JPH061079B2 - 板金製うず巻ポンプケーシング - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は板金製うず巻ポンプケーシングに係り、特に吸
込みフランジに外力が作用した場合でも、ケーシングの
ライナー部の変形を抑えることができるようにした板金
製うず巻ポンプケーシングに関する。

〔従来の技術〕

一般に、一枚のステンレス鋼板などをプレスにより深絞
りして吸込みポートを有するケーシング殻を形成し、こ
のケーシング殻の吸込みポートに吸込みフランジを固着
してなる板金製のうず巻ポンプケーシングは知られてい
る。

この種のうず巻ポンプケーシングは、板金製であるの
で、強度的に弱くなりがちであり、吸込みフランジに外
力が作用した場合などに、この外力がケーシング殻に直
接伝達してライナー部が変形するなどの恐れがある。ラ
イナー部が変形すると、羽根車との間に当りが生じ、こ
の当りにより、騒音、ポンプ過負荷などの問題が生じ、
ひいてはケーシング殻と羽根車とが接触して羽根車破損
などの不測の事態につながる恐れがある。

これを防止するために、従来では、ケーシング殻の内側
に吸込室と圧力室とを仕切る仕切体を配設するととも
に、この仕切体の外側に延在する上記ケーシング殻の一
部に、いわゆる柔なフリー構造を採用し、上記の外力が
作用した場合に、このフリー構造によってケーシング殻
の一部のみを変形させ、この変形が仕切体には及ばない
ようにしたものが提案されている。

また、別の観点からは、吸込みフランジとケーシング殻
との間に補強部材を掛け渡して、いわゆる剛な構造にし
て、吸込みフランジに作用する外力をケーシング殻に直
接伝達させて、このケーシング殻自体で吸収してしまう
ようにしたものが提案されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、いわゆる柔なフリー構造としたもので
は、上記吸込みフランジに吸込み配管を接続する場合、
該吸込み配管自体を別の部材で基礎に対して支持してお
かなければならないという問題がある。

また、いわゆる剛な構造にしたものでは、通常時に問題
はないが、ケーシング殻により吸収できないような過大
な外力が吸込みフランジに作用した場合に、ケーシング
殻のライナー部に変形が生じ、上述の当りが発生すると
いう問題がある。

そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する
問題点を解消し、吸込みフランジに過大な外力が作用し
た場合でも、ケーシングのライナー部の変形を最少限に
抑えることができるようにした板金製うず巻ポンプケー
シングを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明は、鋼板をプレスに
より深絞りして一体的に成形したケーシング殻の吸込み
ポートに吸込みフランジを固着してなるうず巻ポンプケ
ーシングにおいて、前記吸込みフランジに対向する前記
ケーシング殻の外表面にリブ支持板を固着し、このリブ
支持板と前記吸込みフランジとの間に放射状に複数の縦
リブを介装したことを特徴とするものである。

〔作用〕

本発明によれば、吸込みフランジに外力が作用した場合
でも、この外力は、縦リブと、リブ支持板とを通して固
定フランジに到達するので、ケーシング殻の外表面には
到達せず、ケーシング殻の変形は極めて少なく抑えるこ
とができ、しかも、リブ支持板をケーシング殻の外表面
から浮いた状態で支持しておけば、この外力は、ケーシ
ング殻の外表面には殆ど到達しなくなり、したがって、
外力の作用により吸込みフランジに変形が及んでも、ケ
ーシング殻に変形が及ぶことは少なくなり、ライナーリ
ングと羽根車の端部との間の接触を確実に回避すること
ができる。また、ステンレス鋼板などをほぼＵ字状に折
り曲げて、該縦リブを形成しておけば、全体を、軽量
で、しかも剛性の高いものにすることができる。

