JPH06116451A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物

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JPH06116451A
JPH06116451A JP510793A JP510793A JPH06116451A JP H06116451 A JPH06116451 A JP H06116451A JP 510793 A JP510793 A JP 510793A JP 510793 A JP510793 A JP 510793A JP H06116451 A JPH06116451 A JP H06116451A
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JP
Japan
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group
cyclic olefin
polymer
modified
propylene
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Application number
JP510793A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Hirose
瀬 敏 行 広
Yurimasa Zenitani
谷 百合正 銭
Akinori Toyoda
田 昭 徳 豊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明のオレフィン樹脂組成物は、[A]変性
プロピレン系重合体:100重量部と、[B]特定の構
造式で表される環状オレフィン系重合体の変性物:5〜
100重量部と、[C]アミノ基含有化合物:0.001
〜10重量部と接触させて得られうる組成物である。こ
こで環状オレフィン系重合体は、(イ)特定の環状オレフ
ィン系ランダム共重合体、(ロ)特定の環状オレフィン開
環重合体、(ハ)環状オレフィン開環共重合体、および、
(ニ)上記(ロ)または(ハ)の水素添加物である。 【効果】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、耐熱
性、耐衝撃性、剛性、成形性、耐傷付性、耐薬品性、耐
溶剤性等の特定のバランスがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、耐熱性、耐衝撃性、剛
性、成形性、耐傷付性、耐薬品性、耐溶剤性のバランス
に優れたポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】剛性および衝撃強度のバランスに
優れた合成樹脂としては、ポリカーボネート、ABS
(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)
等が知られている。例えばポリカーボネートは優れた剛
性を有すると共に、耐熱性、耐衝撃性にも優れた樹脂で
ある。
【0003】しかし、ポリカーボネートは耐薬品性に劣
り、例えば強アルカリと接触すると容易に侵される。さ
らに、このポリカーボネートには吸水率が大きいという
問題もある。また、ABSは機械的性質には優れるもの
の、耐薬品性、耐熱性、耐光性に劣るという問題があ
る。このため、これらの樹脂は、耐薬品性、耐水性等を
要求される用途には一般には使用されていない。
【0004】上記のような樹脂とは別に、耐薬品性、耐
溶剤性および耐光性に優れている樹脂としてポリプロピ
レンが知られている。しかしながら、このポリプロピレ
ンは、剛性、耐熱性、寸法安定性に劣る。ポリプロピレ
ンの剛性、耐熱性、寸法安定性を改良する方法として、
ポリプロピレンにタルク、マイカ等の無機フィラーを配
合する方法が採用されているが、こうした無機フィラー
の配合によっては、耐熱性が充分には改良されない。ま
た無機フィラーの配合によって樹脂自体の比重が大幅に
増加するといった問題もある。
【0005】ところで、剛性、耐熱性、耐薬品性に優れ
た合成樹脂として、エチレンと特定の嵩高な環状オレフ
ィンとからなる環状オレフィン系ランダム共重合体が知
られている(特開昭60-168,708号、同61-115,912号、同
61-115,916号、同62-120,816号等の公報参照)。
【0006】しかしながら、これらの環状オレフィン系
ランダム共重合体は、耐衝撃性が充分ではなく、また、
特定の炭化水素系溶剤に侵され易いといった問題があっ
た。そこで、環状オレフィン系ランダム共重合体におけ
るこれらの問題点を改良するため、ポリプロピレンを含
む結晶性ポリオレフィンと環状オレフィン系ランダム共
重合体との組成物が提案されている(特開平1-318,054
号公報参照)。
【0007】この組成物は、剛性、耐熱性の優れている
が、用途によっては、必ずしも充分な耐衝撃性を有して
いない場合がある。また、この組成物では、ポリプロピ
レンと環状オレフィン系ランダム共重合体の相溶性が充
分でないために、成形品に層状剥離を生ずるといった問
題がある。
【0008】
【発明の目的】本発明は上記のような課題に鑑みなされ
たものであって、成形体に層状剥離が発生しないように
組成物を形成する成分の相溶性が改善され組成物であっ
て、かつ、耐熱性、耐衝撃性、剛性、成形性、耐傷付
性、耐薬品性、耐溶剤性のバランスが優れた成形体を製
造可能なポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目
的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、
[A]プロピレン系重合体を不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体で変性した変性プロピレン系重合体:100重
量部と、該変性プロピレン系重合体100重量部に対
し、[B]下記(イ)〜(ニ)よりなる群から選ばれる少なく
とも1種の環状オレフィン系重合体を不飽和カルボン酸
またはその誘導体で変性した変性環状オレフィン系重合
体:5〜100重量部と、[C]アミノ基含有化合物:
0.001〜10重量部とを接触させて得られうること
を特徴としている。
【0010】(イ) エチレンと次式[I]または[II]で
表される環状オレフィンとの共重合体であって、135℃
のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/g
の範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上であるエチ
レン・環状オレフィン系ランダム共重合体。
【0011】(ロ) 次式[I]または[II]で表される環
状オレフィンの開環重合体であって、135℃のデカリン
中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲にあ
り、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オレフィン
開環重合体。
【0012】(ハ) 次式[I]または[II]で表される2
種以上の環状オレフィンの開環共重合体であって、135
℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl
/gの範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上である環
状オレフィン開環共重合体。
【0013】(ニ) 上記(ロ)または(ハ)の水素添加物。
【0014】
【化3】
【0015】…[I] 上記式[I]中、nは0または1であり、mは0または
正の整数であり、rは0または1であり、R1 〜R18
a、Rbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子
および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子もしくは
基を表し、R15〜R18は、互いに結合して単環または多
環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重
結合を有していてもよく、また、R15とR16とで、また
はR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよ
い。
【0016】
【化4】
【0017】…[II] 上記式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数で
あり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R19
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族
炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およ
びアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基
を表し、R9が結合している炭素原子とR13が結合して
いる炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11
が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3
のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n
=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに
結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
