JP3589775B2 - 多段ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、深井戸用水中ポンプなどに適用される多段ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
深井戸用水中ポンプなどに使用されている多段ポンプは、吸込ケーシングと吐出ケーシングの間に複数の中間ケーシングを連設するとともに、これら中間ケーシングにそれぞれインペラを設置し、下端に配置した水中モータにより上記各インペラを回転駆動して揚水するように構成されている。
【0003】
上記中間ケーシングは、インペラを収容する円筒周壁部と、このインペラで加圧された水(液体)を次段の中間ケーシングまたは吐出ケーシングに送るためのガイドベーン部を有し、ガイドベーン部は径方向に伸びる複数の案内羽根を有してこれら案内羽根により周方向に区画された複数の導水通路を備えている。
【0004】
このような構造の中間ケーシングは、従来、鋳造製が多かった。しかしながら、鋳造製の中間ケーシングは、鋳造成形性を良くするために肉厚となり、ポンプ全体が大型でかつ重くなる。また鋳肌が粗いために水の流動抵抗が大きくなり、ポンプ特性が低下する。さらに、鋳物であるから生産性に劣る。
【0005】
そして、この種の中間ケーシングは、インペラとの間のシール性を保つためにインペラに摺接されるゴムや合成樹脂製のブッシュおよびライナリングを必要とするが、これらゴムや合成樹脂製のブッシュおよびライナリングは別部品となり、部品点数が増えるばかりでなく、これらブッシュおよびライナリングを中間ケーシングに接合するのに手間を要するなどの問題がある。
【0006】
このようなことから、中間ケーシング全体を合成樹脂にて構成したものもある。しかし、合成樹脂製の中間ケーシングは機械的強度が十分でなく、内圧の高いポンプの場合は補強を兼ねて複数の中間ケーシングを金属パイプ製の外套ケーシングで囲う構造を必要としている。しかし、外套ケーシングは両端がねじ込み式になっており、組立てや分解がし難く、特に水中で使用すると錆が発生し、錆び付いた場合は分解がほとんど不可能になる。そして、この場合もブッシュおよびライナリングが別部品であり、部品点数が増えるばかりでなく、これらブッシュおよびライナリングを樹脂製の中間ケーシングに接合するのに手間を要するなどの不具合がある。
【0007】
さらに最近では、ステンレスなどの板金をプレス加工して複数のパーツを成形し、これらを溶接することにより中間ケーシングを構成したものが開発されている。すなわち、従来の板金製中間ケーシングを図5にもとづき説明する。図5に示す板金製中間ケーシング50は、ステンレスなどの板金をプレス加工して形成されたケーシング本体51と、案内羽根52…と、端板53を有している。ケーシング本体51は、一端が開口された円筒周壁54およびこの円筒周壁54の他端に連なる仕切り壁55を一体に有し、仕切り壁55の中心には導入孔56が開口されている。上記仕切り壁55の上面には周方向に離間して複数の案内羽根52…が溶接されている。これら案内羽根52…もステンレスなどの板金をプレス加工し、外径に向かって次第に周方向へ曲がる湾曲形状をなしている。そして、これら案内羽根52…の上端に前記端板53が溶接されている。端板53もステンレスなどの板金をプレス加工したものであり、中心には挿通孔57が開口されている。上記仕切り壁55と、複数の案内羽根52…と、端板53とでガイドベーン部58を構成しており、このガイドベーン部58は上記仕切り壁55と、複数の案内羽根52…と、端板53とで囲まれた空間により導水通路59…が形成されている。これら導水通路59…は、中心側が上記導入孔56に連通し、外径に向かって次第に湾曲しつつ広がった形状をなしており、外周端部が開放されている。