JPH06102848B2 - 超高強度ポリビニルアルコ−ル系繊維 - Google Patents

超高強度ポリビニルアルコ−ル系繊維

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JPH06102848B2
JPH06102848B2 JP60124408A JP12440885A JPH06102848B2 JP H06102848 B2 JPH06102848 B2 JP H06102848B2 JP 60124408 A JP60124408 A JP 60124408A JP 12440885 A JP12440885 A JP 12440885A JP H06102848 B2 JPH06102848 B2 JP H06102848B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は超高強度のポリビニルアルコール(以下、PVA
と略す)系繊維に係り、さらに詳しくは従来公知のPVA
繊維とは比較にならない,またアラミド繊維にも匹敵す
る高度の機械的性質を有するPVA系繊維に関する。
[従来技術] 従来、PVA繊維はナイロン,ポリエステルなどの繊維に
比較して機械的性質,耐薬品性,耐候性などに優れ、そ
の特性を活かして漁網,ロープ,タイヤコード,ゴム補
強材などの工業用ないし産業用繊維素材として広く使用
されている。
かかるPVA繊維は、通常PVA水溶液を紡糸原液として用
い、紡糸口金を通して凝固浴、例えば飽和無機塩類水溶
液中に吐出,凝固せしめ、得られた凝固糸条を水洗,延
伸,感想した後、アセタール化などの水不溶化処理を施
す工程を経由して製造されている。このような製造法に
おいて、得られるPVA繊維の機械的強度を向上させるた
めに,紡糸原液として硼酸またはその塩を含有する水溶
液を使用し、アルカリ性塩凝固浴中に紡糸する方法(特
公昭48-9209号公報)PVA水溶液を濃厚なアルカリ凝固浴
中に紡糸する方法(特公昭47-8186号公報)などが提案
されている。
しかしながら、これらの方法によって得られるPVA繊維
は、確かに従来のPVA繊維に比べると機械的性質は改良
されているけれども、前記アラミド繊維(特にポリ−パ
ラフィニレンテレフタルアミド繊維)に匹敵するような
高度の機械的性質を示すものではなかった。
一方、最近になって超高分子量ポリオレフィン系ポリマ
の準稀薄溶液を口金孔から吐出し、吐出糸条を冷却させ
て一旦ゲル化せしめた後、得られたゲル化糸条を脱溶媒
し(以下、ゲル紡糸法という)、超延伸すると、強度お
よび弾性率の著しく高い繊維が得られることがわかり
(例えば、特開昭56-15408号公報、同58-5228号公
報)、またPVA重合体についても前記ゲル紡糸法を応用
し,高強度・高弾性率を得る試みがなされている(特開
昭59-130314号公報)。
すなわち、特殊な重合法(酢酸ビニルモノマの厳密な精
留と−40℃以下での約100時間にも及ぶ長時間紫外線重
合)により得られる超高重合度PVAをグリセリンなどの
多価アルコール系溶媒に溶解し、低濃度の紡糸原液から
ゲル紡糸するもので、脱溶媒・延伸して約19g/dの従来
にない高い引張強度を有するPVA繊維を得ている。
しかしながら、上記繊維は前記アラミド繊維,例えば現
在商業生産されているデュポン社,“ケブラー”の引張
強度が約22g/dであるから、今一つこれに劣っている。
本発明者らはこの“ケブラー”を越える引張強度を有す
る繊維を直鎖状超高分子量のPVA系重合体から得るべ
く,鋭意研究の結果、本発明に至ったのである。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は前記特開昭59-130314号公報記載の実施
