JP2541426B2 - 磁気抵抗効果素子薄膜 - Google Patents

磁気抵抗効果素子薄膜

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JP2541426B2 JP4200748A JP20074892A JP2541426B2 JP 2541426 B2 JP2541426 B2 JP 2541426B2 JP 4200748 A JP4200748 A JP 4200748A JP 20074892 A JP20074892 A JP 20074892A JP 2541426 B2 JP2541426 B2 JP 2541426B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気センサーや薄膜磁気
ヘッドなどに用いられる磁気抵抗効果素子薄膜およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1988年に発見された鉄(Fe)とク
ロム(Cr)を積層したFe/Cr人工格子のいわゆる
巨大磁気抵抗効果(フィジカル レビュー レターズ
(Physical Review Letters)
第61巻 2472ページ 1988年)は、従来知ら
れているパーマロイ薄膜の4〜5%の磁気抵抗比に比べ
ると、室温における磁気抵抗比が10数%にもなり、磁
気センサーや磁気ヘッドとしての応用が考えられてい
る。特に磁気センサーとして用いる場合には、ヒステリ
シスがないこと、磁気抵抗の変化量が磁場に対して直線
的に変化することが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれまで
に報告されているFe/Cr人工格子は、ヒステリシス
が大きく、磁気抵抗の磁場依存性も直線的でない(特開
平3−150881号公報)。
【0004】本発明の目的は、ヒステリシスがなく、磁
気抵抗の磁場依存性が直線的な磁気抵抗効果素子薄膜を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、サファイヤ単
結晶基板上にエピタキシャルバッファー層を有し、前記
エピタキシャルバッファー層上に、鉄(Fe)とクロム
(Cr)が交互にエピタキシャル成長した人工格子膜を
有する磁気抵抗効果素子薄膜であって、前記エピタキシ
ャルバッファー層が、(1)体心立方晶金属M(M=バ
ナジウム(V),ニオブ(Nb),モリブデン(M
o),タンタル(Ta),タングステン(W))より選
ばれた金属よりなる金属層、(2)前記体心立方晶金属
Mより選ばれた2種以上の金属よりなる合金層、(3)
前記体心立方晶金属Mより選ばれた金属と鉄(Fe)と
からなる体心立方晶の合金層、(4)前記体心立方晶金
属Mより選ばれた金属とクロム(Cr)とからなる体心
立方晶の合金層、のいずれかよりなることを特徴とする
磁気抵抗効果素子薄膜である。ここでサファイヤ単結晶
基板の結晶面と該エピタキシャルバッファー層の成長面
と、エピタキシャルFe/Cr人工講師の成長面との関
係が、 サファイヤ(1−102)面に対してはバッフ
ァー層が(001)面、Fe/Cr人工格子が(001
面)、 サファイヤ(11−20)面に対してはバッフ
ァー層が(110)面、Fe/Cr人工格子が(11
0)面、 サファイヤ(0001)面に対してはバッフ
ァー層が(111)面、Fe/Cr人工格子が(11
1)面、 サファイヤ(1−100)面に対してはバッ
ファー層が(112)面、Fe/Cr人工格子が(11
2)面であることを特徴としている。また望ましくは、
エピタキシャルバッファー層が2層構造より成り、下層
(1)請求項1記載の体心立方晶金属Mより選ばれた
金属よりなる金属層、(2)前記体心立方晶金属Mより
選ばれた2種以上の金属よりなる合金層、(3)前記体
