JPH06107845A - 撥水性多孔質膜及びその製法 - Google Patents

撥水性多孔質膜及びその製法

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JPH06107845A
JPH06107845A JP17070093A JP17070093A JPH06107845A JP H06107845 A JPH06107845 A JP H06107845A JP 17070093 A JP17070093 A JP 17070093A JP 17070093 A JP17070093 A JP 17070093A JP H06107845 A JPH06107845 A JP H06107845A
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JP
Japan
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porous membrane
water
fluorinated alkyl
side chain
fluorinated
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Application number
JP17070093A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Hayashida
和明 林田
Takao Miyamori
隆雄 宮森
Jun Kamo
純 加茂
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 フッ素化アルキル側鎖を有する重合体がポリ
オレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持されて
おり、且つ該重合体のフッ素化アルキル側鎖が結晶化し
ている撥水性多孔質膜及びその製造方法として、フッ素
化アルキル側鎖を有するモノマーをポリオレフィン製多
孔質膜の表面に付着させた状態で重合し、フッ素化アル
キル側鎖を有する重合体をポリオレフィン製多孔質膜の
表面に物理的に密着保持させ、更に熱処理する事により
該フッ素化アルキル側鎖を結晶化させる事を特徴とす
る。 【効果】 本発明の撥水性多孔質膜は、ポリテトラフル
オロエチレンなどのフッ素化ポリマーやポリエチレン等
のポリオレフィンを基材として用いた多孔質膜に比較し
て撥水性能が大巾に向上し且つ耐溶剤性も向上してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オイルミストの除去等
のエアーフィルター、種々の液体の脱気用の多孔質膜、
蓄熱液の濃縮と希釈を行う気化透過式の冷熱出力型濃度
差蓄冷装置に用いられる透湿用撥水性多孔質膜、C
2 、SO2 、H2 Sのような極性ガスを吸収するジア
ミノエタノール、モノアミノエタノールのような強塩基
性溶媒の気/液分離、腐食性の強い液体の膜蒸留等の分
野で用いられる撥水性に優れた新規な多孔質膜およびそ
の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】撥水性を有する多孔質膜はその撥水性を
生かして気/液分離などの分野への応用が期待されてい
る。これらの用途に用いられ機械的強度の優れている撥
水性多孔質膜として、ポリエチレンやポリプロピレン等
のポリオレフィン製多孔質膜があり、より撥水性である
多孔質膜としてはポリテトラフルオロエチレンやポリフ
ッ化ビニリデンなどのフッ素化ポリマーの多孔質膜が知
られている。
【0003】しかし、ポリエチレン等のポリオレフィン
製多孔質膜は安価で多種多様な多孔質膜として知られて
いるが未だ撥水性が不十分なため、例えば蓄熱液の濃縮
と希釈を行う気化透過式の冷熱出力型濃度差蓄冷装置に
用いられる透湿用撥水性多孔質膜として、より撥水性の
優れた多孔質膜が望まれている。
【0004】より撥水性の高い多孔質膜としてはポリテ
トラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン等の多孔
質膜が知られている。しかし、いずれも表面張力が28
mN/m以下の溶液に濡れてしまうため、より表面張力
の低い液体の気/液分離には使用できず、また機械的強
度の点でもポリオレフィン製多孔質膜に劣り、且つ高価
であるためその利用範囲が狭められている。
【0005】これらを解決する手段として、特開平3−
101817号公報記載のような多孔質膜の細孔表面に
ガンマ線を暴露し撥水性の高いフッ素化ポリマーを多孔
質膜の表面にグラフト重合させ化学的に膜に結合させる
ことにより撥水性を高めた撥水性多孔質膜が知られてい
る。しかし、特開平3−101817号公報にはフッ素
化重合体のフッ素化アルキル側鎖の結晶化に関して記載
されていない。
【0006】又、多孔質膜の表面に親水性や耐熱性を付
与する方法として、特開昭63−190602号公報や
特開平2−2861号公報等記載の多孔質膜の表面に反
応性モノマーを保持させた状態で重合する方法が知られ
ている。しかし、特開昭63−190602号公報や特
開平2−2861号公報記載の方法では、側鎖の結晶化
が行えるような反応性モノマーを用いておらず、又側鎖
を結晶化する方法については記載されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等が検討した
ところ、特開平3−101817号公報に記載された方
法、即ち多孔質膜の細孔表面にガンマ線を暴露し撥水性
