JPH0610761Y2 - 全稈投入型コンバインの選別部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、扱室から送出されたワラを後方に揺動移送す
るストローウォーカの底部に前下り傾斜した流下板を備
え、この流下板の前端の近傍で且つ前下方に、扱室から
の漏下処理物を後方に揺動移送するグレンパンの後端を
位置させてある全稈投入型コンバインの選別部構造に関
するものである。

〔従来の技術〕

一般の全稈投入型コンバインの選別部では、ストローウ
ォーカの網体から漏下した流下板を下ってきた漏下処理
物と、グレンパン上を後方に揺動移送されてきた処理物
とを共に揺動選別装置の前端に供給することから、流下
板の前端とその下方に位置するグレンパンの後端とは前
後に接近した位置にある（実開昭61-98443号公報）。

〔考案が解決しようとする問題点〕 ところで、全稈投入型コンバインを用いて刈取り及び脱
穀作業をするに、その対象作物が麦である場合、稈が折
れ易いために切れワラを多く発生するが、ワラの絡まり
が少いために、ワラ屑に混入する刺さり籾が少ない。一
方、対象作物が稲である場合は、稈がしなやかで強靱で
あるために切れワラ発生は少ないが、ワラ屑の絡まりが
強く刺さり籾が多い。

そのため、麦を脱穀する場合には、流下板を流下してき
た処理物中に多くの切れワラが混入し、そのうちの長い
切れワラが揺動選別装置上に落下せず、流下板前端とグ
レンパン後端とに亘って架け渡した状態となり、流下板
とグレンパンの処理物が揺動選別装置上に落下する際に
詰りの原因となることがある。また、稲を脱穀する場合
には、流下板を流下してきた処理物中の切れワラが上述
した状態になることが少ない上に処理物中に多くの刺さ
り籾が混入しているので、処理物を一旦グレンパン上に
放出して若干の比重差選別をしてからチャフシーブ上に
落下させた方が籾の回収率が上がる。しかし、上述した
麦脱穀の場合を想定すると流下板とグレンパンとの間を
狭めるにも限界があり、結局、回収効率をある程度犠牲
にてその間隙を定めてある。

本考案は、このような実情に着目して創案されたもの
で、その目的は、麦脱穀の場合の詰りの防止と、稲脱穀
の場合の回収効率の向上にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の特徴構成は、流下板の前端を、流下板からの処
理物をグレンパンの終端部に落下させるためにグレンパ
ンの終端部に近接させる状態と、流下板からの切れワラ
が流下板とグレンパンとに亘って凭れ架からない程度に
グレンパンの終端部から遠ざける状態とに前後方向に出
退調節自在にしてある点にあり、その作用・効果は次の
通りである。

〔作用〕

つまり、切れワラの発生が多くて刺さり籾の少ない麦を
脱穀する場合には、流下板を後方に退避してグレンパン
との間を広げ、切れワラが流下板とグレンパンとの間に
架からないようにする。

また、切れワラの発生が少なくて刺さり籾の多い稲を脱
穀する場合には、流下板を前方に突出させてグレンパン
との間を狭め、処理物がグレンパン上に落ち易いように
するのである。

〔考案の効果〕

その結果、流下板を出退調節することによって、麦脱穀
の場合における切れワラによる詰りが解消されるととも
に、稲脱穀の場合における刺さり籾の回収効率の向上さ
せることが可能になった。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第３図に示すように、植立穀稈を引起し乍ら機体後方に
掻き込むリール(1)、掻き込まれた穀稈を刈取る刈取装
置(2)、刈取られた穀稈を中央に寄せ集めるオーガ(3)、
刈取穀稈を機体後方に移送するコンベア(4)よりなる刈
取前処理装置(A)を前部に備えるとともに、コンベア(4)
によって移送される刈取穀稈を扱室(5)に投入して扱胴
(6)及びコンケーブ(7)によって扱き作用を加える脱穀部
(B)と、扱室(5)から漏下した処理物を選別する選別部
(C)と、籾を回収する回収部(D)とを設けて全稈投入型コ
ンバインを構成してある。

