JPH06104118A - 軟磁性薄膜およびその製造方法 - Google Patents

軟磁性薄膜およびその製造方法

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JPH06104118A
JPH06104118A JP24967192A JP24967192A JPH06104118A JP H06104118 A JPH06104118 A JP H06104118A JP 24967192 A JP24967192 A JP 24967192A JP 24967192 A JP24967192 A JP 24967192A JP H06104118 A JPH06104118 A JP H06104118A
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/26Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure characterised by the substrate or intermediate layers

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄単結晶軟磁性薄膜において、軟磁気特性を
向上させ、飽和磁束密度を大きくする。 【構成】 サファイヤ単結晶基板1上にM=V、Nb、
Mo、Ta、WのいずれかあるいはMより選ばれた少な
くとも2種類の金属より成る体心立方晶の合金、または
FeあるいはCrとMより成る体心立方晶の合金のエピ
タキシャルバッファー層2上に、あるいは以上のエピタ
キシャルバッファー層を下層2’とし、Crを上層2”
とした2層構造のバッファー層上に、単結晶Fe膜3を
エピタキシャル成長させる。Fe単結晶膜の成長にあた
っては、99.995%以上の純度を有するFe母材を
用い、10- 8 トールより圧力の低い超高真空下でで行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜磁気ヘッドなどに用
いられる軟磁性薄膜およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の高密度化にともなって磁
気ヘッドに用いる薄膜磁性材料には、高飽和磁束密度、
低保磁力の軟磁気特性が必要となってきている。これま
でに飽和磁束密度が1テスラ程度のNi−Fe系合金薄
膜、Fe−Al−Si系合金薄膜、Co−Nb−Zr系
アモルファス合金薄膜等が実用化されている。これらの
合金磁性膜の飽和磁束密度では高密度化に対し限界が見
えており、今後2テスラ程度の飽和磁束密度を持つ軟磁
性薄膜が必要になってきている。最近、遷移金属中で最
も高い飽和磁束密度(2.1テスラ)を持つFe薄膜の
軟磁性化の研究がさかんに行われている。軟磁気特性の
向上には、Feに数%程度の異種元素の添加や中間層と
の多層化によりFe薄膜を微細結晶粒組織にする事が有
効であるといわれている。一方鉄の格子とミスマッチの
小さなガリウム砒素(GaAs)基板上に鉄をエピタキ
シャル成長させることによって鉄薄膜の軟磁気特性が向
上したという報告がある(例えば ジャーナル オブ
クリスタル グロース(J.of Crystal G
rowth)第81巻 524ページ 1987年)。
また、GaAs(001)基板上にエピタキシャル成長
させたFe1 6 2 (001)薄膜が、2.5テスラと
いうFe単体を上回る高飽和磁束密度を持つことが特開
平2−308504号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Fe1 6 2 単結晶膜
は、飽和磁束密度が大きいので軟磁性材料への期待が大
きいが、その製造方法がむずかしく、成長速度が極めて
遅いことから実用的でない。これに対して、鉄単結晶薄
膜は、添加元素を必要としないために高い飽和磁束密度
が実現されること、そもそも単結晶であるためにきわめ
て安定であること、等から微細結晶粒化による鉄薄膜の