〔実施例〕

以下、本発明による板金製うず巻ポンプケーシングの一
実施例を添付図面を参照して説明する。

第１図において、１はうず巻ポンプのケーシング殻を示
し、このケーシング殻１は一枚のステンレス鋼板などを
プレスにより深絞りして形成されている。ケーシング殻
１の一端には固定フランジ２が一体的に形成され、ケー
シング殻１の他端には吸込ポート３が開口している。こ
のケーシング殻１は固定フランジ２によってモータのブ
ラケット（図示せず）などに連結されている。

ケーシング殻１の内側の中央部には周方向に延びるボリ
ュート室Ａが形成され、このボリュート室Ａの外周は張
出し部１ａによって画成されている。この張出し部１ａ
はケーシング殻１の外周壁を半径方向外方に膨出させて
形成され、その張出し高さは、第２図に示すように、途
中から張出しを開始して、周方向（図中で反時計方向）
に沿って連続的に高くなっている。これによって、ボリ
ュート室Ａの流路断面積は流体の流れる方向に向かって
漸次増大するようになっている。

ケーシング殻１の内側には羽根車５が設けられ、この羽
根車５はボス６と一体になっており、このボス６は主軸
７の自由端に連結されている。主軸７には軸封装置８が
装着され、この軸封装置８は、ケーシング殻１に固着さ
れたケーシングカバー９により支持されている。

ケーシング殻１の吸込側の壁は、一体的に形成された第
１の壁部１ｂと第２の壁部１ｃとからなり、第１の壁部
１ｂは剛性を高めるために肩部１ｃを外方に突出させ
て、断面をほぼＳの字状に形成されており、第２の壁部
１ｃは吸込ポート３に向つて先細りのテーパ状に形成さ
れている。この第２の壁部１ｃの外端周縁には、別体の
部材としてプレスにより成形された吸込みフランジ１０
が溶接によって接続され、この吸込みフランジ１０の中
央部には上記吸込ポート３に連なる吸込口１１が開口し
ている。

この吸込みフランジ１０には相フランジ（図示せず）を
接続するためのシーリング面１２が形成され、このシー
リング面１２の裏側には補強フランジ１３が固着されて
いる。上記吸込みフランジ１０には４個のボルト孔１４
が穿設され、上記補強フランジ１３には、第２図からも
明らかなように、上記ボルト孔１４と位置を合わせるよ
うにして４個の貫通孔１５が穿設されている。

ケーシング殻１の第１の壁部１ｂの内面には、断面をほ
ぼＶ字状に形成された仕切体２０が固着され、この仕切
体２０には円筒状の仕切部２０ａが一体的に形成されて
いる。この仕切部２０ａの内周には、断面をほぼＬの字
状に形成されたライナーリング２２が、その鍔部２２ａ
を仕切体２０に当接する位置まで圧入され、このライナ
ーリング２２の内周には上記羽根車５の端部５ａが遊嵌
されている。この仕切部２０ａのライナーリング２２に
よって、上記の室Ａと吸込側の室とが仕切られている。

また、ケーシング殻１の肩部１ｄには、吸込みフランジ
１０に対向するように、ほぼ環状に形成されたリブ支持
板２５が固着されている。このリブ支持板２５は、吸込
みフランジ１０とほぼ平行に配設されており、上記肩部
１ｄに対して固着された該リブ支持板２５の周縁部以外
の部分は、上記第１の壁部１ｂから浮かせた状態で支持
されている。このリブ支持板２５と吸込みフランジ１０
との間には、放射状に４本の縦リブ２６が介装され、こ
の縦リブ２６のそれぞれの接合部は強固に溶接されてい
る。これら縦リブ２６は、第２図からも明らかなよう
に、鋼板をほぼＵ字状に折り曲げて形成されており、該
縦リブ２６は、リブ支持板２５と吸込みフランジ１０と
の間に、その開口２６ａを半径方向内方に向けるように
して介装されている。

