2】本発明に係る圧縮機のコンロッドを示す概略図
である。
【図3】改質被膜を厚さとポーラス層の孔径との関係を
示し、(a)は膜厚が薄い状態の説明図、(b)は膜厚
が厚い状態の説明図である。
【図4】改質被膜の厚さと摺動部材の摩耗量との関係を
示すグラフである。
【図5】第1の実施例と比較例1,2との摩耗量の比較
結果を示すグラフである。
【図6】陽極酸化処理により形成される改質被膜の厚さ
とチル層の有無との関係を示すグラフである。
【図7】第2の実施例と比較例3,4との摩耗量の比較
結果を示すグラフである。
【図8】従来の圧縮機を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮機 7 摺動部材(シャフト) 10 摺動部材(コンロッド)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機の摺動部を構成する一方の摺動部
    材が窒化処理した鉄系材料にて形成され、他方の摺動部
    材が陽極酸化処理したアルミニウム合金ダイカストにて
    形成されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 【請求項2】 上記アルミニウム合金ダイカストに、陽
    極酸化処理により5〜20μmの改質被膜が形成されて
    いる請求項1に記載の圧縮機。
  3. 【請求項3】 上記陽極酸化処理したアルミニウム合金
    ダイカスト上に、モリブデン硫化物が形成されいる請求
    項1または請求項2に記載の圧縮機。
  4. 【請求項4】 上記陽極酸化処理によりアルミニウム合
    金ダイカストに形成された改質被膜の最表面が除去され
    ている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の圧縮
    機。
  5. 【請求項5】 上記アルミニウム合金ダイカストを陽極
    酸化処理する前に、そのチル層が除去されている請求項
    1乃至請求項4のいずれかに記載の圧縮機。
  6. 【請求項6】 上記鉄系材料が球状黒鉛鋳鉄にて形成さ
    れている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の圧縮
    機。
  7. 【請求項7】 上記窒化処理した鉄系材料が、リン酸マ
    ンガン処理されている請求項1乃至請求項6のいずれか
    に記載の圧縮機。
  8. 【請求項8】 上記窒化処理した鉄系材料が、リン酸マ
    ンガン処理された後二硫化モリブデン処理されている請
    求項1乃至請求項6のいずれかに記載の圧縮機。
JP26747192A 1992-10-06 1992-10-06 圧縮機 Pending JPH06117371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26747192A JPH06117371A (ja) 1992-10-06 1992-10-06 圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26747192A JPH06117371A (ja) 1992-10-06 1992-10-06 圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06117371A true JPH06117371A (ja) 1994-04-26

Family

ID=17445308

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26747192A Pending JPH06117371A (ja) 1992-10-06 1992-10-06 圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06117371A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100378332C (zh) * 2002-12-16 2008-04-02 松下冷机株式会社 冷媒压缩机和使用该冷媒压缩机的冷冻机
JP2009270551A (ja) * 2008-05-12 2009-11-19 Panasonic Corp 密閉型圧縮機
JP2009275645A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Mitsubishi Electric Corp ロータリ圧縮機

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100378332C (zh) * 2002-12-16 2008-04-02 松下冷机株式会社 冷媒压缩机和使用该冷媒压缩机的冷冻机
US7422423B2 (en) 2002-12-16 2008-09-09 Matsushita Refrigeration Company Refrigerant compressor, and refrigerating machine using the same
JP2009270551A (ja) * 2008-05-12 2009-11-19 Panasonic Corp 密閉型圧縮機
JP2009275645A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Mitsubishi Electric Corp ロータリ圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4944663A (en) Rotary compressor having oxidizing and nitriding surface treatment
US6089843A (en) Sliding member and oil pump
JP2000110719A (ja) 密閉形コンプレッサと開放形コンプレッサ
JPH05271928A (ja) 摺動部材とその製法並びにその用途
JP2842421B2 (ja) 圧縮機の鉄系摺動部品及びこれの表面処理方法と圧縮機
JP6948578B2 (ja) 冷媒圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPH06117371A (ja) 圧縮機
JP4069839B2 (ja) 摺動装置とその製造法及び冷媒圧縮機
US11959670B2 (en) Refrigerant compressor and freezer including same
JPH06159242A (ja) 冷媒圧縮機
JPS6345479A (ja) 斜板式圧縮機
WO2018092854A1 (ja) 冷媒圧縮機及びそれを備えた冷凍装置
JPH05340364A (ja) スクロール圧縮機
JP3802840B2 (ja) 摺動部材
JP2006348343A (ja) 摺動部材、圧縮機の摺動部材および摺動部材の製造方法
JPH02248676A (ja) スクロール形流体機械
JPH1122677A (ja) ロータリ圧縮機
JPH03162559A (ja) 摺動部材およびそれを用いた圧縮機
JPH0436458A (ja) 摺動部品およびこれを用いた周波数可変型冷媒圧縮機
JPH1088203A (ja) 圧縮機用摺動部品材料およびその製造方法
JP2784437B2 (ja) 圧縮機用ベーン
JPH0551707A (ja) 圧縮機用耐摩耗材料
JP2010101232A (ja) 冷媒圧縮機
JP2686244B2 (ja) 回転式冷媒ガス圧縮機およびその製造方法
JPH06207253A (ja) 鉄基摺動部品材料