い。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリオレフィ
ン樹脂組成物について具体的に説明する。本発明のポリ
オレフィン樹脂組成物は、不飽和カルボン酸またはその
誘導体で変性された変性プロピレン系重合体[A]と、
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性環
状オレフィン系重合体[B]と、アミノ基含有化合物
[C]とを接触させて得られうる組成物である。
【0019】なお、本発明において重合体という場合に
は、重合体は、特に限定しない限り、単独重合体および
共重合体の両者を含む概念で用いられる。以下、この変
性プロピレン系重合体[A]、変性環状オレフィン系重
合体[B]、アミノ基含有化合物[C]について順次説
明する。
【0020】変性プロピレン系重合体[A] 本発明に係る変性プロピレン系重合体[A]の原料であ
るプロピレン系重合体は結晶性プロピレン系重合体であ
り、プロピレンのホモ重合体、ランダム共重合体、ブロ
ック共重合体を含んでいる。また230℃、2.16kg荷重で
測定したメルトフローレートは、通常は0.05〜150g/1
0分、好ましくは0.1〜100g/10分である。これらのプ
ロピレン系重合体は単独で用いることもできるし、2種
類以上を混合して用いることもできる。なお、この変性
プロピレン系重合体[A]は、2,000Kg/cm2を超え
る弾性率を有している。
【0021】上記のプロピレン系ランダム共重合体、プ
ロピレン系ブロック共重合体を形成するプロピレン以外
のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位、あるい
はジエン化合物から誘導される繰り返し単位等の例とし
ては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、
4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンのような
α-オレフィンから誘導される繰り返し単位;1,4-ヘキ
サジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジ
エン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オク
タジエンのような鎖状非共役ジエンから誘導される繰り
返し単位;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエ
ン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネ
ン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノル
ボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-ク
ロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンのような
環状非共役ジエンから誘導される繰り返し単位;2,3-ジ
イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イ
ソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノ
ルボルナジエン等のα-オレフィン化合物あるいはジエ
ン化合物から誘導される繰り返し単位を挙げることがで
きる。このようなα-オレフィンから誘導される繰り返
し単位あるいはジエン化合物から誘導される繰り返し単
位の含有量は、通常は1〜20モル%、好ましくは2〜15
モル%である。
【0022】本発明では、上記のようなプロピレン系重
合体を不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変
性した変性物を使用する。ここで使用される不飽和カル
ボン酸またはその誘導体の例としては、アクリル酸、マ
レイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナ
ジック酸TM(エンドシス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エ
ン-2,3-ジカルボン酸)を挙げることができる。さら
に、上記の不飽和カルボン酸の誘導体の例としては、不
飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不
飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび
不飽和カルボン酸のエステル化合物を挙げることができ
る。このような誘導体の具体的な例としては、塩化マレ
ニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリ
シジルマレエートを挙げることができる。
【0023】これらのグラフトモノマーは、単独で使用
することもできるし、組み合わせて使用することもでき
る。上記のようなグラフトモノマーのうちでは、不飽和
ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、さらにマ
レイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸無水物が特に
好ましい。
【0024】本発明で使用される変性プロピレン系共重
合体は、例えば上記のようなグラフトモノマーとプロピ
レン系共重合体とを、従来公知の種々の方法を採用して
変性することにより製造することができる。例えば、前
記プロピレン系共重合体を溶融させ、グラフトモノマー
を添加してグラフト共重合させる方法、あるいはプロピ
レン系重合体を溶媒に溶解させグラフトモノマーを添加
してグラフト共重合させる方法、グラフトモノマーを未
溶融のプロピレン系重合体に含浸させ固相状態でグラフ
ト共重合させる方法等がある。さらに、グラフト変性プ
ロピレン系重合体を製造する方法としては、未変性プロ
ピレン系重合体を所望のグラフト変性率になるようにグ
ラフトモノマーを配合して変性する方法、予め高グラフ
ト変性率のグラフト変性プロピレン系重合体を調製し、
この高変性率のプロピレン系重合体を未変性プロピレン
系重合体で希釈して所望の変性率のグラフト変性プロピ
レン系重合体を製造する方法がある。本発明において
は、いずれの方法により製造したグラフト変性プロピレ
ン系重合体を使用することができる。そして、本発明に
おいて使用されるグラフト変性プロピレン系重合体の変
性率は、通常は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜4
重量%の範囲内にある。
【0025】このような反応は、前記グラフトモノマー
を効率よくグラフト共重合させるために、ラジカル開始
剤の存在下に反応させることが好ましい。グラフト反応
は通常60〜350℃の温度で行われる。
【0026】ラジカル開始剤としては、有機過酸化物が
好ましく使用され、このようなラジカル開始剤の具体的
な例としては、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベン
ゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-
ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキ
シベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(tert-ブチル
ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオ
キシド、tert-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,
5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert
-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルフェニルア
セテート、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチ
ルペル-sec-オクトエート、tert-ブチルペルピバレー
ト、クミルペルピバレートおよびtert-ブチルペルジエ
チルアセテートを挙げることができる。さらに本発明に
おいてはラジカル開始剤としてアゾ化合物を使用するこ
ともでき、このアゾ化合物の具体的な例としては、アゾ
ビスイソブチロニトリルおよびジメチルアゾイソブチレ
ートを挙げることができる。
【0027】これらのうちでは、ラジカル開始剤とし
て、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、
ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t
ert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5
-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(te
rt-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジア
ルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
【0028】上記のようなラジカル開始剤は、未変性プ
ロピレン系重合体100重量部に対して通常0.001〜5重量
部の範囲の量で使用される。変性環状オレフィン系重合体[B] 本発明で用いる不飽和カルボン酸またはその誘導体で変
性された変性環状オレフィン系重合体[B]は、以下