の高いフッ素化重合体を多孔質膜の表面にグラフト重合
させ化学的に膜に結合させることにより撥水性を高めた
撥水性多孔質膜を得る方法は、グラフトの際にガンマ線
を用いるためポリフッ化ビニリデンのような容易にグラ
フトし放射線に比較的安定な多孔質膜を撥水化するのに
は適しているが、特にポリオレフィンのような多孔質膜
においてはグラフトの際に基材の膜が劣化し機械的強度
の低下が起ったり、また中空状の膜では外表面と内表面
では撥水化の度合いが異なり内表面を撥水化するのは困
難であることがわかった。
【0008】一方、特開昭63−190602号公報や
特開平2−2861号公報記載等の多孔質膜の表面に反
応性モノマーを保持させた状態で重合する方法では、多
孔質膜の劣化等による機械的強度の低下を起こさず細孔
内部まで均一に機能性ポリマーを保持させる事ができ
る。
【0009】そこで、この方法を用いてポリエチレン製
中空糸膜に撥水性の高いフッ素化モノマーを保持後重合
し撥水性を向上させる方法を検討したところ、フッ素化
重合体は比較的均一に細孔表面につきポリエチレン製中
空糸膜よりも撥水性は向上するものの、フッ素化重合体
のフッ素化アルキル側鎖が結晶化していないためその撥
水性は十分でなくポリテトラフルオロエチレンを上回る
ほどの撥水性を付与できなかった。
【0010】そこで、本発明者等はポリテトラフルオロ
エチレンやポリフッ化ビニリデンなどのフッ素化ポリマ
ーを基材として用いた多孔質膜よりも機械的強度が高く
安価な基材のポリオレフィン製多孔質膜を用いながら、
ポリテトラフルオロエチレン製膜より更に撥水性の優れ
ている多孔質膜を提供する方法について鋭意検討した結
果、本発明の完成に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は機械的強度
に優れ安価なポリオレフィン製多孔質膜の特長を有し且
つ撥水性の高い多孔質膜を得るため鋭意検討を行った結
果、フッ素化アルキル側鎖を有する重合体をポリオレフ
ィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持させ、該重合
体を保持させた膜を更に膜表面のフッ素化アルキル側鎖
を結晶化させる事により従来より撥水性が高められる事
を見いだした。
【0012】又、フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素
化モノマーと架橋性モノマーからなるフッ素系架橋重合
体をポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保
持させ、該フッ素系架橋重合体を保持させた膜を更に膜
表面のフッ素化アルキル側鎖を結晶化させる事により、
従来より撥水性が高く、且つ耐溶剤性を有する多孔質膜
が得られる事を見いだした。
【0013】即ち本発明の要旨は、フッ素化アルキル側
鎖を有する重合体がポリオレフィン製多孔質膜の表面に
物理的に密着保持されており且つ該重合体のフッ素化ア
ルキル側鎖が結晶化している撥水性多孔質膜、及び、フ
ッ素化アルキル側鎖を有する重合体をポリオレフィン製
多孔質膜の表面に物理的に密着保持させ、更に熱処理す
る事によりフッ素化アルキル側鎖を結晶化させる事を特
徴とする撥水性多孔質膜の製法にある。
【0014】又、フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素
化モノマーと架橋性モノマーからなるフッ素系架橋重合
体がポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保
持されており、且つ該フッ素系架橋重合体のフッ素化ア
ルキル側鎖が結晶化している撥水性多孔質膜、及びフッ
素化アルキル側鎖を有するフッ素化モノマーと架橋性モ
ノマーからなるフッ素系架橋重合体をポリオレフィン製
多孔質膜の表面に物理的に密着保持させ、更に熱処理す
る事によりフッ素化アルキル側鎖を結晶化させる事を特
徴とする撥水性多孔質膜の製法にある。
【0015】本発明におけるポリオレフィン製多孔質膜
としては、中空糸膜、平膜、織物状膜、不織布膜、管状
膜等の任意の形態のものを用いることができ、又必要に
応じて種々の細孔径のものを使用することができる。
【0016】好ましい例として、膜厚が20〜200μ
m程度、空孔率が20〜90%程度、ガスフラックスが
500〜5000000l/m2 ・hr・0.5kg/
cm2 、細孔径が0.01〜10μm程度のものを挙げ
ることができる。
【0017】細孔径に関しては上述の範囲なら任意のも
のを選択する事ができるが、高沸点溶媒の気/液分離用
途のような場合には液体が細孔内部に凝縮し易く、特に
高沸点の液体ではこの傾向が著しくなるため、このよう
な用途には0.3〜2.0μmの比較的孔径の大きな膜
を用いる方が好ましい。
【0018】又ポリオレフィン製多孔質膜を構成する素
材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−
メチルペンテン−1等が挙げられる。
【0019】ポリオレフィン製多孔質膜の細孔構造とし
ては様々なものを用いることができるが、その中でも空
孔率や孔の大きさの制御が容易な延伸法によって得られ
るスリット状の細孔構造を有するポリオレフィン製多孔
質膜が好ましい。
【0020】延伸法により作られるポリオレフィン製多
孔質膜はミクロフィブリルと節部とによって形成される
スリット状の微小空間が3次元的に相互に連通した細孔
構造を有する多孔質膜であり、例えば特開昭52−15
627号公報、特開昭57−42919号公報等に記載