軟磁性化よりも磁気ヘッド用薄膜磁性材料として有望で
ある。しかしながら基板として用いているGaAsは、
機械的強度が小さいために、機械的信頼性が必要とされ
る磁気ヘッドなどのような電子部品にGaAs基板上の
単結晶Fe膜を用いるのはむずかしい。さらにGaAs
基板上にエピタキシャル成長させたFe単結晶薄膜は、
基板との合金化が起こり飽和磁束密度が低下するなどの
問題があった。
【0004】本発明の目的は、飽和磁束密度が高く、軟
磁気特性に優れた単結晶鉄軟磁性薄膜およびその製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、サファイヤ基
板上にエピタキシャル成長させたバッファー層上にエピ
タキシャル成長させたことを特徴とする鉄単結晶軟磁性
薄膜であって、鉄単結晶膜の成長面が(001)、(1
10)、(111)、(112)であり、エピタキシャ
ルバッファー層が、体心立方晶金属M(M=バナジウム
(V)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタ
ル(Ta)、タングステン(W))または該体心立方晶
金属Mより選ばれた2種類以上の金属からなる体心立方
晶の合金、または、鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)
と該体心立方晶金属Mとからなる体心立方晶の合金であ
ることを特徴とする軟磁性薄膜である。また該エピタキ
シャルバッファー層が2層よりなり、下層が上記の体心
立方晶金属M、または該体心立方晶金属Mより選ばれた
2種類以上の金属からなる体心立方晶の合金、または、
鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)と該体心立方晶金属
Mとからなる体心立方晶の合金で、上層がクロム(C
r)で構成されることを特徴とする軟磁性薄膜である。
さらに本発明は、99.995%以上の純度を有する鉄
を原料とし、10- 8 トールより低い圧力の超高真空下
でエピタキシャル成長させることを特徴とする鉄単結晶
軟磁性薄膜の製造方法である。
【0006】
【作用】サファイヤ基板はガリウム砒素基板と異なり、
物理的・化学的に安定でかつ機械的強度も高いことか
ら、高信頼性を要求される磁気ヘッドなどの磁性薄膜の
基板として優れている。したがってサファイヤ単結晶基
板上に直接Fe単結晶膜がエピタキシャル成長すればよ
いのだが、体心立方晶のFe(格子定数2.87オング
ストローム)は疑似六方晶のサファイヤとの格子ミスマ
ッチがかなり大きいために、サファイヤ基板上の直接F
eのエピタキシャル膜を形成することは困難である。こ
れに対して、Feと同じ体心立方晶の金属M(M=V、
Nb、Mo、Ta、W、それぞれの格子定数は、3.0
3、3.30、3.15、3.30、3.16オングス
トローム)または該体心立方晶金属Mより選ばれた2種
類以上の金属からなる体心立方晶の合金、または、鉄
(Fe)あるいはクロム(Cr)と該体心立方晶金属M
とからなる体心立方晶の合金は、サファイヤとの格子ミ
スマッチがかなり小さくなるので、サファイヤ基板上に
エピタキシャル成長する。このエピタキシャルバッファ
ー層は、Feと同じ結晶対称性を持ち、かつFeの対応
する結晶面間との格子ミスマッチが小さいために、Fe
単結晶膜がこのエピタキシャルバッファー層上に容易に
成長する。Feのエピタキシャル膜の成長にあたって
は、バッファー金属・合金との格子ミスマッチが小さい
ので、成長温度は低くできるために、Feとバッファー
層金属との合金化反応を抑制することができる。したが
ってサファイヤ基板上にエピタキシャルバッファー層を
介してエピタキシャル成長した鉄単結晶薄膜の飽和磁束
密度はバルクの値から減少することがない。
【0007】またFeとエピタキシャルバッファー金属
とのミスマッチの大きさは、例えばNb、Taでは13
%、Mo、Wでは9%、Vにおいてさえ5.3%と比較
的大きいのに対して、鉄とクロムのミスマッチは、0.