(イ)〜(ニ)に示される環状オレフィン系重合体または共重
合体を不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性した変
性物である。
【0029】(イ)エチレンと次式[I]または[II]で表
される環状オレフィンとの共重合体であって、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの
範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上であるエチレ
ン・環状オレフィン系ランダム共重合体。
【0030】(ロ)次式[I]または[II]で表される環状
オレフィンの開環重合体であって、135℃のデカリン中
で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲にあ
り、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オレフィン
開環重合体。
【0031】(ハ)次式[I]または[II]で表される2種
以上の環状オレフィンの開環共重合体であって、135℃
のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/g
の範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状
オレフィン開環共重合体。
【0032】(ニ)上記(ロ)または(ハ)の水素添加物。これ
らの重合体または共重合体は1種単独で、または2種以
上を組み合わせて用いることができる。
【0033】まず、上記変性環状オレフィン系重合体
[B]を形成する環状オレフィンについて説明する。ま
ず、次式[I]で表される環状オレフィンについて説明
する。
【0034】
【化5】
【0035】・・・[I]ただし、上記式[I]において、
nは0または1であり、mは0または正の整数であり、
rは0または1である。なお、rが1の場合には、Ra
およびRbは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化
水素基を表し、rが0の場合には、それぞれの結合手が
結合して5員環を形成する。
【0036】また、R1〜R18ならびにRaおよびR
bは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または
炭化水素基である。ここで、ハロゲン原子としては、例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原
子を挙げることができる。また、炭化水素基としては、
それぞれ独立に、通常は、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数3〜15のシクロアルキル基を挙げることが
できる。より具体的にはアルキル基の例としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基を挙げることができる。またシクロ
アルキル基の例としては、シクロヘキシル基を挙げるこ
とができる。
【0037】さらに、上記式[I]において、R15とR
16とが、R17とR18とが、さらにR1 5とR17とが、R16
とR18とがR15とR18とが、あるいは、R16とR17とが
それぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環
の構造を形成していてもよく、しかも、このようにして
形成された単環または多環の構造が二重結合を有してい
てもよい。
【0038】ここで単環または多環の構造の例を以下に
示す。
【0039】
【化6】
【0040】なお、上記の例示した構造において、1お
よび2の番号を賦した炭素原子は、式[I]において、
15(R16)およびR17(R18)で表される基が結合し
ている脂環構造の炭素原子を表す。
【0041】また、R15とR16とで、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素数2〜20のアルキリデ
ン基を挙げることができ、具体的な例としては、エチリ
デン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙
げることができる。
【0042】次に式[II]で表される環状オレフィンに
ついて説明する。
【0043】
【化7】
【0044】・・・[II]ただし、上記式[II]におい
て、pは0または正の整数であり、好ましくは0〜3で
ある。また上記式[II]において、mおよびnは0、1
または2である。さらに、qは0または正の整数であ
り、好ましくは0または1である。
【0045】そして、R1〜R19は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここ
で、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子およびヨウ素原子を挙げることができ
る。また、炭化水素基の例としては、炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数5〜15のシクロアルキル基、炭素
数6〜12の芳香族基を挙げることができる。アルキル
基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、イソプ
ロピル基、イソブチル基、n-アミル基、ネオペンチル
基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基および2-
エチルヘキシル基等を挙げることができる。シクロアル
キル基の具体的な例としては、シクロヘキシル基、メチ
ルシクロヘキシル基およびエチルシクロヘキシル基等を
挙げることができる。また、芳香族基の具体的な例とし
ては、アリール基およびアラルキル基を挙げることがで
き、具体的にはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベ
ンジル基、フェニルエチル基およびビフェニル基等を挙
げることができる。これらの基は低級アルキル基を有し
ていてもよい。
【0046】アルコキシ基の例としては、メトキシ基、
エトキシ基およびプロポキシ基を挙げることができる。
これらの基はハロゲン原子で置換されていてもよい。ま
た、上記式[II]において、R9およびR10が結合して
いる炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR11
が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわ
ち、上記2個の炭素原子がアルキレン基を介して結合し
ている場合には、R9とR13とが、または、R10とR11
とが互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基
(-CH2CH 2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)のうちの
いずれかの基を形成していることが好ましい。
【0047】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の好ましい例と
しては、n=m=0のときR15とR12がさらに芳香族環
を形成している以下に記載する基を挙げることができ
る。
【0048】
【化8】
【0049】上記式において、qは式[II]におけるの
と同じ意味である。前記式[I]または[II]で表わさ
れる環状オレフィンは、シクロペンタジエン類と相応す
るオレフィン類あるいは相当する環状オレフィン類と
を、ディールス・アルダー反応を利用して縮合させるこ
とにより製造することができる。
【0050】本発明において使用される上記式[I]で
表わされる環状オレフィンとしては、具体的には、以下
に記載する化合物およびこれらの誘導体を挙げることが
できる。
【0051】ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシク
ロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ペンタシク
ロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ヘキサデセ
ン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3
-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン
誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-
ペンタデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシ
クロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エ
イコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.1
12,17.02,7.011,16]-5-エイコセン誘導体、ヘプタシク
ロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘン
エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.
012,17]-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.
14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-ペ
ンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.