例にあるPVA繊維の引張強度19g/dを大きく上回り、また
デュポン社,“ケブラー”に代表されるアラミド繊維の
引張強度をも上回る,超高強度のPVA系繊維を提供する
にある。
[問題点を解決するための手段] 本発明の上記目的は、実質的にポリビニルアルコールで
あり、重量平均分子量が1×106以上のポリマからな
る、25g/d以上の引張強度を有するマルチフィラメント
繊維であって、X線小角散乱測定において長周期像が観
察されず、かつ主たる力学損失正接(tanδ)ピークの
高さが0.10以下であることを特徴とする超高強度ポリビ
ニルアルコール系繊維によって達成できる。
すなわち、本発明の25g/d以上の引張強度を有する超高
強度ポリビニルアルコール系繊維は、本発明者らの綿密
な実験によると、 (1) 重量平均分子量が1×106以上のPVA系重合体の
溶液を紡糸原液とする。
(2) 該紡糸原液を紡糸ドラフト(定義後述)1.0以
下で,かつ最終延伸糸の単糸繊度が5デニール以下とな
るような吐出量で乾湿式紡糸法(詳細後述)、あるいは
前記59-13031号公報に開示されているゲル紡糸法によ
り,ノズルから紡出し、凝固あるいは冷却固化せしめ
る。
(3) 固化した糸条を溶媒抽出工程に通し(この間延
伸が伴うこともある)、脱溶媒する。
(4) 脱溶媒された糸条を、適切なる工程油剤を付与
した後,乾燥する。
(5) 乾燥した糸条を加熱した空気あるいは不活性雰
囲気(例えば窒素ガス)中で糸条の融解温度直下で低速
で超延伸する。
ことによって得られることがわかった。特に本発明の特
徴的なところは、上記5項目の内,(1)項の超高分子
量の重合体を用いること、(2)項の一定ドラフト下で
特別の紡糸法をとること、及び(5)項の非接触タイプ
の乾熱延伸方法により特別の繊維構造を示すまで高倍率
に延伸することであり、これらの一体的な組み合せによ
って初めて本発明の超高強度PVA系繊維が得られるので
ある。
上記(5)項の非接触乾熱雰囲気での超延伸により,実
質的に分子鎖が十分伸びきった繊維構造が形成され、非
結晶部分も著しく配向が進んでいるため,結晶部分との
密度差が少なく,繊維軸方向に長周期構造を有していな
い本発明のPVA系繊維が得られる。
本発明のPVA系繊維はその引張強度が従来の例の中で最
も高強度を有する前記特開昭59-130314号公報中の実施
例のPVA繊維(強度19g/d)を大きく上回り、しかも長周
期像が観測されず,かつ力学的主分散ピークのtanδ値
が0.10以下であり、超分子配向性,高結晶性を有する,
全く新規な繊維である。X線小角散乱測定において長周
期像が観察される従来のPVA繊維では、分子鎖配向度が
低く、結晶部分と非結晶部分の密度差が大きく、構造の
完全性が低く、ひいては本発明の目的とする超高強度を
達成することはできない。また、同様に、主たる力学損
失正接(tanδ)ピークの高さが0.10を越えるならば、
分子鎖配向度が低く、結晶部分と非結晶部分の密度差が
大きく、構造の完全性が低く、ひいては本発明の目的と
する超高強度を達成することはできない。
次に、本発明に係る超高強度PVA系繊維の具体的な製造
例について述べる。
まず重量平均分子量が1×106以上のPVA系重合体を溶媒
に溶解し、PVA系重合体を2〜12重量%含有する溶液を
造る。この溶液は複数の孔を有するノズルから空気層ま
たは不活性気体雰囲気層を介して凝固浴中,または冷却
液体浴中に押出される。
ここにおいて、前者の凝固浴中に押出す紡糸法が“乾湿
式紡糸法”であり、凝固浴中でPVA系重合体の溶媒と凝
固剤とが相互拡散を生じる。
一方、後者の冷却液体浴中に押出す紡糸法が前記特開昭
59-130314号公報に開示されているのと同様の“ゲル紡
