JPH0455278Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、鋼板又は合成樹脂等の耐圧材料から
なるポンプ、特に遠心ポンプ（渦巻ポンプ）のポ
ンプケーシングに関する。

〔従来の技術〕

従来、遠心ポンプのポンプケーシングを、耐食
性や軽量化等のために、ステンレス鋼板をプレス
加工により、また合成樹脂成形等によつて製作し
たものがある。

ところが、上記のように鋼板や合成樹脂等でポ
ンプケーシングを製作した場合、ケーシングの側
面の変形や強度が問題となる。そのため、従来
は、側面の肉厚を厚くしたり、ケーシング側面
に、直角方向のリブをプレスによる深絞り加工に
より成形するなどして、強度を補強してポンプ内
圧による変形を防いでいた。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記のように、鋼板製のものにおいて側面の肉
厚を厚くするとそれだけコストが増し、また側面
にリブを成形することは製作がむつかしいという
問題点があり、他方、合成樹脂製のものでは、リ
ブの設定やリブの強度の点に多くの問題点があつ
た。

本考案は、耐圧ケーシングの肉厚を厚くするこ
となく、また側面に直角方向の深いリブを一体成
形することなく、ポンプが発生する圧力（内圧）
による変形を防ぐようにしたポンプケーシングを
提供することを技術的課題としている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上記した技術的課題を解決するため
に、耐圧ケーシングの吸込側側面部と周面部との
間に、曲面からなる角部を設け、該角部の曲面の
裏側に当接する外周曲面部から中心方向に球状又
はコーン状に延び中央部に羽根車と相対するライ
ナリング部を有する吸込仕切板を、上記耐圧ケー
シングの角部の裏側に当接させるようにして取付
けたことを特徴としている。

〔作用〕

本考案は上記のように構成されているので、ポ
ンプ運転時、ポンプが発生する吐出圧力は、吸込
仕切板の羽根車側の側面に作用し、またポンプ吸
込圧力は、該吸込仕切板の吸込口側の側面と同時
に、耐圧ケーシングの吸込側側面の内面に作用す
る。

上記のようにポンプの発生圧力を吸込仕切板が
受けるが、該吸込仕切板は外周曲面部から中心方
向に球状又はコーン状に延びて形成されているの
で、変形し難く、また、耐圧ケーシングの吸込側
側面には、吸込圧力ないしポンプに与えられる押
込圧力しかかからないことになるので、該耐圧ケ
ーシングの強度も変形も問題にならなくなる。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面と共に説明する。

図面は、本考案の一実施例を示すポンプケーシ
ングを備えた渦巻ポンプの縦断面図である。

図において、ポンプケーシングの吸込接続部１
が耐圧ケーシング２の吸込側側面部２ａに、その
内径側と外径側を適宜溶接する等などして固定さ
れており、該耐圧ケーシング２は、上記吸込側側
面部２ａと、球面の一部をなす曲面からなる角
（かど）部２ｂと、周面部２ｃとからなつており、
該周面部２ｃには、吐出口３ａを有する吐出接続
部３が、端部を溶接して取付けられている。

また、上記角部２ｂの曲面の裏面に当接する外
周曲面部４ａと、中心方向に延びる球状又はコー
ン状部４ｂと、中央部において羽根車５と相対す
るライナリング部４ｃとからなる吸込仕切板４
が、上記耐圧ケーシング２の角部２ｂの裏側に当
接するようにして、圧入して固定されている。

図中、６はドレン及び空気抜き用ボルト、７
は、羽根車室内の流れを円滑にして抵抗を少なく
するために設けられたボリユート内壁で、該内壁
７の周辺部に設けられた孔７ａにより、該ボリユ
ート内壁７の両側の室の圧力がバランスされ、従
つて、該内壁７と吸込仕切板４との間に形成され
た室Ａは、ポンプ吐出圧を呈している。８はケー
シングカバー、９は該ケーシングカバー８と、耐
圧ケーシング２の周面部２ｃから半径方向外方に
成形されたフランジ２ｄとをモータブラケツト等
のポンプ支持部材１０に一体に固定するボルト、
Ｂは耐圧ケーシング２の吸込側側面部２ａと吸込
仕切板４とによつて囲まれた室（空間）、Ｃは吸
込側を示している。