心立方晶金属Mより選ばれた金属と鉄(Fe)とからな
る体心立方晶の合金層、(4)前記体心立方晶金属Mよ
り選ばれた金属とクロム(Cr)とからなる体心立方晶
の合金層、のいずれかからなり、かつ上層がCrで構成
されたエピタキシャルFe/Cr人工格子膜からなる磁
気抵抗効果素子薄膜である。
【0006】
【作用】特開平3−150881号公報に述べられてい
るFe/Cr人工格子は、積層方向にエピタキシャル成
長したFeとCrとの単結晶上の人工格子の群からな
り、全体として多結晶構造を有している。このために磁
気抵抗曲線にヒステリシスが生じ、磁気抵抗の磁場依存
性が直線的でなくなるものと考えられる。
【0007】これに対して本発明の磁気抵抗効果素子薄
膜は、膜全体がエピタキシャル成長したFe/Cr人工
格子より成り、薄膜の成長方向のみならず面内の結晶方
位もはっきり定義された単結晶膜であり、多結晶構造あ
るいは配向構造に基づく結晶方位のゆらぎがないので、
磁壁の動きが可逆的になり、そのために磁気抵抗曲線の
ヒステリシスがなくなり磁気抵抗の磁場依存も直線的に
なると考えられる。
【0008】この様な単結晶のFe/Cr人工格子膜の
作製にあたっては、超高真空下におけるいわゆる分子線
エピタキシー法によるエピタキシャル成長が不可避であ
る。エピタキシャル成長には、少なくとも基板あるいは
下地バッファー層とこの上に成長させる材料との間に、
類似の結晶対称性と格子ミスマッチの小さいことが要求
される。
【0009】サファイヤは、化学的・物理的に極めて安
定でありかつ高品質の単結晶が人工的に作られ、機械的
強度も高いことから、信頼性の高い磁気センサーや薄膜
磁気ヘッドの基板として優れている。体心立方晶のFe
あるいはCr(格子定数はそれぞれ2.87、2.88
オングストローム)は、疑似六方晶のサファイヤとの格
子ミスマッチがかなり大きいために、サファイヤ基板上
に直接FeあるいはCrのエピタキシャル膜を形成する
ことは困難である。これに対して、FeあるいはCrと
同じ体心立方晶金属M(M=V、Nb、Mo、Ta、
W、それぞれの格子定数は3.03、3.30、3.1
5、3.30、3.16オングストローム)あるいはこ
れら金属Mより選ばれた2種類以上の金属よりなる体心
立方晶の合金、または、FeあるいはCrとこれら金属
Mよりなる体心立方晶の合金は、サファイヤとの格子ミ
スマッチがかなり小さくなるので、サファイヤ基板上に
エピタキシャル成長する。サファイヤの(1−102)
面、(11−20)面、(0001)面、(1−10
0)面に対して、それぞれ、体心立方晶金属であるV、
Nb、Mo、Ta、Wあるいはこれらの2種類以上の金
属からなる体心立方晶の合金、または、FeあるいはC
rとこれら金属からなる体心立方晶の合金の(001)
面、(110)面、(111)面、(112)面がエピ
タキシャル成長する。V、Nb、Mo、Ta、Wあるい
はこれら金属からなる体心立方晶の合金または、Feあ
るいはCrとこれら金属からなる体心立方晶の合金のエ
ピタキシャル膜は、FeまたはCrと同じ結晶対称性を
有し、かつ格子定数から予想される格子ミスマッチも小
さいので、エピタキシャルFe/Cr人工格子成長のた
めのバッファー層として用いることができる。エピタキ
シャルバッファー層上のFeあるいはCrの成長面は、
結晶対称性が同一であるために、エピタキシャルバッフ
ァー層と同じ結晶面が成長する。エピタキシャルバッフ
ァー層を設けることによってエピタキシャルFe/Cr
人工格子の成長が可能となり、このために、ヒステリシ
スのない直線性に優れた磁気抵抗曲線が得られる。しか
し、エピタキシャルバッファー層とFe/Cr人工格子
との間には、小さいけれども有限な格子ミスマッチがあ
るために、Fe/Cr人工格子には、格子不整合に基づ
く応力あるいは転位などの欠陥が生じ、特に低磁場域で
磁気抵抗曲線に小さなヒステリシスがみられる。