糸法”であり、PVA系重合体の溶媒と冷却液体とは混和
性を有していないので相互拡散は生じない、即ち,ノズ
ルから押出された繊維状溶液が冷却によってゲル化する
だけであり、得られるゲル化糸条は実質的に紡糸原液と
同じ組成を有している。
本発明のPVA系繊維は、上記何れの紡糸法によっても得
られるが、以下各々に付き詳細に述べる。
本発明のPVA系繊維を構成するPVA系重合体としては、そ
の重量平均分子量(w)が1×106以上,好ましくは
1.5×106以上,さらに好ましくは2×106以上であり、
繊維形成性があれば特に限定されるものではなく、例え
ば部分ケン化PVA,完全ケン化PVA,およびビニルアルコー
ルと共重合可能なビニル系モノマを少量共重合したPVA
共重合体などを挙げることができるが、これらの中,完
全ケン化PVAが最も好ましい。
乾湿式紡糸法においては、PVA系重合体の溶剤として,
ジメチルスルホキシド(DMSO),グリセリン,エチレン
グリコール,ジエチレントリアミン,エチレンジアミ
ン,およびフェノールなどの有機溶媒、水や塩化亜鉛,
ロダンソーダ,塩化カルシウム,塩化アルミニウムなど
の無機塩の水溶液,またはこれらの混合溶媒などを挙げ
ることができるが、好ましくはポリマに対する溶解力の
大きい溶剤,特にDMSO,ジエチレントリアミン,エチレ
ンジアミンがよく、さらに好ましくはDMSOがよい。
また凝固剤としては、メタノール,エタノール,ブタノ
ールなどのアルコール類、アセトン,ベンゼン,トルエ
ンなど,またはこれらの一種以上とDMSOとの混合溶媒,
飽和無機塩類水溶液,カセイソーダ水溶液などがある
が、好ましくはメタノール,エタノール,およびアセト
ンがよい。
さらに複数孔のノズルと凝固浴液面の間の距離(不活性
気体雰囲気)は、特に制限されないが、3mmから200mmが
適当であり、3mmよりも短くなると該乾湿式紡糸を安定
に実施することが難しくなるし、200mmよりも長くなる
とノズルから押出された繊維状溶液の安定走行が難しく
なり、僅かの糸揺れにより,この気体雰囲気中で単糸間
膠着が生じるなどの問題を惹起することになる。
さらにまた、この気体雰囲気中に押出された繊維状溶液
からは、僅かに溶剤が蒸発して抜けることもあるが、大
半の溶剤は凝固浴およびこれに続く抽出浴において除去
されることになる。
一方、ゲル紡糸法においては、PVA系重合体の溶剤とし
て,該重合体を高温で加熱,溶解し、得られた溶液を冷
却するとゲル化するような溶剤が使用され、かつ該溶剤
は紡糸口金から紡糸原液を吐出し,その吐出糸条を冷却
したとき,形成されたゲル化糸条の重合体濃度が吐出前
の紡糸原液の重合体濃度と実質的に同一となるようにす
るため,該紡糸原液の紡糸条件下,不揮発性であること
が必要である。
また、PVA系重合体はその融点(約250℃)以上の温度で
は重合体自体が熱的に分解されるため,前記溶媒はPVA
系重合体の融点以下の温度で溶解するものが選択され
る。このような溶剤としては、エチレングリコール,グ
リセリン,ジエチレングリコール,トリメチロールプロ
パン,ベンゼンスルホンアミド、カプロラクタムなどが
例示できる。
複数孔のノズルから押出された繊維状溶液をゲル化させ
る冷却液体としては、該溶液の重合体組成を変化させる
ことなく,冷却させるだけの働きをもったものがよく、
例えばデカリン,トリクロロエチレン,四塩化炭素,パ
ラフィンオイル,灯油などが好ましい。勿論,冷却温度
によっては、繊維状ゲル化糸条を溶解しないポリマの溶
剤そのものを冷却液体として用いてもよい。
なお、複数孔のノズルと冷却媒体浴液面の間の距離は前
記乾湿式紡糸法の場合と同様である。
前記乾湿式紡糸あるいはゲル紡糸により凝固あるいは冷