そして、上記導入孔56の内周部にはゴムまたは樹脂製のライナリング60が接合されているとともに、挿通孔57にはゴムまたは樹脂製のブッシュ61が接合されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の板金製中間ケーシング50は、それぞれ別個にプレス加工したケーシング本体51と、案内羽根52…と、端板53を相互に溶接してガイドベーン部58を構成しているため、組立てに手間を要する。また、案内羽根52…は複雑な湾曲形状であるため板厚の大きな板金を使用できず、このため機械的強度が低下し、砂などが当たると早期に摩耗する。さらに、ガイドベーン部58は多数の溶接箇所があり、合せ面に隙間が生じ易く、ポンプ特性が低下するとともに隙間腐食が発生し易い。そしてまた、急激な曲り箇所があるので、ステンレス材料の場合は応力腐食による割れを発生し易い。そしてまた、この場合もブッシュおよびライナリングは別部品であり、部品点数が増えるばかりでなく、これらブッシュおよびライナリングを板金製中間ケーシングに接合するのに手間を要するなどの不具合もある。
【0009】
一方、この種の中間ケーシング50は、複数の中間ケーシング50を繋いで多段ポンプを構成するものであるから複数の中間ケーシング50を相互に当接して連結するようになっている。この場合、中間ケーシング相互の位置決めが必要になり、そこで、図5に示す通り、ケーシング本体51の開口端部には嵌合端部70が形成されているとともに、他端の角部には隣接する中間ケーシング50の嵌合端部70が当接して位置決めされる位置決め凹部71が形成されている。
【0010】
従来の場合、ケーシング本体51の板厚が0.6mm〜0.8mm程度と薄いことから、嵌合端部70はその強度を確保するため図示のように断面がほぼS字状に屈曲成形された形状をなしており、また反対側の位置決め凹部71は上記嵌合端部70が嵌まり込むように内側に凹んだ段差状に加工してある。
【0011】
しかしながら、このようなケーシング本体51の形状は、形状が複雑であることからプレス加工の工数が多く、金型を多く必要とし、製造コストが高くなる。また、形状が複雑なことから、逆に板厚を厚くできず、砂などが当たって摩耗し易くなる。さらに、嵌合端部70の形状が複雑であるため寸法精度が低くなり、隣接する中間ケーシング50相互の嵌合端部70と位置決め凹部71との位置合せの精度が低下し、水の漏れが発生し易い。位置決め精度が低いと、中間ケーシング50が傾き、軸受に偏荷重が作用して偏摩耗などを生じ、寿命が短くなるなどの不具合がある。
【0012】
本発明はこのような事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、中間ケーシングの部品点数が少なくなり、組立てに手間を要さず、隙間腐食や応力腐食の発生もなく、寿命特性に優れかつ安価に製造できる多段ポンプを提供しようとするものである。
また、本発明は、中間ケーシングの形状精度が高くなり、強度も高く、漏れなどの発生が少ない多段ポンプを提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、
吸込ケーシングと吐出ケーシングの間に複数の中間ケーシングを設け、これら中間ケーシングにそれぞれインペラを設置した多段ポンプにおいて、上記中間ケーシングは、一端が開口された円筒周壁およびこの円筒周壁の他端に連なる仕切り壁を一体に有する板金製のケーシング本体と、上記ケーシング本体の仕切り壁に固定され、案内羽根を有する導水通路を備えるとともにインペラに摺接されるブッシュ部およびライナリング部を一体に形成した合成樹脂製のガイドベーン部と、を具備することを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、中間ケーシングのガイドベーン部が合成樹脂製であるから成形が容易であり、しかもこのガイドベーン部にブッシュ部およびライナリング部が一体に形成されているから部品点数が少なく、組付けや接合の手間が少なくなる。また、ガイドベーン部に溶接箇所や板金による曲げ箇所がないから応力腐食などの心配がなく、また隙間もないから隙間腐食の発生もない。さらに、ケーシング本体は単純な形状であり、板厚の厚い板金でもプレス加工により容易に成形できるから、肉厚を大きくすることができ、強度が向上する。このようなことから寿命特性に優れ、安価に製造できる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多段ポンプにおいて、上記ガイドベーン部は弾性変形可能な合成樹脂にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多段ポンプである。