また、第２図からも明らかなように、ケーシング殻１の
張出し部１ａの最も高くなった位置２４には、ノズル２
７の一端が固着され、このノズル２７の他端には吐出フ
ランジ２８が固着され、この吐出フランジ２８の中央に
は吐出口２９が開口している。吐出フランジ２８自体の
構造は吸込みフランジ１０のそれと同じであるので説明
を省略する。

次に、本実施例による板金製のうず巻ポンプの作用を説
明する。

駆動電動機（図示せず）に主軸７を連結しておき、これ
を回転させると、羽根車５が一体的に回転し、吸込ポー
ト３から流体が吸入される。この吸入された流体は、羽
根車５の内部を通り、遠心力を付与されて、その外周部
からボリュート室Ａ内に放出される。この放出された流
体は、ボリュート室Ａ内を周方向（第２図で反時計方
向）に移動し、ノズル２７を通つて、吐出フランジ２８
の吐出口２９から排出される。

しかして、本実施例によれば、吸込みフランジ１０に外
力が作用した場合でも、この外力は、縦リブ２６と、リ
ブ支持板２５と、ケーシング殻１の肩部１ｄとを通して
固定フランジ２に到達し、しかも、このリブ支持板２５
はケーシング殻１の外表面から浮いた状態で支持されて
いるので、この外力は、ケーシング殻１の外表面には到
達せず、よって直接に仕切体２０に到達することはな
い。したがって、外力の作用により吸込みフランジ１０
に変形が及んでも、仕切体２０の仕切部２０ａに変形が
及ぶことはなく、ライナーリング２２と羽根車５の端部
５ａとの間の接触を確実に回避することができる。ま
た、縦リブ２６はステンレス鋼板などをほぼＵ字状に折
り曲げて形成しているので軽量であって、しかも剛性は
高いので強度的には充分なものにすることができる。

また、ケーシング殻１の内側に仕切体２０を配設し、こ
の仕切体２０の仕切部２０ａに、ライナーリング２２を
装着したので、吸込みフランジ１０が傾くようなことが
あっても、その傾きが直接仕切部２０ａに影響を及ぼす
ことは少なく、これによっても仕切体２０の仕切部２０
ａの変形を確実に阻止することができる。

さらに、この実施例によれば、ケーシング殻１の中央部
に、周方向に流路面積が徐々に増大するボリュート室Ａ
を形成したので、ポンプ性能は極めて向上する。また、
ケーシング殻１の第１の壁部１ｂは、肩部１ｄを外方に
突出させて、断面をほぼＳの字状に形成したので、ケー
シング殻１の剛性は極めて増大するなど種々の効果を得
ることができる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明によれば、吸込
みフランジに対向するケーシング殻の外表面にリブ支持
板を固着し、このリブ支持板と吸込みフランジとの間に
放射状に複数の縦リブを介装したから、吸込みフランジ
取付け部の剛性を高めることができ、吸込みフランジに
過大な外力が作用しても、ケーシング殻の変形を最少限
に抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による板金製うず巻ポンプケーシングの
一実施例を示す縦断面図、第２図は同じく正面図であ
る。 １…ケーシング殻、３…吸込ポート、５…羽根車、１０
…吸込みフランジ、２０…仕切体、２０ａ…仕切部、２
２…ライナーリング、２５…リブ支持板、２６…縦リ
ブ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鋼板をプレスにより深絞りして一体的に成
   形したケーシング殻の吸込みポートに吸込みフランジを
   固着してなるうず巻ポンプケーシングにおいて、前記吸
   込みフランジに対向する前記ケーシング殻の外表面にリ
   ブ支持板を固着し、このリブ支持板と前記吸込みフラン
   ジとの間に放射状に複数の縦リブを介装したことを特徴
   とする板金製うず巻ポンプケーシング。
2. 【請求項２】前記縦リブを鋼板をほぼＵ字状に折り曲げ
   て形成したことを特徴とする請求項１に記載の板金製う
   ず巻ポンプケーシング。