却ゲル化した糸条は引取られるが、この引取速度(V1
は紡糸原液のノズル孔での吐出線速度(V0)と連動し
て,ある一定範囲内に設定することが好ましい。即ち、
その範囲とは次式で示される紡糸ドラフトDf; 紡糸ドラフト(Df)=V1/V0 がDf≦1.0、 さらに好ましくは0.6≧Df≧0.06 に設定することにより、糸条の固化過程で大きな応力を
与えないで配向を低く押え、これに続く延伸工程での超
延伸性をあげることができる。その結果として、全体と
して高倍率での延伸が可能となり、分子鎖が超高配向
し,著しく高い物性を有する延伸糸が得られる。
前記特開昭59-130314号公報ではゲル紡糸の際,この紡
糸ドラフトは1.7以上であり、その結果,延伸性も低
く,糸物性も低い。
前記乾湿式紡糸法によって凝固した糸条は、引続き,脱
溶媒が進められる。
一方,ゲル紡糸法により冷却されたゲル化糸条は、つづ
いて脱溶媒が施され、最終的には溶媒が脱溶媒に用いら
れる抽出剤によって置き換えられる。
このようにして得られた凝固剤あるいは抽出剤を含んだ
糸条は、乾燥工程へ送られるが、乾燥の前に若干凝固剤
あるいは抽出剤中で延伸しても構わない。むしろ,この
部分で乾燥工程に引続く乾熱延伸工程での延伸倍率の負
担を軽減させるために,延伸を施す方が好ましい。
また、乾燥工程に入る前で,乾燥時の単糸間膠着を防ぐ
ため,糸条に油剤を付与しておくのが好ましい。
かくして得られる乾燥糸条は、続いて熱延伸される。そ
の熱延伸に使用される装置としては、加熱チューブ,熱
板,加熱ロール,加熱ピン,加熱液体,流動床などを加
熱手段とする各種の装置を挙げることができるが、本発
明の超高強度PVAを得るためには加熱チューブが好まし
い。
前記熱延伸装置のうち加熱チューブ以外の方式は、加熱
体が糸条に接触する方式であり、糸条をその融解温度直
下で延伸する際,微妙な温度設定が難しく、即ち,接触
加熱方式は加熱効率が良すぎるため,糸条の内部まで熱
が伝わり易く、融解温度直下で熱延伸する場合に僅かの
加熱体の温度の変動で糸条が融解したり,糸内部で流れ
を生じ、実質的な分子配向を伴わない等が生じる。これ
に反し、加熱チューブのような非接触乾熱雰囲気での超
延伸法では、糸条の加熱効率が低いため,糸条の融解温
度直下での熱延伸においても糸条の融解あるいは糸内部
での流れを伴わずして延伸できる温度範囲が比較的幅広
く設定できるので好ましい。本発明のX線小角散乱測定
においては長周期像が観測されず,かつ主たる力学的損
失正接(tanδ)ピークの高さが0.10以下である,引張
強度25g/d以上を有するPVA系繊維を得るためには、上記
非接触乾熱雰囲気中で糸条の融点直下の温度で超延伸す
るのが好ましい。
重量平均分子量が1×106以上のPVA系重合体を原料とし
て乾湿式紡糸法,あるいはゲル紡糸法により適切な未延
伸糸を得たとしても,これに続く延伸工程の条件が不充
分では本発明のPVA系繊維は得られない。
乾熱チューブの内気温度は、150〜270℃の範囲で設定さ
れるが、延伸される糸条の繊度や供給速度により該適正
温度は異なり、繊度が大きくなるにつれ,また供給速度
が大きくなるにつれて適正延伸温度も高くなる。このた
め糸条の融断温度を各場合につき測定し(Tmbとす
る)、これを基準としてTmb−50℃とTmbの間,好ましく
はTmb−30℃とTmbの間,更に好ましくはTmb−15℃とTmb
の間に設定する。
本発明を達成するために,適正延伸温度に設定されてい
るかどうか,また超延伸の程度は充分かどうかについて
の判定は、延伸糸のX線小角散乱測定において長周期像
が観測されず,かつ主たる力学的損失正接(tanδ)ピ
ークの高さが0.10以下であることが目安となる。