【0016】
請求項2の発明によれば、ガイドベーン部が弾性変形可能な合成樹脂にて形成されているから、砂などが接触しても摩耗が少なく、しかも、ブッシュ部およびライナリング部が弾性変形可能であり、インペラに摺接して本来の機能を発揮することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の多段ポンプにおいて、上記ケーシング本体は、円筒周壁の一端開口部に、縮径壁が形成されているとともにこの縮径壁の端面に上記ケーシング本体の軸線と垂直となる開口端面が形成されてなる嵌合端部を設け、かつ仕切り壁の周縁部に、隣接する中間ケーシングの嵌合端部が当接される位置決め凹部を形成してあることを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明によれば、円筒周壁の一端開口部に形成された嵌合端部が、縮径壁の端面にケーシング本体の軸線と垂直となる開口端面を形成した構造であるから、開口端面の面積を大きく形成することができ、位置決め凹部に対する当接面積が大きくなり、この当接箇所からの水漏れが少なくなる。開口端部は傾斜または湾曲形状による縮径壁となっているから、複数の中間ケーシングを連ねて締付けバンドなどで締付けた場合、この端部が外側に変形することがない。また、このような形状のケーシング本体は、全体の形状が単純であり、プレス加工の工数が少ないとともに金型も少なくてすみ、製造コストが安くなる。さらに、形状が単純であれば板厚の厚い板金を加工することができ、板厚が厚くなれば嵌合端部の強度が高くなり、かつ全体の強度が高くなり、変形などの不具合を回避することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明について、図1ないし図4に示す一実施の形態にもとづき説明する。
図1は深井戸用多段水中ポンプの構造を示す断面図、図2は中間ケーシングの構造を示す図、図3は図2の III部を拡大した断面図、図4は図2の IV部を拡大した断面図ある。
【0020】
図1において、1は水中モータであり、この水中モータ1には軸継手2を介して主軸3が連結されている。4は吸込ケーシングであり、5aは吐出ケーシングA、5bは吐出ケーシングBである。吐出ケーシング5aには軸受6が取り付けられており、この軸受6には上記主軸2の上端が軸支されている。また、この吐出ケーシング5aには弁体7が設けられている。
【0021】
上記吸込ケーシング4と吐出ケーシング5aとの間には、複数個の中間ケーシング8…が連設されている。中間ケーシング8…については後で説明するが、これら吸込ケーシング4と吐出ケーシング5aおよび複数個の中間ケーシング8…は、締付バンド9により軸方向に締め付けられて相互に連結されている。
【0022】
10はインペラであり、それぞれ上記中間ケーシング8…に収容されているとともに上記主軸2に固定されて駆動されるようになっている。11はストレーナ、12は電源ケーブルである。
【0023】
上記中間ケーシング8は図2ないし図4に示すように構成されている。
すなわち、中間ケーシング8は図2に示す通り、板金製のケーシング本体20と合成樹脂製のガイドベーン部30とで構成されている。
【0024】
ケーシング本体20は板厚が1.0mm〜3.0mm、好ましくは2.0mm程度の板金、例えばステンレス板からなり、プレス加工により図2の(B)図に示すように、下端が開口された円筒周壁21と、これに連なる上部の仕切り壁22を一体に有している。仕切り壁22には、周方向に沿って複数の係合孔23…が形成されているとともに、中央に導入孔24が開口されている。