前記脱穀部(B)は、下方にコンケーブ(7)が設けてあり、
扱き処理された処理物をこのコンケーブ(7)を介して下
方のグレンパン(8)に漏下するとともに、後方にはビー
タ(9)が設けてあり、漏下せずに残った処理物をビータ
(9)でワラ屑等の残存物を後方のストローウォーカ(10)
に放出するように構成してある。

前記選別部(C)は、コンケーブ(7)から漏下供給された処
理物を比重差選別しながら後方に揺動移送する前記グレ
ンパン(8)と、ビータ(9)によって放出された処理物を漏
下しながら後方へ揺動移送する前記ストローウォーカ(1
0)と、グレンパン(8)とストローウォーカ(10)から供給
された処理物を一番物と二番物とに選別する揺動選別装
置(11)と、この揺動選別装置(11)に風を送る唐箕(12)と
から構成してある。

前記ストローウォーカ(10)の底部には、前下り傾斜した
流下板(13)が設けてあり、漏下した処理物を前方に流下
案内してグレンパン(8)の後端若しくは揺動選別装置(1
1)の前端に落下放出するようにしてある。更に前記グレ
ンパン(8)の後端は、ストローウォーカ(10)の前下方で
且つ揺動選別装置(11)の前端上方に位置していて、扱室
(5)やストローウォーカ(10)からの処理物を揺動選別装
置(11)の前端に落下放出できるようにしてある。

前記揺動選別装置(11)は、チャフシーブ(14)とグレンシ
ーブ(15)と一番物流下板(16)とを上下三段に配設したも
ので、一体的に揺動するようになっている。

前記ストローウォーカ(10)の流下板(13)について補足説
明すると、第１図及び第２図に示すように、この流下板
(13)の前部には補助流下板(13a)が前後方向に出退調節
自在に取付けてあり、この出退調節によって流下板(13)
の実質的な長さ、即ち前端位置を変更できるようにして
ある。この補助流下板(13a)は、作用の項で記したよう
に麦のように切れワラの発生が多くて刺さり籾の少ない
種類の作物を脱穀する場合には後方に退避してグレンパ
ン(8)との間を広げ、切れワラが両者の間に架からない
程度に離しておく。また、稲のように切れワラの発生が
少なくて刺さり籾の多い種類の作物を脱穀する場合に
は、前方に突出させて処理物がグレンパン(8)上に落ち
易いようにしておくのである。

本考案を実施するに、前記補助流下板(13a)は網状のも
のでも、波板状のものであってもよい。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にするために符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る全稈投入型コンバインの選別部構造
の実施例を示し、第１図は要部の縦断側面図、第２図は
第１図のII−II線断面図、第３図は全稈投入型コンバイ
ンの縦断側面図である。 (5)……扱室、(8)……グレンパン、(10)……ストローウ
ォーカ、(13)……流下板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扱室(5)から送出されたワラを後方に揺動
   移送するストローウォーカ(10)の底部に前下り傾斜した
   流下板(13)を備え、この流下板(13)の前端の近傍で且つ
   前下方に、扱室(5)からの漏下処理物を後方に揺動移送
   するグレンパン(8)の後端を位置させてある全稈投入型
   コンバインの選別部構造であって、前記流下板(13)の前
   端を、流下板(13)からの処理物をグレンパン(8)の終端
   部に落下させるためにグレンパン(8)の終端部に近接さ
   せる状態と、流下板(13)からの切れワラが流下板(13)と
   グレンパン(8)とに亘って凭れ架からない程度にグレン
   パン(8)の終端部から遠ざける状態とに前後方向に出退
   調節自在にしてある全稈投入型コンバインの選別部構
   造。