乾熱チューブは熱媒を用いたジャケット方式が温度が安
定して好ましい。さらにチューブの中へ加熱した空気や
不活性ガスを糸条に添わせて流すのがよい。
また延伸は多段延伸が好ましく、また更に必要に応じて
最終段で熱処理工程を入れてもよい。
全工程を通じての総延伸倍率は、できる限り高くし、即
ち,例えば糸条の切断が生じる延伸倍率の80%以上,あ
るいは好ましくは85%以上とし、延伸後の糸条のX線小
角散乱を測定したとき,長周期像が観測されなくなるま
で延伸を行なうのがよい。その際、延伸に供する糸条
は、延伸後の糸の単糸繊度が5デニール,好ましくは2
デニール以下となる太さに止どめるべきである。5デニ
ールを上回ると,本発明の超高強度の繊維を得ることが
困難になる、即ち単糸繊度が細い方が紡糸後の固化過程
以降熱延伸工程に至るまで,繊維の構造が断面方向で均
質となり易く、また材料力学的な観点からも欠陥を含む
確率が小さくなり、高強度を発現するものと考えられ
る。
[発明の効果] 本発明の超高強度PVA系繊維は、引張強度が25g/d以上と
いう,著しく高い物性を有するが故に、タイヤコード,
シートベルト,一般ゴム補強材,ロープ・ケーブル類,
工業用コーティング布,スリング,セールクロス,樹脂
補強材,コンクリート補強材,工業用縫糸,漁網等に非
常に有用であり、これらの製品がより細かく,より薄
く,より軽くできるために、従来とは著しく異なった使
い方も期待できる。
[実施例] 以下、実施例を挙げて本発明の効果を具体的に説明す
る。
本例中、引張強度,X線小角散乱,力学的損失正接(tan
δ)は、次の測定法に従った。
a.引張強度 マルチフィラメントヤーンからなる繊維を試料として、
JIS−L−1017に規定されている試験法に準じて測定し
た。すなわち、繊維をカセ状態に巻取り、20℃,65%RH
に調整された雰囲気に24時間放置したのち、このカセか
ら試料を採取し、“テンシロン"UTM-4L型引張試験機
[東洋ボールドウイン(株)製]を用いて,試料長25c
m,引張速度30cm/分で測定した。
b.X線小角散乱 Kiessig Cameraを使用する公知の方法に準じて測定し
た。測定条件として次の条件を設定した。
理学電気(株)製RU-200型X線発生装置使用。
CuKα線(Niフィルター使用)、出力;50Kv-150mA、0.3m
mΦコリメータ使用、透過法、カメラ半径;400mm、露出
時間;90分、フィルム;コダック・ノー・スクリーンタ
イプ。
c.力学的損失正接(tanδ) 東洋ボールドウイン(株)製 バイブロンDD-II型を使
用し、45〜55℃の温度範囲に現れる主分散(αa)ピー
クの高さを下記条件下で測定し、次式によりtanδを求
めた。
測定条件: 振動数;110Hz,昇温速度;3℃/分 試料長;4cm 雰囲気;空気中(23℃,50%RH) 計算式: tanδ=E′/E″ E′;貯蔵弾性率(dyne/デニール) E″;損失弾性率(dyne/デニール) 実施例1 重量平均分子量(w)が1.2×106である完全ケン化型
(ケン化度99.5%以上)PVAをDMSOに110℃で溶解し、PV
A濃度が8重量%の紡糸原液を作成した。
該紡糸原液を孔径0.10mm,孔数50の紡糸口金から10重量
%のDMSOを含有するメタノール凝固浴へ吐出し、乾湿式
紡糸した。
紡糸口金面と凝固浴液面との距離は8mmに設定し、口金
からの紡糸原液の総吐出量は26.2cc/分であり、凝固糸
条は10m/分で引取った。
このとき、紡糸ドラフト(Df)は0.15である。
引取った凝固糸条はメタノールにより充分洗浄した後、
メタノール浴中で4倍に延伸し、油剤を付与して表面温
度が60℃であるホット・ロールにより乾燥した。次いで
乾燥糸条を長さ3mの加熱チューブ中,240℃で更に5.5倍