【0025】
また、上記ケーシング本体20は、円筒周壁21の下端開口部が嵌合端部25になっているとともに、円筒周壁21の上端と仕切り壁22の境界となる角部に、仕切り壁22の周縁部に位置して位置決め凹部26が形成されている。
【0026】
嵌合端部25は、図3に示す通り、円筒周壁21の下端部を絞った縮径壁27を有しており、この縮径壁27は開口端側が内側に向かう傾斜壁または曲面壁により形成されている。そしてこの縮径壁27の端面、つまり円筒周壁21の下端開口面28は、上記ケーシング本体20の軸線に対して垂直な切断面となっている。この下端開口面28は、縮径壁27に対してケーシング本体20の軸線に対して垂直に切断した面であるから、図3の右図に示す直線壁27aをケーシング本体20の軸線に対して垂直に切断した面28aに比べて面積が大きくなっている。
【0027】
また、仕切り壁22の周縁部に形成された位置決め凹部26は、図4に示す通り、板金を曲げ加工することなく、単に圧印して肉厚を薄くして形成されている。
【0028】
このようなケーシング本体20に対し、合成樹脂製のガイドベーン部30は、ゴム系またはエラストマー(弾性)系の樹脂、例えばニトリル系樹脂にて形成されており、上記仕切り壁22に取付けられる取付け基部31と、端板部32と、これら取付け基部31および端板部32との間に形成された複数の案内羽根33…とを一体に有している。そして、これら取付け基部31と端板部32および複数の案内羽根33…によって周方向に伸びる複数の導水通路34…が形成されている。さらに、取付け基部31の中央にはライナリング部35が一体に形成されており、端板部32の中央に開口された挿通孔36の内周にはブッシュ部37が一体に形成されている。
【0029】
このようなガイドベーン部30は上記ケーシング本体20に対し、取付け基部31が仕切り壁22に対してモールド成形により固着されることにより取付けられている。すなわち、ガイドベーン部30を型成形するときにケーシング本体20の仕切り壁22を成形型に収容し、この成形型に樹脂材料を流し込むと、取付け基部31が成形される時にこの取付け基部31がケーシング本体20の仕切り壁22を包み込むようになり、よってこの取付け基部31は仕切り壁22に固着される。なお、このとき仕切り壁22に形成した複数の係合孔23…に樹脂が流れ込んでこれが固化することから、取付け基部31は仕切り壁22から外れるのが防止される。
【0030】
このような構成の中間ケーシング8は、図1に示すように組付けられ(なお図1の中間ケーシング8の姿勢と図2の中間ケーシング8の姿勢は上下逆転して示されている)、ケーシング本体20の円筒周壁21にはインペラ10が収容される。そして、インペラ10の開口壁部にはライナリング部35に摺接するとともに、インペラ10のボス部にはブッシュ部37が摺接するようになっている。
【0031】
このような構成の中間ケーシング8によれば、ケーシング本体20が板金をプレス加工して得られるから成形が容易である。しかも、このケーシング本体20は円筒周壁21と仕切り壁22とで形成された簡単な形状であるからプレス加工が容易であり、板厚の厚いステンレス板であっても容易に加工することができる。
【0032】
板厚が厚いと機械的強度が高くなり、吸込ケーシング4と吐出ケーシング5aの間に複数個の中間ケーシング8…を軸方向に繋いで締付バンド9により締め付けても、中間ケーシング8…が変形したり、曲がって連結されるなどの不具合を回避することができる。さらに、砂などに対する衝撃にも強くなる。
【0033】
このようなケーシング本体20に対し、ガイドベーン部30は合成樹脂により形成されているから成形が容易である。すなわち、このガイドベーン部30は、取付け基部31、端板部32および複数の案内羽根33…を一体に有しており、これら取付け基部31と端板部32および複数の案内羽根33…によって周方向に伸びる複数の導水通路34…が一体成形されているので、図5に示す従来の中間ケーシング50のガイドベーン部58に比べて成形が容易である。しかも、格別な溶接箇所がないから組付け手間が省け、安価に製造できる。また、溶接箇所や板金の曲げ箇所もないので応力腐食が発生する心配もない。さらに、取付け基部31と端板部32および複数の案内羽根33…の各間に隙間がないことから隙間腐食の発生もない。