45%であるために特に膜厚が薄い鉄単結晶薄膜の形成
にあたっては、エピタキシャルバッファー層を2層構造
とし、下層を体心立方晶の金属M(M=V、Nb、M
o、Ta、W)または該体心立方晶金属Mより選ばれた
2種類以上の金属からなる体心立方晶の合金、または、
鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)と該体心立方晶金属
Mとからなる体心立方晶の合金、上層をクロムとするこ
とによって、欠陥の少ない鉄単結晶薄膜を得ることがで
き、そのために軟磁気特性を改善できるものである。
【0008】一方上記のような鉄単結晶軟磁性薄膜の製
造にあたっては、エピタキシャル成長および鉄薄膜中の
磁壁の移動を阻害する要因を排除することが重要であ
る。そのために鉄原料の純度は少なくとも99.995
%以上であること、及び10-8 トールより圧力が低い
超高真空中で鉄を成長させることが必要となる。
【0009】
【実施例】以下本発明について実施例により説明する。
図1は本発明の軟磁性薄膜の断面模式図である。図1
(a)ではサファイヤ単結晶基板1上に体心立方晶の金
属M(M=バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、モリブ
デン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン
(W))または該体心立方晶金属Mより選ばれた2種類
以上の金属からなる体心立方晶の合金、または、鉄(F
e)あるいはクロム(Cr)と該体心立方晶金属Mとか
らなる体心立方晶の合金エピタキシャルバッファー層2
上に、鉄膜3がエピタキシャル成長している。サファイ
ヤ単結晶基板とエピタキシャルバッファー層ならびにエ
ピタキシャルFe膜の成長面との関係は、(1)サファ
イヤ(1−102)面に対してはバッファー層が(00
1)面、Feが(001)面、(2)サファイヤ(11
−20)面に対してはバッファー層が(110)面、F
eが(110)面、(3)サファイヤ(0001)面に
対してはバッファー層が(111)面、Feが(11
1)面、(4)サファイヤ(1−100)面に対しては
バッファー層が(112)面、Feが(112)面であ
る。
【0010】図1(b)では、エピタキシャルバッファ
ー層が2層より成り、下層2’が体心立方晶の金属M
(M=V、Nb、Mo、Ta、W)または該体心立方晶
金属Mより選ばれた2種類以上の金属からなる体心立方
晶の合金、または、FeあるいはCrと該体心立方晶金
属Mとからなる体心立方晶の合金で、上層2”がクロム
エピタキシャルバッファー層で構成され、この上にFe
膜3がエピタキシャル成長している。
【0011】本発明の実施にあったては図2に示した超
高真空電子ビーム蒸着装置を用いて行った。図2の蒸着
装置の真空チャンバー内には鉄とクロムまたはバッファ
ー層用の金属Mあるいは金属Mより選ばれた2種以上の
金属より成る合金またはFeあるいはCrと金属Mより
成る合金を充填した2つの電子ビーム蒸着源4a、4
b、4c、サファイヤ単結晶基板をマウントした基板ホ
ルダー5、基板加熱用ヒータ6、3つの電子ビーム蒸着
源の蒸着速度をモニターするための水晶振動子膜厚計7
a、7b、7c、3つの蒸着源から出た分子線束の開閉
を行うためのシャッター8a、8b、8c、真空ゲージ
9、サファイヤ単結晶基板上に成長した鉄あるいはバッ
ファー層の表面構造評価を行うための反射高速電子線回
折(RHEED)用の電子銃10、および蛍光スクリー
ン11を備え、ゲートバルブ12をとおしてクライオポ
ンプ13により真空排気される。超高真空を得るために
チャンバーの外周にはヒーターがとりつけられ、ベーキ
ングができるようになっている。10- 8 トールより圧
力の低い超高真空下での蒸着は、チャンバーを150℃
で20時間ベーキングした後行ったが、これより圧力の
高い真空下での蒸着では成長室に取り付けられたバリア
ブルリークバルブ14により所望の真空度になるように
空気をリークしながら行った。ベーキングを行った後の
到達真空度は1x10- 1 0 トール、超高真空下におけ
る蒸着時の真空度は、典型的には10-9 トール台であ
った。