された方法により得る事ができる。
【0021】本発明におけるフッ素化アルキル側鎖を有
する重合体(以下、フッ素化重合体と略す)とは、疎水
性の多孔質膜の素材であるポリエチレンやポリプロピレ
ンなどよりも撥水性で、該フッ素化重合体の水との接触
角がポリエチレンやポリプロピレンの接触角よりも大き
い100°以上、より好ましくは110°以上であるフ
ッ素化重合体であれば良い。
【0022】好ましくは重合を行いやすい点で下記の構
造式で表されるフッ素化モノマーを用いた重合体が挙げ
られ、特にフッ素化アルキル側鎖を結晶化させ撥水性を
向上させるためにはエステル部のフッ素化アルキル側鎖
の炭素数が5以上である事がより好ましい。
【0023】中でもモノマーの反応性と重合体の撥水性
において、エステル部の炭素数が7以上15以下である
ペルフルオロアルキルエチルメタクリレート又はペルフ
ルオロアルキルエチルアクリレートを用いた重合体が特
に好ましい。
【0024】
【化1】
【0025】該フッ素化重合体はフッ素化モノマーの2
種以上の共重合体或いは他の反応性モノマーとの共重合
体、更には架橋性モノマーとのフッ素系架橋重合体であ
っても差しつかえない。又該フッ素化重合体は撥水性を
阻害しない程度に公知の安定剤、他の重合体等の添加物
を含んでいてもよい。
【0026】特にCO2 、SO2 、H2 Sのような極性
ガスを吸収するジアミノエタノール、モノアミノエタノ
ールのような強塩基性溶媒の気/液分離や、腐食性の強
い液体を膜蒸留する場合には、該フッ素化重合体をフッ
素化モノマーと架橋性モノマーとのフッ素系架橋重合体
にすることにより化学的な安定性が増し好ましい。
【0027】このような架橋性モノマーとしてはエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,4−ブチレンジオールジ
(メタ)アクリレート等のジメタクリレート及びジアク
リレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ
ート等のトリメタクリレート及びトリアクリレート類;
ペンタエリスルリトールテトラ(メタ)アクリレート等
のテトラメタクリレート及びテトラアクリレート類;等
の多官能メタクリレート及び多官能アクリレートが挙げ
られる。又、1,6−ジビニルペルフルオロ−n−ヘキ
サンのような二官能ビニル化合物等も挙げられる。
【0028】好ましくは撥水性を低下させにくい点では
ペルフルオロ側鎖を含んだ架橋性モノマー、例えば2,
2,3,3,4,4−ヘキサフルオペンタンジオールジ
(メタ)アクリレート等が良い。又架橋性モノマーは一
種であっても良いし二種以上を混合して用いてもかまわ
ない。
【0029】フッ素化モノマーと架橋性モノマーの比率
は、モノマーの種類にもよるが前述の撥水性を損なわな
い程度の比率であれば良く特に限定はされない。しかし
溶媒中での安定性を考慮した場合、架橋性モノマーの比
率が多い方が良く、又撥水性を向上させるためにはフッ
素化モノマーの比率を大きくする事が好ましい。
【0030】例えば、好ましい比率としては架橋性モノ
マーの比率が0.01〜20重量%程度が良く、より好
ましくは0.1〜5重量%程度が望ましい。又該フッ素
系架橋重合体は撥水性を阻害しない程度に公知の安定
剤、他の重合体等の添加物を含んでいてもよい。
【0031】本発明におけるポリオレフィン製多孔質膜
表面に物理的に密着保持されるフッ素化重合体又はフッ
素系架橋重合体の量はポリオレフィン製多孔質膜の空孔
率や細孔径にも依存するが、膜性能を維持し撥水性を発
現させるためにはポリオレフィン製多孔質膜の重量に対
しておよそ1〜70重量部程度、好ましくは4〜50重
量部の範囲であることが好ましい。
【0032】本発明におけるポリオレフィン製多孔質膜
の表面とは、ポリオレフィン製多孔質膜の両外壁面及び
細孔内部の表面を合せた部分を指し、該フッ素化重合体
がポリオレフィン製多孔質膜表面の少なくとも一部の表
面に物理的に密着保持されておれば良い。良好な撥水性
膜を得るにはポリオレフィン製多孔質膜の表面の全面に
なるべく均一にフッ素化重合体を保持させることが望ま
しく、好ましくはポリオレフィン製多孔質膜の表面の8
0%以上にフッ素化重合体を保持させるのがよい。
【0033】保持させてなるとは保存中や使用中に容易
に脱離しない程度にフッ素化重合体が多孔質膜に密着さ
れていることをいい、例えば多孔質膜基材にアンカー効
果によって密着していればよい。
【0034】本発明におけるフッ素化重合体又はフッ素
系架橋重合体のフッ素化アルキル側鎖が結晶化している
とは、ポリオレフィン製多孔質膜の表面の撥水性が向上
する程度にフッ素化アルキル側鎖の少なくとも一部が結
晶化していればよく、必ずしもすべてのフッ素化アルキ
ル側鎖が結晶化していなくても良い。例えば膜表面に保
持されているフッ素化重合体又はフッ素系架橋重合体の
DSC等の熱的測定によるフッ素化アルキル側鎖の融点
(Tm)における熱の吸収量が該フッ素化重合体1gに
対して0.5cal/g以上示すものであればよい。
【0035】本発明における撥水性多孔質膜とは、表面
張力が28mN/m未満のものを指し、好ましくは多孔
質膜の表面にビクトリア・ピュア・ブルーBO、0.0
3重量%の1−ブタノール(表面張力25mN/m)溶
液を0.5秒で塗布し2秒後の状態が着色せず該溶液を
弾いて実質多孔質膜の表面張力が25mN/mより小さ
いものを指し、使用時に該多孔質膜の撥水性が実用的に
発現することが望ましい。
【0036】次に本発明における撥水性多孔質膜の製法
について説明する。フッ素化重合体又はフッ素系架橋重