【0010】そこでエピタキシャルバッファー層を2層
構造とし、下層を体心立方晶金属M(M=V、Cr、N
b、Mo、Ta、W)、またはこの体心立方晶金属Mよ
り選ばれた2種類以上の金属からなる体心立方晶の合
金、または、FeあるいはCrと該体心立方晶金属Mか
らなる体心立方晶の合金とし、上層をCrとすると、エ
ピタキシャルバッファー層とFe/Cr人工格子との間
の格子ミスマッチを0にすることができる。そのために
Crバッファー上層がない場合よりもヒステリシスがな
く直線性に優れた磁気抵抗曲線が得られる。
【0011】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。
【0012】図1は本発明の磁気抵抗効果素子薄膜の断
面図である。図1(a)ではサファイヤ単結晶基板1上
に、体心立方晶金属M(M=バナジウム(V)、クロム
(Cr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タン
タル(Ta)、タングステン(W))、またはこの体心
立方晶金属Mより選ばれた2種類以上の金属からなる体
心立方晶の合金、または、FeあるいはCrと体心立方
晶金属Mとよりなる体心立方晶の合金のエピタキシャル
バッファー層2上に、Fe層3とCr層4が交互にエピ
タキシャル成長したFe/Cr人工格子膜が形成されて
いる。ここでサファイヤ単結晶基板1の結晶面とエピタ
キシャルバッファー層2の成長面、ならびにエピタキシ
ャルFe/Cr人工格子の成長面との関係が、(1)サ
ファイヤ(1−102)面に対してはバッファー層が
(001)面、Fe/Cr人工格子が(001)面、
(2)サファイヤ(11−20)面に対してはバッファ
ー層が(110)面、Fe/Cr人工格子が(110)
面、(3)サファイヤ(0001)面に対してはバッフ
ァー層が(111)面、Fe/Cr人工格子が(11
1)面、(4)サファイヤ(1−100)面に対しては
バッファー層が(112)面、Fe/Cr人工格子が
(112)面である。
【0013】図1(b)では、エピタキシャルバッファ
ー層が2層より成り、下層が体心立方晶金属M(M=
V、Cr、Nb、Mo、Ta、W)、またはこの体心立
方晶金属より選ばれた2種類以上からなる合金、また
は、FeあるいはCrと該体心立方晶金属Mからなる合
金のエピタキシャルバッファー層2で、上層がCrエピ
タキシャルバッファー層5で構成され、この上に、Fe
層3とCr層4が交互にエピタキシャル成長したFe/
Cr人工格子膜が形成されている。
【0014】本発明の実施にあたっては図2に示した超
高真空蒸着装置を用いて行った。図2の蒸着装置の真空
チャンバー内には鉄とクロムを充填した2つの電子ビー
ム蒸着源6a、6b、およびバッファー層用の金属Mを
充填した電子ビーム蒸着源6c、サファイヤ単結晶基板
をマウントした基板ホルダー7、基板加熱用ヒータ8、
3つの電子ビーム蒸着源の蒸着速度をモニターするため
の水晶振動子膜厚計9a、9b、9c、3つの蒸着源か
ら出た分子線束の開閉を行うためのシャッター10a、
10b、10c、真空ゲージ11、サファイヤ基板上に
成長したバッファー層およびFe層とCr層の表面構造
評価を行うための反射高速電子線回折(RHEED)用
の電子銃12、および蛍光スクリーン13を備え、ゲー
トバルブ14を通してクライオポンプ15により真空排
気される。超高真空を得るためにチャンバーの外周には
ヒーターがとりつけられ、ベーキングができるようにな
っている。到達真空度は1x10- 1 0 トール、蒸着時
の真空度は、10- 9 トール台であった。磁気抵抗は、
リソグラフィーにより作製したパターンを用い、室温、
10キロエルステッドまでの磁場中で直流4端子法によ
り測定した。端子の取り出しはアルミニウムワイヤを超
音波ボンディングにより行った。測定電流は5mAとし