【0034】
ガイドベーン部30をゴム系またはエラストマー(弾性)系の樹脂材料で形成すれば、取付け基部31の中央にライナリング部35を一体に形成するとともに、端板部32の中央部にブッシュ部37を一体に形成することができ、これらライナリング部35およびブッシュ部37を別部品で構成する場合に比べて部品点数が少なくてすみ、取付け作業も不要であるから、この点からもコスト安が実現できる。また、ガイドベーン部30をゴム系またはエラストマー(弾性)系の樹脂材料で形成すると、砂などが混在された水であっても、摩耗を軽減することができ、寿命特性も向上する。そして、このような樹脂製ガイドベーン部30はケーシング本体20に対してモールド成形により固着させることができるので強固な固定が可能になり、かつ接合作業も容易である。
【0035】
さらに、上記のような中間ケーシング8は、板金製ケーシング本体20と樹脂製ガイドベーン部30とで構成されているから、重量が軽くなり、ポンプ全体の重量を軽量化でき、また水の接する面の肌が滑らかであるから水の流動抵抗が小さく、ポンプ特性が良好になる。
【0036】
そしてまた、複数の中間ケーシング8…を図1のように連結した場合、板金製ケーシング本体20同士で締付け荷重を受けるから、ガイドベーン部30に大きな締付け荷重は加わらず、よってガイドベーン部30を合成樹脂で成形することが可能になる。
【0037】
複数の中間ケーシング8…を図1のように連結した場合、ケーシング本体20同士が衝合されるから相互に位置決めが必要になる。本実施の形態のケーシング本体20は、図3に示す通り、円筒周壁21の開口部に縮径壁27を形成するとともにこの縮径壁27の端面に上記ケーシング本体20の軸線と垂直となる開口端面28を形成してなる嵌合端部25を設け、仕切り壁22の周縁部に位置決め凹部26を形成してあるから、隣接する中間ケーシング8…相互はこれら嵌合端部25と位置決め凹部26との嵌合により相互の位置決めをなすことができる。
【0038】
この場合、開口端面28は、縮径壁27の端面をケーシング本体20の軸線と垂直となるように切断した面で形成されるから、この開口端面28の面積を大きくすることができる。すなわち、図3に示す直線形状の端部壁27aに開口端面28aを形成した場合に比べ、縮径壁27の端面をケーシング本体20の軸線と垂直となる開口端面28を形成する方が開口端面の面積が大きくなる。このため、位置決め凹部26に対する当接面積が大きくなり、この当接箇所から水漏れが生じるのを抑止することができる。よって、格別なシール材を用いる必要もない。
【0039】
さらに、直線形状の端部壁27aの場合は想像線で示すように外側に変形する心配があるが、本例の端部壁は内側に向かう傾斜または湾曲の縮径壁27となっているから、複数の中間ケーシング8…を連ねて締付けバンド9で締付けた場合、この端部が外側に変形することがない。
【0040】
位置決め凹部26は、圧印加工にて肉厚を薄くすることにより成形可能であるから、ケーシング本体20のプレス加工時に同時に加工することができる。よって、ケーシング本体20の全体の形状が単純になり、プレス加工の工数が少ないとともに金型も少なくてすみ、製造コストを安くすることができる。
【0041】
さらに、形状が単純であるから板厚の厚い板金を用いてもプレス加工することができ、板厚が厚くなれば嵌合端部25の強度が高くなるばかりでなく、ケーシング本体20全体の強度も高くなり、変形などの不具合を回避することができる。
【0042】
そして、ケーシング本体20の板厚を1.0mm以上3.0mm以下の板金、好ましくは2.0mmの板金で形成すれば、位置決め凹部26の圧印加工が無理なく行えるとともに、逆に嵌合端部25を縮径壁27および開口端面28とで構成することも可能になる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、深井戸用水中ポンプについて説明したが本発明はこれに限らず、要するに中間ケーシングを備えた多段ポンプであれば、その他の構成や用途に制約されるものではない。