116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘
導体。
【0052】1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフル
オレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒ
ドロアントラセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物。
【0053】そして、上記のような式[I]および[I
I]で表される環状オレフィンの具体的な化合物の例と
しては、以下に記載する化合物を挙げることができる。
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】環状オレフィン系ランダム共重合体(イ)
は、上記のような環状オレフィンとエチレンとの共重合
体である。この共重合体はエチレンから誘導される繰り
返し単位を通常は40〜85モル%、好ましくは50〜
75モル%の範囲内の量で含有しており、環状オレフィ
ンから誘導される繰り返し単位を、通常は15〜60モ
ル%、好ましくは25〜50モル%の範囲内の量で含有
している。上記エチレンから誘導される繰り返し単位と
環状オレフィンから誘導される繰り返し単位とはランダ
ムに、かつ実質状線状に配列されている。
【0077】この環状オレフィン系ランダム共重合体
(イ)は、エチレンおよび前記環状オレフィンを必須成分
とするものであるが、これらの必須の二成分の他に本発
明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合
可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。任意に
共重合されていてもよい不飽和単量体として、具体的に
は、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テト
ラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコ
セン等の炭素原子数が3〜20のα-オレフィン等を例示
することができる。環状オレフィン系ランダム共重合体
(イ)は、上記他の不飽和単量体から誘導される繰り返し
単位を、エチレンから誘導される繰り返し単位に対し
て、等モル未満の量で含有していてもよい。
【0078】さらに、本発明においては、上記のような
環状オレフィン系ランダム共重合体を製造するに際し
て、得られる重合体等の物性を損なわない範囲で、前記
式[I]または[II]で表される環状オレフィン以外の
環状オレフィンを重合させることもできる。このような
環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シク
ロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロヘキ
セン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1
-シクロヘキセン、2,3,3a,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ
-1H-インデン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H
-インデン等を挙げることができる。このような他の環
状オレフィンは単独で、あるいは組み合わせて使用する
ことができ、通常、0〜50モル%の量で用いられる。
【0079】環状オレフィン系ランダム共重合体中にお
けるエチレン組成および環状オレフィン組成は、この共
重合体について13C-NMRを測定することにより測定
することができる。また、この環状オレフィン系ランダ
ム共重合体が実質状線状であり、ゲル状架橋構造を有し
ていないことは、この共重合体が135℃のデカリンに
完全に溶解することによって確認することができる。
【0080】このような環状オレフィン系ランダム共重
合体(イ)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
は、0.05〜10dl/gであることが必要であり、0.08〜5dl
/gの範囲にあることが好ましい。
【0081】また、環状オレフィン系ランダム共重合体
(イ)についてサーマル・メカニカル・アナライザーで測
定した軟化温度(TMA)は、70℃以上であることが必
要であり、90〜250℃であることが好ましく、100〜200
℃であることが特に好ましい。本発明では、軟化温度
(TMA)は、デュポン社製Thermomechanical Analyse
r を用いて厚さ1mmのシートの熱変形挙動により測定し
た値である。具体的には、シート上に石英製針をのせて
この石英製針に荷重49gをかけ、5℃/分の昇温速度で
昇温し、石英製針がシートに0.635mm侵入した温度をT
MAとした。
【0082】また、環状オレフィン系ランダム共重合体
のガラス転移温度(Tg)は、通常は50〜230℃、好まし
くは70〜210℃の範囲にある。また、この環状オレフィ
ン系ランダム共重合体(イ)についてX線回析法によって
測定した結晶化度は、通常は0〜10%、好ましくは0〜
7%、特に好ましくは0〜5%の範囲にある。
【0083】上記のエチレンと式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとの反応は、通常は、炭化水
素溶媒中で行われる。ここで使用される炭化水素溶媒と
しては脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭
化水素のいずれの溶媒をも使用することができる。さら
に環状オレフィンランダム共重合体の調製の際に使用で
きる重合性不飽和単量体のうちで反応条件において液体
である化合物を反応溶媒として用いることもできる。こ
れらの溶媒は単独で、あるいは組合わせて使用すること
ができる。
【0084】上記のエチレンと式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとの反応の際に用いられる触
媒は、通常は、反応溶媒に対して可溶性のバナジウム化
合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒であ
る。
【0085】この共重合に際して触媒として用いられる
バナジウム化合物としては、式 VO(OR)ab、若
しくは式 V(OR)cdで表わされる化合物を挙げる
ことができる。
【0086】ただし、上記の式において、Rは炭化水素
基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、
0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4の関係を有す
る。さらにここで使用されるバナジウム化合物は、上記
式で表わされるバナジウム化合物の電子供与体付加物で
あってもよい。ここで付加物を形成する電子供与体の例
としては、炭素原子数1〜18のアルコール類、炭素原
子数6〜20のフェノール類(このフェノール類は、低
級アルキル基を有してよい)、炭素原子数3〜15のケ
トン類、炭素原子数2〜15のアルデヒド類、炭素原子
数2〜30の有機酸エステル類、炭素原子数2〜15の
酸ハライド類、炭素原子数2〜20のエーテル類、アミ
ン類、アルコキシシラン類を挙げることができる。これ
らの電子供与体は、単独であるいは組合わせて使用する
ことができる。
【0087】この共重合に際して使用される有機アルミ
ニウム化合物は、分子内に少なくとも1個のAl-炭素
結合を有する化合物である。この有機アルミニウム化合
物の例としては、(i)式 R1 mAl(OR2npq
で表わされる有機アルミニウム化合物(ここでR1およ
びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が通常は1〜1
5個、好ましくは1〜4個の炭化水素基を表し、Xはハ
ロゲン、mは0≦m≦3、nは0≦n<3、pは0≦n
<3、qは0≦q<3の数であって、しかもm+n+p
+q=3である)、(ii)式 M1AlR1 4 で表わされ
る第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(ここ
でM1はLi、NaまたはKであり、R1は前記と同じ意味
である)を挙げることができる。
【0088】上記の反応において、バナジウム化合物の
使用量は、バナジウム原子として、通常は0.01〜5
グラム原子/リットル、好ましくは0.05〜3グラム
原子/リットルの範囲内にある。また、有機アルミニウ
ム化合物の使用量は、重合反応系内のバナジウム原子に
対するアルミニウム原子の比(Al/V)として表す
と、通常は2以上、好ましくは2〜50、特に好ましく
は3〜20の範囲内にある。
【0089】環状オレフィン系ランダム共重合体(イ)中
で、環状オレフィン[I]または[II]は、それぞれ次
式[I-a]または[II-a]で表わされる繰り返し単位を
形成していると考えられる。
【0090】
【化31】
【0091】・・・[I-a]上記式[I-a]において、n、
m、r、R1 〜R18、Ra、Rbは、前記式[I]におけ
るのと同じ意味である。
【0092】
【化32】
【0093】・・・[II-a]上記式[II-a]において、
p、q、m、n、R1〜R19は、前記式[II]における
のと同じ意味である。
【0094】なお、上記のような135℃のデカリン中で
測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲にあり、
軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オレフィン系重
合体の他に、所望により、軟化温度(TMA)が70℃未満
である他の環状オレフィン系重合体を配合して用いても
よい。
【0095】環状オレフィン開環重合体(ロ)または環状
オレフィン開環共重合体(ハ)は、前記式[I]または[I
I]で表される環状オレフィンの開環重合体または開環
共重合体である。
【0096】このような環状オレフィン開環重合体(ロ)
または環状オレフィン開環共重合体(ハ)について、135℃
のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.05〜10dl
/gであることが必要であり、0.08〜5dl/gの範囲にある
ことが好ましい。
【0097】また、環状オレフィン開環重合体(ロ)また
は環状オレフィン開環共重合体(ハ)についてサーマル・
メカニカル・アナライザーで測定した軟化温度(TM
A)は、70℃以上であることが必要であり、90〜250℃
であることが好ましく、100〜200℃であることが特に好
ましい。
【0098】また、環状オレフィン開環重合体(ロ)また
は環状オレフィン開環共重合体(ハ)のガラス転移温度
(Tg)は、通常は50〜230℃、好ましくは70〜210℃の
範囲にある。
【0099】また、この環状オレフィン開環重合体(ロ)
または環状オレフィン開環共重合体(ハ)についてX線回
析法によって測定した結晶化度は、通常は0〜10%、好
ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲にあ
る。
【0100】この環状オレフィン開環重合体(ロ)または
環状オレフィン開環共重合体(ハ)は、前記式[I]または
[II]で表される環状オレフィンを、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、オスミウム、インジウムおよび白金
のような金属のハロゲン化物、これらの金属の硝酸塩ま
たはこれらの金属のアセチルアセトン化合物と、還元剤
とからなる触媒;チタン、パラジウム、ジルコニウムお
よびモリブデンのような金属のハロゲン化物またはこれ
らの金属のアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウ
ムとからなる触媒の存在下に(共)重合させることによ
り製造することができる。
【0101】環状オレフィン開環重合体(ロ)または環状
オレフィン開環共重合体(ハ)において、環状オレフィン
[I]または[II]は、それぞれ次式[I-b]または[II
-b]で表わされる繰り返し単位を形成していると考えら
れる。
【0102】
【化33】
【0103】・・・[I-b]上記式[I-b]において、n、
m、r、R1 〜R18、Ra、Rbは、前記式[I]におけ
るのと同じ意味である。
【0104】
【化34】
【0105】・・・[II-b]上記式[II-b]において、
p、q、m、n、R1〜R19は、前記式[II]における
のと同じ意味である。
【0106】上記環状オレフィン開環重合体(ロ)または
環状オレフィン開環共重合体(ハ)の水素添加物(ニ)は、上
記のようにして得られた環状オレフィン開環重合体(ロ)
あるいは開環共重合体(ハ)を水素添加触媒の存在下に水
素で還元することにより製造することができる。
【0107】このような水素添加物(ニ)について、135℃
のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.05〜10dl
/gであることが必要であり、0.08〜5dl/gの範囲にある
ことが好ましい。
【0108】また、水素添加物(ニ)についてサーマル・
メカニカル・アナライザーで測定した軟化温度(TM
A)は、70℃以上であることが必要であり、90〜250℃
であることが好ましく、100〜200℃であることが特に好
ましい。
【0109】また、水素添加物(ニ)のガラス転移温度
(Tg)は、通常は50〜230℃、好ましくは70〜210℃の
範囲にある。また、この水素添加物(ニ)についてX線回
析法によって測定した結晶化度は、通常は0〜10%、好
ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲にあ
る。
【0110】上記環状オレフィン開環重合体または開環
共重合体の水素添加物(ニ)中で環状オレフィン[I]また
は[II]は、それぞれ次式[I-c]または[II-c]で表
わされる繰り返し単位を形成していると考えられる。
【0111】
【化35】
【0112】・・・[I-c]上記式[I-b]において、n、
m、r、R1 〜R18、Ra、Rbは、前記式[I]におけ
るのと同じ意味である。
【0113】
【化36】
【0114】・・・[II-c]上記式[II-b]において、
p、q、m、n、R1〜R19は、前記式[II]における
のと同じ意味である。
【0115】本発明で用いる環状オレフィン系重合体
は、上記の外、特開昭60-168708号、同61-120816号、同
61-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-27
2216号、同62-252406号および同62-252407号等の公報に
おいて本出願人が提案した方法に従い適宜条件を選択す
ることにより、製造することができる。
【0116】変性環状オレフィン系重合体[B]は、上
記環状オレフィン系重合体を不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体で変性することにより得られる。変性環状オレ
フィン系重合体[B]は、前述したプロピレン系重合体
の変性方法に準じて製造することができる。
【0117】また、上記グラフト変性の際に用いられる
不飽和カルボン酸(誘導体)、有機過酸化物の具体的な
例についても、前述した変性プロピレン系重合体を製造
する際に用いられるものと同様の物が例示できる。
【0118】上記変性環状オレフィン系重合体[B]中
におけるグラフトモノマーのグラフト量は、通常は0.