【0012】軟磁気特性の評価は室温で振動試料型磁力
計(VSM)により飽和磁束密度と保磁力を測定した。
【0013】サファイヤ単結晶基板上へのエピタキシャ
ル膜の成長について、バッファー層に用いる金属あるい
は合金の種類を変えて調べた。エピタキシャル膜の成長
面に関してはRHEEDおよびX線回折により評価し
た。なお用いたバッファー層金属・合金母材の純度は、
99.9〜99.999%、蒸着速度は、0.1〜2オ
ングストローム/秒、基板温度は、850〜1100℃
(典型的には900〜950℃)とした。本実施例にお
いてはチャンバーのベーキングを行い超高真空中でエピ
タキシャルバッファー層の成長を行った。表1から、F
eあるいはCrはいずれの面方位のサファイヤ基板上に
もエピタキシャル成長しないこと、また体心立方晶金属
M(M=V、Nb、Mo、Ta、W)あるいはMより選
ばれた2種類以上の金属より成る体心立方晶の合金、あ
るいはFeまたはCrと金属Mより成る体心立方晶の合
金は、サファイヤ基板の結晶面の対称性にしたがってエ
ピタキシャル成長することがわかる。すなわちサファイ
ヤの(1−102)、(11−20)、(0001)、
(1−100)面のそれぞれに対して、体心立方晶金属
・合金の(001)、(110)、(111)、(11
2)面が成長する。なお表中の体心立方晶金属・合金の
成長面の欄の×印はエピタキシャル膜が得られず、多結
晶膜あるいは配向膜となったことを表している。またバ
ッファー層の膜厚は、10〜2000オングストローム
まで変えて調べたが結果は同じであった。
【0014】
【表1】
【0015】次にエピタキシャルバッファー層とこの上
に成長させたエピタキシャルFe膜の成長面の関係を調
べた実施例について述べる。実験の結果、V、Nb、M
o、Ta、Wのいずれか、あるいは少なくともこの中か
ら選ばれた2種類の金属からなる体心立方晶の合金、ま
たはFeあるいはCrとV、Nb、Mo、Ta、Wより
成る体心立方晶の合金のエピタキシャルバッファー層と
しての効果に特に大きな違いがみられなかったことから
以下の実施例では主に、Nbバッファー層上のエピタキ
シャルFe膜を例に説明する。
【0016】チャンバーをベーキングし、到達真空度1
- 1 0 トール、成膜時の真空度10- 8 トール台で、
膜厚500オングストロームのNbバッファー膜を基板
温度900℃、成長速度0.1〜0.5オングストロー
ム/秒でサファイヤ単結晶基板上に成長させた。得られ
たエピタキシャルNb膜はサファイヤ基板と表1のよう
なエピタキシャル関係を持っている。このエピタキシャ
ルNbバッファー層上に、成膜時の真空度10- 9 トー
ル台で、母材純度99.999%のFeを1オングスト
ローム/秒の成長速度で2000オングストローム成長
させた。基板温度を室温から500℃の範囲で変えなが
ら調べたが、Fe単結晶膜の成長面は基板温度には依存
せず、表2に示すようにバッファー層の面方位で決定さ
れる。すなわち体心立方晶金属・合金バッファー層の
(001)、(110)、(111)、(112)面の
それぞれに対し、Feがエピタキシャルバッファー層と
同一の結晶面で成長する。
【0017】
【表2】
【0018】次に、サファイヤ単結晶基板上の体心立方
晶金属M(M=V、Nb、Mo、Ta、W)あるいはM
より選ばれた2種類以上の金属より成る体心立方晶の合
金、あるいはFeまたはCrと金属Mより成る体心立方
晶の合金のエピタキシャルバッファー層上に成長させた
エピタキシャルFe膜について、室温で飽和磁束密度と
保磁力を測定した。エピタキシャルバッファー層の膜厚
は500オングストロームとし、エピタキシャルFe膜
は基板温度250℃、成長速度2オングストローム/秒
で3000オングストローム成長させた。なお成膜時の
真空度10- 9トール台で、母材純度99.999%の
Feを用いた。実験の結果、V、Nb、Mo、Ta、W
のいずれかあるいは少なくともこの中から選ばれた2種
類以上の金属からなる体心立方晶の合金、またはFeあ
るいはCrとV、Nb、Mo、Ta、Wよりなる体心立
方晶の合金のエピタキシャルバッファー層としての効果
に大きな違いがみられなかったことから、以下の実施例
では主に、Ta、V2 0 Nb8 0 、Ta3 0 Fe7 0