合体をポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着
保持させる方法としては種々の方法を採用することがで
きる。例えばフッ素化モノマー又はフッ素化モノマーと
架橋性モノマーをポリオレフィン製多孔質膜の表面に付
着させた状態で重合する方法や、フッ素化重合体又はフ
ッ素系架橋重合体を適当な溶媒に溶解又は分散し、この
溶液中にポリオレフィン製多孔質膜を浸漬させた後溶媒
を揮発除去させる事によりポリオレフィン製多孔質膜の
全体にわたってフッ素化重合体又はフッ素系架橋重合体
をほぼ均一に付着させる方法等が挙げられる。
【0037】具体的には適当な溶媒にフッ素化モノマー
又はフッ素化モノマーと架橋性モノマー、更に重合開始
剤を溶解させた溶液を調製し、ポリオレフィン製多孔質
膜をその溶液に浸漬する方法、或はポリオレフィン製多
孔質膜でモジュールを作成した後この溶液をポリオレフ
ィン製多孔質膜内に圧入する方法等により該溶液をポリ
オレフィン製多孔質膜に含浸させた後、溶媒を揮発除去
させる方法が採用できる。
【0038】溶媒で希釈した溶液を用いることによって
ポリオレフィン製多孔質膜の細孔を塞ぐことなくポリオ
レフィン製多孔質膜の全体にわたってフッ素化モノマー
をほぼ均一に付着させることができる。又該溶液のフッ
素化モノマー又は架橋性モノマーの濃度や浸漬時間を変
化させることによりフッ素化モノマー又はフッ素化モノ
マーと架橋性モノマーの付着量が調整できる。
【0039】前記の溶液を調製する場合の溶媒として
は、フッ素化モノマーや架橋性モノマーよりも沸点が低
く且つフッ素化モノマーや架橋性モノマーを溶解するこ
とが可能な有機溶剤が用いられるが、重合開始剤をも溶
解できる溶媒を用いることが好ましい。
【0040】このような溶媒としてはメタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノールのアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、酢
酸エチル、ヘキサン等を挙げることができる。
【0041】有機溶媒の沸点は特に限定されないが、重
合工程前の溶媒除去が容易であることを考慮するとおよ
そ100℃以下であることが好ましく、およそ80℃以
下であることがより好ましい。
【0042】溶液中におけるフッ素化モノマー及び架橋
性モノマーと溶媒との組成は溶媒の種類や目標とするフ
ッ素化重合体の保持量等を考慮して適宜選択すればよ
く、溶媒100重量%に対しておよそ1〜50重量%で
あることが望ましい。
【0043】これらの溶液を用いてポリオレフィン製多
孔質膜に対して浸漬処理又は圧入処理する際の浸漬時間
又は圧入時間はおよそ0.5秒〜30分間程度が望まし
く、ポリオレフィン製多孔質膜に対するぬれ特性が良好
な溶液を用いた場合程より短時間で実施することができ
る。
【0044】このようにしてフッ素化モノマー又はフッ
素化モノマーと架橋性モノマー、更に重合開始剤をポリ
オレフィン製多孔質膜の表面に付着させたポリオレフィ
ン製多孔質膜は余分な液を除去し、更に必要に応じて細
孔内部の溶媒を蒸発除去した後、次の重合工程に移る。
【0045】本発明においては熱重合法、光重合法等の
重合方法を採用することができ、重合開始剤は公知のも
のを用いることができる。熱重合法の場合、重合温度は
開始剤の分解温度以上であり、又多孔質の膜構造を変化
させることなく且つ膜基質を損傷しない程度以下の温度
が望ましく、30℃〜100℃程度の温度が望ましい。
又加熱時間は重合開始剤の種類と加熱温度に依存するが
10秒間〜60分間程度が望ましい。
【0046】ポリオレフィン製多孔質膜の表面に付着し
たフッ素化モノマーを上記したような方法によって重合
することによりポリオレフィン製多孔質膜の表面にフッ
素化重合体又はフッ素系架橋重合体によって被覆され
る。
【0047】フッ素化重合体が生成された後は、必要に
応じて適当な洗浄溶媒、例えばモノマー等が溶解しポリ
マーが溶解せず乾燥が容易なメタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノールのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、酢酸エチ
ル、ヘキサン等を用い浸漬法や圧入法によってポリオレ
フィン製多孔質膜表面に存在する未反応モノマーや遊離
したポリマー等の不要成分を除去することができる。
【0048】この時点ではポリエチレン製中空糸膜より
も撥水性は向上するものの、その撥水性は十分でなくポ
リテトラフルオロエチレンを上回るほどの撥水性を付与
できない。
【0049】次に本工程において最も重要である膜の表
面のフッ素化重合体又はフッ素系架橋重合体のフッ素化
アルキル側鎖を結晶化させる方法について述べる。フッ
素化アルキル側鎖を結晶化させる方法としては種々の方
法を採用することができるが、例えば熱処理による方法
が挙げられる。
【0050】ここでいう熱処理とは洗浄溶媒を単に乾燥
させるだけではなく、乾燥後更にフッ素化重合体が膜表
面に保持された膜を或る一定時間高温状態に保ってフッ
素化アルキル側鎖を結晶化させることであり、高温の空
気中、窒素雰囲気などの不活性ガス中、又低表面エネル
ギーの液体中において放置する事であり、必ずしもその
媒体は限定されないが細孔内部まで均一な条件を保ちや
すい点から気体中で高温に保つ方が好ましい。
【0051】熱処理の温度はフッ素化重合体又はフッ素
系架橋重合体のTmより低い温度であれば良く、フッ素
化重合体又はフッ素系架橋重合体のガラス転移温度(T