た。
【0015】サファイヤ単結晶基板上へのエピタキシャ
ル膜の成長について、バッファー層に用いる金属あるい
は合金の種類を変えて調べた。エピタキシャル膜の成長
面についてはRHEEDおよびX線回折により評価し
た。なお用いた金属母材の純度は、99.9〜99.9
99%、蒸着速度は、0.1オングストローム/秒、基
板温度は、850〜1100℃(典型的には900〜9
50℃)であった。表1から、FeあるいはCrはいず
れの面方位のサファイヤ基板上にもエピタキシャル成長
しないこと、またV、Nb、Mo、Ta、Wあるいはサ
ファイヤ基板の結晶面の対称性にしたがってエピタキシ
ャル成長することがわかる。なお表中の体心立方晶金属
・合金の成長面の欄のX印はエピタキシャル膜が得られ
ず、多結晶膜あるいは配向膜となったことを表してい
る。またバッファー層の膜厚は、10から2000オン
グストロームまで変えて調べたが結果は同じであった。
【0016】
【表1】
【0017】次にエピタキシャルバッファー層とこの上
に成長させたエピタキシャルFe/Cr人工格子膜の成
長面の関係を調べた実施例について述べる。実験の結
果、V、Nb、Mo、Ta、Wのいずれか、あるいは少
なくともこの中から選ばれた2種類の金属からなる体心
立方晶の合金、または、FeあるいはCrとV、Nb、
Mo、Ta、Wよりなる体心立方晶の合金のエピタキシ
ャルバッァー層としての効果に特に大きな違いがみられ
たなかったことから以下の実施例では主に、Nbバッフ
ァー層上のFe/Cr人工格子膜を例に説明する。
【0018】膜厚100オングストロームのNbバッフ
ァー膜を基板温度900℃、成長速度0.1オングスト
ローム/秒でサファイヤ単結晶基板上に成長させた。得
られたエピタキシャルNb膜はサファイヤ基板と表1の
ようなエピタキシャル関係を持っている。このエピタキ
シャルNbバッファー層上に、Fe(30オングストロ
ーム)とCr(30オングストローム)を20回積層さ
せた人工格子(以下[Fe(30A)/Cr(30
A)]2 0 と記す)を成長させた。基板温度を室温から
400℃の範囲で変えながら調べたが、Fe/Cr人工
格子の成長面は基板温度には依存せず、表2に示すよう
にバッファー層の面方位で決定される。人工格子のエピ
タキシャル関係についてはRHEEDおよびX線回折よ
り評価した。なお用いたニオブ、鉄、クロムの母材の純
度はそれぞれ、99.99%、99.999%、99.
9%であった。また蒸着速度は、いずれも0.1オング
ストローム/秒であった。また人工格子の成長順序に関
しては、Feから成長を始めようがCrから成長を始め
ようが結果に違いは認められなかった。
【0019】
【表2】
【0020】次に、サファイヤ単結晶基板上のV、N
b、Mo、Ta、Wのいずれか、あるいは少なくともこ
の中から選ばれた2種類以上の金属からなる体心立方晶
の合金、または、FeあるいはCrとV、Nb、Mo、
Ta、Wよりなる体心立方晶の合金エピタキシャルバッ
ファー層上に成長させたエピタキシャル[Fe(30
A)/Cr(10A)]2 0 人工格子膜について、室温
で磁気抵抗を測定した実施例について述べる。エピタキ
シャルバッファー層の膜厚は50オングストロームと
し、Fe/Cr人工格子は基板温度200℃、成長速度
0.1オングストローム/秒で成長させた。実験の結
果、V、Nb、Mo、Ta、Wのいずれか、あるいは少
なくともこの中から選ばれた2種類の金属からなる体心
立方晶の合金、または、FeあるいはCrとV、Nb、
Mo、Ta、Wよりなる体心立方晶の合金のエピタキシ
ャルバッファー層としての効果に特に大きな違いがみら
れなかったことから以下の実施例では主に、Ta、V
2 0 Nb8 0 、Ta3 0 Fe7 0 およびMo3 0 Cr
7 0 バッファー層上のエピタキシャルFe/Cr人工格