01重量%〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%の
範囲内にある。グラフト量が上記範囲内にある変性環状
オレフィン系重合体[B]は、変性プロピレン系共重合
体[A]に対する相溶性がよい。なお、この変性環状オ
レフィン系重合体[B]は、全体としての変性率が上記
範囲内にあれば、グラフト変性された環状オレフィン系
重合体と未変性の環状オレフィン系重合体との混合物で
あってもよい。
【0119】本発明の樹脂組成物は、変性プロピレン系
重合体[A]100重量部に対して、変性環状オレフィ
ン系重合体[B]を、5〜100重量部、好ましくは5
〜50重量部、特に好ましくは10〜40重量部の範囲
内の量で含有している。このような量で環状オレフィン
系重合体[B]を用いることにより、成形体の耐熱性、
耐衝撃性、剛性、耐傷付性が向上する。
【0120】アミノ基含有化合物[C] 本発明の樹脂組成物は、上記変性プロピレン系重合体
[A]と、変性環状オレフィン系重合体[B]と、アミ
ノ基含有化合物[C]とを接触させることにより得るこ
とができる組成物である。
【0121】アミノ基含有化合物[C]としては、分子
内に少なくとも2個のアミノ基を有する化合物を使用す
ることができる。このようなアミノ基含有化合物[C]
としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレ
ン)トリアミン、1,3,6-トリスアミノメチルヘキサン、
トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレングリコ
ール、ビスプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピ
ルアミン等の脂肪族アミン;メンセンジアミン、イソフ
ォロンジアミン、ビス(4-アミノ-3- メチルシクロヘキ
シル)メタン、N-アミノエチルピペラジン、1,3-ジアミ
ノシクロヘキサン等の脂環族アミン;メタキシリレンジ
アミン等の芳香族アミン;o-、m-、p-フェニレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルス
ルホン、2,4-ジアミノアニソール、2,4-トルエンジアミ
ン、2,4-ジアミノジフェニルアミン、4,4'-メチレンジ
アニリン、ジアミノジキシリルスルホン等の芳香族アミ
ン;3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラス
ピロ[5,5]ウンデカン等のビススピロ環ジアミン;およ
び上記アミノ基含有化合物[C]を構成する窒素原子に
直接結合している水素原子の一部または全部を炭素数1
〜5のアルキル基で置換したアミノ基含有化合物等を挙
げることができる。
【0122】これらのアミノ基含有化合物のなかでも、
脂肪族アミンが好ましく、さらにヘキサメチレンジアミ
ンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンが特に好ま
しい。
【0123】このようなアミノ基含有化合物[C]は単
独で、あるいは組み合わせて使用することができる。本
発明の樹脂組成物は、変性プロピレン系重合体[A]1
00重量部に対して、上記アミノ基含有化合物[C]
を、0.001〜10重量部、好ましくは0.05〜5重
量部、特に好ましくは0.1〜3重量部の範囲内の量で
含有している。
【0124】上記のような量で配合されたアミノ基含有
化合物[C]は、変性プロピレン系重合体[A]および
変性環状オレフィン系重合体[B]とを接触させること
により、その少なくとも一部が、変性プロピレン系重合
体[A]および/または変性環状オレフィン系重合体
[B]と結合し、さらにその一部は変性プロピレン系重
合体[A]分子相互間、変性プロピレン系重合体[A]
分子と変性環状オレフィン系重合体[B]分子との間、
および、変性環状オレフィン系重合体[B]分子相互間
に架橋構造を形成すると考えられる。しかも、変性プロ
ピレン系重合体[A]、変性環状オレフィン系重合体
[B]およびアミノ基含有化合物[C]の三者を混合し
て接触させることにより、均一な架橋構造が形成され、
成形体の耐熱性、耐衝撃性、剛性、耐傷付性、耐薬品
性、耐溶剤性のバランスが良好になる。また、上記のよ
うな量でアミノ基含有化合物[C]を用いることによ
り、架橋構造が形成されることによっても組成物の成形
性が低下することはない。
【0125】ゴム状弾性体[D] また、本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物には、衝
撃強度を向上させるためゴム状弾性体[D]を配合する
ことができる。ここで定義するゴム状弾性体とは、弾性
率が0.1kg/cm2〜20,000kg/cm2であり、好ましくは10k
g/cm2〜150,00kg/cm2であり、特に好ましくは10kg/c
m2〜10,000kg/cm2である。なお弾性率は、ASTM TYPE 4
に準拠した形状を有する厚さを2mmを用いて、チャック
間を64mm、引張速度を50mm/分として測定された値であ
る。
【0126】このゴム状弾性体としては、具体的には、
エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムおよびプロピレ
ン・α-オレフィン共重合体ゴムを例示することができ
る。上記のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを構
成するα-オレフィンとしては、炭素数3〜20のα-オレ
フィン(例:プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘ
キセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン
およびこれらの混合物)を挙げることができる。このう
ち特に炭素数3〜10のα-オレフィンが好ましい。 ま
た、プロピレン・α-オレフィン共重合体ゴムを構成す
るα-オレフィンとしては、炭素数4〜20のα-オレフィ
ン(例:1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-
1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合
物)を挙げることができる。このうち特に炭素数4〜10
のα-オレフィンが好ましい。
【0127】なお、このα-オレフィン共重合体ゴム
は、α-オレフィン共重合体ゴムの特性を損なわない範
囲内で、ジエン化合物から誘導される繰り返し単位等の
ような、α-オレフィン以外の単量体から誘導される繰
り返し単位を含んでいてもよい。
【0128】例えば、本発明で使用されるα-オレフィ
ン共重合体ゴムに含まれることが許容される繰り返し単
位としては、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-
メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエ
ン、7-メチル-1,6-オクタジエンのような鎖状非共役ジ
エンから誘導される繰り返し単位;シクロヘキサジエ
ン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデ
ン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボル
ネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデ
ン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル
-2-ノルボルネンのような環状非共役ジエンから誘導さ
れる繰り返し単位;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボ
ルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボル
ネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等のジエン
化合物から誘導される繰り返し単位を挙げることができ
る。このようなジエンから誘導される繰り返し単位は、
単独であるいは組み合わされていてもよい。α-オレフ
ィン共重合体ゴム中における、上記ジエンから誘導され
る繰り返し単位の含有量は、通常は1〜20モル%、好
ましくは2〜15モル%である。
【0129】上記α-オレフィン共重合体ゴムのうち、
エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムにおいては、エ
チレンとα-オレフィンとのモル比(エチレン/α-オレ