g)より高い温度が好ましく、更に好ましくは結晶化し
やすい点でTmより5〜20℃低い温度がよい。
【0052】該熱処理は洗浄溶媒の乾燥と同時に行って
も別々に行ってもよく、又温度を2回以上変える多段階
の熱処理を行っても差支えない。
【0053】熱処理時間については熱処理温度とフッ素
化重合体又はフッ素系架橋重合体の種類によって異なる
が、1分〜170時間程度であれば良く、より好ましく
は5分〜48時間程度であれば良い。熱処理後の冷却方
法については特に限定されないが、結晶化を促進する上
でゆっくり徐冷する事が好ましい。
【0054】本発明における熱処理等による撥水性の向
上の理由は明かではないが、以下のように推測される。
フッ素化アルキル側鎖が膜の表面で結晶化する際、膜基
材よりも表面張力の小さい気体側にフッ素化アルキル側
鎖が配向し、トリフルオロメチル基やジフルオロメチル
基等の低表面張力であるフッ素化アルキル基の末端部分
が膜表面に多く分布することにより、多孔質膜の撥水性
が結晶化する前よりも向上すると考えられる。
【0055】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。各実施例、比較例で得られた多孔質膜は次の方法を
用いて評価した。 (1)フッ素化重合体又はフッ素系架橋重合体の付着
量:ポリオレフィン製多孔質膜の重量とフッ素化重合体
又はフッ素系架橋重合体を保持させた後の多孔質膜の重
量との変化量を測定する。
【0056】(2)ぬれ指数標準液No.31による染
め試験:得られた多孔質膜の表面にぬれ指数標準液N
o.31(表面張力31mN/m)を0.5秒で塗布し
2秒後の状態が着色しているかそれともぬれ指数標準液
を弾いているかを観察する。着色しない場合、その多孔
質膜の表面張力が31mN/mより小さい事を示す。
【0057】(3)1−ブタノールによる染め試験:得
られた多孔質膜の表面にビクトリア・ピュア・ブルーB
O、0.03重量%の1−ブタノール(表面張力25m
N/m)溶液を0.5秒で塗布し2秒後の状態が着色し
ているかそれとも弾いているかを観察する。着色しない
場合、その多孔質膜の表面張力が25mN/mより小さ
い事を示す。
【0058】(4)透溶液圧:イオン交換水60重量
部、エタノール40重量部の溶液(25℃における表面
張力30mN/m)を調製する。この溶液を中空糸膜の
内部より圧力をかけて透過させるとき、多孔質膜の全体
から透過し始めるときの圧力を測定する。
【0059】(5)Tmにおける吸収熱量の測定:DS
Cを用いて得られた多孔質膜の熱的性質の分析を行い、
フッ素化重合体又はフッ素系架橋重合体1gあたりのT
mでの吸収熱量を測定する。
【0060】実施例1 ポリオレフィン製多孔質膜として内径270μm、膜厚
79μm、バブルポイント3.8kg/cm2 、ガスフ
ラックス150000l/m2 ・hr・0.5kg/c
2 、空孔率63%のポリエチレン製多孔質中空糸膜E
HF(三菱レイヨン(株)製)を用いて、フッ素化モノ
マーとしてメタクリル酸−2−(ペルフルオロオクチ
ル)エチルエステル(ダイキン工業(株)製)15重量
部、重合開始剤V−70(和光純薬(株)製)0.15
重量部およびアセトン85重量部の溶液に約15秒間浸
漬した後、45℃窒素ガス雰囲気中でアセトンを除去
し、80℃窒素ガス雰囲気中でフッ素化モノマーを重合
した後アセトン洗浄して不要成分を除去し室温にて乾燥
した。その後、空気中80℃で24時間熱処理し室温雰
囲気にもどし放置した。
【0061】このようにして得られた撥水性多孔質膜の
フッ素化重合体の付着量、ぬれ指数標準液No.31に
よる染め試験、1−ブタノールによる染め試験、透溶液
圧、Tmにおける吸収熱量の評価結果を表1に示す。
【0062】実施例2 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロヘキシル)エチルエステル(ダイキン工業(株)
製)を用いる以外は実施例1と同様にして、表1に示す
性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0063】実施例3 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロデシル)エチルエステル(ダイキン工業(株)製)
を用いる以外は実施例1と同様にして、表1に示す性能
を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0064】実施例4 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロ−5−メチルヘキシル)エチルエステル(ダイキン
工業(株)製)を用いる以外は実施例1と同様にして、
表1に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0065】実施例5 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロ−7−メチルオクチル)エチルエステル(ダイキン
工業(株)製)を用いる以外は実施例1と同様にして、
表1に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0066】実施例6 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロ−9−メチルデシル)エチルエステル(ダイキン工
業(株)製)を用いる以外は実施例1と同様にして、表