に延伸した。このとき、糸条の供給速度は1m/分であ
り、加熱チューブには240℃に加熱した窒素ガスを糸条
の走行方向に流した。得られた延伸糸は次の物性を有し
ていた。
繊度;93.7d (単糸1.87d) 引張強度;26.3g/d 切断伸度;3.8% 長周期像;観測されない tanδピーク高さ;0.08 比較例1 実施例1において、乾燥糸条を加熱チューブで延伸する
際、延伸温度を225℃にすると,最高延伸倍率は4.7倍と
なり、得られた延伸糸は次の物性を有していた。
繊 度;110d 引張強度;19.6g/d 切断伸度;4.6% 長周期像;観測される(185Å) tanδピーク高さ;0.12 比較例2 実施例1において、乾燥糸条を加熱チューブでなく,長
さ1mの熱板で延伸すると、225℃で最高延伸倍率は4.9倍
となり、得られた延伸糸は次の物性を有していた。
繊 度;104d 引張強度;20.1g/d 切断伸度;4.7% 長周期像;観測される(197Å) tanδピーク高さ;0.11 実施例2 重量平均分子量(w)が2.2×106である完全ケン化型
(ケン化度99.8%以上)PVAをグリセリンに215℃で溶解
し、PVA濃度が6重量%の紡糸原液を作成した。
該紡糸原液を孔径0.20mm,孔数20の紡糸口金から12mmの
空気層を介し,12℃のデカリン冷却浴へ押出し、ゲル紡
糸した。
口金からの紡糸原液の総吐出量は13.6cc/分であり、冷
却ゲル糸条は5m/分で引取った。
このとき、紡糸ドラフト(Df)は0.23である。
引取ったゲル糸条は、内気温度100℃の加熱チューブで
4倍に延伸した後、メタノールにより充分洗浄し、乾燥
した。次いで乾燥糸条を長さ3mの加熱チューブ中,実施
例1と同様の条件で6.2倍に延伸した。得られた延伸糸
は次の物性を有していた。
繊 度;64.2d 引張強度;29.4g/d 切断伸度;3.8% 長周期像;観測されない tanδピーク高さ;0.07 比較例3,4、実施例3 重量平均分子量(w)が1.6×105,3.4×105,1.1×106
である完全ケン化型PVAを、夫々PVA濃度が17,13,9重量
%の紡糸原液を作成して,実施例2と同様にしてゲル紡
糸した。
引取り速度は5m/分であり、引取ったゲル糸条は同様に
4倍延伸し、脱溶媒後,加熱チューブで熱延伸した。こ
のときの熱延伸倍率の最高値及び延伸糸の物性は第1表
に示すとおりである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−130314(JP,A) 特開 昭59−100710(JP,A) 特公 昭43−22357(JP,B1) 特公 昭31−8313(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にポリビニルアルコールであり、重
    量平均分子量が1×106以上のポリマからなる、25g/d以
    上の引張強度を有するマルチフィラメント繊維であっ
    て、X線小角散乱測定において長周期像が観察されず、
    かつ主たる力学損失正接(tanδ)ピークの高さが0.10
    以下であることを特徴とする超高強度ポリビニルアルコ
    ール系繊維。
JP60124408A 1985-06-10 1985-06-10 超高強度ポリビニルアルコ−ル系繊維 Expired - Lifetime JPH06102848B2 (ja)

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JPS61289112A (ja) 1986-12-19

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