フィン)は、α-オレフィンの種類によっても異なる
が、一般に1/99〜99/1、好ましくは30/70
〜95/5である。プロピレン・α-オレフィン共重合
体ゴムでは、プロピレンとα-オレフィンとのモル比
(プロピレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種
類によっても異なるが、一般に30/70〜95/5で
ある。
【0130】さらに本発明で使用するゴム状弾性体とし
て、上記のようなα-オレフィン共重合体ゴム以外に、
芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはそ
の水素化物を用いることができ、具体的には、スチレン
・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・
イソプレン・スチレンブロック共重合体、水添スチレン
・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、水添スチレ
ン・イソプレン・スチレンブロック共重合体等を用いる
ことができる。また、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポ
リイソプレン、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム
等を使用することも可能である。
【0131】また、本発明においては、上記のようなゴ
ム状弾性体に不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性
したグラフト変性ゴム状弾性体を使用することもでき
る。グラフト変性ゴム状弾性体は、組成物の衝撃強度等
の機械的特性の改良効果に優れているので好ましい。
【0132】本発明の樹脂組成物は、変性プロピレン系
重合体[A]100重量部に対して、上記ゴム状弾性体
[D]を、0〜200重量部、好ましくは5〜150重
量部、特に好ましくは10〜100重量部の範囲内の量
で含有している。
【0133】また上記グラフト変性ゴム状弾性体を配合
した場合には、ゴム状弾性体[D]と変性プロピレン系
重合体[A]との間、ゴム状弾性体[D]と変性環状オ
レフィン系重合体[B]との間にも、架橋構造が形成さ
れる。
【0134】また、本発明に係る環状オレフィン樹脂組
成物には、必要に応じ、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電
防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、
滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等を配合
することができ、その配合割合は適宜量である。
【0135】本発明においては、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、ポリオレフィン樹脂組成物にシリカ、ケイ
藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石
粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カ
ルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カ
ルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラ
ス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシ
ウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイ
ト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭
化ケイ素繊維等の無機フィラーを配合してもよい。
【0136】本発明にポリオレフィン樹脂組成物は、上
記の変性プロピレン系重合体[A]、変性環状オレフィ
ン系重合体[B]、アミノ基含有化合物[C]および所
望により添加される他の成分を接触させることにより製
造することができる。この接触方法には公知の方法を採
用することができる。例えば、変性プロピレン系重合体
[A]、変性環状オレフィン系重合体[B]、アミノ基
含有化合物[C]および所望により添加される他の成分
を押出機、ニーダー等で機械的にブレンドする方法、あ
るいは、各成分を適当な良溶媒、例えばヘキサン、ヘプ
タン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の炭化水素溶媒に同時に溶解し、またはそれ
ぞれ別々に溶解した後混合し、溶媒を除去する方法さら
にはこれらの二つの方法を組み合わせて行う方法等を挙
げることができる。
【0137】これらのなかでも、変性プロピレン系重合
体[A]、変性環状オレフィン系重合体[B]、アミノ
基含有化合物[C]および所望により添加される他の成
分を混合して、少なくとも変性プロピレン系重合体
[A]および変性環状オレフィン系重合体[B]が溶融
する温度以上に加熱しながら混練する方法が好ましい。
【0138】本発明のポリオレフィン樹脂組成物から
は、耐熱性、耐衝撃性、剛性、強度、成形性、耐傷付
性、耐光性、耐溶剤性、耐薬品性のバランスに優れた成
形体を製造することができる。従って本発明のポリオレ
フィン樹脂組成物は、これらの特性が要求される自動車
部品、機械ハウジング、機械部品を形成するための樹脂
組成物として好適に使用することができる。
【0139】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性、剛
性、強度、成形性、耐傷付性、耐光性、耐溶剤性、耐薬
品性のバランスに優れた環状オレフィン系樹脂組成物を
提供することが可能になる。
【0140】また、本発明に係る環状オレフィン系樹脂
組成物は、上記のような特性に優れるだけでなく、各種
樹脂および金属等の異種材料に対する熱接着性に顕著に
優れているため、各種樹脂との積層体、金属被覆等の用
途に好適に使用することができる。具体的には、下記
(1)〜(3)に例示される自動車部品、機械ハウジング、機
械部品や、その他建材用ガスケット、土木または建築用
防水シート、工業用ホースもしくはチューブ類、家電用
ハウジング、スポーツ用品、事務用品等の用途に広く利
用することができる。
【0141】(1) 自動車部品 インストウルメントパネル、コンソールボックス、ドア
トリム、ピラー、メータークラスター、コラムカバー、
グリルドアミラー、フェンダー、ボンネット、ラジエタ
ーグリル、サイドプロテクトモール、バンパー、ソフト
フェイシア、マッドガード、グラスランチャネル、ウイ
ンドシールドガスケット。
【0142】(2) 機械ハウジング 工具(電動工具)、事務器(ワープロ、パソコン、複写
機、プリンター、FDD、CRT)、精密機器(カメ
ラ)、家電製品(電子レンジ、電気釜、冷蔵庫、ポッ
ト、掃除機)。
【0143】(3) 機械部品 エアコン用シロッコファン。
【0144】
【実施例】以下本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、
本発明における各種物性値の測定方法および評価方法を
次に示す。 (1) 試験片の作成 東芝機械(株)製射出成形機IS-55および所定の試験片
用金型を用い成形を行った。試験片は成形後23℃で7
2時間放置後測定に供した。 (2)引っ張り試験 ASTM 4号試験片を用い、ASTM D638に準じて行った。
【0145】試験速度:50mm/分 試験温度:23℃ (3) 曲げ試験 ASTM D790に準じて行った。
【0146】試験片形状:5×1/2×1/8tイン
チ、 スパン間距離51mm 試験速度:20mm/分 試験温度:23℃ (4) アイゾット衝撃試験 ASTM D256に準じて試験を行った。
【0147】試験温度:23℃ 試験片形状:5/2×1/2×1/8tインチ(ノッチ
付) 試験温度:23℃ (5) 熱変形温度(HDT) ASTM D648に準じて行なった。
【0148】試験片形状:5×1/4×1/2tインチ 荷 重:66psi (6) ロックウェル硬度(Rスケール) ASTM D785に従った。 (7)層状剥離 得られた樹脂組成物から製造された試験片を、手で折り
曲げることにより、破断させ、試験片の表皮(スキン
層)が層状に剥離するかどうかを目視観察して判断し
た。
【0149】原 料 の 調 製 (1) 未変性ポリプロピレン(PPと略す) 230℃、2160gの条件で測定したMFRが20g/
10分であるホモポリプロピレンを用いた。