1に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0067】実施例7 ポリオレフィン製多孔質膜として内径546μm、膜厚
112μm、バブルポイント4.2kg/cm2 、ガス
フラックス120000l/m2 ・hr・0.5kg/
cm2 、空孔率69%のポリエチレン製多孔質中空糸膜
EHF(三菱レイヨン(株)製)を用いる以外は実施例
1と同様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質
膜を得た。
【0068】実施例8 ポリオレフィン製多孔質膜として内径505μm、膜厚
155μm、バブルポイント0.7kg/cm2 、ガス
フラックス1150000l/m2 ・hr・0.5kg
/cm2 、空孔率82%のポリエチレン製多孔質中空糸
膜EHF(三菱レイヨン(株)製)を用いる以外は実施
例1と同様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔
質膜を得た。
【0069】実施例9 ポリオレフィン製多孔質膜として内径270μm、膜厚
55μm、バブルポイント2.2kg/cm2 、ガスフ
ラックス270000l/m2 ・hr・0.5kg/c
2 、空孔率72%のポリエチレン製多孔質中空糸膜E
HF(三菱レイヨン(株)製)を用いる以外は実施例1
と同様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質膜
を得た。
【0070】実施例10 ポリオレフィン製多孔質膜として内径200μm、膜厚
22μm、バブルポイント12.5kg/cm2 、ガス
フラックス70000l/m2 ・hr・0.5kg/c
2 、空孔率50%のポリプロピレン製多孔質中空糸膜
KPF(三菱レイヨン(株)製)を用いる以外は実施例
1と同様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質
膜を得た。
【0071】実施例11 熱処理を空気中80℃8時間で行う以外は実施例1と同
様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得
た。
【0072】実施例12 熱処理を空気中60℃24時間で行う以外は実施例1と
同様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質膜を
得た。
【0073】実施例13 実施例1と同様のポリエチレン製多孔質膜を用いて、フ
ッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフルオ
ロオクチル)エチルエステル(ダイキン工業(株)製)
19.8重量部、架橋性モノマーとして1,6−ヘキサ
ンジオールジメタクリレート0.2重量部(三菱レイヨ
ン(株)製)、重合開始剤V−70(和光純薬(株)
製)0.2重量部およびアセトン80重量部の溶液を用
いた他は実施例1と同様に処理し、表1に示す性能を有
する撥水性多孔質膜を得た。
【0074】この多孔質膜を50℃のモノエタノールア
ミン30%溶液中に浸漬し、1000時間経過後取り出
し水で洗浄し室温にて乾燥後、染め試験と透溶液圧の評
価を行った。この結果を表2に示す。
【0075】実施例14 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロデシル)エチルエステル(ダイキン工業(株)製)
を用いた他は実施例13と同様に処理し、表1、2に示
す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0076】実施例15 架橋性モノマーとして1,3−ブチレンジオールジメタ
クリレート(アクリエステルBD、三菱レイヨン(株)
製)を用いた他は実施例13と同様に処理し、表1、2
に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0077】実施例16 フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロオクチル)エチルエステル(ダイキン工業(株)
製)19重量部、架橋性モノマーとして1,6−ヘキサ
ンジオールジメタクリレート1重量部(三菱レイヨン
(株)製)、重合開始剤V−70(和光純薬(株)製)
0.2重量部およびアセトン80重量部の溶液を用いた
他は実施例13と同様に処理し、表1、2に示す性能を
有する撥水性多孔質膜を得た。
【0078】実施例17 ポリオレフィン製多孔質膜として内径445μm、膜厚
178μm、バブルポイント3.0kg/cm2 、ガス
フラックス150000l/m2 ・hr・0.5kg/
cm2 、空孔率69%のポリエチレン製多孔質中空糸膜
EHF(三菱レイヨン(株)製)を用いて、メタクリル
酸−2−(ペルフルオロオクチル)エチルエステル(ダ
イキン工業(株)製)39重量部、架橋性モノマーとし
て1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート1重量部
(三菱レイヨン(株)製)、重合開始剤V−70(和光
純薬(株)製)0.4重量部およびアセトン60重量部
の溶液を用いる他は実施例13と同様に処理し、表1、
2に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0079】実施例18 実施例9と同様のポリオレフィン製多孔質膜を用いて、
フッ素化モノマーとしてメタクリル酸−2−(ペルフル
オロオクチル)エチルエステル(ダイキン工業(株)
製)24.5重量部、架橋性モノマーとして1,6−ヘ