上記のように構成されているので、吸込接続部
１の吸込口１ａから吸込まれた水は、羽根車５に
よつて加圧され、吐出口３ａを経て送り出される
が、該加圧された水は、吸込仕切板４とケーシン
グガバー８とによつて囲まれた空間に満たされ、
各部分に圧力を加え、ボリユート内壁７と吸込仕
切板４とに囲まれた室Ａにも、孔７ａを通して同
様の圧力を加える。一方、吸込仕切板４と耐圧ケ
ーシング２とによつて隔てられた室Ｂは、吸込側
Ｃとつながつているので、該室Ｂには吸込圧力が
かかるのみであり、また吸込仕切板４には、矢印
４ｄに示すような吐出圧力が作用している。

上記のようにして吸込仕切板４が受ける力は、
集約して外周曲面部４ａを介して耐圧ケーシング
２の角部２ｂに伝えられるが、該角部２ｂは、全
体的にみて椀形をした耐圧ケーシング２の底部の
隅部に相当していて、強度的に最も強く、従つて
上記のように吸込仕切板４による力を受けても吸
込側側面部２ａの変形に殆んど影響を与えない。
また、ボリユート内壁７は、別個に製作してケー
シングに固定されているが、周辺部に穿設された
孔７ａによつて両側の室の圧力がバランスされて
いるので、内部応力を受けることが少なく薄板で
もよい。

上記した実施例において、耐圧ケーシング２を
鋼板製としたものについて説明したが、合成樹脂
製とすることも可能であり、また多段式ポンプの
ケーシングに適用することも可能である。また、
ボリユート内壁７を設けたものについて説明した
が、該内壁７を有しないポンプについても同様に
適用できることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、耐圧ケ
ーシングの吸込側側面部と周面部との間に、曲面
からなる角部を設け、該角部の曲面の裏側に当接
する外周曲面部から中心方向に球状又はコーン状
に延び中央部に羽根車と相対するライナリング部
を有する吸込仕切板を、上記耐圧ケーシングの角
部の裏側に当接させるようにして取付けたことに
より、外側の耐圧ケーシングの吸込側側面部は吸
込圧力を受けるだけとなり、吐出圧力は吸込仕切
板が受けるため、これら耐圧ケーシング及び吸込
仕切板のそれぞれの形状、構造を簡素化すること
ができ、板厚も薄くすることができる。

このため、低圧力のものでは大幅なコストダウ
ンとなり、また、従来対応できなかつた高押込の
ポンプや、高揚程のポンプも、鋼板や合成樹脂化
することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の一実施例を示すポンプケーシ
ングを備えた渦巻ポンプの縦断面図である。 １……吸込接続部、２……耐圧ケーシング、２
ａ……吸込側側面部、２ｂ……角（かど）部、２
ｃ……周面部、３……吐出接続部、４……吸込仕
切板、４ａ……外周曲面部、４ｂ……球状又はコ
ーン状部、４ｃ……ライナリング部、５……羽根
車、７……ボリユート内壁、８……ケーシングカ
バー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼板又は合成樹脂等の耐圧材料からなるポンプ
   ケーシングにおいて、耐圧ケーシングの吸込側側
   面部と周面部との間に、曲面からなる角部を設
   け、該角部の曲面の裏側に当接する外周曲面部か
   ら中心方向に球状又はコーン状に延び中央部に羽
   根車と相対するライナリング部を有する吸込仕切
   板を、上記耐圧ケーシングの角部の裏側に当接さ
   せるようにして取付けたことを特徴とするポンプ
   ケーシング。