よびMo3 0 Cr7 0 バッファー層上のエピタキシャル
Fe膜を例に説明する。その結果を表3にまとめた。な
お比較のため、直接サファイヤ単結晶基板上に作製した
多結晶あるいは(110)配向のFe膜の結果について
も示した。表3に示すようにエピタキシャルバッファー
層上に成長させたFe単結晶膜は、多結晶あるいは配向
膜に比べ保磁力が小さく、高飽和磁束密度を維持しなが
ら保磁力の小さい軟磁性膜となっていることがわかる。
【0019】
【表3】
【0020】サファイヤ(11−20)単結晶基板上に
Ta(110)エピタキシャルバッファー層、Fe(1
10)単結晶膜を成長させたサンプルについてオージェ
電子分光法により膜の深さ方向で組成分析を行い、Ta
とFeの界面における拡散状態について調べた。Fe膜
は基板温度、250℃で成長させた。図3に示すように
TaとFeの界面は明確に分かれており、両者の拡散は
ほとんど起きていないことがわかる。
【0021】つぎに、サファイヤ単結晶基板上のエピタ
キシャルバッファー層を2層構造とし、下層をV、N
b、Mo、Ta、Wのいずれかあるいは少なくともこの
中から選ばれた2種類以上の金属からなる体心立方晶の
合金、またはFeあるいはCrとV、Nb、Mo、T
a、Wよりなる体心立方晶の合金、上層をCrとし、こ
の2層構造エピタキシャルバッファー層上に成長させた
エピタキシャルFe膜について、室温で飽和磁束密度と
保磁力を測定した。上層ならびに下層のエピタキシャル
バッファー層の膜厚はいずれも250オングストローム
とし、エピタキシャルFe膜は基板温度100℃、成長
速度1オングストローム/秒で2000オングストロー
ム成長させた。なお成膜時の真空度は10- 9 トール台
で、母材純度99.999%のFeを用いた。実験の結
果、V、Nb、Mo、Ta、Wのいずれかあるいは少な
くともこの中から選ばれた2種類以上の金属からなる体
心立方晶の合金、またはFeあるいはCrとV、Nb、
Mo、Ta、Wよりなる体心立方晶の合金の下層エピタ
キシャルバッファー層としての効果に大きな違いがみら
れなかったことから、以下の実施例では主に、Nb、M
o、Ta2 0 8 0 、V5 0 Fe5 0 およびV5 0 Cr
5 0 を下層のバッファー層とし、Crを上層のバッファ
ー層としたとき、この上に成長させたエピタキシャルF
e膜を例に説明する。下層の体心立方晶金属・合金なら
びに上層のクロム、そして鉄はお互いに同一結晶面が平
行にエピタキシャル成長することがわかった。本実施例
の結果を表4にまとめた。表4に示したようにエピタキ
シャルバッファー層を2層構造にし、上層をCrバッフ
ァーとすると、このCrバッファーがない場合に比べ、
保磁力が小さく、軟磁性膜として優れていることがわか
る。
【0022】
【表4】
【0023】サファイヤ(0001)単結晶基板上にM
o(111)エピタキシャルバッファー下層、Cr(1
11)エピタキシャルバファー上層、Fe(111)単
結晶膜を成長させたサンプルについてオージェ電子分光
法により膜の深さ方向で組成分析を行い、CrとFeの
界面における拡散状態について調べた。Fe膜は基板温
度、250℃で成長させた。図4に示すようにCrとF
eの界面は明確に分かれており、両者の拡散はほとんど
起きていないことがわかる。
【0024】Fe母材の純度ならびにFe成長時の真空
度を変えてFe単結晶膜を成長させ、それの飽和磁束密
度、保磁力を測定した実施例について述べる。サファイ
ヤ基板の方位ならびにエピタキシャルバッファー層の効
果に大きな違いがみられなかったことから、以下の実施
例では主に、サファイヤ基板の方位(1−102)で、
下層がTa(001)、上層がCr(001)より成る
2層構造エピタキシャルバッファー層上に成長させたF
e膜を例に説明する。エピタキシャルバッファー層の成
長は超高真空中で行い、Fe膜の成長を10- 8 トール
より高い圧力の下で行う場合は成長室に取り付けられた
バリアブルリークバルブにより所望の真空度になるよう
に空気を意識的にリークするようにした。
【0025】表5に示すように99.995%以上の純
度を有する鉄原料を用い、10- 8トールより圧力の低