キサンジオールジメタクリレート0.5重量部(三菱レ
イヨン(株)製)、重合開始剤V−70(和光純薬
(株)製)0.25重量部およびアセトン75重量部の
溶液を用いた他は実施例13と同様に処理し、表1、2
に示す性能を有する撥水性多孔質膜を得た。
【0080】実施例19 1、1、2−トリクロロ−1、2、2−トリフルオロエ
タン100重量部にフッ素化重合体としてメタクリル酸
−2−(ペルフルオロオクチル)エチルエステルの重合
体を2重量部溶した溶液に実施例1と同様のポリオレフ
ィン製多孔質膜を10分間浸漬した後、1、1、2−ト
リクロロ−1、2、2−トリフルオロエタンを揮発除去
させた。その後、実施例1と同様の方法で熱処理した。
このようにして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質
膜を得た。
【0081】実施例20 ポリオレフィン製多孔質膜として膜厚25μm、バブル
ポイント12.1kg/cm2 、ガスフラックス650
00l/m2 ・hr・0.5kg/cm2 、空孔率45
%のポリプロピレン製多孔質平膜ジュラガード2500
(ポリプラスチック(株)製)を用いる以外は実施例1
と同様にして、表1に示す性能を有する撥水性多孔質膜
を得た。
【0082】比較例1 実施例1でフッ素化重合体を保持していないポリエチレ
ン製多孔質膜の性能を表1に示す。
【0083】比較例2 実施例1でフッ素化モノマーを重合後アセトン洗浄し不
溶成分を除去して室温にて乾燥した後、熱処理を施さな
いポリエチレン製多孔質膜の性能を表1に示す。
【0084】比較例3 実施例7でフッ素化重合体を保持していないポリエチレ
ン製多孔質膜の性能を表1に示す。
【0085】比較例4 実施例8でフッ素化重合体を保持していないポリエチレ
ン製多孔質膜の性能を表1に示す。
【0086】比較例5 実施例9でフッ素化重合体を保持していないポリエチレ
ン製多孔質膜の性能を表1に示す。
【0087】比較例6 実施例10でフッ素化重合体を保持していないポリプロ
ピレン製多孔質膜の性能を表1に示す。
【0088】比較例7 実施例19でフッ素化重合体を付着させた後、熱処理を
施さない多孔質膜の性能を表1に示す。
【0089】比較例8 実施例1と同様のポリエチレン製多孔質膜を用いて、3
級ブチルアルコール45重量%と水55重量%の混合液
中FX−13(2−(N−エチルペルフルオロアルキル
スルホンアミド)エチルアクリレート、3M社製)0.
5重量%溶液に浸漬し、該液中において24時間γ線(
60Co)を照射した後アセトン洗浄して不要成分を除去
した。その後空気中80℃で24時間熱処理し室温雰囲
気にもどし放置し、表1に示す性能を有する多孔質膜を
得た。処理前後での破断伸度、破断強度を表3に示す。
この結果、実施例1の場合に比べ膜基材の強伸度特性の
低下がみられ、膜基材にダメージがあるものと考えられ
る。
【0090】比較例9 比較例8で熱処理を施さない多孔質膜の性能を表1、3
に示す。
【0091】
【発明の効果】フッ素化アルキル側鎖を有する重合体が
ポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持さ
れ、且つ該フッ素化アルキル側鎖が結晶化している本発
明の撥水性多孔質膜は、ポリテトラフルオロエチレンな
どのフッ素化ポリマーやポリエチレン等のポリオレフィ
ンを基材として用いた多孔質膜に比較して、撥水性能が
大巾に向上している。
【0092】又フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素化
モノマーと架橋性モノマーからなるフッ素系架橋重合体
がポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持
され、且つ該フッ素化アルキル側鎖が結晶化している本
発明の撥水性多孔質膜は、ポリテトラフルオロエチレン
などのフッ素化ポリマーやポリエチレン等のポリオレフ
ィンを基材として用いた多孔質膜に比較して撥水性能が
大巾に向上し且つ耐溶剤性も向上している。
【0093】本発明の多孔質膜はその撥水性を生かし
て、オイルミストの除去等のエアーフィルター、種々の
液体の脱気用の多孔質膜、蓄熱液の濃縮と希釈を行う気
化透過式の冷熱出力型濃度差蓄冷装置に用いられる透湿
用撥水性多孔質膜、CO2 、SO2 、H2 Sのような極
性ガスを吸収するジアミノエタノール、モノアミノエタ
ノールのような強塩基性溶媒の気/液分離、腐食性の強
い液体の膜蒸留等の分野への応用が可能である。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素化アルキル側鎖を有する重合体が
    ポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持さ
    れており、且つ該重合体のフッ素化アルキル側鎖が結晶
    化している撥水性多孔質膜。
  2. 【請求項2】 フッ素化アルキル側鎖を有する重合体
    が、フッ素化アルキルメタクリレート又はフッ素化アル
    キルアクリレートの重合体である請求項1記載の撥水性
    多孔質膜。
  3. 【請求項3】 フッ素化アルキル側鎖を有する重合体
    が、エステル部の炭素数が7以上15以下であるフッ素
    化アルキルメタクリレート又はフッ素化アルキルアクリ
    レートの重合体である請求項1記載の撥水性多孔質膜。
  4. 【請求項4】 フッ素化アルキル側鎖を有する重合体
    が、エステル部の炭素数が7以上15以下であるペルフ