子膜を例に説明する。その結果を表3にまとめた。なお
比較のため、直接サファイヤ単結晶基板上に成長させた
多結晶あるいは(110)配向のFe/Cr人工格子の
結果についても示した。表中、磁気抵抗比は、磁場0の
時の抵抗R(0)から磁場10キロエルステッドの時の
抵抗R(10kOe)を差引いた値と磁場0の抵抗値と
の比 {R(0)−R(10kOe)}x100/R(0) であり、ヒステリシスの有無は、図3の磁気抵抗曲線に
おいて、(a)のように磁場掃引にたいして磁気抵抗が
履歴を持つ場合を「a」とし、(b)のように低磁場域
で履歴があるもののこれ以外では履歴のない場合を
「b」、また(c)のように履歴の全くない場合を
「c」とした。また磁気抵抗の直線性は、図4の磁気抵
抗曲線において、(a)のように直線的に減少する場合
を「○」とし、(b)のように上に凸の曲線にしたがっ
て減少する場合を「×」とした。表3に示すようにエピ
タキシャルFe/Cr人工格子の方が多結晶あるいは配
向膜の人工格子に比べ、磁気抵抗にヒステリシスがな
く、磁気抵抗が磁場に対し直線的な依存性を持っている
ことがわかる。ただし、図3(b)に示すように低磁場
減に少なからずヒステリシスが存在する。
【0021】
【表3】
【0022】次に、サファイヤ単結晶基板上のエピタキ
シャルバッファー層を2層構造とし、下層をV、Nb、
Mo、Ta、Wのいずれか、あるいは少なくともこの中
から選ばれた2種類以上の金属からなる体心立方晶の合
金、または、FeあるいはCrとV、Nb、Mo、T
a、Wよりなる体心立方晶の合金、上層をCrとし、こ
の2層構造エピタキシャルバッファー層上に成長させた
エピタキシャル[Fe(30A)/Cr(10A)]
2 0 人工格子膜について、室温で磁気抵抗を測定した実
施例について述べる。ここで下層ならびに上層バッファ
ー層の膜厚は、いずれも25オングストロームとし、F
e/Cr人工格子は基板温度150℃、成長速度0.1
オングストローム/秒で成長させた。実験の結果、V、
Nb、Mo、Ta、Wのいずれか、あるいは少なくとも
この中から選ばれた2種類の金属からなる体心立方晶の
合金、または、FeあるいはCrとV、Nb、Mo、T
a、Wよりなる体心立方晶の合金のエピタキシャルバッ
ファー層としての効果に特に大きな違いが見られなかっ
たことから以下の実施例では主に、Nb、Mo、Ta
80 2 0 、V5 0 Fe5 0 およびV5 0 Cr5 0 バッ
ファー層上のエピタキシャルFe/Cr人工格子膜を例
に説明する。得られた結果を表4にまとめた。表中、磁
気抵抗比、ヒステリシスの有無、磁気抵抗の直線性は、
表3における定義と同じである。表4に示すようにバッ
ファー層を2層とし、下層をV、Nb、Mo、Ta、W
のいずれか、あるいは少なくともこの中から選ばれた2
種類以上の金属からなる体心立方晶の合金、または、F
eあるいはCrとV、Nb、Mo、Ta、Wよりなる体
心立方晶の合金、上層をCrとしたエピタキシャルFe
/Cr人工格子は、バッファー層が単層のFe/Cr人
工格子に比べ、図3(c)に示すように低磁場領域にお
いても磁気抵抗にヒステリシスがなく、磁気抵抗が磁場
に対し直線的な依存性を持っていることがわかる。
【0023】
【表4】
【0024】
【発明の効果】以上実施例にて説明したように本発明に
よれば、磁気抵抗にヒステリシスがなく、磁気抵抗の変
化量が磁場に対し直線的な依存性を有する磁気抵抗効果
素子薄膜を得ることができる。この磁気抵抗効果薄膜
は、磁気抵抗にヒステリシスがなく、磁気抵抗が磁場に
対し直線的に変化するために磁気センサーや薄膜磁気ヘ
ッドとして用いるもとができるものである。また、基板
に化学的・物理的に極めて安定で、機械的強度も高いサ
ファイヤを用いるために信頼性の高い磁気センサーや薄