【0150】 (2) 未変性環状オレフィン系重合体(COCと略す) エチレンと1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a,-オク
タヒドロナフタレンとのランダム共重合体を用いた。こ
の共重合体について135℃デカリン中で測定した極限
粘度[η]は0.60dl/g、260℃、2160gの条
件で測定したMFRは17g/10分、TMAは135℃、
エチレン含量は70mol%である。
【0151】(3) 未変性エチレン・プロピレンランダ
ム共重合体(EPRと略す) エチレン含量は80モル%、230℃、2160gで測
定したMFRは0.7g/10分のエチレン・プロピレンラ
ンダム共重合体である。
【0152】 (4) 変性ポリプロピレン(M−PPと略す) 230℃、2160gの条件で測定したMFRが0.5g
/10分であるホモポリプロピレンを用い、このポリプロ
ピレン100重量部に対して、無水マレイン酸を1.1
5重量部、2.5-ジメチル-2,5-(ジターシャリーブチル
パーオキシ)ヘキシン-3を0.05重量部配合し、20
0℃に設定した二軸押出機で溶融混練を行なって無水マ
レイン酸変性ポリプロピレンを得た。得られた変性ポリ
プロピレンのMFRは、20g/10分であった。
【0153】ポリプロピレンにグラフトした無水マレイ
ン酸の量は次の方法により決定した。得られた変性ポリ
プロピレンをp-キシレンに120℃で溶解させた後、室
温で冷却して変性ポリプロピレンを析出させた。その
後、得られた変性ポリプロピレンのスラリーを大過剰の
アセトンに投入して洗浄し、次いで濾過することによ
り、ポリプロピレンにグラフトしていない無水マレイン
酸を濾別した。こうして得られたポリプロピレンのサン
プルを乾燥した後、赤外分光分析装置でカルボニル基の
伸縮振動に基づく吸収の強度を測定し、予め作製してお
いた検量線を基づいて無水マレイン酸のグラフト量を決
定した。無水マレイン酸のグラフト量は0.2重量%で
あった。
【0154】 (5) 変性環状オレフィン重合体(M−COCと略す) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.6
0dl/g、260℃、2160gの条件で測定したMFR
が17g/10分、TMAが135℃、エチレン含量が70
mol%であるエチレンと1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,
5,8,8a,-オクタヒドロナフタレンランダム共重合体(C
OC)100重量部に対し、無水マレイン酸を1重量
部、2,5-ジメチル-2,5-(ジターシャリーブチルパーオ
キシ)ヘキシン-3を0.2重量部配合し、250℃に設
定した二軸押出機で溶融混練して変性環状オレフィン重
合体を得た。得られた変性環状オレフィン重合体のMF
R(260℃、2160g)は16.5g/10分であり、
上記M−PP(4)におけるのと同様の方法で測定した無
水マレイン酸グラフト量は0.98重量%であった。
【0155】(6) エチレン・プロピレンランダム共重
合体(EPRと略す) エチレン含量が80モル%、230℃、2160gで測
定したMFRが0.7g/10分であるエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体を用意した。
【0156】(7) 変性エチレン・プロピレンランダム
共重合体(M−EPRと略す) エチレン含量が80モル%、230℃、2160gで測
定したMFRが0.7g/10分であるエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体(EPR)100重量部に対し、無
水マレイン酸を重量部、2,5-ジメチル-2,5-(ジターシ
ャリーブチルパーオキシ)ヘキシン-3を0.05重量部
配合し、250℃に設定した二軸押出機で溶融混練して
変性エチレン・プロピレンランダム共重合体を得た。得
られた変性品のMFRは0.2dl/gであり、無水マレイ
ン酸グラフト量は0.95重量%であった。
【0157】(8) アミノ基含有化合物 アミノ基含有化合物として、ヘキサメチレンジアミン
(HMDA)およびトリメチルヘキサメチレンジアミン
(TMHDA)を用意した。
【0158】
【実施例1〜3及び比較例1〜7】(1)〜(8)の原料を表
1および表2に記載の割合で配合し、230℃に設定し
た二軸押出機に供給して溶融混練した。物性の評価結果
を表1および表2に示した。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]プロピレン系重合体を不飽和カルボ
    ン酸またはその誘導体で変性した変性プロピレン系重合
    体:100重量部と、該変性プロピレン系重合体100
    重量部に対し、 [B]下記(イ)〜(ニ)よりなる群から選ばれる少なくとも
    1種の環状オレフィン系重合体を不飽和カルボン酸また
    はその誘導体で変性した変性環状オレフィン系重合体:
    5〜100重量部と、 [C]アミノ基含有化合物:0.001〜10重量部とを
    接触させて得られうることを特徴とするポリオレフィン
    樹脂組成物; (イ) エチレンと次式[I]または[II]で表される環状
    オレフィンとの共重合体であって、135℃のデカリン中
    で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲にあ
    り、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オレフィン
    系ランダム共重合体; (ロ) 次式[I]または[II]で表される環状オレフィン
    の開環重合体であって、135℃のデカリン中で測定した
    極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲にあり、軟化温度
    (TMA)が70℃以上である環状オレフィン開環重合体; (ハ) 次式[I]または[II]で表される2種以上の環状
    オレフィンの開環共重合体であって、135℃のデカリン
    中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの範囲にあ
    り、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オレフィン
    開環共重合体; (ニ) 上記(ロ)または(ハ)の水素添加物; 【化1】 …[I] [式[I]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、rは0または1であり、 R1 〜R18、Ra、Rbは、それぞれ独立に、水素原子、
    ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる
    原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環を形成し
    ていてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有し
    ていてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい]; 【化2】 …[II] [式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であ
    り、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R
    19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
    族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基お
    よびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは
    基を表し、R9が結合している炭素原子とR1 3が結合し
    ている炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR
    11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜
    3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、
    n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互い
    に結合して単環または多環の芳香族環を形成していても
    よい]。
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