また、合成樹脂製ガイドベーン部30を板金製ケーシング本体20に固定する手段は、モールド成形に限らず、接着やその他の機械的結合であってもよい。
【0044】
さらにまた、ケーシング本体20に形成される位置決め凹部26は圧印加工に限らず、従来の位置決め凹部71と同様に曲げ加工であっても、一般の機械加工であってもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、中間ケーシングを板金製ケーシング本体と合成樹脂製ガイドベーン部とで構成したから、部品点数が少なくなり、組立てに手間を要さず、隙間腐食や応力腐食の発生もなく、寿命特性に優れかつ安価に製造できる。
【0046】
また、請求項2の発明によれば、ガイドベーン部を弾性変形可能な合成樹脂で形成したから耐摩耗性が向上し、寿命特性が良好になる。
請求項3の発明によれば、嵌合端部を、縮径壁の端面にケーシング本体の軸線と垂直となる開口端面を形成した構造にしたから、単純な構造でありながら開口端面の面積を大きく形成することができ、位置決め凹部に対する当接面積が大きくなり、この当接箇所からの水漏れが少なくなる。また、縮径壁であれば、複数の中間ケーシングを連ねて締付けバンドなどで締付けた場合、この端部が外側に変形することがない。そして、このような形状のケーシング本体は、全体の形状が単純になり、プレス加工の工数が少ないとともに金型も少なくてすみ、製造コストが安くなる。さらに、形状が単純であれば板厚の厚い板金を加工することができ、板厚が厚くなれば嵌合端部の強度が高くなり、かつ全体の強度が高くなり、変形などの不具合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す深井戸用多段水中ポンプの構成を示す断面図。
【図2】同実施の形態の中間ケーシングの構成を示し、(A)図は上面図、(B)図は断面図、(C)図は下面図。
【図3】図2の(B)図中 III部を拡大した断面図。
【図4】図2の(B)図中 IV部を拡大した断面図。
【図5】従来の板金製中間ケーシングの構成を示し、(A)図は上面図、(B)図は断面図。
【符号の説明】
1…水中モータ
3…主軸
4…吸込ケーシング
5a、5b…吐出ケーシング
8…中間ケーシング
10…インペラ
20…板金製ケーシング本体
21…円筒周壁
22…仕切り壁
25…嵌合端部
26…位置決め凹部
27…縮径壁
28…端面
30…合成樹脂製ガイドベーン部
31…取付け基部
32…端板部
33…案内羽根
34…導水通路
35…ライナリング部
37…ブッシュ部
Claims (3)
- 吸込ケーシングと吐出ケーシングの間に複数の中間ケーシングを設け、これら中間ケーシングにそれぞれインペラを設置した多段ポンプにおいて、
上記中間ケーシングは、
一端が開口された円筒周壁およびこの円筒周壁の他端に連なる仕切り壁を一体に有する板金製のケーシング本体と、
上記ケーシング本体の仕切り壁に固定され、案内羽根を有する導水通路を備えるとともにインペラに摺接されるブッシュ部およびライナリング部を一体に形成した合成樹脂製のガイドベーン部と、
を具備することを特徴とする多段ポンプ。 - 請求項1に記載の多段ポンプにおいて、
上記ガイドベーン部は弾性変形可能な合成樹脂にて形成されていることを特徴とする多段ポンプ。 - 請求項1または請求項2に記載の多段ポンプにおいて、
上記ケーシング本体は、
円筒周壁の一端開口部に、縮径壁が形成されているとともにこの縮径壁の端面に上記ケーシング本体の軸線と垂直となる開口端面が形成されてなる嵌合端部を設け、かつ仕切り壁の周縁部に、隣接する中間ケーシングの上記嵌合端部が当接される位置決め凹部を形成してあることを特徴とする多段ポンプ。
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