い超高真空下で蒸着した場合にエピタキシャル単結晶鉄
薄膜が得られ、このときに高飽和磁束密度を維持した軟
磁性膜となることがわかる。なお表中のエピタキシャル
関係の欄の○印は上述したエピタキシャル関係を持つ単
結晶膜であることを示し、×印はエピタキシャル関係の
認められない多結晶膜あるいは配向膜であることを意味
する。
【0026】
【表5】
【0027】
【発明の効果】以上実施例にて説明したように本発明に
よれば、鉄の持っている大きな飽和磁束密度を保持した
鉄単結晶軟磁性薄膜が得られる。この軟磁性薄膜は、飽
和磁束密度が2テスラ程度の大きさを持っているので、
磁気記録媒体の高密度化に対応できる磁気ヘッド材料と
して用いることができるものである。また基板に化学的
・物理的に極めて安定で、機械的強度も高いサファイヤ
を用いるために信頼性の高い薄膜磁気ヘッドを提供でき
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軟磁性薄膜の構造を示す断面模式図で
ある。
【図2】本発明の実施例で用いた電子ビーム蒸着装置の
概略図である。
【図3】オージェ電子分光分析による深さ方向の組成分
析の結果を示す図である。
【図4】オージェ電子分光分析による深さ方向の組成分
析の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 サファイヤ単結晶基板 2 エピタキシャルバッファー層 2’ エピタキシャルバッファー下層 2” エピタキシャルCrバッファー上層 3 単結晶鉄膜 4a、4b、4c 電子ビーム蒸着源 5 基板ホルダー 6 基板加熱ヒータ 7a、7b、7c 膜厚計 8a、8b、8c シャッター 9 真空ゲージ 10 反射高速電子線回折用電子銃 11 蛍光スクリーン 12 ゲートバルブ 13 クライオポンプ 14 バリアブルリークバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 41/20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サファイヤ単結晶基板上にエピタキシャ
    ル成長させたバッファー層上にエピタキシャル成長させ
    た鉄単結晶膜であってその成長面が(001)、(11
    0)、(111)、(112)であることを特徴とする
    軟磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 該エピタキシャルバッファー層が体心立
    方晶金属M(M=バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、
    モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン
    (W))または該体心立方晶金属Mより選ばれた2種類
    以上の金属からなる体心立方晶の合金、または、鉄(F
    e)あるいはクロム(Cr)と該体心立方晶金属Mとか
    らなる体心立方晶の合金であることを特徴とする請求項
    1記載の軟磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 該エピタキシャルバッファー層が2層よ
    りなり、下層が請求項2の体心立方晶金属M、または該
    体心立方晶金属Mより選ばれた2種類以上の金属からな
    る体心立方晶の合金、または、鉄(Fe)あるいはクロ
    ム(Cr)と該体心立方晶金属Mとからなる体心立方晶
    の合金で、上層がクロム(Cr)で構成されることを特
    徴とする請求項1記載の軟磁性薄膜。
  4. 【請求項4】 99.995%以上の純度を有する鉄を
    原料とし、10- 8トールより低い圧力の超高真空下で
    エピタキシャル成長させることを特徴とする請求項1〜
    3記載の軟磁性薄膜の製造方法。
JP4249671A 1992-09-18 1992-09-18 軟磁性薄膜 Expired - Lifetime JPH07101649B2 (ja)

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