膜磁気ヘッドを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子薄膜の構造を示す断
面模式図である。
【図2】本発明の実施例で用いた蒸着装置の概略図であ
る。
【図3】磁気抵抗曲線の測定結果を示す図である。
【図4】磁気抵抗曲線の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 サファイヤ単結晶基板 2 エピタキシャルバッファー層 3 (人工格子膜中の)エピタキシャル鉄層 4 (人工格子膜中の)エピタキシャルクロム層 5 エピタキシャルクロムバッファー層 6a、6b、6c 電子ビーム蒸着源 7 基板ホルダー 8 基板加熱ヒータ 9a、9b、9c 膜厚計 10a、10b、10c シャッター 11 真空ゲージ 12 反射高速電子線回折用電子銃 13 蛍光スクリーン 14 ゲートバルブ 15 クライオポンプ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サファイヤ単結晶基板上にエピタキシャル
    バッファー層を有し、前記エピタキシャルバッファー層
    上に、鉄(Fe)とクロム(Cr)が交互にエピタキシ
    ャル成長した人工格子膜を有する磁気抵抗効果素子薄膜
    であって、前記エピタキシャルバッファー層が、 (1)体心立方晶金属M(M=バナジウム(V),ニオ
    ブ(Nb),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),
    タングステン(W))より選ばれた金属よりなる金属層 (2)前記体心立方晶金属Mより選ばれた2種以上の金
    属よりなる合金層 (3)前記体心立方晶金属Mより選ばれた金属と鉄(F
    e)とからなる体心立方晶の合金層 (4)前記体心立方晶金属Mより選ばれた金属とクロム
    (Cr)とからなる体心立方晶の合金層のいずれかより
    なること を特徴とする磁気抵抗効果素子薄膜。
  2. 【請求項2】 サファイヤ単結晶基板が(1−102)
    面、エピタキシャルバッファー層の成長面が(001)
    面、Fe/Cr人工格子の成長面が(001)面である
    請求項1の記載の磁気抵抗効果素子薄膜。
  3. 【請求項3】 サファイヤ単結晶基板が(11−20)
    面、エピタキシャルバッファー層の成長面が(110)
    面、Fe/Cr人工格子の成長面が(110)面である
    請求項1記載の磁気抵抗効果素子薄膜。
  4. 【請求項4】 サファイヤ単結晶基板が(0001)
    面、エピタキシャルバッファー層の成長面が(111)
    面、Fe/Cr人工格子の成長面が(111)面である
    請求項1記載の磁気抵抗効果素子薄膜。
  5. 【請求項5】 サファイヤ単結晶基板が(1−100)
    面、エピタキシャルバッファー層の成長面が(112)
    面、Fe/Cr人工格子の成長面が(112)面である
    請求項1記載の磁気抵抗効果素子薄膜。
  6. 【請求項6】エピタキシャルバッファー層が2層より成
    り、下層が(1)請求項1記載の体心立方晶金属Mより選ばれた金
    属よりなる金属層 (2)前記体心立方晶金属Mより選ばれた2種以上の金
    属よりなる合金層 (3)前記体心立方晶金属Mより選ばれた金属と鉄(F
    e)とからなる体心立方晶の合金層 (4)前記体心立方晶金属Mより選ばれた金属とクロム
    (Cr)とからなる体心立方晶の合金層のいずれかから
    なり、かつ 上層がクロム(Cr)で構成されていること
    を特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の磁気
    抵抗効果素子薄膜。
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