    ルオロアルキルエチルメタクリレート又はペルフルオロ
    アルキルエチルアクリレートの重合体である請求項1記
    載の撥水性多孔質膜。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリエチレ
    ン又はポリプロピレン製多孔質膜である請求項1記載の
    撥水性多孔質膜。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリエチレ
    ン又はポリプロピレン製中空糸膜である請求項1記載の
    撥水性多孔質膜。
  7. 【請求項7】 フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素化
    モノマーと架橋性モノマーからなるフッ素系架橋重合体
    がポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持
    されており、且つ該フッ素系架橋重合体のフッ素化アル
    キル側鎖が結晶化している撥水性多孔質膜。
  8. 【請求項8】 フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素化
    モノマーがフッ素化アルキルメタクリレート又はフッ素
    化アルキルアクリレートである請求項7記載の撥水性多
    孔質膜。
  9. 【請求項9】 フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素化
    モノマーが、エステル部の炭素数が7以上15以下であ
    るフッ素化アルキルメタクリレート又はフッ素化アルキ
    ルアクリレートである請求項7記載の撥水性多孔質膜。
  10. 【請求項10】 フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素
    化モノマーが、エステル部の炭素数が7以上15以下で
    あるペルフルオロアルキルエチルメタクリレート又はペ
    ルフルオロアルキルエチルアクリレートである請求項7
    記載の撥水性多孔質膜。
  11. 【請求項11】 架橋性モノマーが多官能メタクリレー
    ト又は多官能アクリレートである請求項7記載の撥水性
    多孔質膜。
  12. 【請求項12】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリエチ
    レン又はポリプロピレン製多孔質膜である請求項7記載
    の撥水性多孔質膜。
  13. 【請求項13】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリエチ
    レン又はポリプロピレン製中空糸膜である請求項7記載
    の撥水性多孔質膜。
  14. 【請求項14】 フッ素化アルキル側鎖を有する重合体
    をポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持
    させ、更に熱処理する事により該フッ素化アルキル側鎖
    を結晶化させる事を特徴とする撥水性多孔質膜の製法。
  15. 【請求項15】 フッ素化アルキル側鎖を有するモノマ
    ーをポリオレフィン製多孔質膜の表面に付着させた状態
    で重合し、フッ素化アルキル側鎖を有する重合体をポリ
    オレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保持させ、
    更に熱処理する事により該フッ素化アルキル側鎖を結晶
    化させる事を特徴とする撥水性多孔質膜の製法。
  16. 【請求項16】 フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素
    化モノマーと架橋性モノマーからなるフッ素系架橋重合
    体をポリオレフィン製多孔質膜の表面に物理的に密着保
    持させ、更に熱処理する事により該フッ素化アルキル側
    鎖を結晶化させる事を特徴とする撥水性多孔質膜の製
    法。
  17. 【請求項17】 フッ素化アルキル側鎖を有するフッ素
    化モノマーと架橋性モノマーをポリオレフィン製多孔質
    膜の表面に付着させた状態で重合しフッ素化アルキル側
    鎖を有するフッ素化モノマーと架橋性モノマーからなる
    フッ素系架橋重合体をポリオレフィン製多孔質膜の表面
    に物理的に密着保持させ、更に熱処理する事により該フ
    ッ素化アルキル側鎖を結晶化させる事を特徴とする撥水
    性多孔質膜の製法。
  18. 【請求項18】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリオレ
    フィン製平膜である請求項1記載の撥水性多孔質膜。
  19. 【請求項19】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリオレ
    フィン製平膜である請求項7記載の撥水性多孔質膜。
  20. 【請求項20】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリオレ
    フィン製織物状膜である請求項1記載の撥水性多孔質
    膜。
  21. 【請求項21】 ポリオレフィン製多孔質膜がポリオレ
    フィン製織物状膜である請求項7記載の撥水性多孔質
    膜。
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